晴れのち曇り夜から小雨。ご近所で台風に屋根を飛ばされた家数件。娘の友人の家は、飛んできたトタン板が家の壁面に突き刺さっていた。
今日はG.レエル指揮ハンガリー放送響のフンガトロン原盤による米パーラメント盤を聴く。
中身はリストのピアノとオーケストラのための「ハンガリー幻想曲」、「ハンガリー狂詩曲第2番」そしてB面はブラームスのハンガリー舞曲集というもの。
オケの実体はよくわからない。比較的小編成のようで、乾いて鄙びた音色とコブシを効かせた歌いまわしに独特の味わいがあって良い演奏だ。
ところで「ハンガリー狂詩曲第2番」冒頭がいきなりホルンのユニゾンで始まったのには驚いた。これは、今まで聴いたことがない版だ。
ここでまた聴き比べの虫が疼き出し、手持ちをいろいろ聴いてみた。
まずシフラの演奏で原曲を聴く。EMIから出ていた2回目全集録音のLPで、リストが書いた20曲の「ハンガリー狂詩曲集」のうち、通常弾かれる15番までに16,19番の2曲を加えている。
2番のピアノ原曲は嬰ハ短調。
リストはこの中から6曲を選び、弟子のドップラーらとともに管弦楽への編曲をおこなったとされている。
「作曲家別CD&LD,DVD総目録2001年版」(音楽之友社)には、リスト&ドップラー編(嬰ハ短調)、ミュラー=ベルクハウス編(ハ短調)、ドップラー単独編(ニ短調)の3つのオケ編の記載がある。
ちなみにトランペットのD音で始まるドップラー単独編の手持ちは、古いところではフィストラーリ、シェルヘンなど。
最近のものではNAXOSのアンタルやメータ&イスラエルフィル、I.フィッシャー&ブタペスト祝祭管といったところ。
ミュラー=ベルクハウス編はカラヤン、ノイマン、エトセトラ。枚挙にいとまがないが、今回聴いた中では、セラフィムの廉価盤で出ていたルードウィッヒ指揮のバイエルン放送響による演奏がスケールの大きな堂々たる名演だった。
以上手持ちをいろいろと聴いてみるかぎりでは、ハ短調とニ短調の版の演奏ばかりでピアノ原曲と同じ嬰ハ短調のオケ編曲は皆無。G.レエル盤はニ短調だった。
この曲すべての録音を聴いたわけではないが、いろいろ調べた限りでは、第2番のオケ編に関しては、リストの手が入っていないドップラー単独編と録音数が最も多いミュラー=ベルクハウス版の2種しかなく、リスト&ドップラー編の第2番というのは存在しないのではないかと思う。
それにしてもLPやCDのジャケットや解説の調性の表記がいい加減なのには驚いた。ベルクハウス版なのにニ短調だったりその逆だったりと、ちゃんと聴いて解説を書いているのだろうか。
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