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2006年11月 1日 (水)

久元祐子&池内紀、対談コンサート

今日は、旅と酒を愛した牧水ゆかりの千本松原近くにある若山牧水記念館主催のコンサート。客席30名あまり、ライトアップされた松林を背景に行われる雰囲気満点のサロンコンサートだ。

今回はモーツァルトの演奏で定評のある久元祐子さんのモーツァルトを中心に、ドイツ文学者池内紀さんとの対談を交えるという豪華なもの。

Pb010626 曲は幻想曲ニ短調K.397、「ロンドンの音楽帳」からト短調 K.15b,「キラキラ星変奏曲」、J.C.バッハのソナタOp.5-3、休憩をはさんで池内先生と久元さんの対談、最後はK.333の変ロ長調のソナタ。アンコールはチャイコフスキーの「秋の歌」と「トルコ行進曲」というもの。

モーツァルト未完の幻想曲を未完の部分と他の人の補筆部分の聴き比べ。晩年の作品にも共通する部分が見出せるモーツァルト8才の時のト短調のピアノ曲。
そして幼いモーツァルトに大きな影響を与えたJ.C.バッハのロココ趣味の溢れるソナタなど、実に考え抜かれたプログラムと久元さんの深い解説。

自分の隣の席に座っていた男性が、突然前に出て対談を始めたのには驚いた。池内紀さんだったのだ。
モーツァルトとゲーテの書簡についての興味深い話。モーツァルトの生きた時代とベートーヴェンの時代では当時のヨーロッパ社会が大きく管理社会に変貌していった時であったこと、そして老後のために堅実に貯金していたハイドンが、極端なインフレのために預金が大きく目減りしてしまったことなど、ユーモアあふれる柔らかで飄々とした池内さんの語り口に時の経つのも忘れる。

Pb010627 Pb010628 一流の音楽と一流の人たちの会話。贅沢で至福のひと時を過ごさせていただいた。
池内さんの著書「みなかみ紀行」(岩波文庫)に、すてきなイラストとサインもいただいてしまった。

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