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2006年12月15日 (金)

デプリースト・都響のメサイア

ジェイムズ・デプリースト指揮する東京都響の「メサイア」公演に行ってきた。
昼から上京するつもりが職場で突然のトラブル発生、結局14時45分三島発の新幹線となってしまった。東京で所用を済ませ、御茶ノ水ユニオンをちょいと冷やかし東京文化会館へ急ぐ。席は3階右席、19時開演。

3019_l 指揮は、「のだめ」13巻に実名でも登場するジェイムズ・デプリースト。デプリーストの近年の録音には駄作というものが全くない。オレゴン響の指揮者時代から注目してきた名指揮者だが、幸い都響の常任指揮者となり実演に接しやすくなった。

シェリング&ゾルタン校訂のペータース版使用、オケは10型通常配置にオルガンとチェンバロが加わる。独唱者のアルトは先日の「第九」で沼響と共演したばかりの山下牧子さん。合唱は晋友会総勢80名余。第九とならび年末の風物詩とも言える「メサイア」に会場も満席となった。

合唱団、オケメンバーに続いて山下さんをはじめとするソリスト、そしてデプリ-ストが電動車椅子に乗って登場し、特別仕様のスロープ付きの指揮台に車ごと載りモーター仕掛けで一回転。ここまであたかも宗教的な儀式を見ているようだ。
今までの経験上、マルケヴィッチ、クライバー、バーンスタイン、カラヤン、チェリビダッケなど大指揮者の実演では、ステージに登場した瞬間から指揮者のオーラが会場を包み込む独特の雰囲気があるものだがデプリーストにもそれがある。

そして長い指揮棒が一閃、荘厳な序曲が始まった。端正にして敬虔な祈り、ヒューマンな暖かさに満ちた素晴らしい音楽が会場を満たしていく。
名だたる歌手達に伍して山下さんのソロも素晴らしい。沼響の最初の第九の時に比べて格段に成長している。(正直なところ第九のソロではあまりよくわからなかった)
良く訓練された合唱も良い。ソリストではソプラノの天羽明恵さんが傑出、アルトとソプラノのアリア"Come unto Him"では周辺からすすり泣きの声が聞こえてきた。このあたりから会場の雰囲気が変わってきた。

第一部の後休憩、そして第二部、第三部、有名なハレルヤコーラスを経て終曲の壮麗なアーメンコーラス。淡々と棒を振っているデプリーストがあたかも大鷲が翼を広げるように大きく両手を広げると巨大で暖かな音楽が会場を包み込んでいく2時間余。私の前の席の老夫婦は涙をぬぐいながら聴きいっている。隣でスコアを眺めながら聴いていた音大生とおぼしき女子大生も完全に固まっている。

デプリーストの暖かな人柄と宗教的な祈りが自然と伝わってくる感動的なコンサートだった。生のコンサートで涙が出てきたのは久しぶりのことだ。第九公演も行こうかな。

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受信: 2006年12月17日 (日) 11時48分

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