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2007年8月に作成された記事

2007年8月31日 (金)

ベルガマスク組曲 さまざまな版

曇時々雨。昨晩は仕事絡みで草月流家元の勅使河原茜さんの講演に係り、オケの練習には参加できなかった。

http://www.sogetsu.or.jp/

いけばなの世界は全くの門外漢だが、舞台裏に見る本番に向けての緻密な計算と周到な準備。本番では、素材の最も美しい姿を探り出しながら花を活けていく過程を見るうちに、音楽の実演の現場と共通するものを見た思いがした。

P1010213 下の娘がドビュッシーの「ベルガマスク組曲」のプレリュードを練習していくうちに、自分の使用楽譜と音盤に聴くさまざまなピアニストの演奏と音が違うと言い出した。

どうやら「プレリュード」の2小節めの2拍め、16分音符の2番目の音が「ラ」の場合と「シ」の演奏があるらしい。
娘の使用楽譜は家内が中学時代に使ったというかなり古い楽譜で、井口基成校訂の春秋社発行。該当箇所は「シ」となっている。

P1010210 P1010211 半信半疑で手持ちの音盤30種ほどをざっと聴いてみた。するとギーゼキング、フェブリエ、フランソワをはじめとしてリヒテル、プラネスなど大多数は「ラ」。
手持ちで「シ」で弾いているのは、ヴェルデルニコフ、ヘンケマンス、リンパニー、安川加寿子、田中希代子の5人のみ。

「へぇー」と思いいろいろと調べてみた。
1890年に作曲された「ベルガマスク組曲」の自筆譜は紛失。1905年のフロモン社の初版は「シ」だが、1918年のドビュッシーの死去を挟んで1932年に復刻されたジョベール社のものは「ラ」だという。

現在出ている楽譜のうち「 コスタラ版」は「シ」、「 ウィーン原典版」と「 ヘンレ版」は「ラ」
国内のものでは音楽の友社は「ラ」、そして最新の春秋社はなんと「ラ」に変わっていた。

「ベルガマスク組曲」は作曲後もドビュッシーがいろいろと手を加えているので、初版発行後に「シ」を「ラ」に変えた、もしくは初版の「シ」はミスプリで復刻版で直した。ということなのだろうか。どうやら「ラ」で弾くのが本流らしい。

「シ」が刷り込みとなってしまった娘は、頑固に「シ」で通すという。

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2007年8月29日 (水)

ギュットラーのトランペット

曇り後夕方から雨。しだいに過ごしやすくなってきた。仕事は相変わらずの綱渡り状態だが、粛々と進行中。

P1010222 今日は旧東ドイツを代表するトランペット奏者ルードウィッヒ・ギュトラーのトランペットを聴いた。モルター、作曲者不詳、ハイドンとL.モーツァルトの有名でない方のトランペット協奏曲など4曲収録の旧東独ETERNAのLP。名匠M.ポンマーが伴奏を付けている。

オケの響きに控えめに溶け込んでいるシルキーで暖かなギュトラー独特の音色が素晴らしい。
実演で聴いた時も、伴奏のオケと一緒になって音楽を造っていく姿勢が伝わってきたことが印象に残っている。

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2007年8月28日 (火)

グラシスのメンデルスゾーン

仕事中はさほどでもないが、帰宅後にどっと疲れが噴出全身メルトダウン状態のここ数日。昨日は音楽を聴いていない。

P1010214 今日は身近に目に付いた未聴CDからグラシス指揮ヴェニス・フェニーチェ劇場管によるメンデルスゾーンを聴いた。
Accordのフェスティバルシリーズ中の一枚で、「スコットランド」「イタリア」の2曲の交響曲が入っている。

グラシスといえば、ミケランジェリとのラヴェルのピアノ協奏曲の名演が印象深いが、この演奏は汁気の全くない干からびて痩せた響きがかなり気になった。
たっぷりとした豊かな表現が不可欠な「スコットランド」では致命的。
その点「イタリア」はまだ良いが、雑なアンサンブルで水準は低い。

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2007年8月26日 (日)

ベイヌムのロッシーニ

8月最後の日曜日、暑さはまだ続いているがツクツクホウシが鳴き始めた。秋の到来も間近い。昨日から耐震も兼ねた家の改築工事が始まった。天気も良く順調に進んでいるようだ。

P1010209 今日は、エドヴァルド・ヴァン・ベイヌム指揮によるロッシーニ序曲集。英デッカの廉価レーベル、リッチモンドのLPで、「ウイリアムテル」「セミラーミデ」「どろぼうかささぎ」「絹のはしご」の4つの序曲。
風格豊かで品の良い演奏。このころのコンセルトヘボウ管は実にうまい。

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2007年8月25日 (土)

フルトヴェングラーのピアノ

残暑厳しい週末、昼から親戚の法事に出席。猛烈な蝉時雨に囲まれたお寺の本堂は茹だるような暑さだった。お坊さんも気を利かせたのか、お経のテンポが気のせいかいつもよりも速めだったような。
その後場所を移して海鮮割烹で皆で昼食。親戚とはいえ江戸の昔に分かれた家なので顔見知りは少ない。昼間のビールは良く回る。ほろ酔い加減で帰宅した後はそのまま寝入ってしまった。

P1010206 目覚めた後に聴いたのは、ワルター協会原盤の「フルトヴェングラーと名歌手たち」というLP。
フィッシャー・ディースカウの歌う「さすらう若人の歌」の1951年ザルツブルクライヴ、ペーター・アンデルスとのR.シュトラウスの歌曲4曲(1942年)、そしてシュワルツコップの歌うヴォルフの歌曲6曲(1953年ザルツブルク音楽祭)というもの。
シュワルツコップの演奏ではフルトヴェングラーがピアノを弾いている。

フルトヴェングラーの弾くピアノでは、ブランデンブルク協奏曲第5番のロマンティックな演奏が非常に印象に残っているが、この伴奏もシュワルツコップを優しく包み込んだ見事なもの。
P1010208 ムーアの伴奏で録音したシュワルツコップの「ゲーテ歌曲集」から両盤に共通している「アナクレオンの墓」を聴いてみた。こちらは1956年録音のステレオのEMI録音。
わずか3年の違いだが、歌唱の深さではこちらが勝るようだ。

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2007年8月24日 (金)

モントゥーのジュピター

実働二日の一週間も今日で終わる。夏休みを取った週のなんとも短いことよ。本日の仕事は来週に向けての新たな助走の一日。懸案事項への新たな伏線を張りめぐらし定時帰宅。備えあれば憂いなし。

帰宅したらアリアCDからDisco ArchiviaのCDが数枚届いていた。数ヶ月前にかなりの数のDisco Archivia盤を発注していたが、忘れた頃に少しずつ届くのが良い。

今回はセルとモントゥーの各々2セットずつ到着。
セルは、マーラーの「大地の歌」、ドボルザークの第8番その他、そして「伝説」、交響曲第4番、第2番のシベリウスプロというもので、いずれもステレオ録音。

モントゥーはモーツァルトの「ジュピター」、ミヨーの「プロメテウス」、W.シューマンの交響曲第3番の組み合わせでのボストン響とのライヴ、1952年4月19日の演奏。
もうひとつは、「悲劇的序曲」、「英雄」、ブロッホの交響的協奏曲を演奏した1952年11月28日のコンサートの模様にオマケとしてチマローザの「秘密の結婚」序曲、グルックのアリア数曲にレーガーの「ロマンティック組曲」にモントゥーのインタヴューの入った2枚組モノラルCD。

P1010207 パッケージも解説書もなし、CD-Rにマジックで数字が書いてあるだけの怪しげなシロモノで、とにかく聴ければ良いという体裁だ。
放送録音そのまんまのエアチェックのため、曲と演奏家のアナウンスが入るのが妙にリアリティがある。

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2007年8月23日 (木)

近衛・ベルリンフィルのモーツァルト

早朝から雷を伴った雨、その後日中は晴れ。気温も低くなり比較的過ごしやすい陽気となってきた。三日ぶりの職場復帰で、机の上は書類山積みパソコン周辺伝言メモベタベタ状態。
一日フル稼働して何とか遅れを取り戻すつもりが、午後に他のセクションのメンバーと戸田地区へ行く約束があったことを失念していた。
おかげで午後は全部つぶれ、5時過ぎに席に戻ると午前中処理した分とほぼ同量の書類が増えていてゲンナリ。
未だ夏休みモードから抜け出しきれない私は、未決の書類の山を後にオケの練習に向かうのであった。

今日は中西先生の指揮でグランドキャニオンとトトロ。先週練習は休みだったので、メンバー一同いまいち乗り切れずに練習は終了。外に出てみると激しい雨。

P1010154 今日は新星堂から出ていた「栄光のベルリンフィル」シリーズから近衛秀麿の振るモーツァルトの協奏交響曲K.297b を聴いた。1937年1月の録音。
クラリネットのビュルクナー、オーボエのヴェンツケ、ホルンのツィーラー、ファゴットのローテンシュタイナーなど1920年代から60年代はじめまでのベルリンフィルの管楽セクションのスター奏者たちの名技を楽しむ一枚。
ベルリンフィルを振ってもマイペースを崩さないゆったりノンキな近衛の指揮は、これはこれで大したものだ。

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2007年8月22日 (水)

コンセルトヘボウ・アンソロジーのオーマンディー

P1010167 日曜日から夏休みを取り、八ヶ岳のコテージへ行っていた。天気も良かったので八ヶ岳を拠点に明野の向日葵畑や伊那方面に行きソースカツ丼やダチョウのから揚げなどを食したが、日頃の疲労の蓄積からか長時間のドライヴが苦痛となってきた。
中央高速走行中に一瞬ウトウトとなり、危ない場面に遭遇してしまった。幸いにして大事に至らなかったが運が悪ければ大事故になるところだった。

73354497089 NHK大河ドラマの影響で、甲斐、信濃路はどこも風林火山の幟がたなびいている。昨年建設中だった「風林火山館」は、堀を掻き揚げ、櫓を付けた戦国時代の館を再現したもので、同じようなものはいくつかあるのでさほど珍しいものでもないが、夜の和太鼓のイベントがあるというので行ってみた。

2 出演は大河ドラマのテーマ音楽を演奏したことがあるという天野宣率いる亜羅漢というグループ。国連デーコンサートにも出た天野さんは今年75歳だという。
ライトアップされた戦国の館に響く笛と和太鼓5人によるコンサート。さすがに見事なものだ。時おり遠くの山々を走る稲光が凄愴な雰囲気を増幅している。最後に地元の有志40名ほどの和太鼓オーケストラによる天野さん作曲の「和太鼓のための奏鳴曲」が演奏された。全5楽章で演奏時間30分を超える大作。

P1010188 昼間は大泉にある金田一春彦記念図書館に行ってみた。昨年亡くなった金田一先生の蔵書コーナーもある公立図書館。建物も新しく落ち着いた雰囲気の素敵な図書館だった。

P1010205 持参したCDは、コンセルトヘボウ・アンソロジー4「1970-1980」CD14枚組。登場するのはオーマンディー、アンチェル、オッテルロー、コンドラシン、ジュリーニなどの豪華な面々。
1枚目のオーマンディーのシベリウスの交響曲第7番の清潔にして豊麗な響きの演奏からして深く引き込まれてしまう。毅然としたオッテルローのベートーヴェン、鮮烈なコンドラシンのショスタコーヴィチなどなど。
いずれも良好なステレオ録音。TAHRAから出ていたアンチェルのフランクとハイドンも、こちらの方が音が良い。

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2007年8月18日 (土)

フリッツ・ブッシュのシューマン

今日は涼しい、8月も半ばを過ぎ微かに秋の気配。本日出勤、巷は盆休みで出勤時の道路は空いていた。
明日から夏休みを取り家族と毎年恒例の八ヶ岳へ行く予定だが、天気は崩れそうな気配。

P1010166 今日もフリッツ・ブッシュを聴いた。Tahraから出ているCDで、ベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェリーニ」序曲、レーガーの「ヒラーの主題による変奏曲」、そしてシューマンの交響曲第4番というもの。ハンブルクの北西ドイツ放送響を振った1951年2月25,26日のブッシュ最晩年のライヴ。

レーガーの曲でこれほど楽しめたのは初めてだ。気品とロマンに満ち、厳しく仕上げたシューマンはさらに素晴らしい。フルトヴェングラー盤に匹敵する名演。
シュミット・イッセルシュテットによって創設されたばかりのNDRのオケは、相当な名人揃い。豪快で男性的な重厚な響きで怒涛の演奏を聴かせてくれる。

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2007年8月17日 (金)

トスカニーニ、スタジオ3Aのハフナー

最近、トスカニーニのリハーサル録音をいろいろと聴いている。

P1010163 P1010162 今日聴いたのは「死と変容」とモーツァルトの「ハフナー」。
いずれも1946年の記録で、R.シュトラウスはASdisc、モーツァルトはスイスRELIEFから出ているCD。
R.シュトラウスは怒号飛び交う恐怖のリハーサルが展開しているが、モーツァルトは意外にも上機嫌のトスカニーニが聞ける貴重なもの。

このハフナーのリハーサルは1946年11月2日にNBCのスタジオ8Hでおこなわれたもので、翌日の放送録音のためのリハーサルだという。自ら大きな声で歌いながらヴァイオリンのみを猛烈な速さで弾かせたりしている。

P1010164_2 RCAから一般発売されている録音は、11月4日にスタジオ3Aで行われている。ちょっと気になり聴き比べてみた。
演奏そのものに変化はないが、細部まで鮮明なリハーサル録音に比べてスタジオ3Aでの録音は音が鈍く、トスカニーニのスタジオ録音中で最悪の音。

P1010165ニューヨークフィルとの録音も聴いてみた。 1929年カーネギーホールでの収録。手持ちはRCAから出ていたトスカニーニ100シリーズの国内盤LP。
こちらはNBC響との演奏と全く異なるロマンティックな解釈。第一楽章冒頭は速いテンポではじまるものの、序奏のフォルテの直後で、ガクンとテンポを落とし優しげな表情を見せるのが非常に印象的だ。
ニューヨークフィルのしなやかな響きも素晴らしい。ただし第2,3楽章は極端に遅く、こちらは後の録音の方が自然。録音状態も1946年のスタジオ3Aのものより聴きやすい音だ。

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2007年8月16日 (木)

フルネのグノー「ロメオとジュリエット」

昨晩はあまりの蒸し暑さのためよく眠れず、本日寝不足気味。今日もあい変らずの暑さで熊谷で観測史上初の40.9度。
夜はにわか雨が有り、昨晩よりは多少過ごしやすい。

昨日は毎年恒例となった高校吹奏楽部のOBバンド演奏会の日だった。
今年も「アルメニアンダンス」や「ディスコキッド」など懐かしい曲を演奏する予定で、練習もしていたのだが、どうしても抜けられない「会議」が入ってしまい、痛恨の不参加となってしまった。
本日指揮をした後輩と偶然会うことが出来、盛況だった演奏会の様子などを聞いた。80名を超える大所帯での演奏となり、非常に盛り上がったとのこと。来年はなんとしても出るぞ。

夜は、昨日ヨーロッパ旅行から帰国した弟から、今年のザルツブルク音楽祭の様子などを聞く。今年のザルツブルクは気温が低かったようだ。ザルツブルク音楽祭最後の出演となるドミンゴの「スペイン歌曲の夕べ」などを聴いたという。

P1010157 今日は、ジャン・フルネが指揮したグノーのオペラ「ロメオとジュリエット」全曲を聴く。
イタリアのBellaVoceから出ているCDで、1966年にオランダ放送フィルを振った演奏会形式上演のライヴ録音。
歌手はフランスのテノール、ヴァレンゾとオランダのソプラノ歌手スポーレンベルグらが出演。ビゼーのオペラ「真珠採り」抜粋がカップリングされている。

このオペラは「ファウスト」と並ぶグノーのオペラの代表作だが、全曲を聴いたのは初めて。演奏の良さもあるが、ドラマティックで美しい旋律に満ちていて、筋がわからなくても充分楽しめた。バッハを思わせるフーガが展開する短い前奏曲も良い曲だ。

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2007年8月15日 (水)

ヘンケマンスのドビュッシー

昨日から仕事再開。出勤のためバイクに跨るがエンジン始動せず。しばらく乗らないうちにバイクに怠け癖が付いてしまったのか、ビクともしない。やむなく自転車に切り替えたが、朝から気温は高く職場に到着した時は汗びっしょり。

再びピアノを習い始めた下の娘がドビュッシーの「ベルガマスク」組曲を弾いている。
いろいろなピアニストの演奏を一緒に聴いてみた。リヒテル、フランソワ、フェブリエ、チッコリーニ、ヘンケマンス、ハース、リンパニーなどなど。
P1010158 P1010160 娘はハースがお気に入りの様子。どうやら、はっきりとした粒立ちの良い音が好みのようだ。

いろいろと聴いてみて自分が気になったのがオランダのピアニスト・作曲家ヘンケマンスの演奏。フィリップスのダッチマスターズで出ていた50年代のモノラル全集録音。
余分な感情を排した実に明晰なドビュッシー。聴き手に媚びない孤高の演奏だが、曲によって出来のムラがあり全集としてのまとまりは今ひとつ。

P1010159 ヘンケマンスのドビュッシーにはArtoneレーベルにステレオ再録音がある。
手持ちは「子供の領分」「版画」「映像」の日本コロンビア盤の一枚しかないが。結晶化した純な音色にちょいと気取った大人の雰囲気が漂う素敵な演奏だ。

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2007年8月13日 (月)

ラターのレクイエム

連休三日目、今日からお盆。あい変らずの暑さで、庭に水を撒いても焼け石に水。
自転車をこぎながらお経を上げに来た若いお坊主さんは、玉の汗を流しながら仏壇の前で読経。お墓参りは夕方に済ませ迎え火を玄関先で炊く。

Images あまりにも暑いので、友人製作のウエスタンの真空管300Bを使ったアンプからクォードの606に切り替える。スピーカーは長年愛用のスペンドールBCⅡ。かつてはこの組み合わせで長いあいだ聴いていた。
レンジは多少狭くなったが、繊細で暖かな良い音だ。スペンドールとの相性も良い。

お盆だからというわけでもないが、今日は現代イギリスの作曲家ラターのレクイエム。フォーレやデユリュフレの名作にも通じる癒し系の心優しいレクイエム。

P1010155 聴いたのはNAXOSから出ているティモシー・ブラウン指揮のケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊によるもの。室内オケ版ではなく、アンサンブル・バージョンによるもの。ラター自身のプロデユースで直前に交通事故で亡くした息子へ捧げられたアルバムだという。

純粋で深い祈りと親しみやすい美しさに満ちた素晴らしい曲だ。演奏も良い。オーボエとハープの伴奏による第6曲「主は我が羊飼い」は一度聴くと忘れられない。
適度な残響を伴った修道院での録音がクォードとスペンドールにもぴったりだ。

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2007年8月12日 (日)

ホルヴァートのバルトーク

休み二日目の今日は、娘が出場する吹奏楽コンクール県大会を聴きに隣町の富士市ロゼシアターへ。とても出場23校全部を聴き通す気力はないので、途中何回か会場を抜け出しながらの観戦。

多彩な自由曲が面白い。アーノルドの交響曲やグリエールのバレー曲、シャルパンティェの「イタリアの印象」など、管弦楽作品のアレンジとはいえ、普通実演で聴けそうもない曲が聴けるのがありがたい。
しかも1曲入魂、その曲だけを何ヶ月も練習しているので、レベルも一定の水準以上でなかなか聞き応えのある演奏が続く。

上位校ともなると演奏水準が拮抗しているので、自由曲の選択が審査結果に大きな影響を及ぼすようだ。正直なところ吹奏楽のオリジナル曲よりもオケの編曲物を選んだ学校により大きな感銘を受けた。

圧巻はバルトークの「中国の不思議な役人」を演奏した浜松海の星高校。一糸乱れぬアンサンブル、個人の技術も確かなものだ。「春の祭典」にも似た変拍子も苦もなくクリアしている。これは凄かった。

吹奏楽のオリジナル曲では、カレル・フサの「プラハのための音楽1968」が印象に残った。スメタナの「我が祖国」でも使われていたフス軍団のコラールが全曲に渡って鳴り響く。後にオーケストラ版も作られ、ジョージ・セルも演奏したという名作だ。

P1010148 今日はミラン・ホルヴァート指揮オーストリア放送響による組曲「中国の不思議な役人」を聴いた。駅売りCDの類のポイントクラシックス中の一枚。「管弦楽のための協奏曲」とのカップリング。
この曲独特のオドロオドロしさとバーバリスティックな側面を見事に描き出した名演だ。

P1010149 この「オケコン」は、同じく怪しげな駅売りCDでパンタリ指揮フィルハーモニアスラヴォニカという名で出ている演奏と同一。こちらのCDはなんとカレル・フサ指揮の組曲「中国の不思議な役人」とのカップリング。


P1010150 もうひとつフサの「プラハのための音楽1968」も聴いた。B.コールマン指揮のスロヴァキア放送響によるマルコポーロ盤CD。
オーケストラ版による演奏だが緊張感に欠けるダルな演奏で、数多い吹奏楽版の他の録音に遠く及ばない。セルの指揮した録音は残っていないのだろうか。

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2007年8月11日 (土)

フリッツ・ブッシュのシューベルト

今日も暑かった。気温38度を超えた町もあるという。朝6時、明日の吹奏楽コンクール県大会を控えて練習のため学校に行く娘を車で駅まで送る。
盆休みに入り近国道414号は朝早くから車の量多し。ガソリンを入れようとスタンドに寄ったところ7時前だというのに大層な混雑。皆県外ナンバーだ。

Photo ブラームスの交響曲で大きな感銘を受けたフリッツ・ブッシュの演奏を聴く。
米コンサートホールのLPで、シューベルトの交響曲第5番とメンデルスゾーンのスケルツォ作品20のカップリング。スイスのウィンタートゥール響を振った1949年録音。

愛らしい小さな交響曲をブッシュは実に爽やかに演奏している。ユーモアとウィットに富んだメンデルスゾーンも第一級の芸だ。

P1010155 もうひとつはソレルの「2台のオルガンのための6つのコンチェルト集」。
パワー・ビックスとD.Pinkhamの弾く米コロンビアLP盤。こちらも小型オルガンの掛け合いが楽しい軽妙な曲。

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2007年8月10日 (金)

神尾先生との初練習

猛暑続く。仕事は7月のオーバーヒートが崇り8月に入りいささか中だるみ気味。体調は悪くないが仕事中に眩暈が少々。冷房の噴出し口がデスクの側にあり体が冷え気味だ。
明日から月曜まで盆休みを取り体調を整えよう。

昨日の練習は、小ホールで秋のファミリーコンサートの沼津公演を振っていただく神尾昇先生との初顔合わせ。毎度30分遅刻の到着。ロビーでウォーミグアップ後「グランドキャニオン」の途中から参加する。

異なった指揮者で1月足らずの間を置き、全く同じ曲目の演奏会を行うという今回のコンサート。どうしても二人の指揮者を比べてしまうが、音楽造りが異なるので、正直オケも途惑い気味だ。出てくる音楽は全く異なるものになりそうだ。

神尾先生とは初めてなのに、まるで以前からずーと沼響を振っていたような雰囲気だ。指揮者も団員もリラックス。既に海外でのコンクール経験も有り、オケとのコミュニケーション造りも手慣れているようだ。

「グランド・キャニオン」に引き続き「威風堂々」第一番。こちらは要所要所を押さえる軽いジャブを応酬の趣。
「威風堂々」は久しぶりだが、どうも今回の使用楽譜に問題があるようだ。さすがに神尾先生は速度記号の欠落を鋭く指摘されたが、自分にはパーカションパートにもかなり落ちがあるような気がする。

そして最後は「美しき青きドナウ」。ここで先生は、ウィーン独特のウィンナリズムと普通のきっちりとした三拍子を小節毎に細かく分けて演奏するように指示。これは新鮮な驚きがあった。これからの練習が楽しみになってきた。

P1010163 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」に、ブラームスの盟友シュタインバッハに教えを受けたフリツ・ブッシュの演奏の感想をアップしました。連載29回目

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2007年8月 8日 (水)

ワルター&ニューヨークフィルのベートーヴェン

このところパソコンの調子が悪く使用中に突然電源がダウンしてしまう。本体の加熱が原因らしい。扇風機で周囲を冷やしながら使用。

P1010159 ワルター&ニューヨークフィルのベートーヴェンを聴く。聴いたのは2番と4番の二つの交響曲で、1952年録音の米コロンビアのモノラルLP。
オケの豊かな響きと端正にして緊張感あふれるワルターの指揮が素晴らしい。後のステレオ録音に比べると影の薄い録音だが、雄大な第2番など、こちらの方が良いと思う。

P1010161 音楽部屋のクーラーを替えたので、夏場は敬遠していたワーグナーも快適に聴ける。
クレンペラーがフィルハーモニア管を振った演奏も聴いた。東芝EMIから出ていた3枚分のLPから、「マイスタージンガー」から第一幕前奏曲、徒弟たちの踊り、親方たちの入場、そして「トリスタン」の前奏曲と愛の死。

さすがに恰幅の良い名演。かつて聴いた時はさほどとは思わなかったが「トリスタン」がこれほどの名演だとは思わなかった。キリリと引き締まったオケの純な響きと厳しく引き締まったクレンペラーの表現が非常に良い。

クレンペラーのワーグナーの歌劇・楽劇の全曲録音は「さまよえるオランダ人」しかない。「トリスタン」は残されていないのだろうか。

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2007年8月 6日 (月)

ニューヨークフィル・ブラスアンサンブルのエヴァルド

P5080307 毎年6月下旬になると車庫の天井にツバメが巣造りをするのだが、昨年は産み落とした卵ごと巣が落下。今年はもう来ないだろうと思っていたのだが、昨年とは別の場所に巣造りをしてしっかりと子育てをしている。

通常ならそのまま旅立つ時期なのだが、今年は未だに居座り再び卵を産み雛が孵っている。さらに先月生まれて巣立ったはずの子ツバメ達も舞い戻り6羽以上のツバメが常駐する賑やかさだ。おかげて車庫の床はフンが山をなしてしまった。

P1010162 今日は19世紀ロシアのアマチュア作曲家、エヴァルドの金管五重奏曲。50年代のニューヨークフィルの金管奏者たちによるゴールデンクレストのモノラルLP。レトロな雰囲気漂うジャケットに惹かれて購入したもの。
屈託のない躍動感に満ち、まろやかに溶け合ったブラスの響きも美しい名演。

P1010160 アメリカの演奏家でもうひとつ。モートン・グールドがニューフィルハーモニア管を振ったグリーグの交響舞曲とノルウェー舞曲集のカップリングのRCAのLP。
楽器の特性を知り尽くした才人グールドのヴィヴィッドなグリーグ。このようなシンフォニックなグリーグも良いものだ。

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2007年8月 5日 (日)

フルトヴェングラーの「コリオラン」序曲

今日も暑い。下の娘は市主催「少年の船」で北海道。上の娘も吹奏楽コンクールの県大会出場が決まり、今日も朝から練習に行っているので家の中は静かだ。

休日とはいえ、昨日のトラブルの後始末のため職場へちょいと顔を出す。昨晩もコンクール終了後に再び職場に戻り対応は済ませているのだが、家から職場まで最短で15分という距離でもあり、休日とはいえちょっと気になるとついつい職場に足が向いてしまう。これは精神衛生上良くない。

P1010157 今日は、先日ブラームスの4番で非常に印象に残った戦時中のフルトヴェングラーの演奏を聴く。
聴いたのは1943年6月の「コリオラン」序曲。
ブラ4聴き比べで使用した70年代のフォンタナの廉価盤LPと同じシリーズだ。カップリングはベートーヴェンの交響曲第8番。ベルリンフィルを振った初の第8番ということで発売当時に大変な話題となったもの。

渾身の力を込めた冒頭の和音。巨大な音の塊が広がりを持って劇的に展開していく怒れる音楽。曲の各所で轟くティンパニの強打も凄まじい。
「コリオラン」が力尽きるように終わる終結部のピチカートの絶妙の間も印象に残る。悲劇の英雄「コリオラン」の生涯をあますことなく伝える巨匠入魂の名演。

カップリングの第8番は、クリュイタンス&ベルリンフィルの著名な全集録音をモノラル化し鈍い音にして、フルトヴェングラーの演奏として売り出したという有名なニセモノ。まさに音盤ピルトダウン人事件。
フルトヴェングラー他界後まもない頃の録音なので、オケの響きはフルトヴェングラーの他の録音と比べても区別がつかないが、第一楽章冒頭の動きからしてフルトヴェングラーでないことは明白だ。

P1010158 実はこのLPを入手した動機は、この第8番がクリュイタンス&ベルリンフィルの全集録音時の別テイクだという記事をどこかで読んだからで、これを確かめたかったということ。
ニセモノではコントラバスのミスが収録されているという。
手持ちのクリュイタンスの第8番はこのフォンタナ盤と同じ時期に発売された東芝セラフィムのLPだが、ジャケットの演奏時間表記は第一、第四楽章は両者とも全く同一。残りの楽章も1,2秒の差でしかない。

試しに第4楽章を聴き比べてみたが、結論から言うとこれは全く同じ演奏、別テイクでもない。コントラバスのミスの検証は、スコアを見ながらもう少し集中して聞くことにしよう。

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2007年8月 4日 (土)

静岡県吹奏楽コンクール予選高校の部

今日は静岡県吹奏楽コンクール東部大会高校の部本番。
県予選の全ての参加校と出演者を網羅したプログラムを見ると、参加校は実に150を超えている。まさに文系部活動の甲子園だ。

曲目も実に多彩でリードやネルベルなど自分が参加した当時のお馴染みの吹奏楽オリジナル曲は少数派で、バルトーク、コダーイ、グリエール、シャミナード。アマオケでもなかなか手を出さないオケの編曲が並ぶ。オペラの接続曲が多いのも目に付く。

娘の出番を楽しみにしていたが仕事上で大きなトラブル発生。今回は相手があるので抜け出すわけにもいかず。ようやく目途が立ち急ぎ会場に駆けつけたが、ちょうど娘の高校の自由曲の最後の和音が鳴り響いていた瞬間でがっくり。これでは演奏の出来は判断ができない。

しばらく放心状態で他校の演奏を聴くが意外とたいしたことはない。自分の母校の演奏では思わず身を乗り出すが、3年生が抜けているのでちょっと苦しい。
中では「トゥーランドット」を演奏した星稜高校が傑出。コールアングレも入りなかなかの演奏だった。
来年統合され消滅してしまう長泉高校が最後に演奏した。部員わずかに3名。その真摯な演奏に会場はシーンとなり、暖かな拍手がいつまでも続いていた。

そして娘の学校は金賞。東部地区代表となり県大会に進むことになった。正直意外な結果だが朝早くからの練習の成果がひとまず報われた。

P1010140 沼響のHP「ブラームスの4番を聴く」に、フルトヴェングラーの1943年録音の感想をアップしました。

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2007年8月 3日 (金)

ヴェルテンブルクのライトナー

昨日職場でエアコン故障。夕方に業者を呼び対応しているうちに9時近くとなってしまった。
慌ててオケの練習会場に向かうも時既に遅し。会場では最後の「グランドキャニオン」の終曲が鳴っていた。

今日は降水確率60%ということでバイクを置き車で出勤。ところが家の前では都市ガス工事で道を掘り起こしている。これでは車を出すことができない。工事は来週のはずなのに予定が変わったらしい。
現場監督に申し入れ鉄板を渡し、ソロソロと車を出しているうちに車庫の天井に巣を作っているツバメがフンをフロントグラスに落とし飛び去っていく。さらに車のウィンカーの電球が切れてチカチカと点滅している。なんという朝だ。

これではどうにもならないので職場に電話し、急ぎの確認事項を指示し遅れることを伝え車の修理工場に向かう。懇意の修理工場は、亡くなったオケの初代事務局長さんの家なので電球を取り替える間、奥さんとしばらく立ち話。

P1010151 今日はN響にもしばしば客演したフェルディナント・ライトナーの演奏を聴く。シュトゥットガルトのヴェルテンブルク国立歌劇場のオケを振ったドイツ・グラモフォンへの1952年から1955年までの録音で全てモノラル。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」「エグモント」「ミニヨン」「ドンナ・ディアナ」の各序曲にシュミットの「ノートルダム」の間奏曲に加えて「ワルキューレ」の一幕からと「バラの騎士」から。ジークムントは名歌手ヴィントガッセンが歌っている。

磨きぬかれた実に端正な演奏だ。耳タコ状態の「マイスターンガー」前奏曲もこれほどスタイリッシュな演奏はそう多くない。

P1010154 この中の数曲は擬似ステレオ化されて国内盤LPが出ていたこともある。ヘリオドールの廉価盤(SMH1011)で「歌劇序曲・間奏曲集」というもの。
「ミニヨン」は序曲に加えて間奏曲、他に「マドンナの宝石」の二つの間奏曲に「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」など10曲あまりを収録。一部はバンベルク響となっている。

P1010153 もうひとつライトナーは、ドイツインターコード原盤の国内駅売りCDで、「ツァラストゥラはかく語りき」。
生まじめで甘さや色気には欠けるがこちらも立派な演奏だ。

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2007年8月 1日 (水)

リヒター・ハーザーのテンペスト

今日から8月。相変わらず慢性寝不足気味で頭の冴えはいまひとつ。最近複雑な思考が億劫になってきたことを痛感する。
下の娘は市教育委員会主催の6泊の北海道研修「少年の船」に今日から参加。このままでいくと北海道で台風の直撃を受けそうだ。大洗を出航し今頃は船中で就寝中のはずだが、台風の影響で波は高かろう。

今日はゴテゴテのドイツの演奏家二人によるベートーヴェンとブルックナーを聴いた。

P1010149 まずはハンス・リヒター=ハーザによる「テンペスト」「ハンマークラーヴィーア」の二つのソナタを収めた70年代東芝セラフィムの廉価盤LP。
黒光りするような音色、聴き手に媚びずひたすら我が道を行くどっしりとした男の音楽。

P1010150 そしてヨッフム指揮ベルリンフィルによるブルックナーの交響曲第8番。リヒター=ハーザーの音楽造りにも共通するベルリンフィルの重厚な音色とがっしりとしたアンサンブルで豪快に聴かせる若々しい推進力に満ちた名演。

沼津にバンベルク響が来た時(ハーガーの指揮)、一緒に来日したヨッフムが自分のすぐ前の席に座っていた。ハーガーの演奏の記憶は全くないが、ヨッフムの暖かな眼差しと巨大な背中が今でも非常に印象に残っている。

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