ミショーとモラーヌ、そしてフルネ
フランスの歌手、ソプラノのジャニーヌ・ミショーとバリトンのカミーユ・モラーヌを聴く。EPICから出ていたLC3355というモノラルLP。
曲は「イルミナシオン」(ブリテン)、「ドウゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ」、「シェエラザード」(ラヴェル)、「フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード」(ドビュッシー)というもの、
フルネ指揮のラムルー管、ブリテンのみパウル・ザッヒャーが振っている。
ミショー、モラーヌ、フルネといえばドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」の録音が名高いが、このアルバムも格調の高い美しい演奏を聴かせてくれる。
ミショーの知的で透明な歌唱、モラーヌの節度のある甘い歌声、そしてなによりも洗練されたフランス語の美しい響きが心地良い。
フルネの指揮は柔らかさだけでなく、時としてオケを開放的に鳴らす激しさも見せる。
一方のザッヒャーはハギレの良い即物的な伴奏、ミショーの歌唱はここではラヴェルとは異なった幾分硬質なスタイルで見事なブリテンを聴かせてくれる。
モラーヌはエラートから出ていたフォーレに痺れて以来の大好きな歌手で、ワーナーから出ていた「エラート録音集成」は長らくの愛聴盤。ビロードのような品格と見事にコントロールされた歌声が魅力的だ。
もうひとつ、サー・アンドリュー・デーヴィス指揮のロイヤルストックホルムフィルによるシベリウス管弦楽曲集から「トゥオネラの白鳥」を聴く。
APEXから出ている廉価盤CDで、他に「伝説」「タピオラ」「フィンランディア」「大洋女神」などが入っている。
ストックホルムフィルの透明でいて幾分影のある響きがシベリウスの幻想的な気配をごく自然に再現している。ゆっくりとした時間の流れの中に音楽が静かに流れていく。この美しさの中にいつまでも浸っていたいと思う名演だ。
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