シュワルツコップのヴォルフ
大好きな作家、吉村昭さんが亡くなった。初めて読んだ「羆嵐」の緻密にして迫真の描写に圧倒されて以来、手に入る限りの作品は読んだ。
吉村さんが、静岡新聞に丹那トンネルの建設を主題とした「闇を裂く道」を連載している時に、沼津の図書館に取材のため訪れたという話を当時の図書館員の方に伺ったことがある。
関係する膨大な資料を机に積み上げ、一心不乱にメモを採る姿は鬼気迫るものであったという。
その数日後、名歌手エリザベート・シュワルツコップの訃報を新聞で目にした。20世紀最大のソプラノ歌手の一人。
今日はヴォルフのゲーテ歌曲集を聴く。G.ムーアの名伴奏に乗って流れるのは、近寄り難いほどの気品の漂うヴォルフの深遠なる世界。
もう少し軽い曲も聴きたくなった。聴いたのはメンデルスゾーンの「歌の翼に」やマルティーニ、ドヴォルザークなどの有名曲を集めたフランスEMI盤。こちらもムーアの伴奏。
木製の棒で補強された丁寧な造りのジャケット。手に取るだけで嬉しい気分になるような、作り手の意気込みが自然に伝わってくる素晴らしいレコードだ。
レコード棚の整理は少しずつ進んではいるが、増えすぎてだんだん収拾がつかなくなってきたことを痛感する。聴きそうにもない音盤は少し整理した方がよさそうだ。
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