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2007年3月に作成された記事

2007年3月31日 (土)

セレブリエールのストコフスキー・トランスクリプションズ

3月最終日曇り夕方より雨、ここ数日の暖かさで家の周囲の桜が一斉に咲き始めた。花見には絶好の週末だが天気はよくない。

年度最終日ということで本日出勤。昨晩からどうも腹の具合がよくない、裏山で採った薬草ゲンノショコを煎じて水筒に詰め職場に向かうが、体調不如意のためお昼過ぎに帰宅。

P1010825 今日聴いたのは、J.セレブリエール指揮するストコフスキー編曲のバッハ曲集。NAXOSから出ているCDでオケはボーンマス響。
セレブリエ-ルはストコフスキーが録音したアイヴスの交響曲第4番で補助指揮者だった。
「アリア」で始まり「パッサカリアとフーガ」で終わるバッハのコラールプレリュードを中心としたプログラム。

透明な響き、清潔感の漂う見通しの良いバッハ。楽器配置は通常配置のようだ。皮肉なことにロマンティックなストコフスキー色をできるだけ排し、きっちり楷書風に流した演奏だ。
「パッサカリアとフーガ」では打楽器を強烈に響かせたアグレッシブな演奏だが、ストコフスキーの演奏で感じられた凄みはない。

中では、グレゴリオ聖歌風の荘厳な雰囲気をうまく出していた「2つの古い賛美歌の旋律」が最も印象に残った。この曲で使われている旋律はレスピーギも好んで使っていたものだ。

HMVからCDが届いた。今回は大物セット3種。
870_1 785 119 BISが出したヴァンスカ指揮の交響曲全集を中心とした「シベリウス・セット」15枚組。
セル、モントゥー、コンドラシンらの登場する「コンセルトヘボウ・アンソロジー1960~1970」14枚組。そしてスメタナの各種オペラから交響曲、室内楽、ピアノ曲などを集めた「スメタナセット」10枚組。

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2007年3月30日 (金)

コステラネッツのグランドキャニオン

本日早朝から風雨強し、近くで雷も鳴り始めた。出勤時にはかなりの降りだったのが職場に到着する頃には雨あがる。

昨日は2週間ぶりにオケの練習に参加する事ができた。後半のブラ4終楽章のみ参加。
横島先生の個性溢れる情熱的な指揮ぶりは相変わらずだ。オケの出来はまだこれからだが仕事でヘタッた脳に刺激的なカンフル剤、明日への元気をいただく。

今日は早めに仕事を切り上げ、スタイラスクリーナーを買おうと「すみや」に寄ったところ月末棚卸で本日19時開店とのこと。待つ気にもなれずそのまま帰宅。

今日は、朝の雷に影響されてグローフェの「グランドキャニオン」を聴く。
レスピーギの「ローマ三部作」のアメリカ版みたいな曲で、バブリーな大編成のオケと多彩な打楽器群で聴かせる曲。実演ではまだ一度も接したことがない。ソロの多い曲でヘタクソなオケでは聴き映えのしない曲だ。

P1010829 聴いたのは、アンドレ・コステラネッツ指揮彼のオーケストラによる日本コロンビア10吋盤。
実音入りの元祖として有名な録音。最初にコオロギらしき虫の鳴き声で始まるのにキモをつぶされる。「山道を行く」ではロバの足音と鳴き声、「嵐」の途中では雷鳴の音も響いている。

演奏は、各楽器のソロの歌いまわしや軽妙な音楽運びに独特の味がある見事なものだ。実音付加などよけいなことだ、演奏のみで充分なほどの名演。録音も良い。

ここでコステラネッツは、オリジナルのジャズバンド版の影響を受けた独自の版を使用していて、「山道を行く」のカウボーイの歌はホルンソロではなくミュートを付けたトロンボーン。
アルトサックスの音も聞こえてくる。

P1010827 グローフェ自作自演も聴いた。先日聴いたイベールの「寄港地」と同じく東芝から出ていた「二つの・・・」シリーズの2枚組LP。
グローフェ&キャピトル響のモノラル録音の方の自演と、スラトキン父&ハリウッドボウル管の二つの「グランドキャニオン」が入っている。

スラトキンは通常の大編成オケ版、自演はコステラネッツ盤に近い小編成の独自の版のようだが、サックスは加わらず「山道を行く」のカウボーイの歌もホルンソロ。
どちらもアメリカのオケならではの独特の軽いノリが楽しい。

P1010828 ロチェスター管との自演ステレオ再録もちょいと聴いてみたが、聴き比べて興味深い部分は版の相違ぐらいで、演奏の傾向はどれも同じようなものだ。

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2007年3月28日 (水)

フランチェスカッティのバッハ

3月もあとわずかとなった。人事異動の引継ぎで職場内は慌しい。自分は現在のポジションのまま、部下も現状維持だったのがありがたい。
とはいえ新年度から始まる大きなプロジェクトを控え、緊張感が次第に高まってきた今日この頃。

P1010824 今日はフランチェスカッティのバッハを聴いた。米コロンビアのLPで、パルティータの2,3番とのカップリング。1950,52年のモノラル録音。
昨日聴いたシゲティとは全く対照的なヴァイオリン。着実な技巧と艶やかな美音を響かせる癒し系のバッハ。

P1010821 さらにストックホルムフィル100周年記念自主制作アルバムから第3巻。
クリップスの「オベロン」序曲、シルヴェストリの「ハイドンの主題による変奏曲」、モントゥーの「リュートのための古風な舞曲とアリア第1番から2曲」そしてクーベリック指揮のフォーレの「レクイエム」というもの。いずれも60年代初期のステレオ録音。

この中では、粋で爽やかなモントゥーのレスピーギが感銘深い。音楽の流れにうまく乗ったクリップスも良い演奏だ。クーベリックのフォーレはあまりにもシンフォニックで私の好みからはほど遠い。期待した合唱団もさほどでもない。

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2007年3月27日 (火)

シゲティのベートーヴェン

曇り時々晴天、夜になって雨。午後から仕事で修善寺へ向かったが、あまりの暖かさに車中でウトウトとしてしまった。

P1010823_1 今日はシゲティのヴァイオリンでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いた。
シゲティ3度目の録音でドラティ指揮のロンドン響による1961年の録音。手持ちは70年代に日本フォノグラムから出ていたヤマハのF管シングルホルンをあしらった簡素なジャケットのフォンタナの千円盤。

音はかすれ、音程もふらつき気味なのは痛々しいが、技巧の衰えた老シゲティが全身全霊を傾けてベートーヴェンの名曲に挑んでいる壮絶な格闘の記録。
シゲティの気迫に圧倒されたのか、ロンドン響のヴァイオリン奏者たちが弓をべったり押し付けての強烈なフォルティシモが凄まじい。ドラティの彫りの深い壮大なバックも良い。

第一楽章のオケ伴奏を伴う珍しいカデンツァはブゾーニのもの。第二楽章終結部の短いカデンツァは誰のものか判らない。第三楽章はヨアヒム作だ。

P1010822 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」に、ワインガルトナー盤の感想をアップしました。

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2007年3月26日 (月)

田中希代子のショパン

暖かで穏やかな一日、早朝裏山でウグイスが鳴いていた。

P1010819 今日は田中希代子のショパンを聴く。田中希代子のショパンは、キングレコードからショパンコンクールのライヴを含む数曲のCDが出ているが、今日聴いたのは、研秀出版が1965年頃に発売した「世界の名曲シリーズ」というシングル盤2枚組。

全20巻入門者向けのセットものから第14巻。近所のリサイクルショップで1セットあたり100円で購入したもの。

収録曲は「葬送行進曲」「幻想即興曲」「雨だれ」「子犬のワルツ」「軍隊ポロネーズ」「夜想曲変ホ長調」「別れの曲」「マズルカ変ロ長調」の8曲。

粒立ちの整った輝かしい音を響かせながら絶妙のルバートを聴かせる「幻想即興曲」、恐ろしいばかりの迫真力に圧倒される「葬送行進曲」。何かを捜し求めているかのような孤独感に満ちた「雨だれ」「別れの曲」など、いずれも深いドラマに満ちた大変な名演ばかりだ。

残された録音の少ない田中希代子にとって、これだけまとまったショパンの録音は他にない。若林駿介氏の手による録音が、田中希代子の研ぎ澄まされた美しいタッチを見事に捉えている。

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2007年3月25日 (日)

ビバ! イベール

昨晩遅くから午前中にかけて猛烈な風雨が吹き荒れた。石川県で震度6強の大地震発生。沼津も震度2とのことだが、雨が気になって全く気がつかなかった。
今日も一日仕事。どうやら今月はゆっくり休めそうもなくなってきた。

P1010814 今日はイベールを聴いた。米Newport Classicから出ている「Vive Ibert !」というアルバム。
R.C.Clark指揮によるマンハッタン室内管による演奏で、曲は「エリザベス朝」組曲、フルート協奏曲、交響組曲「パリ」、「トランペットと4本の木管、弦楽四重奏のためのカプリチオ」。

この中の「エリザベス朝」組曲がお目当てで購入したCD。
この曲は「真夏の夜の夢」の付随音楽として作曲されたもので、ギボンズ、パーセル、ブルなどのイギリスの古い時代の作曲家の作品を素材に作曲されたもの。ストラヴィンスキーの「プルチネルラ」やプーランクの「フランス」組曲と同傾向の作品。
管楽器を中心とした編成に少人数の女声合唱が加わる。アルカイックな雰囲気の中に洒落たセンスの光る名品だ。

P1010815 この曲の録音は、長らくアドリアーノ指揮のスロヴァキア放送管によるマルコポーロ盤しかなかった。

マンハッタン室内管は1987年創設の新しい楽団で、メンバー表を見る限りでは室内オケとはいえ50名を越えている。各々の奏者の技術は確かだし、ソロも非常にうまい。
色彩豊かでシャープでモダーンな演奏で、聴いていて実に気持ちが良い。

P1010816 もうひとつイベールで自作自演を聴いた。東芝EMIから出ていた「二つの~」シリーズ中の「二つの寄港地」2枚組LP。
一枚目の演奏はイベール指揮のパリ国立歌劇場で、「寄港地」とバレー「ジュピターの愛」とのカップリング。
そして二枚目は、マルティノン指揮のフランス国立放送管による「寄港地」、日本紀元2600年のための「祝典序曲」、イベール最後の管弦楽作品となった「架空の愛のトロピズム」というもの。

イベール自演はモノラルとはいえ録音は良い。おそらく50年代半ばの録音だと思う。おフランスの香り豊かな中にがっしりとした構成で聴かせる正統派の名演。

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2007年3月24日 (土)

ホルヴァートのショスタコーヴィチ

曇りのち雨。夜になって風も出てきた。

P1010817 今日もポイントクラシックスからM.ホルヴァートを聴いた。ドビュッシーの「イベリア」「海」「牧神の午後への前奏曲」。オケはこちらもオーストリア放送管。
ホルヴァートの解釈には木管の扱いに独特の個性があり、「イベリア」では通常聞こえてこない内声部を強調、さらに微妙にテンポを揺らしながら弦楽器に木管が絡みついている。
「海」は輪郭をはっきり強調したいくぶん線のきつい演奏だ。

もうひとつショスタコーヴィチの演奏も聴いてみる。60年代初期のフィリップスのLPで、交響曲第9番とピアノ協奏曲第一番のカップリング。ピアノはS.ラディチという人が弾いている。オケはザグレブフィル。

P1010818 いくぶんやっつけ仕事のようなドビュッシーに比べ、こちらは練りに練った名演。交響曲では頓知の効いた遊びも欲しい気もするが、これだけきっちりした演奏もそう多くはない。

ピアニストは初めて聴く名だが、輝かしいテクニックと詩情豊かな歌心を持ち合わせている優れた人だ。ユーゴ崩壊以前のザグレブフィルの水準も高く、第2楽章終盤でピアニシモの中のヴァイオリン群のバランスなど絶妙。
続く第3楽章の煌びやかなピアノとの対比も見事なもの。

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2007年3月23日 (金)

ホルヴァートのバルトーク

年度末を迎えて仕事は待ったなしの状態、新年度の人員配置や仕事の分担決めなど頭の痛い問題の山積みだ。

P1010811_1 家の中でも、新たな学校生活を迎える娘達の部屋を確保するため自分の部屋を明け渡す。家具や机の移動、音盤の片付けなどなかなか忙しい。
一部屋明け渡したために、極限まで増殖してしまったLPの収納場所に困ってしまった。とりあえず今ある壁面の棚の上にもう一段分増設して箱物LPを並べることにしたが、脚立を部屋に持ち込む大掛かりな作業となってしまった。なんとか載せたものの木製の棚が重量に耐えられるか心配になってきた。結局、苦労して載せた大部分のセット物を他の場所に移すという間抜けなことになってしまった。

372 CDはお手上げだ。フラッシュディスクランチを購入して全体のボリュームを縮小する手もあるが、コストがかかるのと薄くなった分お目当てのCDを探すのに苦労しそうだ。とりあえず分類して透明の衣装ケースに入れておくことにする。

P1010812 今日はミラン・ホルヴァートのバルトークを聴く。PILZ系の音源で、10年ほど前までは駅売りCDのワゴンセールでよく見かけたポイントクラシックスの1枚。オケはオーストリア放送管、「管弦楽のための協奏曲」と「中国の不思議な役人」のカップリング。録音はいつの頃かわからないがオケコンは古そうだ。

ドロドロとしたミステリアスな雰囲気をうまく出した「中国の不思議な役人」が名演。終曲の狂気を孕んだ熱狂ぶりも見事なものだ。

オケコンは、肉厚の鉈でバサリバサリと断ち切るような凄みを漂わせた第一楽章と深い憂愁を漂わせた第三楽章が良い、フィナーレはもう少しパリッとした切れ味が欲しかった。オケの反応も今ひとつ物足りない。

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2007年3月21日 (水)

ミュンシュとカサドシュのダンディ

春分の日の今日も一日仕事となった。家内と娘達は東京へ買い物に出かけている。

今日はダンディの「フランス山人の歌による交響曲」。
実演で接する機会の少ない曲で、20年ほど前にサッカーニ指揮の読売響の演奏を聴いたぐらいか。録音の数は少いが、モントゥー、ミュンシュ、クリュイタンス、パレー、フルネといったフランス音楽界の巨匠たちの録音が揃っているので、充分なほど。

P1010797_1 今日聴いたのは、カサドシュのピアノ、ミュンシュ指揮ニューヨークフィルによる米コロンビア盤LP。カップリングはフランクの交響的変奏曲で、こちらはウエルドン指揮のフィルハーモニア管。
一気に突き進むミュンシュのストレートな指揮とカサドシュの輝かしいピアノが渾然一体となった実に見事な演奏。

P1010798 ミュンシュのボストン響との再録音も聴いてみた。冒頭の絶妙なテンポの揺れに乗りながら歌う詩情豊かなコールアングレ。旧盤よりもふくらみと柔らかさを加えたミュンシュの指揮が素晴らしい。だが続くアンリオ・シュヴァイツァーのピアノがオケの雄弁さに比べていかにも弱い。交響曲とはいえ実質ピアノ協奏曲のこの曲でこれは痛い。

P1010799 カサドシュのステレオ再録音はオーマンディ指揮のフィラデルフィア管によるCBS盤。
オーマンディは相変わらず達者な伴奏ぶりだが、ミュンシュを聴いた後では物足りない。ミュンシュと再録音して欲しかったと思う。

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2007年3月20日 (火)

クライバー、NBCレコーディングス

花粉症は小康状態だが、どうも集中力に欠ける日々。マンネリ化した仕事がミスを誘う。今日は下の娘の小学校の卒業式だが、残念ながら仕事のため出ることができない。

682k ここのところAndromedaから出ているCD3枚組、E.クライバーNBCレコーディングスを聴いている。
ベートーヴェンの「運命」、ウェーバーのピアノのためのコンチェルトシュトック、シューベルトの第3,5番、ワーグナーの前奏曲集やチャイコフスキーの交響曲第4番、「マ・メールロワ」など1946年から48年までのNBC響を振った放送録音を集めたもので、ピアノ独奏はC.アラウ。

放送録音からのCD化ということだが状態にばらつきがあり、特にベートーヴェンは不安定、チャイコフスキーもラジオの混信のようなアナウンスと、ジャズバンドの演奏が微かに聞こえてきたりしている。
だが、どの演奏も息子カルロスにも共通する生命力に溢れ躍動感に満ちた優れたものだ。

1枚目はアラウの弾くウェーバーが良い。艶の有るファンタジーに満ちたアラウのピアノにぴったりと付ける見事なクライバーの伴奏。
チャイコフスキーも大胆なルバートと意表を突くテンポの変化を聴かせながらオケを壮大に鳴らしきった豪快な名演だ。第一楽章が終わったところで盛大な拍手が自然に沸きあがっている。

深い情感を漂わせたラヴェルの「マ・メールロア」組曲の純音楽的な演奏も良い。録音が良ければクリュイタンス盤と双璧の名演だ。
格調高い「ウィーンの森の物語」では、ツィターソロの部分にアコーディオンかグラスハーモニカのような不思議な音がかぶって聴こえてくるのが珍しい。

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2007年3月19日 (月)

大地讃頌

今日は娘の中学の卒業式。午前中休暇を取り、家内と式典会場の体育館へ向かう。私の母校でもあるこの中学校、かつて自分が学んだ校舎は取り壊されて今はない。

この体育館が唯一当時から残る建物だが老朽化が進み、天井の雨漏りの染み、踏み抜かれた床の修理の痕が痛々しい。今日はさらに気温が下がり、広い体育館は底冷えのする寒々しさだ。

式典は滞りなく進み、最後に卒業生全員による佐藤真の「カンタータ土の歌」から「大地讃頌」が歌われた。
目を真っ赤に泣きはらした男子生徒の指揮で歌う生徒達。あちらこちらで聞こえるすすり泣きの声。
この曲は今や卒業式の定番だそうな。ちょっとジーンと来ましたね。名曲です。

式典終了後急いで帰宅し、先週の大チョンボの最終詰めのため、そのまま職場へ直行。なんとか目途もつき今日は早めに帰宅しました。

P1010797 そんなわけで今日は「大地讃頌」。
まず岩城宏之指揮のN響と東京混成合唱団による日本ビクター盤LP。1967年録音。
当初小澤征爾の指揮でレコーディングされるはずがN響事件のため両者が不仲になり、岩城宏之の指揮となったいわく付きの録音。

ところが一緒に聴いていた娘が、ちょっと違うねと言いはじめた。解説を読みなおすとこの録音は大編成オケによる初版の録音で、後に調を変えピアノ伴奏のために書き直したとの作曲者自身の解説。

B000b84pmk01_aa240_sclzzzzzzz_ なるほどと納得して、CDでもう一度聴き直し始めると娘曰く、この録音はピアノ版と調が同じ。だそうだ。???
不覚にも先ほど聴いたLPをCD化したものだと今まで思い込んでいたが、全然違っていた。合唱団は同じだが良く見るとオケは東京交響楽団。
どうやら編成を絞り込み、調をピアノ版と同一とした改訂版で岩城宏之は再録音をおこなっていたらしい。

自分の好みでは、いくぶん荒削りなところが魅力の初版。

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2007年3月18日 (日)

金聖響&シエナのA.リード

今日からお彼岸、天気も良く午前中は家族と墓参り。その後、娘達の勉強部屋用に自分の使っていた部屋を明け渡すため、不要となった書籍の区分けを始める。
が、無意識のうちに手に取った本をどうしても読み始めてしまう。2~30年前に読んでしまった黄ばんだ文庫本など、再読する可能性は極めて低いはずなのに、いまだに捨てられない。

夜は高校時代の吹奏楽部OB会の打ち合わせ。毎年夏に開催されるOBバンド演奏会の選曲会議だ。
事前におこなったOBを対象としたインターネット投票では今年は、一昨年亡くなった吹奏楽界の巨匠、A.リードの名作。「アルメニアン・ダンスPart1」ダントツの一位。昨年テレビで放送されたN響の演奏の影響が大きいようだ。結局この曲を中心とするプログラムとなった。

B000ewbs6y01_aa240_sclzzzzzzz_ 帰宅後、金聖響&シエナウインドアンサンブルによるリード追悼演奏会のライヴを聴いてみた。この曲はリードの自演をはじめとして沢山の音源が出ている。
この演奏会は全てリードの作品のみという、演奏する側にとって相当キツそうなプログラム。各曲の平均水準は高いが、全体にどうも冷めているような印象だ。
中ではパイプオルガンも加わった「アレルヤ!ラウダムス・テ」と「シンフォニック・プレリュード」が団員の作曲者への追悼と、熱い思いが自然と伝わり泣かせる演奏だ。

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2007年3月17日 (土)

バッハの息子たちによる室内楽

昨晩からの雨はお昼には上がり、よい天気となった。本日は終日仕事。
昨日判明した失敗のフォローは今日一日でほぼ目途がついた。
明日はゆっくり休めそうだ。

P3020789 今日はバッハの息子たち4人の室内楽作品を集めたアルバムを聴く。先日東京で購入した米MACEのLPで、ウィルヘルム・フリーデマン、カール・フィリップ・エマニュエル、ヨハン・クリストフ・フリードリッヒ、ヨハン・クリスチャンの4人の室内楽作品を集めたアルバム。

演奏はフルートのツェラー、オーボエのコッホ、ヴァイオリンのブランディスといったベルリンフィルの看板奏者たちにチェロのベッチャーなどが加わる。どうやら独エレクトローラ原盤らしい。

曲はフルートとオーボエを中心とした室内楽曲。いずれも個性豊かな佳品で演奏も素晴らしい。
生前の作曲家としての名声の高さでは末弟のヨハン・クリスチャンだが、今日聴いた中では、バッハの息子の中で最も個性に欠けるとされる長兄のW.Fの作品が一番聴き応えがあった。
あの大バッハの才能の片鱗が、チラホラと顔を出しているように感じるのは私だけだろうか。

P3120803 もうひとつはロジェストヴェンスキーのグリーグ。
「ペール・ギュント」の2つの組曲と「抒情組曲」とのカプリングで、メロディア原盤の独オイロディスク盤。
大編成のオケによるワーグナーのようなグリーグ。

実際に演奏してみるとグリーグのオーケストレーションは薄いところがあり、それがある種清楚で純な雰囲気を感じさせる大きな魅力にもなっているのだが、このロジェストヴェンスキーの「ペール・ギュント」は厚い響きの壮大な音の叙事詩と化している。

「抒情組曲」でも、ロジェストヴェンスキーはかなり譜面に手を加えているようだ。



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2007年3月16日 (金)

モントゥー、ベルリンフィルのペトルーシュカ

ここ数日いやな予感がしていたのだが、仕事上で大トラブル発生。遠因は昨年自分が作製した予算案にあることが判明し午前中ほぼ対応に追われる。
しばらく落ち込んだものの、職場近くのラーメン屋で定食を食べているうちに絶妙な解決策が頭に浮かび元気になった。開き直りの境地だがくよくよしても始まらない。

P1010805 今日はモントゥーのペトルーシュカを聴く。スタジオ、ライヴを合わせて複数の録音があるモントゥーのペトルーシュカだが、今日聴いたのはベルリンフィルの1960年ライヴ。裏青のブートレグ盤。モノラルだが録音は良い。カップリングは「レオノーレ序曲第3番」とR.シュトラウスの「ティル」。

老モントゥーの気合充分、若々しい推進力に満ちた燃焼度の高い名演。
謝肉祭の場で1番ホルンと2番ホルンが大幅にずれていたり、トランペットが落ちたり飛び出したりと事故多発状態だが、当時のベルリンフィルにとってペトルーシュカは珍しいレパートリーだったのかもしれない。すぐに思い浮かぶのはストコフスキーとの録音ぐらいだ。

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2007年3月15日 (木)

本日の練習、ブラ4、第3楽章

ここ数日寒くなってきた。本日、本年度最後の重要な会議が無事終了。平成18年度もあとわずかだが、なにやら最後に波乱が起きそうな予感。

今日は横島先生の指揮。これから本番まで毎回来てくれるらしい、ありがたいことだ。

練習会場の文化センター小ホールでは「戴冠式」の練習が始まっている。正直なところこの曲は食傷気味。「戴冠式」という標題のため知名度抜群の曲だが、私見ではモーツァルトの20番以降のピアノ協奏曲群の中で最も聴き劣りがする曲だと思う。今日も客席で眠りこけてしまった。

後半はブラ4の第3楽章中心とした練習。
横島先生のブラームスは、譜面にないアクセント、クレシェンドの指示が多く、ドラクロアの絵画のような原色的で味付けの濃い個性的な解釈のようだ。

P1010804_1 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの第4番を聴く」の第5回をアップしました。
今回は、ブラームスの権威と呼ばれたマックス・フィードラーの重厚な演奏。

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2007年3月14日 (水)

マタチッチのブルックナー、交響曲第8番

年度末になり仕事の密度も上がってきた。団塊の世代の大量退職を控えて、4月の人事異動は大規模なものになりそうだ。

今日聴いたのはマタチッチ来日時のブルックナー。N響を振った交響曲第8番で1975年のNHKのライヴ収録音源からAlitusがCD化したもの。

P3110798 当時FMでこの演奏の生中継を聴いて圧倒されたのをよく覚えている。
特にフィナーレ終結部で、オルガンの重低音のような重厚な響きに乗って、全ての楽章の主題が同時に鳴り響く瞬間の凄さは今でも忘れられない。

久しぶりに聴いてみると、ライヴ特有の演奏の傷が散見される中に、マタチッチならではの巨大なブルックナーが鳴っている。
だが、このCDには放送当時聴かれた熱さがあまり感じられない。リマスターでスポイルされたものがあるようだ。

P1010804 1984年の最後の来日時の演奏にはCDとLDが残っている。LDで出ていた「N響マエストロシリーズ」で第4楽章のみ視てみる。

やはり映像の威力は大きい。演奏の熱気、マタチッチのオーラがN響を包み込む様子がよくわかる。終結部で、最初に遠くからマタチッチを捉え、音量が増していくにつれて次第にアップしていくカメラワークも秀逸。

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2007年3月13日 (火)

武満徹、水の風景

腰痛は小康状態。良い気分で出勤したところ一大トラブル発生。

職場のコンピューターシステムが朝から完全に止まっている。CPUがパニックを起こしたらしくメインサーバーのディスプレイになにやら長文のエラーメッセージがずらずらと並んでいる。
土曜日に作業をおこなった担当SEに連絡を入れ、直ぐに来て欲しい旨を伝えたがどうも要領を得ない。さすがにこちらも切れて彼の上司に強行に申し入れる。ようやく重い腰を上げたが、静岡からだと新幹線を乗り継いでも一時間はかかるだろう。沼津の営業担当やCEも駆けつけるが、全くお手上げ状態だ。

結局小一時間ほどでシステムは立ち上がったが原因が判らない。CPUのトラブルのためログも取れていないとの事。どうも納得がいかない。
結局この朝の躓きが終日たたり、今日は疲れた。

P3090784 今日聴いたのは、武満徹の「水の風景」というアルバム。BMGビクターから出ていたCDで、「ア・ウエイ・アローン」「ブライス」「雨の樹」「海へ」の水にちなんだ室内楽作品4曲を集めたもの。演奏はヴァイオリンの数住岸子、チェロの山崎伸子、フルートの小泉浩、打楽器の山口恭範ほかの実力者揃い。

雨の雫、川の流れ、そして海。絶えず姿を変え、流動する水の姿を見事に音化した名曲の数々。無重力状態の中を静かに浮遊するような不思議な静けさと安らぎを感じさせる名アルバムだ。

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2007年3月12日 (月)

モリスのマーラー、交響曲第10番

本日、天気晴朗なれども波高し。昨晩からの冷たい強風は終日止まず。娘の学校ではインフルエンザが流行りはじめたらしい。

昨晩から僅かな兆候があったのだが、早朝腰の痛みで目が覚める。何が原因かよくわからないが辛い週明けとなってしまった。今日は朝から重要な会議があるので、休むわけにはいかない。 
なんとか歩けるので冷蔵庫に保管してあった腰痛の痛み止めを飲んで出勤。横目で見た朝のテレビの本日の運勢では、おうし座は最悪の運勢となっている。「当たったな。」

油汗を浮かばせながらの会議はなんとか乗り切ったが、ここらでちょっと限界。仕事を午前中に終わらせ、病院に寄りながら帰宅。

P3120802 帰宅後音楽部屋でしばらく横になりながら聴いたのは、一番近くにあったマーラーの交響曲第10番のデリック・クック第3稿による全曲盤。
演奏はこの版の初演をおこなったモリス&ニューフィルハーモニア管によるフィリップス2枚組LP。CDでも復刻されているが第4楽章最後の大太鼓が欠けているという。

この曲にはラトルの演奏のような強烈な録音もあるが、曲への深い共感からマーラーの他の交響曲と違和感なく聴けるこのモリスの演奏も実に良い。特に第4楽章から第5楽章にかけて大きなカーヴを描きながら音楽が次第に高揚していくのが圧巻だ。

P3120801 もうひとつはR.シュトラウスの「英雄の生涯」、ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるフィリップス盤LPでハイティンク40代の1970年録音。
奥行きの有る素晴らしい録音が、コンセルトヘボウ管の柔らかで豊麗な美しい響きを見事に捉えている名録音。

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2007年3月11日 (日)

ジャノーリのショパン

昨日から家族と南伊豆一泊の旅。道路の混雑もなく天城峠も無事通過。例年河津桜の観光客で賑わう河津川のほとりも、今年はすでにほぼ葉桜状態だ。

P3100785 途中休憩で立ち寄った河津バガテル公園もシーズンオフのため閑散としている。
鈴なりに成っているプラタナスの実を見て、この木がスズカケノキ科の植物であったことを妙に納得。

P3100786 目的地の弓ヶ浜には15時到着。以前ここに来た時は下の娘がちょうど歩き始めの頃だった。美しい砂浜を韋駄天のごとく走っていた娘も今年は中学生。当時傍らで嬉しそうに孫の走る姿を眺めていた父は既に亡い。
ちょっぴり感傷的になりつつ、すぐ傍の国民休暇村へチェックイン。
温泉にゆっくり漬かり、夜は伊勢海老付きバイキング。
明けて本日は、ゆっくり伊豆西海岸をドライヴし帰宅。忙中閑有り、久しぶりの命の洗濯。

P3110797 宿で聴くために今回持参したCDは、若き日のミケランジェリが弾く52年、53年のライヴから、スカルラッティの3つのソナタ、モーツァルトの協奏曲第13番、ラヴェルのト長調の協奏曲というもの。モーツァルトはM.ロッシのRAIトリノのオケ、ラヴェルはマルケヴィッチの指揮する聖チェチーリア音楽院管による伴奏のTahraのCD。

録音は並以下、特にモーツァルトは悲惨な状態でミケランジェリ独特の音色はほとんどわからない。だが、ラヴェルで聴かせる一秒間に収まる音の数まで計算され尽くされているかのような、精密無比なトリルはとても人間技とは思えない物凄さだ。
聖チェチーリアのオケの水準は、トランペットやファゴットのソロなどに危うい箇所が散見されるが、マルケヴィッチの引き締まった棒に救われている。

P3110799 もうひとつコルトーに学んだフランスの女流ピアニスト、レーノ・ジャノーリの弾くショパンの2つの協奏曲。Accoordのコレクションシリーズ中の一枚で、伴奏はセバスチャン指揮によるバーデンバーデンの南西ドイツ放送響。
テンポを大きく揺らし、音楽に深くのめりこんでいく自己陶酔型の演奏。美しい音色は良いが人によって好き嫌いが分かれそうだ。

テクニックはミケランジェリを聴いた後では、大きく聴き劣りがする。

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2007年3月 9日 (金)

G.アンダのラフマニノフ

今週はちょいと疲労気味。仕事を定時に終え職場近くの居酒屋で上司と軽く一杯。こりゃ典型的な中年サラリーマンの図だな。おかみさん手作りのメンチカツとイルカの味噌煮が美味だった。

P3090783 帰宅後聴いたのは、ここのところ立て続けに聴いているラフマニノフ。
ゲザ・アンダの弾くピアノ協奏曲第2番の米コロンビア盤モノラルLP。バルトークやモーツァルトの名演で知られるアンダだが、この録音は忘れ去られているのだろう。CD化される気配もない。

肩の力の抜けた自然体のラフマニノフ。柔らかな響きで叙情的に仕上げた好演。名匠ガリエラの伴奏がまた見事なものだ。

P3090782 そしてベームの指揮するウィーンフィルによるハイドンの交響曲第92番「オックスフォード」。D.Gの独盤LPで91番とのカップリング。巨匠の貫禄充分のデラックスな演奏。

明日から家族を引き連れ南伊豆へ小旅行。今年はイセエビが豊漁とかで期待できそうだ。

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2007年3月 8日 (木)

モスクワのジャニス

昨晩よく眠れず、花粉症の影響もあり頭の重い一日となってしまった。

P3080808 今日もバイロン・ジャニスの演奏をいろいろと聴いてみた。最初はアメリカのマーキュリーの録音陣がモスクワに乗り込んで録音をおこなった「ジャニス・アンコール集」。

リストやシューマン、ショパン、ファリヤなどのジャニスが好んでアンコールで弾いた小品を集めたアルバムで、手持ちの音盤はマーキュリー音源による国内盤LP。黒光りする鋼のような打鍵を武器にバリバリと弾きまくる痛快無類の快演集。

P3080809 そして「20世紀の偉大なピアニストたち」CD100巻セットから、第51巻「ジャニス編その2」、ラフマニノフの2番、チャイコフスキーの1番の協奏曲。いずれもマーキュリー音源で、ラフマニノフはドラティ&ミネアポリス響、チャイコフスキーはメンゲス&ロンドン響。

いずれも達者な演奏だが、どれを聴いても同じように聴こえてしまう。チャイコフスキーの第2楽章で不覚にも眠ってしまった。

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2007年3月 7日 (水)

ミンドゥル・カッツの月光

火曜の朝から寒くなってきた。今日も天気は良いが風は冷たい。
ここのところの仕事は多忙でありながらも順調に推移していたのだが、昨日は予期せぬトラブルのため、オフィスから離れるのが11時過ぎになってしまった。
責任のある立場の人の根拠のない全く不用意な発言から、多くの人に影響を及ぼす大事件に発展。なんとかその日のうちに解決はついたが、そんなこともあり昨日は音楽を聴いていない。

P3070807 今日は、ルーマニアのピアニスト、ミンドゥル・カッツの弾くベートーヴェン「月光ソナタ」を聴いた。Pye原盤のLPでカップリングはバルビローリの伴奏による「皇帝」。
鋼鉄のような冴えたタッチと、透明な抒情の漂う素晴らしい演奏だ。多少音楽に冷たさを感じさせるが、数ある「月光」ソナタの中でも良く取り出す好きな録音。

P3020788 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」に記事をアップしました。
今回はアーベントロート&ロンドン響によるこの曲の初録音。

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2007年3月 5日 (月)

ジャニスのラフマニノフ

曇りのち雨、低気圧の通過に伴い夕方から風雨強し。今日はPTAの新旧役員顔合わせの日。仕事を終え横殴りの雨の中を学校へ車を飛ばす。

会議室には70名ほどの各地区代表が集まり熱気ムンムン状態。新旧本部役員の自己紹介を済ませさっさと議事を進行。終了後別室で本部役員のみの今後の打ち合わせをおこなう。
結局欠員1名のまま来年度へ向けての船出となった。だが自分としては通常の任期よりも一年余分に役員に残りベストは尽くしたつもりだ。後事は新役員に託すことにしよう。
帰宅は11時近くになった。

P3050808 今日はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いた。アメリカのバイロン・ジャニスの弾くピアノにミュンシュ&ボストン響が伴奏を付けている国内盤CD。RCAへの1957年録音。
ジャニスは後にマーキュリーに再録音を行っている。ラフマニノフを得意としていて、第1番、2番の録音もあったはずだ。

冒頭から異様な速さに驚かされるた。アシュケナージが18分台、ワイセンベルクが17分台で演奏している第一楽章を14分38秒で飛ばしている。
聴き始めは、よくわからないままスルスルと音楽が進行してしまっていたが、やがて輝かしい音と良く回る指に爽快な気分になってきた。火吹き系の熱い伴奏を付けているミュンシュの伴奏も良い。

それにしても凄まじいまでの強烈な打鍵だ。これでは手を痛めて、早くに引退を余儀なくされたのも無理はない。

P3050807 次にラフマニノフ自身の演奏も聴いてみた。こちらはオーマンディー指揮のフィラデルフィア管の伴奏による1939年録音。ピアニストとしても巨人だったラフマニノフの自作自演。目の前に立ちはだかるような巨大な音楽にただただ圧倒されるのみ。
ところが、これがジャニスのテンポに極めて近いのだ。第一楽章13分56秒。

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2007年3月 4日 (日)

A.ヤンソンスのチャイコフスキー

暖かで穏やかな休日。午後から修理に出していた娘のミニコンポを引き取りに家族を引き連れコジマ電気へ行く。3月、4月は家電販売店にとって書入れ時なのだろう。店内は非常に混雑、レジには長い行列ができている。

CDのピックアップ交換で修理代1万300円也。もともと地域振興券(何年前のことだろう)で買った安物で新品を買うという選択もあったのだが、便利な機能満載で、昨年の金子建志先生とのレクチャーでも大活躍したもの。まだまだ活躍する機会もあるだろう。
帰りには、近くに新しくできた回転すし屋で早い夕食。

P3040805 帰宅後聴いたのはAltusから出ているA.ヤンソンスのチャイコフスキー。1970年7月1日大阪フェスティバルホールでのライヴでオケはレニングラードフィル。アンコールとして「白鳥の湖」の情景が演奏されている。
情熱的でロマン溢れる名演。オケの底力を存分に引き出し、骨太で雄大にまとめあげた見事な演奏だ。

先日ディスクユニオンで購入したLPから2枚。
P3040803 ひとつはヒンデミットの「吹奏楽のための交響曲」と「弦楽器と金管楽器のための演奏会用音楽」のフィルハーモニア管によるヒンデミット自作自演米セラフィム盤。
優れた指揮者でもあったヒンデミットの確信に満ちた指揮と、フィルハーモニア管の管楽器の名技を楽しむ一枚。

P3040804 そして、女流ピアニスト、E.ファナルディが弾くバルトークの「子供のために第一集」。ウエストミンスター原盤の日本コロンビアLP盤。
バルトークに師事したこともあるファナルディ。ハンガリー民謡を素材にした平易で簡素な曲を愛情豊かに一音一音丁寧に弾いている。聴いていて自然と心休まる名演。第二集も聴きたくなった。

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2007年3月 3日 (土)

アルバン・ベルクSQのベートーヴェン

今日は雛祭り、とはいえ一日仕事となった。朝から気温はぐんぐん上昇、4月上旬の陽気だという。午後のオフィスは暑くなり、窓を開けての仕事。

P3030802_1 本日はアルバン・ベルクSQのベートーヴェン。1983年に完結した全集から第14番を聴いた。
緻密なアンサンブルの中に、ウィーン風の典雅さとベートーヴェン晩年の厳しさと深さの絶妙なる共存。まさに名盤中の名盤。

P3030801_1 もうひとつはT.ビングレー率いるアーリーミュージック・クアルテットによる「カルミナ・ブラーナ」。
こちらは愉快でお気軽な中世世俗歌謡の世界。


P2250785_1 沼響のHPの聴き比べコラム、「ラフマニノフの2番を聴く」第45回をアップしました。
今回はNAXOS初期の看板?指揮者だった、ステファン・ガンゼンハウザーの演奏。

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2007年3月 2日 (金)

ヘルマン・ゲッツの交響曲

暖かな一日、このまま春になりそうな雰囲気だが、職場ではここ一週間の激しい気温の変化に体調を崩す者も出てきた。今日は夜遅くに帰宅。明日も仕事だ。

昨日、久しぶりに御茶ノ水ディスクユニオンと渋谷レコファンに寄ってみた。スケジュールの都合で当初レコファンだけの予定だったのだが、ディスクユニオンのメール会員は本日10%引きだということで、プリントアウトしたメール持参でお店に入る。

ここ数年あまりめぼしい出物はなかったのだが、今回は比較的充実。特に700円前後のものに面白いものがあった。

P3020794 P3020798 ブラームスの同時代のヘルマン・ゲッツの交響曲と序曲集、米genesis盤。これは指揮のルモールテルに引かれて購入。
ヒンデミットの20年代舞台音楽集、米candide盤。指揮はA.グリューバー指揮するベルリン響。

P3020795_2 P3020790_1 バリトンのJ.ジャンセンの歌うフランス近代歌曲集、英ロンドン盤。伴奏はボノーとランパルのフルートとジャンドロンのチェロ。

そしてノエル・リーのステレオ初のドビュッシーピアノ曲全集から「子供の領分」「アラベスク」ほかの仏ヴァロア盤。これは今回ユニオンで買った唯一の1,000円を超える盤。

P3020793 P3020796 P3020792 E.クルツが指揮する「ナポリ湾から」というレクオーナやアルベニス、グラナドスの軽い舞曲ばかりを集めた米コロンビア盤。420円以下コーナーからはフェレンチクの指揮するオペレッタ序曲集フンガトロン盤とブルメンタールの弾くフィールドとフンメルのピアノ協奏曲ユニコーン原盤による日本コロンビア盤などなど、それにレコードクリーニング用のバランスウォッシャー液を加えて全て1割引き。

Beam4 渋谷レコファンはほぼ一年ぶりの訪問。エレベーター前の百円均一ジャンクコーナーは健在だが、なぜかクラシックが少ない。お店の中に入ってみると、クラシックの百円盤のみクラシックコーナーに別置してあった。だが今日は欲しいものはない。

ここはユニオンほど荒れていないので、小まめ探せばまだ面白いものを廉く見つけることができる。
P3020800 P3020797 380円コーナーからは、デ・カーヴとデルモットのジョリベのコンチェルト集、デユクレテ・トムソン原盤による東芝盤。伴奏はE.ブールのシャンゼリゼ劇場管。
ラヴィエ指揮パリ器楽アンサンブルによるA.スカルラッティのシンフォニア集。他に英国コールドストリームガーズによるホルスト、ヴォーン・ウイリアムズによるミリタリーバンドのための名曲集2枚組。

P3020799 P3020791 そしてSchoenfield Duoによるコダーイ、ハイドンのヴァイオリンとチェロのための二重奏曲、米オリオン盤。これはジャケ買いです。
高めなところでは芥川也寸志の「エローラ交響曲」、團伊玖磨の「交響曲」。ストリックランド指揮するインペリアルフィルによる東芝赤盤1,490円也。

他にスコダの弾くモーツァルト初期作品集など、久しぶりに沢山買ってしまいました。

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2007年3月 1日 (木)

オルセー美術館展

今日から3月。所用で上京したついでに上野の東京都美術館で開催中の「オルセー美術館展」に行った。ところが、会場は入場制限中で長蛇の列。長身の男性が最後尾でプラカードを掲げている。なんとそこには50分待ちの文字が・・・  orz
平日は空いていると思ったのだが、やはり印象派は人気があるということか。

やっと入場したもののなかなか前列に辿りつけない。さすがに世界屈指の印象派コレクションを誇るオルセーだけあって、マネ、モネ、ルノアール。そしてドガ、ゴッホ、ゴーギャンなどの超有名画家の作品がずらりと並ぶ。
今回は、いわゆる超有名な作品は来てないようだが、本物の重みと存在感は充分に伝わってくる。
Photo_02 モネの連作ルーアン大聖堂は、よくレコードジャケットに使われていた。
Se015s_1ーラの絵を見ているとき、この絵が一枚部屋にあるだけで部屋の雰囲気が一変するだろうなぁ。
などと思いミュージアムショップで複製を眺めてみたが、やはり本物の持つオーラは感じられない。

美術館を後にし、御茶ノ水ディスクユニオンと渋谷レコファンへちょいと顔を出す。購入音盤と詳細は明日書きます。

職場に顔を出した後、オケの練習会場の文化センター小ホールへ直行。今日は横島先生とのブラームス初練習の日だ。ちょうど「悲劇的序曲」の棒を先生が振り下ろす寸前で間に合い滑り込みセーフ。まずは序曲とブラ4全曲を通す。
先生のブラームスの熱い思いが伝わってくるが、まだまだ道のりは遠い。

第一楽章の冒頭を何度も何度も繰り返す。この開始部分が全曲の出来を左右するとも言われているのに何度やってもうまくいかない。ブラームスは甘くない。これから本番までの試行錯誤が続く。

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