トスカニーニの第九
2006年も今日で終わり、昨日早めに就寝し本日完全復調。今日は庭の周辺や家の大掃除で慌しい一日が終わる。夕食後紅白を見ている家族を横目に見つつ自分は別室でゆっくり音楽を聴く。
先日聴いたオボーリンの弾くハチャトリアンのピアノ協奏曲でフレクサトーンが使用されていなかったのが気になり、フレクサトーンの音を確かめたくなった。そこで取り出したのがルーマニアのピアニスト、ミンドル・カッツの弾く演奏。伴奏はボールト指揮のロンドンフィルによるPye原盤によるテイチクのLP。
第2楽章で聞こえてくる摩訶不思議なる玄妙な音、テルミンの音にも似ているが日本の怪談話に出てくるノコギリ音楽のような音だ。カッツの冷えたタッチが寒々しさを助長している。
続いて見事な伴奏を聴かせていた ボールトの指揮で、プロコフィエフの交響曲第1番。これはハチャトリアンとほぼ同時期の同じPye録音。
自然に淡々と進めながら深い自愛の感じられる第2楽章が素晴らしい。数多くのこの曲の演奏の中でも傑出した演奏だ。
そして最後は「第九」。12月に「第九」を演奏した関係で今年も沢山の演奏を聴いた。
ここのところトスカニーニの「第九」を続けていくつか聴いている。トスカニーニの演奏は、20世紀の演奏スタイルに大きな影響を与えた楽譜に忠実なインテンポのスタイルということになっているが、「第九」のライヴをいくつか聴くと、その場の状況とオケによって驚くほど自由に細かな所で表情を変えている。演奏しながら絶えず最良の方向を探っているのだ。
今日聴いた(視た)のは1948年の全曲映像でTestamentから出ているDVD。
実際に見るトスカニーニの指揮ぶりは実に明快、聴くだけよりもずっと多くのことが見えてくる。
実に素晴らしい指揮と演奏だ。この偉大な指揮者の第九の全曲映像が残されたことに感謝。感想の詳細はコラムに書きます。
最後にモーツァルトイヤーの締めくくりとしてハ短調の「大ミサ曲」からキリエとグローリアを聴く。演奏はP.マーク指揮のパドヴァ管によるライヴ録音。のびやかで大らかなファンタジーに満ちた名演。
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