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2006年2月 7日 (火)

ノエル・リーのラヴェルとドビュッシー

久しぶりにピアノが聴きたくなった。今日聴いたのはナディア・ブーランジェに師事した南京生まれのアメリカ人ピアニスト、ノエル・リーのフランス物二枚。

P2070036 一枚目は、リーがテレフンケンに録音したラヴェルのピアノ曲集から、「夜のガスパール」、「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「クープランの墓」の入ったLP。76年にキングレコードから発売されたもの。
この不思議な名のピアニストのレコードを購入したのは学生時代のこと。当時数少ないラヴェルのピアノ曲集の廉価盤だった。聞いたこともない変な名前なので恐る恐る一枚買ってみたら非常に良く、残りの1枚を買うために慌てて町のレコードショップに走ったという思い出のアルバム。

今聴いても当時受けた印象は変わらない。モノクロームでぞっとするような冷たさの中に深い余韻を感じさせる演奏だ。「夜のガスパール」の「絞首台」で絶えず一定の間隔で鳴り続ける鐘の音の恐ろしさ。深い闇が二つのスピーカーの間に次第に広がっていくようだ。「水の戯れ」では一転してクリスタルガラスの破片が散乱していくような眩い煌きが空中に舞っていく。

P2070034 もうひとつは1965年に録音されたステレオ初のドビュッシーピアノ曲全集から、「ピアノのために」、「版画」と二つの「影像」。Valois原盤の日本コロンビアから発売されたLP。

いくぶん硬質な、リーの音色はラヴェルよりもドビュシーの方がよりふさわしいかもしれない。じっくりとしたテンポの中に大きな広がりのが感じられる、細かなニュアンスと深い叙情にも欠けない大変な名演。
メカニカルでない余裕のテクニックも素晴らしい。

1965年6月に、パリで開かれたドビュッシーの曲を中心とした演奏会でセンセーショナルな成功を収めた直後に録音された名盤、当時ディスク大賞を受賞している。

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