本日朝から沼津は雨。昨年共演した海瀬京子さんがラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾くというので上京。
早めに出て国立博物館で「ダ・ヴィンチ展」を見るつもりが、出発が遅れて中途半端な11時に東京着。やむなく予定を変更して、先日オープンしたばかりの千代田区立図書館へ行く。
新築なった千代田区役所9階フロアの真新しい図書館。コンシェルジュと呼ばれる若い案内嬢が丁寧に説明をしてくれる。NHKで大きく取り上げられたこともあり、多い時で一日3千人の入館者があるという。
新書本の検索システムをいじったり、ネットを借りたりした後、外の景色を眺めていると猛烈な雨が降ってきた。大雨洪水警報発令中というアナウンスも聞こえている。路上の下水道のマンホールの蓋が物凄い勢いで吹き上げられ、目の前のお城の堀にも凄まじい量の濁水が流れ込んでいる。
「こりゃ、台風直撃だった沼響20回定演の再来だな」などと思いながら、しばらく様子を見る。幸いにして小止みとなり今日の目的地「めぐろバーシモンホール」へ向かう。
このホールは初めてだが、木目調の柔らかでシックな良いホールだ。ふわっとした椅子が実に座りやすく、座席を折りたたんだ時に荷物が置ける造りなのが良い。
今日のコンサートは、横浜のアマオケ緑交響楽団第39回定演。団の沿革を読むと沼響と同じ1984年から活動を始めている。
曲目は、序曲「レオノーレ第3番」、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そしてベートーヴェンの「田園」というなかなかの難曲。
指揮は、ここ数年沼響も振っていただいている横島先生。
最初の「レオノーレ」は弦楽器の健闘が光っていた。後半の難しいパッセージも無難にこなしている。横島先生の指揮はいつもとは異なるきっちり型。
そして次は海瀬さんのラフマニノフ。真紅のドレスで堂々とステージに登場する姿は、昨年よりもひとまわり大きくなったような印象だ(体格ではありません、念のため)。
そしてピアノによる神秘的な冒頭が始まる。切れ味鋭いスーパーテクニックにさらに磨きがかかり、洗練された輝かしい音でラフマニノフ独特の幻想的な美しさを見事に描ききっている名演だ。
幼い頃からこの曲を弾くのが夢だったという彼女の曲への深い共感がストレートに伝わってくる。オケも海瀬さんの演奏に触発されて熱い響きを出し始めた。
周囲の客も魅せられたようにステージ上の海瀬さんの姿を見つめ、中には涙を浮かべている人もいる。昨年よりもさらにスケールアップした彼女の演奏を聴いているうちに、自分もジーンとしてきた。
そしてアンコールはプロコフィエフのトッカータ作品11。ラフマニノフを弾いた後にこの難曲を弾くという、なんという余裕。テクニックの切れはますます冴えわたり。客席もステージ上の楽団員たちも完全に圧倒されていた。
後半の「田園」では木管楽器、特にオーボエが良い響きを出していた。第一ファゴットがフランスタイプのバソンを使っていて仰天。これは全く独特の音だ。
終演は4時ちょっと過ぎ、外へ出てみると爽やかな青空が広がっていた。
渋谷で一緒に聴いていた沼響の仲間と別れ、東急ハンズその他でちょいと買い物の後、9時ちょっと前に帰宅。
すると私の顔を見た娘が、「お父さん、今日ちょっとテンション高いね。」といきなりのひとこと。どうやらコンサートの興奮が未だ冷めていなかったらしい。
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