フィストラーリのプーランク
昨晩の強風も収まり今日は素晴らしく良い天気となった。家族でドライヴ、とも思ったが娘たちに拒否されてしまった。どうやら、おやぢと行動を伴にするのが恥ずかしい年頃になってしまったようだ。
しばらく家でゴロゴロしていたが、久しぶりに隣町の「すみや」を覗いてみることにした。
静岡市に本店を持っていた老舗のCDショップ「すみや」は、昨年TSUTAYAに買収されてしまった。
自分がクラシック音楽を聴き始めた頃からのお馴染みで、ここから数え切れないほどのレコードやCDを購入していた。だが、ここ十数年はネットや中古屋からの購入ばかりで定価でCDを買うこともなくなってしまった。最後に「すみや」でCDを購入したのは5年前のことだ。
広い店内は余り変わらないが、電化製品の置いてあった場所はTSUTAYAのレンタルスペースに変わっていた。
巨大なCD売り場の中のクラシック部門は片隅にひっそり状態。「のだめ」のCDがコミックと一緒に売られていた。CD棚の中に、かつて「すみや」が扱っていたNAXOSの売れ残りCDを1枚だけ見つけた。背表紙が変色して色褪せていたのが悲しい。
今日はマーラーの娘婿にしてバレエ音楽の大家フィストラーリのプーランクを聴いた。
米MGMから出ていたモノラルLPで、組曲「牝鹿」と「オーバード」のカップリング。「牝鹿」のオケはロンドン響、「オーバード」はジャッキーノのピアノにウェストミンスター響となっている。「オーバード」はウエストミンスター盤も購入済み。
鋼のような躍動感の中に微かに漂う退廃的なムード。ちょっぴり大人の雰囲気の漂う素敵な演奏だ。
「牝鹿」の初演されたディアギレフのロシアバレエ団の指揮者だった、デゾルミエールの演奏も聴いてみる。英デッカのモノラルLPでパリ音楽院管による本家本元の演奏。
軽妙で健康的、清純にして可憐な演奏だった。
フィストラーリの演奏が三十前後の女性のイメージとすれば、こちらは二十前後という趣。「牝鹿」の本来の意味「若いかわい子ちゃんたち」に極めて近い演奏というべきか。
プーランクと深い親交のあったプレートルにも2つの名演がある。さすがに3回も聴く気にならないので、再録音のフィルハーモニア管を振ったEMI盤にカップリングされている小品「マグリット・ロン賛」「ジャンヌの扇から」「水夫の踊り」の3曲を聴いた。
短い時間に凝縮されたフランスのエスプリ漂う繊細にして美しい響きは、とてもイギリスのオケとは思えない。
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