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2007年1月に作成された記事

2007年1月30日 (火)

グレツキの古風なスタイルによる3つの小品

グレツキの「悲しみのシンフォニー」が大ヒットしたのは何年前だろうか。この曲の大ヒットぶりはテレビで紹介されたりもしたが、生来天邪鬼な自分は聴く気にならなかった。

グレツキの作品に初めて接したのはその数年前で、R.バーター指揮するクラクフ室内管がやってきて地元の子供たちと共演した時の事。この時にグレツキのピアノ協奏曲の何曲かが取り上げられていた。
いずれも親しみやすく、技術的にも易しい愛らしい協奏曲だったように記憶している。

P1300758 今日聴いたのはその延長線上にある曲で、「古風なスタイルによる弦楽オーケストラのための3つの小品」というもの。15世紀のポーランドの古い聖歌や民謡をアレンジした小品だが、この種の音楽は嫌いではない。グリーグやイギリスの作曲家たちの小品を聴くような趣で楽しめる。

演奏はK.Teutsch指揮のワルシャワ国立フィルによるOlympia盤。カップリングはJ.Kartlewicz指揮のポーランド放送響による交響曲第3番。本来こちらがメインディッシュだが、この曲は一度聴けば充分な曲だ。
余白に同じ指揮者によるアカペラ合唱曲「アーメン」も入っているが、演奏が稚拙で楽しめない。

P1300756 もうひとつロスアンジェルスホルンクラブの演奏で、ラッススやパレストリーナの小品とアメリカの作曲家プレスティの作品を聴いた。
こちらは米セラフィムの古いLP。録音は古ぼけ気味だが、ホルンの重厚なアンサンブルと名人芸が楽しめる一枚。

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2007年1月29日 (月)

マッケイブのサティ

窓を閉め切って車に乗ると汗ばむくらいの暖かな一日。今夜はPTAの理事会となった。
校長、教頭両先生を交えての今年度の反省と来年度への引継ぎの確認をおこなう。理事会終了後、PTA役員のみで来年度の新役員の確認。しかしどうしても人数が足りない。毎年のことだが新しい役員がどうしても決まらない。これではリタイアできない。

いささか疲れて帰宅は11時過ぎとなってしまった。
P1290755 今日はサティを聴くことにする。演奏はハイドンのピアノソナタ全集で知られるジョン・マッケイブ。「ジムノペディ」「グノシェンヌ」「スポーツと気晴らし」など、比較的ポピュラーな曲が入っている英SAGAのLP。

速めのテンポでサラリと流すマッケイブのサティ。この飾り気のなさがサティにはふさわしい。
「3つのジムノペディ」のなんとも優しい表現が、自然と俗世間の喧騒を忘れさせてくれる。
「官僚的なソナチネ」の無邪気さも実に愉快。

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2007年1月28日 (日)

カペルのラフマニノフ

今日は一日仕事となった。帰宅後夜になっても仕事関係の電話があり、落ち着かぬ一日。

こんな時に聴いたのは、1953年に31歳の若さで飛行機事故のため亡くなってしまったウィリアム・カペルのラフマニノフ。
カペルの活動期間は非常に短かったが、ラフマニノフ、ホロヴィッツと並んでRCAの専属アーティストだったので、まとまった数のスタジオ録音を残している。
LP時代にはカペルのレコードは入手難だったが、最近はライヴを含めて比較的多くのCDが出ている。

P1280762 まず聴いたのはM&Aから出たピアノ協奏曲第2番の1951年ライヴ。伴奏は若き日のバーンスタイン指揮するニューヨークフィル。

冒頭からテンポを揺らしつつ速めのテンポで挑戦状を叩きつけるカペルに当初は戸惑い気味のバーンスタインだが、やがて自分のペースに持ち込むために丁々発止の仕掛け合いが始まる。次第に両者が熱くなって行くのが手に取るように判るスリリングな演奏だ。
第一楽章の最後などソロと伴奏が完全にずれて終わり、第1楽章が終わったところで拍手が湧き上がっている。天才二人の激しいぶつかり合いが火花を散らす期待に違わぬ凄い演奏だった。
聴感上かなり速い演奏のようだったが、演奏時間はスタジオ録音とあまり変わらない。

P1280763 この録音の前年のスタジオ録音も聴いた。RCAから出たセット物の一枚で、伴奏はスタインバーグ指揮のロビンフットデル管(フィラデルフィア管の契約上の変名)。
ライヴと比べると冷静だが、いつも真剣勝負のカペルの音楽は変わらない。強靭なテクニックと爽やかな抒情のバランスがほどよく取れた名演だ。スタインバーグもソロに触発されて熱い伴奏を聴かせる。

カペルの残された演奏を聴くと大変な天才だったことがわかる。

カップリングされている「パガニーニの主題による変奏曲」も凄い。ライナーのバックはスタインバーグ以上の出来。

P1280761 さらにカペルのラフマニノフでピアノ協奏曲第3番。VAIから出ていた1948年のライヴ。こちらはE.マクミランの指揮トロント響の伴奏。ソロの生きの良さに比べて伴奏はだいぶ落ちるがこの名作の録音が残されただけでも感謝。
このCDのジャケ写真はM&A盤と同じものだ。

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2007年1月27日 (土)

ビクトリアの聖週間聖務曲集

朝から風は強いが暖かな一日。3月上旬の陽気だという。

P1270760 今日はルネサンス期スペイン最大の作曲家、ビクトリア晩年の傑作「聖週間聖務曲集」を聴く。
演奏はホーバン指揮のスクオラ・ディ・キエザ合唱団によるPye 原盤のテイチクのLP。

「聖週間聖務曲集」はLPにして3枚分にも及ぶ大作だが、ホーバンはその中から「エレミア哀歌」他数曲を演奏している。

心洗われる敬虔な祈りの音楽。禁欲的なまでに引き締まったアンサンブルと、透明な響きを聴かせる演奏も素晴らしい。聴いているうちに厳粛な気持ちとなり、他の曲を聴く気が失せてしまった。

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2007年1月26日 (金)

ヒンデミット自作自演

今日は帰宅が遅くなった。夜から雨。昨日に引き続きヒンデミットを聴いた。

P1260759 ヒンデミットはSP時代から自作自演の録音を数多く残している。今回聴いたのはフィルハーモニア管を振った「シンフォニア・セレナ」と「ホルン協奏曲」がカップリングされた英エンジェル盤LPのステレオ録音。
「セレナ交響曲」はお気軽路線の陽気な曲。ベートーヴェンの「ヨーク行進曲」のパロディが面白い。

クレンペラーとの録音セッションがご破算になったいわくつきの「ホルン協奏曲」は、デニス・ブレイン自身に献呈された曲だけあって、相変わらず達者なブレインの演奏が楽しめる。ヒンデミットの伴奏も手馴れたもの。

P1240755 そしてVOXBOXのドヴォルザーク室内楽全集第5巻LP3枚組。
弦楽六重奏と作品1、と97の弦楽五重奏曲、そして2つのピアノトリオとメヌエットというもの。演奏はオーストリア弦楽四重奏団とドゥムカトリオ。この演奏団体についてはよくわからない。解説を読むとカルテットは来日もしているらしい。

演奏はかなりお粗末。トリオはまだ聴けるが、弦楽六重奏曲などアンサンブルがヨレヨレでルーティンな演奏に聴き通すのにかなりの忍耐を強いられた。
この調子で全集を録音してしまったのだろうか。

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2007年1月25日 (木)

スタインバーグのストラヴィンスキーとヒンデミット

仕事の密度がじわりじわりと高まってきた。最近時間の経過が驚くほど早い。気がつくとすぐにお昼、そして日没。周囲の時間の経過が加速度的に速くなっているような感覚だ。

P1250756 今日はW.スタインバーグの演奏を2つ聴いた。まず最初にストラヴィンスキーの「春の祭典」。ピッツバーグ響を振ったキャピトルのLPだが、これは珍しく英DECCAプレスと書いてある。モノラルながら録音は極めて鮮明、大太鼓もずしりと手応え充分の響き。

スタインバーグの指揮は予想通りじっくり重厚なもの。ところが第二部の「選ばれた処女への賛美」の猛烈な速さには驚いた。今まで聴いた中では最速の演奏だ。
このテンポではさすがにオケも乱れが生じている。終曲のチューバの断末魔の絶叫も初めて聴く解釈だ。これは思わぬ拾い物。

P1250757 P1250758 もひとつスタインバーグはボストン響を振った「画家マチス」。
ドイツグラモフォンへの比較的知られた録音で、聴いたのは韓国プレスのLP。
これはスコアを見ながら聴こう。手持ちのスコアは、静岡の古本屋でゴミのように扱われていたニューヨークのショット社発行の古いポケットスコア。1934年発行と書いてありロンドンの楽譜屋のゴム印が押してある。

70年以上の歳月を、いったい幾人の手を経てニューヨークからロンドン、そして極東の田舎町まで流れてきたのだろうか。かなり古い酸性紙を使った出版物なので表紙はボロボロで中身も風化寸前だが、まだ充分読める。

第2楽章まではさほど難しそうでもなく、これならばうちのオケでもできそうだ、と思ったが第3楽章から急に難しくなっていた。
スタインバーグの指揮は標準的な解釈だが、ボストン響の起動力を充分に生かし、バランスの良い響きで手際良くまとめている。

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2007年1月24日 (水)

ブリテンのブランデンブルク協奏曲

今年の冬は暖かい。夜になって雨が降り始めた。
今日は昨日に続いてイギリスの演奏家たちによるブランデンブルク協奏曲を聴いた。

P1210751 聴いたのは、20世紀を代表する作曲家ブリテンが指揮するイギリス室内管による演奏。DECCA原盤のキングの2枚組LPだ。
昨年はブリテン没後30年の記念の年だったはずだが、モーツァルト、ショスタコーヴィッチの影になって注目される事なく終わってしまった。

作曲家のみならず指揮者、ピアニストとしてもブリテンは大きな仕事を残している。
さしずめこのブランデンブルク協奏曲は、「戦争レクイエム」と並んで指揮者ブリテンとしての代表作かもしれない。ソリストはホルンのアイファー・ジェームス、フルートのリチャード・アドニーなど渋い名手たち。1968年録音。
演奏はきっちり楷書型、ぴしりとスーツに身を固めたイギリス紳士風の生真面目な演奏。もう少し遊びが欲しい気がする。
なおこのLPの解説は、ブリテンと親交のあったホルストの一人娘、イモージェン・ホルストが詳細な解説を書いている。

P1210750 もうひとつブリテンで、「弦楽のためのイギリス音楽集」、ブリテンの「シンプルシンフォニー」で始まり、ディーリアスの「2つの水彩画」、エルガーの「序奏とアレグロ」そして、パーセル、ブリッジらの小品が入ったこちらもDECCA音源の日本キング盤LP。
演奏としてはこちらの方が楽しめる。曲の配置も絶妙だ。

この二つのアルバムだが、ほぼ同時期の録音で録音場所も同じなのに音がだいぶ違う。バッハはSLC番号のキングの初期のもの。後者は何度目かの再発で18KC番号。音は18KC番号のものが格段に良い。

P1150740 沼響のHPの聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」第41回をアップしました。
今回はM.ヤンソンス2回目の録音。

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2007年1月23日 (火)

ボイド・ニールのブランデンブルク協奏曲集

平穏無事に毎日が過ぎているようでいて、年度末を控えて大きな仕事の山がひたひたと迫って来る予感。

P1220753 今日はボイド・ニールの指揮するブランデンブルク協奏曲全曲を聴く。1945年から1947年にかけてのDECCAへの録音をDUTTONがCD化したもの。
ソリストはホルンのD.ブレイン、デル・マール、オーボエのグーセンスとバルビローリ夫人のロスウェル、トランペットのエクスデールなど、往年のイギリスの名手たちがずらりと並ぶ。
通奏低音はピアノ、さらに繰り返しの部分では音量を極端に小さくするなど、今となっては解釈は古めかしいが、個々のソロはさすがにうまい。特に第5番でピアノソロを弾いているK.Longが抜群。

デニス・ブレインのソロは相変わらず見事だが、この録音の際、ブレインはホルンパートの譜面に不満があり、この曲のオリジナルであるカンタータのシンフォニアのホルンパートを参考にして書き換えて吹いたという。
気になってスコア片手に聴いてみたのだが、通常のブランデンブルク協奏曲第1番のパートと比べて、特に変わったことは吹いていなかった。

P1230753 P1230752 念のためオリジナルのシンフォニアヘ長調BWV.1046aも聴いてみた。
聴いたのはヴィンシャーマン指揮のドイツ・バッハソリスデンのPelca盤LPとカルティーニ指揮するシャルラン盤

原曲はブランデンブルク協奏曲の第3楽章Allegroがなく、ヴィオリーノピッコロも使われていない。さらに第4曲のポラッカもなく、ブランデンブルクでは2本のホルンとオーボエが演奏する第4曲の第2トリオが、こちらではホルン2本とヴァイオリン群の掛け合いになっている。ホルンパートに大きな変化はないようだ。

録音当時ボイド・ニールが用意した譜面が、今使われている譜面と異なっていたのだろうか。

このCDには、A.バーナード指揮のロンドン室内管の伴奏によるハープシコード協奏曲第7番とヴァイオリン協奏曲第2番、そしてカンタータ42番のシンフォニアが余白に収録されている。ハープシコードはG.マルコム、ヴァイオリンはG.デ・ヴィトーが弾いている。

この中では、作品への深い共感と暖かな音色で歌うヴィトーのヴァイオリンが時代を超越した感動的な名演。

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2007年1月22日 (月)

オッテルローの巨人

昨晩の雨は朝には上がり、今日は良い天気。家の南からみえる伊豆の達磨山の頂上は雪を被っていた。朝は冷えたが昼間は気温が上昇。
昨年の今頃はインフルエンザで臥せっていたのだが、今年は流行の兆しはない。

P1220752 今日はマーラーの「巨人」が聴きたくなった。取り出したのは未聴だったオッテルロー指揮するコンサートホール盤LP。オケはウィーン祝祭管となっている。しっかりとしたアンサンブルを聴かせてくれるのでおそらくウィーン響だと思う。
フィナーレになると音楽の流れが重くなるのが気になるが、明快にしてダイナミックな好演。

市内の中古本屋で、まとまった数のNAXOSの中古CDが出ていたのを見つけた。
この中から面白そうな3枚を購入。一枚あたり400円。
P1220755 P1220754 コシュラー指揮するマルティヌーの大作、オラトリオ「ギルガメシュ叙事詩」。これはかつてマルコポーロレーベルから出ていて気になっていたもの。
そしてマルティヌーの先輩格のチェコの作曲家、フィビヒの交響曲第1,2番。
フィビヒは、美しいピアノ曲の「ポエム」しか聴いたことがない。演奏はモグレリア指揮のラズモスキー響。
聴きなれぬオケだが解説によると、スロヴァキアのいくつかのオケからのピックアップメンバーによる録音用のオケのようだ。モグレリアは、かつてオランダの野外コンサートでヘンデルを指揮していた姿がNHKテレビに出ていたが、スキンヘッドだったことしか印象にない。

P1220756 もうひとつ、フランスフルート界の重鎮だったゴーベールのフルート作品全集第一巻。
ゴーベールの小品はどれも可憐で美しい。ボストン響のF.Smithがフルートを吹いている。

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2007年1月21日 (日)

ストコフスキーの兵士の物語

どんより曇り空の冬の一日、夜になって雨も降り始めた。
今日は先日始めた長年溜まった音楽雑誌のダンボール詰めの続きをおこなう。
相変わらず古い音楽雑誌を拾い読みしながらの作業なので、遅々として進まない。ここ30年ほどの音楽ライターさんたちの変遷と発売された音盤の変化が読み取れてなかなか面白い。

夜は家族を引き連れて町の焼肉屋で外食。早めに行ったので待つことはなかったが、店を出る時には順番待ちの家族連れが20人ほどで驚いた。いわゆる普通の焼肉チェーン店で、それほどのお店とも思わないのだが、日曜だからだろう。

P1210748 今日はストコフスキー指揮するストラヴィンスキーの「兵士の物語」を聴いた。米ヴァンガード盤の初出LPで、英語版とフランス語版の二つの演奏が収録された2枚組。
語り手/マドレーヌ・ミヨー 、悪魔/マルシアル・サンゲール、兵士/ジャン・ピエール・オーモン というもので、ミヨー夫人による女声ナレーターが珍しい。
この三人が英語、フランス語の両方を語り分けている。ただし演奏は同一音源使用(だと思う)
アンサンブルは名手揃いだし、ストコフスキーの指揮もメリハリのはっきりとした見事なもの。とても87才とは思えない。鮮明で臨場感溢れる録音も素晴らしい。

語りは、聴き慣れたマルケヴィッチ盤と同じフランス語版の方がしっくりする。この演奏の3人ともフランス人なので当たり前かもしれないが。

P1210749 ついでにキングの国内盤LPを取り出してみたら、ジャケットのレイアウトが微妙に異なっていた。

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2007年1月20日 (土)

オーリック「画家とそのモデル」ほか

今日は大寒、暦のとおりの寒い一日となった。今日は終日仕事で8時に帰宅。

P1200747 今日はマイナー路線をひたすら走るダグラス・ボストックの録音を聴いた。オケはボヘミア室内管による、デンマークCLASSICOのCD.
「フランス管弦楽小品集1850-1950」というタイトルで、オーリック、プーランク、イベール、ルーセル、ミヨー、ラヴェルら6人のサロン風の小品8曲を集めたアルバム。この内4曲は世界初録音という見事にマイナーな曲ばかりの中で、「亡き王女のためのパヴァーヌ」のみが唯一の有名曲。

3分足らずのプーランク(ミヨー編曲)の小序曲とミヨーの3つのラグタイムがユーモアと遊びに満ちた楽しい曲だった。最後のケックランの「フォーレの名によるコラール」が他の曲の雰囲気とガラリと変わってシリアスなのが目立っている。

演奏は、ラヴェル以外は他に比較の対象がないので、ただただ珍しい曲をありがたく拝聴するのみ。ただし「パヴァーヌ」の演奏に関しては個性に欠ける凡庸な演奏だ。

P1200746 もうひとつはNAXOSから出ているフランク管弦楽曲集から、交響詩「呪われた狩人」と交響曲を聴く。演奏は11歳で指揮デビューを飾り、天才少年と言われたロベルト・ベンツィ指揮のアーンヘムフィル。

天才少年も大人になれば只の人の代名詞のようによく言われる気の毒なベンツィ。このフランクも音はきちんと整理されてはいるがパンチに欠ける。時折り聴かせるルバートも自己主張が空回りをしているような印象だ。特にフィナーレなど完全に息切れ状態だ。

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2007年1月19日 (金)

プリセツカヤのオディール

本日は頼まれ仕事で市民文化センターでのディスクコンサート。新年初っ端で演目を何にしようか迷ったのだが、お客が集まりやすい「白鳥の湖」全曲上映とした。

仕事を早めに切り上げ会場へ急ぐ。夕食をいただきながら今日のホールの予定を見てみると、母校の高校吹奏楽部が小ホールで会場練習をしている。
現在の顧問が高校の後輩だったりするのでちょいと覗いてみた。ステージ上では金管八重奏の練習中。顧問の彼の話では、明日アンサンブルコンテストの県大会だという。しばし会場内で見学。別会場で自分の出番もあるので明日の健闘を祈りながら早々にホールを後にする。

Maya_plisetskaya 今回のディスクコンサートで、数ある「白鳥湖」の映像の中から選んだのは、マイヤ・プリセツカヤの踊るボリショイ劇場による映像。
プリセツカヤの「白鳥湖」の映像は1957年と1976年の2種類があるが、今回使用したのはAlfaから出ていた1976年のLD。
当時の旧ソ連の収録機材は上質とは言えず音声はモノラル。映像はカラーだが画面にチラつきが有り焦点も甘い。しかしプリセツカヤの名演技はそれらの欠点を補って余りあるものだ。
最大の見せ場である2幕のアダージョでは、収録会場の客の一人が盛大な咳をしていてかなり耳障りだが、プリセツカヤの演技はとても50代とは思えない。長い両手の表情の豊かさはプリセツカヤの独壇場だ。脇を固める他のダンサーも粒揃い。

4943674966 プリセツカヤのデビューまもない1947年の「黒鳥のパドドウ」の映像も残されていて現在DVDで見ることもできる。
今日はこの映像と1976年の映像を最初に見比べた。

さすがに20代のしなやかでスピード感溢れる演技は、他のバレリーナと比べても傑出している。モノクロだが画像も鮮明だ。
ところが30年後のさらに洗練された気品の漂う演技はさらに上を行っている。あまりの美しさに上映会場に集まった人たちも思わず息を飲んでいる。

帰宅したら、家内がラフマニノフの作品3の2の「前奏曲」を弾いていた。私の顔を見るなりこの曲のCDが聴きたいと言う。
P1190746 作品3はラフマニノフの自演をはじめとして、多くの名ピアニストが録音している名曲だが、まず一番最初に目に付いたトルコの女流イディル・ビレットの演奏を取り出した。ところが演奏におかしなクセがあり、音もスカスカしていて馴染めない。

そこでArteNovaから出ているロシアのピアニスト、アンドレイ・ニコルスキーの演奏を聴いてみた。かつてBMGから定価880円で出た国内廉価盤CD。
P1190747 鐘の音を模した最初の数小節から懐の深い老成した音楽を聴かせてくれる。こちらの方がずっと良い。ニコルスキーは1987年エリザベート国際コンクール一位の逸材だったが、1995年に突然世を去っている。

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2007年1月18日 (木)

シェイナのマーラー

今日は仕事で浜松へ行った。三島駅発9時名古屋行き「こだま」に乗り一時間ほどで到着。浜松は沼津に比べ気温が低いようだ。所用を済ませ午後6時には沼津着、そのまま職場へ直行。机の上に溜まっていた書類に目を通し、オケの練習場へ急ぐ。

前半は「戴冠式」、今回この曲は降り番なので会場の一番後ろで観戦。聴いているうちに眠くなってきた。弦楽器のメンバーが増えたのは良いが、随分鈍重なモーツァルトとなってしまった。これは改善の余地有り。
後半はブラームスの第一楽章。練習不足のため譜面を追うのが精一杯。こんな難しい曲だったのだろうか?怖いもの知らずでデタラメを吹いていた16年前の自分を思い浮かべた。

P1170741 帰宅後、シェイナ&チェコフィルのマーラーの交響曲第4番を聴いた。デンオンから出たスプラフォン・ヴィンテージコレクション中の一枚。1950年4月録音のモノラルCD。チェコフィル初のマーラー録音だという。

一見ぶっきらぼうのようで、生命力溢れる音楽の流れが素晴らしい。マーラーの音楽が深い余韻を持って響く第3楽章が感動的だ。シェイナの確信に満ちた指揮とチェコフィル全盛期のオケのうまさに圧倒される一枚。

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2007年1月17日 (水)

ザールブリュッケン放送響60周年記念アルバム

今日は終日冷たい雨。ココログのメンテも無事終わったようだ。
このブログも今日で丸一年となった。この手の日記類は、子供の頃から長続きしたためしがなかったのだが、ほぼ毎日更新できたのは自分でも意外。

P1170743 昨日から今日にかけて「ザールブリュッケン放送響の60周年記念アルバム」を聴いた。
1938年の初代音楽監督Albert Jungの「タンホイザー」序曲から始まり、1997年のMichael Sternによる「エロイカ」に終わる60年の記録。
ザールブリュッケン放送自主制作の3枚組CD。
ギーレン、ツェンダー、マデルナ、ヘンツェ、スクロヴァチェフスキーなど、実力派にして独自のカラーの指揮者達を招いていたオケの貴重なアルバム。

レハールの自作自演などの珍しい録音もあるが、一定の水準に達したオケとして聴けるのは、リステンパルトが指揮したモーツァルトが聴ける60年代あたりの録音からだ。

ツェンダーのドビュッシー「遊戯」、マデルナの「ラ・ヴァルス」、フォルトナーのバッハ(ウェーベルン編)「3声のリチェルカーレ」、チョン・ミヨン・フムのプロコフィエフなど、いずれも個性的で面白く聴けるのだが、90年代のM..Viotti,M.Sternあたりになるいささか小粒の感は否めない。
ギーレンのマーラーの交響曲第5番や若き日のシノーポリの「悲愴」なども名演だが、収録時間の制約のため交響曲は一楽章のみとなっているのが残念。
他には、ストコフスキーの「パッサカリアとフーガ」はさすがに手慣れたものだし、30年近くシェフを務めていたR.Michlという人の「ガイーヌ」なども意外なほどの快演だった。

P1170744 ストコフスキーの指揮する「パッサカリアとフーガ」が軽く明快な演奏となっていたのは、このオケの特性なのだろう。
そこでストコフスキー最晩年、チェコフィル客演時のライヴ録音も聴いてみた。
こちらは多少暗めのチェコフィルの音色を見事に生かした、重厚壮大な演奏。編曲も多少異なるようだ。

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2007年1月15日 (月)

グッリ、アルベルトのベートーヴェン

今日はベートーヴェンを聴く。
P1130737 Accordのフェスティバルシリーズから、グッリの弾くベートーヴェンとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。ベートーヴェンはR.アルベルト指揮のラムルー管、メンデルスゾーンはグラシス指揮によるヴェニスのフェニーチェ劇場管。

ストラディヴァリウスを弾いているというグッリの艶の有る音が聴きものだが、それ以上にアルベルトの伴奏が素晴らしい。いささかラフなラムルー管から充実した重厚な音を引き出している。ヴァイオリンをぴったり下で支える第2楽章のラルゲットは特に見事なものだ。
一方のメンデルスゾーンのグラシスはいかにも軽く、グッリのヴァイオリンも表面的だが、メンデルスゾーンなので許す。

P1150738 続いてシュナーベルの弾く「皇帝」の2種の録音。1932年のサージェント&ロンドン響と1947年のガリエラ&フィルハーモニア管によるもの。
Danteから出ていたベートーヴェンソナタ、協奏曲全集の箱物CDから。

一音一音を噛みしめるような滋味溢れる演奏だ。伴奏はガリエラが良い。
シュナーベルの「皇帝」には最晩年のストック指揮シカゴ響との録音もあるが、こちらは技巧のほころびが多く聴き通すに辛い演奏。

P1150739 最後にチェコの名匠シェイナの指揮する「田園」を聴こうと思ったが、夜も更けてしまったのでカップリングされている「パルシファル」前奏曲にする。シェイナの数少ないステレオ録音。チェコフィルのしっかりとした合奏力に支えられてこちらも味わい深い演奏を聴かせてくれる。

明日から17日までココログのメンテナンスのため更新が出来ない。ココログのメンテは予定通り終わったためしがなく、前回もコケているので延びるかもしれない。

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2007年1月14日 (日)

フリッチャイのリハーサル

本日裏の徳倉山中腹で「山の神講」。いつのころからか、この時期になると町内の人たちが山の祠の前に集まりお神酒をあげ、お坊さんが来て祈祷をすることになっている。小学生達は書いてきた絵馬を飾っている。今年も数十人が集まりお神酒を上げる。自分はこれから職場に行く予定なので、少し杯を舐めるだけにしておいた。

職場の帰りに、先日頼んでおいたメガネのレンズを入れ替え、ゼンハイザーのヘッドフォンHD414のコードを受け取りに行く。なんとコードだけで4,800円!

P1140741 早速直ったヘッドフォンをかけ、昨年暮の「沼響の第九」のDVDを第2楽章から視た。
先日見たときは、あまりの音程の悪さに視聴を途中で止めてしまったのだが、第2楽章からは意外と聴ける。対向配置もうまく鳴っている。
気になったフィナーレも祝祭的な雰囲気に満ち、かっちりとまとまっているではないか。合唱もなかなか良い。これはやはり井崎先生の力だと思う。
細かな部分は問題もあるが、沼響3回の第九の中では最もよい出来だったことを再確認。

続いて今日はハンガリーの名指揮者フリッチャイのリハーサルを視る。曲は「モルダウ」。1960年南ドイツ放送響のリハーサルと本番で1960年6月14日の記録。
フリッチャイの追悼番組として放送されたもので、白血病に倒れ2度の手術を経たフリッチャイの姿が痛々しい。オケのメンバーも最初は「大丈夫かいな?」という表情だったのが、リハーサルが進むにつれ尊敬の表情に次第に変わってくるのが感動的だ。

P1140747 P1140749 農民の踊りの部分では、指揮棒を降ろし、自ら踊るフリッチャイ。コーダの部分で「生きる事は本当にすばらしぃ・・・」と嬉しそうな表情で語る姿にしんみりとする団員たち。続く本番も高貴で崇高な演奏だ。

206 沼響のHPに聴き比べコラム、「ラフマニノフの2番を聴く」の第40回をアップしました。今回はマリス・ヤンソンスの第一回録音。


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2007年1月13日 (土)

シェルヘンのウェーバー序曲集

良い天気が続く。朝の9時過ぎ、家の横の小道をリュックを背負った人たちがゾロゾロと歩いている。

Numazu_1 裏山の沼津アルプスを登る人たちにしては人数が多い。次から次へとやって来る老若男女たち。軽く百人は超えている。歩いている人に聞いたところ、JR東海が企画した「爽やかウォーキング~香貫山からの眺望と沼津港食堂街ハイキング」というものらしい。
それにしても、家の横の小道は車がやっと一台通れるほどの狭い道。マイナーなルートをよく見つけるものだ。

P1130738 Acoordのフェスティバルシリーズから、シェルヘンの指揮するウェーバー序曲集を聴く。「オベロン」「オイリアンテ」などのウェーバーの序曲が6曲と、リステンパルト&ザール室内管によるメンデルスゾーンの「美しいメルジーネ」序曲というもの。ウェーバーはフランス国立放送局管。

シェルヘンは仏ヴェガ、リステンパルトはディスク・クラブ・フランス原盤。有名な「魔弾の射手」が入っていないのがシェルヘンらしい。
フランスの軽い響きのオケを存分に鳴らしたパリッとした快演。リステンパルトの演奏も品の良い演奏だ。

P1130739 このシェルヘンのアルバムには同時期に録音された対になるアルバムがある。トーマ、ラロ、アダン、ボアルデイユーらの軽い序曲を集めたものだが今回のCD化からは漏れてしまった。
こちらはトーマの「ミニヨン」序曲冒頭のフランス特有の柔らかなクラリネットソロの美しさが印象に残る仏ヴェガのLP。

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2007年1月12日 (金)

フリプセのマーラーの交響曲第6番

ここのところTVのニュースは異常な事件の報道ばかりだ。企業の不祥事も続いている。
不二家の事件はトンデモないことだが、ボンクラなトップのために真面目に働いている従業員は気の毒だ。

雪印の同じような事件が発覚する直前のこと、スーパーで買った雪印の冷凍ピラフにプラスチックの粒が混入していたことがあった。私が直ちに雪印に苦情の電話を入れたところ、翌日社員の人が同じ品物と雪印の商品券を持って自宅にお詫びに来た。当然のこととはいえ素早い対応に感心したものだ。
その直後に雪印の一連の不祥事が次々に発覚し、会社としての存続が危うくなってしまった。あの時はお詫びに来た社員の顔が頭に浮かび、暗澹たる気持ちになったものだ。

ヤフオクで落としたLPが届いた。今回落としたのはダンボールにクラシックのLP50枚という福袋みたいなもの。通常こんな買い方はしないのだが、正月のアルコールが入ったほろ酔い気分の中、たぶん落ちないだろうと面白半分に入れたのが意外にも落札、内心後悔していた。

入札してみたい気分になったのは、オークション画面に紹介されていた不鮮明なジャケット写真の中に気になる一枚が写っていたからだが、届いたダンボールの中身を見て仰天。

P1080728 気になったLPはオッテルロー&ウィーン響によるブルックナーの交響曲第7番2枚組EPIC盤だった。カップリングとしてブルックナーの珍しい序曲も入っている。
オッテルロー盤の箱が随分重かったので箱を空けたらLONDON ffrrのオーディオチェックレコードが押し込んであってこれには驚いた。

P1080725 P1080726 フリプセ&ロッテルダムフィルのマーラーの交響曲第6番2枚組、こちらもEPIC盤で1955年オランダ音楽祭のライヴ。この演奏はこの曲の最初の録音だったと思う。
そしてカラヤン&フィルハーモニア管の歌劇「ヘンゼルとグレーテル」全曲、英コロンビアのオリジナル盤2枚組。

P1080727 P1080724 P1080731 マルケヴィッチ&ベルリンフィルによるハイドン「天地創造」全曲。D.G音源だが、これは米デッカ盤。マッケラスのパーセル「デイドとアエネス」アルヒーフ盤。キャシー・バーベリアンが歌うベリオのフォークソングズRCA盤。
まだまだお宝ザクザク、心配していた手持ちとのダブリは5枚のみ。これで一枚あたり130円とは、新年から幸先が良い。

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2007年1月11日 (木)

沼響初練習

天気の良い日が続き空気が乾燥してきた。職場で風邪も流行りはじめ、どうも今日は喉がいがらっぽい。
本日沼響の初練習、仕事を早めに切り上げ入団希望の部下を引き連れ練習会場へ急ぐ。狭いリハーサルルームに団員がひしめいている。
一時休団していた団員の復活を含め、また団員が増えている。特に弦楽器の増員が著しい。

まずは「戴冠式」、そして「悲劇的序曲」が続く。低音部が充実しブラームスの渋く重厚な響きが良く出ている。チェロ、コントラバス10人の威力。団内指揮者のテンションも今日は異常に高い。メンバーが充実していると練習も楽しい。団員10数名ほどで細々と初練習をやっていた10年前とは隔世の感だ。

P1100734 今日はタカーチ・クァルテットの演奏するハイドンの弦楽四重奏曲作品76の3曲を聴く。デッカのデジタル録音LP。
実に達者な演奏。ハイドンの愉悦間も良く出ているしテクニックも申し分ない。ただし残響が異様に多く各楽器の響きが恐ろしく冷たい。デジタル録音黎明期の悪い部分が強調されてしまった。

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2007年1月10日 (水)

ガウチのイタリアオペラ・アリア集

今日は美貌のソプラノ歌手二人の歌唱。

550606 マルタ出身のミリアム・ガウチの歌うイタリアオペラアリア集。NAXOSの比較的初期の録音でヴェルディ、プッチーニ、カタラーニの著名なアリアばかりを集めた、いわばイタリア・オペラ入門アルバム。
伴奏は後にNAXOSから袂を別つA.ラハバリ指揮のBRTフィル。
幾分線の細さは感じられるが、ガウチの歌は入門用の範疇を超えたしっかりとしたもの。可憐な歌声がなんとも心地よい。

P1100733 もうひとつアンナ・モッフォの歌う「ウィンナオペレッタ・アリア集」、オイロディスク原盤の日本コロンビアLP。
ミレッカーやレハール、シュトルツ、J.シュトラウスの変化に富んだオペレッタアリアの数々をモッフォは艶のある声で見事に歌い分けている。
大人の雰囲気の漂う貫禄充分の歌。ハーゲン・ガラティス指揮のE.ヴィルナーオーケストラの軽妙な伴奏も良い。酒場で軽く一杯ひっかけながら聴いたら楽しいだろうな。

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2007年1月 9日 (火)

ブクステフーデ没後300年

昨日に引き続き良い天気、さほど寒さも感じられない。仕事は今のところ小康状態。嵐の前の静けさか。

昨年はモーツァルトで大きな盛り上がりの年だったが、今年はブクステフーデ没後300年。
Pc270715 大バッハに大きな影響を与えたブクステフーデとはいえ、大衆的な要素からはほど遠い作曲家ゆえにどの程度顧みられるのだろうか。

ブクステフーデと言えば重厚なオルガン曲が定番だが、今日は宗教音楽から「ミサ・プレヴィス」と「マニフィカート」を聴いた。英SAGAの古いLPでニューヨーク・カンタータ・シンガーズの演奏。質朴なジャケットそのものの実に渋い曲であり演奏。

ブクステフーデが地味だったので、次は華やかな合唱曲を聴くことにする。
P1070720 聴いたのはエルガーの「戴冠式頌歌作品44」。エドワード七世の戴冠式のために作曲された曲で、「威風堂々第一番」のあまりにも有名な旋律が曲中でソプラノ独唱と合唱により歌われている。
演奏はP.レッジャー指揮のニューフィルハーモニア管と合唱団、それに王立軍楽隊のブラスバンド別働隊が加わる英EMIのSQ4チャンネルLP盤。A面の最初にはエルガー編曲による「イギリス国歌」が歌われている。
プロムス・ラストナイトコンサートの大騒ぎを髣髴させる豪華な歌絵巻。

P1090732 沼響のHPの聴き比べコラム、新「第九を聴く」をアップしました。
今回はブルーノ・ワルターがウィーンフィルを振ったウィーン国立歌劇場再建コンサートのライヴ。連載15回目。

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2007年1月 8日 (月)

E.シュトウツのハイドン

昨日までの強風も吹き止み比較的暖かな休日。今日は溜まってしまった雑誌類を整理することにする。音楽関係、歴史関係エトセトラ。捨てるものと残すものに分けてみたが、どうしても残す方が多くなってしまう。
ここ数年音楽雑誌の購入は止めているが、70年代半ばから数年前までの30年余り定期購読していた「レコード芸術」などはかなりのボリュームだ。

仕分けが終わったところで、近くのホームセンターに行き保存用のダンボールを購入。
B4サイズの文書保存箱がひとつ166円はちょいと高いが10箱ほど購入。レジにかついでいったら10箱買うと400円引きだという。それでも高い。

帰宅後、まず「レコード芸術」のバックナンバーを発行年毎に詰めていく。時々読みそうな特集のある号を取り除けたりしながらの作業なのでなかなか進まない。ひと箱に2年半分のレコ芸が収納できることが判ったが、作業の途中で買ってきたダンボールが足りなくなってしまった。雑誌の大部分はそのまま残っている。これは読まない号は処分する方策を考えた方がよさそうだ。

P1080723 今日はスイスの指揮者、エドモンド・シュトウツの指揮するハイドンを聴く。スイスexlibsのLPで交響曲第43番「マーキュリー」と第45番「告別」のカップリング。オケは手兵チューリッヒ室内管。

厳格に訓練されたオケを駆使したシュトウツの禁欲的な演奏は時として息苦しさを感じさせることもあるのだが、このハイドンは高貴にして格調の高い見事な演奏だ。

Pc310714 続いてワルター・クラフトの弾くバッハ・オルガン曲全集第一巻から、コラール・プレリュード数曲を聴く。米VOXの3枚組LP。しみじみとした自然体の実に良い演奏だ。

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2007年1月 7日 (日)

バルトークとドビュッシー、二つの映像

昨日は沼響恒例の新年会。朝から降っていた雨は夕方には上がり、仕事を終えた後沼津駅北の宴会場へ急ぐ。会場は大衆居酒屋「越前屋藤助」。30人ほどが集まりいつものごとくの宴会。

P1070721 会場で先日の「第九」のDVDが配られたので、家に帰ってからさっそく視た。合唱のリハーサルに続いて、「魔笛」序曲。「・・・・・・・うーむ」。当たり前の事だが完全にシロートの演奏だ。
演奏しているは全く気がつかなかったが、会場ではこのような音程で鳴っていたのだろうか。ちょっとショックを受け、第九の第一楽章までにしておく。

昨夜遅くから猛烈な風が吹いている。朝になっても吹き止まない。天気は良いのだが裏山にぶつかりそうなほど低くたれこめた雲が、猛スピードで過ぎ去っている。
この強風で、明日早朝予定されていた「どんど焼き」は中止になった。PTA役員数人は今晩から放火予防のため、山と積まれた「お飾り」のそばで泊り込みをしなければならなかったのだが、中止と聴き内心ほっとする。

今日は町のメガネ屋まで行き視力の測定。最近度が進み、演奏していて音符がぼやけるようになってしまった。一段飛ばしで読んでしまったこともあった。
レンズの交換を頼み支払いを済ませ、久しぶりに商店街をブラつく。強風の上気温もかなり低いので、日曜日とはいえ人影は少ない。

Ankou アーケード街の路上で「チョウチンアンコウ」の吊るし切りショウをやっている。体長60センチほどの哀れな「アンコウ」が吊るされ、魚屋さんに手際よく解体されていく。足元には1メートルを超える大物が次の順番を待っていた。そばで大きな鍋が用意されていたので鮟鱇鍋にありつけると思ったのだが、どうやら鍋には別の魚が入るらしい。

414wm ちょっぴっりがっかりして、先日ストーブの熱でコードを溶かしてしまったゼンハイザーのヘッドフォンHD414片手にお馴染みの「オーディオショップ」に行き替えコードを依頼。史上初のオープンエアータイプのヘッドフォン。おもちゃのような外観だが素晴らしい装着感と音質で手放せない。発売後30年以上が経過しているが、まだパーツは供給されている。

今日は先日聴いたドラティのオケコンの余白に入っていたバルトークの「2つの映像」を聴いた。これはバルトークの初期の作品でドビュッシーの「映像」の影響を大きく受けている。

P1040719 続いて本家のドビュッシーの「管弦楽のための映像」を聴く。演奏はドビュッシーとも深い親交のあったアンゲルブレシュト指揮するフランス国立放送響のライヴ。フランス国立放送管50周年を記念してシューリヒトのハイドンなどとともにエラートから発売された1962年のライヴLP3枚組。実に明晰で一点の曇りのないドビュッシー。

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2007年1月 5日 (金)

ハンニカイネンのシベリウス

今年はシベリウス没後50年、グリーグ没後100年という北欧の著名作曲家の当たり年。

P1050721 今日は久しぶりにフィンランドの名指揮者ハンニカイネンのシベリウスを聴くことにする。
まずは昨日聴いたドラティのマーキュリー録音の35ミリマグネティックフィルムレコーディング繋がりで、同じ録音方式によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲。

ベルリンフィルのコンマスであったスピヴァコフスキーのヴァイオリン。オケはロンドン響の米EVEREST盤LP。
引き締まった音色と厳しさの感じられるソロに幾分荒削りなハンニカイネンの指揮がベストマッチングの名演。カップリングの「タピオラ」も良い。ハンニカイネンには優秀な録音とオケに恵まれたものが意外になく、これは貴重。

P1050722 さらに交響曲第4番の粗末な穴ジャケットのメロディアのロシア国内仕様盤。オケは国立ソビエト響のモノラルLP。メロディアの国内仕様盤はセンターホールの穴が狭く苦労する。同じ顔ぶれの「レミンカイネン」組曲も同様だ。

ハンニカイネンの演奏は時として粗さの目立つものもあるが、この演奏はロシアのオケを振りながらも野放図な絶叫は皆無。北欧的な抒情性と厳しさの絶妙なバランスで渋くじっくりと聴かせてくれる。LP両面のたっぷりとしたカッティングで盤質の良くないメロディア盤ながら聴きやすい音質だ。

P1050720 ついでに「フィンランディア」。こちらもメロディア盤で、オケはモスクワ放送響。手持ちはロジェストヴェンスキーの全集録音中の交響曲第7番の余白に入っている。冒頭からブラスの荒々しい咆哮が印象的な怒れる演奏。

P1050723 最後にEMIへの録音からシンフォニア・オブ・ロンドンを振った「カレリア」組曲でおしまいとする。同じオケによる交響曲2,5番はオケの弱体が気になったが、「カレリア」では鳴らないオケの鄙びた響きが素朴な趣となって良い雰囲気だ。特に「行進曲風に」中間部のオーボエとファゴットの絡みのバランス具合が深い味わいで聴かせる。

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2007年1月 4日 (木)

ドラティのバルトーク

今日から仕事始め。あと一日はゆっくり休みたいところだが、朝の新年の挨拶が終わった後はいつもと変わらぬ日常が始まる。仕事開始一時間で正月気分は完全に吹っ飛んでいる。

P1040717 今日は早めに仕事を切り上げ、ドラティのバルトークを聴いた。
聴いたのはコンセルトヘボウ管を振った「管弦楽のための協奏曲」。1982年録音の蘭フィリップス盤LPで、作品10の「2つの映像」とのカップリング。

ドラティの何度目かのレコーディングでさすがに手馴れたものだ。旧録音のシャープな演奏とは異なり、遊び心が漂い全てを超越した軽みさえ感じられる名演だ。1984年レコードアカデミー賞受賞盤。

P1040718 旧録音も聴いてみた。オケはロンドン響、1962年録音のマーキュリー・リビングプレゼンスシリーズのCD。こちらは一転して、スピード感溢れる切れ味鋭い鮮烈な名演だ。ロンドン響も非常にうまい。録音も極めてリアルな超優秀録音。

カップリングされている「舞踏組曲」は、フィルハーモニア・フンガリカによる演奏。これまたマジャール人の血が騒ぐような沸き立つリズムと作品への共感がストレートに伝わる名演。こちらの録音も見事なもの。

Pc290716 沼響のHPに聴き比べコラム「新第九を聴く」の13回目をアップしました。今回は、トスカニーニ&NBC響による1939年12月のライヴ。

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2007年1月 3日 (水)

ギーゼキングのアルハンブラ宮殿ライヴ

暖かな良い天気の休日最終日。受験を控えている娘の勉強を見たりしているうちに一日があっという間に過ぎてしまった。

P1030716 今日はギーゼキングのドビュッシーを聴いた。1956年6月27日、グラナダ国際音楽舞踏祭でのライヴで、RTVEから出ているCD。会場は有名なアルハンブラ宮殿。演奏模様の写真と小鳥のさえずりらしき音が聞こえることから、宮殿の中庭で演奏されたようだ。ギーゼキングはこの年の10月に交通事故が元で世を去っている。

ベルガマスク組曲から始まり、前奏曲集第二巻の「花火」で終わる、かなりヘビーなオール・ドビュッシープログラム。
ミスタッチが多く、所々テンポが不安定な箇所もあるが、ペダリングよりも鍵盤への微妙なタッチの力加減で絶妙な音色変化を生み出したというギーゼキング独特の音が大きな説得力を持って迫ってくる。ギーゼキングが愛したグロトリアンのピアノも渋い響きだ。

「沈める寺」のクライマックスでの鐘を模した低音の巨大な響きが凄まじく、次第に音量が静まり音が消えていく中で、そのまま次の曲「バラード」が始まるところなど、あまりの素晴らしさに息を呑んでしまう。

P1030715 続いて聴いたのはドビュッシー自作自演。これは1913年に自動ピアノのために記録されたもので「子供の領分」や「沈める寺」などの12曲。デンオンから出ていたコンドン・コレクションのCD。これは自動ピアノの再現ディスクとしては最高水準の出来。
ドビュッシー自身の絶妙なペダリングが味わえる一品だ。

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2007年1月 2日 (火)

ベーム&ウィーンフィル、日本公演ライヴ

曇り時々雨、寒い一日となった。今日は特に外出もせず読書と音楽三昧。

HMVからCDとDVDが届いた。
P1020725 ラインスドルフ&ボストン響による、ケネディ大統領追悼ミサのモーツァルト「レクイエム」実況録音。これは非常に有名な録音で、長く復活が待たれていたもの。
オルガンの前奏、後奏に加えて、カッシング枢機卿司る当日のミサ全てが収録されたドキュメント2枚組。

P1020726 「コロンヌ管・ヒストリカルレコーディングズ」。Cascavelleから出ている2枚組CDで、パリの私設オケ、コロンヌ管の1906年から1960年までの代表的な指揮者の録音を集めたもの。
指揮は創設者のコロンヌから始まり、ピエルネ、パレー、フルネ、デルヴォーら4人の演奏。

P1020728 P1020727 コロンヌの録音は、既にTahraから「コロンヌ、パテ・コンプリートレコーディングス」でも聴く事が出来る。さすがに1906年の機械式のラッパ録音では、曲の輪郭が判る程度だったのだが、このCascavelle盤も同様だろうか。
この中のパレーの演奏のいくつかは、Danteから出ていたパレーの30~40年代の録音を集めた3枚組CDとダブっているが、このCascavelle盤でしか聴けぬものも多い。フルネ、デルヴォーは初めて聴く録音ばかりだ。

P1020724 そして、ベーム&ウィーンフィルの来日公演DVD2枚組。
今でも語り草となっている1975年3月の記録で、ベートーベンの交響曲第7番、ブラームスの交響曲第1番、シューベルトの「未完成」と当日アンコールで演奏された「美しく青きドナウ」の2つの演奏と「マイスタージンガー第一幕前奏曲」そしてリハーサル風景とインタビューというもの。

当時この公演のほぼ全ての模様がNHKFMで生中継され、テレビで何回も放送された。これがきっかけとなりベームの国内での人気が沸騰したことを今でも覚えている。
当時高校生だった自分も夢中になってでラジオの前で感動しながら聴いたことを思い出した。生中継は首都圏だけステレオ放送だったはずだ。

この公演は、後に日本グラモフォンから2つの箱物LPセットで両国国歌も含む全録音が発売され、両方とも長い間の愛聴盤だった。

P1020723 そして今回のDVD。ちょいと部分的に見るつもりが一枚目全部とリハーサルを見てしまった。ベートーヴェンの映像など多少クオリティの低さは感じさせるが、超名演のブラームスは音も映像も明瞭で不満はない。

16型で管楽器は倍管。コンマスのヘッツエル、ヒューブナー、トランペットのA.ホラー、クラリネットのプリンツなど、ウィーンフィルの全盛期を支えた名物奏者たちの顔ぶれがずらりと並ぶのは壮観。この面々が本気となって演奏するのだから凄い事になっている。視ているうちに当時の感動がそのまま蘇ってきた。
ベートーヴェンは今聴くと多少の重さが気になるが、ブラームスはベーム自身が絶賛していた演奏だけあって、何度聴いても時間の経つのを忘れて感動させてくれる名演だ。

2つのリハーサルでは、「美しく青きドナウ」のリハーサルを不機嫌なベームがなかなか始めようとしない。「ホルンのベルガーはどうした、ベルガーでなきゃだめだ!」というベームの叱責が飛ぶ。慌てて立ち上がる団長のヒューブナー。どうやらベルガーが遅れたらしい。

別の日のベートーヴェンの4番では一転して上機嫌の様子。冒頭の第一音を何度も繰り返す。私には何が悪いのか良くわからなかったのだが、「2番ファゴットが悪い」というベームの声。どうやら微妙に2番ファゴットのバランスが小さく、タイミングも遅れていたらしい。
恐ろしいほど緻密で、細部まで妥協しないベームの職人技を垣間見たリハーサル。

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2007年1月 1日 (月)

ビーダーマイヤー時代の音楽

2007年の到来。まだ辺りが暗い早朝5時、家の近くには昨年暮にPTAの奉仕作業で登山道の整備をおこなった裏の沼津アルプス徳倉山に登り、初日の出を拝む人たちの長い行列が続いている。皆、懐中電灯持参のため山腹にチラホラと灯りの行列が出来ている。

山登りの準備を整えた家内は、ブツブツ文句を言う下の娘の手を引っ張りながら登山の列に加わっていく。私は今回は見送り、家で元日の朝を迎える準備。

山に登った二人は1時間ちょっとで帰ってきた。今年は天気も良く、初日の出が良く見えたようだ。麓で汁粉のふるまいもあり満足の様子。

家族は揃ったところで、おせちと雑煮の朝食。やがて弟家族も加わり、記念撮影をおこなったりと賑やかな時間が過ぎていく。

P1010719 突然、弟が正月早々マーラーの9番が聴きたいと言い出した。ちょっと新年の聴き初めとしては重い曲だが、第4楽章をクーベリックの演奏で聴く。
1975年6月4日東京文化会館、バイエルン放送響との来日公演の記録。渾身の力で奏でられる素晴らしいアダージョ。クーベリックのスタジオ録音を大きく上回る感動的な演奏だ。

P1010715 P1010716 夜は家内の実家に行きながら、近くにある伊豆一ノ宮三島大社へ初詣に行った。
昼間は数万人の初詣客に賑わう境内も、8時近くとなるとさすがに空いている。本殿前の巨大な賽銭箱も中身の回収を始めている。夜店も大部分は店じまいだ。

帰宅後テレビを点けたらウィーンフィルのニューイヤーコンサートをやっていた。今年の指揮はズービン・メータ。あまり新鮮味も感じられず、手持ちの音盤を聴くことにする。

P1010717 聴いたのは墺Divertimentoから出ていた「ビーダーマイヤー時代の音楽」というアルバム。
ランナーやフンメル、シューベルトからヨハン・シュトラウス一世までの18世紀末から19世紀始めにかけてウィーンで流行した音楽を集めたもの。
ヴェルナー・ハックル指揮するニーダーエスターライヒ州トーンキュンストラー合奏団による演奏。
多くは管楽器中心の軽い古風なワルツやギャロップ、メヌエットだが、ベートーヴェンのフルート二重奏曲やクロイツァーのクラリネット二重奏曲のような珍しい編成の曲も入っている。

モーツァルトの「魔笛」「ドンジョバンニ」の借用したランナーのワルツ「モーツァルトとともに」、ロッシーニの「ウイリアムテル」の行進曲を借用したシュトラウス一世の「ウイリアムテルギャロップ」など、当時の人気曲を要領よく借用した、庶民的な舞曲のオンパレードが実に楽しい。

P1010718 ウィンナワルツをもう一枚。アントン・パウリク指揮のウィーン・フォルクスオパー管による50年代録音のヴァンガードモノラルCDから「騎士パスマン」のチャルダーシュなど数曲を聴いた。
洗練され抑制された表現の中にパリッとした軽妙さも感じられる粋な演奏だ。オケも非常にうまい。

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