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2006年3月に作成された記事

2006年3月31日 (金)

スメターチェクのライヒャ

ここのところココログが思うように更新できない。更新画面にアクセスできない上にようやくアクセスできたと思えばエラーとなってしまう。なんとかして欲しいものだ。

今日で3月も終わり年度変わりの多忙な時期に突入、これから休日返上の毎日となりそうだ。昨日のオケの練習も休んでしまった。

P3280221昨日はスメターチェク指揮するアントニン・ライヒャ(レイハ)の「テ・デウム」を聴く。世界初録音、昭和51年度文化庁芸術祭参加レコードということで分厚い解説書が付いている。

ベートーヴェンの友であり、リスト、ベルリオーズ、フランクの師であったボヘミアの作曲家アントニン・ライヒャは木管五重奏曲に馴染みがあるくらいで、さほど興味のある作曲家ではなかった。このレコードもスメターチェクが指揮しているという理由だけで町の電気屋さんの中古盤コーナーで購入したもの。

この曲はライヒャの晩年、パリ音楽院作曲科教授時代の作品だが、ヘンデルのオラトリオのような古典的な格調の高さとベルリオーズにも連なるフランス・ロマン派の萌芽も感じられる隠れた秘曲とも言える名品だった。

オルガンを巧みに用いながら華やかで親しみ易い旋律が展開していく。トランペットとトロンボーンが壮麗に鳴り響きながら合唱の2重フーガが展開していく第4曲などなかなかのものだ。
スメターチェクの緊張感に満ちた指揮と教会の豊かな残響を取り入れた録音も素晴らしい。

ネットで検索してみたら、神奈川混成合唱団が昨年演奏していた。ただし日本初演と書いてあるがこれは誤りで、東京のフィルハーモニック合唱団が1976年に日本初演をおこなっている。

P3310224沼津交響楽団のHPに聴き比べ「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。今回はロシアの巨人ゴロヴァーノフの演奏。連載11回目

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2006年3月29日 (水)

ディスク整理法

近くの小学校の桜も七分咲きとなり春到来と思っていたら、夜から気温が下がって来た。風も強い。帰宅後、最近購入したディスクの記録を取っておく。一枚一枚ジャケットを眺めながら、購入順の記録簿と作曲家別楽曲別のカードに記入していく。

本来ならばパソコンによる管理が理想で、NECのPC98の出始めの頃に、当時数万円もしたデーターベースソフトを購入しいろいろと研究した時期もあった。図書館の目録法も学び図書館司書の資格まで取った。
しかし、当時はパソコンの処理速度に問題があり、なによりもデーター登録が非常に厄介だということが判り挫折してしまった。この時音楽大学などの図書館向けにCDのデーターを専門に作っている会社があることも知った。ただしここまで来ると個人の趣味の領域を超えてしまう。

結局、30年以上続けている紙ベースのこの方法がCPも高く検索も容易。なによりも融通が利いて誤りが少ないのが良い。ジャケットを見ながら記入していくのも楽しい。

P3250214最近購入した中で楽しめたのは、デゾルミエール指揮するパリ音楽院管によるイッポリトフ・イワーノフの「コーカサスの風景」10吋盤のジャケット。
なんともユーモラスな絵、終曲の「酋長の行列」の音楽が聴こえてくるようなセンスの良い絵だ。

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2006年3月28日 (火)

エリック・エリクソンの合唱音楽

昼間暖かな良い天気だったのが夜には雨となった。雨の中駐車場まで歩いている途中で近くに突然の落雷。肝をつぶし慌てて傘を閉じ、びしょ濡れとなりながら車までひた走る。

P3280220帰宅したら、またまたヤフオフ落札のLPが届いていた。こう度重なると家人の視線が冷たい。
届いたのは合唱の神様エリク・エリクソンの指揮するスウェーデン放送合唱団、スウェーデン室内合唱団によるタリスからダルラピッコラ、ピツェッティらの合唱作品を集めたLP8枚組ドイツ盤。

これは有名なアルバムで、EMIからCD3枚組としても出ている。

P3280217エリクソンの名を初めて知ったのは20年ほど前に出たEMIの合唱音楽シリーズLPのラヴェルやドビュッシー、プーランクの曲を集めたアルバム。
この透明で正確無比な歌唱と緻密にして幅広い表現に大きな感銘を受け、以来大好きな指揮者となった。

その後聴くことができたスウェーデン放送合唱団の実演の衝撃は今も忘れられない。
人間の声の無限の可能性を初めて知ることが出来たという点で、今まで聴いた合唱団とは次元が違っていた。ヴァイオリンやフルートのような音が人間の口から発せられ、しかもホールの中空のある一点から音が放射されて来たのはたまげてしまった。

昨年はエリクソンの薫陶を受けたもうひとつの合唱団、「オルフェイ・ドレンガー」の20年ぶりの来日公演があり、東京オペラシティの公演を聴きに行った。
こちらもホールの空間が何倍にも膨れ上がったような圧倒的な存在感の歌唱を聴かせてくれた。

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2006年3月27日 (月)

アンセルメの田園

昨晩、先週一緒に痛飲した職場の上司が倒れ病院に運ばれてしまった。病名は急性膵炎、暴飲暴食が引き金となるらしい。
病気の一因が自分にもあるような気がして病院へ見舞いに行く。
恐る恐る病室を覗くと、いつもの元気な顔がそこにあった。幸いにして軽かったらしい。
しばらく絶食だが6日ほどで退院できるとのこと。よかった。

P3230199今日はアンセルメの「田園」を聴く。デッカから出ているCD全集中の一枚。
明るく軽いアンセルメのベートーヴェン演奏は、ドイツ風の重厚なベートーヴェンが主流であったこの録音当時は注目されることはなかった。LP時代に国内盤で出たのは「田園」と「第九」ぐらいだったと思う。

今聴いてみると透明で見通しの良い響きと、すっきりとした解釈が古楽器オケの響きを連想させる。新鮮味のある演奏でなかなか良いと思う。第2楽章のフレンチタイプのファゴットの響きとクラリネットとフルートの色彩豊かな対話も実に美しい。一幅のパステル画を見るようだ。この全集中では、活気溢れる推進力に満ちた第2番と並ぶ名演。

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2006年3月26日 (日)

ゲールの展覧会の絵

ここのところヤフオクで落札したLPが続々と到着している。
昨日はコンサートホール10吋盤の何枚かが届いた。

P3250212お目当てはワルター・ゲールの「展覧会の絵」。
ワルター・ゲールには、ゲール独自の「展覧会の絵」のオケ編曲版がある。
この盤はラヴェル編ということだが、ひょっとするとゲール独自のアイディアが垣間見られるかもしれないと思い落札。

これだけでは送料の方が高くついてしまうので、ついでに何枚かを同時落札。

P3250210P3250211ゲール絡みでは、ゲールの「ボレロ」とデルヴォーの「ラヴァルス」の組み合わせ。このデルヴォーはコマンド原盤と同じものかもしれない。
それから「火の鳥」と「ピアノと管弦楽のための協奏曲」のカップリング。ピアニストはシュナーベルの弟子で32才の若さでこの世を去ったミュートン・ウッド。

P3250209P3250208まだまだゲールでは若き日のアントルモンのピアノによる「ラプソディー・イン・ブルー」とソンドラ・ビアンカのピアノの「アイガットリズム変奏曲」の組み合わせ。
もひとつ、ビアンカのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。これはコロンビアの廉価盤で出ていたこともあるハンス・ユルゲン=ワルターの伴奏ではなく、バンベルガー指揮のパリ音楽院管のもの。

いずれも個性的な演奏家たちで、コンサートー・ホール盤独特のシンプルながら美しいジャケットも楽しい。

本日は昨日頂いたLPを一枚一枚チェック。長い間押入れに置いていたということで、細かな埃が溜まっていて全身埃まみれとなってしまった。
それでも全部で300枚以上もあり、EMIから出ていたフランス音楽のエスプリシリーズの室内楽編やバルトークの弦楽四重奏曲の数々、ヒンデミットの室内楽曲など、聴き応えのありそうな盤が多かった。感謝。

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2006年3月25日 (土)

サージェントのヘンデルなど

今日は娘のミニバスケの対外試合で市民体育館へ。小学生ながらもなかなか白熱した試合で応援にも熱が入る。

ここ数ヶ月間は音盤購入のペースはすっかり下火となってしまったが、どうも反動が来たらしい。ヤフオク熱が再燃してしまい昨日から今日にかけて続々と届き出した。

P3250216昨日届いたのは、サージェント&ロイヤル・リヴァプールフィルの「メサイア」全曲盤で、EMI音源の日本コロンビアプレス盤。
サージェントは「メサイア」を4回録音しているが、これは3回目録音で初のステレオ録音。サージェントが手を加えた壮麗な版による演奏。同じ大編成オケ用による編曲のグーセンス版のような金ぴか趣味とは一線を画する格調高いアレンジだ。

この録音は古くからの愛聴盤でCDと外盤LPを既に購入済みだが、カラヤンのモーツァルトの交響曲第29番の日本コロンビアプレスの音が非常に良かったので、迷わず購入。

P3250206P3250200サージェント絡みであと2枚。こちらもヘンデルでハーティ編による「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」のBBC響を振ったモノラル旧録音10吋盤。
もひとつロイヤルコーラス・ソサエティとの讃美歌集。
全てサージェントの編曲、オルガン伴奏版

P3250201P3250203今回はイギリス関係が多く、デニス・ブレインとしばし共演していたコリン・ホースレイのピアノによるモーツァルトのピアノ協奏曲第14番。カップリングはデニス・ブレイン管楽合奏団によるモーツァルトの五重奏曲。
そしてカール・ハース率いるロンドン・バロックアンサンブルのベートーヴェンの八重奏曲と六重奏曲。

午前中は、クラシックLPを譲っていただけるという方のお宅に訪問。あまり期待していなかったのだが、LPがびっしり詰まったダンボール箱が6箱。8割ほどがクラシックLPでおよそ300枚、比較的最近のものばかりだったが、しばし歓談の後ありがたく頂戴しました。

P3190178P3210189沼津交響楽団のHPの聴き比べコラムに「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はミトロプーロスのスタジオ録音とライヴ録音です。
連載10回目

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2006年3月24日 (金)

ヘイノネンのシベリウスピアノ曲集

CD通販ショップ、アリアCDからCDが届いた。最近は手持ちの音源を聴くのが精一杯で、あまり購入していない。今回は届いたのは3セットのみ。

P3230196ひとつはかつてFinlandiaレーベルから出ていたE.ヘイノネンのシベリウスピアノ全集からの抜粋CDで、ワーナーの廉価盤レーベルApexから出ている一枚もの。本家Finlandiaの全集はどうやら廃盤らしい。


P3230197それからシュナーベルのバッハからモーツァルト、ブラームスの協奏曲を中心に集めたArtoneの4枚組みCD。

これはたぶんHistryから出ていたものと同じでベートーヴェンは手持ちのDanteのセットとダブってしまうが、1枚あたり400円という値段、特にモーツァルトのピアノ協奏曲第21番に興味があり購入したもの。

シュナーベルのモーツァルトのピアノ協奏曲第21番といえば、演奏の途中で止まってしまったセルと共演した有名なライヴがある。

P3230195もひとつ、トウルーズ管の伴奏でトランペットのT. Caens、ホルンのA.Cazaletの吹くハイドン兄弟のトランペット協奏曲とホルン協奏曲が入った一枚。
これはちょっと衝動買いでした。

一昨日、ある方からクラシックレコードを差し上げたいとのお話があった。
私の友人の知り合いの方だが、もうLPを聴くこともないし、いくつかの公共機関に寄贈を申し出たが皆断られてしまったということで、誰か大切に聴いてくれる方ならば差し上げたい、という話をしているうちに私のことが話題となったらしい。

これはありがたいお話で、これ以上未聴盤を増やすのもどうかと迷ったが、とりあえず拝見しますということになり、明日伺うことになった。

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2006年3月23日 (木)

定演のチラシとポスターができた

昨日は職場の上司と午前2時まで痛飲してしまい、音楽を聴くことができなかった。
さすがに帰宅が午前様となると辛い。

P3230198今日はオケの練習日。定演のチラシとポスターも出来上がり練習にも熱が入る。
今回のソリストは、隣町の伊豆の国市在住のピアニスト海瀬京子さん。
娘が彼女と同じピアノの先生に師事していた関係で、彼女とは以前からの顔見知り。
一年前に定演の出演を依頼してあったのだが、その後昨年10月におこなわれた日本音楽コンクールで見事第一位となった。

今日も練習の合間を縫って本人に電話、明日福島で音コン受賞者の演奏会に出演するという。コンクール受賞後演奏会も増えたようだ。マイペースを守りながら精進していって欲しい。驚異的なテクニックの持ち主で今後の活躍が楽しみなピアニストだ。

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2006年3月21日 (火)

A.デーヴィスのヴォーン・ウイリアムス

肌寒い朝を迎えた春分の日。墓参りを済ませた後職場へ直行。

P3210184ここ数日ヴォーン・ウイリアムスの交響曲を聴き続けている。聴いているのはA.デーヴィス指揮BBC響による全集で、9つの交響曲にタリスとグリーンスリーヴスの二つの幻想曲、「ひばりは揚がる」、仮面劇「ヨブ」、「すずめばち」序曲が収録されているセット物CD。

V.Wの交響曲はどこか掴み所がない印象があって敬遠気味だった。V.Wの曲で実演で聴いたことがあるのは吹奏楽のための「イギリス民謡組曲」くらい、そもそも国内のコンサートでV.Wの交響曲が採り上げられることってあるのだろうか。
そういえば日曜の「N響アワー」で、ネヴィル・マリナーが振った「トマス・タリスの主題による幻想曲」を放送していた。通常の弦楽オーケストラに加えて、舞台の雛壇上に独立した小編成の弦楽オーケストラが鎮座していた。全く独特の世界だ。

今まで定評のあるバルビローリやボールトで聴いても今ひとつしっくり来なかったのだが、このデーヴィス盤を聴いてV.Wの良さが初めて解ったような気がする。

中でも田園交響曲に非常に大きな感銘を受けた。全ての楽章が遅いテンポ、しかも第2楽章は第1楽章の主題そのままで楽器を変えただけでという不思議な曲だが、霧の合間から草原が時折姿を見せるような茫洋とした音の風景が延々と続いていく。
第2楽章の長大なトランペットソロと第4楽章で遠くから聴こえてくるソプラノ独唱の美しさも印象に残る。

V.Wのとてつもなく大きな包容力と暖かな心が、聴き手の心の中に静かに入りこむような音楽だ。

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2006年3月20日 (月)

ドルレアクとリヒテルのグリンカ歌曲集

P3190174今日はソプラノ歌手ニーナ・ドルレアクのグリンカ歌曲集を聴く。ピアノは夫のリヒテルで、メロディア音源による国内盤LP。
聴衆ノイズの聴こえる明らかなライヴ録音で、おそらく一夜のコンサートの模様をそのまま収録したものだろう。モノラルながら音は鮮明、先日聴いたリヒテルのドビュッシーのライヴよりもよほど良好。

グリンカの歌曲は簡素な中に深い郷愁をたたえたロマンティックな音楽で、実に美しい。ライナーノートに書いてあるロシアのシューベルトという譬えにも納得。
ドルレアクの素直で美しい声を支えるリヒテルのピアノは、繊細な詩情を漂わせながら深遠なる宇宙を創造していく見事なもの。

聴いていくうちに、かつて実演で聴いたグリーグの「叙情小曲集」の名演を思い出した。
暗い照明に浮かび上がったリヒテルの孤独な表情が印象的なコンサートだった。

P3190177沼響のHPにコラム「新世界よりを聴く」をアップしました。今回はジュリーニのシカゴ響とコンセルトヘボウ管とのスタジオ録音。連載94回目

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2006年3月19日 (日)

ブリリアントのイベール室内楽曲全集

昨日は、仕事を終えた後に家族と伊豆下田の奥地で宿泊。
昔小学校の分校であった建物を改築した宿だが、清潔で明るくしかもリーズナブルな値段で泊まれる穴場の宿だ。夕方出発でしかも雨、おかげで道路も混雑せずに1時間余りで目的地に到着することができた。他の宿泊客はキャンセルだったとかで完全貸切状態。

P3190173今日は河津桜のシーズンも終わり静かな町となった河津の町中を通り過ぎ河津バガデル公園へ、最盛期にはバラが咲き乱れる見事な公園も今はシーズンオフで閑散としている。庭内をのんびり散策した後帰宅。

P3190181宿に持ち込んだCDプレーヤーで聴いたのは、激安CDBOXで急成長のブリリアントクラシクスから出ているイベール室内楽曲全集CD2枚組。

かつてオリンピアから出ていた音源で、演奏者はE.Pameijerのハープ、P.Oostenrijkのオーボエ、その他大勢というもの。皆オランダの演奏家らしい。

イベールの室内楽作品全22曲の中で、お馴染みなのは木管四重奏のための「3つの小品」ぐらいで他は全く初めて聴くものばかりだが、これがサロン的な小品から弦楽四重奏曲までバラエティに富んでいて実に楽しい。
4本の縦笛のための「パストラーレ」のほのぼのとした情感、2つのギターのための「たとえ話」の溢れるスペイン情緒と仄かに漂う哀愁。ドビュッシーの影響を直に受けているハープのための6つの小品。そしてさまざまな管楽器のための作品の数々。
いずれも何度も聴きたいと思わせる魅力的な作品ばかりだ。

演奏、録音ともに一級品。しかもHMVの通販では今でも800円ちょっとで購入できる。

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2006年3月17日 (金)

リヒテルのドビュッシー

4月のような暖かな陽気の一日。
市民文化センター主催のクラシックレコードコンサートを終え、ただいま帰宅。
レコードコンサートという言葉は今では完全に死語になってしまったが、企画から当日の解説までやらせていただきながら、知らず知らずのうちに20年以上続いている。

途中何度か挫折しそうになったが、遠方から来てくれているお客さんや、毎回楽しみに来てくれる人々に励まされ今まで続けることができた。この経験が仕事や日常生活でどれだけ役立っているか計り知れない。

P3170161帰宅後に聴いたのは、リヒテルのドビュッシー「前奏曲集第二巻」のライヴ録音。
米ターナバウトの外盤LPで、かつて日本コロンビアから出たこともある。

遠くで鳴る教会の鐘の音、やがてピアノに向かうリヒテルの足音が聞こえ、鐘の音が鳴り止まぬ中で第一曲の「霧」が始まる。
途中でバタンと扉を閉める大きな音や汽笛のような音が飛び込んだりと、度を越えた臨場感だが、リヒテルの鬼気迫るピアノに尋常ならざる気配が漂う名演。

P3170162A面の「ヒースの茂る荒地」が終わったところで針を上げ、同じ曲をグレンジャーが室内楽用に編曲した演奏を聴く。ジェフリー・サイモン指揮のフィルハーモニア管によるもので、CALAから出ているドビュッシー管弦楽曲集中の1枚。
非常に珍しいピアノ曲からの編曲が多数収録されているアルバムで、中でもこのグレンジャーとラヴェルの編曲が傑出している。

「ヒースの茂る荒地」は7つの木管楽器にホルン、アルトサックス、ハーモニウムというもの。これが実に絶妙な編成で、冒頭フルートの涼やかな音が流れるだけで部屋の空気が一変する。
あらゆるものが清められ心が洗われるような名編曲だ。フィルハーモニアの演奏も良い。

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2006年3月16日 (木)

ペレーニのベートーヴェン

夜になって風雨強し、春一番の到来か。
今日は文化センター小ホールでオケの練習、横島先生の指揮でラフマニノフの2番。
普段の狭い練習場と異なりホールでの練習は吹いていて気持ちが良い。
ホルンセクションも久しぶりに全員揃った。まだまだ道のりは遠いが、曲の輪郭も見えてきて皆練習を楽しんでいる様子。

P3050129今日は、先日藤原真理のコンサートで印象に残ったベートーヴェンのチェロソナタ第4番を聴いた。
聴いたのはチェロのペレーニとピアノのラーンキによるチェロソナタ全集中の1枚。フンガロトンから出ていた外盤LP。
ペレーニは後にシフと再録音している。

ペレーニを初めて知ったは今から30年ほど前のことで、FMで聴いたボッケリーニとラロのチェロ協奏曲だった。これが実に鮮やかな名演で、しばらくの間はそのエアチェックテープを毎日のように聴いていた。ラロにいたっては今でもこれ以上の名演を知らない。
(残念ながら両曲のペレーニの正規録音は今のところ存在しない)

この演奏も見事なテクニックとかっちりとした造形、美しい音を聴かせながらも情に流されず、ベートーヴェンの厳しい世界を見事に描き出している名演。

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2006年3月15日 (水)

モントゥーのフランク

大好きな指揮者ピエール・モントゥーのラフマニノフの交響曲第2番の演奏を聴いているうちに、モントゥーのフランクを聴きたくなった。

P3130159聴いたのはモントゥーの3つある録音のうちの、サンフランシスコ響との2度目の録音となった1950年盤とシカゴ響とのステレオ録音。
モントゥーは、パリ音楽院でヴァイオリンを学んでいる14才の時にこの曲の初演を実際に聴いたと言われている。

いずれも柔軟なフレージングと豊かな表情、オケを豊麗に鳴らしながらもストイックなまでに楽譜に忠実。各楽器が全て意味深く鳴り「お見事!」としか形容しようがない名演。
豪快なホルンの響きと若々しい推進力が魅力のサンフランシスコ響盤、各楽器が有機的に結びつきながら引き締まったオケの響が一丸となって突き進むシカゴ響盤、いずれも素晴らしい。

P3130154P3130158サンフランシスコ響との録音はPREISERから出ているCD(ドビュッシーの映像とのカップリング)とオリジナルLP(LM1065)を聴く。
オリジナルLPの力強さには負けるが、おそらく板起こしと思われるCDも見通しの良い比較的良好な音。

シカゴ響盤は、国内LPと「モントゥー・RCAレコーディングス」のCDを聴いたが、ステレオ録音としてはどちらも水準以下、CDの方が細部が明瞭な分聴きやすい。

P3110148沼津交響楽団のHPに、「ラフマニノフの2番を聴く」の連載9回目をアップしました。今回はモントゥー&サンフランシスコ響の1941年放送用ライヴ。




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2006年3月14日 (火)

ジャッキーノのドビュッシーとプーランク

昨日からまた冬に逆戻りだ。仕事を休んだ翌日は碌なことがない。
大きな問題が起きていて終日対応に追われてしまった。

P3110146今日は女流ピアニスト、ファビアンヌ・ジャッキーノのフランス物を聴く。
曲はドビュッシーの「ピアノと管弦楽のための幻想曲」とプーランクの「オーバード」。
フィストラーリ指揮のThe Westminster Symphony Orchestra of Londonが伴奏を付けているアメリカMGMのモノラルLP。

ジャッキーノのピアノは、鋼のような力強さと硬質な響きが身上のようだ。バリバリと痛快に弾いている。それでいてドビュッシーのアンダンテ部分など、洒落た一面も聴かせてくれるのが嬉しい。
ドビュッシーの作品は比較的初期の作品で、いささかとりとめのない所もあるが、このようなメリハリの効いた演奏で聴くとなかなか楽しめる。

プーランクはバレー曲として上演されただけあって、ジャッキーノのスパッと竹を割ったようなリズム感が曲想にうまく嵌っていて良い。バレー音楽のスペシャリスト、フィストラーリの冴えた伴奏も実に素晴らしい。
オケは明らかに契約上名を出せない覆面オケだが、管楽器ソロも秀逸アンサンブルも文句なし、いずれ名のある常設団体だろう。

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2006年3月13日 (月)

メニューイン・ユネスコ・コンサート

再び寒くなった。今日は仕事が休みなので、確定申告をおこなった後近所のハードオフやブックオフ、リサイクルショップを回遊。
本日は特に成果なし。芥川也寸志の指揮するジュニア・オーケストラ・クラブが何枚かあったけれども1枚300円だったので棚に戻しました。
ハードオフも古いものはだいぶ少なくなった。いつも楽しみに眺めていたジャンクコーナーも寂しい限り。

P3130157昨日聴いたエネスコ絡みで弟子のメニューインの演奏を聴く。
聴いたのは昨年渋谷のレコファンで見つけたLPで、1976年にパリのプレイエル音楽堂で行われたユネスコ30周年記念ライヴ。東芝EMIの発売。
全てモーツァルトの作品、オーボエ四重奏曲、フルート四重奏曲K.285、ピアノ四重奏曲第1番、チェロとピアノのためのアンダンティーノというもの。

演奏は、メニューインのヴァイオリンにオーボエがブールク、フルートはデボスト、チェロのジャンドロン、ヴィオラのビアンキが加わる。ピアノはヘフツィバー・メニューイン。

いずれも有名な曲ばかりで、音楽好きの仲間たちがのびのびと演奏しているアットホームな雰囲気のコンサート。会場のほのぼのとした気分が自然に伝わり心地良い。
ソリストの技量に凸凹が有り超名演とは言い難いが、このような日常的な味わいのモーツァルトも良いものだ。

メニューインについて調べていて、昨日3月12日がメニューインの命日であることを知った。不思議な偶然です。

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2006年3月12日 (日)

ティボーのシャコンヌとエネスコのヘンデル

P3120153今日は往年の名ヴァイオリニスト二人の名演を聴く。
聴いたのは鈴木メソードで有名な才能教育研究会が発行した「世紀のバイオリン名演集」というタイトルの2枚組LPで、東芝EMI製作。
ヴァイオリンを弾く友人からの頂きもので、ティボー、クライスラー、エネスコ、ヌヴーらの弾く小品が入っている。

この中からティボーの弾くヴィターリのシャコンヌとエネスコのヘンデルを聴く。
繊細な音に気品と華が感じられるティボー、最初の格調高い深い音から思わず姿勢を正したくなるようなエネスコのヘンデル、いずれも素晴らしい。

このエネスコの弾くヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番には特別な思い出がある。
家の近くに「あずみ野」という民芸喫茶があり、クラシック音楽好きの店主さんがいつも静かにクラシック音楽を流しているのだが、ある日私がカウンターでコーヒーを飲んでいる時にこのエネスコのヘンデルがかかった。

尋常でない最初の一音に、私は金縛りにかかったような深い感動を覚えた。他のお客も同様だったようで、横にいた30代くらいの女性は聴いているうちに切なくなってしまったのか涙をポロポロ流していた。

1920年代の古い録音で、このLPの復刻も最上とは言えない。だが演奏の素晴らしさが完全に時間を超越してしまっている。人間の到達し得る最高の境地まで達した名演。

P3060136沼津交響楽団HPの聴き比べコラムに「新世界より」を聴くをアップしました。今回はジュリーニ若き日の演奏。連載93回目

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2006年3月11日 (土)

自動オルガンのための幻想曲K.608

P3110147ここのところヴェーグ&ザルツブルク・カメラータアカデミカのモーツァルトに嵌っている。
今日聴いたのは、セレナード集第9巻のコントルダンスやレントラーが収録された1枚。比較的初期の作品と一緒に6つのレントラーK.606やコントラダンスK.610などのモーツァルト最後の年の作品も含まれている。

この中の「自動オルガンのための幻想曲ヘ短調K.608」に非常に大きな感銘を受けた。
自動オルガンとは、時計と連動して機械的に音を出す演奏者不在のオルガンのことらしい。これをヴェーグは弦楽合奏用に編曲して演奏している。

モーツァルトはザルツブルクの宮廷オルガニストだった時期もあるが、いわゆる大オルガン独奏のための曲は書いていない。
困窮の極みにあったモーツァルトが生活のために作曲を引き受けた自動オルガンの作品。気乗りのしない仕事であったことはモーツァルトの残された手紙にはっきり書いてある。それなのに曲に籠められた精神的な深さは尋常ではない。

K.608は、明らかにバッハのトッカータとフーガを念頭に置いて書かれた作品だが、挑戦的なトッカータと厳しさの中に悲しみに満ちたフーガの主題が、静謐なアンダンテを挟んでラプソディックに展開していく。とてもおもちゃのような自動オルガンのための作品とは思えない内容の深さだ。
さらに弦楽合奏で演奏することによって、曲の隠されていた奥深い部分が明らかにされているようだ。ヴェーグの演奏は厳しさの中に深い慈愛も感じられて実に感動的だ。

P3110150かつてこの録音は、Capriccioの親レーベルであるLaserLightレーベルと契約した日本コロンビアからCDが出ていた。カップリングは異なるが同じ演奏。だが音が別の演奏と思えるほど異なっていて驚いた。
国内盤は音に丸みがあり暖かさは感じられるが各楽器が個別に響く。一方CapriccioのCDは楽器も溶け合い細部も鮮明、演奏者の息づかいもはっきり判る優れものだった。

P3110151原曲も聴いてみた。
「モーツァルト、オルガン作品全集」、ウィーンのPiaristenkircheのBasilika Maria Treuの1800年製歴史的オルガンをヘルベルト・タヘッツィが弾いている。ヴェーグの演奏を聴いた後ではずいぶんと楽天的に響く。

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2006年3月10日 (金)

アンダのモーツァルト

毎日の更新を心がけていたのだが、ココログの障害のために1日更新ができなかった。
とはいっても昨日はオケの練習があり、終わった後はオケの技術委員会に顔を出したので、帰宅が遅くなり音楽は聴いていない。

P3100145 今日は委員会でちょっと話が出たK.414のピアノ協奏曲第12番イ長調を聴く。

聴いたのはハンガリーのピアニスト、ゲザ・アンダがザルツブルク・モーツァルテウム管を弾き振りした演奏。これは日本グラモフォンから出ていた廉価盤LPで「戴冠式」とのカップリング。

この曲はモーツァルト25歳のウィーン時代の作品で、弦楽器にオプションでオーボエ、ホルン各2本というシンプルな編成。ピアノ五重奏でも演奏できるように書かれている小型の作品だ。20番以降のピアノ協奏曲に比べて馴染みの薄い曲で録音もあまり見かけないが、爽やかな生命力の溢れる傑作。

モーツァルトが子供のころ教えを受けたヨハン・クリスチャン・バッハの訃報に接し、追悼の気持ちを込めて書いたという第2楽章アンダンテが美しい。
この美しい旋律がクリスチャン・バッハの作品から取られたというのも泣かせる。

アンダのピアノは素直で穏健、オケの統率に多少の甘さが感じられるが、生き生きとした第3楽章アレグレットは出色の出来。

P3080142 沼津交響楽団HPの聴き比べコラムに、「ラフマニノフの2番を聴く」の8回目をアップしました。今回はクーゼヴィツキー、ボストン響の壮絶なライヴ。貧しい録音から作曲者への熱い思いが伝わってくる名演。

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2006年3月 8日 (水)

マリオ・ロッシの「調和の幻想」

イタリアの指揮者マリオ・ロッシの名は、今では忘れられた存在かもしれない。
Vanguardレーベルに残した録音のうち、ハイドンの「ネルソンミサ」や「シェエラザード」などは、知的な解釈の中にオケを充分に歌わせた聴き応えのある演奏だった。

P3080143 今日聴いた「調和の幻想」作品3はロッシの代表的な録音だと思う。オケはウィーン国立歌劇場室内管弦楽団、ヴァイオリンソロはヤン・トマソウやボスコフスキーといった面々が弾いている。キングレコードから1977年に出た「バロック名曲シリーズ1300」中の全集LP2枚組。

今日はこの全曲録音の中から第7番から9番までの3曲を聴いてみた。
今では聴かれなくなった比較的大きな編成のヴァイヴァルディ。聴いてみて古臭く感じないのは、情に流されずきっちりとした造形の中に適度な歌心があるからだろう。
いくぶん単調な第7番に比べて、8,9番が素晴らしい。
トマソウとボスコフスキーの二人のヴァイオリンはロマンティックな対話を聴かせるが、ソリスティックな存在ではなく、あくまでオケの一員として慎ましく演奏しているのが好ましい。

この時期のウィーン国立歌劇場のオケとされる録音は、ウィーンフィルの母体となっている国立歌劇場オケか国民劇場のオケなのかまぎらわしいが、実はこの二つのオケから録音の度にピックアップされた混成メンバーだったというのが実体らしい。
このLPのソリストたちは、トマソウ以外はウィーンフィルのメンバーのようだ。

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2006年3月 7日 (火)

チェコフィルのグラン・パルティータ

花粉症のためだろうか、一日中頭が重い。今日聴いた音楽もモーツァルト。
パソコン通信時代からのお付き合いのゆらむぼさんのBBSで、日本コロンビアからスプラフォン原盤のCDが沢山出ていたことを知った。

P3070139 この中で目に止まったのがチェコフィル木管セクションによる「グランパルティータ」のCD。世界初CD化だという。私は高校の頃にFMから流れていたこの演奏で、曲そのものを知った。
今聴くと、チェコフィルの一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブルが印象的。もう少し遊びがあっても良いと思うほど禁欲的で厳しい演奏だ。

この演奏が録音された1969年といえば、チェコフィルの常任指揮者だったカレル・アンチェルが「プラハの春」とよばれるソ連軍のチェコへの軍事介入に抗議してカナダに亡命した翌年のことだ。今思えばチェコフィルにとっては大変な時期だった。

父とも思える名指揮者を失ったチェコフィルが、指揮者なしで演奏するモーツァルト。
第3楽章のアダージョには美しさの中に深い悲しみが、そして続くメヌエットには泣き笑いの表情が感じられると思うのは考えすぎだろうか。

私の持っているLPには今回のCD化からは外れたが、2本のフルートと5本のトランペット、ティンパニのためのディベルティメントK.188という珍しい編成の曲も余白に入っている。
モーツァルトとしては霊感に乏しい変な曲だ。チェコフィルの優れた演奏でも奇跡が起きるわけでもなく、聴いていて退屈してしまった。

P3070137 もう一枚、ヨッフム指揮のバイエルン放送響のメンバーによる同じ曲を聴いてみた。聴いたのはヘリオドールから出ていた国内廉価盤LP。
こちらはゆったりとした暖かくも愉悦感に満ちたモーツァルト。

平和が日常の中にあるモーツァルト。

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2006年3月 6日 (月)

クラウスとボスコフスキーのモーツァルト

P3060130 昨日のヴェーグに引き続き今日もモーツァルトを聴く。聴いたのはリリー・クラウスのピアノとウィーンフィルのコンマスだったボスコフスキーによるソナタ集の第二巻から、第37、12,1,6番が入った一枚。

いずれもモーツァルトのヴァイオリンソナタとしては平易な軽い曲で、第12番などはモーツァルトの作品かどうかも怪しいらしい。第37番も第3楽章は始めの20小節のみの未完の作品でシュタッドラーが補筆している。

モーツァルトのヴァイオリンソナタは、ヴァイオリン伴奏付きのピアノソナタと言われているが、この4曲を聴くとことさらその感を強くする。
この演奏でも明らかに主導権はクラウスが握っている。コロコロと水玉が葉の上をころがるような美しくも自然なモーツァルト。
粒立ちの明快なクラウスのピアノの音と、その音を見事に捕らえたアンドレ・シャルランの録音も素晴らしい。ボスコフスキーのヴァイオリンもクラウスの前には影が薄い。

この4曲では、妻のコンスタンツェと合奏するために作曲されたという第37番が愛らしくも美しい作品。未完の作品だがシュタッドラーの補筆は良く出来ていると思う。少なくともレクイエムのような作曲の技量の大きな落差は感じない。

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2006年3月 5日 (日)

ヴェーグのモーツァルト

P3050125 風は強いが天気の良い一日、昨年4月に沼津と合併した戸田地区へ家族を連れてドライヴ。海沿いの道を走りながら美しい景色を満喫しつつ途中山道に入り一時間ほどで旧戸田村へ到着する。
ちょいと仕事関係の用事を済ませた後、よく立ち寄る「の一食堂」で食事。本業は魚屋だがここの魚料理は絶品だ。日曜ということもあり満席だったが待つだけの価値のあるお店。

P3050126 快適に車を走らせながら車中で聴いたのは、先月購入したヴェーグの指揮するモーツァルトのディベルティメント集。K.205,287,334とK.136~138など。
美しくも幸福な音楽。純粋で天衣無縫な演奏だが、透明で引き締まったアンサンブルには、心地良さだけではなく鍛えぬいた厳しさも漂う。
老ヴェーグの引き出す音楽は、長い経験に培われた深い年輪を感じさせP3050127 るものだ。軽く聴き流すにはあまりにも重い。

とはいえ帰りの車中では、花粉症のクシャミに耐えながら運転する私をよそに家族は気持ち良く爆睡状態。


P3030121 沼津交響楽団のHPに、聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回は交響曲第2番の初録音となったソコロフ&クリーヴランド管の演奏。
連載7回目

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2006年3月 4日 (土)

藤原真理チェロリサイタル

P3040122 本日仕事の帰りに沼津・若山牧水記念館主催のコンサートに行く。
いつもは70席余りの客席が今日はメジャーな藤原真理の出演ということで100席余りに増設。それでもサロンコンサートのような贅沢な雰囲気が楽しめるコンサートだ。休憩時間にはコーヒーの無料サービスもある。

曲目は無伴奏チェロ組曲第4番から4曲、「愛の挨拶」、「白鳥」、「シシリエンヌ」、そして「アルペジョーネソナタ」から第1楽章。後半はベートーヴェンのチェロソナタ第4番、というなぜか4づくしの曲目。アンコールはロシアの作曲家アルツ・シューラーの「ラフマニノフの主題によるメロディー」と「鳥の歌」というもの。ピアノは丸山滋。

いわば親しみやすい曲を並べた名曲コンサートのようでいて、チェロの幅広い可能性を最上の形で紹介するというプログラム。演奏者の息づかいが身近に感じられる距離、そしてほどよい広さの会場で聴くと感銘の度合いが格段に違う。

しっかりとした技巧で、チェロの魅力を充分に楽しむことができたコンサートだった。アルペジョーネソナタも演奏至難な箇所をオクターヴ下げることなく、しっかり弾き切っていた。

藤原真理の骨太の響きが如何なく発揮されたのは最後のベートーヴェン。幻想的な冒頭から対位法的な絡みの後半まで、緊張感を持続させながらベートーヴェンの深い世界を見事に聴かせてくれた。
しみじみとした「鳥の歌」も良かった。

P2260110 「新世界よりを聴く」を沼津交響楽団のHPにアップしました。
今回はアバドの演奏、連載92回めです。

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2006年3月 3日 (金)

ベイヌムのブルックナー

P2280114 外は雨、今宵はエドゥアルド・ヴァン・ベイヌムのブルックナーを聴く。
聴いたのは交響曲第7番。ベイヌムの2つある録音のうち最初の1947年盤でTahraから出ているSP復刻CD。オケはコンセルトヘボウ管。

40年代といえばブルックナーの録音がまだ珍しかった頃で、現代の感覚で聴くとかなりユニークに響く。細部を磨き上げながら速いテンポで流れる演奏だが、Deccaの再録音と比べるとテンポの緩急の変化が唐突な部分があり、特に第2楽章で顕著。普通聴こえないような木管楽器が強調されたりしている。ベイヌムとしては最上の状態ではないようだ。1885年初版使用。

1947年という戦争の痛手から完全に回復していない時期の録音だが、コンセルトヘボウ管の渋い響きは健在。

P3030119 続いて同じくベイヌムで9番を聴く。これは中学生の時に購入した思い出のレコードで、1956年の録音。
大きな広がりと懐の深さが感じられる大変な名演。悲壮感を漂わせながら厳しい音響の壁が次々と現れては過ぎ去っていく。深々としたオケの響きが実に素晴らしい。

P3030120 5,7,8,9番をまとめたセットがCDでも出ていて、各楽器がLPの時よりも明瞭になった。

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2006年3月 2日 (木)

本日の練習ラフ2

仕事や私事で練習を2週間もサボってしまった。何とか早めに参加するつもりがまたまた遅刻。

今日は横島先生の練習。相変わらずエネルギッシュな指揮ぶりだ。
ラフマニノフの2番のシンフォニーを第3楽章から順に通していく。
第1楽章の終わりまでで時間切れとなってしまったが、2週間来ぬうちにだいぶ曲の形になっていて吃驚。これでは取り残されそうだ。

練習を重ねていくうちに、強弱の落差が極端に大きいラフマニノフの語法が少しずつ読めてきた。オケのメンバーも前回の練習に比べて多少は楽しめるようになった様子。

第4楽章では2種類のミュートの付け替えが煩雑でなかなか苦戦。ちゃんと練習していて、心の準備が整っていればさほどの難所ではないのだが・・・・
音符の数もやたらと多く、スタミナ配分と体力勝負になりそうだ。

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2006年3月 1日 (水)

カイルベルトとベルリンフィル

終日雨、夜はPTAの会合に参加する。新年度役員の仕事分担でちょっとした修羅場があった。このような時、男は嵐が過ぎ去るまで沈黙するに限る。

P3010116 帰宅後、カイルベルトの晩年の演奏を聴く。
聴いたのは70年代にキングレコードから出た「決定盤世界の名曲シリーズ」廉価盤の1枚で、「ドンファン」と「ティル」がベルリンフィル、「マイスタージンガー」第1幕と「ローエングリン」の第1、3幕の前奏曲がハンブルク国立フィルというもの。シュトラウスは1967年、ワーグナーは50年代の録音らしい。テレフンケン原盤。以前は気にならなかったが、このLPは音が良くない。ステレオだがレンジが狭く、音像もモノラルのように中央に固まり気味だ。

演奏はR.シュトラウスが良い。カイルベルトの指揮は速いテンポでオケを豪快に鳴らし切る爽快なもの。必要充分にして全ての音が明確に鳴り響く。音を割ったホルンの咆哮も聴いていてゴキゲンな気分になってきた。カイルベルトが振っても、このころのベルリンフィルはカラヤンの音がする。
一方のワーグナーは冴えない録音のためか、金釘流のゴツゴツした野暮天な部分のみが強調されてしまった。

P3010118 次に同じ演奏をCDでも聴いてみた。こちらはワーナーから出た「カイルベルトの芸術」シリーズの1枚で、R.シュトラウスの2曲に加えてメンデルスゾーンの「静かな海と楽しい航海」「フィンガルの洞窟」の二つの序曲が入っている。
LPよりも音の見通しが良く、だいぶ聴きやすく、「ドンファン」のハープのグリッサンドも鮮明に聴こえてくる。「フィンガルの洞窟」も巨匠の一筆を彷彿させる手際の良いさらりと流した名演。実に手馴れたものだ。

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