ドヴロウェンのシェエラザード
天気予報が見事に的中し、午後から降り始めた雨が夕方には暴風雨となってしまった。
この猛烈な風雨の中帰宅の途に付く。職場から駐車場まで歩いてふだんは5分ほどの距離なのだが、今日はことさら遠い。
狩野川に架かる橋を渡っている途中で、オチョコになった傘が手元を離れそのまま川面に着水、流れていってしまった。橋の上には誰もいない。全身ずぶ濡れになり、風によろけながら急いで橋を渡る。顔に当たる雨が痛い。
家に到着すると先ほどまでの風雨は弱まり、なんと雲の切れ間さえ見えている。
これならば職場で仕事を続けているのだった。後悔先に立たず、覆水盆に帰らず。
今日は、ロシア生まれの指揮者、イザイ・ドヴロウェンの「シェエラザード」を聴く。
Archpelから出ているCDで、オケはフィルハーモニア管の1953年録音。おそらくEMIへの録音からの板起しだ思う。このコンビは同じ頃に、チャイコフスキーの交響曲第4番と弦楽セレナーデも残している。
カップリングはボリス・クリストフの歌う「ボリス・ゴドゥノフ」から「戴冠の場、ボリスのモノローグ、ボリスの死」というもの。
名手を揃えたオケの個人技はさすがに見事、音のバランスも文句の付けようがない。第4楽章のハープの独特な扱いが個性的だが、まるでオケのためのエチュードを聴いているような堅実な演奏だ。「嵐と難破」の場面を聴いているうちに先ほどの暴風雨を思い出した。
演奏は、ロシアオペラで名を高めたドヴロウェンだけあって「ボリス」の方が数段良い。こちらは多少ステレオ効果を加えてあるようだ。
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