カーネギーホールのシモン・バレル
今日は早朝から畑で汗を流す。暖かな気候と適度な降雨で今年は野菜の生育が良い。
だが、近所のお百姓さんたちの話では採れ過ぎで豊作貧乏とのこと。我が家で消費するだけの日曜百姓の自分にとっては気楽なものだが、農業で生計をたてている人たちには死活問題だ。隣の畑では、採れ過ぎのキャベツが収穫もされずに野鳥の啄ばむままに放置されている。
とはいえ採れたてのブロッコリーは、スーパーで買うのとは段違いの味だ。サラダ菜も収穫し畑の隅に実っているレモン数個といっしょに家内に渡す。
今日は超人的なテクニシャン、ロシア生まれのシモン・バレルのライヴを聴いた。
英APRが出していた「カーネギー・ホールのシモン・バレル」の3巻セットからの第2巻、2枚組LP。一枚目はバッハ、シューマン、ウェーバー、ゴドフスキー、二枚目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とプレリュード数曲、そして最後にバラキレフの難曲「イスメライ」というもの。ラフマニノフのオケ伴奏は不詳、1947年の記録。CDも同時に発売されていたようだ。
貧しい少年時代に、サーカスでピアノを弾き生計をたてていたというバレル。とにかく指の回転の速さは尋常でない物凄さだ。聴き手にスポーツ的な快感を与えるピアニストとしては最右翼だろう。同門のホロヴィッツと比べてもテクニックでは上を行っている。
コンチェルトのフィナーレでは、オケを置き去りにして猛烈なラストスパートをかけているのが凄まじい。ただしテクニック優先のあまり詩情にはだいぶ欠けるようだ。
バレルはこの数年後、同じカーネギーホールのステージ上で脳の血管がプッツンして急死している。
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コメント
このラフマニノフのコンチェルト、私もたま~に聴きます。
フィナーレ、何がどうなっているのか分からない、スゴイ演奏ですよね。
伴奏のオケは不明ながら、指揮者はアントニア・ブリコとの説がありますね。
再発売されたCDには、ブリコ指揮と書かれているらしいです。
投稿: conductor_x | 2007年2月13日 (火) 20時04分
conductor_xさん、情報ありがとうございます。
バレルの強烈な個性に比べると随分と影の薄い伴奏でしたが、ブリコ女史の指揮でしたか。
人間技とは思えないバレルの超絶技巧に唖然とする演奏でした。
投稿: 山本晴望 | 2007年2月14日 (水) 07時15分