曇り時々雨、寒い一日となった。今日は特に外出もせず読書と音楽三昧。
HMVからCDとDVDが届いた。
ラインスドルフ&ボストン響による、ケネディ大統領追悼ミサのモーツァルト「レクイエム」実況録音。これは非常に有名な録音で、長く復活が待たれていたもの。
オルガンの前奏、後奏に加えて、カッシング枢機卿司る当日のミサ全てが収録されたドキュメント2枚組。
「コロンヌ管・ヒストリカルレコーディングズ」。Cascavelleから出ている2枚組CDで、パリの私設オケ、コロンヌ管の1906年から1960年までの代表的な指揮者の録音を集めたもの。
指揮は創設者のコロンヌから始まり、ピエルネ、パレー、フルネ、デルヴォーら4人の演奏。
コロンヌの録音は、既にTahraから「コロンヌ、パテ・コンプリートレコーディングス」でも聴く事が出来る。さすがに1906年の機械式のラッパ録音では、曲の輪郭が判る程度だったのだが、このCascavelle盤も同様だろうか。
この中のパレーの演奏のいくつかは、Danteから出ていたパレーの30~40年代の録音を集めた3枚組CDとダブっているが、このCascavelle盤でしか聴けぬものも多い。フルネ、デルヴォーは初めて聴く録音ばかりだ。
そして、ベーム&ウィーンフィルの来日公演DVD2枚組。
今でも語り草となっている1975年3月の記録で、ベートーベンの交響曲第7番、ブラームスの交響曲第1番、シューベルトの「未完成」と当日アンコールで演奏された「美しく青きドナウ」の2つの演奏と「マイスタージンガー第一幕前奏曲」そしてリハーサル風景とインタビューというもの。
当時この公演のほぼ全ての模様がNHKFMで生中継され、テレビで何回も放送された。これがきっかけとなりベームの国内での人気が沸騰したことを今でも覚えている。
当時高校生だった自分も夢中になってでラジオの前で感動しながら聴いたことを思い出した。生中継は首都圏だけステレオ放送だったはずだ。
この公演は、後に日本グラモフォンから2つの箱物LPセットで両国国歌も含む全録音が発売され、両方とも長い間の愛聴盤だった。
そして今回のDVD。ちょいと部分的に見るつもりが一枚目全部とリハーサルを見てしまった。ベートーヴェンの映像など多少クオリティの低さは感じさせるが、超名演のブラームスは音も映像も明瞭で不満はない。
16型で管楽器は倍管。コンマスのヘッツエル、ヒューブナー、トランペットのA.ホラー、クラリネットのプリンツなど、ウィーンフィルの全盛期を支えた名物奏者たちの顔ぶれがずらりと並ぶのは壮観。この面々が本気となって演奏するのだから凄い事になっている。視ているうちに当時の感動がそのまま蘇ってきた。
ベートーヴェンは今聴くと多少の重さが気になるが、ブラームスはベーム自身が絶賛していた演奏だけあって、何度聴いても時間の経つのを忘れて感動させてくれる名演だ。
2つのリハーサルでは、「美しく青きドナウ」のリハーサルを不機嫌なベームがなかなか始めようとしない。「ホルンのベルガーはどうした、ベルガーでなきゃだめだ!」というベームの叱責が飛ぶ。慌てて立ち上がる団長のヒューブナー。どうやらベルガーが遅れたらしい。
別の日のベートーヴェンの4番では一転して上機嫌の様子。冒頭の第一音を何度も繰り返す。私には何が悪いのか良くわからなかったのだが、「2番ファゴットが悪い」というベームの声。どうやら微妙に2番ファゴットのバランスが小さく、タイミングも遅れていたらしい。
恐ろしいほど緻密で、細部まで妥協しないベームの職人技を垣間見たリハーサル。
最近のコメント