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2007年2月に作成された記事

2007年2月28日 (水)

マルティヌーのギルガメシュ叙事詩

この3月で任期の切れるPTAの役員だが、後任の役員がどうしてもあと一人足りない。

現役役員の友人・知人の繋がりからの選出は、どうしても地域と年齢層の偏りが生じるという指摘を受け、各ブロックから一名推薦という方式に切り替えたのだが、なんと一名も挙がってこない!
問題を指摘したブロックからもなかった。集まった地区代表に事情を聞いても、うつむきがちに顔を見合すだけで要領を得ない。一度了解したことは責任を果たして欲しいものだ。結局前の方式に逆戻り。

273 今日はマルティヌーの大作、オラトリオ「ギルガメシュ」を聴いた。コシュラー指揮するスロヴァキアフィルによるNAXOSのCD。語り手と4人の歌手、そして大編成のオケと合唱による壮大な音の大伽藍に圧倒される1枚。久しぶりに未知の傑作に出会うことができ興奮。コシュラーの演奏も申し分なし。

P2280786 もう一枚はシルヴィア・ケルセルバウムの弾くブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」と「ヘンデルの主題による変奏曲」で、かつてEMIから出ていた国内盤LP。
アルゲリッチとゲルバーと同門のケルセルバウム。
師匠のスカラムッツァは他の二人よりケルセルバウムを高く評価していたとのことだが、今ではこの二人に大きく水を空けられてしまっている。
この演奏も、テクニックは達者だが乾いていて痩せた音色が興を削ぐ。

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2007年2月27日 (火)

マッケラスのディドとアエネス

朝はまだ寒いが午後から暖かくなった。夜もストーブなしでOKなのがありがたい。

P1080724_1 今日はマッケラスの指揮するパーセルを聴く。聴いたのは名作、歌劇「ディドーとアエネス」全曲のアルヒーフ盤。

北ドイツ室内管とユルゲンス率いるハンブルクのモンテヴェルディ合唱団そしてトロヤノス、アームストロングといった実力派歌手を揃えた名盤。

実際の舞台を想定し、移動する歌手の様子、合唱の遠近感までを再現した録音、しかも雷鳴などの効果音までも入ったサービス満点の演奏だ。

マッケラスの引き締まった指揮とかっちりとまとめた合唱、歌手ではディドを歌うトロヤヌスが秀逸。中でも単独でも歌われる「ディドの死」は、深い情感をたたえた感動的な名唱だった。続く終曲の消え入るような絶妙なピアニシモで聴かせる合唱も見事なものだ。

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2007年2月26日 (月)

ディアベルリの室内楽

本日快晴、花粉も盛大に飛散し頭が重い。このような日は重い曲は聴く気にならない。

P2260786 未聴レコード棚から取り出したのは、ベートーヴェンの長大な変奏曲で知られるディアベルリの「ギターをともなう室内楽曲集」。
独DA CAMERAのLPで、Jurgen Klatt(guitarre),Frank Nagel(flote),Theodor Kempen(viola)という顔ぶれ。曲はフルートとギターのためのセレナーデ、フルート、ギター、ヴィオラのためのトリオ、そしてギターソロのためのロンディーノ、ソナタハ長調、前奏曲というもの。

珍しい組み見合わせの曲だが、ディアベルリは出版業のかたわらピアノとギターの教師をしていてギター曲を数多く書いた、とこのLPの解説には書いてあるようだ。

フルートと交錯するギターの調べ、下を支えるヴィオラのしっとりとした響きが素晴らしい。美しくも落ち着いた音楽がゆったりと流れていく。これは絶妙なる組み合わせだ。
演奏も渋い音色と堅実なテクニックで曲の美しさを味わうのに何ら不足はない。

驚いたのは、ギターのためのソナタハ長調の最初の楽章の主題と曲の展開が、ベートーヴェンのピアノソナタ第20番の第一楽章に非常によく似ている。
ベートーヴェンとも係わりがあったディアベルリだが、どちらが先に作曲されたのか興味深いところだ。

P2230785 沼響のHPの聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」第44回をアップしました。
今回はNAXOSの全集からアニシモフの演奏。

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2007年2月25日 (日)

ヴァンデルノートのヨハネ受難曲

今日も寒い。昨日の仕事の整理ため朝から仕事となった。

P2250786 今日はアンドレ・ヴァンデルノートのバッハを聴いた。ノンサッチから出ていた「ヨハネ受難曲」LP3枚組で、アムステルダムフィルとバッハ合唱団、ソプラノのA.Giebel、アルトのW.Matthes、テノールR.Lewis、バスH.Rehfussといった顔ぶれ。録音時期はわからない。
箱の表にはスイスのTONOプロダクション制作と書いてある。

60年代に華々しい活躍を続けていながら急速に世界の表舞台からから姿を消していったヴァンデルノートの珍しいバッハ。どうやらカンタータの録音もあるらしい。

もともとアンサンブルをかっちりまとめるタイプではなかったが、冒頭部分からオケのアンサンブルの粗さが気になった。合唱も少人数のようだ。
ところが曲が進んでいくうちに、ヴァンデルノートの持ち味である爽やかで生き生きとしたテンポ運びに、次第に音楽に生命力が満ちていき、聴いていて細かな欠点も気にならなくなってきた。

ヴァルヒャのような深い信仰心が感じられる演奏とは違うタイプのバッハだが、このような明るく爽快なバッハも良いものだと思う。

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2007年2月24日 (土)

ハリウッド弦楽四重奏団のベートーヴェン

今日は曇天肌寒い一日、花粉も盛大に飛んでいる。朝から仕事で静岡市へ。仕事先の会場で思いがけず尊敬するFさんに会った。Fさんは、仕事の合間に松尾芭蕉の歩いた道程を全て実際に踏破し、さらにテント持参で徒歩で日本一周をしたという凄い人だ。大変面白い旅行記も出版している。

5年前ほど前に、「しばらくオーストラリアに行ってきます」という便りがあったきりだったが、昨年帰国したという。日焼けした笑顔で「シドニーからケアンズまで歩きました」と言っていた。その距離なんと二千数百キロ、唖然としてしまった。とても60半ば過ぎの人とは思えない。

仕事を済ませ今日はJRで沼津へ帰ったが、買い物ついでに寄った駅ビルで分厚い財布を拾った。今日はいろいろなことが起きる日だ。駅前交番に届け帰宅。
帰宅してしばらくしたら、落とし主からお礼の電話があった。免許証が入っていたのですぐに連絡が行ったらしい。まずは一件落着。

P2240786 今日は、フェリックス・スラトキンがリーダーだったことで知られるハリウッド弦楽四重奏団のベートーヴェン、第12番の弦楽四重奏曲を聴いた。
米キャピトルのモノラルLP。名前で損しているような団体だが、緻密なアンサンブルとがっしりとした構成感、艶の有る暖かな美しい音色で聴かせる非常に力のある名弦楽四重奏団だ。

明日も仕事だな。

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2007年2月23日 (金)

リリングの教会暦コラール集

Sakura2 昨日は、沼津市街から40キロほど離れた伊豆西海岸戸田地区で仕事。午前中は天気も良く、海はベタ凪。途中の沿道には桜が咲いていた。お昼は途中の海鮮料理屋でカタクチイワシフライ丼。ポン酢をかけながら食する変わった味。

夜はオケの練習に参加。ブラ4第一楽章を集中的に通す。なぜか欠席が多く中だるみ気味だ。昨日は疲れ気味のため音楽は聴いていない。今日も10時近くに帰宅、明日は静岡へ出張しなければならない。

P2230783 今日は若き日のリリングの弾くオルゲルビュッヘラインを聴いた。
1963年から65年にかけてベーレンライター・ムジカフォンに録音された全曲録音で、日本コロンビアから出ていた3枚組LP。1967年ドイツレコード批評家賞を受賞している。

先日ヴァルヒャの名演を聴いたばかりだが、このリリングも格調高い演奏だ。各曲の前後にはオリジナルの教会暦コラールが合唱で演奏されている。これが心が洗われるような実に良い演奏だ。30ページにも及ぶ解説書も充実。リリングは1977年にオルガン曲のみの抜粋の再録音もあるが、合唱によるコラールは演奏されていない。

沼響のHP、聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」の第3回をアップしました。
今回は1920年代から始まる「録音史」です。

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2007年2月21日 (水)

H.M.シュナイトのハイドン

怠け癖が付いてしまったのか、なんとなく気が重い朝。昨日休んだこともあり、いつもより一時間早く出勤。職場には守衛さんに以外はまだ誰もいない。無人のオフィスにてメールをチェックする。一日空けただけなのに机の上は書類の山。

P2210781 今日は昨日聴いて気に入ったハイドンのト短調交響曲、第39番を聴いた。アルテ・ノヴァから出ていたCDで、ハンス・マルティン・シュナイト指揮する南西ドイツ放送響によるもの。
カップリングは第44番、第71番、こちらはエストマンと若杉弘が同じオケを振っている。

宗教音楽で名演を聴かせるシュナイトのハイドン。深く陰影を付けた中身の濃い名演だった。第一楽章なかばの突然のルフトパウゼも嫌味を感じさせないのが見事だ。

632 そしてヴァルヒャの弾くバッハのオルゲルビュッヘラインを聴く。1947年から53年までのアルヒーフへのモノラル録音旧全集盤でDOCUMENTから出ているCD。

銘器シュニットガーのオリジナルの状態を伝えるカペル教会の美しいオルガンの響きが素晴らしい。BWV639「主イエス・キリストよ、われ汝をよぶ」で聴かれる高貴な高音の響きはまさに神の音楽だ。
ヴァルヒャのバッハへの畏敬の深い心と、敬虔な祈りがストレートに伝わる感動的な名演だった。
これほどの名演がCD10枚組で1,690円前後です。モノラルながら録音も驚異的に良い。

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2007年2月20日 (火)

モラヴェッツのドビュッシー

曇り時々雨、気温も低いようだ。本日は休日出勤の振り替えで休みとする。
やらねばならぬ仕事はそれなりに溜まっているのだが、ここらで気分のリセットも必要だろうと勝手に思い込む。休日とはいえ、気になる懸案事項が頭から離れないのが悲しい。

P2200780 今日はチェコのピアニスト、モラヴェッツのドビュッシーを聴いた。1967年録音のコニサーソサエティへの録音。ボールドウィンのSD-10というピアノを用いたことで非常に有名になった演奏。手持ちはフィリップスから出た国内盤LP。
曲は、前奏曲集から「花火」「沈める寺」など5曲と、「子供の領分」そして「月の光」というもの。
このレコードは中古屋でよく見かけてはいたのだが、演奏よりも録音の優秀さばかりクローズアップされていたことが気になり敬遠していた。昨年多量に譲り受けたLPレコードの中に入っていた。

「子供の領分」から聴いてみる。ゆっくりしたテンポ、深い余韻、詩情豊かな見事な演奏だ。
飴色の透明な音色、完璧に調性されたピアノの音がいかに素晴らしいものかを知らしめてくれる名盤だと思う。モラヴェッツの絶妙なペダリングを完璧に捉えた録音も良い。

P2200779 ノンサッチのLPからレスリー・ジョーンズの指揮する一連のハイドンも聴いた。オケはリトルオーケストラ・オブ・ロンドン。
この指揮者は、かなりの数のハイドンの交響曲をノンサッチに録音している。大部分は並以下の水準だが、下手な鉄砲も数打てばなんとやらで、時々良いものもある。

今日聴いた第39番ト短調もそのひとつ。モーツァルトの有名なト短調交響曲を思わせる曲想の第一楽章から、悲しみを漂わせながら疾走していく素晴らしい演奏だ。ジョーンズ自らが弾くチェンバロが音楽の流れに実にうまく乗っている。この名曲、もっと演奏されても良いと思う。

沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」に記事をアップしました。
今回は「作曲と出版の経過」です。連載2回目。

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2007年2月19日 (月)

ペルゴレージのサルヴェ・レジナ

昨日の雨も朝には上がり、良い天気となった。このような日は花粉が多い。マスクが手放せない一日。

P2190779 今日はペルゴレージの宗教曲を聴いた。曲は「Salve Regina」。70年代に出たPye原盤のテイチクの廉価盤LPでA..Miskelのテノール、J.Snashall指揮のThe Anglian ensembleというもの。
他にヴィヴァルディのニ短調のギター協奏曲とヴィオラ・ダ・モーレとリュートのための二重協奏曲、伝ペルゴレージのヴァイオリン協奏曲変ロ長調のカップリング。演奏者についてはよくわからない。

現代のピリオド系の演奏と比べると、物足りなさと平和ボケした生ぬるさが感じられるが、曲のカップリングのセンスの良さで面白いアルバムとなった。

「Salve Regina」は名作「スターバト・マーテル」とほぼ同時期の26歳の若さでこの世を去ったペルゴレージのほとんど最後の作品。深い哀愁の漂うペルゴレージ独特の美しいメロディーが全編に散りばめられた傑作。

P2160772 もうひとつモーツァルトの「木管三重奏のための喜遊曲集」というアルバム。こちらも70年代の廉価盤でエラート原盤の日本コロンビア千円モノラルLP。演奏はオーボエのピエルロ、クラリネットのランスロ、ファゴットのオンニュといったフランスの世界的な名手たちによるもの。

原曲は2本のバセットホルンとファゴットのための5つのディベルティメントK.追加229。モーツァルトならではの親しみやすい旋律のオンパレードの名作。
ウィーンのソナチネというタイトルでピアノ版もあったように記憶している。フルート三重奏や吹奏楽の編曲の音盤も家にあったはずだ。

メロディーを吹くピエルロのオーボエにピッタリ付けるクラリネットのランスロの見事さが印象に残る。まさにアンサンブルの醍醐味を感じさせる名盤。

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2007年2月18日 (日)

オッテルローのスカンジナビアン・コンサート

今日は朝から雨、予定されていた子供会の古紙回収が中止になったのでちょっぴり寝坊。
昨晩は中学校同窓会の幹事会だったが、今宵は高校の吹奏楽部OB会の打ち合わせ。
毎年夏にOBが楽器を持ち寄って全国から集まり、現役高校生と一緒に演奏するコンサートも今年で8回目となった。昨年は10代の高校生から60代の最古参のOBまで100人以上の参加を数える一大イベントとなった。親子での参加も多い。

今日の打ち合わせは喫茶店「珈琲館」。曲決めとステージ構成、OBへの連絡方法の確認が主な内容だが、ほとんどはたあいのない世間話で終始、これも楽しいものだ。昨年の演奏会のCDも出来た。

P2180780 今日は昨日に続いてグリーグを聴くことにする。聴いたのはオッテルロー&ハーグフィルによる「スカンジナビアン・トワイライト・コンサート」。
シベリウス、グリーグ、ヤーネフェルト、アルヴェーン、スヴェンセンなどの小品を集めたフィリップスのステレオLP。
いずれも暖かく丁寧に歌わせた好演で選曲、録音も良い。先ごろ発売されたオッテルロー&ハーグ録音集成では、グリーグの「ノルウェー舞曲集」しか収録されなかった。

この中の「二つの悲しき旋律」を聴いているうちに、同じメンバーの「ペールギュント」のモノラルLPにも「二つの悲しき旋律」がカップリングされていたことを思い出した。

P2180778 P2180779 そこでレコード棚から取り出したのは、マーキュリー・リビングプレゼンスシリーズのLP。
「ペール・ギュント」の2つの組曲に「ニつの悲しき旋律」のカップリング。オリジナルはモノラルで、擬似ステレオ化されたLPもあり、モノ盤と擬似ステ盤の両方を聴いてみた。多少レイアウトは異なるが共通ジャケット。擬似ステレオ盤は電気的にステレオ化したものという表示がある。
これが、しみじみとした実に良い演奏だった。ソプラノのE.Spoorenbergの清らかな歌唱も良い。

ここで気になったのは、「悲しき旋律」がフィリップスのステレオ盤と同一演奏ではないかということ。実際聴き比べると明らかに異なる演奏だ。マーキュリー盤は旋律のフレーズごとに大きな間を採り、アクセント気味に演奏している。ステレオ盤に比べるときつい印象。
オッテルローは同じハーグフィルでこの曲を2度録音していたのだ。

P2140771 沼響のHPの聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」に、キタエンコの演奏をアップしました。連載43回目。

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2007年2月17日 (土)

アウストボの抒情小曲集

本日出勤、お昼は家族と待ち合わせて東急ホテルのランチバイキング。北海道フェアとのことだが、ジャガイモ・バターと豚のシャブシャブが付いているだけで他は意味不明の品揃え。おまけにどこかのスポーツクラブの団体さんと一緒になり、60名ほどの小学生と母親とで大混雑。欲求不満のまま家族と別れて職場に戻る。

夜は近所の居酒屋「杉菜」で中学校の同窓会幹事会となった。クラスの代表幹事を集めて前回の会計報告と次回の開催時期を決定する。
集まったのは20名ほどで男女半数ずつ、地元の人間ばかりだが意外と顔を合わせる機会がない。話題は自然に自分の健康と子供の話となる。アルコールが入り、女性達の旦那への愚痴が始まったところで一次会はお開きとする。

P2170776 本日はグリーグの抒情小曲集。超廉価レーベル、ブリリアントから出ているハコン・アウストボの弾く全曲3枚組CDから数曲を聴いた。
シンプルな中に、ちょっぴり哀愁と古い過去を思うような懐かしさの漂う珠玉の作品集だ。2001年の録音、アウストボの演奏も透明な音とセンスの良い歌心が素晴らしい。

P2170775 聴いているうちに実演で聴いたリヒテル晩年の名演を思い出した。

照明を極端に落としたステージ上でリヒテルは淡々とグリーグの作品を弾いていた。
CDでも出ているが、今日はアウストボの演奏だけにしておこう。

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2007年2月16日 (金)

カラヤン、カイルベルト、二つのハイドン

ここのところ仕事は小さなトラブルはあるものの小康状態、オケの練習にもさほど遅刻せずに参加できるのがありがたい。PTAの役員任期もあと一ヶ月半を残すばかりとなった。

今日はカラヤンとカイルベルトのハイドンを聴いた。ピリオド系の全盛期の今となっては古いタイプの演奏となってしまったが、同年同月生まれの名指揮者二人、対照的な道のりを歩んだ二人を象徴するような異なる個性の2つのハイドンだった。

P2160774 カイルベルトはバンベルク響を振った独テレフンケンのLPで、「時計」と第85番のカップリング。ステレオ初期の録音で「時計」かつて日本キングの千円盤「世界の名曲シリーズ」でも出ていた。

質実剛健のいかついハイドン。ザラリとしたオケの響きも素朴さを助長しているが、このタイプの演奏は嫌いではない。録音はステレオとはいえ音はあまりよくない。
「時計」第一楽章のリピートは、日本キング盤ではカットされていたように記憶している。

P2160773 一方のカラヤンは、第82番「熊」と第86番のカップリング。こちらはベルリンフィルを振った晩年のデジタル録音で独グラモフォンのLP。
スマートにして流麗なカラヤンのハイドン。心地良い演奏だが、カラヤンにしては音の彫琢の度合いがいまひとつ中途半端なように思う。音に微かな濁りが感じられるのだ。

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2007年2月15日 (木)

寒波の逆襲

昨日の風雨は「春一番」、今日も朝から強風が吹き、西高東低の典型的な冬型の気圧配置。かなり冷え込んだ。

仕事を終えた後にオケの練習に参加、今日は大ホールで「悲劇的序曲」とブラ4のフィナーレ。
練習すればするほど難しくなるブラームス。とても一筋縄ではいかない曲だ。
ブラ4フィナーレでは、パッサカリア主題を奏する楽器群を取り出し、曲の分析を行いながらの練習となり、なかなか知的興味を湧かせる充実したものとなった。

P2140770 今日は国際的なオペラ歌手だった東敦子の「イタリア古典歌曲集」を聴いた。日本コロンビアから出ていたLPで1970年録音。
彼女が海外を中心に盛んに活躍していた頃、ベートーヴェン生誕2百年祭の第九公演を歌うために来日した時に録音されたもの。スカルラッティやペリ、ペルゴレージらのお馴染みの名曲が並ぶ1枚。ピアノは三浦洋一。
素直でのびやかな歌声が古典的な格調の高さを感じさせる。スカルラッティの「菫」のコケティッシュで可憐な演奏など見事なものだ。

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2007年2月14日 (水)

ドヴロウェンのシェエラザード

天気予報が見事に的中し、午後から降り始めた雨が夕方には暴風雨となってしまった。
この猛烈な風雨の中帰宅の途に付く。職場から駐車場まで歩いてふだんは5分ほどの距離なのだが、今日はことさら遠い。

狩野川に架かる橋を渡っている途中で、オチョコになった傘が手元を離れそのまま川面に着水、流れていってしまった。橋の上には誰もいない。全身ずぶ濡れになり、風によろけながら急いで橋を渡る。顔に当たる雨が痛い。
家に到着すると先ほどまでの風雨は弱まり、なんと雲の切れ間さえ見えている。
これならば職場で仕事を続けているのだった。後悔先に立たず、覆水盆に帰らず。

P2120767 今日は、ロシア生まれの指揮者、イザイ・ドヴロウェンの「シェエラザード」を聴く。
Archpelから出ているCDで、オケはフィルハーモニア管の1953年録音。おそらくEMIへの録音からの板起しだ思う。このコンビは同じ頃に、チャイコフスキーの交響曲第4番と弦楽セレナーデも残している。
カップリングはボリス・クリストフの歌う「ボリス・ゴドゥノフ」から「戴冠の場、ボリスのモノローグ、ボリスの死」というもの。

名手を揃えたオケの個人技はさすがに見事、音のバランスも文句の付けようがない。第4楽章のハープの独特な扱いが個性的だが、まるでオケのためのエチュードを聴いているような堅実な演奏だ。「嵐と難破」の場面を聴いているうちに先ほどの暴風雨を思い出した。

演奏は、ロシアオペラで名を高めたドヴロウェンだけあって「ボリス」の方が数段良い。こちらは多少ステレオ効果を加えてあるようだ。

4e_allegro 沼響のHPに、聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」の連載を開始しました。
これは交響曲第4番第一楽章冒頭の自筆譜。

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2007年2月13日 (火)

ズッカーマン、クーベリックのシベリウス

花粉症のため頭が重い一日。こんな天気にご近所の桜が狂い咲き。家の庭では梅が花盛り。

P2130769 今日はシベリウス。LIVINGSTAGEから出ているCDで、チェリビダッケ指揮オスロ放送管の交響曲第2番、ズッカーマンのヴァイオリンとクーベリック指揮のミュンヘン放送管によるヴァイオリン協奏曲のカップリング。
交響曲は1965年11月28日、コンチェルトは1973年3月1日のライヴとされるもの。ステレオ表記になっているが交響曲はモノラル。
安い価格で出所不明のライヴを提供してくれているスロヴェニアのLIVINGSTAGEだが、オケ表記は怪しい。(たぶん実体はオスロフィルとバイエルン放送響だろう)。

ジャケ写真は若き日のチェリビダッケ、だがこのCDの主役は明らかにコンチェルトだ。
朗々と歌うズッカーマンの情熱的なヴァイオリンと、クーベリックの雄大な指揮ぶりで聴かせる非常な名演だった。録音も良い。
チェリビダッケのシベリウスは、極めて遅いテンポの中に最後まで緊張感が持続する立派な演奏。ただしフィナーレでトランペットが体力の限界を超えてしまったようだ。

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2007年2月12日 (月)

カーネギーホールのシモン・バレル

今日は早朝から畑で汗を流す。暖かな気候と適度な降雨で今年は野菜の生育が良い。
だが、近所のお百姓さんたちの話では採れ過ぎで豊作貧乏とのこと。我が家で消費するだけの日曜百姓の自分にとっては気楽なものだが、農業で生計をたてている人たちには死活問題だ。隣の畑では、採れ過ぎのキャベツが収穫もされずに野鳥の啄ばむままに放置されている。
とはいえ採れたてのブロッコリーは、スーパーで買うのとは段違いの味だ。サラダ菜も収穫し畑の隅に実っているレモン数個といっしょに家内に渡す。

P2120768 今日は超人的なテクニシャン、ロシア生まれのシモン・バレルのライヴを聴いた。
英APRが出していた「カーネギー・ホールのシモン・バレル」の3巻セットからの第2巻、2枚組LP。一枚目はバッハ、シューマン、ウェーバー、ゴドフスキー、二枚目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とプレリュード数曲、そして最後にバラキレフの難曲「イスメライ」というもの。ラフマニノフのオケ伴奏は不詳、1947年の記録。CDも同時に発売されていたようだ。

貧しい少年時代に、サーカスでピアノを弾き生計をたてていたというバレル。とにかく指の回転の速さは尋常でない物凄さだ。聴き手にスポーツ的な快感を与えるピアニストとしては最右翼だろう。同門のホロヴィッツと比べてもテクニックでは上を行っている。
コンチェルトのフィナーレでは、オケを置き去りにして猛烈なラストスパートをかけているのが凄まじい。ただしテクニック優先のあまり詩情にはだいぶ欠けるようだ。

バレルはこの数年後、同じカーネギーホールのステージ上で脳の血管がプッツンして急死している。

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2007年2月11日 (日)

オークレールのバッハとモーツァルト

早朝、突然のクシャミ5連発。とうとう花粉症が始まったようだ。
昨日、箱根の旧東海道の杉並木を通過する際、なんとなく嫌な予感が頭を掠めたが、どうやら箱根山中で多量の杉花粉を吸い込んでしまったようだ。今年の花粉の飛散量は少ないとはいえ、5月の連休までこの苦行は続く。

今日はフランスの女流ヴァイオリニスト、ミシェル・オークレールのバッハとモーツァルトを聴いた。
オークレールでは、かつてフィリップスのグロリアシリーズの廉価盤で出ていたメンデルスゾーンとチャイコフスキーのコンチェルトが懐かしい。

P2110768 今日聴いたのはフランスのディスコフィル・フランセ原盤のバッハの「ヴァイオリンソナタ全集」。手持ちは日本のレキシントンが復刻した2枚組モノラルLP。
マスターテープが行方不明のものもあり、一部レコードからの板起こし。マリー・クレール・アランのオルガン伴奏という珍しいもの。
この録音当時オークレールはまだ20代だった。年齢を感じさせない落ち着き威厳に満ちた演奏に驚かされる。アランの伴奏も良いが、やはりこの曲はチェンバロの伴奏で聴きたいと思う。

P2110769 オークレールのモーツァルトも聴いた。曲はヴァイオリン協奏曲第5番。フィリップスのアーティストギャラリーシリーズのLPで、マルセル・クーロー指揮のシュトゥットガルトフィルによる伴奏。
いくぶん古風なスタイル。知的でシックな美しい演奏だが、バッハでは感じられなかった線の細さが感じられる。この、なよっとした女性的なか弱さがオークレールの魅力でもあるのだが。

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2007年2月10日 (土)

ゴルシュマン、3つのジムノペディ

今日も良い天気、箱根大涌谷の「黒たまご」が食べたくなり、家族を引き連れ箱根に向かう。
例年この時期の箱根は寒風吹きすさび路面も凍結状態なのだが、今年は暖冬、湖尻付近の路肩に僅かな残雪は見えるが全く4月の陽気だ。
P2100762 P2100760 車を走らせること40分で目指す大涌谷に到着。3連休とはいえさほど混雑していない。車から降り、歩くこと10分ほどで展望台付近へ到着。多数の中国人旅行客が売店の前に群がって「黒たまご」を食べている。

P21007591袋6個入りで500円。 我々もさっそく2袋購入する。茹でたてでまだ熱い。硫黄の温泉で茹でているために硫化鉄が表面に付着し、独特の黒い卵になっている。中身は普通の茹で卵だが、この場所で食べると実にうまい。
2個ずつ食べて芦ノ湖を一周し帰宅。正味3時間ほどの小ドライヴだ。

P2100766 今日はゴルシュマンの「フランス・モダン音楽曲集」を聴いた。米キャピトルのモノラルLPで、オネゲルの「夏の牧歌」、ラヴェルの「クープランの墓」、ミヨーの「屋根の上の牡牛」、サティの「3つのジムノペディ」というもの。オケはコンサートアーツ管。このLPの発売時点では、オネゲルとミヨーは存命中だった。
「ジムノペディ」がドビュッシーの編曲した2曲に加えて、第2番をR.ジョーンズの編曲で加えているのが珍しい。

いささか情に流され、ムード音楽のようになっている気配はあるものの、モダンで洒落た雰囲気が漂う素敵な演奏だ。オケのソロもうまい。ジャージーでパリッと小粋なミヨーの雰囲気など同時代の音楽家の強みだろうか。
ゴルシュマンは晩年に米ヴァンガードに通俗名曲の多くを録音しているが、モノラル期のアメリカ時代が一番良かったように思う。

ジョーンズ編の「ジムノペディ第2番」はドビュッシーの編曲を意識したもので、ドビュッシーがオーボエに吹かせていたメロディーをフルートに変えている。両端のドビュッシー編と比べてもさほど違和感はない。

P2100767 もうひとつの「ジムノペディ第2番」のオケ編、ローラン・マニュエルの編曲も聴いてみた。こちらはランチベリー指揮のコヴェントガーデンのオケによるEMIへの録音で、ランチベリー編の3曲の「グノシェンヌ」をも加えた「モノトーンズ」というアルバム。

ラヴェルの直弟子だったマニュエルの編曲は、鉄琴までも加えた暖色系のアレンジ、メロディはクラリネットソロで始まる。凝った編曲だがドビュッシーのシンプルでいくぶん冷めた2曲とは水と油だ。

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2007年2月 9日 (金)

矢代秋雄のピアノソナタ

2月だというのにそろそろ桜が咲きそうな陽気となってきた。夜には軽いお湿り程度の雨。
昨日の大きな仕事の後で、本日いささか中弛み状態。

P2090772 P2090773 帰宅後聴いたのは矢代秋雄のピアノソナタ。

一昨日ドビュッシーを聴いた安川加寿子をはじめ、いくつかの録音がある名作だ。
今日聴いたのは、山岡優子が弾く東芝赤盤LPと東京音楽大学が制作した「現代日本の音楽」シリーズのピアノ編第2集に収録されている弘中孝による演奏。
20分足らずの時間の中に、絞り込まれ選び抜かれた音による厳しい世界。時折り師であるメシアンのピアノ曲にも似た響きが聞こえてくる。

演奏は、響きの豊潤さと音の密度の濃さで初演者の山岡盤が感銘深い。昨年御茶ノ水ディスクユニオンで購入した音盤。格安だったが解説書が抜けていた。

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2007年2月 8日 (木)

ブラ4第2楽章

今日は県内のお偉方を集めた会議のために磐田市へ出張。昨年10月の同じ会議では直前にぎっくり腰となり大変なことになってしまった。
今回も事務局として会議を仕切らなければないが、準備は万端、根回しばっちりの完璧な布陣。内容もこちらの予想通りの展開となり、まずは成功。

いささか気疲れしそのまま帰宅しようとも思ったが、職場に寄り留守中の状況を把握した後オケの練習会場へ。
練習場ではブラ4の第2楽章の練習が始まっていた。隣の練習室では弦のトレーナーが来ていてチェロパートの特訓中ということで、本日はチェロなしの変則的な練習となった。
チェロのいない第2楽章は様にならないが、裸になったセカンド・ヴァイオリンやヴィオラの音型にブラームスの意外な隠し味を聴く事ができて面白い。

P2080771 帰宅後はアシュケナージのラフマニノフ「24の前奏曲」から数曲を聴いた。
クリスタルガラスのような美しい音色と完璧なテクニック。
世評の高さを十二分に裏付ける名演だ。


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2007年2月 7日 (水)

田中希代子のドビュッシー

今日は田中希代子のドビュッシーを聴いた。
ジュネーヴ、ロン・ティボー、ショパンコンクールなど著名な国際コンクールの入賞歴を持ちながら36歳で膠原病のため引退を余儀なくされた天才ピアニスト。

P2070768 活動歴が短かったためにスタジオ録音が少なく、LP時代は、教材用に録音された小品が数曲ある程度だった。
今日聴いたのはキングへのスタジオ録音で1961年の収録。1970年発売のLP。
曲は、「子供の領分」「ベルガマスク組曲」「前奏曲集第一巻」から数曲と「前奏曲集第2巻」から「花火」というもの。

自由奔放、触れれば火傷するかのような異常なほどの高揚感が感じられるドビュッシー。
強靭なタッチと予測のつかないテンポの揺れに演奏者の尋常でない集中力を感じさせる全く独特の世界だ。

P2070769 田中希代子の師であり、同じラザール・レヴィの教えを受けた安川加寿子のドビュッシーも聴いた。
聴いたのは、日本ビクターのLPでドビュッシーピアノ曲全集から「前奏曲集第2巻」。
こちらは粒立ちのはっきりとしたタッチ、ギャラントな雰囲気の漂う正統派のドビュッシーという趣。

田中希代子のドビュッシーも同様だが、この時期の国内録音は残響の少ない硬質な音質がはなはだ感興を削ぐ。
実演で聴いた安川加寿子の音は、もっと柔らかなものだったように記憶している。

P2070770 沼響のHPの聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」の第42回をアップしました。
今回はピアニストとして名高いプレトニェフの演奏。


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2007年2月 6日 (火)

ランツキィ=オットーのR.シュトラウス

ここ数日、夜10時を過ぎた頃から目が冴えてしまう。ふと気がつくと1時、2時。その反動で朝起きるのが辛い。困ったものだ。

P2060766 今日はデンマーク生まれのホルンの名手、I.ランツキィ=オットーの吹く20世紀のホルン協奏曲2曲を聴く。S.ウィステビリ指揮ストックホルムフィル伴奏による独CAPRICE盤LPで曲はR.シュトラウスの2番とG.フルメリのホルン協奏曲。
巨漢オットーのパワー炸裂の演奏。派手に金管と打楽器が鳴り響くフルメリの協奏曲でも音響に埋没せずに朗々と吹きまくるホルンが圧巻。
R.シュトラウスの名作では、繊細にして柔らかなピアニシモが印象に残る。

P2060767 デユメイ、コラールによるフォーレの2つのヴァイオリンソナタも聴いた。70年代半ばに録音された「フォーレ室内楽曲全集」からの1枚。手持ちはEMIの国内盤再発LP。
昨日聴いたラヴェルと同傾向の若い演奏家達のフレッシュさが評判になった演奏。
デユメイの瑞々しいヴァイオリンは好ましいのだが、コラールのピアノが無造作で達者に弾きすぎていて、フォーレのイメージに合わないようにも思う。もう少し清楚に演奏して欲しい。

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2007年2月 5日 (月)

ラヴェル、弦楽のための小交響曲

例年この時期我が家の音楽部屋は、凍てつく寒さのためCDプレーヤーの動きは鈍くなりレコードもトレースがおかしくなるのだが、今年はそのようなことがない。今日も4月上旬なみの陽気、部屋の中を越冬した蚊が飛んでいる。このまま春になってしまうのだろうか。

P2040763 ラヴェルの弦楽四重奏曲を、ロシアの指揮者バルシャイが弦楽合奏用に編曲したCDを聴く。演奏はスコティッシュアンサンブル。編曲はこの団体がバルシャイに委嘱したものだ。
LPプレーヤーで名高いLINNが制作したSACDで、カップリングは同じくバルシャイ編によるショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲第10番からの室内交響曲。

このアンサンブルは写真で見る限りでは若いメンバーばかりで10名編成、女性メンバーが中心のようだ。
ラヴェルの作風そのままに、新たな表現の幅を加えたバルシャイの編曲が素晴らしい。違和感は全く感じられない。緻密アンサンブルとフレッシュな響き、速めのテンポで颯爽と駆け抜けるスコティッシュ・アンサンブルも見事なものだ。

P2050764 もうひとつR.ゼルキンの弾くR.シュトラウスの難曲「ブルレスケ」。ティンパニの特徴的なソロで始まりティンパニで終わるシュトラウス若書きの曲を、ゼルキンは強固な打鍵とゆるぎのない構成力でがっしりと聴かせる。オーマンディー指揮のフィラデルフィア管によるCBS国内LP盤。
カップリングはメンデルスゾーンとシューマンのマイナーな協奏作品だが、こちらも聴き応えのある名演だ。

P2050765 最後は、トランペットのアンドレとアランのオルガンによる、テレマンの「10の英雄的行進曲」他のエラート盤。アンドレの名人芸に聴きほれる1枚。

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2007年2月 4日 (日)

フィストラーリのプーランク

昨晩の強風も収まり今日は素晴らしく良い天気となった。家族でドライヴ、とも思ったが娘たちに拒否されてしまった。どうやら、おやぢと行動を伴にするのが恥ずかしい年頃になってしまったようだ。
しばらく家でゴロゴロしていたが、久しぶりに隣町の「すみや」を覗いてみることにした。

静岡市に本店を持っていた老舗のCDショップ「すみや」は、昨年TSUTAYAに買収されてしまった。
自分がクラシック音楽を聴き始めた頃からのお馴染みで、ここから数え切れないほどのレコードやCDを購入していた。だが、ここ十数年はネットや中古屋からの購入ばかりで定価でCDを買うこともなくなってしまった。最後に「すみや」でCDを購入したのは5年前のことだ。

広い店内は余り変わらないが、電化製品の置いてあった場所はTSUTAYAのレンタルスペースに変わっていた。
巨大なCD売り場の中のクラシック部門は片隅にひっそり状態。「のだめ」のCDがコミックと一緒に売られていた。CD棚の中に、かつて「すみや」が扱っていたNAXOSの売れ残りCDを1枚だけ見つけた。背表紙が変色して色褪せていたのが悲しい。

P2030758 今日はマーラーの娘婿にしてバレエ音楽の大家フィストラーリのプーランクを聴いた。
米MGMから出ていたモノラルLPで、組曲「牝鹿」と「オーバード」のカップリング。「牝鹿」のオケはロンドン響、「オーバード」はジャッキーノのピアノにウェストミンスター響となっている。「オーバード」はウエストミンスター盤も購入済み。
鋼のような躍動感の中に微かに漂う退廃的なムード。ちょっぴり大人の雰囲気の漂う素敵な演奏だ。

P2040762 「牝鹿」の初演されたディアギレフのロシアバレエ団の指揮者だった、デゾルミエールの演奏も聴いてみる。英デッカのモノラルLPでパリ音楽院管による本家本元の演奏。
軽妙で健康的、清純にして可憐な演奏だった。
フィストラーリの演奏が三十前後の女性のイメージとすれば、こちらは二十前後という趣。「牝鹿」の本来の意味「若いかわい子ちゃんたち」に極めて近い演奏というべきか。

P2040761 プーランクと深い親交のあったプレートルにも2つの名演がある。さすがに3回も聴く気にならないので、再録音のフィルハーモニア管を振ったEMI盤にカップリングされている小品「マグリット・ロン賛」「ジャンヌの扇から」「水夫の踊り」の3曲を聴いた。
短い時間に凝縮されたフランスのエスプリ漂う繊細にして美しい響きは、とてもイギリスのオケとは思えない。

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2007年2月 3日 (土)

スクロヴァチェフスキーのヘンデル

今日は節分、外は猛烈な風が吹いている。
近年この時期になるとスーパーやコンビニに「恵方巻き」が並んでいる。今日の我が家の夕食も巻き寿司だった。北北西を向きながら黙々と巻き寿司を咥えている娘達。なんだか滑稽な風景だなぁ。
もともと関西方面の行事らしく、自分が子供の頃にはこのような習慣はなかった。

P2030760 今日は昨日に引き続きプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」を聴いた。演奏はスクロヴァチェフスキー指揮するミネソタ響のVOX盤LP。スクロヴァチェフスキーには90年代にケルン放送響を振った録音もあるがそちらは未聴。
プロコフィエフの音楽は、ラインスドルフと同様スクロヴァチェフスキーの芸風にも合っているようにも思えるのだが、この演奏はごく普通の出来。スクロヴァチェフスキーの演奏に聴かれるいつもの明晰さに欠けるようだ。第2組曲のみ、1977年録音。

P2030759 もうひとつミネソタ響時代のスクロヴェチェフスキーで、ヘンデルの「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」。同じくVOXのLPで1975年録音。クリュサンダー盤を使用している。こちらはオケの輝かしい響きと冴えたリズムで聴かせる格調の高い演奏。

ラヴェル管弦楽曲全集と並び、ミネソタ時代のスクロヴァチェフスキーを代表的する名演だ。

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2007年2月 2日 (金)

ラインスドルフのプロコフィエフ

寒い朝だ、こんな日に小学校の旗振り当番に当たってしまった。通学路の交差点で通学途中の小・中学生に声を掛けながら旗を振る。傍らの小川には氷が張っていた。
寒さに耐え、信号の横に立つこと45分。通り過ぎる車を観察してみるとなかなか面白い。
髭を剃りながら運転する人、タバコ片手にハンドルを握るOL。雑誌を見ながら走っている人。顔見知りが通る時は軽く会釈。

今日はプロコフィエフ。ラインスドルフの演奏をいくつか聴いてみた。幾分クールなプロコフィエフの音楽をラインスドルフは得意にしていた。ボストン響を降り、全ての交響曲と主要な管弦楽曲、協奏曲の大部分を録音し、他のオケを振った録音もいくつか聴く事ができる。

P2020760 まずシェフィールドのダイレクト・カッティングディスクから、バレー「ロメオとジュリエット」抜粋。オケはロスアンジェルスフィル。
ここでラインスドルフは、独自に12曲を選んでストーリー順に演奏している。最初の「前奏曲」から繊細にして豊麗な音楽が鳴り響く。一発採りのダイレクト・カッティングに演奏者の緊張感がストレートに伝わってくる。アンサンブルも緻密、ラインスドルフの高度な職人技を目の当たりにできる完成度の高い名演。

P2020762 P2020761 続いてRCAへのボストン響との録音。こちらもシェフィールド盤と同じラインスドルフ独自のセレクト盤で17曲。筋肉質の引き締まった隙のない演奏、開放的なミュンシュ時代の音とは異なるボストン響の響きが印象的だ。

そしてさらに遡ってフィルハーモニア管を振った、組曲「キージェ中尉」の米エンジェル盤。カップリングはコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」。ここでラインスドルフはバリトン独唱入りの版を使用、プロコフィエフへのこだわりを見せている。ただ演奏は小さくまとまりすぎでスケールが小さい。リズムも重く楽しめない。

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2007年2月 1日 (木)

徳永兼一郎のブラームス

2月になった。風も強く寒い一日。それでも例年の冬よりは暖かだ、朝のニュースでも暖冬の影響が紹介されていた。今日は代休。休みとはいえ娘の中学の入学説明会やら東京へ出張する家内を三島駅へ送ったりと忙しい一日となった。

夜はオケの練習に参加。今日の練習は小ホールで、前半はブラ4の3,2楽章で後半は「戴冠式」。
定演のメインがブラームスとなったら、気のせいか弦楽器のメンバーの出席率が良くなったようだ。今日もヴァイオリンからコントラバスまでバランス良く揃っている。
演奏中の休みの合間に、メンバーの数を数えてみたら弦楽器だけで30人。ヴィオラがちょいと少ないが10型の均衡の取れた編成だ。管楽器を加えればブラ4初演時の49名に極めて近い。

第3楽章のリズミックなスケルツォを吹いているうちに、この曲が古典的な舞曲を集めたバロック時代の組曲ような曲に思えてきた。

P2010759 帰宅後は徳永兼一郎の弾くブラームスの2つのチェロソナタを聴いた。ピアノは藤井一興。アポロンから出ていたゴールドCDで、近所のブックオフで昨年見つけたもの。

ブラームスの交響曲全曲を聴き通すのに匹敵する感銘を聴き手に与える骨太でスケールの大きな名演。
ストラディバリウスの伝説的な名器、「バス・オブ・スペイン」を朗々と鳴らした響きも実に素晴らしい。

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