クライバーの田園
本日は初めての大腸内視鏡検査の日、昨晩寝る前に飲んだ下剤が真夜中に効き始め寝不足気味。朝7時から市立病院へ向かう。
今日は「20世紀の偉大な指揮者たち」シリーズからのE.クライバー2枚組。そしてクリュイタンス来日公演のラヴェル2枚組CDとCDプレーヤーを持参し待合の時間つぶしとする。
両盤ともにモノラルなので、片耳で聴くならば呼び出しのアナウンスは充分耳に入る。
8時に受付を済ませ待合室へ。まずはクライバー指揮するシューベルトの交響曲第5番から北ドイツ放送響との1953年ライヴ。軽やかで気品溢れるシューベルトが耳元で爽やかに響き渡る。ちょうど聴き終わったところで名前を呼ばれ検査室へ。
そこでは腸内洗浄剤2リットル入りの大袋が待っていた。「1.2リットル分を一時間ほどで飲んでください」との看護師さんのお言葉。
おそるおそる舐めてみたらポカリスエットを薄くしたような味。これならば大丈夫、とぐいぐいと飲み始めるが1リットルを過ぎたあたりから辛くなってきた。やっと飲み干した頃、お腹がゴロゴロと鳴り始めた。後はトイレへの往復が続く。
内視鏡検査は2時過ぎに開始。検査用の衣服に着替えベッドに横になる。鎮静剤の点滴が始まった頃横でバシュバシュという音が聞こえる。横目で見ると若い医師の顔がグラスファイバーの光に不気味に浮かび上がっていた。内視鏡の調子を見ているらしい。
そして「始めますよ」の声。「う!・・・」下腹部から内視鏡がぐいぐいと入り、体の内側から突き上げてくるのがはっきり判る。しかし思ったほどは辛くない。点滴が効いているようだ。検査は15分ほどで終了。
「一時間ほど安静にしてください」ということで、検査室横の個室に通され、ベッドに横になる。空気も注入されたために下腹部がパンパンだ。横になったところでバッグからCDプレーヤーを取り出しクライバーの続きを聴き始めた。
シューベルトの次に流れてきたのはベートーヴェンの「田園」、チェコフィルとの1955年ライヴ。クラリネットの独特の音色と艶のあるブラス、チェコフィル全盛期の素晴らしい音。あたかもボヘミアの田園風景が目の前に広がるようだ。
第3楽章の躍動感、第4楽章の激しさ、そして雄大で幸福感に満ちた第5楽章。ライヴながら抜群の完成度でフィナーレ最後の絶妙なテンポの落とし方など神技の域。
鎮静剤の効果もあり聴いていて幸福な気持ちになってきた。このCDを持ってきて良かったと思う。検査結果も異常なし。
帰宅後、エーリッヒ・クライバーのコンセルトヘボウとのスタジオ録音と息子カルロスの演奏で、「田園」を聴いてみた。
この「田園」は息子カルロスにしてはベストフォームではない。父の2つの演奏に遠く及ばない。
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コメント
大腸内視鏡検査ご苦労様でした。問題なしでよかったですね。
なお、検査方法が違っているのに、ちょっと驚きました。
当方では、下剤は前日昼に服用(仕事中)、大袋は帰宅後に21時までに服用(激しい下痢になるので眠れなくなるので)。 翌朝9:00より検査なんですが、それまでお茶などの水分補給は可能(食事や牛乳はダメ)で、検査では鎮痛剤はなく、けっこうツライものありました(腸が長くて盲腸まで届かなかったもんで)。
とにかく鎮痛剤なしなので10時に検査完了、30分ほどで支払いを済ませて帰りました(午後出勤も可能でしたけど、休みましたよ)。 いろいろとやり方あるもんですね。
さて、音楽の話題も・・・
ルドルフ・アルベルト、キングGT1000でジョーン・フィールド(vn)によるヴァイオリン協奏曲のバックをベルリン響とやってますね。 テルデックからもCD出てたのを持ってます。 では
投稿: 安田裕隆 | 2006年12月13日 (水) 13時00分
安田さん、コメントありがとうございます。
大腸の内視鏡検査、事前にいろいろな人から脅かされていたので正直ドキドキでした。
時間はかかりましたが、実際の検査は鎮静剤のおかげであまり苦になりませんでした。病院によって検査のタイミングなどのやり方が違うみたいですね。
実は、前日飲む下剤については病院の指示では9時に飲むようにとなっていたのですが、つい忘れて寝る直前に飲んでしまい。大変な事になってしまいました。
アルベルトの情報もありがとうございます。
この指揮者、最近Accordのフェスティバルシリーズでまとまった数の演奏が復活しましたが、個性的でB級の魅力プンプンの面白い演奏家だと思います。
LP期にマイナーレーベルを中心にいろいろと録音があるようです。
投稿: 山本晴望 | 2006年12月13日 (水) 23時17分