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2008年4月12日 (土)

春、旅立ちの詩~海瀬京子ピアノリサイタル

今日は海瀬京子さんのピアノリサイタル。今秋からベルリンへ留学する彼女のために「すみや」が企画したコンサートだ。仕事を終え、家内と会場の響きの良い長泉町文化センター・ベルフォーレへと急ぐ。開演19時。

P1010366 前半はハイドンのピアノソナタ第50番とベートーヴェンの「熱情ソナタ」。休憩の後、西村朗の「三つの幻影から水」、リストの「春のおもい(シューベルト原曲)」、「愛の夢第3番」、ラフマニノフの「楽興の時」から3曲、そして「ラ・ヴァルス」というもの。席は右側三列目。

最初のハイドンの冒頭が響いた瞬間、「おや?」と驚いた。この曲の演奏は伊豆の国市での「狩野川クラシックコンサート」で先月聴いている。だが、毅然とした音の輝かしさと陰影の深さで格段に良い出来だ。全く印象が違う。演奏者近くの最良の席で聴いていることもあるがピアノが実に良く鳴っている。

そして初挑戦の「熱情ソナタ」は、「運命」と同じ時期に書かれた中期の名作に全力で真正面からぶつかっていく壮絶な演奏だった。今、沼響が悪戦苦闘している交響曲第7番で、ベートーヴェンの難しさを痛感しているが。本当にベートーヴェンは奥が深い。本場ベルリンでの研鑽で、さらに磨きぬかれたベートーヴェンを今後聴くことができるだろう。

そして後半は、彼女得意の曲を並べただけに非常に聴き応えがあった。冴えた音と切れ味鋭いテクニックで絶えず様相を変える水の変化を見事に音化している西村作品の鬼気迫る妖艶な演奏。そしてロマンティックなリストへの場面転換の妙。

続くラフマニノフも余裕の名演。楽しみながら演奏している心が自然に客席まで伝わってくるのが実に良い。フルオーケストラにも引けをとらない色彩豊かで華麗な響きがホールに拡散していく最後の「ラ・ヴァルス」も圧巻。

アンコールは「亜麻色の髪の乙女」とショパンの「ノクターン第2番」。

慌しい年度始めの週末のひととき、素晴らしい音楽と演奏を十分に堪能しました。また演奏してください。

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