ハンニカイネンの4つの伝説曲
今年度は昨年よりも職場の人員一名減。にもかかわらず、新規の大きなプロジェクトを二つも抱え青息吐息の状態だ。せめて家では仕事のことを忘れることにしよう。
今日はクレンペラーの指揮するブルックナーの交響曲第7番から聴く。
昨年いただいた東芝の2枚組LPで、同じくブルックナーの「ロマンティック」とのカップリング。オケはフィルハーモニア管。
クレンペラーのブルックナーは、一種捉え所がなく自分としては苦手な部類だが、この演奏も、比較的速めのテンポで進めた第1楽章と、腰の据わった重心の低い第3楽章からの後半部分との落差が大きく、聴いていて戸惑いを覚える。
第4楽章後半の大きなテンポの揺れはユニークだが、一枚に詰め込んだために薄く狭い音質でクレンペラーの美質が充分に伝わってこない。
続いて聴いたのは、フィンランドの名指揮者タウノ・ハンニカイネン指揮するモスクワ放送響によるシベリウスの「4つの伝説曲」全曲モノラルLP。
有名な「トゥォネラの白鳥」が2番目にくる新版による演奏。
この演奏は、学生時代に神保町のササキレコードでグラモフォンから出ていた国内盤を見つけたものの、手元不如意で買い逃してしまい。その後入手するまでに20年以上かかった思い出のレコード。
手元にあるのは粗末な紙ジャケのメロディア・ソビエト国内仕様盤LPで、センターホールが小さいために通常のレコードプレーヤーではかからない。やむなくカッターで穴を広げての視聴。
モノラルで録音も万全ではないが、冒頭の深いホルンの響に続く引き締まった弦楽器の充実した響きからして、強く惹かれる名演だ。
あたかも厳冬の凍てつく荒野に立ち、遥か遠くの地平線を見つめているような、広大なスケール感と孤独感がひしひしと伝わってくる。未だにこの演奏を超えるものはない。
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