雨にたたられた3日間
8月もいよいよ終わりに近づいた。金曜日から家族を連れ二泊三日の遅い夏休みをとり、八ヶ岳泉郷へ。朝早く出発するつもりが、妻の仕事の関係で出発が午後にずれこんでしまった。気になる山梨県北西部の天気予報は曇りで降水確率40%。
目的地の泉郷まで、およそ3時間半の行程を車で飛ばす。北杜市となっていた小淵沢ICを降りたあたりから空模様が怪しくなり、やがて雷を伴った激しい雨となってしまった。たちまち路上が川のようになってきた。自分が雨男などと冗談でも家族にはとても言えない。
ようやく到着した貸別荘のテレビを点けたら大雨洪水警報となっていた。家族全員ずぶ濡れで皆鳥肌状態。慌てて家を出たので長袖の服の用意もない。結局備え付けのストーブを使用するという間抜けなことになってしまった。
土曜日も朝から雨、八ヶ岳アウトレットに寄った後、平山郁夫シルクロード美術館へ行き、正倉院文化の源流となったササン朝ペルシャと唐代の美術品の数々を見る。仏頭や切子碗、精密な造りの印章や鏡、錦の数々、全て平山郁夫氏の眼力を経た粒そろいの美術品ばかり。
他のフロアでは2004年から2006年に完成したばかりの連作「楼蘭遺跡を行く」「パルミラ遺跡を行く」が展示されていた。神秘的な古代の廃墟を背景に、今にも動き出しそうなラクダに乗った隊商がリアルに描かれている。
悠久の時間の流れの中に過ぎ去る隊商の人々。一枚の絵に凝縮されている壮大な時間と空間のスケールの大きさに圧倒されてしまった。この絵が見ることができただけでも、来た甲斐があった。
宿に帰る途中、来年のNHK大河ドラマ「風林火山」に使用される大掛かりなセットの建設現場を通りかかった。工事の看板は「風林火山の館」。
どうやら北杜市は、来年この「風林火山」で大きく売り出すつもりらしい。
この三日間は持参したCDプレーヤーとイヤフォンで、久しぶりに音楽を集中して聴くことができた。
渡邉暁雄&日本フィルによるマーラーの「復活」ライヴ。1978年301回定演の記録で、アルトはチェコの名歌手ソウクポヴァが加わっている。東京FMの音源。
ゆったりとしたジェントルな雰囲気の漂う風格豊かな演奏。オケの非力さと録音の鈍さが多少気になるが、フィナーレのスケールの大きさはなかなかのもの。
モントゥー&ロンドン響の晩年の録音から、ドヴォルザークの交響曲第7番とエルガーの「エニグマ変奏曲」のカップリング。厳しいほどの緊張感に満ちたドヴォルザークと慈愛溢れる感動的なエルガー。
そしてモントゥーと同時代のフランスの指揮者でマニュエル・ロザンタールのラヴェル管弦楽曲全集。Adesから出ている3枚組CD。
ラヴェルの直弟子ロザンタールの代表盤。
冷静で自然体でありながら、じわりじわりと興奮の絶頂に達する「ボレロ」。「ダフニス」冒頭で、地の底から湧くような神秘的な低音に乗り、ヴィヴラートたっぷりのフルートとホルンソロが重なりながら合唱が加わる部分の絶妙のバランスが素晴らしい。
ロザンタールは実に緻密な音量バランスとテンポ設計でラヴェルの精密なオーケストレーションを見事に再現していく。パリオペラ座のソリストたちの名人芸とオケのカラフルな音色も実に聴きもの。
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