金聖響とシエナ・ウインド・オーケストラ
昨日の雨も早朝には上がり爽やかな日曜日。午後から二人の娘を引き連れ金聖響の指揮するシエナ・ウィンドオーケストラのコンサートに聴きに行った。上の娘はホルン持参。
吹奏楽は自分の学生時代から盛んだったが、今やテレビのドキュメンタリー番組も頻繁に放送されるほどになっている。
今回は市主催の「ブラスの祭典 フェスタ イン沼津」のイベントの一環としてのコンサートで、最初に地元の中高校生選抜バンドのプレコンサートがあった。曲は「オペラ座の怪人」、「アーセナル」の2曲。編成は80名ほど。指揮は地元の高校の先生。臨時編成とはいえ個々の水準は高い。シエナのメンバー数人が加わった「アーセナル」が良かった。
休憩の後、金聖響指揮のシエナ・ウィンド・オーケストラの登場。金聖響は昨年東京フィルで「展覧会の絵」その他を聴いている。生きの良いスタイリッシュな指揮ぶりが印象に残っている。
本日の曲は第一部:オリンピックファンファーレ(J.ウイリアムス)、「エル・カミール・ノアル」、「アルメニアン・ダンスパートⅡ」(リード)
第二部は今年の吹奏楽コンクールの課題曲から二曲と今年生誕100年のルロイ・アンダーソンの「タイプライター」、童謡「ハトポッポ」をモティーフとした「音楽のおもちゃ箱」。そして最後は「ローマの松」全曲というもの。
オリンピックファンファーレはかつてイギリスの「コールドストリームガーズ」の実演に圧倒された曲だが、今日のシエナは比較的音量を押さえじっくり聴かせるタイプ。リードの2曲は同じコンビのCD同様、作曲者への熱い共感の感じられる出来。
最後のレスピーギは巧みなアレンジで、「ジャニコロの松」の色彩感、「カタコンブの松」のバスの底力、ひた押しに押してくる「アッピア街道の松」の雄大な演奏ともども弦楽器のない違和感もなく楽しめた。
最も印象に残ったのは、「ハトポッポ」をモチーフにした「音楽のおもちゃ箱」。アルメニアンダンスに始まりトゥーランドット、ドヴォルザークの交響曲第8番、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番フィナーレ、森の歌、イン・ザ・ムード、ホルスト、エトセトラ・・・吹奏楽のオリジナルからクラシック、ジャズからポピュラーまでの名曲をかなり凝った内容で接続曲風にした、いわゆる吹奏楽版「オーケストラスイッチ」。
シエナ恒例のアンコール「星条旗よ永遠なれ」では、楽器持参の聴衆がステージ上に集まり盛大に盛り上げていた。うちの娘もホルンで参加。沼響メンバーの顔も見えました。
かなり盛り沢山なプログラムで、演奏内容によっては疲労だけが残るものになりがちな吹奏楽のコンサートだが、柔らかにブレンドされたまろやかな響きと引き締まったアンサンブルのウィンドオーケストラの魅力を堪能。やはり聴衆を幸福な気持ちにさせるプロの演奏だ。
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