グレンジャーのリンカンシャーの花束
仕事の帰りに狂言を見に行った。「野村万作・萬斎による狂言の世界」、番組は「附子」「六地蔵」というポピュラーなもの。沼津市民文化センター大ホール。
著名な二人の出演とあって、広い文化センターは8割ほどの入り。最初に丁寧な解説が入るのが私のような門外漢にはありがたい。
たあいのない単純なストーリーの喜劇。極限まで簡略され、洗練された舞台と出演者の動きに時間と空間が凝縮している。
野村万作は何度か見たことがあるが今回は「六地蔵」のすっぱ役。飄々とした枯れた滋味のある演技はやはり見事なものだ。だが広い大ホールでは、他の出演者との声量の落差が気になってしまう。
今日は、オーストラリア生まれの作曲家・ピアニスト、パーシー・グレンジャーの曲をいくつか聴いてみた。
最初に聴いたのは吹奏楽のための作品で、イングランドの民謡をアレンジした曲集「リンカンシャーの花束」。ベルゲンフィルのコンマスだったE.Aadlandの指揮するノールウェイ陸軍軍楽隊による演奏で、ノルウェイのSIMAXというレーベルから出ているCD。
若々しくユーモアのセンス溢れる曲の連続、聴いていて自然と愉快な気分になってくる。
続いて、「リンカンシャーの花束」の終曲「行方不明の乙女が見つかった」の合唱バージョンを聴く。サイモン・ハルシー指揮のバーミンガムシティ響合唱団による、ディーリアス&グレンジャー・パートソング集というアルバム。英ConiferのCD。
幾分素人っぽい元気な歌唱ながら足踏みの音まで入り、これまためっぽう楽しい演奏。
最後にヴァンガードから出ていたユージン・リストによるグレンジャー・ピアノ曲集。
こちらは同じ曲でも吹奏楽や合唱とは異なった趣の美しくも上質なサロン音楽。黒光りするような音色のユージン・リストのピアノも見事なものだ。
このアルバムには、ピアニストとしても達者だったグレンジャー晩年のライヴが2曲収録されている。1957年、デンマークでのライヴ録音で、グレンジャーが75才の時のステレオ録音。曲は、R.シュトラウスの「バラの騎士」をアレンジした「Ramble on Love」と、有名な「Country Gardens」。
サロン的なリサイタルのアンコールなのだろう。身近に聴こえる聴衆のざわめきと暖かな拍手が臨場感豊かに聴こえてくる。
グレンジャーのピアノはさすがに技巧の衰えは隠せないものの、飄々として自らが楽しんでいる曲運びに、今日見た野村万作の演技がオーバーラップしてきた。
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