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2007年6月に作成された記事

2007年6月30日 (土)

ブティル・アルネセンのグリーグ歌曲集

蒸し暑い真夏のような一日、夜になって一時激しい雨。今日は休日、来月からスイス旅行に行く母の準備のため右往左往の一日。さらに一緒に行く家内の母親も加わり大変なことになってしまった。

最近、溜まってしまったエアチェックビデオを少しずつDVDに落としている。20年以上前の古いものでも比較的画質は良好。特にベータで撮ったものは劣化が少ないが、ソニー製のベータテープがカビに半分近くがやられていて閉口。マクセル製のものは全て無事だった。

そのような中で、NHKで放送されたマリス・ヤンソンス指揮オスロフィルの来日公演が目に止まった。マーラーの「巨人」をメインとする1993年2月1日サントリーホールでの記録。

P1010118 中プロでノルウェーのソプラノ歌手、ブティル・アルネセンがグリーグの歌曲を歌っている。「ペール・ギュントからソルヴェイクの歌、こもりうた」と、「モンテ・ピンチオから」「白鳥」「過ぎた春」の5曲というもの。
民族衣装に身を包んだ、初々しいアルネセンの透明で可憐な歌声。この飾り気のなさがグリーグにはふさわしい。ヤンソンスの心のこもった伴奏も良い。

P1010115_1 NAXOSから出ているアルネセンのグリーグ歌曲集も聴いた。こちらはピアノ伴奏で1996年録音。来日公演からわずか3年後の演奏だが、風格が加わった自信に満ちた大人の歌唱。

アルネセンの演奏では、ミュンヘン国際コンクール入賞記念コンサートの模様もビデオに撮ってあった。こちらは明日見てみよう。

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2007年6月29日 (金)

黒木岩寿と仲間たち

今日は沼津楽友協会夏の例会、三島市民文化センター小ホール「黒木岩寿と仲間たち」。
神奈川フィルの首席コントラバス奏者で、サイトウキネンオーケストラや水戸室内管のメンバーでもある実力者黒木岩寿を中心とする弦楽オーケストラのコンサート。

P1010112_1 天気が良ければ職場からバイクで飛ばすところだが、あいにくの梅雨空のため車で三島まで向かう。夕食を食べている時間はとてもない。途中渋滞に巻き込まれ、6時45分開演ぎりぎりのすべりこみセーフ。
会場は協会の会員を中心とした年配の人たちばかり。客の入りは8割ほど。

曲目は、「アイネクライネ」に始まり、ボッテシーニのヴァイオリンとコントラバスのためのグランデユオコンチェルタント。休憩を挟んでバーバーの「アダージョ」、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」というもの。

ステージに登場した演奏者達を見て、思わず「おっ!」となった。
出演は、黒木岩寿の所属するトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズのメンバーを中心とする若手奏者たち10人。
完全にビジュアル系「のだめオーケストラ」Sオケの世界だ。実際に「のだめ」に出演していたメンバーもいるらしい。
正直あまり期待はしていなかったので、この線でチケットを売り出せば満席になったのに、などと私はバカなことを考えていました。

ところが、演奏が始まって吃驚、フレッシュでダイナミックな朗々とした響き、音楽が生き生き流れていて実に気持ちが良い。ボッテシーニの曲など、黒木の愉快な解説もありなかなか楽しく聴けた。

後半最初のバーバーはピッチの不安定さが気になった。やはりこの手の曲は難しい。この曲が終わった時点で奏者が引っ込んだ舞台袖からチューニングの音が聞こえて来た。

最後のチャイコフスキーは一転、コンマスの江口有香(日本音楽コンクール一位)とコントラバスの黒木岩寿がきっしりとアンサンブルを固め、現役芸大生を含む若手奏者たちとともに伸び伸びとした音楽を創り上げていく。
皆実に楽しそうで聴いているこちらも気持ちが良い。アンコールは弦セレのワルツ。

会場で、長い間沼津楽友協会を支えていた事務局長の杉山さんが亡くなられたことを知った。

制約の多い中で孤軍奮闘、リヒテルやフェドセーエフ、若き日のサイモン・ラトルやヤンソンス、チェロのゲリンガスなど、一生の思い出となる名演奏家の公演の多くを沼津で実現してくれ、沼津・三島のクラシック音楽界を陰で支えてきた方だった。
私のわがままな希望を聞いてくれ実現してくれた、東京でも聴くことができない渡邊暁雄指揮N響によるシベリウス・プロのコンサートは、今でも忘れられない思い出だ。

演奏会場のロビーで、いつも暖かな笑顔で聴衆の表情を見つめていた杉山さんの姿がもう見られないと思うと悲しい。ご冥福を祈ります。

P1010113_1 今日聴いたのは、ケルン放送響コントラバス奏者河原泰則の弾くボッテシーニの数々。Largo盤CD。

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2007年6月28日 (木)

沼響定期総会

曇天なれども朝は良い天気。通勤途中に狩野川に掛かる三園橋の上からふと川面に目をやると巨大なクサガメが泳いでいた。水を掻く亀の足元には、これまた巨大な真鯉が遊弋。

本日は朝から昨日の案件処理に追われる。続いて10数年前に発生し今も尾を引く問題について、業者の今の営業担当とお偉方が陳謝のために来訪。だが、こちらの調査結果と先方の言い分とで食い違いがあり、一旦解決の糸口が見えたかに見えた話し合いも平行線。
こちらは当時の契約書その他全て証拠書類は揃えて有り、先方の当時の担当の記憶に頼る回答とでは始めから勝負は見えている。
この業者とは長く良好なる間柄だったが、これからは付き合い方を改めねばなるまい。

いささか疲れてオケの練習に参加。本日前半は「グランドキャニオン」の練習の後、後半は定期総会。決算報告、年度計画、役員改選、いつもながら滞りなく議事は進む。

総会終了後は、場所を移して来年の定演のメイン候補を絞る技術委員会。
先日採ったアンケート結果を元に全員投票にかける候補曲3曲を選ぶ作業だ。

いつもながらアンケートを提出した人数が団員総数の2割にも満たない数なので、かなりマニアックな曲も登場。まぁこれも仕方がないとはいえアンケートを出さなかった人は、曲が何に決まっても良いのだろう。
結局全員投票に出す曲は、今まで沼響がやっていない3曲を出す事になり、毎年落選のシベ2、これまた毎年候補に上がりながら何故か未だにやっていないベト7。これは「のだめ」の影響も大きいのだろう。そして最後は「我が祖国」全曲。

議事の最後には、この技術委員会開始直前に我が携帯に飛び込んで来たオケの出演依頼の件を急遽議事にかける。突然のことに皆一時騒然。
だが、あまりにも急であることと、直後に24回定演を控え、定演のプログラミングその他練習日程までを根底から考え直さなければならなくなり、今回はお断りすることになった。

残念だが、また次の機会にお願いすることになろう。

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2007年6月27日 (水)

ハイドンのリュートと弦楽のための作品集

梅雨の中休みで終日曇天。本日他のセクションの不勉強が原因での不用意な発言がこちらに飛び火しトラブルに発展しそうな気配。明日キチンとフォローをしなければ。

今日は、大作曲家のマイナーな作品を2枚聴いた。2枚とも米ターナバウトのLPで、一枚目はハイドンのリュートと弦楽器のための作品集。

P1010111_1 弦楽四重奏曲第8番の第一ヴァイオリンパートをリュートに置き換えた四重奏曲と、同じく弦楽トリオヘ長調のヴァイオリンパートをリュートに置き換えた曲。両方とも編曲者はハイドンと同時代の作曲家であるとしかわからない。
そして弦楽四重奏曲第6番をハイドン自身がリュートと弦楽トリオのために書き換えた「カッサシオンハ長調」の3曲。

リュートがM..Schaffer、ヴァイオリンE.Nagora、ヴィオラF.Beyer、チェロT.Bleesという顔ぶれで、典雅でアットホームな心温まる演奏だ。

P1010113 もう一枚は「Vocal chamber music from Vienna」というタイトルのターナバウト盤で、ハイドン、モーツァルト、シューベルトらの四重唱曲集。
演奏はThe Stephane Caillat Vocal Quartet。
当時のウィーンの家庭で日常演奏されたであろう曲を、18世紀の雰囲気のままで歌っている。いくぶん素人めいた歌唱が曲想にうまく合っているようだ。
中ではクラリネットソロのみによる伴奏のモーツァルトの作品が珍しい。

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2007年6月26日 (火)

フラグスタートのヴェーゼンドンク歌曲集

先週からほぼ一週間雨の日が続いている。これほど梅雨らしい梅雨も久しぶりだ。湿度が高く、蒸し暑い一日。今日は珍しくも平穏無事なる一日、今年の大きなプロジェクトの一つがようやく目途が付き一安心。

P1010115 今日は歌物2枚。最初はワーグナー歌手として名高いフラグスタートの歌うワーグナーの「ウェーゼンドンク歌曲集」。
フラグスタートの同曲ではデッカに残したクナッパーツブッシュとの録音が名高いが、今回聴いたのはフラグスタートと同郷のノルウェーの名匠フィエルシュタート指揮するオスロフィルとの1951年ライヴ録音。

ACANTA PilzのCDで、他にベートーヴェン、R.シュトラウス、シンディングの歌曲数曲がピアノ伴奏で入っている。こちらは1954年録音のほかのレーベルのスタジオ録音を集めたもの。太い声の貫禄充分の歌唱。フィエルシュタートの指揮も味のある良い伴奏だ。

いずれもモノラル期の録音だがCD表記はステレオとなっている。擬似ステレオとしては自然な音像で、特にワーグナーは、オケも含めて生々しい音で驚いた。

P1010110_1 もう一枚は黒人歌手ポール・ロブスンが歌うトランスアトランティック・ライヴというもの。
英TOPICSの10吋盤で、まるでプライベート盤のような簡素な白黒のジャケットに入っている。司会者のロブスンを紹介するアナウンスから始まる。
ラジオ番組の収録のようだ。曲目は、黒人霊歌を中心にブラームスの子守唄などを交えたポピュラーソングリサイタル。

地味で暗めで哀愁の漂う独特の歌唱。モノクロフィルムを見ているような遠い過去の歴史的なコンサートの記録、といった趣。

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2007年6月24日 (日)

リンガイセンのプーランク

終日、雨模様の一日。貴重な休日をノンビリ過ごしたいところだが、夜に年一回のお寺の檀家役員会を控えて、精神的に落ち着かぬ一日。
役員会は老舗の割烹で、平成18年度のお寺の決算報告やら寄付金のお願いやらエトセトラ。自分が最年少なうえに他の人は地元で知られた名士ばかり。先祖代々お寺の役員というシガラミがあるとはいえ、居心地の悪いことこの上なし。議事の後の宴会は、コンパニオンと一緒にお偉方のお酌に専念。

P1010112 いささか気疲れして帰宅後聴いたのは、お洒落で小粋なプーランクのピアノ曲。
フランスのピアニスト、ベルナール・リンガイセンの弾くプーランクピアノ曲全集からパストラール、ノクターン、フランス組曲などの一枚。フランスのAdesから出ていた3枚組LP。

リンガイセンは、1955年第3回ショパンコンクール第4位。4位とはいえ、この年のショパンコンクールは、地元ポーランドのハラシェビッチがアシュケナージを押さえて一位となった問題の年として有名だが、実は地元の聴衆の間ではこのリンガイセンが最も人気があったとのこと。ちなみに第3位はフー・ツォン、第10位に田中希代子が入っている超ハイレベルな年だった。

リンガイセンのピアノは、変な表現だが音色に無駄を感じさせない生真面目なもの。テクニックは申し分ないが、プーランクではもう少し洒落た風情が必要だと思う。

P1010111 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にクレンペラーのライヴの感想をアップしました。連載22回目

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2007年6月23日 (土)

プレヴィンのヤング・ハリウッド・コンポーザーズ

どんよりとした梅雨の空。気分も重く、土曜日とはいえ夜まで仕事となってしまった。
本来は本日オケのアンサンブル大会で夜の宴会には出たかったのだが。

帰宅後、ヤフオクで落とした中古LPが届いていた。格安で出ていて競合者も少なく不審に思っていたところ、海外からの出品者であることに落としてから気がつき、がっくり。
これでは少ない枚数では送料が落札額の数倍にもなってしまうので、結局同じ出品者から7枚ほど買ってしまった。

P1010104 P1010105 プレヴィンのピアノによる「ヤング・ハリウッド・コンポーザーズ」、プレヴィンをはじめマンシーニー、M.ルグラン、J.マンデルなど、今では大家になった映画音楽の作曲者たちの作品を集めたRCAダイナグルーヴ盤。

C.クラウス指揮ロンドンフィルによる「パルシファル~聖金曜日の音楽」「トリスタンとイゾルデ~前奏曲と愛の死」ロンドン盤。

P1010108 P1010106 超絶技巧ピアニスト、シモン・バレルの弾くリスト、ショパンの作品を集めたレミントン盤とストコフスキーと彼のオケによるシベリウスの交響曲第1番のRCA盤

P1010109 P1010107 P1010110 T.イェンセン&デンマーク放送響によるニールセンの交響曲第5番、ロンドン盤とベイヌム&コンセルトヘボウ管によるロッシーニ序曲集、ロンドンの廉価レーベルのリッチモンド盤。そして今練習している「グランド・キャニオン」をF.ランツ&センテニアル管による米トレジャー盤。プレヴィン以外は全て50年代のモノラルLPだが、盤の状態は非常に良かった。

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2007年6月22日 (金)

テレマン、6曲のパルティータ

曇りのち雨、午後から風雨強し。職場も風雲急を告げ、本日異例の年度途中の人事異動発令。告げられた本人にしてみればまさに晴天の霹靂。突然の事にパニック状態となった本人に詰め寄られる場面があり、なだめ役の自分としては非常に難儀。
行き先は比較的人気の部署なので、いささか意外な思いだが本人は左遷と感じたらしい。人それぞれ感じ方も様々。

P1010092_2 帰宅後聴いたのは、先日渋谷で購入したテレマンの6つのパルティータ集。ベーレンライタームジカフォン原盤の日本コロンビア廉価盤LP。
内容はブロックフレーテやオーボエ、ヴァイオリンための6つの器楽曲集で、チェンバロとチェロの伴奏に乗ったブロックフレーテのコンラートとリンデ、オーボエはヴィンシャーマンといった大家のソロを楽しむ一枚。

Img_00051 職場の玄関先で合歓の花が咲いていた。昨日は咲いていなかったので、昨晩のうちに咲いたのだろう。

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2007年6月21日 (木)

本日の練習、トトロとグランドキャニオン

今週は立て続けに困難な課題の波状攻撃。しかも職場内で心の問題も含めて健康状態が懸念される者3名。
決定打は10数年前に発生し、深く潜行していた問題が今にして発覚。外部業者のミスとはいえ今まで気付かなかったこちらもお間抜けだ。
当時の担当の多くは退職または異動。自分の時に見つけてしまった不運を呪うのみ。社会保険庁の年金問題ではないが、これほど昔のことだと正常な状態に戻すのも容易ではない。

今日は2週間ぶりのオケの練習。会場は文化センター小ホール。会場に着くと秋のファミリーコンサートの曲目「トトロ」組曲の練習が始まっていた。
ポップで楽しい曲調に自然と気持ちはリラックス。仕事で麻痺した頭にはこのシンプルさが心地良い。

そして後半は「グランド・キャニオン」。こちらはソリスティックな名人芸とパワフルさが要求されるかなりの難物。ウチのオケはこの種の音楽がどうも苦手のようだ。
今日の練習も、あまりさらっていない上に曲の入りとタイミングが完全にバラバラ状態。皆もう少し曲を知るべきだ。

P1010103 沼響HPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にクレンペラーの演奏の感想をアップしました。

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2007年6月20日 (水)

カラヤンのヘンデルop.6

休んだ日に限って何か事件が起きているものだ。本日出勤したところ、仰天の事件が2件発生していた。しかもそのうちの1件は、昨日電話を受けた者のメモが決裁待ちの書類の下に埋もれていて先方からの電話で気が付いた始末。
新人ではあるまいし、上司不在の際の重要案件は朝一番に報告する、という基本が出来ていないようだ。休んだ自分も悪いのだが・・・・そして既に退職したかつての上司の突然の訃報。

P1010101 今日はカラヤンの指揮するヘンデルの合奏協奏曲作品6から5,12,10番の3曲。
グラモフォンへの1966年8月スイス、サンモリッツでの一連の夏季録音セッション中の一枚。この時モーツァルトの10番と11番の二つのディベルティメントも録音されている。手持ちは当時発売された日本グラモフォンのペラジャケの国内盤。

カラヤンは作品6の残りの9曲を1967、1968年の8月に律儀に録音し全曲を完成している。しかも1966年はシュヴァルベ、1967年はシュピーラー、1968年はブランディスといった、カラヤン時代を支えた3人のコンマスを録音年毎に入れ替えていているという凝りようだ。

この最初の録音は、編成の中にリュートやハープを入れていて、ベルリンフィルの艶やかで厚めのストリングスの響きの中で、チンコロチンコロとリュートとハープの繊細な音が聴こえてくる異色の演奏。

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2007年6月19日 (火)

ギーゼキングのラフマニノフ

本日振休。やるべき仕事は山積だが、ここらで気持ちをリセットして仕切り直しも必要だろう。明日出勤すると、机上は決裁待ちの書類やら各種メモでおそらく阿鼻叫喚状態だろうな。

音楽を聴きながらノンビリ一日を過ごそうとも思ったが、だいぶ前に中途で止めていた蔵書その他の整理が気になり、朝食後に片付け始めたところ結局丸一日かかってしまった。

そもそも自分は物を捨てられない性分なので、片付けといっても右から左へ移動するだけの場合が多いのだが、さすがにもう収納の限界点に達してしまった。
とにかく古雑誌を中心にまとめて古紙回収に出すことにした。夕方には紙紐で縛った古雑誌の山がガレージの隅にモニュメントのように積みあがった。もう読みそうもない本はブックオフに出す事にしよう。溜まったエアチェックビデオも厳選してDVDに落とした後に処分することにしよう。

P1010102 夜になってギーゼキングの弾くラフマニノフを聴いた。1940年の古いライヴ録音で、メンゲルベルク指揮するコンセルトヘボウ管の伴奏。2番と3番のコンチェルトが入っているArchipelから出ているCD。

1940年といえばまだラフマニノフは存命中。2曲ともラフマニノフ自演の絶対的とも言える録音が存在するが、ギーゼキングの演奏も決してひけをとらない。
2番冒頭の弔鐘のような深いピアノの響き、クリスタルガラスのような硬質なタッチと輝かしいトリル。幻想的でロマンティックなメンゲルベルクの指揮にピタリと付けるオケのうまさも鳥肌もの。録音は悪いが演奏の凄さの前にはさほど気にならない。

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2007年6月18日 (月)

メータのベートーヴェン

曇り時々雨。どんよりとした一週間の始まり。

今日はメータ若き日のベートーヴェンを聴く。ロスフィルを振った1974年録音の交響曲第7番でキングから出ていた国内盤LP。「エグモント」序曲とのカップリング。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったこのコンビ初のベートーヴェン。

P1010100 遅いテンポのどっしりとした第1楽章冒頭に意外な思いがする。主部に入っても遅いテンポは変わらない。ところが第2楽章に入ってから次第にテンポが速くなり、楽章を追うごとにぐんぐんと加速。第3楽章でようやく本調子となった印象。フィナーレの躍動感などなかなかのものだ。

この時代には珍しく、ヴァイオリンは対向配置でリピートも全て励行。
そういえばイスラエルフィルとの実演で聴いたメータのブラームスも、実に丁寧な正統派の演奏だったことを思い出した。

「エグモント」序曲はさらに遅く、響きがダブつき脂肪過多の演奏。

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2007年6月17日 (日)

ロジェストヴェンスキー自作自演

昨日の畑での張り切り過ぎの影響だろうか、今朝から両肩筋肉痛気味。

P1010099 今日はロジェストヴェンスキーの珍しい自演物を聴いた。旧ソ連メロディアのLPで、レニングラードフィル室内アンサンブルを振った管弦楽曲小品集。

トゥリーナの「闘牛士の祈り」、パヌフニクの「ショパンを讃えて」、ガルッピの歌劇「中国の英雄」序曲、レベルタスの「色彩」、そしてロジェストヴェンスキーの「乾杯」という、セビリア、ポーランド、イタリア、メキシコ、ロシアの作曲家たちの、イタリアバロックから現代までの作品を集めた何だか訳のわからないカップリング。

レニングラードフィルの引き締まったアンサンブルが一番映えたのは、18世紀イタリアの作曲家ガルッピの作品。多彩で爽やな名品だ。トゥリーナはストコフスキーの幻想的な演奏と比べるとあまりに禁欲的で全く別の作品に聴こえる。

最後に置かれたロジェストヴェンスキーの「乾杯(A Toast)」は、それまでの4曲のテーマをモザイク風に構成した2分ちょっとの曲。おそらくこのアルバムのために作曲された4群に分かれたヴァイオリンとトランペット、フルートのための曲。
ところが、これが一番つまらない。何度聴いても良くわからない謎のアルバムだ。

P1010098 もうひとつは、旧東独の名トランペット奏者、ギュトラーの吹くトランペットとオルガンのためのアルバム。
アルビノーニ、クレブス、レイエ、バッハ、カウフマン他のソナタやコラールプレリュードを集めた独ETERNAのLP。オルガンはFridrich KircheisがライプツィヒのCrostau教会のジルバーマンオルガンを弾いている。

ここでギュトラーは、ソナタをトランペット、コラールをコルノ・ダ・カッチャで吹き分けている。
人間の声にも似た太く暖かな音色のトランペット。歴史的銘器ジルバーマンの透明なオルガンの響きも素晴らしい。教会の広い空間に拡散していく響きを見事に捉えた録音も申し分ない。音楽を聴く喜びをストレートに伝えてくれる名アルバムだ。

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2007年6月16日 (土)

山田耕筰の御大典奉祝前奏曲

ここ数日暑い日が続く。昨日は帰宅が遅くなり音楽は聴いていない。
本日は貴重なる休日。朝6時にいつものように学校に行く娘を駅まで送り、そのままもう一眠りしようとも思ったが、仕事上で気になる件が頭に浮かび職場に顔を出すことにした。
今日は下の娘の参観日でもあり、10時過ぎには引き払って学校へ向かう。

P1010096 午後は畑で採り残しのジャガイモを収穫。今年は豊作、汗だくになりながらダンボールに3箱ほど採ったところでバテバテとなり、もう限界。いわば趣味と実益を兼ねた農作業なので、これでよしとしよう。

採れたばかりのジャガイモは塩茹でし、風呂上りにジャガバターとビールでほっと一息。

41xbfhdhf2l_aa240_ 今日聴いたのは、山田耕筰の御大典奉祝前奏曲。「君が代のすべて」というアルバムで、「君が代」の成立から、様々な作曲家による編曲、音源を網羅したもの。

成立当時に何人かの作曲家が節を付けた「君が代」だが、これらが実際に聴く事が出来る。さらに近衛秀麿指揮ベルリンフィルの録音。1903年吹き込みのゲイシャ・ブラスバンドによるわが国初の洋楽録音など、驚きの音源満載。

グラズノフ版の「君が代」は「展覧会の絵」のプロムナードのような趣。ドビュッシーの小組曲の編曲で知られるフランスのビュッセルによるハープのために即興曲、Aガイヤールの歌劇「戦争」の終幕の合唱も面白い。成田為三のピアノのための「君が代変奏曲」はなかなかの名曲だと思う。

山田耕筰の「御大典奉祝前奏曲」は1915年作曲。3管編成にオルガンと混声合唱という大掛かりな曲だ。1919年にはカーネギーホールでも演奏されているという。

P1010093_1 P1010094_2 フルスコアが春秋社の山田耕筰全集に収録されていて、図書館から借りて聴いてみた。
「パルシファル」前奏曲に似た冒頭、オルガンが入るとR.シュトラウスの祝典前奏曲と同じような雰囲気で曲は進行していく。そして最後は、君が代の大合唱。
力作だが、一度聴けば充分だ。このアルバムに収録されているのは、山田一雄指揮の都響による1983年のライヴ。

なお、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」に出ていた小林綾子が、「君が代」と同一歌詞の歌「サザレイシ」を歌っている。広い音域が要求される難曲だが、本格的な歌唱で非常にうまいのには驚いた。

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2007年6月14日 (木)

コンセルトヘボウ・アンソロジーのクレンペラー

曇りのち雨、本日午後から裾野市で仕事となった。出かける前に沼津港近くにある「あじや」で昼食。
Ajiya1 Ajiya4 魚仲買協同組合が経営するアンテナショップで、アジの干物定食など干物類一品にご飯とみそ汁、お新香で525円也。
シンプルなメニューだが、上質な干物と絶妙の焼き加減で家で食べる干物とは段違いの味。ご飯もうまい。

Jr371 Fuji5 裾野での仕事は、県内の同業者を集めての研修会。事務局の仕事とはいえ、今回はさほどの問題もなく無事終了。研修終了後は小田急「あさぎり」で帰る講師の先生と、電車の出発時間まで真剣な仕事の話となった。
会場を出た時には激しい雨、目の前に見えるはずの富士山の雄姿も今日は厚い雨雲の中だ。

P1010080 今日はコンセルトヘボウ管のヒストリカル録音を集めた「コンセルトヘボウ・アンソロジー」を聴く。1930~40年代の録音を集めたCD12枚組から、クレンペラーの指揮で「フィンガルの洞窟」とブルックナーの「ロマンティック」。

速いテンポと引き締まったアンサンブル。晩年のスタジオ録音のような恰幅の大きさはないが、音楽への集中力と緊張感はこちらの方が数段上だ。クレンペラー壮年期を代表する燃焼度の高い名演。

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2007年6月13日 (水)

アメリカン・ホルンカルテットの協奏曲集

今日はアメリカン・ホルンカルテットの吹くホルン4本のための協奏曲集。シューマン、ヘンデル、テレマンの協奏曲にハイドンの交響曲第31番「ホルン信号」のカップリング、伴奏はD.ヴィシュニエフスキ指揮するシンフォニア・ヴァルソヴィアというポーランド勢を起用したNAXOS盤。

P1010094 シューマンのコンチェルトシュトゥックは、学生時代に伴奏をオケで吹いたことがある思い出の曲。ソロ部分に要求されている超絶技巧に対して、伴奏オケパートは極めてシンプルだった。ヘンデルの協奏曲ヘ長調は、第一楽章が「王宮の花火の音楽」の序曲をそのまま4本のホルンとオケ用にアレンジしたもの。

均質レベルの4人のソリストの妙技が聴きもの。伴奏は線が細く、シューマンは他の競合盤と比べると聴き劣りがするが、爽やかなハイドンはなかなか良い。

P1010092_1 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にアーベントロートの演奏の感想をアップしました。

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2007年6月12日 (火)

スメタナのオペラ「ダリボル」

この度家の近くに都市ガスが来る事になり、本日ガス会社の人が私の留守中に説明に来た。ガス器具を見たところ、なんと今使っているガス風呂給湯器にリコールがかかっているという。

慌ててメーカーのホームページを見たところ、部品の劣化のためガス漏れが生じ機器内部の焼損が起こる可能性があると書いてある。全然知らなかった。そういえば最近風呂を沸かす度に異臭がするのが気になっていた。ガス会社の人が来なければ気づかないまま、大変なことになるところだった。

ただちにNORITZに電話したところ、部品の取替えまで2週間ほどかかるので注意して欲しいとのこと。部品交換まで多少の時間が掛かるのは理解できるが、それまで風呂に入るな、ということだろうか。本日最高気温は29度。明日も暑くなりそうだ。

119_1 今日は、スメタナのオペラ「ダリボル」を聴く。 交響曲からピアノ曲、室内楽曲、マイナーな行進曲と2曲のオペラ全曲など、スメタナの様々な作品を集めたDOCUMENTSから出ている激安スメタナBOX10枚組CD。収録されているもうひとつのオペラは「売られた花嫁」。

「ダリボル」は、チェコ国民劇場の起工式のために作曲されたオペラ。対訳はなく(あっても読めないが)、あらすじも解らず音楽のみを傾聴。美しいメロディーと民族的な軽快な舞曲、そしてドラマティックな合唱。スメタナの愛国心がストレートに出た名作だと思う。力強い男声合唱曲は、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」に非常に良く似ている。

演奏はヤコブ・クロムホルツ指揮するプラハ国立歌劇場、1950年録音のモノラル。ローカルな味わいの中に作品への熱い思いが伝わる演奏だ。

P1010093 同じメンバーの演奏では、手元に「白鳥の湖」全曲があったことを思い出した。URANIAの2枚組LPで、おそらく「ダリボル」と同じ頃の録音。
ほの暗い木管の音色が特徴的。劇的でシンフォニックな演奏だが、この演奏では踊りにくそうだ。
オケが鳴り切ったフィナーレのド迫力はなかなかのもの。

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2007年6月11日 (月)

ジャニスのラフマニノフとプロコフィエフ

本日快晴、未だ昨日の興奮冷めやらず、帰宅後聴いたのはホロヴィッツの愛弟子バイロン・ジャニスの弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。伴奏はドラティ指揮のミネアポリス響による1960年のマーキュリー録音で、手持ちは「20世紀の名ピアニスト」シリーズの第51巻CD2枚組。

P1010082 家に数あるこの曲の演奏のうち、ジャニスの録音を選んだのは、昨日海瀬さんがアンコールで弾いたプロコフィエフのトッカータがカップリングされているという単純な理由のみ。
稀代のテクニシャン、ジャニスの黒光りするような艶の有る音と、華麗なテクニックを楽しむ一枚。だがトッカータは、海瀬さんの鮮烈な演奏と比べるといささか大人しい印象だ。

P1010081 ハンガリーのジョルジュ・シャーンドルの演奏も聴いてみる。
FSMから出ているプロコフィエフ・ピアノ作品全集6枚組LPから。

味のある演奏だが、こちらも物足りない。

昨日、「渋谷レコファン」で何枚か購入。ここは500円以下のB級中古LPの在庫が都内でもピカイチのお店。このところ音盤購入は控えていたのだが、ついつい足が向いてしまう。

 P1010085_1 P1010087 若き日のプレヴィンがイギリス室内管を振った「劇場支配人」全曲米RCA盤。ソプラノはバーンスタインのマーラーで可憐な歌声を聴かせたグリストが歌っている。
ブゾーニの作品を中心とする4手ピアノのための作品集ノンサッチ盤。ブゾーニ編によるモーツァルトの「幻想曲」、ベートーヴェンの「大フーガ」の4手編などが入っている。

P1010086_1 P1010088_1 ハンガリーの指揮者、ジョルジュ・レエールがハンガリー国立管を振った、ブラームス、リストのハンガリーにちなんだ曲を集めたパーラメント盤。
中学時代に実演を聴いたガッゼローニの吹く、ボッケリーニ、バッハのソナタなどのアンジェリクム原盤によるキング盤。カップリングされている「シランクス」は当日アンコールで演奏された。思い出の曲。

P1010091_1 P1010092 イーレク指揮ブルノ国立フィルによるマルティヌー・オペラ管弦楽曲集スプラフォン盤。
そしてコンラートとリンデのブロックフレーテ、ヴィンシャーマンのオーボエらが加わった、テレマンの「パルティータ集」ベーレンライター原盤による日本コロンビア盤などなど。いずれも380円以下のコーナーから。

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2007年6月10日 (日)

海瀬京子のラフマニノフ

本日朝から沼津は雨。昨年共演した海瀬京子さんがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾くというので上京。
早めに出て国立博物館で「ダ・ヴィンチ展」を見るつもりが、出発が遅れて中途半端な11時に東京着。やむなく予定を変更して、先日オープンしたばかりの千代田区立図書館へ行く。

Facilities_pic_08 新築なった千代田区役所9階フロアの真新しい図書館。コンシェルジュと呼ばれる若い案内嬢が丁寧に説明をしてくれる。NHKで大きく取り上げられたこともあり、多い時で一日3千人の入館者があるという。

新書本の検索システムをいじったり、ネットを借りたりした後、外の景色を眺めていると猛烈な雨が降ってきた。大雨洪水警報発令中というアナウンスも聞こえている。路上の下水道のマンホールの蓋が物凄い勢いで吹き上げられ、目の前のお城の堀にも凄まじい量の濁水が流れ込んでいる。

「こりゃ、台風直撃だった沼響20回定演の再来だな」などと思いながら、しばらく様子を見る。幸いにして小止みとなり今日の目的地「めぐろバーシモンホール」へ向かう。

Photo_mphb2 このホールは初めてだが、木目調の柔らかでシックな良いホールだ。ふわっとした椅子が実に座りやすく、座席を折りたたんだ時に荷物が置ける造りなのが良い。

Midori39 今日のコンサートは、横浜のアマオケ緑交響楽団第39回定演。団の沿革を読むと沼響と同じ1984年から活動を始めている。

曲目は、序曲「レオノーレ第3番」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そしてベートーヴェンの「田園」というなかなかの難曲。
指揮は、ここ数年沼響も振っていただいている横島先生。

最初の「レオノーレ」は弦楽器の健闘が光っていた。後半の難しいパッセージも無難にこなしている。横島先生の指揮はいつもとは異なるきっちり型。

そして次は海瀬さんのラフマニノフ。真紅のドレスで堂々とステージに登場する姿は、昨年よりもひとまわり大きくなったような印象だ(体格ではありません、念のため)。

そしてピアノによる神秘的な冒頭が始まる。切れ味鋭いスーパーテクニックにさらに磨きがかかり、洗練された輝かしい音でラフマニノフ独特の幻想的な美しさを見事に描ききっている名演だ。
幼い頃からこの曲を弾くのが夢だったという彼女の曲への深い共感がストレートに伝わってくる。オケも海瀬さんの演奏に触発されて熱い響きを出し始めた。

周囲の客も魅せられたようにステージ上の海瀬さんの姿を見つめ、中には涙を浮かべている人もいる。昨年よりもさらにスケールアップした彼女の演奏を聴いているうちに、自分もジーンとしてきた。

そしてアンコールはプロコフィエフのトッカータ作品11。ラフマニノフを弾いた後にこの難曲を弾くという、なんという余裕。テクニックの切れはますます冴えわたり。客席もステージ上の楽団員たちも完全に圧倒されていた。

後半の「田園」では木管楽器、特にオーボエが良い響きを出していた。第一ファゴットがフランスタイプのバソンを使っていて仰天。これは全く独特の音だ。

終演は4時ちょっと過ぎ、外へ出てみると爽やかな青空が広がっていた。

渋谷で一緒に聴いていた沼響の仲間と別れ、東急ハンズその他でちょいと買い物の後、9時ちょっと前に帰宅。
すると私の顔を見た娘が、「お父さん、今日ちょっとテンション高いね。」といきなりのひとこと。どうやらコンサートの興奮が未だ冷めていなかったらしい。

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2007年6月 9日 (土)

クリュイタンスの「運命」

雨、時々曇り夜から雷雨。飲み会の翌日はなぜか目覚めるのが早い。本日5時起床、娘を駅まで送りそのまま職場へ向かう。

51f8v9226gl_aa240_ 帰宅後「ベルリンフィル物語」(学研)に書かれている、新日本フィルのティンパニ奏者近藤高顕さんの、「運命」の聴き比べ記事を読んでいるうちにクリュイタンスの「運命」が聴きたくなった。
ベルリンフィルのフォーグラー氏に師事した氏の演奏者の立場から見た内容が非常に面白い。
特にクリュイタンスの「運命」は、フルトヴェングラー時代から80年にカラヤンと対立するまで、ベルリンフィルのティンパニストだった、テーリヒェンが叩いていると言う。
久しぶりにティンパニの音を注目しながら聴き直してみると、今まで気がつかなかった多くのことが見えてきた。

P1010078 時としてコントラバス、あるいはトランペットの音に同化しながら絶妙なタイミングとバランスで入ってくるテーリヒェンのティンパニが実に素晴らしい。
近藤氏が指摘している「縦に刻む点ではなく、横に流れるライン」のテーリヒェンのティンパニ。
音楽の流れを主導しながら随所で引き締めている至芸を堪能。
第4楽章でのティンパニの音の改変と、ダダダ・ダンの付加も初めて気がついた。これはクリュイタンスのアイディアだろうか。東芝EMIの廉価盤CDで、「運命」「田園」とのカップリング。
ついでに明日聴きにいく予定の海瀬京子さん出演の緑交響楽団の演奏曲目、「田園」の予習もクリュイタンスでしておく。

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2007年6月 8日 (金)

マッケラスのラモー

木曜のオケは小ホールで秋のファミリーコンサートの曲目「トトロ」と「グランドキャニオン」。狭い練習室と異なり、のびのび演奏できるのがありがたい。出席率も良く、本番同様の効率の良い練習が続く。「トトロ」のオーケストレーションがアンダーソンの曲に似ているのが話題となる。

そして金曜は、不思議な縁で繋がっていた4人のメンバーで三島で飲み会。各々全く関係ない所で付き合いがあったのが、ちょっとしたきっかけでそれぞれ共通の付き合いがあることが判明。今回の飲み会の実現となった。
Front_mini 一次会は三島駅の菰池近くの割烹「はちまき」。暖かで洗練された雰囲気の良い店だ。囲炉裏風の落ち着いた空間で会話も弾む。そして二次会はすぐ近くのマンション一室のプライベートバー。

Bowcask_1 Liquoryamato_1950_5306687 とても外からはバーには見えない佇まいに驚かされた。火曜、金曜のみの限られたお客のためだけのお店。美人でクレバーな二人の女性とおいしいお酒。ちょっと良い気分となり、めったに歌わないカラオケまで歌ってしまった。帰宅は日付が変わるちょっと前。久しぶりの楽しい、はな金。

P1010075 ほろ酔い気分で聴いたのは、サー・チャールズ・マッケラス指揮のロンドン響によるラモーの「カストールとポリュクス」とグルックの「オルフェオ」の二つの管弦楽組曲、独フィリップス盤LP。いわゆるモダンオケによる一昔前のスタイルだが、マッケラスの手際の良い指揮とロンドン響の引き締まったアンサンブルの隙のない名演。
いずれもモットルによるモダンオケ用の編曲があるが、このマッケラスの演奏は異なる独自の版を使用しているようだ。録音当時の研究成果を取り入れたマッケラスこだわりの録音。

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2007年6月 6日 (水)

ハンニカイネンの4つの伝説曲

今年度は昨年よりも職場の人員一名減。にもかかわらず、新規の大きなプロジェクトを二つも抱え青息吐息の状態だ。せめて家では仕事のことを忘れることにしよう。

P1010070 今日はクレンペラーの指揮するブルックナーの交響曲第7番から聴く。
昨年いただいた東芝の2枚組LPで、同じくブルックナーの「ロマンティック」とのカップリング。オケはフィルハーモニア管。

クレンペラーのブルックナーは、一種捉え所がなく自分としては苦手な部類だが、この演奏も、比較的速めのテンポで進めた第1楽章と、腰の据わった重心の低い第3楽章からの後半部分との落差が大きく、聴いていて戸惑いを覚える。
第4楽章後半の大きなテンポの揺れはユニークだが、一枚に詰め込んだために薄く狭い音質でクレンペラーの美質が充分に伝わってこない。

P1010074 続いて聴いたのは、フィンランドの名指揮者タウノ・ハンニカイネン指揮するモスクワ放送響によるシベリウスの「4つの伝説曲」全曲モノラルLP。
有名な「トゥォネラの白鳥」が2番目にくる新版による演奏。

この演奏は、学生時代に神保町のササキレコードでグラモフォンから出ていた国内盤を見つけたものの、手元不如意で買い逃してしまい。その後入手するまでに20年以上かかった思い出のレコード。

手元にあるのは粗末な紙ジャケのメロディア・ソビエト国内仕様盤LPで、センターホールが小さいために通常のレコードプレーヤーではかからない。やむなくカッターで穴を広げての視聴。

モノラルで録音も万全ではないが、冒頭の深いホルンの響に続く引き締まった弦楽器の充実した響きからして、強く惹かれる名演だ。
あたかも厳冬の凍てつく荒野に立ち、遥か遠くの地平線を見つめているような、広大なスケール感と孤独感がひしひしと伝わってくる。未だにこの演奏を超えるものはない。

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2007年6月 5日 (火)

ラベック姉妹のバルトーク

天気の良い清々しい毎日が続く。自転車で通勤途上の狩野川から聴こえるせせらぎの音も心地よい。仕事は、今後の組織の方向を左右する大きなプロジェクトが続き、緊張感に満ちた日々。

P1010071 今日はラベック姉妹の弾くバルトーク。「二台のピアノと打楽器のためのソナタ」と「ミクロコスモス」からバルトーク自身が2台のピアノのためにアレンジした7曲を聴く。打楽器はシルヴィオ・グアルダ他1名のエラート原盤の国内盤LP。70年代半ばの録音。彼女達の比較的初期の録音だ。
80年代に華々しく取り上げられウィスキーのCMにも出演していた彼女たちも、現在は地道な演奏活動をしているようだ。

目の覚めるようなシャープなリズムに満ちた攻撃的な演奏。だが、この演奏の主役は明らかにパーカションのグァルダだ。音の塊が散乱するグァルダの鮮烈な演奏に彼女達のピアノは太陽の周りを回転する惑星の趣。そして驚異的な優秀録音が大きな効果を上げている。まさに実在の響き。

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2007年6月 4日 (月)

羽田健太郎さん、逝く

一週間の始まりは初夏の陽気となった。

Ctcc04 ピアニストで作曲家の羽田健太郎さんが亡くなった。羽田さんには、3年前のトヨタコミュニティコンサートで「ラプソディー・イン・ブルー」と、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章を弾いていただいた。指揮は山下一史さんという豪華な顔ぶれだったこともあって、今でも思い出に残るコンサートだ。

きさくで明るい方だったが、その頃から顔色が良くなかったのが印象に残っている。足が痛むのか舞台裏では辛そうな表情だったが、いざステージに出ると、いつものあの魅力的な笑顔で会場が全体がぱっと明るくなったのが今でも忘れられない。
十八番の「ラプソディー・イン・ブルー」を弾く姿は本当に楽しそうだった。

P1010072 スタジオミュージシャンとしての羽田さんの録音は膨大な量があるという。
今日は羽田さんの弾くガーシュインの「サマータイム」を聴くことにする。

日本コロンビアから出ていた羽田さんをはじめ、秋満義孝、テディ池谷など、日本を代表するジャズピアニストたちによる「ピアノ・ラヴ・サウンド全曲集」というLP2枚組。

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2007年6月 3日 (日)

トスカニーニ追悼演奏会

良い天気の日曜だが本日出勤。せめて気持ちは休日気分ということで、狩野川の堤防沿いを川風に吹かれながら自転車で職場に向かう。先月まで川面でよく見かけたカワウはどこかへ行ってしまったようだ。カルガモも見あたらない。
職場では昨日のトラブルの確認と今後の対応の検討から開始。まぁ大事には至らなかったのでよしとしよう。

帰宅したらアリアCDからCDが届いていた。M&Aから出ている「トスカニーニ追悼演奏会全プログラム」2枚組。とグローヴス指揮ロイヤルフィルによるホルスト「惑星」「セントポール組曲」Sanctuary classics盤、そしてアラン・プラネス弾くのドビュッシーピアノ曲集「版画」「6つのエピグラフ」ほかの2枚組ハルモニアムンディ盤の以上3点。

P1010066 トスカニーニ追悼演奏会はワルターの「エロイカ」が非常に有名で、ワルター協会から出ていたLPが手元にある。このCDで当日の全貌が明らかになったわけだが、ミュンシュの「海」とモントゥーの「エニグマ変奏曲」が演奏されていたとは知らなかった。
CDのオビには、アーロン・スナイダー復刻による当時としては極上のモノラルライヴと書いてある。

P1010069 どれどれと、試しに「エロイカ」の第一楽章のみをワルター協会のLPと聴き比べてみたが、音の生々しさとエネルギー感でLPの方が圧倒的に上だ。CDの音はお話にならないボケた音、これでは看板に偽り有りだ。

このCDには、おまけとしてトスカニーニ引退後のNBC響がシンフォニー・オブ・ジ・エアーとして再出発した直後に指揮者なしで録音された「マイスタージンガー前奏曲」「くるみ割り人形」「ローマの謝肉祭」がカップリングされている。1954年録音だが、なんとステレオ録音。「くるみ割り人形」を聴いてみたが、多少の古さは感じられるが立派なオリジナルステレオ録音だった。

P1010068 次にグローヴスの「セントポール組曲」も聴いてみた。
相変わらず慈愛に満ちた暖かな演奏で、聴いているうちにウトウトしてきたが、何か変だ。
なんと、第3曲目と第4曲目が入れ替わっている。解説書には、第3曲インテルメッツォ、第4曲フィナーレと書いてあるので、グローヴスが意図して入れ替えたわけでもなさそうだ。気の毒なグローヴス。

P1010067 プラネスのドビュッシーは、ベヒシュタイン、ブリュートナーなど、アルバム毎に使用ピアノを変えた凝ったアルバム。ここではスタインウェイを使用している。


P1010065 沼響のHPの聴き比べ「ブラームスの4番を聴く」に、シューリヒト&ウィーンフィルの感想をアップしました。

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2007年6月 2日 (土)

渡邊一正、川畠成道、東京フィル

爽やかなる休日の朝。今日は午後から東京フィル沼津公演を聴く。当初沼津出身の大賀典雄さんを招いてのお祭り気分的なコンサートだった東京フィルの沼津公演も回を重ねるうちに定着してきた。前回は金聖響を招いての演奏会だった。

Disccontentscd1 今日は渡邊一正指揮と川畠成道のヴァイオリン。曲目は「悲劇的序曲」、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にチャイコフスキーの交響曲第4番というもの。
著名な大家ばかりでなく、このようなフレッシュな実力派若手演奏家を招いてのコンサートも良いものだ。

先日自分も演奏したばかりの「悲劇的序曲」が冒頭にあり、これは興味深々といったところ。渡邊一正の指揮は横島先生の一心不乱没入型とは正反対のきっちり型。安全運転に終始して楽しめない。

続いて川畠成道の登場、記憶に定かではないが彼の演奏を聴いたのは2度目のはず。
甘く美しい音色でロマンティックに歌い上げるのが彼の美点と見た。これがメンデルスゾーンのような曲だとベストマッチだ。第一楽章のカデンツの個性的な節回しも印象的。アンコールはバルトークの無伴奏ヴァイオリンソナタから(たぶん)。これがピシッと張り詰めた緊張感に満ちた名演。

チャイコフスキーの交響曲第4番は、ロシア的な重量感よりも端正に進めた純音楽的な演奏。一緒に聴いていた隣席の沼響メンバーの「弦が少ないな」という指摘で初めて気がついたが、12型が珍しくないチャイコフスキーで今日は10型通常配置でコントラバス6本。

ただし厚みの不足はさほど感じない。第一楽章の中間部で少しずつテンポを上げ、大きなクライマックスを築く部分などオケが精一杯鳴りきり爽快さも感じられる。第3楽章初めの遠近感を持ったピチカートのアンサンブルも立派なものだ。

アンコールはブラームスの「ハンガリー舞曲第一番」。ブラームスで始まり、ブラームスに終わるコンサート。

終演は5時を回っていた。夕食の買い物を済ませた帰宅。職場の飲み会だという家内を町まで送り、携帯をふと見ると職場からの着信記録有り。
不吉な予感がし留守電メッセージを再生したら、やはりトラブル発生、現在対応中とのこと、急ぎ返電するも応答無し。とにかく職場に駅から直行する。

だが職場に到着したら守衛しかいない。事情を聞いてみるとたった今職員は帰ったとのこと。その後ようやく連絡が取れ、なんとか対応はできたとのこと。
とにかく明日出勤して事情を確認しよう。

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2007年6月 1日 (金)

グランド・キャニオン初見

今日から6月。ここで潜在化していた仕事上の問題点が一挙に噴出した一日。朝は良い天気だったので本日バイクで出勤したが、帰宅しようとした9時過ぎから突然雨が降り始めた。yahoo天気予報の雨雲の動きでは、その時間帯は沼津上空のみ雨雲。・・・ついていない一日。

昨日の練習は、秋のファミリーコンサート向けのプログラムの初見大会だった。「美しき青きドナウ」「カルメン」前奏曲、「威風堂々」など、おなじみの曲目が続き、後半は「トトロ」、そしてグローフェの「グランド・キャニオン」。

「グランドキャニオン」は初めて演奏したが、随所で出てくる聞かせ所をしっかり押さえるのがポイントのようだ。「嵐」の後半はフォルティシモの連続で体力的にもキツイ。これはヘタすると単なる騒音の羅列に終わりそうだ。
全曲通して35分。この種の音楽を聴き手を飽きさせず演奏するのは至難の技だ。実演で聴く機会が少ないのも判るような気がする。

P1010063 定演のDVDが出来てきた。自画自賛ではないが、なかなか良い。曲の難易度がそのままに結果に出ているというのが正直なところだが、冒頭の「悲劇的序曲」など、荒削りながら雄大な出来。ブラームスの重厚さも良く出ている。

ブラ4も第6回定演の時とは格段の差。横島先生の曲への共感がそのままストレートに出た演奏だ。両端楽章後半の盛り上がりなどなかなか興奮させられる。
ただしホルンセクションは、パートとしてのまとまりがいまひとつ。これは今後の課題となりそうだ。

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