« 2006年7月 | トップページ | 2006年9月 »

2006年8月に作成された記事

2006年8月31日 (木)

選曲会議

8月も終わり。本日の練習は、弦・管楽器に分かれて分奏とパート練習。遅れて会場に到着したらちょうど団員への連絡タイム。しばしの休憩後、大ホールの舞台で弦楽器パート、各楽屋で管楽器のパート練習となる。わがホルンパートは練習よりも和気あいあいとした世間話が大部分。練習終了後、各パートトップや有志を交えて、先週集めた来年の定演の希望アンケートの集計表から団員投票にかける曲の絞込みをおこなう。

毎度のことだがアンケート結果は、ブラームス、シベリウス、チャイコフスキーたちのアマオケの定番曲に加えて、マーラー、ブルックナー、ラヴェル、ヒンデミット、プロコフィエフ、エトセトラ・・・・、とても出来そうもない大曲もずらりとならび実に楽しい。
もともとやりたい曲を自由に提案するという趣旨なので、これも良いだろう。

昨年多くの票を集めていたシューマンは2番のみ、あれほど票を集めていた「ライン」が消えているのはどうしてだろう?。
今年はブルックナーが多い。5番から9番までがずらりと並ぶ。7番が突出して多いのは特定のパートの組織票か?。ブラームスの4番が多いのも組織票だろう。
などといろいろ皆で詮索したりして、曲選びは楽しいものだ。

結局、最終投票に残す予定の3曲のうち、票数の多いシベリウスの2番、ブラームスの4番の2曲はすんなり決まったが、あと1曲がどうしても決まらない。

票数ならばブルックナーの7番なのだが、ホルン4本のほかにワーグナーチューバ4本がネックとなった。奏者の頭数はなんとかなる。が、あの素晴らしいアダージョの魅力的なコラールをワーグナーチューバ未経験メンバー大多数、しかも数回のレンタル楽器による練習で演奏しきれるだろうか?同じブルックナーで6番の代替案も出、数合わせに「グレート」、「シェエラザード」という案も出たが、結局シベ2、ブラ4の2曲のみを残すことになった。

団員投票は10月の合宿最終日。果たしてどちらに決まるのか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月30日 (水)

スワロフスキーの「ピーターと狼」

今日は仕事で、佐倉、市川方面へ。あい変らず天気に恵まれず、歴博にちょっと立ち寄った佐倉で、とうとう雨が降り始めた。市川での仕事を済ませた後、久しぶりに御茶ノ水ディスクユニオンに寄ってみた。最近は、音盤の購入はネットオークションやネットショップが中心になってしまったので、ほぼ一年ぶりの訪問。

LPコーナーは、最後に訪れた時よりも格安盤の在庫が豊富になっていた。逆に貴重盤はだいぶ少なくなった。貴重な初期LPは収まる所に収まってしまって、市場に出回る流通量が減ってしまったようだ。

まず3枚300円コーナーを覗いてみたが、タダでもいらないような盤ばかり、一枚迷ったものもあったが、そのために欲しくもないものを2枚買うのも抵抗があるのでやめておく。
かなりのボリュームがあった420円均一コーナーも、渋谷レコファンあたりでは100円均一コーナーにあるようなコンサートホール盤が多量に混じっていたりして、急激に購買意欲は低下する。

P8300533P8300534結局、持ち帰ったのは、スワロフスキー&ウィーン祝祭管の「ピーターと狼」、「おもちゃの交響曲」のフランス、ムジディスク盤。アバド、メータを育てたスワロフスキーはさまざまな怪しげなレーベルから意外なレパートリーの演奏が出ているが、これは面白そうだ。
そしてフィストラーリ&ロンドン響のプーランクの「牝鹿」MGM盤はジャッキーノの弾く「オーバード」とのカップリング。実は「オーバード」はドビュッシーの「ラプソディ」とのオリジナルカップリングのLPを既に持っているが、バレー音楽で鮮やかな手並みを見せるフィストラーリの「牝鹿」はどうしても聴いてみたい。

P8300536_1P8300537_1山岡優子の弾く三善晃、矢代秋雄のピアノソナタ、東芝TA盤。
これは520円、ずいぶんと廉くて何かあるな?と思い帰宅後中を覗いたら解説が抜けていた。こういうことは明記して欲しいものだ。

もひとつ420円コーナーからはリンパニーの弾くシューマンのピアノ協奏曲セラフィム盤。
伴奏はシルヴェストリのフィルハーモニア管。420円ではちょいと高いが、名女流リンパニーとアクの強いシルヴェストリの共演に興味を惹かれて購入、そして今年の定演で海瀬京子さんと共演した曲。

いろいろと見ているうちに時は過ぎ、結局帰宅は10時を回っていた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月28日 (月)

ロペス=コボスのファリア

八ヶ岳ではもうススキが出ていたが、ここ沼津でも秋の気配が着実に訪れている。明け方などだいぶ過ごしやすくなった。本日も仕事を休み明日から始まる新学期に向けて子供達の夏休みの宿題をチェックしたりして一日を平和に過ごす。

涼しくなったため、オケ物も聴く気になってきた。今日聴いたのは、スペインの指揮者、ヘスス・ロペス=コボスの指揮するスペイン物。
ファリアの「三角帽子」全曲、賛歌、「はかなき人生」より間奏曲の入ったテラークのCDで、オケは1986年から芸術監督だったシンシナティ響。

P8280538ロペス=コボスは地味な存在ながら、いつも自然な音楽の流れの中に説得力の強い演奏を聴かせてくれる。聴いていてハズレの演奏に当たったことがない。特に初稿を用いたブルックナーの「ロマンティック」やハイドンの交響曲の名演が印象に残っている。
このファリアでもお国ものという以上に、生命力に溢れた躍動感のある演奏を聴かせてくれる。自然で無理のない旋律の歌わせ方に爽やかさが感じられる優れた演奏だと思う。

P8280540続いてクラリネット奏者、ディーター・クレッカーが組織したコンソルティウム・クラシクムの演奏で、モーツァルトの「ケーゲルシュタット三重奏曲」、「ホルン五重奏曲」。
ドイツのda  camera原盤でトリオから出ていたLPでホルンはコンヴィチュニー時代のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席だったエーリッヒ・ペンツェルが吹いている。
こちらは明るさと生真面目さがうまく共存したドイツ正統派のモーツァルト。個々の奏者が非常にうまい。これは楽しめる演奏だ。

P8280539もうひとつ久しぶりにブルックナー。フィリップスへのハイティンクの第一回全集録音から「ロマンティック」を聴く。
1965年の録音で、この時ハイティンクはまだ30代半ばだった。
コンセルトヘボウのオケの魅力的な音色は健在だが、暗い夜道を手探りで進むような安全運転に終始した演奏。
この時期のハイティンクには、まだブルックナーは役不足だったようだ。第2楽章の淡々とした雰囲気はオケの優秀さでなかなか聴かせる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月27日 (日)

雨にたたられた3日間

8月もいよいよ終わりに近づいた。金曜日から家族を連れ二泊三日の遅い夏休みをとり、八ヶ岳泉郷へ。朝早く出発するつもりが、妻の仕事の関係で出発が午後にずれこんでしまった。気になる山梨県北西部の天気予報は曇りで降水確率40%。

目的地の泉郷まで、およそ3時間半の行程を車で飛ばす。北杜市となっていた小淵沢ICを降りたあたりから空模様が怪しくなり、やがて雷を伴った激しい雨となってしまった。たちまち路上が川のようになってきた。自分が雨男などと冗談でも家族にはとても言えない。

ようやく到着した貸別荘のテレビを点けたら大雨洪水警報となっていた。家族全員ずぶ濡れで皆鳥肌状態。慌てて家を出たので長袖の服の用意もない。結局備え付けのストーブを使用するという間抜けなことになってしまった。

P8260530土曜日も朝から雨、八ヶ岳アウトレットに寄った後、平山郁夫シルクロード美術館へ行き、正倉院文化の源流となったササン朝ペルシャと唐代の美術品の数々を見る。仏頭や切子碗、精密な造りの印章や鏡、錦の数々、全て平山郁夫氏の眼力を経た粒そろいの美術品ばかり。

Naikan3他のフロアでは2004年から2006年に完成したばかりの連作「楼蘭遺跡を行く」「パルミラ遺跡を行く」が展示されていた。神秘的な古代の廃墟を背景に、今にも動き出しそうなラクダに乗った隊商がリアルに描かれている。
悠久の時間の流れの中に過ぎ去る隊商の人々。一枚の絵に凝縮されている壮大な時間と空間のスケールの大きさに圧倒されてしまった。この絵が見ることができただけでも、来た甲斐があった。

P8270533宿に帰る途中、来年のNHK大河ドラマ「風林火山」に使用される大掛かりなセットの建設現場を通りかかった。工事の看板は「風林火山の館」。
どうやら北杜市は、来年この「風林火山」で大きく売り出すつもりらしい。

この三日間は持参したCDプレーヤーとイヤフォンで、久しぶりに音楽を集中して聴くことができた。

P8270534渡邉暁雄&日本フィルによるマーラーの「復活」ライヴ。1978年301回定演の記録で、アルトはチェコの名歌手ソウクポヴァが加わっている。東京FMの音源。
ゆったりとしたジェントルな雰囲気の漂う風格豊かな演奏。オケの非力さと録音の鈍さが多少気になるが、フィナーレのスケールの大きさはなかなかのもの。

P8270535モントゥー&ロンドン響の晩年の録音から、ドヴォルザークの交響曲第7番とエルガーの「エニグマ変奏曲」のカップリング。厳しいほどの緊張感に満ちたドヴォルザークと慈愛溢れる感動的なエルガー。

P6070389_1そしてモントゥーと同時代のフランスの指揮者でマニュエル・ロザンタールのラヴェル管弦楽曲全集。Adesから出ている3枚組CD。

ラヴェルの直弟子ロザンタールの代表盤。

冷静で自然体でありながら、じわりじわりと興奮の絶頂に達する「ボレロ」。「ダフニス」冒頭で、地の底から湧くような神秘的な低音に乗り、ヴィヴラートたっぷりのフルートとホルンソロが重なりながら合唱が加わる部分の絶妙のバランスが素晴らしい。
ロザンタールは実に緻密な音量バランスとテンポ設計でラヴェルの精密なオーケストレーションを見事に再現していく。パリオペラ座のソリストたちの名人芸とオケのカラフルな音色も実に聴きもの。

P8270537こちらは仏ヴェガの「ダフニスとクロエ」全曲LP。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月24日 (木)

本日の練習 第九、3,4楽章

今日は午後から外部の有識者たちを招いての会議、内容はさほどのものではないが、気疲れのした一日。

夜はオケの練習に参加。トレーナーの先生を招いての練習だが、どうもしっくりいかない。
練習しても冷めていて高揚感が感じられないのだ。連日の暑さと疲労で自分がボケたのだろうか。
来年の定演の希望曲の締め切りが今日だというのに、練習が始まってもまだ誰も提出していないという。遅刻常習者の自分が言うのもなんだが、オケ全体がダレてしまっている。
私は選曲理由をいくつか箇条書きにしたものを事前に用意し、今の沼響にとって最も良いと思う曲を提出した。

本日届いた音盤。
P8240524P8240528フランチェスカッティの弾くバッハのパルティータ第2,3番のコロンビア盤。そして、4歳で演奏会を開き神童と言われ、ラフマニノフやコルトーに師事した女流ピアニスト、ルース・スレンチンスカの「楽壇生活25周年記念プログラム」米デッカ盤。

P8240526サー・エードリアン・ボールトのチャイコフスキーの交響曲第5番。バジェットプライスのLPを出していたミラーインターナショナル原盤による日本コロンビア盤。ボールトといえば日本では凡庸の代名詞のような扱い方をされていたころの録音。

P8240527P8240525いまや大家となったハンガリーのイヴァン・フィッシャー若き日の録音で、マーラーの「巨人」の初稿、1889年ブタペスト版の世界初録音フンガトロン盤。オケはハンガリー国立響。

もひとつブリテンの自作自演、「キャロルの祭典」デッカ10吋盤。これは合唱指揮がハイドンの演奏で有名なモーゲンス・ウェルディケだったので購入したのだが、既にエクリプス盤が家にあり、ダブリ買いでした。

明日から遅い夏休み。仕事は山積しているが、半ば強引に休みを取った。家族を連れ、3日ほど信州へ行く、涼しい所で命の洗濯をして来ようと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月22日 (火)

スタンリー・ブラックの「ベン・ハー」

今朝は不覚にも寝坊してしまった。5時頃に一度目が覚めたのだが、もう一眠りと思ったのが誤りのもと。急ぎ準備を整え、職場まで最も早く到着するバイクに乗り込もうと車庫に足を踏み入れたら愛犬のドッグフードの袋が破られ、床一面に散乱していた。

どうやら隣家の床下に巣食い毎晩ギャーギャーと不気味な声で鳴いているハクビシンの仕業らしい。今日は先を急ぐので、散らかったドッグフードを適当に横によけバイクに跨る。今日は最後まで不運続きで、帰宅途中で激しい雨に降られてしまった。

10数年前に宝くじの当選金で買ったポンコツバイクは、電気系統がイカレていてアースが充分に取れていないようだ。雨の中を走ると、ビリビリと手が痺れ軽い感電状態となってしまう。

帰宅したら、ヤフオクで落としていたLPが2枚届いていた。
P8220524P8220525ひとつはスタンリー・ブラック指揮のロンドンフェスティバル管、合唱団によるロンドンステレオラボラトリーシリーズの映画音楽集で、「アラビアのロレンス」「荒野の七人」「ベンハー」その他の曲が入っているもの。
もうひとつはロシアのクラリネット奏者、レフ・ミハイロフの吹くサキソフォン曲集で、ヒンデミットのアルトサキソフォンソナタをロシア語のナレーション付きで演奏した珍盤。

スタンリー・ブラックの盤は、「ベン・ハー」組曲のみが聴きたくて購入したもの。中学生の頃にFMで放送されたブラスを豪快に鳴らしたスケールの大きなこの演奏に圧倒されたことを思い出して落札。意外とこの種のLPは探そうとするとなかなか見つからないものだ。

さっそくB面最初の「ベンハー」に針を下ろす。冒頭から派手なブラスの咆哮とチャイムの連打が聞こえてくる。嚠喨と吹き鳴らす音を割ったホルンの音を聴いているうちにゴキゲンな気分になってきた。
ロンドンフェスティバル管は録音用のスタジオオケだが、この録音には優れた金管奏者たちが加わっていたようだ。「戦車の行進」の黒光りするようなブラス群の響きは見事なもの。大編成のオケに合唱を加えたアレンジも良い。
ただしカップリングされた他の曲は、底の浅い軽薄な編曲と演奏に終始。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月21日 (月)

シェリングのバッハ

このところの高温多湿の気候のためだろうか、近所のコンビニの駐車場横に自生しているサトイモが異様に成長、原産種のタロイモのように葉が巨大化し、青々としているのに仰天してしまった。
日本近海での台風の突然の発生、海水温上昇によるイワシの不漁など、ここ数年で日本は亜熱帯域となってしまったようだ。

P8210521今日はシェリングのバッハを聴いた。バッハが書いた3つのヴァイオリン協奏曲が収録されたもので、マリナー&アカデミー室内管の伴奏による1976年録音のフィリップスのLP。最後にシェリングのヴァイオリンに独奏による「G線上のアリア」も入っている。

端正で直裁なバッハ、太く暖かい音色の中に厳しさと精神的な暖かさの感じられる名盤。マリナーの格調高いバックも見事なもの。

ただし「2つのヴァイオリンのための協奏曲」で第2ヴァイオリンを弾いているシェリングの弟子だというモーリス・アッソンという人の第2ヴァイオリンは線が細く、著しく聴き劣りがする。

P82105221965年の旧録音も聴いてみた。こちらもフィリップスのLPで、シェリングがウィンタートゥール音楽院のオケを弾き振りをしている。第2ヴァイオリンはペーター・リバール。
70年代末期に日本フォノグラムから出た1,500円の、アーティストギャラリーシリーズの番外編として再発されたLPで、これだけ1,000円だった。学生時代に購入して何度も繰り返し聴いた懐かしい演奏だ。

多少の個人的なノスタルジアはあるが、「2つのヴァイオリンのための協奏曲」は圧倒的にこちらが良い。シェリングにぴったりとつける名手リバールの第2ヴァイオリンが実に素晴らしく、スコア片手に聴かなければどちらがシェリングが区別がつかないほどだ。
オケの心のこもったひたむきな伴奏も感動的。編成はこちらの方が若干大きいようだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月20日 (日)

ラリュー&ラクロワの忠実な羊飼い

今年のお盆で休めたのは16日と昨日のみ。今日も職場で机に向かう。
連日の猛暑の中、甲子園では素晴らしい試合が続いている。試合がおこなわれている間、道を行く人の数が少なくなったようにも見える。

ここ数日、古今の名フルート奏者たちの演奏を楽しんでいる。夏にはフルートの涼しげな音が良く似合う。
P8200523今日はフランスの名手、マクサンス・ラリューのヴィヴァルディ。
1974年来日時の録音で、デンオンのPCM録音、マスターソニックシリーズのLP。現在クレストシリーズの1,000円CDでも出ている。
チェンバロとレリザシオンはロベール・ヴェイロン=ラクロワ。曲はフルートソナタ集「忠実な羊飼」。

3度目の録音だという、ラクロワの控えめながら雄弁なチェンバロが聴きもの。ラクロワの作り出す自然な音楽の流れに、見事に同化しているラリューののびやかなフルートも素晴らしい。
録音も良く、奥行きがあり、しっとりとした響きのデンオンのLPの再生音が実に良い。

P8200521仕事の帰りに立ち寄ったハードオフで見つけたレオンハルトのバッハも聴いてみる。
「フランス風序曲」と「イタリア協奏曲」、そしてリュートのために書かれたBWV.998の「プレリュードとフーガ」が入ったハルモニアムンディ原盤によるティチクLP。1967年、キルヒハイム、フッガー城糸杉の間における録音、105円也。

マイクがチェンバロに近く、繊細なラクロワ音の後と比べるとずいぶんと仰々しく大味に聞こえる。「イタリア協奏曲」の豪快な響きは軽薄さも感じてしまう。ところが「フランス風序曲」では同じ楽器でありながら、落ち着きが感じられのが面白い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月19日 (土)

マリナーの四季

猛暑続く。本日、家内と下の娘は東京ディズニーランドへ行っている。私と中3の娘は家で留守番。近所の喫茶店に行きランチを取る。

P8190521こう暑いと重い曲は聴く気にならない。今日聴いたのははマリナーの「四季」。70年代初頭に発売され、当時としては大胆な装飾音符と通奏低音にオルガンを加えた斬新さで一躍ネヴィル・マリナーの名が注目されることになった記念碑的録音。
当時高校生だった私は、FMで放送されたマリナー&東京フィルとのライヴ録音で初めてマリナーの「四季」に接し、大変新鮮な感動を覚えた。確か「惑星」も放送されたと思う。

今聴いてみるとモダン楽器使用のためだろうか、過度に装飾されたヴァイオリンソロと通奏低音が、かえってロマンティックさを増幅させているような印象だ。アラン・ラブディのヴァイオリンとサイモン・プレストンのオルガンは非常にうまい。

今手元にあるのはSLA(A)1020という番号の国内初出LP。当時の私には、レギュラー価格盤はとても手の出る代物ではなかったが、CD全盛の今では中古音盤屋やリサイクルショップで簡単に数百円で手に入る。

このLPの魅力は、解説者として、吉田秀和、村田武雄、海老沢敏といった大御所たちが筆を取り、演奏者の立場からはヴィオラ奏者の浅妻文樹氏が豊富な譜例とともにマリナーの演奏譜と原譜を比較して、バロック時代の装飾音について詳しく書いていることだ。
しかも「四季」全曲のスコアとソネット全対訳付きという豪華さ。

当時「四季」のベストセラーだったフィリップスのドル箱、イ・ムジチの牙城をなんとか切り崩そうとするキングレコードの心意気が直に伝わってくるアルバムだ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年8月18日 (金)

バルワーザーの牧神の午後

昨日に引き続きバルワーザーのフルートが聴きたくなり、フルネがコンセルトヘボウ管を振った「牧神の午後への前奏曲」を聴いてみる。
P8180522_170年代初頭に出た日本フォノグラムのグロリアシリーズの廉価盤で、中古屋でよく見かける盤だ。

冒頭フルートの幾分質朴でふわりとした柔らかな音色は、デユフレーヌのカチリとした石英のような硬質な響きとは異なるが、どちらもコンセルトヘボウ管とフランス国立放送管という異なったオーケストラの個性に見事に同化していると思う。
ただしこのLPはカッティングレベルが低く、細部も不明瞭。もう少し良い音で聴きたい。

P8180524コンセルトヘボウ管でもうひとつ、ヴァン・ベイヌム時代のブリテンの歌劇「ピーターグライムズ」から「4つの海の間奏曲とパッサカリア」を聴く。デッカ、エクリプスのLP。
冒頭「夜明け」のどんより曇った北海の上に吹きすさぶ寒風を見事に音化したフルートの音がここでも秀逸。ベイヌムの厳しく引き締まった指揮も見事なものだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月17日 (木)

バルワーザーのモーツァルト

本日オケの練習は盆休み。明け方雨が降ったために朝から湿度が異様に高い。自転車で通勤途中に立ち寄ったコンビニの窓ガラスが湿気で真っ白に曇っている。狩野川の川面には水蒸気のような靄が立ち昇っていた。
9時すぎに帰宅、遅い夕食の後、音楽を聴いているうちに良い心地となり早々と10時就寝。

P8160521寝る前にコンセルトヘボウの名手、フーベルト・バルワーザーの吹くモーツァルトの二つのコンチェルトを聴く。エピックの国内盤LPで、プリッチャード指揮のウィーン響の伴奏。

メンゲルベルクのころから60年代まで名門コンセルトヘボウ管の首席フルート奏者だったバルワーザーは、先日聴いたフレンチタイプのデユフレーヌとは異なるスタイルの名手。木製のフルートを使用していたことで知られている。

芯の強さの中にしっとりした暖かさを感じさせるいぶし銀のモーツァルト。安定したテクニックとプリッチャードの控えめな伴奏も素晴らしい。

amazonで検索すると国内盤CDも出ていたようだ。このLPにないフルートのためのアンダンテも聴きたくなって、ついつい注文してしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月16日 (水)

ロシアのクリスマスの音楽

今日は休暇を取り、毎年恒例の出身高校のOBバンドコンサートに参加する。例年土日に行うコンサートだが、現役高校生たちの都合で今年はお盆休み中の開催となった。

P8160519本番前日に全国から集まり、二日の練習でコンサート本番に臨む初期のサイトーキネンオーケストラのような同窓会コンサートだが、あのようなカッコの良いものではなく、お腹の出た中年親父たちの自己満足コンサート。
当然入場料は取らず、客も関係者が中心で、出入りも自由。回を重ねるにつれ若いOBの参加も増え、参加者の年齢差は40年以上にも及ぶ。

北海道からドラムセット持参で参加してくれた人、遠く中国の上海からかけつけたクラリネット奏者。楽器編成はアンバランスだが、コールアングレやコントラファッゴットも加わり今年はダブルリード属が充実し総勢63名の参加。

今年はジャズ・ステージの後、行進曲「秋空に」、「ジュピターのテーマ」、「トゥーランドット」、「ラメセス二世」、そして現役高校生の「ミスサイゴン」に続き最後にアルフレッド・リードの大作「ロシアのクリスマスの音楽」。
OBでもあり今回はバスクラで参加している某民放テレビの現役アナウンサーの司会でコンサートは進行する。

この中では「ラメセス二世」に大幅苦戦、二日で仕上げるには相当シンドイ曲を選んでしまった。「ロシアのクリスマスの音楽」も危ういところだらけだったが、本番は熱い気持ちと気合で押し切った。

途中、現役生たちがプログラムにない文部省唱歌「ふるさと」を吹奏楽版で演奏してくれた。今はどこもそうだが吹奏楽部の部員のほとんどは女生徒。
途中で挿入された「う~さ~ぎ~お~いし、か~の~かーわー」の純で可憐な合唱に、中年オヤジたちの目頭は思わずウルウルと熱くなったのでありました。

演奏終了後「また、来年会おう!」と再会を約し、皆全国に散って行きました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月14日 (月)

フェルナン・デユフレーヌの至芸

今日は休みの予定が、先日の雷による被害の復旧の立会いのため出勤。東京でもクレーンが送電線を引っ掛け、大きな停電騒ぎがあった。信号が消えた道路の大渋滞の様子がテレビに出ていた。日常の平穏がかくも些細なことで崩れてしまう。脆いものだ。

P8140516昨日聴いたクリュイタンスの「ダフニスとクロエ」のデユフレーヌの美しいフルートが未だに耳の中に残っている。
今日は、山野楽器がEMI音源からデユフレーヌの演奏をまとめた「フェルナン・デユフレーヌの至芸」というCD2枚組から何曲かを聴いた。

ランパルやグラーフ、ベネットたち一流のフルーティストたちが一目置いていたデユフレーヌは、ソリストとして活躍することなくオーケストラの一員としての音楽人生を貫いた演奏家。ホルンのデニス・ブレインにも比肩される巨匠だった。

アンゲルブレシュトの指揮する「牧神の午後への前奏曲」冒頭ソロの気品、マルケヴィッチ編曲のバッハ「音楽の捧げ物」では弦楽器に見事に溶け込み、前面押し出ることなく常にオケ全体の引き立て役に徹している。

ミヨーの「ルネ王の暖炉」、イベールの「3つの小品」、プーランク、フランセらの木管五重奏曲の数々では、難曲であるほど自然に楽々と吹いたというデユフレーヌの面目躍如たる名演揃いだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月13日 (日)

ボールトのダフニス

巷はお盆休みだが今日は仕事。昨夕の雷が職場近くに落ち、コンピューターに打撃を与えたことが判明、一時停電もあったようだが、無停電装置が正常に作動し致命的な打撃は避けられていて、まずは安心する。
明日は休みの予定だったが、未だ完全復旧せず、NTTの回線チェックが入るためやはり出勤。今年の運勢はどうやら最悪らしい。

P8130515今日はBBC Legendsのライヴからボールトの演奏を聴く。
1964年7月のプロムナードコンサートのライヴから、シューベルトの「未完成」、ビゼーの組曲「子供の遊び」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ第2組曲」というもの。オケはフィルハーモニア管。そして1963年のライヴで、シベリウスの交響曲第7番も入っている。こちらはロイヤルフィル。

剛直な中に歌心も充分な「未完成」、ピリッとした緊張感に満ちたシベリウスなど、いずれも見事なものだが、中でも「ダフニス」の純音楽的な素晴らしい演奏には正直驚いた。
ボールトのフランス物は初めて聴いたが、ゆっくりとしたテンポの中にこれほど意味深い音がぎっしりと詰まっている音楽だとは思わなかった。この曲を初めて聴いた時の感激が蘇えってきた。オケの純粋に結晶化した響きも見事なものだ。

P8130516定評あるクリュイタンスの「ダフニス」も聴きたくなった。二つある全集のうちから第一回めの全集で、フランス国立放送のオケを振ったモノラル録音。CDではテスタメントのものもあるが、こちらは日本のミュジカルノートがEMIのマスターテープから初めてCD化した時のもの。

こちらは、おフランスの香りがあたり一面に漂うような雰囲気満点の演奏。有名な「夜明け」では清流が流れ落ちるような管楽器の一糸乱れぬ美しさに心を奪われる。「パントマイム」では世界最高の名手、デユフレーヌの見事なフルートソロが大変な聴きもの。
 

P8130517沼響のHPの聴き比べコラム「新世界よりを聴く」をアップしました。連載100回目。いつのまにか1年を超える視聴となりました。
写真は視聴に使ったジムロック版を基にした音楽之友社発行のポケットスコア(昭和47年発行300円、細部はジムロック版と微妙に異なります。)表紙が破れボロボロとなってしまいました。今まで紹介した演奏は136種。まだまだ紹介しきれぬ演奏もありますが、切れが良いのでこれにて終了。

「ラフマニノフの2番を聴く」は、未だ紹介しきれていない演奏が多すぎるので、もうしばらく続けます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年8月12日 (土)

シャリアピンの蚤の歌

今日は早朝から裏山に登り、採った竹でお盆の祭壇を作る。墓掃除を済ませた昼頃から親戚たちが訪れ始めた。
弟一家は一昨日イギリス旅行に旅立ったので、お盆に来ることができないが、なんとも間の悪いことに、ロンドンの空港は今大変なことになっているようだ。スケジュールを無事に消化できれば良いがと思う。

3時を過ぎた頃から、真っ黒な雨雲が空を覆い激しい雨が降り始めた。雷も盛大に鳴っている。かなり近くに雷が落ち、家がグラグラ揺れてはいるが気にしない。雨に冷やされた涼しい風が部屋に入り込み、過ごしやすい午後となった。

P8120515雷の音にかき消されがちだったが、マリナーの指揮する「ディーリアス管弦楽曲集」を聴く。デッカへの1977年録音国内盤LP。
「楽園への道」「春初めてのカッコウを聞いて」「河の上の夏の夜」など、お馴染みの心優しいディーリアスの音楽に身を浸す。1音1音、しっかり丁寧に演奏するマリナーの演奏は素晴らしい出来だが、茫洋としたつかみどころのない音楽の連続に次第に意識が遠くなってきた。雷も遠ざかったようだ。しばしの心地よい眠りの中、B面最後の「カリンダ」のおよそディーリアスらしからぬ軽やかな舞曲で目が覚める。

続いて20世紀前半に活躍したロシアの大歌手シャリアピンの声が聴きたくなった。聴いたのは、シャリアピンが自伝のタイトルにまで使ったムソルグスキーの「蚤の歌」。

P8120513シャリアピンの「蚤の歌」の録音は何種類かあるらしいが、今日聴いたのは、日本ビクターがフィリップス音源を発売していた時の「シャリアピンの芸術」というセット物3枚組LP。
オペラアリアからロシア歌曲、ロシア民謡まで収録したLPで、来日当時の豊富なエピソードや写真が載った充実した解説書がついているが、伴奏者と録音データの記載が全くないのは困りもの。

この「蚤の歌」はピアノ伴奏で歌われている。3分ほどの短い時の中、ムソルグスキーが込めた社会への皮肉と滑稽さを見事に描き出している見事な歌唱。最後の笑い声も貫禄充分だ。

P8120512同じシャリアピンの「蚤の歌」をローム・ミュージックファンデーションが出している復刻CDで聴いてみる。こちらは1936年2月の来日時の録音で、録音データははっきりしている。
こちらもピアノ伴奏だが、どうやらビクター盤はこれと同じ音源のようだ。

ところが聴き比べると声の質が全然違う。ローム盤はビクター盤より明るく軽い声で、シャリアピンが10才以上若返ったような声だ。一方のビクター盤は暗くこもりがちの声の質。シャリアピンの声のイメージとしてはビクター盤の方が近いが、ローム盤の方が本物に近い音のように思う。ビクター盤は、復刻の際に針音を完全にカットしているので、音楽の大事な部分もカットしてしまったようだ。

このロームのCDには、「蚤の歌」と同じ日に録音されたシャリアピンの「ヴォルガの舟歌」が入っている。
これが「蚤の歌」以上の凄い演奏だった。消え入るようなピアニシモから始まり次第に音量を増し、やがてピアニシモとなり遠くに消えていく。
極めてビジュアルでドラマティックな圧倒的名演奏。あまりの凄さに聴いていて鳥肌が立ってきた。録音も良い。

ついでにビクター盤に入っている「ヴォルガの舟歌」も聴いてみた。管弦楽伴奏の別録音。こちらは録音が古すぎ、伴奏のオケがおもちゃのような響きで興を削ぐ。シャリアピンの歌も来日時の録音のような圧倒的な存在感は薄れている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月10日 (木)

練習、久しぶりに参加

今日はオケの練習日。仕事は山積み状態だが、気分転換も兼ねて練習に出ることにする。2週間ぶりの参加となってしまった。

今日もホールに着いたら「魔笛」の練習が始まっていた。ロビーでしばらくのウォーミングアップ後客席でしばし観戦。

今日からトレーナーの先生が振っている。初顔合わせだが、すっきり手際よく練習が進んでいる。対向配置でスリムな編成。速めのテンポできっちりした音楽。弦と管のバランスはいまひとつだが、今までの沼響のスタイルとは異なる音楽が響いている。

やがて第九の練習が始まる。今日は2番ホルンの席に座り、第一楽章冒頭のAのロングトーンから開始。どうもピッチが定まらぬ。練習不足のため息が続かず速めのテンポでかろうじて救われている始末。情けなし。
第2楽章でもしばし方向を見失い、中間部でとうとう音楽を止めてしまった。冷や汗(・・:
今日は、ごまかしのきかないベートーヴェンの厳しさを痛感。

練習終了後に、仕事上の大事な案件を思い出し職場に直行。メールを送った後に帰路に着く。
P8030508_1車に乗り、カーステレオのスイッチを入れる。ミケランジェリの弾くシューマンの「謝肉祭」の冒頭「前口上」が鳴り響いた。毅然とした気高さと気品に満ちている素晴らしい音だ。「ふーう。」思わずため息が出た。
車を走らせているうちに、まだ夕食を取ってなかったことに気がついた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 9日 (水)

レオンハルトのスカルラッティ

台風7号は深夜のうちに進路を変え伊豆半島の沖を掠め去った。幸いにして小型で暴風域のない台風だったのが幸いした。並の台風ならば大きな被害が出たに違いない。

先月からパソコンの調子がおかしい。妙に重くなったかと思ったら突然電源が落ちるのだ。ウイルス・スキャンの度に落ちるので性質の悪いウイルスに感染したのかと思っていたが、原因不明。ところが昨日ファンの周辺を掃除機でクリーニングしたら調子が良くなった。

どうやら空気の取り入れ口が埃で塞がれ、内部の温度が異常に上がり熱暴走を起こしていたらしい。80年代初めによく熱暴走を起こしていたコモドールのパソコンを思い出した。

P8090508今日はレオンハルトの弾くスカルラッティのソナタ集を聴く。1970年録音のハルモニア・ムンディ原盤のテイチクのLP。チェンバロは1745年のJ.D.ドウルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネクの1962年製のもの。典雅で多彩な響きの中に深い落ち着きが感じられる名演奏。
特にL.267ニ短調ソナタの憂いを秘めた古雅な歌が良い。

P80905101978年のSEONへの録音も聴く。BMGから出ていたCDで、チェンバロは同じものだが、こちらは刺すような明るい響きと即興の妙に鋭い厳しさが感じられる。
そういえば10年近く前に静岡のAOIのオルガンで聴いたレオンハルトの実演は、虚飾を排し、音楽の核心に迫るような厳しさに満ちたものだった。細面で痩身、近寄り難い雰囲気の漂う高僧のような風貌も印象に残っている。

P8090509レオンハルトの弾くオルガンも聴きたくなった。聴いたのはスヴェーリンク・オルガン曲集で、こちらもハルモニア・ムンディ原盤によるテイチクのLP。デン・ハーグ聖ヤコブ教会の1971年製オルガンを弾いたもの。
冒頭「イ長のエコーファンタジー」の微かにヴィヴラートがかかった透明で純粋な美しい響きに心を奪われる。清らかで穢れのないオルガンの温もりに全身が包み込まれるような稀有の演奏だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 8日 (火)

朝比奈隆のベートーヴェン初録音

台風接近のため朝から一日雨、おまけに雷まで鳴りはじめた。明日早朝に東海から関東地方を縦断するらしい。
ここのところ職場で人事上の激変が続いている。突然ベテラン職員が辞めてしまったかと思えば、お次は手錬の職員が突然の入院。町内のお祭りの後片付け中に演台から転落し救急車で搬送されたらしい。両足骨折全治2ヶ月。
もう泣きたくなってきた。お祓いでもしようかと職場で真剣な話題となる。盆休みも取れそうもなくなってきた。

こんな時にヤフオク落札の品々がまた届く。ついこの間手持ち音盤を処分しようと思ったばかりだが、やはり気になるものが出ると手が出てしまう。

P8080509まずは朝比奈隆の「運命」72年録音EP盤。これは学研の第1回全集とは別録音で、学研の月刊誌「ミュージックエコー」の付録用として録音されたもの。朝比奈隆のベートーヴェンの交響曲初録音だった。さぞ入札が殺到するかと思ったら、競合したのはお一人のみ。

P8080511P8080508コレギウム・アウレウムの初期の録音で、テレマンのイ短調とニ長調組曲1966年録音。ラインハルトの指揮、リンデがブロックフレーテを吹いている。これはお馴染みのテイチク盤ではなくキングから出たもの。そしてレッパードの指揮するハイドンの第48番と第70番の交響曲フィリップス盤。

P8080513P8080510そしてボールトによる「メサイヤ」全曲モノラル盤。ステレオ再録はサザーランドの装飾過剰の歌唱が興を削ぐものだったが、旧盤はどうだろう。
もひとつアルムッツィの弾く「イタリア古典ヴァイオリン曲集」でエラート録音の日本コロンビア千円盤。ヴァイオリンは知らぬ人だが曲目の渋さで選んだ一枚。この手の盤は意外と楽しめるものが多い。今回は古典物が多かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 7日 (月)

エネスコのバッハ無伴奏

ヤフオクで落としたエネスコの弾く「無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ全曲」が届いた。

P8060519米コンチネンタル盤の状態の良いLPの板起こしで、京都のCDショップ「ラヴォーチェ」が制作したもの。このコンチネンタル盤のオリジナルLPは、現在300万円で取引されているという。(・ロ・)


P8060518P8060520今一般に出回っているCDはフィリップスがノーノイズシステムで復刻したもので、1989年発売。久しぶりにCDケースを開いてみたらレーベル面が白く変色していて仰天。アルミが錆びてしまったようだ。幸いにして再生は出来た。

今回このフィリップス盤とラ・ヴォーチェ盤を聴き比べてみた。フィリップス盤も板起こしながら完全にモノラル、一方のラ・ヴォーチェ盤はサーフェスノイズがステレオ状態で聴こえて来る。
もともと1948年録音の残響の少ない貧弱な録音だが、音の鮮度はラ・ヴォーチェ盤が圧倒的に上だった。フィリップス盤を聴いた時は、技巧の衰えばかりがクローズアップされた印象だったのに、ラヴォーチェ盤からはヨレヨレの演奏の底からエネスコの気迫とバッハへの深い畏敬の思いがじわりと伝わってくる。

それにしてもこの枯れた演奏に300万円の値打ちがあるのだろうか、私は未だこの演奏の真の価値を見い出せないでいる。
同じエネスコの演奏でも、私にはヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番の方がよほど感動的だ。あれは本当に凄かった。録音の古さを超越している。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 6日 (日)

カバリエのグラナドス、スペイン歌曲集

久しぶりに仕事もなく休日を満喫した日曜日。連日30度を軽く超える暑さだが、今年は蝉の鳴き声が例年よりも少ないような気がする。

P8060521このような暑さでは昼間は音楽を聴く気にならない。多少涼しくなった夜の9時過ぎにひっそりと聴いたのは、モンセラート・カバリエの歌うグラナドス歌曲集から「Canciones Amatorias(愛の歌曲集)」。カバリエ若き日の1965年頃の録音RCA盤。

スペイン風の民族情緒と都会的な洗練さが絶妙のバランスを聴かせるグラナドスの歌曲の数々。特にこの「カンスイヨーネス・アマトリアス」はサロン的な雰囲気の中に妖艶さも漂う名品。
若くみずみずしいカバリエの声は、後年の貫禄充分なドスの効いたカバリエとは異なる清楚な雰囲気が漂い魅力的だ。まさに夏の夜の音楽。オーケストラによる伴奏も嬉しい。伴奏はラファエル・フェラー指揮の交響楽団。

P8060517もうひとつルービンシュタインの弾くショパンの「夜想曲集」を聴く。RCAのステレオ再録で、夜想曲全集からの第一巻。
ルービンシュタイン独特の艶の有る音はそのままだが、内省的で落ち着いた大人のショパンを聴かせてくれる。絶妙にコントロールされた弱音が実に美しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 5日 (土)

シュワルツコップのヴォルフ

大好きな作家、吉村昭さんが亡くなった。初めて読んだ「羆嵐」の緻密にして迫真の描写に圧倒されて以来、手に入る限りの作品は読んだ。

P8050516吉村さんが、静岡新聞に丹那トンネルの建設を主題とした「闇を裂く道」を連載している時に、沼津の図書館に取材のため訪れたという話を当時の図書館員の方に伺ったことがある。
関係する膨大な資料を机に積み上げ、一心不乱にメモを採る姿は鬼気迫るものであったという。

P8040513その数日後、名歌手エリザベート・シュワルツコップの訃報を新聞で目にした。20世紀最大のソプラノ歌手の一人。
今日はヴォルフのゲーテ歌曲集を聴く。G.ムーアの名伴奏に乗って流れるのは、近寄り難いほどの気品の漂うヴォルフの深遠なる世界。

P8040511もう少し軽い曲も聴きたくなった。聴いたのはメンデルスゾーンの「歌の翼に」やマルティーニ、ドヴォルザークなどの有名曲を集めたフランスEMI盤。こちらもムーアの伴奏。
木製の棒で補強された丁寧な造りのジャケット。手に取るだけで嬉しい気分になるような、作り手の意気込みが自然に伝わってくる素晴らしいレコードだ。

P8050515レコード棚の整理は少しずつ進んではいるが、増えすぎてだんだん収拾がつかなくなってきたことを痛感する。聴きそうにもない音盤は少し整理した方がよさそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 3日 (木)

ミケランジェリ、シュトウツのモーツァルト

今日は、午前中休みを取り、中三の娘の高校一日体験入学に付き合う。
行ったのは県内で数少ない音楽科のある公立高校、普通科と合同説明会のため、学校に付くと千人近い中学生がゾロゾロ群がっている。元は歴史のある女子高だったが数年前に男女共学になったばかりの学校。男子トイレが少なく、探すのに苦労する。

はじめに体育館で概要説明、ところが定刻を10分過ぎてもなかなか始まらない。どうやらプレゼン用のパソコンの画面がうまくプロジェクターに写らないらしい。遠目に見てもパソコンの画面設定だけの問題のようなのに数人の先生がパソコンの周りに群がり、別のパソコンに取り替えたりしている。

ところがパソコンを変えても写る気配がなく、やむなく画面なしで説明が始まる。要領を得ない退屈な説明でしだいに眠くなってきた。終わり頃に在校生らしき男子生徒が出てきてちょいといじったら簡単に画面が出た。しかし時既に遅く説明は終わり、結局見れたのはエンディングテーマのみ。

次に選考別に教室に別れ詳しい説明を聴く。説明している教師が偶然にも高校の同級生で一瞬目が合った。相手も気が付いたが場所が場所だけにお互いに気づかぬ振りをする。内容は「聴音」の模擬事業や卒業生の模範演奏などもあり、変化に富んでいてなかなか楽しめた。演奏の内容についてはここで言及することは止めておこう。

P8030508最近車中で聴いているのは独Documentsレーベルから出ているミケランジェリの10CDBOX。
さまざまな録音の寄せ集めで、古いものやら比較的新しいものまでの玉石混交10枚組だが、10CDセットで1,500円前後というバカ安さが受けて、HMVだけで3千セット以上売れたらしい。

今日聴いたのは1枚目のモーツァルトのピアノ協奏曲第15番。エドモンド・シュトウツ指揮のチューリヒ室内管によるライヴ録音。
この第15番のコンチェルトはミケランジェリのお気に入りの曲だったらしく、何種類かの録音があるが、この演奏もクリスタルガラスのような純度の高いミケランジェリの美音が充分に楽しめる名演。カーステレオで聴いたのであまり当てにはならぬが、素直な響きのステレオで音も良い。音楽の流れに素直に乗ったシュトウツ指揮するチューリッヒのオケが実にうまい。

P8030510帰宅後同じメンバーのハイドンの二つのピアノ協奏曲も聴く。EM録音の国内LP盤。こちらはスタジオ録音だが音がかなり硬い。オケの緻密なアンサンブルは良いが音楽を引き締め過ぎて愉悦感に欠け楽しめない。

エドモンド・シュトウツはスイスの名指揮者だが、ネットで調べても引っかかるのは伴奏録音ばかり、手持ちでもペルゴレージの協奏曲やフランチェスカッティとのモーツァルトなどで同じようなものだ。
P8030509まだあったはずと思い、棚をいろいろ掻き回しているうちにシェーンベルクの「浄夜」、ウェーベルンの「5つの小品」、ベルクの「叙情組曲から」のカップリングのヴァンガード盤が出てきた。
この中のベルクを聴いてみるが、あまりにもストイックな演奏で、疲労気味の頭には聴き通すのが辛い。もう少し官能的な部分があっても良いと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 2日 (水)

オボーリンのラフマニノフほか

沼津で大正時代から続いていた老舗レストランがつぶれてしまった。そこそこお客は入っていたし先月には職場の暑気払いを盛大におこなったばかりだった。子供の頃から親しんでいたお店なだけにショッキングな出来事。

ネットオークションで落とした品々がまた届きはじめた。
P8020511ロシアの名ピアニスト、オボーリンの追悼盤で、チャイコフスキーの「四季」、メンデルスゾーンのピアノトリオ、ラフマニノフの2番のコンチェルトと、ハチャトウリアンのピアノコンチェルトの3枚組。伴奏はガウクとハチャトウリアンの指揮によるモスクワ放送響。
メンデルスゾーンはオイストラフとクヌシュエヴィツキーが共演している。

P8020512ラフマニノフは1967年の来日公演のDVDでも出ている。こちらは渡辺暁雄指揮の日本フィル。



P8020509P8020508_1同じくロシアのピアニストでは、リヒテルの1960年カーネギーホールでのリサイタルライヴ録音からアンコール曲を集めたCBS盤。スクリャービンやラフマニノフ、ラヴェル、ドビュッシーが入っている。
もひとつピアノではアルベニスのピアノ協奏曲第一番とファリアの「スペインの庭の夜」というスペイン物。ピアノのチッコリーニに爆演指揮者バティス指揮ロイヤルフィルの演奏。アルベニス若書きのピアノコンチェルトが面白そうだ。

P8020510オケ物ではデニス・ヴォーン指揮のハイドンのパリ交響曲集から86,87番日本ビクター盤。これは以前から中古市場で良く見かけていて気になっていたもの。
いずれも一枚あたり100円~500円ほどで落札。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 1日 (火)

グローフェのハドソン川組曲

今日から8月だが、朝から涼しい風が吹き比較的過ごしやすい一日。
ここのところ仕事が倍増、音楽を聴く時間がなかなか取れない。
聴き比べシリーズも中途半端のままだ。LP棚の整理も遅々として進まず、オーディオ部屋は音盤散乱状態。

しかしながら続々と見つかる懐かしい音盤の数々が、自らのストレス解消となっているのも事実。今日はそのような中からグローフェの「ハドソン川」組曲を聴く。

P8010508コステラネッツ指揮の彼の管弦楽団による、米コロンビアモノラルLPで、ハドソン川流域の都会の風景をグローフェの巧みなオーケストレーションで聴かせる描写音楽。
第3曲で突然犬の吼える声が聞こえたかと思いきや、ゴー!ボシャーンといったボーリングの玉が転がりピンを倒す音が盛大に聞こえてくる珍曲。

P8010509どうやらコステラネッツがこの曲の初演を行ったらしい。ジャケット裏には初演時のリハーサル風景の写真が紹介されている。野外ステージ上のオケの前でボーリングをプレイしている人がいてステージ横にはバイクに乗った警官が立っている。これまた珍な風景。
演奏は、べらぼうにうまいオケを見事にドライヴした痛快なもの。
まさに初演者の貫禄。

カップリングは、カンボジアの大統領だったシアヌーク殿下作曲の「カンボジア組曲」と、ホワイトという人の「蚊の羽音」というこれまた他に類のない珍曲を集めた一枚。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年7月 | トップページ | 2006年9月 »