幕末狂乱
日曜の事故の影響は、外傷もなく当初たいしたことはないと思っていたが意外と重いことが判明。朝から家内と娘を家の近くの総合病院に連れて行く。特に娘は首の痛みがひどく辛そうだ。診察に出た若い整形医はレントゲンを軽く撮っただけで、湿布薬を処方したのみ。うーむ、これは病院を変えたほうがよさそうだ。
玉突き事故の被害者は3家族6人。直撃を受けた後ろの若夫婦と幼い子供は大丈夫だろうか。加害者の保険屋からは何度か電話があったが当事者からは一切連絡無し。
今日はどうも音楽を聴く気にはならない。昨日Amazon から届いた「幕末狂乱~コレラがやって来た!」(高橋敏著 朝日選書)をパラパラと流し読む。
安政5年5月ジャワを経て長崎に上陸したコレラは各地で猛威をふるいながら西上、7月には江戸に到達した。異国船の到来、安政の大地震、大津波。本書は社会不安が日本全体を覆う中、各地に残る古記録を元に庶民が立ち向かう姿を紹介したもの。本書の発行は2年前だが、ある偶然からこの本に身近の神社が紹介されているのを知り購入。
我が地区の神社は、安政年間のコレラ流行時に疫病退散を祈念して京都の吉田神社を勧進したものとは祖父母の代から語り継がれていたが、当時の関係者が書き記した詳細な記録が残されていたことは知らなかった。
コレラが刻一刻と西から迫る中、必死に対抗策を模索する地区のご先祖たち。やっとの思いで村内からかき集めた5両を懐中に京都に向かう我が家のご先祖の姿。ところが、苦労してたどり着いた京都の吉田神社側は足元を見透かして法外な祈祷料を要求。
ご先祖が祈祷料7両二分をいかにして工面したかの記録はない。
とにかく祈祷の小箱を受け取ったご先祖は故郷沼津に向かって東海道を飛ぶが如く下っていく。途中駿府(静岡市)で祈祷の小箱を今か今かと待っていた村人の代表二人に遭遇。吉田神社の祈祷の小箱が通過することを聞き小箱に群がる東海道筋の人々。
自分の身近の神社に、これほどドラマティックな由来があったとは思わなかった。京までの路銀は全て自己負担だったという。今の日本からは失われてしまった、皆のために何とかしようとする純朴にして崇高な精神には心を打たれた。
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