マンロウのグリーンスリーヴス
今日はデヴィッド・マンロウの笛を聴く。
まず聴いたのは17世紀、20世紀のリコーダーの曲を集めたアルバム。
1976年録音の英EMIのオリジナルLP。
両面ともにグリーンスリーヴスから始まる。A面の最初はマルコムの弾くハープシコード伴奏によるグリーンスリーヴスの原曲をマンロウが吹いている。ダウランドやパーセルたちの17世紀の曲が続く。
B面はヴォーン・ウイリアムスの「グリーンスリーヴス幻想曲」のピアノ伴奏版。こちらピアノもマルコム。そしてマンロウとしては珍しいウォーロックやラップラなど、20世紀イギリスの作曲家たちの作品の数々を収めた異色のアルバム。
中ではヴォーン・ウィリアムス晩年の傑作、4本のリコーダーのための組曲が美しい。
古典的な格調の高さの中に懐かしさと暖かさが溢れる名品だ。マンロウが聴かせる哀愁を帯びたリコーダーの響きも素晴らしい。
それにしてもB面最後の曲が、C..Richardsonの「Beachcomber」という底抜けに明るいライト・ミュージックなのが象徴的だ。
この録音の2ヵ月後にマンロウは自ら命を絶っている。結局このアルバムがマンロウ最後の録音となってしまった。
続いてマンロウで「ルネッサンス舞曲のたのしみ」を聴く。こちらもEMIのLPで、スザートとモーリーの15世紀の楽しい舞曲集を集めたアルバム。
スザートはロンドン古楽コンソート、モーリーはモーリーコンソートの演奏。
ロンドン古楽コンソートでは、フィリップジョーンズ・ブラスアンサンブルでトランペットを吹いていたマイケル・レアードがツィンクを吹き、ホグウッドがチェンバロを弾いている。
スザートの舞曲集は、フィリップ・ジョーンズブラスアンサンブルがマンロウのアレンジをほぼそのまま現代楽器に移した形の録音があり、これはひところ夢中で何度も繰り返し聴いていた懐かしいアルバムだ。
最後に聴いたのは、マンロウの死後ロンドン古楽コンソートのメンバーが集まって録音した「W.バードとその時代の音楽」。
スザートの舞曲集でクルムホルン、リュート、ヴィオールなど八面六臂の活躍をしていたジェイムズ・タイラーがリーダーとなっている。昭和55年度芸術祭参加の2枚組LP。
真摯な演奏だがマンロウの抜けた穴は大きい。マンロウが加わった時の演奏に感じられる音楽を心から楽しむ高揚感が全くないのだ。
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