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2006年2月に作成された記事

2006年2月28日 (火)

ワルターの新世界とスークのベートーヴェン

昨日の春のような暖かな一日から一転今日は冬に逆戻り。夜は冷たい雨まで降ってきた。
仕事を終えた後、町のブックオフへぶらりと寄ってみた。この店はクラシックCDの数が少ない上に値段も高い。あまり期待せずに棚を眺めていたら思わず目が釘付けになった。

P2280113 そこにあったのはワルター&ロスフィルのM&A原盤による「新世界より」キングの国内盤のライヴCD。コラム「新世界よりを聴く」のワルターの項を書くにあたって、どうしても見つからなかったCDがそこにあった。
正直なところ「新世界より」は多少食傷気味で中古CD1,000円は安いとはいえないが、これを逃したら再び遭遇することはないだろう。と勝手に納得して購入。他に「モルダウ」「売られた花嫁」序曲、チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」が入っている。意外なところにあるものだ。

P2280115 次にスークの弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にも手がのびた。こちらは250円コーナーから。お目当ては伴奏のサー・エードリアン・ボールトの指揮。ボールトの同曲の演奏ではオイストラフとの共演映像がビデオで出ていた。長い指揮棒で端正な伴奏をつけていたのが印象に残る。
こちらは最晩年のボールトのベートーヴェンで、2つのロマンスも入っている(伴奏はサー・ネヴィル・マリナー)。

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2006年2月27日 (月)

ペーター・リバールの鱒とヘンデル

花粉症がひどくなってきた、朝からクシャミ5連発。昨年ほどではないがあと2ヶ月ほどは悩まされそうだ。
P2230093 今日は、スイスのヴァイオリニスト、ペーター・リバールの演奏を聴く。
聴いたのはMMS盤の10吋レコードで、ヘンデルの合奏協奏曲Op6-6,12とシューベルトの「鱒」の2枚。
ヘンデルはClemens Dahinden指揮のウィンタートゥール響、シューベルトはウィンタートゥール響のメンバーにピアノのPina Pozzi、ベースのFred Jaquillardが加わる。
P2250103 「鱒」は現在オタケンレコードから板起こしのCD-Rが発売されている。

Dahindenのヘンデルはゆるやかなテンポでロマンティックに歌わせる演奏。曲運びに平板さが感じられるものの、リバールのソロが入ると音楽がきりっと引き締まるのが面白い。
「鱒」は弦楽器の暖かなアンサンブルとPozziの透明で固めの音色が絶妙のコントラストを見せる名演。リバールの弾く銘器ガダニーニの気品に満ちたヴァイオリンが実に素晴らしい。

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2006年2月26日 (日)

ニルソンのトゥーランドット

P2260112 連日、荒川静香の映像ともにテレビから流れてくる「誰も寝てはならぬ」を聴いているうちに、「トゥーランドット」が聴きたくなった。
聴いたのはモリナーリ=プラデルリ指揮ローマ歌劇場による演奏。トゥーランドットは泣く子も黙るビルギット・ニルソン、カラフは当時絶頂期だったコレルリ、リューのスコットという豪華な布陣。

前半では氷のような冷たさと強さに満ちたトゥーランドットが、後半でがらりと情に満ちた歌唱に変貌するニルソンの圧倒的な歌唱が感動的だ。可憐なスコット、コレルリの張りのある歌声も素晴らしい。モリナーリの指揮も聴かせどころを押さえ、ドラマティックで緊張感に満ちた完璧な出来。
この国内盤LPは多少高音強調気味の録音だが、演奏の素晴らしさの前に全く気にならない。久しぶりに興奮しました。まさに歴史的名盤。

P2260111 沼響のHPに「新世界よりを聴く」連載91回めを更新しました。
今回はズービン・メータ&ロスフィルの演奏。

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2006年2月25日 (土)

クライバーのウィーンフィル79年定期

P2250108 カルロス・クライバーの死後1年余りが過ぎたが、未発表のライヴが登場する度に大きな話題となる第2のフルトヴェングラーのような存在になってきた。先ごろ発売されたバイエルン国立管とのベートーヴェンの交響曲第7番ライヴも、大変な売れ行きらしい。

今日は79年と82年のウィーンフィルの定期公演が収録されているMemories Excellenceの2枚組CDから79年のライヴを聴く。内容は「魔弾の射手」序曲、交響曲第33番(モーツァルト)、交響曲第4番(ブラームス)というもの。

クライバーはバイエルン国立管の来日公演で、前の2曲が同一、後半がブラームスの交響曲第2番に入れ替わったプログラムの実演を聴いた。

このCDの「魔弾の射手」を聴いているうちに、気分が乗りきれない開始から次第に熱を帯び、コーダのフェルマータから最後の追い込みの箇所で、まるで草をなぎ払うように右手を大きく左から右に波打たせながらオケを煽っていた動作が頭の中に蘇ってきた。凄い迫力だった。
モーツァルトでは、優雅さの中に悪魔的な笑いが漂う。クライバーのデモーニッシュな指揮にオケも聴衆も完全に虜となり会場全体が酔っていた。

このCDはその時の興奮をまざまざと呼び起こしてくれる。録音も狭いレンジでありながらステレオなのがありがたい。

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2006年2月24日 (金)

トリノ五輪女子フィギュアと御殿場時之栖

早起きしてトリノ五輪の女子フィギュアを見る。
自分の最高のコンディションを4分間の凝縮した時間に持っていき、さらに自己ベストを出してしまう荒川静香、凄い人だ。得点に結びつかないイナバウアーをあえてぶつける演技に見ていて感動してしまった。
選曲も素晴らしい、荒川の「トゥーランドット」、村主のラフマニノフ、いずれも彼女達の個性にぴったりだった。

P2240102 ここでゼフィレッリ演出のメトの「トゥーランドット」を見たいところだが、手持ちのLDプレーヤーが壊れていて見ることができない。
ドミンゴ、マルトンの2大歌手を揃え、レヴァインのドラマティックな指揮もお見事の絢爛豪華な名舞台だった。


P2240101 夜は冷たい雨の中「御殿場時之栖」へ、東洋一とも言われる敷地内のイルミネーションを見に行く。
その球数実に250万球。地ビールをたらふく飲んだ後、光の洪水に圧倒されながら回廊を歩く。

日本中が沸いた一日だった。

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2006年2月23日 (木)

シュナーベルのベートーヴェン

P2230094 シュナーベルの弾くベートーヴェンのピアノソナタを聴く。
聴いたのはDanteの復刻CDで、ソナタと協奏曲全曲といくつかの変奏曲が入っているHMVにシュナーベルが残したベートーヴェン録音の集大成14枚組。1930年代の録音。

シュナーベルのベートーヴェンを初めて聴いたのは20年以上前のこと。函館山近くの喫茶店の中に「皇帝」のレコードが小さな音量で静かに流れていた。古い録音ながら音にしっかりとした芯があり、堂々たる風格に満ちた実によい演奏、店主さんにお願いしてジャケットを見たところシュナーベルとサージェントの録音だった。
今日聴いたのはソナタの14番から16番までと幻想曲の入った1枚。

巷で言われている精神的な深さよりも、艶のある健康的な音楽がシュナーベルの本質ではないかと思う。
この4曲を聴いてみると出来不出来の差がかなり大きい。技巧の危うさもあり、有名な「月光」など第3楽章のなにげない箇所で躓いていたりする。

ところが、多少指がもつれても妥協せず速いテンポで弾ききっていく第16番を聴いているうちに次第にシュナーベルの音楽に引き込まれていったのも事実。
これを精神的な深さと取るかは難しいところだが、時の流れの中に埋没せず長く聴き継がれてきた何か不思議な魅力のある演奏だ。

猛烈にテンポの速い「幻想曲」は、CDに復刻した際に回転数を間違えたのではないだろうか。あまりにも速すぎシュナーベルが超技巧派のピアニストに聴こえる。

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2006年2月22日 (水)

ドウアットのテレマン、ヴィヴァルディ

P2210085 年度末を控えて仕事が忙しくなってきた。頭が疲れたときはバロック音楽、ということで今日はフランスの指揮者ローラン・ドウアット指揮のパリコレギウム・ムジクム合奏団の演奏を聴く。
アメリカノンサッチのLPで、テレマンの「トランペットとオーボエのための序曲ニ長調」とヴィヴァルディの「二本のホルンのための協奏曲」ホ長調、P320,P321の3曲が入ったアルバム。

ソリストはトランペットのアンドレ、オーボエのピエルロ、ホルンはバルボトゥーとクールシェ、ヴァイオリンはヴァレーズ、ラロックといった、いずれも名の知られた名人達の饗宴。

暖かな声楽を聴くような自然の呼吸が感じられるアンドレのトランペットが素晴らしい。
ヴィヴァルディでは、次々に出てくるハイトーンを苦もなくポンポンと当てている二人のホルニストの名人芸を堪能。
CD時代に入ってすっかり忘れられた印象のあるドウアットの伴奏は、素っ気無さの中になにげない滋味が漂う優れもの。

P2220090 P2220089 沼響のHPに「新世界よりを聴く」の連載90回めをアップしました。

今回はプレヴィンとマッケラスの演奏。


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2006年2月21日 (火)

スコダのモーツァルトとアンコール集

昨晩帰宅が遅かったので、本日終日寝不足気味。
今日聴いたのはウィーンのピアニスト、パウル・パドウラ=スコダの2つのLP。

P2210087 一枚はスコダが24才のときにフルトヴェングラーと共演したモーツァルトのピアノ協奏曲第22番。
1952年1月27日、モーツァルトの誕生日を記念してウィーン・シェーンブルン宮殿内でおこなわれたコンサートのライヴだ。日本コロンビアのLPでワルター協会原盤。
直前までアテネで演奏旅行をしていたスコダがハリケーンに遭遇し、コンサート当日にぎりぎりで間に合ったといういわく付きのコンサートの記録。

フルトヴェングラーのモーツァルトはあまり評判が良くない。確かにテンポは遅いし、モーツァルトの誕生日のコンサートにしては華やかさには欠けるが決して鈍重というわけではない。音楽が自然に流れ、モーツァルトの典雅さも充分に伝わってくる。
スコダのピアノもアクシデントを感じさせない初々しさの中に落ち着きが感じられるもの。ピアノの音が比較的軽いのは古い録音のためだろうか。

P2210088 あとひとつは70年代初頭に出たコロンビアのMSシリーズの千円盤LPで「スコダ・アンコール」というアルバム。近所のハードオフのジャンクコーナーで100円で見つけたレコード。おそらく1960年の来日時の録音だと思う。

「エリーゼのために」「トロイメライ」やショパンの「雨だれ」「別れの曲」、ドビュッシーが3曲と「ハンガリー狂詩曲」、「楽興の時第2番」といった曲の軽いアンコールアルバム。
シュトラウスの「こうもりポルカ」という珍しい曲も入っている。

多彩な曲目と高水準の演奏でなかなか楽しめたアルバム、ショパンやドビュッシーでは多少クセのあるのが気になったが、シューマン、シューベルトといったところは詩情豊かで深い余韻もあり、さすがに聴かせる。シュトラウスのポルカもお洒落な出来。

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2006年2月20日 (月)

電気用品安全法

安田さんの掲示板で、電気用品安全法なる法律が4月から施行されることを知った。この法律が施行されると、2001年以前に製造されたAV機器の中古販売が出来なくなるという。なんとも野暮な法律。

現在自分の使用しているオーディオは、カートリッジと友人が作ってくれたパワーアンプ以外は全て中古で購入したものだ。
スペンドールのスピーカーはオーディオユニオン、フィリップスのCDプレーヤーとアキュフェーズのプリアンプはハードオフ。トーレンスのレコードプレーヤーは町の電気屋さん。といった具合。

こんな時に10年以上使用していたLDプレーヤーが動かなくなってしまった。4月までにLDプレーヤーを探すかLDを捨てるか、究極の選択を迫られてしまった。
つい先日オペラ好きの近所のおばあさんから、「もう見ないから」とオペラのLDを100枚ほど譲り受けたばかりなのに。

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2006年2月19日 (日)

マタチッチの未完成とラシライネンのグリーグ

P2190083 多少曇り気味だが静かなる休日。今日はマタチッチのN響ライヴを聴く。1973年12月27日にマチネーでおこなわれた「青少年のためのプロムナードコンサート」のライヴ。ライナーによるとA席が500円だったそうである。
曲は、「未完成」「カルメン第1組曲」「ファランドール」そしてアンコールとしてクロアチアの作曲家ゴドヴァッツの「交響的コロ舞曲」というもの。当日はこの他に「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「マイスタージンガー」の3つの序曲も演奏されたという。今思えば垂涎のプログラム。NHK音源によるAltusのCD。

青少年向けのコンサートとはいえ手抜きなしの全力投球のコンサート。特に速いテンポで進めながら歌心にも不足せず、大きな広がりを持つ「未完成」は大変な名演。
ビゼーはまさにマタチッチの豪快さと不器用さが赤裸々に出た個性的な演奏で、「前奏曲」で大太鼓をどん!どん!と極端に強調するあたりはマタさんの面目躍如。
アンコールのゴトヴァッツの曲は9分近くの大曲、いわばマタチッチのお国物だけにノリノリの祭りだワッショイ!的強烈な盛り上がりが凄まじい。

P2140070 もうひとつはフィンランドの指揮者アリ・ラシライネンのグリーグ。
曲は「ペール・ギュント」の2つの組曲と「叙情組曲」、オケはノルウェー放送管。余白にヘルシンキ・ストリングスによる組曲「ホルベルク時代から」が入っている。ワーナー・クラシックスから出ている国内千円盤CD。

いわゆるスーパーオケでもスター指揮者でもないが、すっきりと清潔に心のこもった演奏で聴かせる。グリーグのようなシンプルな音楽はこのような演奏で聴きたい。それに比べて「ホルベルク」は悪い演奏ではないが、音の密度と求心力で多少劣るようだ。

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2006年2月18日 (土)

クリュイタンスのラヴェル

BS2で放送していたラヴェルのドキュメンタリー番組を見た。
晩年のラヴェルを扱ったもので、2000年カナダ放送の制作。ラヴェルの愛弟子ロザンタールやギャビー・カサドシュらの証言に加えて生前のラヴェルの映像、さらに未完のバレー音楽「モルジアーヌ」の演奏など。興味深い内容満載の番組だった。

P2180080 今日はラヴェルを聴く。手に取ったのはクリュイタンスのウィーン・デビューとなった1955年5月15日のライヴで、当時の放送録音からAltusがCD化したもの。

この日のコンサートの演奏された順に「ハフナー」、「ドン・ファン」、「マ・メール・ロア」、「ダフニスとクロエ第2組曲」が収録されている。
冒頭の「ハフナー」からクリュイタンスは思い切りウィーンフィルをドライヴしていく。とても初顔合わせとは思えないストレートで手馴れた曲運び、オケも譲らずお互いに主導権を取ろうとする緊張感が聴き物。

後半のラヴェルでは即興的なテンポの揺れを見せるが、さすがにモーツァルトほどはうまくいかず、「親指小僧」と「パゴダの女王レドロネット」でヨタッとする部分も聴かれる。しかし終曲の幻想的でとろけるようなヴァイオリンソロはスタジオ録音では聴かれなかったウィーンフィル独特の味わい。
「ダフニス」終曲のオケが一丸となった熱狂的な音の洪水は、ウィーンフィルがクリュイタンスに完全に信服している証。素晴らしい演奏だ、よくぞ残っていたと思う貴重な遺産。

P2180081 有名なパリ音楽院管との「マ・メール・ロア」全曲も続けて聴く。EMIの国内盤LP。もう20年以上前に購入したものでジャケットも黄ばんでしまった。こちらは熱狂とは無縁の落ち着いたメルヘンの世界。言わずと知れたクリュイタンスを代表する名盤だ。

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2006年2月17日 (金)

ホルダのアルベニスとファリア

いよいよ花粉症が始まったようだ。昨年と比べて花粉の飛散量が少ないとはいえ、しばらく辛い日が続きそうだ。

P2140064 今日はスペインの指揮者エンリケ・ホルダのスペイン物を聴く。
アルベニスのピアノ曲のオケ編を集めたアルバムで、スペイン・イスパボックスのLP。オケはマドリード・コンサート管。「スペイン組曲」、「スペインの歌」と「旅の思い出」からティエルラの門というもの。いずれもオリジナルはピアノ曲でオケの編曲者はオスカー・エスプラ。

スペイン組曲はデ・ブルゴスの編曲もあるが、このホルダ盤はアレンジが異なり曲目もブルゴス盤よりも多い。オケは比較的少人数のようで、ローカルで鄙びた趣。オーボエとコール・アングレの音色に民族楽器のような独特の味わいがある。
中でもグラナダの物憂げなテンポの揺れ、アラゴンの沸き立つようなリズムが印象に残る。
管楽器の一部にもたつく場面もあるが、オケのメンバーが心底楽しんで演奏している様子が自然に伝わり愉快な気分になってきた。録音も優秀なステレオ録音。

P2170074 ついでにホルダの代表盤とされる「三角帽子」も聴きたくなった。エヴェレスト原盤でコロンビアのMSシリーズで出ていた懐かしの千円盤LP。
こちらのオケはロンドン響でさすがにうまい。気分の向くまま勢いにまかせて突っ走りこれが功を奏した気がしないでもないが、色彩感豊かでローカルなスペイン情緒の奔流が嬉しい。

P2140068 沼響のコラム「新世界よりを聴く」に、マゼールがVPOとNDRを振った2種の録音を追加しました。連載89回目。

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2006年2月16日 (木)

ニコレ若き日のモーツァルト

P2080038 終日雨の一日、また冷えてきた。今日はニコレのモーツァルトを聴く。
曲はモーツァルトのフルート協奏曲第2番で伴奏はスヴォダ指揮のウィンタートゥール管。MMS盤の10吋モノラルディスク。
ニコレがフルトヴェングラーの招きでベルリンフィルの首席奏者となる前のウィンタートゥール管第1フルート奏者時代の貴重な録音。この時ニコレは20代前半だった。

天を駆けるような躍動感、明るい未来に突き進むような生命力に溢れている演奏だ。
スヴォダの指揮もニコレにぴったりと付け隙のない見事なもの。

ニコレは10年ほど前に、デニソフのフルートとハープのための協奏曲の実演を聴いたことがある。予想外に老けていて小柄だったのに驚いたことだけが印象に残っている。
この若々しい演奏を聴いていて、その時の姿が思い出されて複雑な気持ちになった。

このディスクの裏面はモーツァルトのホルン協奏曲第4番でJan Zwagermanという人が吹いている。伴奏はアッカーマン指揮のオランダフィル。
ソリストはオランダ人でオランダ室内管の首席らしい。明るくのびやかな音色はデニス・ブレインの音に似ているが、かなり個性的な演奏で時折音を崩しているのが気になった。
使用譜も普段聴き慣れているものとは微妙に異なるようだ。第一楽章の長大なカデンツァを聴く限りではテクニックに不安はない。伴奏はリズムが重くあまり良くない。

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2006年2月15日 (水)

フィエルシュタードとヘッゲのスヴェンセン

P2140066 2月とは思えない暖かな一日だった。夜は雨。
今日はノルウェーの作曲家ヨハン・スヴェンセンをノルウェーの指揮者で聴く。
マーキュリーのLPで、「4つのノルウェー狂詩曲から第2番と第3番」、そして「交響曲第2番」。
「ノルウェー狂詩曲」はエルヴィン・フィエルシュタード、交響曲第2番はオットー・グリュンナー=ヘッゲの指揮。オリジナルはノルウェーのTONO原盤でオスロフィルの演奏。

知名度でグリーグに大きく水を空けられているスヴェンセンだが、ライプツィヒで学んだ影響もあり、ブラームスの交響曲第1番と同じ年に作曲されたという交響曲第2番は堂々たるドイツ・ロマン派の交響曲だ。第一楽章などシューマンの「ライン」に似ている。哀愁を帯びたホルンソロで始まる第ニ楽章も印象的だ。
だが次第に地が現れて、フィナーレは完全に民族舞曲となっているのが面白い。この中途半端さがメジャーになれない一因かもしれない。

2つのノルウェー狂詩曲は、ロマンティックで色彩豊かな楽しい曲。いずれも叙情的な中間部をはさんで両端は華やかな民族舞曲というもの。第2番の中間部ではソルヴェイクの歌と同じような旋律が出てきて驚いた。あの有名な旋律のオリジナルはノルウェー民謡かもしれない。

フィエルシュタードとヘッゲの指揮はさすがに手馴れた棒。特にフィエルシュタードの演奏は華やかさの中に大人の風格が漂う名演。

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2006年2月14日 (火)

ミショーとモラーヌ、そしてフルネ

P2140067 フランスの歌手、ソプラノのジャニーヌ・ミショーとバリトンのカミーユ・モラーヌを聴く。EPICから出ていたLC3355というモノラルLP。
曲は「イルミナシオン」(ブリテン)、「ドウゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ」、「シェエラザード」(ラヴェル)、「フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード」(ドビュッシー)というもの、
フルネ指揮のラムルー管、ブリテンのみパウル・ザッヒャーが振っている。

ミショー、モラーヌ、フルネといえばドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」の録音が名高いが、このアルバムも格調の高い美しい演奏を聴かせてくれる。
ミショーの知的で透明な歌唱、モラーヌの節度のある甘い歌声、そしてなによりも洗練されたフランス語の美しい響きが心地良い。
フルネの指揮は柔らかさだけでなく、時としてオケを開放的に鳴らす激しさも見せる。
一方のザッヒャーはハギレの良い即物的な伴奏、ミショーの歌唱はここではラヴェルとは異なった幾分硬質なスタイルで見事なブリテンを聴かせてくれる。

P2140069 モラーヌはエラートから出ていたフォーレに痺れて以来の大好きな歌手で、ワーナーから出ていた「エラート録音集成」は長らくの愛聴盤。ビロードのような品格と見事にコントロールされた歌声が魅力的だ。


P2140073 もうひとつ、サー・アンドリュー・デーヴィス指揮のロイヤルストックホルムフィルによるシベリウス管弦楽曲集から「トゥオネラの白鳥」を聴く。
APEXから出ている廉価盤CDで、他に「伝説」「タピオラ」「フィンランディア」「大洋女神」などが入っている。

ストックホルムフィルの透明でいて幾分影のある響きがシベリウスの幻想的な気配をごく自然に再現している。ゆっくりとした時間の流れの中に音楽が静かに流れていく。この美しさの中にいつまでも浸っていたいと思う名演だ。

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2006年2月13日 (月)

ヴェーグのモーツァルトとペーター・マーク

P2130058 HMVからCDが届いた。ひとつはシャンドール・ヴェーグの指揮するザルツブルク・カメラータアカデミカによる、モーツァルトのディヴェルティメント&セレナード集。

実はこのうち3枚は日本コロンビアのCDで既に持っている。純粋無垢のモーツァルト、まさに神技の域にまで達した素晴らしい演奏で残りの録音を探していたがなかなか見つからず、たまに見つけても一枚2,000円だったりして購入を躊躇していた。
ところがHMVから1枚あたり500円を切る価格でセット物として出ているのを見つけ、思い切って購入。

P2130059 あとはペーター・マーク&東京都響によるモーツァルトの「プラハ」とメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」、「スコットランド」の組み合わせのライヴCD。このうち「プラハ」は実演で聴いた思い出の演奏だ。


P2130061 もひとつマークのマリピエロ管弦楽曲集、かつてマルコポーロから出ていたがNaxosに落ちてきた。「7つのインヴェンション」やヴィヴァルディのアレンジ物の「ヴィヴァルディアーナ」などが入っている。マークが晩年に振っていたパドヴァのオーケストラによる演奏。

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2006年2月12日 (日)

金聖響&東京フィル

沼津市民文化センターでのコンサートを聴く。曲目は歌劇「フィガロの結婚」序曲、ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」、組曲「展覧会の絵」というもの。ピアノは久元祐子。

編成を絞ったモーツァルト、金聖響は極めて自然で流れの良い指揮ぶり。オケの響きも軽快で美しい。コンチェルトの久元さんは以前リストとシューマンを聴いたことがある。
太い音色で豪快な演奏だったと記憶しているが、本日のモーツァルトも実に安定した弾きぶり。特に煌びやかな第3楽章は秀逸だった。第1楽章のカデンツァは初めて聴く珍しいもの。誰のだろう?

後半は「展覧会の絵」、モーツァルトでは美しい響きを楽しめたが、大編成となると響きの精度はいまひとつ。金管楽器の一部に弱さがあり個別のソロの部分にも不満は残る。

ただ楽器の鳴らし方とバランスの良さはなかなかのもの、特に「カタコンブ」の強弱のコントールの良さは指揮者の優れた才能の証明。「キエフの大門」の盛り上がりも充分の迫力。アンコールはなし。

それにしても金聖響、長身でかっこよかった。客席の前の方は若い女性で占められていました。

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2006年2月11日 (土)

ラフマニノフの交響曲第1番

P2110056 沼響HPのコラムに、ラフマニノフの交響曲第1番の初演の模様を紹介しているうちにこの曲が聴きたくなった。手が伸びたのは、アンドリュー・リットン指揮のロイヤルフィルの演奏。Virgin classicsから出ている交響曲全集中の1枚。

ラフマニノフの初めての交響曲は、がっちりとした両端楽章に軽めのスケルツォの第2楽章、美しくも叙情的な第3楽章といった第2番と同じような構成。
初演時、指揮をしたグラズノフが曲を理解できなかったうえに極端な練習不足のため、歴史的な失敗作となったとされている曲だが、第1楽章ではボロディンやリムスキー・コルサコフの影響も聴かれ、同時代の他の作品に比べてもさほど斬新な作品には聴こえない。
ロマンティックでちょっとオセンチなラフマニノフ独特の甘い旋律も既に健在。第1楽章の最後には「怒りの日」の断片が鳴り響く。

ワンパターンのリズムの繰り返しが多い第2楽章は冗長な気がしないでもないが、第3楽章の美しさはグラズノフやタネーエフら同時代のB級交響曲作家の作品よりも、掛け値なしに上だと思う。第4楽章は目まぐるしく移り変わるリズムの変化が印象に残るが、これは演奏するにはかなり難物、練習不足で臨んだ初演時のロシア響の演奏が悲惨な結果となったのも納得。

リットンの演奏は、複雑なリズムの絡みを鮮やかに処理していきながら、テンポの変化を自由に付けて非常にわかりやすく聴かせてくれる。1989年録音。

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2006年2月10日 (金)

ヴォビッシュとホラーのトランペット協奏曲

今日はハイドンのトランペット協奏曲を聴く。この曲の私の刷り込みはフランスの名手モーリス・アンドレ。中学生の頃に、アンドレが来日した時のFMのエアチェックテープを何度も繰り返し聴いたのを懐かしく思い出す。

P2100051 今日のディスクは、ウィーンフィルの往年の名手ヘルムート・ヴォビッシュの演奏。アントン・ハイラー指揮のウィーン国立歌劇場管。
いわゆるMMS盤と言われるThe Musical Masterpiece Societyの10吋盤。同じハイドンのニ長調のフルート協奏曲とのカップリングで、こちらはW.Urferのフルート、デヒンゲン指揮のウィンタートゥール響。ソリストはスイスの人らしい。

ヴォビッシュは1939年にウィーンフィルの首席となりインスペクターまで務めた人だ。79年のベームの来日時に、もう一人の名手ホラーと並び圧倒的な演奏を聴かせていた。

ロータリートランペット特有の柔らかで滑らかな響きが、伴奏のオケに自然に溶け込んでいる。きっちり整った演奏で意外とすっきりとした現代的な趣で聴かせる。第1楽章の華麗なカデンツァも押しつけがましさは皆無。

実はこの演奏のディスクは、別々のレーベルで手元に3枚有る。ダブり買いならぬトリプル買いで我ながら呆れてしまう。
P2100052 この録音のオリジナルはアメリカのハイドン協会の録音だが、手元にあるのは、このMMS盤の他に日本ビクターから出ていたハイドン協会シリーズのLH23というLPとフランスエラートの10吋盤でLDE2002という番号のもの。
いずれもフランツ・コッホの吹くハイドンのホルン協奏曲とのカップリング。

P2100050 ところがこのハイドン協会をオリジナルとするビクター盤とエラート盤の演奏を聴くと、ヴォビッシュのトランペットがなんとも野暮ったく聴こえる。
ソロが完全にオケに埋没してしまっているのだ。
それに比べてMMS盤の再生音は実に明快、ソロとオケの距離感も判るほどで、全く別の演奏のように聴こえる。もしや別録音では?とも思い、演奏時間を計ってみたらほぼ同じだった。

ついでにヴォビッシュの弟子のアドルフ・ホラーの同曲の演奏と比べて見た。オケはウィーン響で指揮は大指揮者フリッツ・ブッシュ。70年代初めに日本コロンビアのヒストリカル・レコーディングシリーズから出たLPでSymphony Tone原盤。「軍隊」と「イタリア序曲」とのカップリング。

P2100049 おそらく50年頃のブッシュ最晩年の録音、極めてゆっくりとしたロマンティックでユニークなハイドンだった。ブッシュの個性一色に完全に塗りつぶされている。ホラーもロータリートランペットを使用しているが、指揮者の影響が強すぎてソリストの個性は沈んでしまった。カデンツァは師匠のヴォビッシュのものを使用している。

実はホラーの演奏では、もうひとつスワロフスキーの指揮のものも所蔵しているはずだが、レコード棚に埋没して見つけることができなかった。

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2006年2月 9日 (木)

ラフマニノフの2番を吹く

本日は沼響の練習日、仕事を終えた後に夕食も取らず練習場に直行。
練習は既に始まっている。いつもながらの遅刻常習者。
曲の合間にもぐりこみウォーミングアップもそこそこに吹き始める。
冷え切った楽器、唇もガチガチでこれでは良い音が出るわけがない。

曲は今回の定演のメイン、ラフマニノフの交響曲第2番。
難曲である。特に第4楽章は何度聴いても掴み所のない曲だ。

頻繁に出てくるゲシュトップも音程がどうも定まらない。

練習後ホルンの仲間達とCOCOSへ行き、ポジション決めと音楽談義。遅い食事を取りたいところだが、10時過ぎなのでコーヒーゼリーで我慢。

というわけで今日は音盤を聴くことなく一日が終わりそうだ。沼響のHPに連載を始めたコラム「ラフマニノフの2番を聴く」の構想を練るうちに眠くなってきた。

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2006年2月 8日 (水)

フリッチャイのハイドンとモーツァルト

P2080040 日本グラモフォンのLPから、フリッチャイ&ベルリン放送響のハイドンとモーツァルトの晩年の作品を聴く。
ハイドンの「テ・デウム」とモーツァルトの「フリーメイソンのための葬送音楽」「アダージョとフーガK.546」、そしてB面はシュレムス指揮のレーゲンスブルク大聖堂聖歌隊および少年合唱団とバイエルン放送響による「ミサ・プレヴィスK.259」というカップリング。
シュレムスの演奏は、かつてヘリオドールの廉価盤でマルケヴィッチの「戴冠ミサ」とのカップリングでも出ていた。

ハイドンは「天地創造」と同じ時期に作曲された華麗な合唱曲で、トランペットが活躍する10分足らずの曲。フリッチャイの指揮は華やかさを前面に押し出しているが、逆に曲の浅さを露呈してしまった感もある。
一方のモーツァルトは厳しい緊張を聞き手に強いる峻厳な演奏だった。特に「アダージョとフーガ」の精神的な深さは尋常ではない。

「ミサ・プレヴィス」は明るく簡潔な曲で、冒頭の爽やかなキリエを聴いた時は、フリッチャイの厳しい演奏を聴いた後だけに正直ほっとした。少年合唱の無垢な響きが実に美しい。

一見とりとめのない曲の組み合わせのようでいて、モーツァルトの厳しさと楽しさを聴き手に知らしめる絶妙のカップリングの1枚。

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2006年2月 7日 (火)

ノエル・リーのラヴェルとドビュッシー

久しぶりにピアノが聴きたくなった。今日聴いたのはナディア・ブーランジェに師事した南京生まれのアメリカ人ピアニスト、ノエル・リーのフランス物二枚。

P2070036 一枚目は、リーがテレフンケンに録音したラヴェルのピアノ曲集から、「夜のガスパール」、「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「クープランの墓」の入ったLP。76年にキングレコードから発売されたもの。
この不思議な名のピアニストのレコードを購入したのは学生時代のこと。当時数少ないラヴェルのピアノ曲集の廉価盤だった。聞いたこともない変な名前なので恐る恐る一枚買ってみたら非常に良く、残りの1枚を買うために慌てて町のレコードショップに走ったという思い出のアルバム。

今聴いても当時受けた印象は変わらない。モノクロームでぞっとするような冷たさの中に深い余韻を感じさせる演奏だ。「夜のガスパール」の「絞首台」で絶えず一定の間隔で鳴り続ける鐘の音の恐ろしさ。深い闇が二つのスピーカーの間に次第に広がっていくようだ。「水の戯れ」では一転してクリスタルガラスの破片が散乱していくような眩い煌きが空中に舞っていく。

P2070034 もうひとつは1965年に録音されたステレオ初のドビュッシーピアノ曲全集から、「ピアノのために」、「版画」と二つの「影像」。Valois原盤の日本コロンビアから発売されたLP。

いくぶん硬質な、リーの音色はラヴェルよりもドビュシーの方がよりふさわしいかもしれない。じっくりとしたテンポの中に大きな広がりのが感じられる、細かなニュアンスと深い叙情にも欠けない大変な名演。
メカニカルでない余裕のテクニックも素晴らしい。

1965年6月に、パリで開かれたドビュッシーの曲を中心とした演奏会でセンセーショナルな成功を収めた直後に録音された名盤、当時ディスク大賞を受賞している。

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2006年2月 6日 (月)

クラフトのバッハとイモージェンのホルスト

ずいぶん冷えると思ったら外は雪だ。今日もクラフトのバッハを聴く。
今回は先日のワーナーの国内盤全集ではなく、同一演奏なP2060030 がら米VOXから出ていたモノラル仕様のLP(PL11.440)で、Ebersmunsterにある名匠ジルバーマンが1732年に製作した名オルガンの演奏を集めた1枚。

モノラルながらオリジナルに近いためにワーナーのLPよりも音像が明快、ジルバーマンオルガンの素晴らしい響きが長い残響を残しながら教会の空間に減衰していくのが良くわかる。
曲は、有名なトッカータとフーガニ短調を筆頭にパストラーレや幻想曲BWV.572などの比較的有名曲が並んだアルバム。
クラフトの演奏は、有名なトッカータとフーガですら名器の明るめの音色をあえて抑えながら渋く演奏していく。パストラーレでは一転して明るく開放的な音色で聴かせ、まさに澄み切った青空の田園風景が目に浮かぶ。

P2060032 もう一枚はホルストの愛娘イモージェン・ホルストが父の作品を演奏したもの。英LyritaのLPでオケはイギリス室内管。
曲目は、ホルストの晩年の作品から「二つのヴァイオリンのための協奏曲」、「カプリチオ」、バレー音楽「金の鵞鳥」、そして初期の作品から「二つの無言歌」。ソリストはE.HurwitzとK.Sillitoというもの。

東洋的な趣の漂う内省的なコンチェルトは、第2楽章はほとんど二本のヴァイオリンの対話で進行する。「天王星」のエコーがかすかに聞こえるのが面白い。
続く「カプリチオ」はホルストが晩年アメリカのコンサートバンドのために書いた曲をイモージェンが室内オケに編曲した珍しい作品。ホルストが教鞭を取っていたセントポール女学院のために書かれた「金の鵞鳥」や「無言歌」とともに民謡風の親しみやすい素材を巧みなオーケストレーションで聴かせる佳曲だった。
イモージェンの演奏は、丁寧な歌い口に父への深い敬愛が漂う。

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2006年2月 5日 (日)

小学校の音楽鑑賞教室

本日市内の今沢小学校の音楽鑑賞教室に出演。通常学校の体育館で行うことが多い音教だが、今回は市の文化センター大ホールを借り切っての催しで学校側はなかなか気合が入っている様子。
前半児童達の学年別の合唱発表会で、我が沼響は後半のステージに出演。
曲目は「カルメン」前奏曲に始まり、トトロ、小学校の校歌、そして楽器紹介を経て「新世界より」の第二、四楽章。アンコールはお決まりのラデツキー行進曲という小一時間ほどのプログラム。
最初の「カルメン」から手拍子が入るというノリの良い子供達、校歌やトトロも大きな声で歌ってくれた。よほど練習したのだろう。素直な反応で演奏していて気持ちが良い。
演奏終了後、子供達は皆立ち上がって拍手をしてくれた。

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2006年2月 4日 (土)

インバルの「野鳩」

P2040018 今宵、仕事を終えた後明日の小学校の音楽教室のためのオケ練習に参加。体調を崩ししばらく楽器から遠ざかっていたので、勘が戻るのに時間がかかった。ただ「カルメン」や「新世界より」といった何度も演奏した曲なので多少は助かる。

ところで、「新世界より」の第4楽章の終盤のテンポの取り方で練習時に多少の混乱があった。そもそもこの場所はジムロック版、スプラフォン新旧版の3つとも楽譜のテンポ指定が微妙に違っていて、古今の名指揮者たちの解釈もそれぞれに迷いの見られる箇所なので真剣に考えれば考えるほど解らなくなってしまうのは無理もない。

家に帰ってから気になったので、いくつかの演奏のこの部分だけを取り出しスコア片手に聴いてみた。が、ますますわからなくなった。
聴き比べているうちにインバル&フィルハーモニア管のCDにカップリングされていた、ドヴォルザークの交響詩「野鳩」に思わず聴き惚れ、20分近くの全曲を聴き通してしまった。

この曲は、チェコの詩人、カレル・ヤロミル・エルベンによる詩集「花束」による4つの交響詩の中の第4曲。既に9つの交響曲を完成して作曲家としては大家の位置にあった時期の作品だけに、ソツのないオーケストレーションと構成力の見事さで聴かせる曲だが、いささか常識的で面白みに欠けるような気がしないでもない。
インバルは、夫を殺害した未亡人の話という暗い曲を劇的で起伏に富んだ演奏で聴かせてくれる。

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2006年2月 3日 (金)

コッホのネルソンミサとクラフトのバッハ

P2030015 今週は先週のインフルエンザ休暇がたたり、かなりハードな一週間となった。明日も仕事で、夜はあさって本番を迎える小学校の音楽教室のオケ練習。
本日は、地味ながら確かな音楽を聴かせてくれる演奏家の録音を聴く。

ハイドンの「ネルソンミサ」、ヘルムート・コッホの指揮、ベルリン放送管とベルリン放送合唱団、そして独唱者たち。旧東ドイツの質朴ながら本物の音楽を聴かせてくれる人たちの録音だ。
昨年11月30日渋谷のレコファンで購入。徳間音工発売の国内LP。見本盤のためか100円均一コーナーでゴミのように扱われていた。

構えたところのない普段着のハイドン。合唱のアンサンブルが見事で、オケは木管楽器が弦楽器にうまく溶け込み、この柔らかな響きが実に良い。3本のトランペットも控えめで、押し付けがましい華やかさとは無縁の演奏だ。以前ウィーンの教会で聴いた日曜ミサで歌われていたハイドンを思い出す。1971年録音にしては細部に鮮明さを欠くのがいささか難点。

P2030016 もうひとつはドイツのオルガニスト、ヴァルター・クラフトのバッハ。
VOXに残したバッハ・オルガン作品大全集第3巻から、6つのクリスマス・コラールとヴィヴァルディの「調和の霊感」をバッハが編曲した協奏曲BWV.596を聴く。ワーナーパイオニアから出た国内盤3枚組LP。

こちらも派手さとは無縁、ひたすら黙々と引き続けるバッハ。
私を捨て楽譜に奉仕することによって、バッハの深い祈りが自然と伝わってくる感動的な演奏だった。リュフスタ・ブルックス教会のオルガン。
1727年ヨハン・ニクラス・カーマン製作のものを1962年デンマークのマルクセンが大改修をおこなった楽器を弾いている。現代的な響きながら品格の感じられる音。

P2030013 ついでに「新世界より聴く」を沼響のHPにアップしました。今回はマゼール&ベルリン放送響の演奏。

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2006年2月 2日 (木)

ローム ミュージック ファンデーションSP復刻集Ⅱ

P2020008 CD通販ショップ、アリアCDからCDが届いた。
今回は久々の大物セット、京都のローム・ミュージック・ファンデーションが発行した「日本SP名盤復刻選集2」。
第1集も貴重な内容だったが今回も凄い。
近衛秀麿のマーラーや貴志康一の自作録音のように一度CD化されたものもあるが、山田耕筰ベルリンフィルの自作やら、信時潔の大作「海道東征」の初演直後の録音など驚きの音源がざくざく。しかもジンバリスト、シゲティ、ティボー、フォイアマンからコハンスキなど器楽奏者の巨人たちの来日時の録音の数々。

解説も詳細を極め、録音データも正確にして一枚一枚のSPの写真も載っているという徹底ぶり、まさに日本の洋楽演奏史を知る上で欠かせないアルバムとなっている。
CD6枚組9千円は痛い出費だが、採算を度外視した充実した内容に感謝あるのみ。
今後第3,4集も出す予定だという。

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2006年2月 1日 (水)

ブールの「子供と魔法」

P2010007ここ数日は暖かな日が続いたが昨日の午後から雨が降ってきた。また寒くなりそうだ。
インフルエンザは完治したものの、なぜか体に力が入らぬ毎日が続く、休み過ぎで体がなまっているだけもしれない。

ラヴェルの歌劇「子供と魔法」を聴く。エルネスト・ブールの指揮、フランス国立放送局管弦楽団と合唱団、そしてフランス人の歌手たち。米コロンビアのモノラルLPで1947年録音。現在テスタメントからCDでも出ていて容易に入手できる。

ブールといえば南西ドイツ放送交響楽団を振った近現代音楽のシャープな名演の数々が思い浮かぶ。同じ年のジャン・フルネと並ぶフランスの名匠のラヴェル。

実に明晰な演奏。オケをきちっと整えながらも合唱や歌手のアンサンブルはかなり自由に流しているようだ。古い録音の中から個別の楽器が明快に浮かび上がってくる。古き良き時代のフランス管楽器の伝統を伝えるのソロ奏者たちの魅力的な音色も嬉しい。
歌手では古時計役のYvon le Marc'hadourのとぼけてシニカルな歌いまわしが絶妙。他の歌手たちも粒揃いだ。

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