カイルベルトとベルリンフィル
終日雨、夜はPTAの会合に参加する。新年度役員の仕事分担でちょっとした修羅場があった。このような時、男は嵐が過ぎ去るまで沈黙するに限る。
帰宅後、カイルベルトの晩年の演奏を聴く。
聴いたのは70年代にキングレコードから出た「決定盤世界の名曲シリーズ」廉価盤の1枚で、「ドンファン」と「ティル」がベルリンフィル、「マイスタージンガー」第1幕と「ローエングリン」の第1、3幕の前奏曲がハンブルク国立フィルというもの。シュトラウスは1967年、ワーグナーは50年代の録音らしい。テレフンケン原盤。以前は気にならなかったが、このLPは音が良くない。ステレオだがレンジが狭く、音像もモノラルのように中央に固まり気味だ。
演奏はR.シュトラウスが良い。カイルベルトの指揮は速いテンポでオケを豪快に鳴らし切る爽快なもの。必要充分にして全ての音が明確に鳴り響く。音を割ったホルンの咆哮も聴いていてゴキゲンな気分になってきた。カイルベルトが振っても、このころのベルリンフィルはカラヤンの音がする。
一方のワーグナーは冴えない録音のためか、金釘流のゴツゴツした野暮天な部分のみが強調されてしまった。
次に同じ演奏をCDでも聴いてみた。こちらはワーナーから出た「カイルベルトの芸術」シリーズの1枚で、R.シュトラウスの2曲に加えてメンデルスゾーンの「静かな海と楽しい航海」「フィンガルの洞窟」の二つの序曲が入っている。
LPよりも音の見通しが良く、だいぶ聴きやすく、「ドンファン」のハープのグリッサンドも鮮明に聴こえてくる。「フィンガルの洞窟」も巨匠の一筆を彷彿させる手際の良いさらりと流した名演。実に手馴れたものだ。
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