ボールトのダフニス
巷はお盆休みだが今日は仕事。昨夕の雷が職場近くに落ち、コンピューターに打撃を与えたことが判明、一時停電もあったようだが、無停電装置が正常に作動し致命的な打撃は避けられていて、まずは安心する。
明日は休みの予定だったが、未だ完全復旧せず、NTTの回線チェックが入るためやはり出勤。今年の運勢はどうやら最悪らしい。
今日はBBC Legendsのライヴからボールトの演奏を聴く。
1964年7月のプロムナードコンサートのライヴから、シューベルトの「未完成」、ビゼーの組曲「子供の遊び」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ第2組曲」というもの。オケはフィルハーモニア管。そして1963年のライヴで、シベリウスの交響曲第7番も入っている。こちらはロイヤルフィル。
剛直な中に歌心も充分な「未完成」、ピリッとした緊張感に満ちたシベリウスなど、いずれも見事なものだが、中でも「ダフニス」の純音楽的な素晴らしい演奏には正直驚いた。
ボールトのフランス物は初めて聴いたが、ゆっくりとしたテンポの中にこれほど意味深い音がぎっしりと詰まっている音楽だとは思わなかった。この曲を初めて聴いた時の感激が蘇えってきた。オケの純粋に結晶化した響きも見事なものだ。
定評あるクリュイタンスの「ダフニス」も聴きたくなった。二つある全集のうちから第一回めの全集で、フランス国立放送のオケを振ったモノラル録音。CDではテスタメントのものもあるが、こちらは日本のミュジカルノートがEMIのマスターテープから初めてCD化した時のもの。
こちらは、おフランスの香りがあたり一面に漂うような雰囲気満点の演奏。有名な「夜明け」では清流が流れ落ちるような管楽器の一糸乱れぬ美しさに心を奪われる。「パントマイム」では世界最高の名手、デユフレーヌの見事なフルートソロが大変な聴きもの。
沼響のHPの聴き比べコラム「新世界よりを聴く」をアップしました。連載100回目。いつのまにか1年を超える視聴となりました。
写真は視聴に使ったジムロック版を基にした音楽之友社発行のポケットスコア(昭和47年発行300円、細部はジムロック版と微妙に異なります。)表紙が破れボロボロとなってしまいました。今まで紹介した演奏は136種。まだまだ紹介しきれぬ演奏もありますが、切れが良いのでこれにて終了。
「ラフマニノフの2番を聴く」は、未だ紹介しきれていない演奏が多すぎるので、もうしばらく続けます。
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コメント
新世界の連載、お疲れ様でした。この曲はまだまだ沢山の録音があるので200回は続くものと思っておりました(ウソ。同じ曲を聴き続けるのは体力要りますもん。昨年暮、前橋にて名匠トゥルノフスキによる古武士的な「新世界」(ラールゴが二つ振りになるくらいの速いテンポで引き締めていたのが印象的)を堪能して以来、興味が戻りつつある曲です。
ちなみに「300名のオーケストラ」の指揮者は渡辺暁雄さんで正しいですよ。私は持っているのでお貸ししていたらもう少し長く連載が続いていましたか?
投稿: ぶりちょふ | 2006年8月15日 (火) 12時28分
ぶりちょふさん、コメントありがとうございます。
「新世界」の手持ちはまだあるのですが、最近の暑さに加えて、部屋のクーラーが壊れてしまっているので重い曲は聴く気が失せてしまいました。
ここのところ本業が忙しくなり「ラフマニノフの2番」の視聴も未完だし、オケは第九の練習が本格的になりはじめてしまったこともあり「新世界」の聞き比べを泣く泣く終わりとしました。
オケで「新世界」を再び取り上げることがあれば、再開するかもしれません。
(たぶん、ないだろうなぁ)
昨年のトウルノフスキーは結局聴けませんでした。一度聴いておきたい指揮者なのですが。
投稿: 山本晴望 | 2006年8月15日 (火) 22時38分