« 2007年4月 | トップページ | 2007年6月 »

2007年5月に作成された記事

2007年5月30日 (水)

エッシェンバッハのシューベルト

曇り後午後一時激しい雨。本日外部から今日一日のみの3人の研修生を迎える。自分は研修担当となってしまい、レクチャーと職場の紹介でほぼ一日つぶれてしまった。
今年社会人になったばかりの新人達で、いずれも超難関の試験を経て採用されたエリートばかり。柔軟な思考と飲み込みの速さには驚いた。礼儀の正しさも立派なものだ。

P1010062 今日はエッシェンバッハの弾くシューベルトを聴いた。シューベルトの死の前年に作曲された「8つの即興曲集」が収録されたグラモフォンのLP。
瑞々しくも美しい演奏だが、どこかヒヤリとした冷たさも漂うシューベルト。


P1010061 もうひとつ、昨日イタリアSQで聴いたモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番をズスケ率いるベルリン弦楽四重奏団のLPで聴いた。柔らかで美しい音色で、渋さと哀愁も感じさせるモーツァルト。


P1010057_1 P1010058 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にシューリヒト&フランス国立放送管のライヴの感想をアップしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月29日 (火)

アスコーナのイタリアSQ

次々と寄せ来る仕事のハードルを毎日一つ一つ飛び越え続けている心境。高いハードルは迂回したいところだが、そうもいかぬ状況。体調が良いのをせめてもの救いとしよう。

P1010060 今日は、1968年アスコーナ音楽週間でのイタリアSQのライヴを聴く。AURA原盤の10枚組CDセット「Great Chamber Music」中の一枚。1968年9月10日、スイスのアスコーナでの記録で、モーツァルトの15番、ドヴォルザークの「アメリカ」と、ラヴェル唯一の弦楽四重奏曲というもの。この中のモーツァルトとラヴェルを聴いた。

甘く横に流れすぎのモーツァルトはあまり感心しなかったが、美しく歌い上げながら即興的なテンポの揺れを聴かせるラヴェルが良い演奏。躍動感あふれる第2楽章を聴いているうちに愉快な気分になってきた。

P1010059 1965年のスタジオ録音も聴いてみた。こちらはしっとり落ち着いた演奏、トロリとした甘い音色も心地よい。フィリップス音源の日本フォノグラムのLP。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年5月28日 (月)

ゼンハイザーのCX300

涼しい朝、寝起きにクシャミ6連発。花粉症はとうに終わったはずなのに変だな。

41a0yhkvmrl_aa280_ CDウォークマン用のイヤホンがいかれたので、AmazonでゼンハイザーのCX300というインナーフォンを購入した。完全密封タイプで外部の音はほとんど聞こえない。
半ば衝動買いだが、実際使用してみてあまりにもドンシャリなので驚いた。高音がきつくて、とても長時間の使用に耐えられない。

イヤーパッドはS,M,Lの3種類が附属していたが、どうやら私の耳の穴は標準よりも小さいらしい。Lではとても入らない。始めにSを使用していたが、試しにMに替えたら多少音に落ち着きが出てきた。エージングが進めば少しは聴けるようになるだろうか、しばらく我慢して使ってみることにする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月27日 (日)

チッコリーニのリスト

久しぶりの落ち着いた休日、天気も良い。午前中は吹奏楽部でパーカションを始めた娘とその友人3人を連れスネアドラムのスティックを購いに楽器屋に行く。娘達がスティックを選ぶ間、音楽雑誌や楽譜をしばらく立ち読み。

P1010055 帰宅後はスヴェトラーノフのボロディンを聴いた。メロディア原盤のビクターの国内盤LPで、交響曲第2番、「中央アジアの草原にて」「だったん人の行進」というもの。1966年録音。

交響曲冒頭の、長く伸ばした最初の和音からしてスヴェトラ節全開。オケを思う存分鳴らしたロシア的重量感溢れる怒涛の演奏。だが、どこか古臭さを感じるのは録音のためだけではなさそうだ。オケは非常にうまい。
A面最初の「中央アジア・・」の後半には譜面にないタンブリンが入るが、これは逆効果であまり趣味がよくない。

P1010054 続いてチッコリーニの弾くリストから巡礼の年第一年「スイス」全曲。サティやフランス物の演奏で名高いチッコリーニだが、当初はリストの演奏者として名を上げたらしい。
これはチッコリーニのリストとしては最初の録音で、華麗なテクニックと美しい音の極めて明晰な演奏。詩情にも不足しない名演だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月26日 (土)

ツィマーマン、ショパン・コンクールライヴ

良い天気となったが、降り注ぐ黄砂のため職場の窓から見える遠くの箱根の山々が霞む一日。昨日の雨の影響だろうか、早朝自分の足元を巨大な青大将が横切り仰天。

P1010053 今日は、ポーランドのピアニスト、クリスティアン・ツィマーマンのショパンを聴く。
1975年ショパンコンクールの入賞記念コンサートのライヴ録音で、手持ちはグラモフォンの国内盤LP。

曲目は、コンクールの一次、二次予選で弾かれた曲を中心に、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる円舞曲」を筆頭に、マズルカ、プレリュード、ワルツの数曲が並び、最後が「スケルツォ第4番」というもの。

隙のない輝かしい技巧と練り上げられた音色、そして瑞々しくも爽やかな抒情の漂う見事な演奏の数々に曲が最後まで終わらぬうちに熱狂的な拍手と歓声が会場から沸きあがっている。

来日の度に巨大な存在になってきた当時18才のツィマーマンの記念すべきデビューアルバムだ。

P1010047 P1010048 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にシューリヒトの演奏の感想をアップしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月25日 (金)

ネトレプコのラ・トラヴィアータ

本日朝から雨強し、夜になっても止まず風も強くなってきた。狩野川の水位が比較的早い時期から上がり始めた。上流の天城方面でかなりの降雨があったようだ。

仕事帰りに寄ったスーパーで、沼響創立当初にヴァイオリンを弾いていた元団員と久しぶりに会い、店内でしばらく立ち話。彼は隣町のアマオケに入っていたが訳あって昨年から退団状態とのこと、いろいろと大変なようだ。

383 今日はロシアの名花、アンナ・ネトレプコの歌う「ラ・トラヴィアータ」全曲DVDを視た。
2005年ザルツブルク音楽祭でのライヴ。かつてNHKでも放送され部分的には見ていた。

「ラ・トラヴィアータ(道を踏み外した女)」そのもののネトレプコの演技が光る一枚。女優としても充分やっていける恵まれたルックスと演技力。比較的太い声質は通常のヴィオレッタのイメージとは異なるが、自分としては好みのタイプ。

舞台背景を19世紀の社交界から、現代社会の身近な出来事に引き寄せた演出はシンプルで現代的。
セットも横長のザルツブルク祝祭劇場の舞台を有効に生かしたものだが、小道具は大きな時計とソファのみで、かなりの低予算。スーツを着た登場人物には好悪は分かれるだろう。

ネトレプコ以外の歌手は、力はあるがアンサンブルとしてのまとまりはいまひとつ。カルロ・リッツィ指揮のウィーンフィルは音楽の流れにうまく乗った雄弁な出来。日本語字幕も秀逸な訳。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月24日 (木)

アドリアンのメンデルスゾーン

今日は、メンデルスゾーンとシュポアのヴァイオリン協奏曲のフルート編曲版を聴いた。
演奏は、バイエルン放送響の首席だったトA.アドリアンのフルート、D.シャローン指揮のシュトゥットガルト放響による伴奏のorfeo版LP。

P1010051 メンデルスゾーンの編曲はハンブルクフィルのW.ポップ、シュポアはゲヴァントハウス管のC.G.ベルケという、いずれも19世紀半ばのオケのフルート奏者だった人。
メンデルスゾーンには、自身のフルート編曲版があったらしいとLPの解説には書いてある。

フルートで演奏すると高音部分が強調され気味となり、どうしても底の浅いものになりがちだが、アドリアンのドイツ風の落ち着いた音色が多少の救いとなっている。曲の印象としてはシュポアの方がよりフルートに合っていると思う。

P1010052 オリジナルのメンデルゾーンの協奏曲も聴いてみた。演奏はケネディのヴァイオリン、テイト指揮のイギリス室内管のEMI外盤CD。瑞々しく、自由闊達な素晴らしい演奏だ。

聴いているうちに、フルート版で感じた違和感の理由が判ってきた。ヴァイオリンのG線を使用した低音の深い響きをフルートで再現するのは不可能なのだ。モーツァルトがフルートを嫌っていた理由もそのあたりにあるのではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月23日 (水)

松浦豊明のベートーヴェン

よく晴れた清々しい一日、職場の冷房が少し肌寒い。
休暇を取った翌日いうことで、出勤直後の頭はボケ気味だったが、机の上は書類が山積み状態。朝からスパートしないととても片付かない。

P1010050 仕事の目途も付き、なんとか8時前には帰宅。
今日聴いたのは、日本ピアノ界の重鎮、松浦豊明のベートーヴェン。
研秀出版から出ていたEP2枚組「世界の名曲」シリーズ中のベートーヴェン編で、「月光」「悲愴」の二つのソナタに「トルコ行進曲」(A.ルービンシュタイン編)、「パイジェロの主題による変奏曲」というもの。

がっしりとした構成感が魅力の「悲愴」、美しい音で細部まで丁寧に練り上げた「月光」など、なみいる名盤に充分対抗し得る名演。二つの小品も手抜きのない風格に満ちた演奏。「変奏曲」は先日聴いたオグドンよりも良い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月22日 (火)

トルトウリエのフォーレ

定演も無事に終わったが、その前日の練習の最中に親友の御母堂の訃報が飛び込んできた。今月の半ばに見舞いに行ったばかりだったが、死期が真近に迫っているのを本人も、そして周囲の誰もが悟っていた。
昨日はお通夜、そして今日は仕事を休み告別式に出席。

彼とは幼馴染の同級生、さらに母親同士が同郷の同級生で嫁ぎ先も同じ町内。さらに父親同士も同級生ということで、幼い頃から家族同然の付き合いだった。
彼は、サッカーの世界では国内でその名を知らない人がいないほどの著名人となったが、幼い頃からの親しい付き合いはそのままだ。
そのような縁で私の母親が弔辞を読むことになり、昨日は明け方の3時まで原稿作りにかかってしまった。

P1010046 今日はフォーレ晩年の傑作、チェロソナタを聴く。
あまりにも厳しい世界の第1番は今日は聴く気分にならず、第2番を聴いた。演奏はトルトウリエがハイドシェックのピアノで弾いているEMI盤。トルトゥリエ2度目の録音だ。
透明で格調の高い純な世界。ナポレオン没後100年のために書かれた「葬送の歌」からの編曲だという第2楽章がことさら胸を打つ。カップリングはフォーレ初期の傑作「エレジー」。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月20日 (日)

定演終わる

よく晴れた爽やかな一日であるものの本日終日仕事也。

P1010044 昨日は朝から雷を伴った激しい雨となり、台風下の第20回定演以来4年連続の雨。だが午後から晴れてきた。

GPは2時から開始。毎度の事だがGPから本番までの時間の経過のなんとも早いことよ。GPは本番に備えてひたすら体力温存。
だがブラ4第ニ楽章の冒頭ホルンのユニゾンが、どうもうまく合わない。各自の曲に対するイメージが異なるようだ。
今さらさらってもどうしようもないので、とにかく3拍目の長さにお互い神経を集中することにして本番に臨むこととする。いわば背水の陣。

開場前の5時頃からホール前にはお客さんの列が出来始める。今回は前売り状況が全く読めない状況だったが、客の入りはまずまずといったところで800ぐらいは入ったようだ。
最初の「悲劇的序曲」は正直記憶に残っていない。どうもホルンの響きが後方に拡散しているようで今ひとつ居心地が良くない。

続く「戴冠式」は降り番のため客席で観戦。重厚なブラームスの後の、ギャラントで趣味の良い軽い響きに自然と客席もリラックス。どうやら今回のプログラムは絶妙な選曲だったようだ。安田先生のピアノは、練習の時に比べてかなり速いテンポ。安定したプロの味はさすがなもの。アンコールには、シューベルトの「楽興の時第3番」を弾いてくれた。こちらは比較的遅めのテンポの落ち着いた演奏。
そういえば昨年の海瀬さんのアンコールもラフマニノフの「楽興の時第4番」だった。

休憩の後、いよいよメインのブラームスの交響曲第4番。
横島先生の棒はリハーサルの時とは全く異なる即興的なもので、正直面食らった。自然と楽員の目は棒の行方に集中することになり、両者との間の緊張感が次第に増幅していく。

第1楽章など今までで一番遅いテンポだ。第2楽章冒頭ホルンはまずは良い出来。大きな事故もなくしだいに演奏は白熱していく。楽章間の客席の静けさがちょいと不気味。第3楽章からフィナーレにかけての随所で聞かれる先生のうなり声も凄まじい。

熱く濃厚な横島節のブラームスに楽員も客席も酔った一夜。

終演後簡単なレセプションをホールで済ませ、打ち上げは沼津駅前の「海人」。
早めに到着したメンバーは皆の到着を待ちかねて、乾杯の練習と称してビールを何杯も空ける。あぁ至福の一杯。

P1010040 沼響のHPの「ブラームスの4番を聴く」にワルターの最後の録音の感想をアップしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月18日 (金)

明日は本番

爽やかな朝、いよいよ明日は本番。今日は仕事を早めに切り上げホールへ急ぐ。
到着後、早速明日のステージの設営にとりかかる。雛壇を組み地下の倉庫から譜面台をステージへ上げる作業。こんなことを20年以上続けている。譜面台両手に何度も階段を往復するうちに息が切れてきた。

やがてメンバーが集まり始めた。練習はアンコールから開始して「悲劇的序曲」、ブラ4と続く。2時間の練習時間では一度通すのが精一杯。細かな部分で注文すべき点はあるが泣いても笑っても明日は本番だ。
自分としてはウォーミングアップ充分で、比較的調子が良い。余裕を持って到着したのが良かったようだ。

P1010037 帰宅後デンマークのオルガニスト、ウルリク=スパング・ハンセンのブクステフーデを聴く。4枚組1,200円程度のクアドロマニアのCD。
渋いワルター・クラフトとは対照的な明るく速めのテンポのハンセン。それでいて軽薄さを感じさせないのが見事だ。録音も良い。

低い声部の同じ動機を何度も繰り返すシャコンヌホ短調が印象に残った。バッハの名曲にも比肩し得る素晴らしい曲だ。暖色系の響きの中に精神的な深さを感じさせる名演。
聴いていてブラ4第4楽章のシャコンヌとオーバーラップしてきた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月17日 (木)

本日の練習、安田先生の戴冠式

本日朝から激しい雨、午後から止んだが夜になり強い風が吹いてきた。今日は、職場内で大きな事件発生。人事に絡んだ内部の問題だが4月から燻っていたものが一気に表面化。根が深いだけに解決には大手術が必要となりそうだ。

本番まであと二日となった。今日の練習は「戴冠式」一曲のみ。降り番の自分は出なくても良いのだが、気持ちの切り替えのために練習を覗くことにした。練習場が自分の借りている駐車場近くなのがありがたい。
ホールの舞台裏に到着すると、「戴冠式」第一楽章のコロコロとした美しい響きが聞こえて来た。本日は本番のピアニスト、安田正昭先生を迎えた総仕上げとも言える練習だ。

パリで学び、ミッシェル・ベロフやイヴォンヌ・ロリオにも師事した安田先生はメシアンを得意としているようだ。細身の響きと粒立ちの美しい音色で、いかにもフランス風の軽めのモーツァルト。編成を刈り込んだオケの響きもバランス良く響いている。

ホールの座席で聴いているうちに気持ちよく眠り込んでしまった。これならば良いだろう。
休憩となったところで帰宅することにした。

P1010042 帰宅後聴いたのは久しぶりのブルックナー。新スタートレックのピカード船長に似た風貌のD.R.デーヴィス指揮リンツ・ブルックナー管による交響曲第4番「ロマンティック」のArte Novaから出ているCD。

出だしのホルンであれ?と思い、CDケースに目を落とすと1874年第一稿による演奏だった。
だが聴いているうちに退屈してきた。通常の版に比べると冗長さが目立ち、全く別の曲の第3楽章はともかく、両端楽章で特に顕著。

演奏が悪い訳でもないのだが、初めてこの稿をインバルの演奏で聴いた時の新鮮さは全く感じられない。
P1010043 試しにインバルで第4楽章のみを聴いてみた。かなり早いテンポの手際良い演奏で、こちらの方が口当たりが良い。
D.R.デーヴィス盤に比べると両端楽章が一分以上短く、逆に2,3、楽章はインバルの方が一分以上長くなっている。このあたりに聴きやすさの秘密がありそうだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月16日 (水)

アントルモンとモントゥーのチャイコフスキー

本日丸一日研修也。夕方職場に帰ったところ机は書類と付箋の山。

P1010035 今日聴いたのは、アントルモンの弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番。バーンスタインとのスタジオ録音ではなく、1958年のモントゥー指揮ロンドン響とのライヴ録音でcascavalleから出ているCD。
よく回る指でバリバリ弾きまくるアントルモンのピアノ。フランス音楽よりも実はロシア音楽を好んでいたという20代のアントルモンが嬉々として弾いている姿が目に見えるような演奏だ。モントゥーの瑞々しい伴奏も出色。

P1010041_1 モントゥー&ロンドン響の同曲では、1963年ウィーン音楽祭でのステレオライヴもある。米ヴァンガードが録音したものの、お間抜けなことに保管場所を間違えてマスターテープが行方不明となってしまったが、30年後に偶然発見されたという録音。
こちらのピアノはイギリスの巨漢ピアニスト、ジョン・オグドン。この録音の前年のチャイコフスキー国際コンクールでアシュケナージと一位と分け合った逸材だが、精神を病んで50代で逝ってしまった。

アントルモンとほぼ同年齢での録音だが、とてもそのようには聴こえない悠然として老成した演奏だ。先日聴いた繊細なベートーヴェンの変奏曲集と同じピアニストとはとても思えない。モントゥーの指揮もピアニストに合わせて遅いテンポで雄大に描き上げたもの。
録音も秀逸。

P1010039_1 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にワルター&BBC響の演奏の感想をアップしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月15日 (火)

ギレリス、ラインスドルフのロシア・ライヴ

陽気の変わり目の薄曇で肌寒い一日。寝不足のため、どうも生活のリズムに狂いが生じてきたようだ。午前中の会議は集中力に欠け、ほとんどうわの空。

P1010034 今日は1976年9月、東西冷戦が一時的に緩和されたいわゆるデタントの時代におこなわれた、ラインスドルフ率いるニューヨークフィルのロシア楽旅のライヴを聴いた。

曲はベートーヴェンの「皇帝」、R.シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、そして当日のアンコールとして演奏されたプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からフィナーレというもの。

Scora Classicsから出ているステレオCDで、独奏はロシアを代表するピアニストの一人エミール・ギレリス。

オケ、ピアニストともに異常なまでの緊張に満ちた凄まじいライヴ。数多いギレリスの演奏の中でも、これほど燃焼度の高い演奏は類を見ない。
フィナーレではギレリスの興奮状態が度を越え完全に暴走気味、ところがラインスドルフの棒は完全に同化しギレリスの変幻自在の動きにぴたりと付けている。ニューヨークフィルの一糸乱れぬアンサンブルも見事なものだ。

これほど熱くなったラインスドルフも珍しい。R.シュトラウスとラヴェルで聴かせる危なくも濃厚な官能の世界は、ライヴの一発勝負ならではだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月14日 (月)

リヒター・ハーザーのブラームス

ここのところ高校の娘を朝6時に駅まで送る日が続いている。文化祭の朝練習のためだという。お蔭で寝不足の毎日だ。
もう少し早く就寝すれば良いのだが、長年の習慣でどうしても0時前に寝る事ができない。

昨日聴いたピアニストのリヒター・ハーザーが気になってきた。手持ちのディスクは、東芝のセラフィムの廉価盤で出ていたものばかりでベートーヴェンの3,4番の協奏曲と「テンペスト」と「ハンマークラヴィーア」、ブラームスの2番の協奏曲、モーツァルトの「戴冠式」ぐらいだろうか。

P1010038 まず、次の定演の演目である「戴冠式」を聴いてみた。伴奏はケルテス指揮のフィルハーモニア管。カップリングはアニー・フィッシャーの弾く20番のコンチェルト。
かつて聴いた時は爽やかなケルテスの指揮に比べて、なんとも朴訥なモーツァルトといった印象しかなかった。
ところが改めて聴き直してみると、がっしりとした安定感の中に聴き手を大きく包み込む懐の深い演奏であることに気がついた。それでいて華やかさにも不足していない。

P1010033_2 続いてブラームスも聴いてみる。伴奏はカラヤン指揮のベルリンフィルによる1958年12月の録音。
この時期のカラヤンの協奏曲録音に選ばれたソリストは、カラヤンの音楽性に同化させられてしまう傾向が多いのだが、ここでのリヒター・ハーザーはカラヤンと同化するどころか、完全に圧倒している。黒光りする重厚な音色、壮大にしてファンタジー溢れる名演。

リヒター・ハーザーは1980年、ブラームスの協奏曲の演奏中に舞台上で倒れ、急逝した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月13日 (日)

リヒター・ハーザーのディアベルリ変奏曲

天気予報では雨だっだが、概ね爽やかな良い天気。今日は家の改築に合わせて物置の中にあったガラクタの一大処分を敢行。
中学時代の古いラジオやカセットデッキ、古本、古雑誌エトセトラ。出るわ出るわ、今では処分にお金が掛かるご時世となってしまった。もっと早くに処分すべきだったと反省しきり。埃まみれとなり、喉が痛くなってきた。

P1010032_1 本日はベートーヴェン生誕200年の年に東芝が出した、ベートーヴェン大全集から第19巻「ピアノ変奏曲集」を聴いた。演奏はリヒター・ハーザー、ヤコブ・ギンペル、オグドン、ギレリスが15曲の変奏曲を弾いているLP3枚半。

ピアノの即興演奏の名手だったベートーヴェンは、30曲以上のピアノのための変奏曲を書いている。他に「エロイカ」や室内楽の分野にもベートーヴェンの書いた変奏曲は数多い。

このアルバムに収められた有名無名の様々な変奏曲集を聴いていると、ベートーヴェンは変奏曲を作曲しながら作曲の腕を上げていったのではないかと思えてきた。
ベートーヴェンが作曲した最後のピアノ曲が「ディアベルリ変奏曲」だったのも象徴的だ。

繊細にして軽妙なオグドン、硬質で輝かしいタッチのギレリスの中で、「ディアベルリ変奏曲」を弾いているリヒター・ハーザーの演奏に最も感銘を受けた。
地味で堅牢、ひたすら誠実にベートーヴェンのピアノ曲の集大成とも言えるこの巨大な作品を弾いていく。聴いていくうちに目の前に巨大な建造物が次第に姿を現してくるような感覚すら覚えた。これは名演です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月12日 (土)

モントゥーの悲劇的序曲

いよいよ本番一週間前となった。本日は午後から夜までの練習となったが、いつものことながら仕事を済ませてから顔を出す。4時頃に文化センター大ホールに到着し、舞台裏手で楽器の準備をしているうちに「悲劇的序曲」が聴こえてきた。

一週間前と比べて響きが全然違う。これには驚いた。弦楽器の鳴りが格段に良くなった。ブラームスの重厚な響きも充分に出ている。棒を振る横島先生の表情も晴れやかだ。
昨年共演した海瀬京子さんからの差し入れもあり今日は楽しい練習となった。

P1010041 P1010033 今日はモントゥーの指揮する「悲劇的序曲」を聴いた。モントゥーのこの曲の録音は3種ほどあるが、今日はボストン響を振ったライヴ映像。
VAIから出ているDVDで、1959年ハーバード大学での収録。一晩のプログラムをそのまま収録したものらしい。「悲劇的序曲」に始まり、ヒンデミットの組曲「いと気高き幻想」、そしてモントゥーが初演した「ペトルーシュカ」1910年版全曲というもの。

生前のブラームスに直接会ったことのあるモントゥー。ペンギンの親玉のようなどことなくユーモラスな外観だが、眼光鋭い若々しくも力強い指揮ぶりで、妥協のない引き締まった厳しい音楽を鳴らしていく。とても80を超えた老人とは思えない。

P1010039 ペトルーシュカでトランペットの妙技を聴かせるのはヴォアザンだろうか。ホルンのスタリアーノ、ファゴットのウォルト、オーボエのゴンバーグなど、ミュンシュ時代のボストン響を支えた名手達の顔ぶれも見える。

P1010031 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にワルターの演奏の感想をアップしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月10日 (木)

クライバーのフィガロ

曇り後夕方から雷雨。夜になり雨は上がったが、おかしな雲が出ている。地震雲かしらん。

本日、家の耐震工事の関係で設計士が家に来る事になり、休暇を取った。打ち合わせが終わった後に気になっていた入院中の知人のお見舞いに行く。病院から出た直後に雷を伴った大粒の雨が降ってきた。

P1010030 今日聴いたのは、独documenteから出ているモーツァルトの名作オペラ4曲を収めたセット物。
内容は、1955年のモーツァルト生誕200年を記念して録音された、ウィーンフィルによるベームの「コシ・ファントゥッテ」、E.クライバーの「フィガロの結婚」、クリップスの「ドン・ジョバンニ」に加えて、フリッチャイ指揮による「魔笛」1954年録音CD10枚組。これだけ入ってHMVでは1,700円ちょっとで購入できる驚異的な激安BOX。しかもフリッチャイ以外は全てステレオ。

この中からE.クライバーの「フィガロの結婚」を聴いた。

ブッファの気分に満ちたクライバーの躍動感に満ちたテンポ運びと、粒そろいの歌手たちの名唱。50年代のウィーンフィルの味の濃い音色も魅力の歴史的名盤だ。

P1010018 P1010019 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にトスカニーニ&フィルハーモニア管によるライヴの感想をアップしました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007年5月 9日 (水)

レッパードの弦楽セレナード

長袖を着ているのがお間抜けなくらいの暑い日が続く。二日ほど前から左足の甲が痛い。
さほど気になる痛みではないが尿酸値が高めなので気になってきた。連休中の不摂生が原因だろうか。

51h675dg3nl_aa240_ 作家の池宮 彰一郎さんが亡くなった。映画の脚本家としての活動が長く、小説家としてデビューしたのは遅かったが、残された時代小説の数々はストーリー展開のうまさで好きな作家だった。

「島津奔る」の中で島津義弘が寡兵で明の大軍を撃破する場面の迫真の描写など、何度読んでも興奮させられる。

池宮さんは青春時代を沼津で過ごされたこともあり、一昨年ご縁があって講演をお願いした。高齢で足が多少不自由だったにもかかわらず快く引き受けてくださり、感激したことを懐かしく思い出す。

P1010029 今日はチャイコフスキーとドヴォルザークの弦楽セレナードを聴いた。演奏はレッパード指揮のイギリス室内管で、1975年録音のフィリップスのLP。
引き締まった造形と清々しい無駄のない響きで聴かせる名演。
特にドヴォルザークはこれ以上の演奏はなかなか聴けない。

70年代に華々しい活躍をしていたたレッパードだが、最近は消息を聞かなくなった。どうしたのだろう?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 8日 (火)

ピゥイグ=ロジェのメシアン

しだいに仕事がタイトになってきた。ここ数日睡眠不足気味で集中力の欠如から凡ミスが続いている。

P1010025 今日は今年生誕300年の記念の年となるブクステフーデと、ブクステフーデから一世代後のリューベック(Vincent Lubeck)のオルガン曲を聴いた。

オルガンは、VOXに記念碑的なバッハとブクステフーデのオルガン曲大全集を残したヴァルター・クラフトによる独CANTATE盤LP。
ブクステフーデは、SteinkirchenのSt.Martini und St.Nicolaikirche のシュニットガーオルガンでVOXの全集とは別録音。リューベックはStadeのSt.Cosmosバロックオルガンと書いてある。
ひたすら我が道を行くといった頑固一徹の曲であり演奏。実に渋い燻し銀の音楽。

ここのところ過去20年余りの間に採り溜めた音楽番組をビデオからDVDに落としている。

初期のものには、ベータのビデオデッキでエアチェックした齋藤秀雄メモリアルコンサートのライヴやフルトヴェングラーの特集番組などがあって、今振り返ってみるとなかなかのお宝が眠っている。

P1010027 今日見つけたのは、黛敏郎時代の「題名のない音楽会」。「メシアン生誕80年を祝って」というタイトルなので1988年の収録のようだ。
番組冒頭で、アンリエット・ピゥイグ=ロジェ女史がサントリーホールのオルガンを弾く映像がいきなり飛び込んできた。曲はメシアンの「昇天」から第一曲。
絶妙な間を保ちながらメシアンの神秘的な世界を紡ぎだしていく素晴らしい演奏だ。
他に岩城宏之も出演している。番組収録から20年経ち皆鬼籍に入ってしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 7日 (月)

ケンプのバッハ・トランスクリプションズ

GW明けの月曜日、本日曇天。

P1010022 今日はC.モラーヌのセット物CD・エラート録音集成から、ビゼーやアーンなどの軽い歌曲を集めたCDを聴いた。歌詞の意味は解らぬが、美しいフランス語の発音と明るい声質で自然と楽しい気分になってくる。

続いて、ル・フォルジュネでケフェレックがアンコールで弾いたヘンデルのメヌエットが聴きたくなった。オリジナルはハープシコード組曲の中の一曲。ケフェレックが弾いたのはケンプ編曲のもので実に清楚で美しい佳品であり演奏だった。

P1010020 手持ちからは、トルコの女流イディール・ビレットの演奏から聴いた。MARCOPOLOから出ているピアノソナタやイタリア組曲といった今ではほとんど忘れられているケンプの自作を集めたアルバム。実に達者に弾いているが、この人の音は潤いに欠け、どうも好きになれない。

P1010021 もう一つは、ケンプ自身のデッカへの1956年録音。これはキングから出ていた国内盤CDで、半音階的幻想曲とフーガ、ケンプが編曲したバッハのコラールプレリュード数曲にヘンデルのメヌエット、「調子の良い鍛冶屋」、ベートーヴェンのバガテルや「エリーゼのために」を加えたもの。

P1010023 バッハのみはLP時代に千円の廉価盤LPが出ていて、飽きもせず何度も繰り返し聴いた懐かしいアルバム。
簡素な曲にこめられた音楽への深い愛情と畏敬の心。聴いていて心が洗われるような感動的な演奏の数々。

ケンプが好んで弾いたベーゼンドルファーのコクのある深い響きは、LPの方がより現実に近いようだ。

バッハを聴いていて最晩年のケンプのエピソードを思い出した。齢90を超え、訪ねて来た弟子の名も自分がピアニストであったことすら判らなくなってしまったほどに老いたケンプ。記憶は失っても老人ホームのアップライトピアノに向かって弾くバッハのコラール・プレリュードの演奏は実に感動的で聴く人の涙を誘ったという。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 6日 (日)

本日の練習、大ホールでのブラームス

今日は朝から雨、GWも最終日だが自分の連休は昨日までの2日のみで今日も出勤だ。東京に行った疲れは未だ充分には取れず、体の重い一日。

夜はオケの練習に参加する。ところが練習会場に着いたとたんに娘からメール。何かと思いきや「数学の参考書を買ってきて」というお間抜けなメール。一体何を考えているのやら。練習開始まで多少の余裕があるので車を飛ばして本屋に行く。

何とか練習開始時間には間に合った。今日は大ホールでブラ4と「悲劇的序曲」全曲の通し練習。指揮は横島先生。練習も佳境に入り、ようやくブラームスらしい響きになってきた。
吹いていて、あぁ・・いい曲だなぁと実感する部分も多少は出てきた。
ただし細かな箇所ではまだまだ危うい。本番までにどこまで詰めることができるかが課題だろう。

フォルジュネで音楽三昧だったこともあり、音楽はちょっと食傷気味。今日のオケの練習でもう十分だ。

P1010017 沼響のHPの「聴き比べコラム」に「ブラームスの4番を聴く」に記事をアップしました。今回はトスカニーニ&NBC響の演奏。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 5日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭

P1010016_1 昨日からの貴重な連休は家族と東京。お目当ては、昨年のモーツァルトイヤーには70万人動員したという「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」(熱狂の日)音楽祭。この二日の東京は真夏並みの暑さとなった。

お昼過ぎに東京駅に到着。さっそく新丸ビルに向かうが、たいへんな人の波で、エレベーター前には東京ディズニーランドなみの長蛇の列。あきらめの良い私たちはさっそく行き先を丸ビルに変更。

P1010009 だがここも大混雑、なんとかエレベーターに滑り込み、35階でおこなわれている久元祐子さんのサロンコンサートを聴く。曲目は「展覧会の絵」全曲。
骨太で重量感のある豪快な演奏だ。壮大な「キエフの大門」ではブラヴォーの声が自然に湧き上がる。機会を見てご挨拶を、とも思ったが物凄い人でそれどころではなかった。

P1010010_2 続いてメイン会場である東京国際フォーラムへ。広場のキオスクの中でTAMAブラスアンサンブルが、またまた「展覧会の絵」を演奏している。 今年のテーマは「民族のハーモニー」ということで、ロシア、東欧、フランスの作曲家が中心に取り上げられているらしい。

とにかく、あちらこちらで演奏会が開かれていて、サービスプログラムは購入したチケットを見せれば全て無料。展示ホールで、「売られた花嫁」序曲や「スラヴ舞曲」のオケ演奏を聴いたり、「のだめカンタービレ」の「着ぐるみ」と記念写真を撮ったりとなかなか忙しい。

夕食は屋台のケバブ を食し、休憩も兼ねて音楽映画「ネオ・ファンタジア」を見たが。これが大失敗。作品の質はともかく、音が割れ耳を聾する大音響。出るに出られず苦行の90分となってしまった。

16_1 そして本日のメインデッィッシュのフランス女流、アンヌ・ケフェレックのピアノリサイタル。当初アラン・プラネスが弾く予定だったのが、ケフェレックに変更になってしまった。
プラネスは是非聴きたかったのだが、ケフェレックも好きなピアニストなのでよしとしよう。

それにしても、夜10時開演のコンサート。しかも「ネオ・ファンタジア」の余波で耳は疲労気味。娘達の目も完全に虚ろとなっている。
曲目はケフェレック得意のオールフランスプロ。ドビュッシーの「水の反映」から始まり、「沈める寺」や「イマージュ」などの名曲の数々11曲をインターバルも入れずに淡々と弾いていくが、どうも集中して聴くことができない。

サティの「ジムノペディ」が始まったところでようやくリラックス。なんと心地よい音楽だろう。
ケフェレックはテンポを揺らし表情豊かに弾いていく。続いて「ピカデリー」「グノシエンヌ」。最後はラヴェルの大作「鏡」から3曲。繊細で趣味の良いフランスのエスプリ漂う演奏が続く。アンコールはヘンデル(ケンプ編)の「メヌエット」を静かに心をこめて弾いてくれた。

P1010015 終演は11時。そのまま東京に宿を取ったが、さすがに今日は音楽を聴く気になれず、江戸東京博物館へ行き「ロシア皇帝の至宝」展を見ることにした。
両国は「春の両国祭り」とかで、フリーマーケットやら踊りとやらで、ここもかなり賑やかだ。
展示では、贅を尽くしたイコンや杯の数々に圧倒されたものの、ロシア皇帝の血塗られた歴史を思えば複雑な気分。
常設展示部門の江戸時代から昭和30年代までの、簡素でいて庶民的な温もりのある品々の方がよほど好ましい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 3日 (木)

フレージャーとレイボヴィッツのプロコフィエフ

GWも後半となったが本日も休むことができない。通勤途中ですれ違う車は、湘南や足立ナンバーなど首都圏からの行楽の車ばかりだ。
天気が良いので試験的に職場に冷房を入れてみたが、ものすごく冷えてしまい風邪をひきそうになってしjまった。一緒に仕事をしていた女の子も震えている。

本来ならば今日は丸一日オケの練習に参加する予定が、結局6時過ぎの参加となってしまった。練習会場の大ホールでは既にブラ4第一楽章の練習が始まっている。指揮は横島先生。

そーと席に滑り込みまじまじと譜面を見る。そのうち譜面のスタッカートとアクセントが非常に気になってきた。
ブラームスはこの曲で実に細かに両者やsfを書き分けている。ちょっと意識して演奏しているうちに、いろいろな面が見えてきたようにも思える。実に奥深い曲だ。

P1010006 帰宅後はマルコム・フレージャーのピアノ、レイボヴィッツ指揮パリ音楽院管によるプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番を聴いた。RCAのLPで、ハイドンのピアノソナタ第35番とのカップリング。

フレージャーのピアノは、艶の有る音色と確かな技巧でなかなかのもの。レイボヴィツの伴奏も輝かしい迫力に溢れる見事な出来で、長いピアノの序奏から勃然とブラスが湧き上がってくる第一楽章など、ちょっと簡単には忘れられない衝撃を聴き手に与えてくれる。
モダンなプロコフィエフの余韻が冷めやらぬうちに、古典的なハイドンを持ってくるあたり、制作プロデユーサーのセンスの良さがうかがわれる。名盤です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 2日 (水)

シュナイダーハン、コーガンのバッハ

本日西伊豆戸田へ朝から仕事で出かける。時おり雨もパラついたが途中で晴れてきた。駿河湾沿いを快適に走らせる車窓からは遠く静岡方面が良く見え、ちょっとしたドライヴ気分。

P1010869_1今日は ウォルフガング・シュナイダーハンの弾くバッハを聴く。取り出したのはアルヒーヴ音源によるバッハ大全集室内楽編から、ヴァイオリンソナタ全集。チェンバロはカール・リヒター、1966年録音。
これは市内のリサイクルショップで1セット8百円均一で出ていたもの。

がっしり重いリヒターに比べ、美しく典雅なシュナイダーハンのヴァイオリンの線の細さが気になった。各々が我が道を行くといった趣で合奏の妙味はあまり感じられない。
中では第3番が最も感銘を受けた。ここではリヒターが控えめな脇役に徹し、シュナィダーハンも伸び伸びと歌っている。

P1010008 リヒターはコーガンと再度録音をおこなっている。1972年録音の独オイロディスク原盤によるキングの国内盤LP。
この中から第4番と第5番。端正で硬質なコーガンとリヒターの堅実なチェンバロが下からほど良く支えている。美しい音と適度な緊張感が心地良い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 1日 (火)

ハクビシン捕捉す

今日から5月、昨日から一転して朝から雨となった。本日溜まってしまった振休を取り、4月以来張り詰めていた気持ちのリセットをすることにする。
雨模様だし、一日ノンビリと過ごそうとも思ったが、近づく定演に向けて知り合いの所何件かを回り定演のポスター掲示をお願いすることにした。

数件回るつもりだったが、懇意にしているコンビニの店長さんの所で長々と歴史談義。この店長さん、司馬遼太郎の大ファンで、今年の菜の花忌の模様や司馬遼太郎記念館の天井に浮き出た坂本龍馬にそっくりなシミの話などで一時間以上話し込んでしまった。

Thumb_s2104 続いて餃子専門店「中央亭」に立ち寄る。もう半世紀近くの歴史を刻む沼津の老舗。開店まもない11時だというのに店の外まで行列ができている。混雑する店内はとてもポスターの掲示をお願いする雰囲気ではなく、朝頼んでおいたテイクアウト40個で帰路につく。

家に到着後、餃子の包み持って車から降りたところ、隣家のおばさんに呼び止められた。彼女の視線は餃子の包みへ・・・と思ったが、そうではなく、ちょっと来て欲しいとのこと。
何事か?と思い、隣の植木の茂みの中になにやら黒い小動物が蠢いている。

P1010004 P1010005_1 長い尻尾、顔に縦に走る白い線。ハクビシンだ!おそらく我が家の玄関内を徘徊した奴だろう。急いでデジカメを取りに家に走る。
まだ子供のようだ。動きも鈍い。そもそも夜行性のハクビシンが昼間にこんなところに居るのがおかしい。
どうやら急な寒さと空腹のために動けなくなったようだ。少し哀れになって駆除する気にならず、さりとて飼う気にもなれずしばらく様子を見ることにした。

P1010007 今日は昨日に引き続きギーレンのベートーヴェンを聴いた。同じく米オーディオ・フィディリティのLPで交響曲第7番。オケは2番と同じくウィーン国立歌劇場管。
ウィーン国立歌劇場の練習指揮者として、キャリアをスタートさせたばかりの20代のギーレンを起用しての録音。

アーティストのネームバリューよりも、他社が未だ一般発売に踏み切っていなかったステレオ録音ディスクが商品の目玉だった当時のオーディオフィディリティ社としては、とにかく安いギャラで録音できる駆け出しの若手指揮者を起用したのだろう。

オケの鳴らし方も手慣れたよくまとまった演奏。リピートを全て励行しているのも珍しい。既にこの頃から名指揮者の片鱗は充分に窺える演奏だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年4月 | トップページ | 2007年6月 »