ギレリス、ラインスドルフのロシア・ライヴ
陽気の変わり目の薄曇で肌寒い一日。寝不足のため、どうも生活のリズムに狂いが生じてきたようだ。午前中の会議は集中力に欠け、ほとんどうわの空。
今日は1976年9月、東西冷戦が一時的に緩和されたいわゆるデタントの時代におこなわれた、ラインスドルフ率いるニューヨークフィルのロシア楽旅のライヴを聴いた。
曲はベートーヴェンの「皇帝」、R.シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、そして当日のアンコールとして演奏されたプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」からフィナーレというもの。
Scora Classicsから出ているステレオCDで、独奏はロシアを代表するピアニストの一人エミール・ギレリス。
オケ、ピアニストともに異常なまでの緊張に満ちた凄まじいライヴ。数多いギレリスの演奏の中でも、これほど燃焼度の高い演奏は類を見ない。
フィナーレではギレリスの興奮状態が度を越え完全に暴走気味、ところがラインスドルフの棒は完全に同化しギレリスの変幻自在の動きにぴたりと付けている。ニューヨークフィルの一糸乱れぬアンサンブルも見事なものだ。
これほど熱くなったラインスドルフも珍しい。R.シュトラウスとラヴェルで聴かせる危なくも濃厚な官能の世界は、ライヴの一発勝負ならではだ。
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