レオンハルトのスカルラッティ
台風7号は深夜のうちに進路を変え伊豆半島の沖を掠め去った。幸いにして小型で暴風域のない台風だったのが幸いした。並の台風ならば大きな被害が出たに違いない。
先月からパソコンの調子がおかしい。妙に重くなったかと思ったら突然電源が落ちるのだ。ウイルス・スキャンの度に落ちるので性質の悪いウイルスに感染したのかと思っていたが、原因不明。ところが昨日ファンの周辺を掃除機でクリーニングしたら調子が良くなった。
どうやら空気の取り入れ口が埃で塞がれ、内部の温度が異常に上がり熱暴走を起こしていたらしい。80年代初めによく熱暴走を起こしていたコモドールのパソコンを思い出した。
今日はレオンハルトの弾くスカルラッティのソナタ集を聴く。1970年録音のハルモニア・ムンディ原盤のテイチクのLP。チェンバロは1745年のJ.D.ドウルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネクの1962年製のもの。典雅で多彩な響きの中に深い落ち着きが感じられる名演奏。
特にL.267ニ短調ソナタの憂いを秘めた古雅な歌が良い。
1978年のSEONへの録音も聴く。BMGから出ていたCDで、チェンバロは同じものだが、こちらは刺すような明るい響きと即興の妙に鋭い厳しさが感じられる。
そういえば10年近く前に静岡のAOIのオルガンで聴いたレオンハルトの実演は、虚飾を排し、音楽の核心に迫るような厳しさに満ちたものだった。細面で痩身、近寄り難い雰囲気の漂う高僧のような風貌も印象に残っている。
レオンハルトの弾くオルガンも聴きたくなった。聴いたのはスヴェーリンク・オルガン曲集で、こちらもハルモニア・ムンディ原盤によるテイチクのLP。デン・ハーグ聖ヤコブ教会の1971年製オルガンを弾いたもの。
冒頭「イ長のエコーファンタジー」の微かにヴィヴラートがかかった透明で純粋な美しい響きに心を奪われる。清らかで穢れのないオルガンの温もりに全身が包み込まれるような稀有の演奏だ。
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