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2006年7月に作成された記事

2006年7月30日 (日)

フルトヴェングラー、スカラ座のリング

梅雨もようやく空けたというのに本日曇天。朝から雨もパラついている。遠くで夏祭りの花火の音が聞こえている。

昨日からレコード棚の見直しを行っている。お目当てのLPが見つからなかったり、ダブリ買いが増えたりしたためだ。今まではレーベル順にしていたが、CDと同じ国別作曲家年代順とすることにした。
レコードを並び変えているうちに、購入した覚えのないLPが次々と出てきて愕然とする。
未聴盤は別の場所に置いてあるので、一度は必ず聴いているはずなのに記憶から完全に飛んでしまっているのだ。そのような盤を興味深々でターンテーブルに置き、聴き始めたりするので、棚の整理は遅々として進まない。

P7280505ここのところ車の中でフルトヴェングラーのリングを聴いている。2000年にGebhartから出たCD12枚組で、1950年3月のスカラ座での記念碑的ライヴ。当時はフルトヴェングラーのリング全曲が5千円を切る価格で購入できるということで飛びついて購入したもの。放送局の音源を使用しているため音も極めて良い。

このワーグナーの大作を全曲聴き通すのは、一生の中でそう何度もあるものではないが、劇的なフルトヴェングラーの演奏はさすがに素晴らしい。同乗者はさぞ迷惑だったろうが、あと一枚で全曲の聴き通しが終わる。

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2006年7月29日 (土)

ホルストのパートソング集

30度を軽く超える猛暑の一日だったが、昼過ぎに夕立が有り多少過ごしやすくなった。
今日明日は沼津の夏祭り。花火の桟敷券を頂いたが、自分は行く気にはなれず、結局母と下の娘が行くことになった。

このような暑い夜は、ホルストのパートソング集を聴くことにする。
P7270502hyperionから出ているホルスト・シンガーズによる演奏で、少人数の合唱。伴奏もオーボエ一本にチェロやハープが控えめに加わったりと、極めてシンプルな構成。
アヴェ・マリアのような宗教的な作品からイギリス民謡を題材としたものまでのバラエティに富んだ珠玉の小曲集だ。

ひそやかで内省的な、このような世界がホルストの本質だと思う。「惑星」のような大曲は例外的な作品。
このCDの最後には、「ミリタリーバンドのための組曲第2番」のオリジナル曲の数々も入っていて、懐かしくも嬉しい気持ちになる。

P7270501続いてホグウッド指揮のセントポール室内管による、「セントポール組曲」も聴く。
弦楽合奏のこの曲の終曲も「組曲第2番」の終曲と同じものだ。ただしこのホグウッドの演奏は未出版の管楽器と打楽器が加わった版による演奏で、かなり賑やかなもの。
なお、初稿は最後に楽員の掛け声が入るものだったという。これも聴いてみたいものだ。

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2006年7月28日 (金)

モントゥー&フランス国立放送ライヴ

昨日一日空けていただけだが、今日は次々と来る仕事の波状攻撃にいささか疲れ気味。
帰宅も遅くなった。

アリアCDからCDが届いていた。
P7270503今回の大物は、フランスの大指揮者ピエール・モントゥーがフランス国立放送管を振ったライヴを集めたM&Aが出した組み物。半分近くは既出のものだが、フランクの交響曲や春の祭典など、モントゥーが得意としていた曲の初出音源に加えてベートーヴェンの第九ライヴ。そして「ローマの松」のように全く初レパートリーの曲もある。

P7280506その他はディスクモンターニュのCDやFNACのLPで出ていたことも有る音源。録音状態の聴き比べも楽しみだ。ジャケットはフランスのFNACから出ていた1955年6月9日のライヴを収めた2枚組LP。窓開き化粧箱が面白い。

P7270504広上淳一&日本フィルのラフマニノフの交響曲第2番のCDもようやく届いた。この演奏はピアニストの海瀬京子さんが強く勧めていた演奏。
そのうちに感想をアップしようと思う。
そういえば、昨晩は東京青山で海瀬さんのリサイタルがあった。自分は行けなかったがチケットも完売、非常に良い演奏会であったようだ。

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2006年7月27日 (木)

吹奏楽コンクール地方大会

今日は一日休みを取り、娘が出場する吹奏楽コンクールの地方予選を聴きに行った。
場所は富士のロゼシアター。

プログラムを見ると、大部分はオーケストラ作品のアレンジものだ。自分が中学の時は、吹奏楽のオリジナル作品ばかりだった。
「トスカ」や「トゥーランドット」、「ナブッコ」などのイタリアオペラの名作の吹奏楽編がずらりと並ぶのも時代の移り変わりを痛感する。プロコフィエフの「アレキサンドロフ・ネフスキー」まで登場しているのには驚いた。いずれも大作曲家の著名作品であるだけに、それなりに聴かせるが、原曲を知る耳には良い所取りの中途半端さは否めない。

演奏する中学生たちは皆真剣そのものの表情。青春真っ只中の爽快さも感じられ聴いていて気持ちの良いものだ。
ドラを吊るしている紐が切れて大きな音をたてながら転がりだす団体があったりと、予期せぬハプニングが起こるのもコンクールという特殊な場ならではだろう。

娘の学校はプログラムの最後に登場。自由曲はバーンスタインの「キャンディード序曲」という難曲。特にホルンには二つのミュートの持ち替えが煩雑な曲だ。

最初の課題曲はなかなかの好演で、特に打楽器セクションの優秀さが目に付いた。
「よし!なかなかいいぞ」と思ったが、続く自由曲で、メンバーの技量の凹凸がクローズアップされてしまった。一人のソロの僅かなミスが次第に伝染、だんだんと全員がヨレヨレになっていく。なんとも脆いものだ。結果は予想とおりの銀。
中三の娘の夏もこれで一つの区切りがついた。

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2006年7月26日 (水)

ドゥアットのジムノペディ

今朝、我が家の愛犬ポチが鎖を切って逃亡。数年前に小猿が庭の柿の実を取りに来た時にも、柿の木の下で尻尾を振っておこぼれを頂戴するようなお間抜けな老犬だが、力の強さはいまだに衰えない。ここのところの蒸し暑さでストレスが溜まっていたらしい。
隣りの庭先に飛び込みちょっとした騒動になったが、なんとか取り押さえ庭木に繋ぎ、慌てて出勤する。

P7260500今日も昨日に引き続いてドウアットのサティを聴く。今度はスイス・イタリア語放送管を振ったアルバムで、ドビュッシーの「小組曲」「聖なる舞曲と世俗的な舞曲」「シランクス」そしてドビュッシー編による「二つのジムノペディ」のカップリング。こちらもムジディスク原盤の日本コロンビアが出していたLP。

止まりそうなほどゆっくりなジムノペディ。あまりの遅さに太めの音色のオーボエが限界点を超えているが、清楚な雰囲気の中に哀愁の漂う雰囲気豊かな好演。

P7260499もひとつサティ。これもまた日本コロンビアの廉価盤LPで、古色蒼然たるジャケットが特徴的だったヒストリカルレコーディングシリーズのLP。
ラヴェルの直弟子、マニュエル・ロザンタールの指揮するサティ管弦楽曲集から「パラード」を聴く。オケはフランス国立放送管。

野趣に満ちたドウアット盤に比べるとぐっと洗練された演奏。録音が極めて生々しく、サイレンやタイプライターはまさに実在の響きだ。

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2006年7月25日 (火)

ドウアットのサティ

今日はサティが聴きたくなった。

P7250501手が伸びたのはフランスの指揮者、ローラン・ドウアットの指揮するルクセンブルク放送管のサティ管弦楽曲集。ムジディスク原盤の日本コロンビア廉価盤で、「パラード」、「ルラーシュ」、そしてサティの死後、部屋のガラクタの中から発見されデゾルミエールが編曲した「ブラバン伯爵夫人ジュヌヴィエーヴ」のカップリング。もう20年以上前に学生時代に購入したアルバム。

隙間だらけのアンサンブル、実にヘタクソなオケだが、開放的なドウアットの指揮の下、思い切り楽しんで演奏している様子が素直に伝わってくる味わい深い演奏。
おもちゃ箱をぶちまけたような雑然としたチープさの漂う「パラード」。
そして合唱とソプラノ、テノールソロが加わるマリオネットのためのオペラ「ブラバン伯爵夫人ジュヌヴィエーブ」の地声丸出しのなんとも素人臭い歌唱がたまらない。

P7250500チッコリーニの弾くサティも聴く。サティのピアノ演奏として余りにも有名な全集からのベストアルバム。
ジムノペディやサラバンドのさりげない叙情。純粋にして簡潔な響きに部屋の空気が自然と浄化されていくかのようだ。

チッコリーニの静とドウアットの動、どちらもサティの一面に異なる角度から光を当てた名演だ。

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2006年7月24日 (月)

ウエルディケのハイドン

気温はそれほど高くないが湿度が高い一日、洗濯物の乾きも悪い。
昨日ビデオに撮っておいたNHK特集「ワーキングプアー」を見た。この国の深いところで着実に大きな変化が起きている。真面目に努力しても報われない社会となってしまったようにも思える。予測のつかない不安に満ちた未来への大きな不満が、社会のいたるところで広がっているような恐怖。

P7240499今日はデンマークの指揮者、モーゲンス・ウエルディケのハイドンを聴く。ヴァンガード原盤のCDで99番から104番までの交響曲が入った3枚組。オケはウィーン国立歌劇場管で、ボスコフスキーの名が見える。1956年録音。かつてこの中から「軍隊」「時計」「ロンドン」を抜き出した廉価盤LPが出てていた。ただしLPでは3曲を詰め込むために、リピートはカットしていたように記憶している。

大編成のオケによる古きよき時代のロマンティックな演奏。パリッと糊の効いたワイシャツを着たような姿勢を正した端正さも感じられる見事なもの。
ニックネームが無いために人気はないが、99番第1楽章の推進力、102番の第2楽章アダージョの深い表現が印象に残る。かつては気がつかなかったが「軍隊」の第一楽章のブラスの強調など意表を突く表現も所々で聴かせる。

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2006年7月23日 (日)

ソンドラ・ビアンカのチャイコフスキー

未だ梅雨は明けず九州では大水害となっている。ここ数年の異常気象は、やはり地球温暖化の影響だろうか。今日も昨日に引き続き仕事。

71351_32913昼食は職場近くの洋食屋「KOU」でパスタ。
ここは厳選された材料と店主さんの確かな腕で、なかなか楽しめるお店だ。食後にカルピスバターを使用したフローズンチョコレートのサービスもあり、おまけに最近入荷したという高級グラッパを少々舐めさせていただいた。口に含むと、熟成された甘いアロマと強烈なアルコールがふわりと口の中に広がる。
グラッパといえばイタリアの大衆向けの酒だが、これは高級ブランデーそのものだ。
お店ではワンショット1,500円で出しているとのこと。ありがとうございます、良いものをいただきました。

P7230495今日はアメリカの女流ソンドラ・ビアンカのピアノを聴く。ソンドラ・ビアンカといえば、かつて日本コロンビアの1,000円盤シリーズで、廉価盤の帝王ハンス・ユルゲン=ワルターと組んで有名曲をいくつか録音していたが、今日聴いたのはコンサートホールから出ていた、バンベルガー指揮によるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番の演奏。オケはコンセルド・パリということになっている。

硬質なタッチでバリバリ弾きまくる男まさりのピアノ。全く危なげのない見事なテクニックだ。バンベルガーの指揮はところどころポルタメントをかけたりする古めかしいもの。
オケはパリのオケだということだが、全然フランスのオケの特徴が感じなれないインターナショナルな音色。アンサンブルもかなり怪しげだ。

P7230496もひとつビアンカのコンサートホール盤で、ガーシュインの「アイ・ガット・リズム変奏曲」も聴く。
こちらは、ワルター・ゲール指揮の管弦楽団。輝かしい音色とリズムの切れも良く、これは楽しめる。

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2006年7月22日 (土)

ガロワのモーツァルト

ここのところ雨ばかりだったが、今日は曇り空。久しぶりに自転車で職場へ向かう。
狩野川では数匹のカワウがしきりに小魚を飲み込んでいた。支流の柿田川に集まる鮎だろうか。

P7220496今では指揮者としても活躍しているフランスのフルーティスト、パトリック・ガロワのモーツァルトを聴く。
1985年に日本ビクターによって録音された「モーツァルト:フルートと管弦楽のための作品集」というタイトルで、フルートとハープのための協奏曲を含む三つの協奏曲と、アンダンテハ長調、ロンドニ長調、そして世界初録音のサリエリのフルート協奏曲が入ったアルバム。
クリヴィヌ指揮のフランス室内合奏団の伴奏、ハープはガロワが属していたフランス国立管のソリスト、フレデリック・カンブレラン。

金のフルートを使用した華麗で澄みきった美しい音色と完璧なテクニック。典雅なフランスのモーツァルトを堪能することができる素晴らしいアルバム。クリヴィヌの繊細な指揮も見事なものだ。
聴いているうちに、実演で聴いたハープのカンブレランの優雅な姿を思い出した。

P7220495沼響のHPに「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はスラットキン&セントルイス響の全集録音から。連載31回目。


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2006年7月21日 (金)

チャイコフスキーの四季

今日も朝から雨。今年の梅雨は長い、いつ明けるのだろうか。
今日は文化センター主催のディスクコンサート本番の日。仕事を早めに切り上げ、選んだディスクをバッグに詰め会場へ急ぐ。準備の最中にアシスタントの女の子が「今回も雨ですね」とポツリとつぶやいた。そういえば沼響の演奏会やPTAの行事など、最近自分の関係する行事は全て雨だった。どうやら強烈な雨男は自分らしい。

本日はモーツァルト生誕250年にちなんで、内田光子とラーンキの演奏を聴き比べてみる。合間に最近見つかったコンスタンツェの写真の話などを織り交ぜながら進行。
雨の中、遠方から集まったお客さんたちが自分の拙い話を真剣に聴いてくれる。嬉しいやら恥ずかしくも申し訳ないような複雑な気持ちになる。

帰宅後、賞味期限切れのアサヒスーパードライの入った杯を傾けながら、チャイコフスキーの「四季」を聴く。
P7210496_1聴いたのは「四季」に強いこだわりを持つロシアのピアニスト、イーゴリ・ジューコフの演奏で1974年日本での録音。原典版使用、詳細な解説もジューコフ自身が書いている。さらにLPジャケットの絵もジューコフが描いているという徹底ぶりだ。
ところが肝心の演奏が気負いすぎているようで深い感動に欠ける。肩に力が入りすぎているのではなかろうか。

P7210495_1私には同じロシアのピアニスト、アレクセイ・チェルカーソフの清楚で叙情的な演奏の方がよほど感銘深いものがある。「2月冬送りの祭り」では輝かしくも粒立ちの良い美しい音を聴かせてくれる。

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2006年7月20日 (木)

バッハのシャコンヌ、オケ編曲版

今朝のニュースで小澤征爾のリハーサルの模様が放送されていた。
曲はマーラーの「復活」。病もすっかり癒えたようだ。元気な指揮ぶりでマーラーの壮大な世界を描き出していて安心する。

P7200500今日は小澤征爾の演奏が聴きたくなった。聴いたのは1984年の斉藤秀雄メモリアルコンサートのライヴからバッハ(齋藤秀雄編)のシャコンヌ、オーケストラ版。
齋藤秀雄門下がその日のために集まった豪華メンバーによるオケの演奏。このオケがやがてサイトウキネンオーケストラに発展していくが、弦楽器奏者に関する限りこの第一回が最高のメンバーだった。

この演奏がテレビで放送された時には、世界的な奏者がずらりと並ぶ壮観な眺めに圧倒されたものだ。齋藤秀雄の編曲はオーケストラ用の大規模なエチュードのような編曲。異様なほどの熱気に溢れた演奏の良さで聴かせてくれるが、編曲自体は木に竹を接いだような部分も感じられる。

P4090241P7200499同じオケ編でも、色彩的なオーケストラのパレットを効果的に駆使したヨアヒム・ラフや壮大なストコフスキーの編曲の方が、曲としては楽しめる。
ジャケットはスラットキン&BBCフィルとストコフスキー&ロンドン響によるバッハ・トランスクリプションズ。

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2006年7月19日 (水)

フランシス・マクベス自作自演

朝から強い雨、各地で大きな被害が出ているようだ。

今日は昔懐かしい吹奏楽のCDを聴く。自分が中学・高校の頃、コンクールやら演奏会やらで盛んに演奏されていたのがマクベス、ネリベル、リードというアメリカの作曲家たちの作品だった。リードは現在まで根強い人気を保っているがマクベスの作品は今でも演奏されているのだろうか?

P4010228聴いたのはサザンミュージック社が出しているマクベス自演CDで、テキサスの大学バンドの演奏。マスク、バッタリア、聖歌と祭り、ドラマティコといった懐かしい作品が並んでいる。
マクベス自演はLP時代に2枚組のシリーズがアメリカのレーベルでも出ていた。

テキサスの大学バンドの演奏は、大編成の物量で押しまくる傾向のかなりラフでオソマツな演奏。音程も怪しい。かつて出ていた全日本吹奏楽コンクールの実況盤で聴いた日本の高校生達の完成度には遠く及ばない。
改めていろいろと聴いてみると同工異曲、同じパターンの繰り返しで飽きてしまった。時代を超えて生き残るのはちょいと苦しい。次第に演奏されなくなってしまったのも判るような気がする。

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2006年7月18日 (火)

サンティのヴォルフ・フェラーリ集

今日は一日雨。気温の急激な変化に油断すると風邪をひきそうだ。
昨日妻の実家に畑で採れたトウモロコシを持っていったところ、缶ビールを沢山いただいた。

その数50本余り。ヤッホー!と言いたいところだが、これが賞味期限切れのものばかり。
昨年のお中元やお歳暮で頂いたのを、押入れに入れておいたまま忘れていたのだという。岳父は大酒飲みで、贈答品は酒ばかりだがビールは飲まない。

P7190498冷蔵庫に入れておいたその中の一本をコップに注いでみた。アサヒ・スーパードライのアルミカンの底には賞味期限2006.02の文字。
通常よりも泡立ちが良く多少色も褐色度が増しているようだ。熟成が進んでいるのだろうか、見た目はなかなかうまそうだ。恐る恐る口に運んでみると、苦味が少なめで多少味が薄いような感じ。発泡酒や第三のビールよりも本物のビールらしい味がする(苦笑)。
今年の夏は当分これで間に合いそうだ。

P7090486今日は、イタリアの巨匠ネッロ・サンティ指揮するヴォルフ・フェラーリ管弦楽曲集を聴く。オケはパリ音楽院管の国内盤LP。
歌劇「スザンナの秘密」序曲、「四人の田舎者」間奏曲、「聖母の宝石」組曲ほか。「聖母の宝石」間奏曲ではフルート序奏がカットされているのがマイナスだが、ネアカで軽く甘いメロディーが次々と流れてきて実に楽しい。
演奏もイタリアの田舎風味丸出しの鄙びたもので、多少ラフなオケのアンサンブルが妙に曲想に合っていて面白い。「ナポリの踊り」では、マンドリンのような音が聞こえてくる。

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2006年7月17日 (月)

ギーゼキングのモーツァルト

午後から雨がパラつき、昨日より過ごしやすい一日となった。今日も職場に顔を出そうと思ったが、明日からハードな毎日になりそうなので休むことにする。
オーディオ部屋のクーラーはまだ不調。買い替えも考えてはいるが、とりあえず部屋の主な発熱供給源となっている8個の白熱電球を蛍光灯に交換してみた。
多少は涼しくなったような気がする。

P7150490P5220353_2今日は下の娘の弾くピアノを見たりしながら、ギーゼキングの弾くモーツァルトのピアノソナタ全集からK.331、332の2曲を聴いた。
淡々としていて、ちょい聴きではぶっきらぼうなほどに即物的なモーツァルト。しかしながら響きのパレットの中には驚くほど多彩な音が詰まっている。

続いて小林道夫の弾くフランス組曲全曲から3,4番を聴いてみた。明快でいて慈愛に満ちた素晴らしいバッハだった。

P7020462P7170496沼響のHPに、聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はプレヴィンがロンドン響とロイヤルフィルを振った2種の演奏。連載30回め。

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2006年7月16日 (日)

メータのローマの祭

人は引き際が肝心と言われるが、今回のワールドカップを最後に引退となった中田英寿とジダンの両者を見てなおさらの感を深くする。

自分の職場でも同様な事態が発生。突然一人消えてしまった。長い間その分野のスペシャリストとして、内外でそれなりの評価を受けていた人だけに非常に残念だ。
退くのは個人の自由だが、後始末はキチンとしていただきたいものだ。責任の有る立場にいた人だけになおさらだ。おかげで自分の仕事が倍増。今日も仕事で後始末に追われる一日となった。

今日はスカッとした音楽が聴きたくなった。
P7090484聴いたのは若き日のズービン・メータの指揮するレスピーギの「ローマの祭」。ロスアンジェルスフィルを振った65年頃の録音で、ジャケット表示がツビン・メータとなっているRCAの国内LP。カップリングは「ドン・ファン」。

一歩誤ると軽薄な音楽に陥る危険を孕んだ曲だが、メータはオケを豊麗に慣らしながら、ゆっくりじっくりと細部まで実に丁寧に仕上げている。
ブッチーナとホルンの遠近感も良く出ているし、通常の倍テンポでホルンが嚠喨と響く10年祭が実に爽快。緊張感の漂う消え入るようなピアニシモから熱狂の終曲「主顕祭」になだれ込む手腕も見事なものだ。

P7160495同じ頃のメータの演奏を聴きたくなって、デビューレコーディングとされるベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」を聴く。
ブレンデルの独奏で、VOX原盤の日本コロンビアから出ていたダイアモンド1000シリーズのLP。かつては1958年録音とされ、このLPのジャケットにはウィーン・プロムジカ管と書かれているが、最近のCDではオケはウィーン響で録音は1964年となっているようだ。本当だろうか?ウィーン響としては小編成でアンサンブルもオソマツ。録音もステレオだが響きが薄くずいぶんと乾いた音だ。

オケが非力にもかかわらず、メータはブレンデルの端正なソロに見事に同化した良い伴奏を付けている。はじめ第一楽章だけにしようかと思ったが結局全曲聴いてしまった。

ブレンデルは、この頃ベートーヴェンのピアノソナタとコンチェルト全曲の録音を行っている。この「皇帝」は後の録音のようなスケールの大きさには欠けるものの、古典的な格調の高さが感じられるまとまりの良い演奏だと思う。

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2006年7月15日 (土)

アンドレのトランペット

巷は3連休、絶好の行楽日和とあって、近くの国道414号は伊豆方面へ向かう車で混み合っている。このような猛暑ではどこにも出かける気にはならず、結局一日ダラダラと過ごしてしまった。

P7150489クーラーが壊れているので軽い曲しか聴く気にならない。そこで名手アンドレの吹くバロック音楽の数々を聴く。聴いたのはフォンタナの廉価盤グロリアシリーズの1枚。ボーカン指揮のルーアン室内管、ガブリエル・マッソントロンボーン四重奏団とブーレイのチェンバロの伴奏。

曲は、L.モーツァルト、テレマン、アルビノーニのトランペット協奏曲とヘンデルとマルチェロのソナタ、コレルリの舞踏組曲というもの。いずれもオリジナルはオーボエやフルートのソナタやオルガンのための教会ソナタで、純粋なトランペットの曲はL.モーツァルトの作品のみだ。録音はステレオ初期の古いものだし、アンドレのトランペットも後の演奏に比べると野暮ったさが多少感じられる。

この中では幾分悲劇的な翳りを帯びたテレマンと、トロンボーンの伝説的名手マッソンとののコンチェルトグロッソを管楽合奏に編曲した愉悦感溢れるコレルリが印象に残る。

P7150491もひとつアンドレ。こちらはエラート録音のトランペット協奏曲集で、パイヤールとリステンパルトの伴奏。ヴィヴァルディやアルビノーニ、タルティーニといったイタリアの作曲家たちの作品集。
オリジナルはヴィヴァルディのみだが、イタリアの同じような個性の作品ばかり集めているためにどの曲も同じように聴こえてきた。

演奏はフォンタナ盤よりも洗練され申し分ないのだが、変化に乏しく、一枚のアルバムとしての面白みはあちらの方が上だ。

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2006年7月14日 (金)

モーツァルトの妻、コンスタンツェの写真

先日訪れた掛川城天守のことが気になって、図書館で「掛川城復元調査報告書」に目を通した。関が原の戦いの後山内一豊は、高知城築城の際、「天守は掛川の通りとするように」と指示を出した、という複数の記録が残っているらしい。
結局このことが根拠となり、復元の際高知城天守を参考にしたという。似ているわけだ。

今日はこの夏一番の暑さとなった。天竜では38.2度。数日前から鳴き始めた蝉の声もこの猛暑のため心なしか元気がない。
このような時に、音楽室のクーラーが壊れてしまった。スイッチを押しても熱風しか出てこない。部屋の温度計は夜だというのに38度を指している。こりゃたまらん。

P7130487今日は窓を開けながら、フランスのピアニスト、ロベール・カサドシュの弾くピアノ協奏曲第15、17番をひっそりと流した。1968年録音の、セル&クリーヴランド管との一連の協奏曲録音の最後となった演奏。

第17番は、モーツァルトのピアノコンチェルト中最も好きな曲。この曲を境にモーツァルトのピアノ協奏曲は大きな飛躍を遂げている。

060706180541wrhnlpmbモーツァルトの妻、コンスタンツェ晩年の写真が南ドイツの公文書館で見つかった。
コンスタンツェ、78歳の写真で1840年の撮影。(前列左端)
悪妻として有名なコンスタンツェだが、この写真は寂しげな表情にも見える。この2年後にコンスタンツェは亡くなっている。

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2006年7月13日 (木)

パールマンのシネマ・セレナーデ

ココログのメンテナンスは予定通り終わった。多少レスポンスが良くなったようだ。
昨日は仕事で掛川へ行った。用件は2時に終了し、その後近くの掛川城内を案内していただいた。
NHK大河ドラマで取り上げられているだけあって、山内一豊記念館が建てられ、ドラマで使われた台本や衣装が展示されている。周辺は「功名が辻」一色だ。

Oshiro掛川は暑い、お城の急な階段を登っていくうちにダラダラと汗が噴き出してきた。完全木造で復元された掛川城天守閣は、同じ山内一豊が築いた高知城の天守閣をちょっと小ぶりにした感じで極めてよく似ている。本丸の縄張りも瓜二つだ。
天守の復元にかかった10億円は全て市民の寄進によってまかなわれたという話を聞いて驚いた。沼津で同じ話が持ち上がった時、これほど集まるだろうか。

天守を降り、当時のまま残されている国指定重要文化財の二の丸御殿も案内していただいた。幕末の財政難の時期に建てられたためずいぶんと質素な御殿だが、映画「雨あがる」のロケにも使われただけあって当時の雰囲気を良く残している。その後お茶室でお茶を点てていただく。外のつくばいで名も知らぬ小鳥が水浴びをしていた。忙中閑有り。

P7130488今日はパールマンの弾く「シネマ・セレナーデ」というスクリーンミュージックアルバムを聴く。「カラーパープル」のメインテーマから始まり「ニューシネマパラダイス」の愛のテーマで終わる比較的最近の映画を集めた13曲をジョン・ウィリアムス指揮のピッツーバーグ響がバックを付けている豪華なアルバム。
大部分はジョン・ウィリアムスのアレンジだが、「黙示録の四騎士」だけはアンドレ・プレヴィン。

艶のある甘美な音色の中にちょっぴり哀愁を帯びたパールマンのヴァイオリンが素晴らしい。アレンジと伴奏も控えめながらツボを外さない見事なものだ。選曲と曲の配列も絶妙だった。
この中では「ニューシネマパラダイス」の愛のテーマが懐かしい。全編エンリコ・モリコーネの名旋律が散りばめられたこの名作の中で、この愛のテーマだけが息子のアンドレア・モリコーネの作だが違和感は全く感じられない。

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2006年7月11日 (火)

小澤征爾のカルミナ・ブラーナ

ここのところ湿気の高い日々が続く。今朝も朝から裏山から降りてきた霧が家の周囲に漂っている。

P3170160昨日は、89年大晦日のベルリンフィルのシルヴェスターコンサートのDVDを視た。
小澤征爾の指揮、合唱に日本の晋友会合唱団が加わり話題となったもの。独唱は当時人気の絶頂期にあったキャサリン・バトルに、フランク・ロイド、トーマス・アレンが加わる。

この演奏は、かつてBSで何度も放送されたしビデオでも見たことがあるが、DVDとなって画質、音質ともに大幅に向上した。ただしビデオに付されていた字幕はDVDには付いていない。

小澤征爾が実に若々しい、鮮やかな棒さばきも見事なものだ。合唱も熱演で全て暗譜で歌っているのには驚いた。名手フォグラーの怒涛のティンパニも凄まじい。

ちょいと覗いたBOOK OFFで珍しいCDを見つけた。
P7110488N響の首席チェリストで、96年、活動の絶頂期で倒れた徳永兼一郎の弾くブラームスのチェロソナタ第1、2番。アポロンから出ていたCDでピアノは藤井一興が弾いている。

先日ヤフオクからLPが届いたばかりだし1,000円という値段に多少の躊躇はあったが、この種の廃盤は一度逃すと再度お目にかかれない可能性もあると思い、購入を決める。(ネットで検索したら現在フィリップスから出ているようだ。まぁ、いいや)

P7110489リストの世界初録音CDも見つけた。ピアノ協奏曲第3番、「深き淵より」「死の舞踏(1853年版)」というものでピアノはS.メイヤー、ヴァシャーリ指揮のロンドン響のASV原盤の日本クラウン盤。こちらは250円。


今日の午後から13日まで、ココログのメンテナンスで更新が出来なくなる。
過去の例を見ると予告通りの日程で終わったことがないが、せめて夜に更新ができるようになって欲しいものだ。

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2006年7月10日 (月)

クレオ・レーンのシェーンベルク

昨日車中で聴いたチェリビダッケ&ロンドン響ライヴセット。79年録音のブラ1を帰宅後再聴してみた。ところが、カーステレオでは全く感じなかったのだが、家のオーディオで聴くと音が悪い。音像が遠くレンジも狭い。70年代にカセットに録音したFMエアチェックテープを現代のオーディオで聴くような音だ。演奏もかなり腑抜けな演奏にしか聴こえない。演奏終了後の拍手は盛大だが。

ヤフオクで落としたLPが届いた。
P7090480今回は女声ヴォーカルものが多く、ジャズヴォーカリスト、クレオ・レーンの歌うシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」。フィリップジョーンズブラスアンサンブルでトランペットを吹いていたエルガー・ハワース指揮するナッシュアンサンブルが伴奏を付けている。アイヴスの歌曲のカップリング。最近タワーレコードから復刻CDが出たが、CDにはアイヴスは入っていない。

P7090476P7090473P7090485そしてM.カバリエの歌う「グラナドス歌曲集」とモッフォの「ウィーンオペレッタ集」オイロディスク盤。
ラローチャの弾くトゥリーナピアノ曲集旧録音のスペイン・ヒスパヴォックス盤

P7090481P7090479オケ物では、オッテルロー&ハーグフィルのシベリウス、グリーグ、スヴェンセンの北欧曲集フィリップス盤。最近出たオッテルローのCDBOXにはグリーグ以外は含まれていない。ワーナーから出ていた「失われし調べを求めて」シリーズから、エルンストとゴダールのヴァイオリン協奏曲VOX盤。
P7090477P7090475敏腕プロデユーサーA.カザンのプロデユースによるファーバーマン指揮する欧米のメジャーオケの打楽器奏者を集めた打楽器アンサンブルによる「カルメン幻想曲」ベートーヴェンの第九第2楽章、幻想交響曲の断頭台の行進VOX盤。そしてファザーノ指揮ローマ合奏団他によるグルック「オルフェオとエウリディーチェ」抜粋などなど。

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2006年7月 9日 (日)

チェリビダッケのブラ1

今日は親戚の法事のため伊東へ。9時に出発し、伊豆長岡から大仁を経てに亀石峠へ向かう。日曜だが雨模様の天気のため道路は空いていた。
峠を付近はミルクを流したような一面の霧。そのうち激しい雨が降ってきた。40分ほどで目的地へ到着。法事を済ませた後、伊東の中心市街地にある「ステーキハウス池田」で食事となった。関東圏のテレビCMにも出ている有名店らしい。

P7090470往復の車中で聴いたのはチェリビダッケがロンドン響を指揮した1978~1982年ライヴ集10枚組CD。
この頃チェリビダッケとロンドン響は来日していて、NHKFMで生中継された「展覧会の絵」は驚異的な名演だった。

このセットにも「展覧会の絵」はあるが、聴いたのは「画家マチス」、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」、そして二種類の録音が収録されているブラームスの交響曲第1番の1979年録音。
いずれも極限まで音を磨き抜いたような透明純潔な演奏。ピリピリとした触れれば血が吹き出るような緊張に満ちている。

P7090471帰宅後、沼響で演奏することになったモーツァルトのピアノ協奏曲第12番も聴いてみた。演奏は内田光子のピアノにテイト指揮イギリス室内管のフィリップス盤。
弦楽器にオーボエ、ホルン各2本という小編成のオケ、ヴァイオリンもユニゾンが多いようだ。
有名曲ではないが、宝石のような純粋な光輝く音の粒が散乱する若きモーツァルトの愛らしき佳品。内田光子のピアノも素晴らしい。

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LHH700復帰

昨日の天気予報は雨だったが、昼間は曇り、日付が変わった頃から雨が降ってきた。
何度も書いているが、ココログは午前1時過ぎの空いた時間にならないと更新ができない。

P7070469_1修理に出していたCDプレーヤーが直ってきた。実はかなり前に修理は完了していたのだが、忙しくて取りに行けなかったのと、代わりに使用していたパイオニアのDVDプレーヤーの音も、レガートリンクコンバージョンとやらで比較的良好な再生音だったので、特に不満を感じていなかったからだ。そのうえ、このプレーヤーはDVDオーディオも再生できる。画像はパイオニアのプレーヤー。 

とにかくLHH700につなぎ変え、プレヴィンの指揮するラフマニノフの2番のCDを聴いてみたが、やはりその差は歴然。15年前の製品だが音の品格と奥行き、いずれもフィリップスの圧勝だった。
それにしてもパイオニアのDVDプレーヤーでもそれなりに満足していた自分の耳もあてにならないものだ。

ヤフオクで落としたLPが何枚か届いているが、既に午前2時を回ってしまった。早朝から親戚の法事で伊東まで行かねばならないので寝ることにする。

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2006年7月 8日 (土)

アブラヴァネルのマーラー

夜9時以降のココログの更新が全く出来なくなってしまった。
昨日職場で驚天動地の出来事があり、今後の状況が全く分からなくなってしまった。はっきりしているのはこれから超多忙となってしまうということだ。音楽をゆっくり聴く時間が取れなくなってしまうかもしれない。

昨日は、今月一杯で休止となってしまうクラシック音楽最大の掲示板、「クラシック招き猫」で話題となっていたアブラヴァネルのマーラーを聴いた。

今から10年以上前のパソコン通信全盛の時代、ニフティサーブにFCLAというクラシック音楽掲示板があった。参加者の質、量ともに最大の掲示板で、毎日楽しみにしていて、よく発言もしたものだが、インターネットの普及に伴い、FCLAのアクティブたちは多方面に拡散、次第に発言数も減り今年の3月に消滅してしまった。

インターネット時代に入り、情報量の多さでは「2ちゃんねる」があるが、あれは完全に無法地帯で、FCLAのような一定のルール中で、良識のある発言の集まる総合掲示板はなくなってしまった。そのような中、FCLAの水準には及ばないが、「招き猫」は「クラシック井戸端会議」から続く数少ない総合掲示板だった。今月で最後ということもあり、ここ数日久しぶりに発言をアップしている。

アブラヴァネルはアメリカのユタ響の音楽監督を長く務め、膨大な量の録音を残している。
ところが国内ではルロイ・アンダーソンの曲集くらいしか紹介されず、全く無視された格好だ。

P7070468_1聴いたのはマーラーの交響曲第7番。テナーチューバのソロで始まる冒頭から穏やかで鄙びた音楽が鳴り響く、劇的でオケを壮大に鳴らす多くのマーラー演奏とは全く異なるタイプの演奏だ。ティンパニソロのファンファーレで始まる終楽章もひたすら静穏な気分に満ちている。
初めて聴いた時は凡演としか思えなかったが、「夜の歌」とも言われるこの曲にこれほどふさわしい演奏はないように思えてきた。

モルモン教の総本山ソルトレイクシティにあるユタ響は、巨額の補助を受け、良い楽器も揃え団員の待遇も良いと聞く。残された演奏は、幾分乾いた枯れたような独特の音色ながら水準はきわめて高く、史上初のマーラー交響曲全集はこのコンビの偉大な遺産だ。

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2006年7月 6日 (木)

第九本日の練習

毎週木曜は第九の練習日。沼響の練習会場である沼津市民文化センターの小ホールや練習室は合唱団がパート練習で使用するために、沼響は本番の演奏会場である大ホールでの練習が続く、まるでプロ並。ありがたいことだ。
今回の演奏会は、指揮者の井崎先生の意向で沼響初めての試みの対向配置となる。

今日は第2、3楽章の練習で、指揮は団内指揮者。井崎先生の意図を受け先生のテンポで練習が進む。極めて速いテンポ。現在主流となっているピリオド楽器による演奏に聴かれるようなすっきり軽快な演奏スタイルを目指しているようだ。
第2楽章はリピート全て実施、第3楽章もかなり速い。うーむ、本当にこのテンポで演奏するのだろうか。

曲全体のバランスとして、第2楽章のウエイトがかなり重くなる。その結果、今までの演奏では後半の3,4楽章が前半に比べて重すぎて違和感が感じられたのが、全体として均整の取れた曲になった印象だ。今までの第九とは全く異なるタイプの演奏になりそうだ。

P7010456沼響のHPに聴き比べコラム「新世界よりを聴く」をアップしました。
今回は沼津にも来てショスタコーヴィチの名演を聴かせてくれたマリス・ヤンソンスの新世界。名門コンセルトヘボウ管の自主制作録音。
連載99回目。

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2006年7月 4日 (火)

フォーレの肖像

ココログの障害は解決される気配がなく、夜に更新したくとも出来ない日が続く。これでは乗り換えを考えた方が良いかもしれない。

P6250447P5250358今日はフォーレ。聴いたのは、東芝EMIから出ていた人気シリーズ「フランス音楽のエスプリ」シリーズからプラッソンの指揮するフォーレの数々。

付随音楽「ペレアスとメリザンド」と「マスクとベルガマスク」と「パヴァーヌ」が収録された盤と、「バラード」「幻想曲」「子守歌」「エレジー」といったピアノ、ヴァイオリン、チェロなどの独奏楽器とオーケストラのための作品を集めたもの。オケはトゥルーズキャピトル管に、ピアノのコラール、チェロのトゥルトゥリエ、ヴァイオリンのデュメイらが加わる。

これはLP末期のもので、いずれもフランスの著名な演奏家たちによる格調高い演奏で楽しませてくれる。
特に通常の組曲の版で演奏される二つの管弦楽曲が独唱や合唱も含めた劇付随音楽の形で聴けるのが嬉しい。ソプラノのシュターデなど、独唱者も豪華版だ。

P7010457続いてEMIから出ていた2枚組LP「フォーレの肖像」。その中から自作自演の前奏曲とイザイの弾く「子守唄」、そしてアンゲルブレシュト指揮する「ペレアスとメリザンド」組曲を聴く。
フォーレとイザイは1913年、アンゲルブレシュトは1953年録音。いずれも熟れきった果実のような、独特の崩しが特徴的なフォーレとイザイの演奏。20世紀初めは皆このように演奏していたのだろうか。

一方のアンゲルブレシュトは、現代的でかっちりとした中に脂粉の香りが仄かに漂うような色気が感じられるもの。有名な「シシリエンヌ」を抜群のうまさで聞かせるフルートは、名手デユフレーヌだと思う。

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2006年7月 3日 (月)

ゴルシュマンのドリーブ

ここ数日、夜になるとココログに接続しにくくなっている。昨晩など更新したはずが、記事がどこかへ飛んでしまっていた。今も画像がアップできない。

今日は、馴染みのオーディオショップへ久しぶりに立ち寄ってみた。フロアには所狭しと往年の銘記たちが並んでいる。店主さんとしばしのオーディオ談義の後、2階のレコード置き場を覗いてみる。
ここは古いオリジナル盤も70年代の千円盤も全て千円均一というお店で、かつては数多くの掘り出し物を格安で見つけたものだが、今はもうめぼしい物は底を着いていて、70年代から80年代初めの国内盤ばかり。

P7030463そんな中からゴルシュマンがセントルイス響を指揮したバレエ音楽を発掘。ドリーヴの「コッペリア」「シルヴィア」そしてウェーバー~ベルリオーズ編の「舞踏への勧誘」の入った、日本コロンビアのステレオ10吋盤。

ゴルシュマンは、晩年のヴァンガードに通俗名曲の録音を数多く残したが、25年の長きに渡って常任指揮者を務めたセントルイス響時代が最も実りの多い時期だったように思う。しかも辞任したのが1956年だったので、このコンビのステレオ録音は非常に珍しい。

バレエリュッスで活躍したこともあるゴルシュマンのドリーブ。冴えたリズム、オケを存分に鳴らし、華やかでパリの社交界を彷彿させる粋な名演だった。

P7010459沼響のHPに聴き比べ「ラフマニノフの2番を聴く」をアップしました。
今回はアンドレ・プレヴィンの1回目の録音。連載29回目。

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2006年7月 2日 (日)

どしゃぶりの中の奉仕作業

今日は年に一度のPTAの奉仕作業の日。前日の天気予報では降水確率50%。
ここのところ仕事やらワールドカップやらで寝不足気味なので、密かに延期を期待していたのだが、今朝5時に目が覚め、窓の外を見ると曇天、しかも青空さえ見えているではないか。「チッ!」。
役員は6時集合となっている。気分を切り替え学校へ急ぐ。用具の準備を済ませた頃、高学年の父兄と子供達、そして先生方も続々と集まってきた。

自分の割り当ては、給食室の高い壁にある巨大な換気扇を外し、分解することとなっている。ところが、この換気扇が一人ではとても持てないほどの重さなのだ。3年前の取り外しの時に、この巨大な羽が自分の胸を強打し、出血してしまったことを思い出す。

脚立に乗り慣れない手つきでビスを外す自分の姿に、下で見ている給食のおばちゃんたちが危ういものを感じたらしい。「気をつけて下さい!何年か前に換気扇と一緒に落ちて救急車で運ばれた人がいるらしいです。」と栄養士さんの一人が言う。
「それは私です。」とつい言いかけたが、グラリと脚立が傾いたので、ぐっと言葉を飲み込む。しかし3年前は、血は出たものの救急車では運ばれていない。この種の話は誇張されて伝わるものらしい。

無事取り外し完了、羽の分解に取り掛かったところ、その時突然激しい雨が降ってきた。思わず校庭に目を走らすと、皆ずぶぬれのまま黙々を草を刈っている。もう始めてしまった以上途中で止めるわけにもいかない。子供達は校舎内で待機させたが、父兄たちにはそのまま作業を続行させる。
そのうち尋常でない降りになってきた。さすがに8時で全作業を終了させ、今年はこれで終わりとした。それにしても今年のPTAの行事は100%雨。誰か強烈な雨男、雨女がいるらしいということになり役員も10時に解散。
これで、家に帰り風呂に入りビールでも飲みたいところだが、午後から職場に行かなければならない。職場へ向かい始めたら、次第に雲が晴れとても良い天気となってきた。

今日は現代スペインの作曲家フレデリコ・モンポウの自作自演を聴く。格安ブリリアントレーベルの5枚組CD。
P7010458線や調性記号のないプリミティヴ・スタイルといわれている独特のピアノ曲の数々だ。
決して難解ではないサロン風の曲趣も多く、自然と安らぎを感じさせる不思議なピアノの世界。
ブリリアントのCDは、フィッシャーのハイドン交響曲全集のように、演奏は良いのに、逆相のCDが混在するようなアバウトな造りのものもあるが、このセットは問題がないようだ。

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2006年7月 1日 (土)

クライバー&ベルリンフィルのブラ4

今日は休日、一日中湿度の高い曇り日和だが幸い雨も降らず、先日買った大型の植木用の梯子を取り出して、庭木の剪定をしたりして過ごす。

P7010460今日は久しぶりにブラームスを聴いた。クライバーがベルリンフィルを振ったヴァイゼッカー大統領主催の慈善コンサートのライヴで、イタリアのMemories Excellenceから出ているCD。「コリオラン」序曲、モーツァルトの交響曲第33番、そしてブラームスの交響曲第4番が収録されている1994年録音。

リハーサル中に天井から釣り下がるマイクロフォンを発見したクライバーが、撤去しなければ帰ると言い張ったいわくつきの録音。
これは明らかに本番中の隠し採りのプライヴェート録音。モノラルだが臨場感豊かで鑑賞にはなんら差し支えない。

P7010461クライバーのブラ4にはウィーンフィルを振ったスタジオ録音もあるが、このライヴはスタジオ録音を大きく上回る名演だ。
燃えに燃えたクライバーとベルリンフィル、鋼のような黒光りするベルリンフィルの重厚な響きが怒涛の如く聴き手に迫ってくる。これほど熱くなったベルリンフィルも珍しい。第3楽章のティンパニーの雷のような連打など、常軌を逸脱した凄まじさだ。

結局クライバーがベルリンフィルを振ったのはこのコンサートを含めてわずか2度だった。

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