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2008年3月に作成された記事

2008年3月31日 (月)

コルトー、フリッチャイのシューマン

ここ数日花冷えの日が続く。今日は朝から雨、満開の桜も凍りついているかのようだ。波乱の平成19年度も今日で終わる。ここで退職するお世話になった上司と一緒にしんみりと昼食。

P1010353_2 今日はコルトーの弾くシューマンのピアノ協奏曲を聴いた。フリッチャイ指揮のベルリンRIAS響の伴奏による1951年ライヴというもの。

この演奏はLP時代から一部の間で有名だった演奏だが、CD時代になっていくつかのレーベルから発売され入手しやすくなった。

異様なまでに遅い冒頭からして尋常でない気配が漂う。コルトー独特の黒光りするような艶のある響きは健在だが技巧の衰えは痛々しい。

この遅いテンポは、指の回らなさから来る必然かもしれないが、テンポは揺れ続け、時として迷走気味となる中でもひたすら自分の世界に没入していくコルトーに殺気にも似た凄味も感じられる。

ここでフリッチャイは見事な伴奏をつけている。コルトーのテンポ感と合わず、乗り遅れたり飛び出したりる奏者がいるのはご愛嬌。

手持ちは伊ウラニアのCD。Replicaから出ていたLPの板起しCDだが、残響豊かで音は非常に良い。

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2008年3月29日 (土)

ペルルミュテールとフェヴリエの「クープランの墓」

年度末を迎えて本日も一日仕事。一ヶ月以上も続いたコンピュータートラブルはこの週末で一応の解決予定だが、今回の騒動に発した契約上の処理が残っている。部下達も疲労が蓄積。相手方の担当もトップや親会社の取締役が謝罪するほどの事態となり、シビアな処分が下されてしまうだろう。後味の悪い年度末となった。

P1010349 今日はラヴェルの直弟子二人の演奏で「クープランの墓」を聴いた。

20代にラヴェルから数ヶ月に渡って解釈のレクチャーを受けたペルルミュテールの二種ある全集のうち、VOXへのモノラル旧全集盤のLP三枚組。これにはホーレンシュタイン指揮の二つの協奏曲も入っている

P1010350 父親がラヴェルの友人で、幼い頃からラヴェルの家に出入りしていたフェヴリエは1966年録音のLP3枚組。こちらはロザンタールが所蔵していた5手のための「口絵」自筆稿からの録音も含むほぼ完全な全集だ。

微妙なテンポの崩しと間が散見されるペルルミュテール。アポロ的な均衡美が魅力のきっちりとしたフェヴリエ。

草書体と楷書体の対照的な演奏だが、基本のテンポ感と曲へのアプローチは驚くほど似ている。両盤ともにラヴェルと同時代の息吹と詩情が感じられる魅力的な演奏だ。

沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」の第3回目をアップしました。

http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

今回は1918年のカール・ムックから始まる録音史。

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2008年3月27日 (木)

カール・ムックのタンホイザー

過酷なこの2ヶ月で疲労が蓄積しもう限界。本日は代休を取得し、家の雑事を片付けた。

夜はオケの練習に久しぶりに参加するために会場の文化センターへ車を飛ばす。が、契約しているホール近くの月極駐車場に見知らぬ車が無断駐車している。ホールの駐車場も満車状態でやむなく遠くの知人宅に留めさせてもらう。せっかく休みを取ったのに練習に遅刻してしまった。

小ホールのステージにようやく滑り込んだのが「オベロン」序曲の最後の部分。D音の刻みの4小節しか参加できなかった。続いて「タンホイザー」序曲。

横島先生のワーグナーはかなり遅めの巨匠のテンポ。重厚壮大なワーグナーを目指しているようだ。オケにさらなる音量を要求。冒頭の巡礼の合唱ももっと深い音を意図しているようだが、オケにはまだまだ余裕がない様子。

P1010351 今日はマーラーよりも一歳年上のカール・ムックの「タンホイザー」序曲を聴いた。NAXOSから出ている復刻CDで1928年の録音。オケはベルリン国立歌劇場管というもの。

ハンス・リヒターやジークフリート・ワーグナーとともに20世紀初頭のバイロイト音楽祭を支え、ハンブルクで実演に接した近衛秀麿が「僕はこれほどまでに恐ろしい魅力を持った指揮者を知らない」とまで言わせた大指揮者ムックのワーグナー。

通常14分台で演奏されることの多い「タンホイザー」序曲を、16分かけて演奏している。今日の横島先生のテンポも非常に近かった。

このテンポでも停滞感を全く感じさせないのが見事。厳しさの中に気品溢れる素晴らしいワーグナーだ。巡礼の合唱に続くチェロとヴィオラの「悔悟の動機」がこれほどまでに感動的に響く演奏を私は聴いたことがない。今から80年前の録音だが音は驚異的に良い。

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2008年3月26日 (水)

アンドレのバッハ

早朝の雷鳴で起こされたが出勤するころには雨上がる。本日午後に仕事で伊豆市修善寺に行く頃は気温はかなり上昇、狩野川沿いの堤防は桜が咲き始めていた。

遅い帰宅は日常化し、あまりヘビーな音楽は聴く気にならない。

P1010347 今日はトランペットの名手、モーリス・アンドレの録音からバッハの演奏を集めたものを聴いた。

エラート原盤のLPで管弦楽組曲第2番とオーボエとヴァイオリンのための協奏曲をトランペット用に編曲したもの。組曲はフルートパート、協奏曲ではオーボエパートをトランペットに置き換えている。伴奏はパイヤール室内管というもの。

陽気で屈託のない明るさが独特のアンドレの演奏。まるでトランペットのためのオリジナル曲のように自然に響くのがいつもながら素晴らしい。

沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」の第2回目をアップしました。

http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

今回は作曲と出版の経過。

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2008年3月23日 (日)

ガウクとオボーリンのチャイコフスキー

日一日と暖かくなってきた夜から雨。本日出勤し新年度以降の人事案を作成。休日なしエンドレスの一週間はまだ続く。

P1010348 今日は古いロシアの指揮者A.ガウクのチャイコフスキーを聴いた。モスクワのVISTA VERAから出ているCDで、モスクワ放送響を振った1952年から59年までのライヴ録音。

曲はヴァイオリンとオーケストラのためのワルツ・スケルツォ、ピアノ協奏曲第一番、そして交響曲第4番というもの。ヴァイオリンはL.コーガン、ピアノはオボーリンが弾いている。

いずれも今では聴かれなくなった濃厚なロシア色丸出しの演奏。このオボーリンのチャイコフスキーは必ずしもベストフォームではないようだ。執拗に繰り返される終楽章の舞曲風の主題では途中で息切れ気味となり、後半ではミスタッチ続出。

一方の交響曲は手に汗握る爆演。第2楽章のちょっとしたコブシの取り方のうまさ、テンポを自在に変化させながらぐっとタメを効かせながら上り詰めるエキサイトな終楽章など実に見事なものだ。一糸乱れぬオケのアンサンブルは唖然とするほどうまい。まるでスターリンの粛清を恐れているかのようだ。

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2008年3月22日 (土)

ラトルのファリァ

本日快晴、スギ花粉はなはだ多し。

社会保険庁から「ねんきん特別便」が届いた。自分と家内の2通だが記載内容を見て驚いた。なんと2通とも内容が誤っていた。家内は加入年月日の誤り、自分に至っては以前勤めていた会社の分がすっぽり抜け落ちているではないか。年金のデータ誤りのニュースは今まで他人事だったが、まさか自分達が関係しているとは思わなかった。

F0080947_13471290_2 サイモン・ラトル20代の録音を聴く。

ファリアの「ペドロ親方の人形芝居」「プシシェ」「ハープシコード協奏曲」というもので、オケはロンドンシンフォニエッタ、ハープシコードはジョン・コンスタブル、ソプラノのジェニファー・スミスほか、という顔ぶれでArgo原盤のタワーレコード・ヴィンテージコレクションからの一枚。1980年録音。

「ドン・キホーテ」を題材にした「ペドロ親方・・・」は好きな作品だが、アルヘンタのモノラル盤以来あまり良い物がなかった。久しぶりに切れの良いスカッとした演奏に出会えた。5分に満たない小品ながらフランス風のティストの漂う「プシシェ」も美しい。

P1010357 もう一枚はラトルのデビュー録音となった「春の祭典」。英エニグマ原盤でドラティ&ロイヤルフィルの「火の鳥(全曲版)」とのカップリングのASV盤CD。今では両方ともブリリアントの格安CDで数百円で入手可能。

当時22才のラトルはここではイギリス・ユース管を振っている。のびやかで素直なところは現在のラトルの片鱗を感じさせるもの。

さすがにオケの技量は心もとないが、アマオケの演奏にも通じる爽やかでひたむきな演奏が心地よい。ドラティの「火の鳥」はさすがに練れた大家の風格。ロイヤルフィルの演奏も安心して聴ける名演。

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2008年3月21日 (金)

リヒター・ハーザーのシューマン

曇り後晴れ朝のうち風強し。墓参りを済ませた後に出勤。相変わらず忙しい。未決書類の山を片付けているうちに自分が引き継ぐ予定の来年度から始まる大きなプロジェクトに大問題発覚。当初から杜撰な計画で、いろいろ危惧していたことがあったのだが、予想通りの展開になってきた。

夜は、この週末に実施するコンピューターシステム更新の再チャレンジの準備。担当SEも来訪したが、信頼関係は完全に崩壊し彼を見つめる皆の視線は冷ややかだ。

P1010353 今日は、ドレスデン出身のピアニスト、リヒター・ハーザーの弾くシューマンのピアノ協奏曲を聴いた。朴訥にして重厚、我が道をひたすら突き進む地味でありながら正統派のシューマン。伴奏はモラルト指揮のウィーン響によるフィリップスLP。

P1010355 沼響のHPの聴き比べコラムに「ベートーヴェンの7番を聴く」の連載を開始しました。

ラフマニノフの2番は2年越し、ブラームスの4番も1年を超える連載となり、未だに完結の兆しが見えませんが、気長にいきます。写真は30年以上前に、中学生の自分が2番目に買った音楽の友社発行のポケットスコア。定価は330円だった。

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2008年3月20日 (木)

アントルモン、「フランス流に・・・」

本日春分の日、終日風雨強し。10日ぶりの休日に墓参りをする予定だったが、この風雨で明日の早朝に延期することにする。外に出たのは愛犬のドッグフードを買いに出たくらいで家の雑事を片付けながら時間が過ぎていく。

P1010352 今日はカラヤン&ベルリンフィルの初期の録音で、モーツァルトの「アイネ・クライネ・・」と「3つのドイツ舞曲」、ヘンデル(ハーティ編曲)の「水上の音楽」から聴いた。

いずれも1958年から1959年の録音で1955年の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」とのカップリング。これが初出のカップリングで手持ちは再発の英EMI盤LP。「アヴェ・ヴェルム・・・・」は擬似ステレオ。

「アイネ・クライネ・・」は極端なレガートの多用で退廃的なムードの漂う演奏だが、ドイツマーチのようなパリっと引き締まった「ドイツ舞曲」が良い。カナリアの擬音や橇の鈴の音も楽しめる。2度目の録音となる「水上の音楽」も壮大な出来。

P1010351 続いてオーマンディー指揮フィラデルフィア菅によるハイドンとモーツァルトの協奏交響曲2曲。CBS原盤の日本コロンビア盤LP。

合わせ物の達人だったオーマンディの職人的な手際の良さとフィラデルフィア管の名手達の妙技を堪能する一枚。

最後はフィリップ・アントルモン30代の録音で、ラヴェル、ドビュッシー、シャブリエ、サティ、フォーレ、プーランクのピアノ曲を集めたCBS盤LP。

P1010354 「フランスピアノ名曲集」という無味乾燥な邦題だが、オリジナルのタイトルは「フランス流に・・・・」。

ラヴェルの「クープランの墓からリゴードン」から始まり、ドビュッシーの数曲に続きシャブリエの「スケルツォ・ヴァルス」でA面が終わる。B面はサティの「3つのジムノペディ」からフォーレの「ノクターン」「即興曲」そして最後はプーランクの「トッカータ」で締め括る。

小粋なシャブリエに続く淡々としたサティとフォーレ。そして当時のアントルモンでしか弾けない輝かしいプーランク。個々の演奏はより優れたものがあるが、センスの良い絶妙の曲配置で忘れがたいアルバムとなった。

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2008年3月18日 (火)

マータのガーシュイン

スギ花粉の飛び散る毎日。今日もマスクが手放せない。コンピューターシステム更新のトラブル解消は今月末まで持ち越しとなりそうだ。

ここ一ヶ月で休めた日は二日のみで曜日の感覚はまったくなし。それでもコンサートに行ったりオケの練習にも参加している。ディスクコンサートの解説もこなしたりと、それなりに時間を有効に使っている感触は有り。だが、家の雑事が全くできないのが辛い。お彼岸でもあり20日はゆっくり休んでお墓参りをしようと思う。

P1010350 今日は早めに仕事を切り上げ帰宅。メキシコの指揮者マータが手兵ダラス響を振ったガーシュインの歌劇「ポーギとベス」からの交響組曲を聴いた。RCAの1980年デジタル録音盤LP。作曲者の没後にピッツバーグ響の音楽監督だったフリッツ・ライナーがR.Rベネットに委嘱したもの。この歌劇の再評価のきっかけとなった名編曲だ。

明るいバンジョーの響きを聴いているうちに自然と愉快な気分となってくる。マータの指揮は横の流れを大切にした丁寧な出来。時として情熱が空回りして大味な演奏になることもあるマータだが、このガーシュインは節度を保ったところが良い。

P1010349 ベネットのアレンジ物でもう一枚。「マイ・フェア・レディ」と「サウンド・オブ・ミュージック」の交響組曲版で、W.スタインバーグ指揮のピッツバーグ響によるコマンド原盤日本コロンビアLP。こちらもゴージャスな仕上がりのシンフォニックで押し出しの良い演奏。

ベネットはピッツバーグ響と深いつながりがあったのだろうか。

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2008年3月16日 (日)

シューマン、ベートーヴェンの主題による変奏曲形式による練習曲

4月上旬の気温となった日曜日。午前中は地元町内会の総会に参加。先日地球温暖化対策の町内上げての取り組みがNHKで取り上げられ、今月初旬に特集番組として全国放送されたこともあり、いつになく出席者が多く活発な意見が飛び交っていた。

わが町内は古くからの農家と新しい世帯の混在する地域で、自分の家も未だに農地が残っている。フードマイレージの考え方から、地元の農家のマップを作り直接購入していこうとの意見が採択された。

Top_pic_01 午後は「ひょっこりひょうたん島ファンクラブ」会長の伊藤悟さんの講演があり、バイクを飛ばし会場へ向かう。地元沼津の牛臥山がひょうたん島に似ているといる理由で「ひょうたん島プロジェクト」という町おこし運動があり、その一環としての講演会。この牛臥山は家の近くということもあり、子供の頃の遊び場だった懐かしい山。そういえば「ひょうたん島」に似ている。

http://www009.upp.so-net.ne.jp/hyoutanjima/project/project_top.html

伊藤さんはビルボード上位100曲のコレクターとして有名な方で、その膨大なコレクションは音楽誌にも紹介されていた。

内容は「ひょっこりひょうたん島」最終回を当時中学生だった伊藤さんが取っておいた録音とテレビの画面写真を駆使して再現しようとするもの。当時の記録はNHKにも全く残っていないという。藤村有弘のドンガバチョと中山千夏の博士などなど、自分の世代には懐かしいものばかり。講演後は職場により、机上の書類をちょいと片付け帰宅。

今日は、シューマンのピアノ曲「ベートーヴェンの主題による変奏曲形式の練習曲」を聴いた。

今回の定演で取り上げる交響曲第7番第2楽章の主題による変奏曲。シューマンが3度書き直し未完に終わった曲で、結局3つの版を組み合わせ、現在の形で出版されたのは1976年になってからだという秘曲。最近超廉価で再発売された1974年録音のデムスのシューマンピアノ曲全集には当然ながら含まれていない。

第二楽章冒頭のイ短調の和音に続き印象的な主題が続く。

P1010348 演奏はまず、フランスの技巧派カツァリスの弾くテルデック原盤国内LPで聴く。カップリングはリスト編にカツァリスが手を加えたベートーヴェンの交響曲第7番のピアノ版。

使用ピアノはベルリンのベヒシュタイン。この落ち着きと色彩感が魅力的だ。いくぶん軽めに響くのはカツァリスの個性だろう。

このLPの解説によると、おそらくこの曲の初録音とあるが、旧東ドイツの女流ピアニスト、アンネローゼ・シュミットの方が先だと思う。

P1010347 こちらはPILZのCDで旧東ドイツのピアニストの演奏を集めたもの。

ここでシュミットは、ライプツィヒのピアノ工房で作られたブリュトナーのピアノを弾いている。ブリュトナー独特の4本弦のアリコットシステムによるしっとりとした美しい響きは独特のものだ。

シュミットの得意のシューマンは、極めて堅実で正統的、実に説得力のある演奏だ。

リストが愛用したベルリンのベヒシュタインとライプツィヒのブリュトナー。奇しくも同年に工房を開いたドイツの二大ピアノの聴き比べとなった。

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2008年3月14日 (金)

タンホイザー序曲

曇り後夜から雷雨。コンピュター更新のトラブルによる職場の混乱はまだ治まらないが一応の終着点は見えてきた。

昨日は実に3週間ぶりにオケの練習に参加。横島先生による小ホールでの練習の後半の「タンホイザー」序曲になんとか間に合った。ろくに練習していない上に蓄積した疲労のために満足に音が出ない。とにかく皆の迷惑にならぬよう周囲に気を配りながら恐る恐るの参加。横島先生と初めての合わせだがまだ曲の体を成していない。今まで沼響が敬して遠ざけていたベト7ともども定演への道のりは険しい。

今日はいつものメンバーで三嶋での飲み会。それぞれ多忙な4人が時間をやりくりして参加するこれも定例的な会となってきた。おいしい食事と酒、楽しい会話で今までのストレスも薄らいでいく。激しく降っていた雨も帰路につく時には上がっていた。

さぁ、明日から月末まで土日返上の仕事が続く。気持ちを引き締め年度末を乗り切ろう。 と思う。

P1010344 沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの4番を聴く」にバルシャイの演奏の感想をアップしました。

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2008年3月12日 (水)

ムーアを讃えて

気温は再び下がり風も強し。昨日暖かだったのでバイクで出勤したのがまちがいであった。午後10時前に仕事を終え、夜道をバイクで走らせたものの後輪がパンク。しかも横風が強く危うく国道上で転倒するところだった。

昨日、仕事帰りにちょいと覗いた渋谷レコファンで中古LPを購入。100円均一コーナーはさすがに手は出さなかったが、380~980円で玉石混交ながら食指が動くものは何枚かあった。

P1010350 エサ箱からまず取り出したのは、名伴奏者「ジェラルド・ムーアを讃えて」。これは名伴奏者ムーアの70歳の誕生日を記念して、ジャックリーヌ・デユプレやバレンボイム、メニューイン、フィッシャー・ディースカウ、ロスアンヘレスらEMI専属だった超一流アーティストたちが忙しい時間をやりくりして録音した演奏を集めたアルバム。

P1010352 「エレクトラ」や「サロメ」でドラマティックな歌唱を聴かせたインゲ・ボルクのイタリアオペラからドビュッシーまでの作品を集めたオペラアリア集。米ロンドン盤。得意のR.シュトラウスはあえて外している。伴奏のフィストラーリに惹かれての購入だが、妖艶なボルクのジャケットに魅せられたのも事実。

P1010353 P1010351 リーズとメシアン国際コンクールの覇者ロドルフ・カールスのドビュッシーの前奏曲全集。今ではすっかり忘れられているカールスだが、かつて聴いたシューベルトが素晴らしかったので購入。彼のデビューアルバムだという。

そしてミュンヘンフィルの首席ホルン奏者だったG.Langensteinの吹くホルンとオルガンのための作品集。バッハ、スヴェーリンクなどの全てアレンジもの。

P1010349 P1010354 リムスキー・コルサコフの歌劇「モーツァルトとサリエリ」を鬼才レイヴォビッツが振った米オリンピック盤。

ウィルコックスとケンブリッジ・キングズカレッジ合唱団による「メサイア」全曲国内EMI盤。これは女声は参加せず、ソプラノソロパートもボーイソプラノの合唱で歌わせている異色の演奏だ。

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2008年3月11日 (火)

ラローチャのラフマニノフ

春のような暖かな一日。本日東京出張、家を出るときにコートを持参するか迷ったが置いてきて正解だった。三島始発7時19分発の新幹線に乗車。本来の用件は午前中に終了したが、合わせて仕事絡みで何箇所かを訪問。帰り間際に渋谷のレコファンを冷やかしで品川発の新幹線で帰宅。

416pjpe9etl_aa240_ 今日はスペインの女流ピアニスト、ラローチャのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いた。DECCAの録音でカップリングはフランクの交響的変奏曲。バックはプレヴィン&ロンドン響が付けている。

艶のある音で淡々と弾いていくラローチャのラフマニノフ。非常に小柄な彼女にとってラフマニノフは必ずしも適した作曲家のようには思えないのだが、音量は大きくないのに聴き進むうちに彼女の姿が次第に大きく見えてきた実演の様子がまざまざと脳裏に蘇ってきた。

着実な技巧と端正でいて粋な表現。ホロヴィッツとは対極にある解釈でありながら、曲の本質を見事に捉えた名演。プレヴィンの好サポートも素晴らしい。

P1010348 ラローチャでもう一枚。スペイン、ヒスパボックス原盤の日本コロンビアのLPで、「舞踏への勧誘」、「ラ・カンパネルラ」、ラフマニノフの「プレリュード」、ドビュッシーの「月の光」などの小曲10曲ほどを集めたアルバム。

控えめでいて聴くほどに味わい深い名演の数々。シューベルトの「軍隊行進曲」では珍しいタウジヒ編曲で華麗な技巧を披露。

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2008年3月 9日 (日)

狩野川クラシックコンサート2008

今日は海瀬京子さん出演の狩野川クラシックコンサート2008。会場は伊豆の国市長岡のアクシスかつらぎ大ホール。

6603 春の伊豆、河津桜もピークを過ぎたようで国道136号の混雑もさほどではないが会場近くに到着するとかなりの渋滞。どうやら全てコンサート客の車のようだ。

第2駐車場周辺では、観光帰りの車も加わりすごいことになっている。交通整理のおじさん達も罵声を浴びたりと大変な様子。ようやくサンバレーの駐車場へ車を止め会場へ急ぐ。

当日券は既に完売。チケット売り場の前でチケットを買いそびれた若い母親と小学生が泣きそうな顔で立ち尽くしている。ちょうど行けなくなった母と上の娘のチケットが手元にあったので譲り渡しホールの中へ。1007席のホールは満席状態で確保したのは一階右端かなり後ろの席。

プログラム前半は、海瀬さんのトークをはさみながらハイドンのピアノソナタ第50番から始まりシューベルト・リスト編曲の「春の想い」、有名な「愛の夢第3番」そしてラフマニノフの「楽興の時」から1,2,4番。

後半は伊豆フィルの登場で歌劇「ルスランとリュドミュラ」序曲にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番というもの。

最初の50番のソナタは、ハイドンらしい屈託のなさの中に潜んだコケティッシュで軽妙さをうまく引き出した演奏。第2楽章では後期のハイドンらしい深い精神性も感じられる。続くリストもロマンティックで美しい音楽の流れにうまく乗った安定感のある演奏だったと思う。この流れの中にちょっとひと呼吸の崩しがあれば、より面白い演奏となったかもしれない。

前半最後のラフマニノフは、ラフマニノフらしいメランコリーとデモーニッシュさを見事に引き出したスケールの大きな名演。海瀬さんの楽興の時第4番は何度か聴いているが、今まで聴いた中で最も感銘を受けた。

そして後半のプログラムは、金丸克己指揮伊豆フィルによるグリンカに続いてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番。輝かしい技巧を武器にオケを挑発しながら豪快に盛り上げていく手腕は大器の貫禄十分。フィナーレ終結部の入魂の追い上げは今まで実演で聴いた超一流のピアニストたちの演奏にも引けをとらない見事な出来。

音楽への深い愛情と聴衆への感謝の気持ちが素直に聴き手に伝わり、満員の聴衆も深い感銘を受けていた。しっかりとした自己主張が感じられるのもいつもながら素晴らしいと思う。今回はさらに熱いパッションと即興性も感じられた。聴くたびに大きく成長しているのがなんとも嬉しい。

アンコールは有名なショパンの「夜想曲第2番」。曲名を失念し一緒に聴いていた隣席の下の娘に曲名を尋ねて、あきれた顔をされてしまった。どうやら疲れがまだ取れていないようだ。

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2008年3月 7日 (金)

ペルルミュテールの喜びの島

長い一週間が終わる。通勤時は快晴だったが夜から雨。仕事の終着点は見えてきたが、まだまだ苦難の道は続く。昨日の練習は終結間際の9時過ぎに譜面を受け取るために顔を出したのみ。

本日は、以前から決まっていた市主催のディスク・コンサートの解説者として出なければならず夕方職場を抜け出し市民文化センターへ向かう。

今回は「のだめカンタービレ」に紹介された曲を中心としたプログラム。幾分ミーハーだが「のだめ」効果は大きく。事前申し込みで満席状態。気を引き締め早めに準備をおこなう。

Images 内容は、諏訪内晶子の1990年チャイコフスキーコンクール2次予選の「カルメン幻想曲」に始まり、ブゾネ監督映像のペルルミュテールの弾く「喜びの島」、バリー・ダグラス&MTTによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。

後半は「魔笛」から「夜の女王のアリア」をグルベローヴァ。そして最後にクライバーのベト7というもので、正味2時間。解説の事前準備はとても余裕がなく、完全にアドリヴ状態。それでも皆真剣に聞いてくれるのがありがたい。

Phlk5006_2 当時19歳だった諏訪内のサラサーテは完璧な出来、聴衆の熱狂ぶりもよくわかる。一転して86才の老ペルルミュテールの音はポロポロとこぼれているが、柔らかなタッチの幻想的なドビュッシー。

1986年チャイコフスキーコンクールの覇者、ダグラスの強靭なラフマニノフ。そしてクライバーの熱狂。自画自賛ではないがなかなか充実したプログラムだったと思う。自分も解説をしていて楽しかった。なかなか家路につかないお客さんといろいろな話をしているうちに終演9時。会場を出ると雨だった。

そのまま帰宅したいところだが再び職場にトンボ帰り。たちまち現実に戻され、SEから今日の作業報告を受け、明日以降の作業計画のチェックをおこなう。

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2008年3月 4日 (火)

レオナルド ヴィンチのフルートソナタ

ご近所の河津桜と家の庭の梅が満開、黄砂と花粉症のためにノドがいがらっぽい。いよいよ春近し。多忙さは常態化し夜になっても携帯に仕事が追いかけてくる。

ここ数日聴く音楽は、溜まってしまった未聴音盤の中から目についたものを無作為に取り出している。

C523ss 今日聴いたのは「ナポリ楽派の音楽」というCYCNUS原盤の国内フィリップスLP。

A.スカルラッティやチマローザらの17世紀から18世紀までの作曲家の室内楽作品を集めたアルバムで、チェンバロのスグリッチが中心となったメンバーが演奏している。

この中のレオナルド ヴィンチ(1690~1750)のフルートソナタにすっかり惚れ込んでしまった。ルネサンス期の天才芸術家と同じ名のこの作曲者の作品は初めて聴いたが、これほどの美しい名曲が知られずに埋もれていたとは驚きだ。

アントニオ・ズッピガーのフルートとスグリッチのチェンバロによる演奏。太く落ち着いた音色でしみじみと聴かせるズッピガーのフルートも感動的だ。このフルーティストも只者ではない。

このズッピガーも初めて聞く名なのでネットで検索してみたところ、1945年ジュネーヴ国際コンクールに一位なしの二位で入賞していた。このような名手もまだいたのだ。他の曲の演奏も聴きたくなってきた。

数十年間、毎日のようにクラシック音楽を聴いていても、未知の名曲と名演奏家はまだまだ多い。

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2008年3月 2日 (日)

スウォーザウトのフランス歌曲集

今日は実に2週間ぶりの休日。仕事中はあまり感じなかったのに、休みになったとたんにどっと疲れが出た。朝8時には目覚めたものの、昼食後に猛烈に眠くなり職場からの電話で起きたときは夕方5時を回っていた。(^^;

これではなんのための休日かわからぬが、とにかく体は楽になった。電話は部下からの報告。簡単な指示を与えた後、家の周囲を散歩する。

P1010345 今日はアメリカで活躍したメゾソプラノ、G.スウォーザウトの歌を聴いた。アーン、ドビュッシー、プーランク、デユパルクの軽い歌曲を集めたもので、曲によってはピアノ伴奏にハープ、チェロが加わる。

カップリングはモントゥー指揮RCA管伴奏によるショーソンの「愛と海の詩」。

ショーソン単独では、何度か再発されていたが、このオリジナルカップリングでは一度出ただけだ。手持ちはRCAの国内盤LP。

モントゥーの伴奏に触発されたのか、音楽の流れに気持ちよく乗った艶のある美しさで聴かせるショーソンが素晴らしい。

それに比べ、ピアノ伴奏のフランス歌曲は声が重く、声に張りがない。著しく精彩を欠く歌唱だ。ショーソンだけが再発されていた理由がよく判る。

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2008年3月 1日 (土)

フェリアーのヘンデル

2週間休日なしで朝帰りの日が続いているが、ようやく一筋の光明が見えてきた。今日から3月。どうやら春が近づいてきたようだ。今までの不具合を整理し22時帰宅。

P1010342 今日は、気分が沈みがちの時によく聴く、とっておきの2つの演奏を聴いた。2曲ともヘンデルで、一曲は歌劇「ジュリアス・シーザー」からアリア「物音ひとつせず」。マギーガン指揮のフィルハーモニアバロックによるハルモニアムンディのCD。

カウンターテナーとバロックホルンのダブルコンチェルトのような曲。快活で格調の高い曲と演奏、ホルンの唖然とするうまさに聴いていて自然と気分が高揚してくる名演だ。

P1010343 特に続いてイギリスの名コントラルト、キャサリーン・フェリアーの歌うオラトリオ「サムソン」から「万軍の主よ帰りたまえ」。

フェリアーが死の一年前にDECCAに残したバッハ・ヘンデルアリア集から。伴奏はボールト指揮のロンドンフィル。

死を目前にしながらも毅然としたスタイルの中に深い情愛が感じられ、聴いていて自然と泣けてくる感動的な名唱だ。1952年録音のモノラルだがフェリアーの死後に共演したメンバーが再び集まり伴奏部分のみステレオで再録音をおこなっている。

P1010339 沼響のHPの聴き比べコラム「ラフマニノフの2番を聴く」に一年ぶりに記事をアップしました。聴いたのは尾高忠明によるニンバス盤CD.

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