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2006年5月に作成された記事

2006年5月31日 (水)

エド・デ・ワールトの巨人

P5310365久しぶりにマーラーが聴きたくなった。
取り出したのはオランダの名匠エド・デ・ワールトがミネソタ響の首席指揮者時代1989年頃の録音で、Virginから出ているCD。
デ・ワールトはロッテルダムフィルの音楽監督時代に若手の注目株として注目されたが、次第に世界の第一線から退いてしまった。現在香港フィルの首席指揮者らしいが、デ・ワールトの実力からすればとてもふさわしいポストとは言えない。

デ・ワールトのミネソタ響時代の録音はこの「巨人」しか知らないが、オケを鳴らし切る技量は見事で音響的な遠近感と広がりは充分なのに、表現に一貫性が感じられない。いろいろな試みが全て空回りに終わっているようだ。聴き手の落ち着きを乱すような刺激的な響きの録音もよくない。

P5310366デ・ワールトのマーラーにはオランダ放送フィルとの全集もあり、こちらの「巨人」は1993年録音で、ミネソタ響盤からわずか数年後の録音。
演奏はこちらの方が遥かに良い。オケの技量はミネソタ響の方が上だが、自然な音楽の流れの中で開放的で自由な気分が満ちている。名ホール、コンセルトヘボウのふくよかな響きも心地良い。

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2006年5月30日 (火)

知られざる(比類なき)フランスの歌

天気は良いが暑くなってきた。湿度も高い。これから寝苦しい夜が続きそうだ。

P5290362最近、カーステレオで古い時代の録音を集中的に聴いている。今聴いているのは仏EMIから出ている「Les Introuvables du Chant Francais 知られざる(比類なき)フランスの歌」というアルバムで、20世紀前半のフランスの名歌手たち150人余りの1902年から1953年までの録音を集大成した8枚組CD。

モラーヌやパンゼラ、スゼー、ヴァラン、テイトらの名の知られた歌手もいるが大部分は初めて聞く名だ。指揮者では若き日のバルビローリの名もあるが、ヴォルフ、コッポラ、ブルドンなどのどちらかといえば当時の二線級。伴奏者の名が伝わらぬ録音も多い。
名歌手が幅を利かせていた時代が垣間見える。

最古の録音はソプラノのLitvinneという人の歌うグノーのオペラ「サフォー」からのアリアで1902年録音。伴奏はなんとコルトーが弾いている。1900年代の録音も多いが、100年以上前の録音なのにカーステレオの貧弱なスピーカーで聴くと妙に生々しく響いてくるから不思議だ。

いずれも一世を風靡した歌手たちばかりで、個性的な名唱揃いで飽きることがない。
名のみ知られ、初めて作品を聴く作曲家も多く、未完のトゥーランドットを完成させたアルファーノや有名なピアニスト、フェヴリエの父のオペレッタなども珍しい。

P5250360沼響のHPに聴き比べコラム、「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。今回はスヴェトラーノフの1995年録音。
連載24回目

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2006年5月29日 (月)

バレンボイムの無言歌

定演は終わったが、演奏を聴いた多くの方から感想を頂いた。いずれも好意的な感想ばかりで嬉しい。
チケットを差し上げた近所の老夫婦が自宅に訪れ「この年になって音楽の素晴らしさを初めて知りました。」と言って日高コンプを持って来てくれた。これには恐縮してしまった。

P5240356今日はバレンボイムの弾くメンデルスゾーンの無言歌集を聴く。ドイツグラモフォンへの1973年の全集録音からの抜粋LP。いただき物です。
バレンボイム31才の録音で、この年にエジンバラ音楽祭でオペラデビューを飾り、指揮者として大きく羽ばたき始めた時期の録音だ。1975年からパリ管の音楽監督に就任している。

「ベネチアの舟歌」や「紡ぎ歌」など、おなじみの名曲をバレンボイムはロマンティックに、そしてきわめてビジュアルに描き出していく。歌詞のない歌だからこそ作曲者の意図を汲み、より鮮明にわかりやすく弾いている。それでいて格調の高さも感じさせるのが素晴らしい。

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2006年5月28日 (日)

定演終わる

P5280361昨日沼響22回目の定演が終了した。シューマンのピアノコンチェルトとラフ2という渋いプログラムながら1000人を超える入場者となった。やはり昨年音コン1位となった海瀬京子さんの出演が効いたようだ。

金曜の前日練習では、ピアノの輝かしさに比べオケの反応はいまひとつ。ラフ2も全曲を1回通したのみで時間切れとなってしまった。やはりアマオケの宿命か、一週間の仕事の疲れを背負った練習となるとメンバーの表情にも疲れが見える。自分は帰宅後すぐ寝るつもりが結局床に入ったのは1時過ぎとなってしまった。翌日の集合が午後2時なので、ちょっと朝寝坊しようと思ったがその後予想外の展開となり調子が大幅に狂ってしまった。

朝五時に突然の電話で叩き起こされる。何事かと思ったらPTAの連絡網だった。
今日が球技大会の当日だったのを思い出す。天候不順のため急遽体育館でやることになったという連絡だった。「今日は出れません」と言ってあるのに。
頭に血が上り寝るに寝られず睡眠時間4時間のまま、昼すぎに文化センターへ向かう。
ホールでは海瀬さんが黙々と練習している。体調も万全のようで安心する。

P3230198いよいよGPの開始、まずコンチェルト全曲を最初から通す。ピアノもオケも昨日とは段違いの出来で驚いた。音楽の流れに実にうまく乗っている。これは良い調子。名演だ。
続くラフマニノフも、シューマンの調子そのままにオケが良い方向に向かっているのがよくわかる。ただし自分は睡眠不足で集中力に欠け絶不調。

ここでひとつ嬉しいサプライズがあった。5月27日は横島先生の誕生日だったのだ。GPの最後に先生に内緒でケーキを用意し、皆でハッピバースデーの大合唱。先生の嬉しそうな顔も楽しい。良い演奏会となりそうな予感が団員の中に満ちてくる。

沼響の定演は20回定演の台風直撃以来雨ばかりだが、今回も朝から雨。だが開場の一時間前からお客さんが並び始める。ありがたいことだ。
開場寸前には出口まで長蛇の列。当日券の売れ行きも良い。フルートとブラスアンサンブルのロビーコンサートの後、いよいよ開演。

コンチェルト降り番の自分は舞台袖でインペクと待機。いよいよ海瀬さんが楽屋から出てきた。青のシックなドレス。一言声をかけるつもりだったが、人を寄せ付けない厳しさが全身から漂っている。これから真剣勝負に向かうプロの表情だ。軽く柔軟体操をしながら独特の呼吸法で集中力を高めている姿はとても20をちょっと過ぎた女の子には見えない。やはり彼女は只者ではなかった。
演奏は素晴らしかった。力強さと叙情の対比も見事、多少荒削りなところもあるがオケを挑発しながらバリバリ弾いていくところなど、大器の貫禄充分だ。

特にアンコールのラフマニノフの「楽興の時第4番」は、彼女の最も得意な曲だけに圧倒的な演奏だった。すぐそばで聴いていた団員の一人は、目を潤ませながら私に曲名を聞いてきた。舞台から帰ってきた彼女は普通の女の子の表情に戻っていた。お客さんのサインにも慣れない手つきで気軽に応じている。

休憩の後いよいよラフマニノフ。結局本番が一番良い出来だったと思う。特に第3楽章の出来は良かったのではないかと思う。馴染みのない曲でお客さんが寝てしまうのではないかと心配だったが、舞台から会場を見渡しても寝ている人はほとんどいない。一時間あまりをじっと真剣に聴いてくれる。楽章間の静けさも不気味なほどだ。

ただし自分自身の出来は最悪。途中で緊張の糸が切れ、何度も音楽の流れを見失ってしまった。今回は特に体力の衰えを痛感する。若い頃は多少体調不良でも精神力で乗り切れたのだが。
ともあれ定演は無事終わった。今回はソリストと深い関わりがあっただけに特に印象深い演奏会となった。

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2006年5月25日 (木)

クライバーンとケルテスのチャイコフスキー

P5210344今日は若き日のクライバーンと亡きケルテスの共演を聴く。
曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番で、ケルテス指揮のベルリンフィルによる1961年ライヴ。LP末期にRVCから出ていたイタリア、ラウディス原盤のステレオ録音国内盤LP。

クライバーンといえば、1958年の第一回チャイコフスキーコンクールの優勝時に、当時の米ソ冷戦時代の政治的な背景もあり、ことさらセンセーショナルな扱いを受けたのが今では語り草だ。事実コンクール直後にコンクール時の指揮者であったコンドラシンをアメリカに招いて録音された同曲の録音は、クライバーンの若々しい冴えた打鍵とコンドラシンのダイナミックな伴奏で、充分魅力的な今でも通用する演奏だった。
ところが70年代以降に録音数が激減、すっかりただの人になってしまった。

ケルテスとのライヴはコンドラシンとの録音に比べると、かなり大人しい去勢された演奏となっている。まるで別人のようだ。コンクール後のあまりの忙しさに疲れてしまったのだろうか。

P5250359沼響のHPに聴き比べ「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はロシアの指揮者スヴェトラーノフの、いろいろと謎の残る1968年録音。連載23回目

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2006年5月24日 (水)

エリーザベト・シューマンのシューベルト

P5240354巣の転落後しばらく姿を消していたツバメが帰ってきた。再び巣を作り始めたようだ。ガンバレ!心の中で密かに応援。
夜の9時すぎから雷を伴って猛烈な雨が降り始めた。

P5240355今日はドイツの名歌手エリーザベト・シューマンのリートを聴く。かつて東芝のGRシリーズで出ていたシューベルト歌曲集2枚組LPで、シューマン全盛期の1920年代から40年代末までの録音の集大成。ロック中心の地元の中古レコード店で格安で見つけたもの。

明るく柔らかな声で優しく語りかけてくるシューベルト。コケティッシュな趣の「野ばら」や高貴な香りの漂う「アヴェ・マリア」。優雅で美しい発音の名唱揃いの名アルバム。

P5240357シューマン晩年の録音からヴォルフの歌曲も聴く。死の前年1951年の録音で「シューマン、ドイツリートリサイタル」というタイトル。1970年代初めに日本コロンビアから出ていた千円盤のヒストリカルレコーディングシリーズ中の1枚。ヴォルフ、メンデルスゾーン、フランツの歌曲が入っているシューマン晩年のアメリカでの録音。シューマンの生年ははっきりしないが、おそらく70才前後の録音。

明るく明快な声の質は全盛期と変わらない。時おり音程のふらつきはあるが、シリアスで屈折したヴォルフの世界を見事に歌い切っている名唱だ。

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2006年5月23日 (火)

ロザンタールのトスカ

今年は春らしい日が来ぬうちに、このまま梅雨に突入の気配だ。今日も夕方からの雨がまだ降り続いている。

P5160336ロザンタールの指揮する「トスカ」を聴く。ほぼ一世紀を生き、ラヴェルの弟子でありオッフェンバックの「パリの喜び」の名アレンジで知られるロザンタールのイタリアオペラは珍しい。パリオペラ座管と合唱団、トスカ:Jane Rhodes,カヴァラドッシ:Albert Lance,スカルピア:Gabriel Bacquierという顔ぶれ。フランス語で歌われている。

P5160337_1フランスVEGAから出ていた2枚組LPで、鮮やかな真紅の箱に金文字で「La Tosca」。ずいぶんと華やかな体裁、豪華な冊子体の解説書が中に入っていた。
歌手の中ではランスのカヴァラドッシが張りのある声で良い。可憐なトスカも標準の出来だが、スカルピアが矮小なためにオペラ全体がこじんまりとなってしまった印象だ。

パリオペラ座のオケは、アンサンブルを合わせることよりも、各々が音楽を自由に楽しんでいる気配。フランス物では切れの良い鮮やかな演奏を聴かせてくれたロザンタールの指揮も、ひたすら楽天的な雰囲気に終始したユニークな「トスカ」。

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2006年5月22日 (月)

小林道夫のフランス組曲

P5220353今日は小林道夫のバッハを聴く。聴いたのはフランス組曲全曲の2枚組LPから第1、2番。70年代に東芝EMIに録音されたアルバム。

ここではチェンバロではなく、ピアノで弾いている。リヒテルのようなロマンティックさをあえて避け、淡々と弾いている謙虚なバッハだが、各舞曲の性格の違いを実に明確に打ち出している。
音量の変化を抑え目にしながら、芯のある打鍵で厳しい音楽の動きを見事に打ちだした第1番終曲のジーグを聴いていると、あえてチェンバロを用いなかった理由が判るような気がする。

P5220352続いてフランス組曲と同じ路線で作曲されたグリーグの組曲「ホルベルク時代から」。
オリジナルのピアノ版では、舞曲を連ねた古典的なスタイルがより明確になるのだが、今日は有名になった弦楽合奏編曲版を聴く。

聴いたのは、バウムガルトナー指揮によるルツェルン祝祭管によるオイロディスク原盤による国内盤LP。
こちらは石英の結晶のようにカチリとしたグリーグ、バッハに通ずる古典的な佇まいが明確に伝わってくる演奏だ。いくぶん醒めた印象も受ける。
叙情的でロマンティックに演奏しがちな曲だが、グリーグが意図したのはこのようなスタイルだったのだろう。アンサンブルの精度は申し分ない。

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2006年5月21日 (日)

ユッシ・ヤラスのシベリウスとシベリウス自作自演

今日は、フィンランドの指揮者ユッシ・ヤラスのシベリウス。ヤラスはシベリウスの娘婿でシベリウスの作品を数多く録音している。

P5210347P5210348P5210346_1特にDECCAに残した「四つの伝説」全曲を含むハンガリー国立響との一連の管弦楽曲集は貴重な遺産だ。
今回聴いたのはAce of Diamondsシリーズの3枚のLPから、「クリスチアン2世」と「アンダンテ・フェスティーボ」。

交響曲第5番第2楽章と同じ旋律が聞こえる初期の作品「クリスチアン2世」、そしてシベリウス創作活動のほぼ最後の作品となった「アンダンテ・フェスティーボ」、いずれもヤラスは外面的な効果とは無縁のしみじみとした演奏で聴かせる。

P5210351この「「アンダンテ・フェスティーボ」には、シベリウス自身がフィンランド放送管を指揮した録音がある。現在オーストリアのONDINEレーベルから出ているCDで、第二次世界大戦の迫る1939年の元日に放送されたもの。
ゆっくりとしたテンポの中、飾り気のない素朴な、聴き手に切々と訴えてくる素晴らしい演奏だ。

P5210350実はこの曲のシベリウスの自演とされる録音はもうひとつあって、かつてFINLANDIAレーベルから出ていた。
ところが、長い間シベリウスの演奏とされていたこの録音は、別の指揮者の演奏であることが最近になって判った。
どうやらフィンランド放送局が取り違いをしていたらしい。

だが、このFINLANDIAレーベルから出ている録音も、深い祈りの心に満ちた感動的な演奏なのだ。この演奏の指揮者は未だ不明とされている。

P5200343もうひとつこの曲の原曲となった「村の教会で」をEere Heinonenのピアノで聴く。
全集録音からのハイライト盤で、他にピアノソナタや「フィンランディア」のピアノ版も入っている。清らかなせせらぎの水に手を浸すような爽やかさの感じられるピアノが実に心地よい。

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2006年5月20日 (土)

デ・ブルゴスのライン

昨晩から降り続いた雨も明け方には上がる。湿度は高めだが次第に晴れ、昼過ぎには爽やかな風も吹き始めた。眠気を誘う心地よい風に午後は本を読みながらウトウトとしてしまった。

P5200341今日はデ・ブルゴスのシューマンの「ライン」を聴く。
DECCAの廉価シリーズ、エクリプスのLPで、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲とのカップリング。オケはロンドン響。
スペイン国立管、ライン・ドイツオペラの総監督に就任したデ・ブルゴスが最も注目されていた30代前半の演奏。

丁寧でロマンティックなシューマン、第2,4楽章では譜面にない大きなテンポの動きがある。オーケストレーションにはあまり手を加えていない。オケのバランスの整え方は見事だが、もう少し音楽に余韻が欲しい。その点ストレートで爽快なメンデルスゾーンはロンドン響の引き締まった響きで楽しめた。

P5200342デ・ブルゴスの「ライン」では、トリノのイタリア放送局管を振った1975年のライヴ録音もある。
これは、かつて駅売りワゴンで2枚組1,000円程度で売られていたANFのライヴクラシックスという怪しげなシリーズ中の一枚。

こちらは確固たる構成感、細部の彫琢も見事、オケも壮大に鳴りきっている。第1、4楽章冒頭ではデ・ブルゴスのハー!という気合も聞こえてくる。オケも燃えた白熱の名演。

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2006年5月19日 (金)

ツバメの巣、落下す

昼間から降り続いた雨は夜になり激しくなった。9時過ぎに帰宅。ツバメの巣の下を避け車を止め、車庫の天井を見上げて驚いた。巣がない!
思わず下を見たら、土と枯草が車庫の床に散乱している。その中に割れた卵が3つ。落ちてしまった・・・。

もともと蛍光灯の狭い庇にかろうじて乗っていて危ないとは思っていたが、この状態で今まで無事だったので安心していた。どうやら先日の強い地震で土台の部分が脆くなっていて、卵の重みに耐えられなかったようだ。
耐震強度に問題有り・・・か。職場の近くにある、某建築士が関与し工事中止となったままのビルを思い出した。
親ツバメの姿は見えない。この激しい雨の中どこに身を寄せているのだろうか。これで来年から我が家にツバメが来ることはないだろう。寂しくなった。

P5080309今日はイギリスの作曲家ジェラルド・フィンジのピアノと弦楽器のための「エクローグ」を聴く。もともとピアノ協奏曲の緩叙楽章の予定だった曲。
「エクローグ」とは「田園詩」という意味があるらしい。
マーティン・ジョーンズのピアノ、ボウトン指揮のイギリス弦楽合奏団による演奏で、NINBUSから出ていた「Spirit of England Ⅱ」というヴォーン・ウィリアムスやホルスト、ディーリアス、バックスらのイギリス音楽のエッセンスを集めた4枚組CD。

この「エクローグ」は、ラヴェルのト長調の協奏曲の第2楽章のような構成だが、冒頭のピアノソロの美しさはこちらの方が純粋さで勝ると思う。ジョーンズのピアノも単調ではあるが虚心に弾いているのが良い。

P5080310同じフィンジで「ディエス・ナタリス」を聴く。
息子のクリストファー・フィンジ指揮のイギリス室内管の演奏で、イモージェン・ホルスト指揮のホルストの「合唱幻想曲」とカップリングのEMIから出ていたLP。こちらも聴いていて自然に安らぎの世界に誘う心優しきフィンジの世界。

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2006年5月18日 (木)

ラフ2を吹く、あと10日

今週、月曜以外は全て雨だった。今日はオケの練習日。
仕事を終えた後、雨上がりの道を文化センターまで急ぐ。12月の第九公演の合唱練習が既に始まっているため、文化センターの駐車場は満車でロータリーの外まで車がつながっている。

練習会場の大ホールに到着すると、すでに第1楽章の練習が始まっていた。遅れついでに舞台のソデでしばし鑑賞。だいぶ整ってはきたが、音の濁りと音程のまずさが気になった。
演奏の合間にそーっと自分の席に座り探りながら吹き始める。本番が近いというのに自分も完璧にはほど遠い。ゲシュトップの音など全体の響きにマスクされていて音程が取れない。もっとさらわねば、と反省しきり。

P3210188沼響のHPに聴き比べコラム、「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。今回からロシアの指揮者でまずはコンドラシンの1980年、コンドラシン急逝の5ヶ月前のプロムスでの白熱ライヴ。
このような演奏ができたらなぁ、などと思わず聴き惚れた演奏。
連載22回目

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2006年5月17日 (水)

ラリューのテレマンとバッハ

P5170340今日聴いたのはフランスのフルーティスト、マクサンス・ラリューの吹くテレマンの「組曲イ短調」とバッハの「組曲第2番」。
フランス・バークレー原盤のキングの国内LPで、ミュラー・ブリュール指揮のケルン室内管の演奏。

典雅で格調の高いラリューの美しい音色で聴かせる一枚。時として線の細さも感じさせるが、ブリュールの生真面目でかっちりとした指揮が軟弱になる一歩手前で救っている。悲劇的で荘重なフランス風序曲で始まるテレマンが特に素晴らしい。

P5170339もうひとつはボールト&ロンドンフィルによるシベリウスの交響詩「ポヒョラの娘」を聴く。
シベリウスを得意としたビーチャムやバルビローリらに比べるとボールトのシベリウスの録音は少ないが、モノラル期に米ヴァンガードにLP2枚分の録音を残している。
晩年のシベリウスがこの演奏を絶賛している手紙の写真がライナーに載っている。

神秘的なピアニシモからガツンとしたフォルティシモまで、インテンポでひた押しに押して来る男性的で豪快なシベリウス。ハープの伴奏に乗る哀愁を帯びたオーボエの響きも印象に残る。

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2006年5月16日 (火)

ベームの四季

今日は、ほとんど出勤となってしまったGWの代休。昨日のような良い天気ならば箱根あたりにドライヴへ出かけるところだが、雨がパラついてきた。
予定を変更して部屋を片付けながら読んでしまった本を近くの中古本屋へ持っていく。ブックオフという選択肢もあるが、こちらの方が査定が甘くブックオフで引き取らないような本も引き取ってくれる。中古LPコーナーもあり時々掘り出し物があるのが良い。

P5160332今日は久々に大曲を聴く。ベームの指揮するハイドンのオラトリオ「四季」。ウィーン楽友協会合唱団、ソプラノのヤノヴィッツ、テノールのシュライヤー、バスのタルヴェラといった豪華な面々による演奏だ。グラモフォンの国内盤3枚組LPで、本日、本を持ち込んだ中古本屋で数年前に500円で購入したもの。

ウィーンフィルでもベルリンフィルでもなく、ウィーン響を振っているのがミソ。農民たちの収穫の喜びを通じて自然への賛歌を歌い上げた作品だが、ベームの剛直でがっしりとした音楽造りとウィーン響のいくぶん質朴な音色こそふさわしい。

オラトリオとはいえ宗教色は感じられず、オペラ(ジングシュピールと言うべきか)を聴くような趣で、既にウェーバーの「魔弾の射手」に通じるロマン派の芽生えも感じられる作品だ。「春」の中で「驚愕」第2楽章の有名な旋律がそのまま出てくるのもユーモアを愛したハイドンらしいアイディアだ。随所でホルンが活躍するのも嬉しい。

P5160334P5160333沼響のHPに聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はラフマニノフと深い親交のあったオーマンディーによる二つの録音。
連載21回目

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2006年5月15日 (月)

アルゲリッチのシューマン

久しぶりに天気の良い爽やかな一日となった。

P5150331今日はアルゲリッチの弾くシューマンを聴く。聴いた(視た)のは、ここのところマイブームとなっているシューマンのピアノ協奏曲。カナタ放送局のアルヒーヴからVAIが製品化したビデオで、伴奏はパウル=デッカー指揮のCBC交響楽団。他にリストの「詩的で宗教的な調べから葬送曲」とラヴェルの「水の戯れ」を弾いている。1977年7月31日の収録。

34才のアルゲリッチの弾くシューマン。芯のある力強い打鍵だが意外と大人しい。テンポの変化もあまりなく、奔放な情熱の迸りは感じられない。これはデッカーの凡庸な指揮に大きな原因があるのかもしれない。
スタジオ収録でオケはピアノの後方の横一列に並んでいる。30名ほどの人数だが、アルゲリッチの存在感の前に指揮のデッカーも含めて全く影が薄い。

それにしても太い腕だ、一緒に視ていた家内が「この腕でマッサージをしてもらったら気持ちよさそうね。」などと言う。なるほど。

シューマンは期待外れだったが、リストとラヴェルは凄い。リストでは、冒頭のずしりとした深い低音の響きが聴き手の心をむんずと掴んでしまう。そしてラヴェルの眩いばかりのテクニック。時折ふっと力を抜き優しげな表情を見せるのもにくい。

シューマンではアルゲリッチの妖艶な表情のアップが多かったのが、リストとラヴェルではほとんど指先のクローズアップ。それにしても良く回る指だ。

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2006年5月14日 (日)

コンチェルト、ソリスト合わせ

昨晩からの雨が降り止まぬ朝。今日はコンチェルトのソリスト合わせのため朝から文化センター大ホールへ。開館時間の9時ちょっと前に着くと、ホール入り口に見慣れた団員達の顔に混じりお年寄りが多数。どうやら小ホールで市民マジックショーがあるらしい。

ホールの駐車場入り口で、横島先生に続いてソリストの海瀬さんを出迎える。ちょっと眠そうな表情だ。9時半から練習は開始、オケだけの軽い練習の後、いよいよソリストの海瀬京子さんの登場。好奇心に満ちたオケの面々の表情が面白い。

コンチェルトの冒頭、ピアノの力強い和音で会場がピリッと引き締まる。粒立ちのはっきりした輝かしい音が気持ちよくホールの中を流れていく。この第1楽章は、音コン受賞者コンサートで弾いているだけあって余裕の弾きぶりだ、オケの連中も嬉々として弾いている。

音コン受賞以後、数多くの本番をこなし、一流の音楽家達との共演が大きな刺激となり、ここ数ヶ月のうちに彼女の実力が確実にスケールアップしているのが嬉しい。
ホールの響きとオケの音量を聴き比べながら、ピアノの音量をコントロールしつつ曲を進めていく手際も音コン本選時から格段に成長している。
練習後、彼女はホールのデッドな響きを気にしていたが、ピアノの位置の工夫が必要かもしれない。

P5110318今日はイギリスの名コントラルト、キャサリン・フェリアーの歌う、バッハ・ヘンデルアリア集を聴く。41歳の短い生涯だったフェリアーが世を去る一年前のDECCAへの録音で、バッハの「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ロ短調ミサ」やヘンデルの「メサイア」「サムソン」といったオラトリオの名曲を集めたアルバム。
サー・エードリアン・ボールト指揮するロンドンフィルの伴奏。

フェリアーの声量のある太く深い響きが圧倒的な存在感で迫って来る名唱。死を目前にしながらも毅然としたスタイルの中に深い情愛が感じられ感動的だ。
「サムソン」からのアリア「万軍の主よ帰りたまえ」のあまりにも崇高な歌唱には聴いていて涙が出そうになった。ボールトの指揮も素晴らしい。

オリジナルはモノラルでジャケット表示も擬似ステレオとあるが、実はフェリアーの死後に共演したメンバーが再び集まり、伴奏部分のみステレオ録音を行ったというアルバムだ。聴いていて違和感は全く感じられない自然なステレオ録音。

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2006年5月13日 (土)

イーヴ・ナットのベートーヴェン

雨の日が続く。今日は朝から冷える。夜にはもう不要と思いしまい込んでいたストーヴの再びの登場となった。

昨晩は校長・教頭先生たちも含めた近隣の小中学校三校のPTA本部役員合同懇親会。顔見知りも多くなかなかの盛り上がりだが、そこに大きな落とし穴があった。宴たけなわの最中、中学校のPTA役員数人がやってきて両脇に座り込み「来年は中学の本部役員お願いね」などと言うではないか。(・ロ・;

酔いも一気に吹っ飛んでしまった。そういえば同じようなシチュエーションで、酔いにまかせて思わず頷いてしまった3年前の自分を思い出した。くわばらくわばら、首を横に振りながら早々にその場から退散する。

P5130326今日はフランスのピアニスト、イーヴ・ナットのベートーヴェンのピアノソナタを聴く。
聴いたのはEMIレファレンスシリーズのCDで、いわゆる三大ソナタに「ワルトシュタイン」がカップリングされている。
知的で格調の高い端正なベートーヴェン。

人里離れた深山の湖面に広がっていく波紋のような静かな美しさに満ちた「悲愴」の第2楽章が素晴らしい。冷静さの中にも烈しい感情の発露が聴かれる「月光」も印象に残る。

P5130325かつて国内盤で出ていたLP10枚組の全集も取り出し、第15番の第一楽章を続けて聴く。
静かな歩みで始まる冒頭の穏やかな旋律のなんという暖かさ。
イーヴ・ナットの弾く美しくも純粋なピアノの響きが静かに部屋の中を流れていく至福のひとときだ。
モノラルながら、アンドレ・シャルランの名録音がナットの音を見事に捉えている。

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2006年5月11日 (木)

ミュンシュのサン・サーンス

ここ数日雨ばかりだ。午前中、愛鷹山中腹にある東海大学開発工学部へ所要で出かける。途中でかなりの激しい雨となり道路が川のようになっていた。車から降りたとたん、水溜りに足をつっこみ、ズボンがびしょ濡れとなり難儀。大学の受付に沼響の元団員の女の子がいて驚いた。

P5110316今日はシャルル・ミュンシュの指揮するサン・サーンスの交響曲第3番を聴く。聴いたのは米コロンビアから出ていた、ニューヨークフィルを振ったモノラルLPで、1949年に発売されたもの。
ミュンシュならではの豪快な演奏。モノラル録音でもあり色彩感は不足するがストレートで端正、古典的ともいえる格調の高さも感じられる名演。

P5110317P5110315_1ボストン響とのステレオ録音も聴いてみる。
これはRCAから1973年に再発された千円の廉価盤LPで、中学生の時に購入し当時飽きもせず毎日のように聴いていた懐かしいレコードだ。盤が荒れてしまい。CD時代の到来とともに買い換えた。このCDを購入してからもう20年近く経ってしまった。

こちらはライヴのミュンシュを聴くような、オケを豪快にドライヴした灼熱の演奏。
ボストン響はニューヨークフィルよりも暖色系で柔軟な響きが特徴。第2楽章の中ほどでコントラバスが一部音を外す箇所があるが、この部分を採り直さなかったのはひたすら前へ突き進む音楽の流れを重視したのだろう。
色彩豊かで豪壮華麗、第2楽章の後半など今聴いても興奮してしまう。第一楽章後半のヴァイオリンをきっちり合わせた繊細な歌わせ方も今日初めて気が付いた。何度聴いても飽きの来ないミュンシュ最良の時を刻んだ名演。

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2006年5月10日 (水)

マルシャルのバッハ

本日はフランスのオルガニスト、アンドレ・マルシャルのバッハを聴く。

P5100313聴いたのは、通信販売専門レーベール、日コンサート・ホールから出ていたLPで、クリスマスに関係したオルガン曲が入ったアルバム。
曲目は、パストラーレハ長調、オルガン小曲集BWV.599~615、前奏曲とフーガBWV.547というもの。チューリッヒのグローミュンスター大聖堂の大オルガン。

細身の響きで、フランスのオルガニストらしい華麗な響きで聴かせてくれる。音色はあくまで明るい。クラフトやヴィンダーリッヒといったドイツの質実剛健タイプとは全く違う世界のバッハだった。

P5100314もうひとつのマルシャルのバッハは、フランス・エラート原盤による「フィオーリ・ムジカーリ」シリーズの国内廉価盤LPから。
パリの聖ウスタシュ教会のゴンザレス製のオルガンを弾いたもので、有名なトッカータとフーガニ短調、前奏曲とフーガBWV.536、シュープラーコラール集から5曲と、コンサートホール盤にも入っていたパストラーレというアルバム。これは冒頭のトッカータとフーガニ短調の豪壮華麗な演奏に圧倒される一枚。
モノラルながら音に不満はない。1956年ACCディスク大賞受賞の名盤。

両盤に共通していたパストラーレが異なった解釈だったのも面白い。旧盤の方が緩急の差が大きくテンポも遅い。パリのオルガンの響きはチューリッヒの細い響きに比べて豪快な音色だが、自分の好みはより陰影の深いステレオ盤だ。
特にコンサートホール盤は、ブランデンブルク協奏曲第3番終楽章の主題が複雑に展開していく第4曲の各声部の描き分けの見事さで光る。

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2006年5月 9日 (火)

クリス

どうもはっきりしない天気が続く、夜には再び霧雨となった。
連休前に発覚したトラブルも、心配したほどのこともなく終わりそうだ。

夜はPTAの役員会に出席。間近に迫った球技大会の役決めだが、なんと球技大会の日が沼響の演奏会と重なっていることに今頃になって気がついた。あぁ・・迂闊であった。
「す・すみません。当日出れないんですけど・・・・」皆の表情はにこやかだが目は笑っていない。
でもこの場は頭を下げるしかない。 m(..)m

P5030297今日はジャズヴォーカルが聴きたくなった。レコード棚から出したのはクリス・コナーの歌う「クリス」というアルバム。ベツレヘムのオリジナルLPで1954年録音。ハスキーでいくぶん知的な雰囲気が漂うヴォーカルが実に良い。モノラルだが素晴らしい音。クリスの歌声がそのまま聴こえて来るようなジャケットも秀逸。

P5090312次に、「ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー」を聴く、今は無きニューヨークの名門クラヴでのライヴ。こちらはベツレヘム盤よりもスリムで軽めの声質。
曲が進むにつれて次第にクリスと他のメンバーも乗ってくるのがよくわかる。ステレオだがベツレヘム盤の方が音は良い。

P5030298沼響のHPに聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はポーランドの名指揮者、パウル・クレツキがスイス・ロマンド管を振った録音。連載20回目

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2006年5月 8日 (月)

Rudolf Schulz-Dornburgのベートーヴェン

朝から夜までシトシトと霧雨が降る一日。裏山の奥では梟がホウホウと鳴いている。

P5080307今年もツバメが戻ってきた。5年ほど前から車庫の天井に巣を作り、遠くフィリピンやマレーシア方面で越冬し毎年この頃に舞い戻ってくる。数千キロの海を越えよくぞ間違えず無事に戻ってきた。
しかしツバメが来ると車庫の車は糞でベタベタだ。これから数ヶ月、雛が巣立つまでツバメに車庫を明け渡すことになる。

P5080311今日はドイツの指揮者ルドルフ・シュルツ・ドーンブルグ(1891~1949)という人のベートーヴェンの交響曲第7番を聴く。
聴いたのはドイツのHISTORIAというレーベルから出ていた五枚組LPで、「歴史的指揮者によるベートーヴェン交響曲全集」というタイトルが付いている。
9曲全て指揮者が異なり、1番:プフィッツナー、2番:クライバー&ベルリンフィル、3番:カイルベルト&シュトウットガルト放送響、4番:メンゲルベルク、5番:R.シュトラウス、6番:トスカニーニ&BBC響、7番:ドーンブルグ、8番:ワルター&ニューヨークフィル、9番:フルトヴェングラー&ベルリンフィル(1942)というもの。
晩年貧困のうちに世を去ったプフィッツナー、冒頭がダダダダ・ダーと一音多いR.シュトラウスの「運命」といった、ちょいとひねりを効かせた錚々たる面々。
これら大指揮者に伍してドーンブルクとはいったい何者かと非常に興味を持って購入したもの。

ドーンブルグという人は、エッセンやマンハイムといった歌劇場のカペルマイスターを経験したいわば現場叩き上げの指揮者だったようで、第二次世界大戦中はドイツ帝国放送局の総責任者の要職にあり、戦後はリューベック市の音楽総監督だったという。
しかしナチの要職にありながら、フルトヴェングラーやカラヤンのように演奏禁止処分にならなかったのが不思議な気がする。世渡りがうまい人だったのだろうか。

この7番のオケはベルリン放送響でSPからの復刻のようだ。1943年録音。
演奏は現代風のすっきりスマート系でなかなか良い。フレーズの後半を延ばし気味にして次のフレーズに微妙に被っているのが面白い。ただし、第4楽章ではこの特徴が音楽の推進力を弱める結果となってしまった。
続いてワルターの8番を聴いたが、音楽がずいぶんと荒れている。これではドーンブルグの7番の方がよほど良い。

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2006年5月 7日 (日)

ラフ2全曲完投

連休最終日とはいえ自分は今日も仕事。朝から雨が降り始めた。
部活に行く上の娘を学校まで送りながら職場へ直行。道路はガラガラに空いている。

夜はオケの練習に参加。今日は練習開始のチューニングに滑り込みセーフ。ところがウォーミングアップもせずにいきなりラフマニノフの2番を全曲通すことになった。ところどころサボりながら調子を整え唇を慣らしていく。第3楽章の途中からようやく楽器が鳴り始めた。

さすがに演奏時間一時間を軽く超える全曲を通すとシンドイ。曲の仕上がりもまだまだ。横島先生はオケにもっと深く熱い響きを要求しているが、オケのパワー不足は否めない。先生の指示で次第にむくむくと大きな響きが出るようになった頃に時間切れとなってしまった。

今日の練習最後の30分を使いシューマンのピアノコンチェルトも全曲通しとなった。降り番の自分は客席で聴く。細かな所はまだまだ課題が多いがオケの響きがまとまり始め、次第にロマンティックなシューマンの音楽の姿が現われてきた。これは期待できそうだ。

P5030299沼響のHPに聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はアメリカの指揮者ウォーレンシュタインの演奏。
今日の練習で横島先生がオケに注意を促した軽い響きの典型的な演奏。

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2006年5月 6日 (土)

ホルストのミリタリーバンドのための組曲第1番、オーケストラ版

良い天気に恵まれた連休も明日から雨のようだ。明日は出勤しなければならず自分の休みは本日で終了。結局連続して休めたのは3,4日の二日間だけだった。

今日はフィルハーモニア・フンガリカの自主制作アルバムを聴く。2000年に発売されたCDで、だいぶ以前に購入したもの。3枚組セットだったように記憶している。

P5060306今日聴いたのは、Werner Andreas Albertという人が振っているCDで、エルガーの「スペインの貴婦人」組曲、ホルストの「ミリタリーバンドのための組曲第1番」のオケ編曲版、ウォルトンの「ファザード」といったイギリス勢にリヒャルト・シュトラウスの「演奏会用序曲」、エネスコの「ルーマニア狂詩曲第1番」がカップリングされた珍な一枚。指揮者についての紹介は解説には載っていない。

中ではリヒャルト・シュトラウスとホルストが珍しい。特にホルストの組曲は吹奏楽の世界では古典的な名曲で自分も何度か演奏したことがある。このオケ版はおそらく唯一の録音だと思う。解説には編曲者の名は記されていないが、同じく「ミリタリーバンドのための組曲第2番」のオケ編をおこなっているゴードン・ジェイコブではなかろうか。

弦楽器が次第に数を増しながら上昇しつつ大きなクライマックスを迎える第1曲「シャコンヌ」が吹奏楽とはまた異なった趣があり、なかなか聴かせてくれる。ただしあとの2曲はあえてオーケストラ用に編曲する意味は感じられない。終曲の「マーチ」などブラス中心の完全に軍楽隊の世界だ。

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2006年5月 5日 (金)

フルネのデュリュフレ

連休三日目と言いたいところだが、本日は大きなイベントが有り出勤となった。想定外の事態が次々と生じ、冷や汗のかきどおしだったがなんとか切り抜けた。連休前のトラブルのことも思い出し少々ブルーな一日。

P5050303今日はフルネの指揮するフランス管弦楽曲集を聴く。イベールの「寄港地」、ドビュッシー~コンスタン編の「ペレアスとメリザンド」交響曲、デユリュフレの「3つの舞曲」というものでオケはオランダ放送フィル。デンオンのクレスト1000シリーズの一枚。
なかなか渋いカップリングだが、格調高いフルネの至芸で一気に聴かせるアルバム。

中でもデュリュフレの数少ない管弦楽曲である「三つの舞曲」が面白い。1曲目のデイヴェルティスマンや第3曲のタンブーランは、打楽器やサクソフォーンを駆使した色彩豊かなオーケストレーションと軽妙な楽想で有名なレクイエムとは全く異なる世界のデュリュフレを聴かせてくれる。

P5050304そこでデュリュフレの「レクイエム」も聴きたくなった。聴いたのはBISから出ているグラーデン指揮のスウェーデンの聖ヤコブ室内合唱団の演奏。いくつか版のある曲だが、オルガンとチェロ独奏の入る版を使用している。

この曲は、フォーレのレクイエムを意識しながらグレゴリオ聖歌のイディオムを巧妙に取り入れた名曲。どのような演奏を聴いても不満を感じることはない曲だが、合唱の神様エリック・エリクソンの弟子グラーデンの静謐で慎ましやかなこのような演奏こそふさわしい。
合唱団の完璧なアンサンブルの中に深い祈りに満ちた歌唱も素晴らしい。

それにしても何度聴いても美しい。何か特別な時だけのために残しておきたいような名曲。

ここのところフィリップスのCDプレーヤーLHH700が故障したため、パイオニアのDVDプレーヤーDVS5でCDを聴いている。
最初はあまりの音の違いにがっくりしたのだが、CDによってはなかなかの再生音であることに気が付いた。特に今日聴いたフルネは大きな音場と繊細な音色でなかなか良い。しばらくいろいろと聴いてみようと思う。

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2006年5月 4日 (木)

リパッティのシューマン

休日二日目、今日は家族を連れ富士宮まで足を伸ばし、白糸の滝近くの奇石博物館に行ってみた。山奥でもあり、マイナーな石の博物館ということでさほど混んでいないだろうと思っていたが、意外や家族連れで大変な賑わい。すぐそばに公営の温泉が出来たことが一因らしい。

学芸員の話に耳を傾け、サヌカイトで出来た鉄琴ならぬ石琴も叩いてみる。澄み切ったなかなか良い音だ。アメリカ・インディアンが使用していたというお天気石を眺めたり、ぐにゃりとしたこんにゃく石に触れたりとなかなか楽しい。様々な鉱石や化石、隕石の数々など、展示と解説も充実している。

帰りに浅間神社の祭典に寄るつもりだったが、駐車場の混雑ぶりを見てあっさり諦める。お昼がまだなので、近くにあった「富士宮焼きそば」の店に入ってみる。本業はスナック風の小さなお店だが、2時過ぎだというのに店の外まで客が並んでいる。20分ほど待った後、ミックス焼きそばを注文。黄色い太麺に天かす少々、上に目玉焼きが乗っている焼きそば。
これが有名な「富士宮焼きそばだぞ」、と子供達に言い聞かせながら食べるが、正直なところこれで600円は高い。職場近くのお店だと同じような焼きそばが400円だ。家内は沈黙したまま黙々と食べている。

P5040301帰宅後聴いたのはリパッティのシューマン。カラヤン&フィルハーモニア管がバックを付けている1948年録音で、リパッティがまだ元気な頃の録音だ。聴いたのは1964年頃に出た国内赤盤LP。毅然とした粒立ちのはっきりとした音、若々しさの中に適度なロマンティックさが漂う見事な演奏。スタイリッシュなカラヤンの伴奏も良い。

ただし他のリパッティの録音同様音が良くない。CDは改善されているのだろうか。

P5040302もうひとつ、リパッティの死の年、1950年2月22日の同曲のライヴを聴く。こちらはアンセルメ指揮のスイスロマンド管。1978年にキングレコードから出た千円の国内盤。

前日までリパッティは40度の高熱に苦しみ、この日の出演にはドクターストップがかかっていたという。結局、解熱の注射を打ち、医師の制止を振り切って出演したこの日のコンサートがリパッティの最後の協奏曲演奏となった。

旧盤と全く異なるスタイルの演奏だった。深い陰影と情熱に満ちた演奏はとても病人のものとは思えない。力強いタッチと太い音にも驚かされる。第1楽章で一箇所ミスタッチがあるだけで指の乱れも全く見られない。
旧盤よりも感覚的に遅いテンポのような感じられるが、トータルの演奏時間は1分しか違わなかった。アンセルメもリパッティに完全に同化し、旧盤のカラヤンを大きく凌ぐ伴奏を聴かせてくれる。

力強く演奏を進めながらも第3楽章の最後で僅かにテンポを落とし、そーっとルバートを掛け寂しげな表情を聴かせる部分があり、強く心を打たれた。その直後に緊張の糸が一瞬切れる部分があったように感じたのは気のせいだろうか。

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2006年5月 3日 (水)

フランチェスカッティ、カサドシュのフランクとドビュッシー

良く晴れた爽やかな休日。今日は親戚の法事があり箱根まで出かける。大型連休とはいえ意外と箱根の道は空いていた。
山の中腹にある墓地からは、遠くに霞む西の御前崎から東の大瀬崎までの駿河湾が一望の下に見渡すことができた。すぐ目の前には富士山の雄姿。素晴らしい景色だ。

お昼をご馳走になった後2時ごろ帰宅。ほろ酔い気分の上、涼やかな風が部屋に入って来る。幸せな気分になりそのまま昼寝。

P5030296夜はフランチェスカッテイとカサドシュによるフランクとドビュッシーのソナタを聴く。ML4178という番号の米コロンビアのオリジナルLP。

フランクの冒頭、詩情豊かなカサドシュのピアノが流れただけで幸福な気分になってくる。フランチェスカッティのヴァイオリンは、フランクでは多少甘美すぎるようだ。有名なフィナーレももう少しテンポを落とした方が良いと思う。一方の官能的な気配の漂うドビュッシーは素晴らしい出来、カサドシュの艶のあるピアノも見事なものだ。

P5010295もうひとつ、スクロヴァチェフスキーのラヴェル管弦楽曲全集から「古風なメヌエット」を聴く。
VOX原盤の4枚組LPでオケはミネソタ響。SQ4チャンネル盤。
スクロヴァチェフスキーのラヴェルは、クリスタルガラスのような明晰さに微かな毒を秘めたような一筋縄ではいかない個性的な演奏。

この「古風なメヌエット」の演奏は、アルカイックな雰囲気の中に素直な可憐さが感じられて気に入っている。木管楽器が繊細な響きを聴かせる中間部など触れれば壊れてしまいそうだ。

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2006年5月 2日 (火)

バイエルンのワルター

再び気温が下がって来た、小雨のぱらつく一日。GWとはいえ今日は出勤。

P5010292帰宅後に聴いたのはワルターのライヴ。Orfeoから発売されている1950年10月2日のミュンヘンでの演奏会録音で、バイエルン国立歌劇場管を振った「未完成」と「巨人」。
2曲ともワルターには既に複数の録音があるが、いずれも堂々とした風格の中にロマンティックな暖かさの感じられる名演だった。

このミュンヘンのライヴは音楽の振幅の大きさと激しさで、ワルターの演奏の中では極めて異質の演奏だった。
「未完成」第一楽章のトロンボーンの強奏部分の強弱の大きな落差などワルターの他の録音では聴けぬ解釈だ。
一方の第2楽章では、激した感情が次第に落ち着きを取り戻し、展開部でヴァイオリンの旋律に導かれて安息の解決を迎える部分などは、ウィーンフィルとの録音でも聴かれたワルターならでは芸格の大きさを感じさせる表現。

ドラマティックな盛り上がりを見せる「巨人」もワルターとしては珍しい。バイエルンのオケは決して良く鳴るオケではないが、かつて音楽監督であったワルターの棒に懸命に食い下がっている。

P3210192沼響のHPに聴き比べコラム、「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。今回はフランスの巨匠ポール・パレーの演奏。

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2006年5月 1日 (月)

CDプレーヤー沈黙す

暑い! 今日は強い南風によるフェーン現象により気温が急上昇。30度を超える真夏並みの天気となってしまった。湿度が低いのがせめてもの救い。

今日は休みなので運転免許の書き換えに行く。朝一番なのに連休中ということでかなり混雑。駐車場には誘導する人が大勢出ていた。
混雑している割には手続きがシステム化されていてスムーズに進行していく。

午後は下の娘の家庭訪問、家に来た担任の先生は偶然にも以前から顔見知りだったりするので、大部分娘とは関係ない話で終わってしまった。

P5010290この暑さのためでもなかろうが、この冬から調子が悪かったCDプレーヤー、フィリップスのLHH700がとうとう動かなくなってしまった。トレイが開かないのだ。スイッチを押すと懸命に開こうとするのだが途中で止まって引っ込んでしまう。

ハードオフで入手した中古品だが、アナログ的な気品のある音で大変気に入っている。
致命的な故障でもないので明日にでも修理に出そうと思う。

とりあえず家にあったパイオニアのDVDプレーヤーにつなぎ変えてCDを聴いてみる。
予想されたとはいえ、映像向けの音作りで一見横の広がりは有りそうだが、奥行きと音質の気品という点であまりにも大きな落差にがっくり。しばらく欲求不満が続きそうだ。

P5010291そのような中で聴いたのは、ポルトガルの指揮者フレイタス・ブランコのラヴェル。
フランスEMIが出した2枚組CDで、ファリアとトゥリーナなどのスペイン物とラヴェルが入っている。
中では作曲者と親しい仲にあったラヴェルが素晴らしい。オケはシャンゼリゼ劇場管、「亡き王女のためのパヴァーヌ」はクリュイタンス盤でも名演を聴かせてくれたルシアン・テーヴェがホルンを吹いている。
「ラ・ヴァルス」や「道化師の朝の歌」では、生命力溢れる生き生きとしたリズム感が秀逸。一転して「ボレロ」では作曲者自演のテンポに極めて近いスローモーな演奏、フランスの管楽奏者たちの名人芸をじっくりと堪能させてくれる。

P5010293この録音のオリジナルであるデユクレテ・トムソンのアナログ盤も聴いてみる。「ラ・ヴァルス」と「ボレロ」がカップリングされている10吋盤。

CDと比べるとハイ上がりな音だが、音の鮮明度と輝かしさでCDより明らかに優れている。今日聴いたDVDプレーヤーではとても太刀打ちできない。

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