ベートーヴェンの32の変奏曲
今日は娘のピアノの発表会。午後に会場の三島市民文化センター小ホールに着くとすでに幼い子供のグループの演奏が始まっている。会場は出演する子供たちとその家族、お付き合いで見に来た友達とその母親といった、どこでも見られるピアノ発表会の風景。
娘の通っているピアノ教室は、音大や音校の入学者を多数輩出している先生だけあって生徒の水準は高い。
さらに毎回さまざまな趣向が凝らされていて、先生自らが弾くハンドベルや、いずこから連れてきたのか高校生らしき二人によるトランペット独奏(ボザの協奏的作品など曲もマニアック)。地元の中学2年生によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の演奏など、なかなか楽しめる内容だ。
娘のドビュッシーは、家での特訓の成果は見られず、ちょっと精彩に欠ける出来。交通事故による練習不足もあったが、途中ブランクのあった2年ぶりのピアノの発表会であがってしまったらしい。まぁそれも仕方がないだろう。
そしてピアノ発表会の最後を毎回飾るのは、このピアノ教室で学び、日本音楽コンクール1位の実績を持つ海瀬京子さんによるゲスト演奏だ。今日は偶然にも彼女の24回目の誕生日と重なり、出演の前にトランペットデユオによる「ハッピバースディー」の演奏と誕生ケーキの贈呈もあり、会場は楽しい雰囲気に包まれた。
簡単なスピーチに続いて演奏されたのは、ベートーヴェンの「創作主題による32の変奏曲」、リストの「シューベルトの歌曲から、鱒と水車小屋と小川」、そして緑交響楽団のコンサートのアンコールでも弾いたプロコフィエフのトッカータ。
テクニックの冴えは相変わらずだが、ベートーヴェンに聴かれる古典的な格調の高さとがっしりとした構成感は、今までの彼女の演奏にはあまり感じられなかったものだ。音楽を自由に楽しんでいるかのようなリストも良い。今までざわついていた幼い子供たちも静かに聴いている。何やら尋常でないものを感じ取っているようだ。
彼女の演奏に、さらなる表現の幅の広がりと奥行きが出てきた。ここにきて彼女の中に大きな変化があったようだ。演奏終了後に、ご両親と本人から近況やらこれからの予定など、いろいろと話すことができた。いよいよ海外へ雄飛する日も近い。
帰宅後、ベートーヴェンの「創作主題による変奏曲」を大作曲家にして大ピアニストだったラフマニノフによる演奏で聴いた。繊細緻密にしてデモーニッシュなる大演奏。

| 固定リンク
「音盤視聴記録」カテゴリの記事
- ホロヴィッツ、1978-79ライヴ(2023.12.01)
- ディヴィッド・マンロウ、中世ルネサンスの楽器(2023.11.28)
- テンシュテットのエロイカ(2023.11.16)
- スーストロのトランペットでテレマンほか(2023.11.14)
- パリ、ノートルダム大聖堂のクリスマスライヴと朝比奈隆の第九(2023.11.12)
コメント