リパッティ、ブザンソン告別演奏会
今日はビゼーのオペラが聴きたくなって、歌劇真珠採り」のハイライト盤を聴く。独EMIのLPで、チェコの指揮者ペシェクがロッテルダムのオペラハウスのメンバーを振っている。かなり以前に秋葉原のレコファンで購入したLPだが、ずっと聴かないままだった。
針を下ろしてみると、ちょっと珍しいほど低水準の演奏。テノールなど高音部分が限界ぎりぎりで歌っていて、聴いていて苦しくなってきた。ペシェクの指揮も雰囲気の乏しい単調なもの。
このまま今日が終わるのも寝つきが悪いので、「リパッティのブザンソン告別演奏会」を取り出した。こちらも独EMIで、Da capoシリーズのLP。
この中から第一曲めのバッハのパルティータ第1番と、シューベルトの即興曲を聴く。あまりにも有名なリパッティ最後の演奏会ライヴ。
聴衆の拍手に続き、リパッティの羽毛のような軽いタッチの指慣らしの音が聞こえる。
続いてバッハの音楽が始まると、力強さの中にふわりとした精妙な音楽が聴こえてくる。
とても病人とは思えないしっかりとした音楽運びが驚異的だ。シューベルトもなんと軽やかで自然な音。
このリパッティの最後の演奏会の素晴らしさについてはいろいろな所で言い尽くされているが、私にはリパッティの音楽に病的な青白さを感じたことはなく、健康的な力強さを感じることの方が多い。この最後の演奏会の前半のプログラムでも同様だ。確かにフラッとする危うい部分もない訳ではないが、リパッティはひたすら自分の音楽を黙々と引き続けている。誰のためでもない自分自身のために。
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