ビーダーマイヤー時代の音楽
2007年の到来。まだ辺りが暗い早朝5時、家の近くには昨年暮にPTAの奉仕作業で登山道の整備をおこなった裏の沼津アルプス徳倉山に登り、初日の出を拝む人たちの長い行列が続いている。皆、懐中電灯持参のため山腹にチラホラと灯りの行列が出来ている。
山登りの準備を整えた家内は、ブツブツ文句を言う下の娘の手を引っ張りながら登山の列に加わっていく。私は今回は見送り、家で元日の朝を迎える準備。
山に登った二人は1時間ちょっとで帰ってきた。今年は天気も良く、初日の出が良く見えたようだ。麓で汁粉のふるまいもあり満足の様子。
家族は揃ったところで、おせちと雑煮の朝食。やがて弟家族も加わり、記念撮影をおこなったりと賑やかな時間が過ぎていく。
突然、弟が正月早々マーラーの9番が聴きたいと言い出した。ちょっと新年の聴き初めとしては重い曲だが、第4楽章をクーベリックの演奏で聴く。
1975年6月4日東京文化会館、バイエルン放送響との来日公演の記録。渾身の力で奏でられる素晴らしいアダージョ。クーベリックのスタジオ録音を大きく上回る感動的な演奏だ。
夜は家内の実家に行きながら、近くにある伊豆一ノ宮三島大社へ初詣に行った。
昼間は数万人の初詣客に賑わう境内も、8時近くとなるとさすがに空いている。本殿前の巨大な賽銭箱も中身の回収を始めている。夜店も大部分は店じまいだ。
帰宅後テレビを点けたらウィーンフィルのニューイヤーコンサートをやっていた。今年の指揮はズービン・メータ。あまり新鮮味も感じられず、手持ちの音盤を聴くことにする。
聴いたのは墺Divertimentoから出ていた「ビーダーマイヤー時代の音楽」というアルバム。
ランナーやフンメル、シューベルトからヨハン・シュトラウス一世までの18世紀末から19世紀始めにかけてウィーンで流行した音楽を集めたもの。
ヴェルナー・ハックル指揮するニーダーエスターライヒ州トーンキュンストラー合奏団による演奏。
多くは管楽器中心の軽い古風なワルツやギャロップ、メヌエットだが、ベートーヴェンのフルート二重奏曲やクロイツァーのクラリネット二重奏曲のような珍しい編成の曲も入っている。
モーツァルトの「魔笛」「ドンジョバンニ」の借用したランナーのワルツ「モーツァルトとともに」、ロッシーニの「ウイリアムテル」の行進曲を借用したシュトラウス一世の「ウイリアムテルギャロップ」など、当時の人気曲を要領よく借用した、庶民的な舞曲のオンパレードが実に楽しい。
ウィンナワルツをもう一枚。アントン・パウリク指揮のウィーン・フォルクスオパー管による50年代録音のヴァンガードモノラルCDから「騎士パスマン」のチャルダーシュなど数曲を聴いた。
洗練され抑制された表現の中にパリッとした軽妙さも感じられる粋な演奏だ。オケも非常にうまい。
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