エネスコのバッハ無伴奏
ヤフオクで落としたエネスコの弾く「無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ全曲」が届いた。
米コンチネンタル盤の状態の良いLPの板起こしで、京都のCDショップ「ラヴォーチェ」が制作したもの。このコンチネンタル盤のオリジナルLPは、現在300万円で取引されているという。(・ロ・)
今一般に出回っているCDはフィリップスがノーノイズシステムで復刻したもので、1989年発売。久しぶりにCDケースを開いてみたらレーベル面が白く変色していて仰天。アルミが錆びてしまったようだ。幸いにして再生は出来た。
今回このフィリップス盤とラ・ヴォーチェ盤を聴き比べてみた。フィリップス盤も板起こしながら完全にモノラル、一方のラ・ヴォーチェ盤はサーフェスノイズがステレオ状態で聴こえて来る。
もともと1948年録音の残響の少ない貧弱な録音だが、音の鮮度はラ・ヴォーチェ盤が圧倒的に上だった。フィリップス盤を聴いた時は、技巧の衰えばかりがクローズアップされた印象だったのに、ラヴォーチェ盤からはヨレヨレの演奏の底からエネスコの気迫とバッハへの深い畏敬の思いがじわりと伝わってくる。
それにしてもこの枯れた演奏に300万円の値打ちがあるのだろうか、私は未だこの演奏の真の価値を見い出せないでいる。
同じエネスコの演奏でも、私にはヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番の方がよほど感動的だ。あれは本当に凄かった。録音の古さを超越している。
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