クレツキのマーラー「巨人」
ここのところ朝と昼間の寒暖の差が大きい。毎日毎日仕事の雨あられ、バサリバサリと処理したいところだがなかなか一筋縄ではいかないことばかり。
HMVからCDが届いた。中身はルーセルの室内楽全集ブリリアント盤CD3枚組とクレツキ&イスラエルフィルによるマーラーの交響曲第1番「巨人」、第9番。
DOREMIから出ている1954年録音のモノラルCD2枚組だ。
ルーセルは2曲のヴァイオリンソナタその他の渋い内容。演奏者は、ヴァイオリンのカントロフ以外は馴染みのない顔ぶれ。
クレツキのマーラーは待望の復活だ。そもそも自分が初めて聴いたマーラーの交響曲がクレツキ&ウィーンフィルの「巨人」だった。東芝セラフィムの千円盤で、ウィーンフィルの豊麗なホルンの響きに痺れて毎日飽きもせずに聴いていたものだ。
惜しむらくはフィナーレの終盤で20小節余りの大カットがあり、これは大きなマイナス。この演奏が完全に刷り込みなっていたために、後に他の普通の演奏を聴いた時に仰天したものだ。
このイスラエルフィル盤でも、そのカットの有無が最大の関心事だったのだが、残念ながらウィーンフィル盤と同じカットがあった。どうやら第9番の第2楽章にもカットがあるらしい。
この二つの「巨人」を聴き比べてみたが、イスラエルフィル盤が断然良い。
指揮者とオケが楽しみながら嬉々として演奏しているのがよくわかる。音楽の自然な流れが実に心地よい。
ウィーンフィル盤はステレオでもあり、ウィンナホルンの音色は魅力的であるものの、どこかよそよそしさが感じられる。ワルターが去って以来、この頃のウィーンフィルからは、マーラー演奏の伝統は完全に失われてしまっていたようだ。
後にバーンスタインがウィーンフィル客演し初めてマーラーを取り上げた時、マーラーの作品に対するオケのあまりの抵抗の大きさに失望したというエピソードを思い出した。
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