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2008年6月に作成された記事

2008年6月30日 (月)

朝比奈隆の「千人の交響曲」

タワーレコード・ヴィンテージコレクションから朝比奈隆のマーラーを聴く。

1972年、実際に1000人の演奏者を動員した大阪フィル第100回定演における記念碑的な演奏。この巨大な交響曲が演奏されること自体一つの事件であった時代の録音。

4988002520527 吹きこぼれるような熱気が、この演奏会に賭ける演奏者たちの尋常でない心意気が伝わってくる。

朝比奈隆の指揮も多少大雑把だが雄大な出来。1000人を超える演奏者すべてに完璧を求めるのは不可能に近く、終盤のクライマックスで男声合唱の一部が興奮のあまり地声になってしまったのは惜しいが、アマチュア的なひたむきさが魅力の演奏。

確かオリジナルはCD-4の4チャンネルだったはず。このCDで聴く限りでは、録音が演奏の壮大さを十分に捉えきっていないようだ。

試しにカーステレオで聴いてみると、音が大きな広がりを持って四方から響いてきた。再生方法によっては面白い効果が出るかもしれない。

P1010441 P1010464_2  沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にトスカニーニ&ニューヨークフィルの演奏の感想をアップしました。

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2008年6月29日 (日)

シカゴ響の首席奏者たち

梅雨前線が活発化し再び雨模様の一日。本日出勤し懸案事項の資料を3件完成させた後、職場近くの入院している母の病室をちょいと覗く。病室からは増水した狩野川が良く見える。

P1010466 今日はシカゴ響の管楽器奏者4人のコンチェルトを集めたアルバムを聴いた。

独グラモフォンのLPで、クレヴェンジャー、エリオット、スティル、ハーセスらのモーツァルトとハイドンのコンチェルト集。伴奏はアバド指揮のシカゴ響。

いずれも名だたる大名人ばかりで、世界最強とも言える面々。ソリスティックでありながらオケにうまく溶け合っているのが見事。

P1010465 もう一枚はハンス・ホッターの歌うドイツ歌曲集。東芝EMIのセラフィム盤で、シューベルト、シューマン、R.シュトラウスを歌っている。

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2008年6月28日 (土)

ヴェントとクルイセンのドビュッシー

梅雨の中休み。また明日から天気が崩れそうなので午前中は畑で汗を流す。パソコンが不調でウィンドウズ起動前に電源が落ちてしまう。ここ数日ブログの更新もままならない。修理に出すことにしたが、その前にパソコン本体を覗いて見ることにした。

ところが箱を外して吃驚。綿埃がハードディスク前のファンにビッシリこびりついている。とにかくエアダスターと掃除機で埃を取り除き、再び電源を入れると、なんと問題なく起動するではないか!どうやら単なる熱暴走だったようだ。かれこれ20年以上前のコモドールのパソコンがよく熱暴走を起こしたことを思い出した。

P1010459 P1010460 夜は静かにドビュッシーの歌曲数曲。聴いたのはスイスのソプラノ、ヴェントとバリトンのクリュセンの歌うドビュッシー歌曲集。

ヴァロア原盤の日本コロンビアLPでクルイセン盤は1962年のディスク大賞を受賞している。
ピアノはヴェント盤がノエル・リー、クルイセン盤はリシャールというもの。

ノエル・リーには同時期のヴァロアにピアノ曲全曲の録音がある。

歌詞のひとことひとことに神経を通わせたクリュイセンの柔らか名唱の数々。「もう家のないこどもたちのクリスマス」のひそやかで愛情に満ちた歌唱も印象深い。ヴェントの歌唱もストレートで清楚な良い演奏だ。

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2008年6月25日 (水)

千葉馨・ホルンの世界

連日雨模様、体のあちこちに黴が生えそうだ。

元N響首席ホルン奏者だった千葉馨さんが亡くなった。自分がホルンを始めて手にした頃から千葉馨さんは憧れの存在だった。テレビでN響の演奏を見るたびに、背筋をシャキッと伸ばしてベルを挙げて吹く、千葉さんの姿を画面から探したものだ。

016_2  今日は千葉さんの演奏を聴いてその偉業を偲ぶことにする。

最初に聴いたのは日本ビクターから出ていた「千葉馨 ホルンの世界」というLPからブラームスのホルン・トリオ、1984年録音。

ヴァイオリンが堀正文、ピアノは本荘玲子という顔ぶれで、N響にゆかりの深い岩城宏之、森正、外山雄三の三人の指揮者が発起人となって実現したレコーディングだ。録音時にこの三人も立ち会ったという。同じメンバーでの1997年の再録音もCDで出ている。

N響引退後の録音だが、室内楽の枠の中で天翔る軽やかでクリアな音色の千葉さんのホルン。カップリングはR.シュトラウスのホルン協奏曲第一番。こちらはフェネル指揮の東京佼成ウィンドオーケストラとのライヴ録音の吹奏楽版。

026_2  もう一枚は、トリオから出ていたLPで。ケンウッドシンフォニックブラスによる吹奏楽曲を集めたアルバムからR.R.ベネットの「アメリカ古典舞曲」。

この団体は、この録音のために編成された臨時編成の吹奏楽団で、ファゴットの戸沢宗雄、フルートの小出信也、峰岸壮一、トランペットの北村源三、戸部豊、ホルンは千葉馨、田中正大、パーカションの有賀誠門などなど70年代の在京オケの首席クラスの管楽器奏者がずらりと並ぶのが壮観だ。ここで岩城宏之が指揮でなくパーカションで加わっている。

001 このメンバーによる録音では世界のマーチ集も出ていた。こちらも芸術性の高い名演ぞろい。

演奏者たちが嬉々として演奏しているのが自然と伝わって来るのが楽しい。

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2008年6月23日 (月)

1929年、ラムルー管のフランス音楽集

ポール・パレーの後を受けて1929年から1933年までラムルー管の音楽監督だった、アルベール・ヴォルフの録音を聴いた。「フランス音楽のパノラマ」というタイトルのTIMPANIから出ていたCD4枚組。

694 内容はラモー、メユールから始まりフランク、サン・サーンスを経てシャルパンティエ、ラップラ、ラボー、シャブリエ、ドビュッシー、ラヴェル、ダンディ、ルーセル、シュミットに至るフランス音楽の一大アンソロジー。

この録音当事、ラヴェルやデユカスなど多くの作曲家が存命だった。「ラ・ヴァルス」や「魔法使いの弟子」、ドビュッシーの「夜想曲」などラムルー管が初演した曲も数多い。
いわば偉大な作曲者たちと同時代の空気を共有した演奏家たちの貴重な記録。

ラムルー管は当事も今も一流とは言えないものの、良い意味でのローカルな味わいが実に良い。ラヴェルの「スペイン狂詩曲」冒頭のさりげない下降音型に聴かれるアンニュイな雰囲気は今ではもう聴くことはできない。
オケのメンバー表にトランペットとコルネット・ア・ピストンが並んでいるのもこの時代ならではだ。

このCDケースは写真が動く仕掛け付き。

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2008年6月22日 (日)

ツェルネッカのメンデルスゾーン

梅雨前線活発化し雨強し。夜は市内の割烹料亭でお寺の役員会。十数名の役員中自分は最年少。続く懇親会ではお年寄りたちは焼酎派が大多数を占める中、ビールを飲んでいるのは自分ひとりとなり、手もちぶささのコンパニオン達は自然と自分に集中。

P1000003 今日は先日、近所の中古本屋で280円で購入したデ・アゴスティーニのクラシックコレクションシリーズ第101巻の「メンデルスゾーン」を聴いた。

内容はアレキサンダー・フォン・ピタミック指揮ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団の交響曲第5番「宗教改革」。イヴァン・ショコルによるオルガンソナタ第3番、アイダ・ツェルネツカのピアノとオリヴァー・ドホナーニ指揮スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団によるピアノ協奏曲第2番というもの。

このシリーズの音源はPILZ系の怪しげなものが大多数で、ピタミックは実在しない幽霊指揮者だ。
安田さんのHPの情報によれば、
http://www.h3.dion.ne.jp/~yasuda/bqcla/nanut/deagostini.htm
この「宗教改革」の実体はホルヴァート指揮によるオーストリア放送響らしい。

演奏は、輝かしいテクニックと凛とした気品の漂うツエルネッカのメンデルスゾーンが実に素晴らしい。ドホナーニの伴奏も練達の出来。「宗教改革」も多少の粗さはあるがオケの豪快な鳴りっぷりが聴き応え充分だ。オルガンソナタも曲の良さを知るには不足なし。

このシリーズは当たり外れが大きいが、これは大当り。

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2008年6月21日 (土)

ニコラス・ダニエルのオーボエ

今日は来週に迫った大きな会議の資料作成のために出勤。外はどんよりとした梅雨空。連日の雨に狩野川の水位も上がっている。

P1010457_2 今日はイギリスのオーボエ奏者N.ダニエルのオーボエを聴いた。Perlから出ていたLPで、Howells、Finzi、Pattersonらの世界初録音を集めたアルバム。ピアノはJ.Drakeが弾いている。ジャケットの写真は二人とも若いが、今はそれなりの年のはず。

お目当ては心優しきFinziの作品だったが、他の二人の作品も楽しめた。演奏は着実なテクニックと芯の太い音色の見事なもの。

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2008年6月20日 (金)

ビアンカのガーシュイン

曇り時々雨。昨日は一日年休を取り母の膝の手術の立会い。幸い手術は問題なく2時間ほどで終了。全身麻酔が覚めた状態で手術室を出たものの、3時間ほど本人は病室で夢うつつの状態。執刀医の説明を聞き状態も落ち着いたので9時過ぎに帰宅。

病院が職場近くなので、今日も仕事の合間に何度か病室を覗く。母は気持ちだけは手術前の状態に復調。軽い冗談も出るようになり、まずはよかった。

夜は本来沼津楽友協会の例会で、スロヴァキア・シンフォニエッタの演奏会だったのだが、見舞いを終え19時過ぎに沼津市民文化センターに滑り込んだところが誰もいない。思わずチケットを見ると会場は三島市民文化会館・・・・開演18時45分の文字。 

「 ガァーン!」会場を間違えてしまった。アバド&ベルリンフィルの「トリスタンとイゾルデ」全曲公演の時に、チケットを家に置き忘れたまま新幹線に乗り込んでしまった時以来のチョンボだ。

三島まで車を飛ばせば後半のプログラムに間に合う時間だったが。外は霧雨道路は渋滞。夕食抜きのお腹も「グー・・・」と鳴る。寝不足気味でもあったのでチケット代はもったいないがそのまま家路につくことにした。

P1010456 こんな日は、明るいガーシュインでも聴いて気を紛らすことにしよう。取り出したのは、ソンドラ・ビアンカの弾くガーシュインの「へ調のピアノ協奏曲」コンサート・ホール盤LP.

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2008年6月18日 (水)

ラングレーのオルガン即興

今週は母の入院やら部下の被災など、いろいろな出来事が集中する一週間となってきた。自分の怠惰から延び延びになっていた、今年最大の山場となる会議資料もいよいよタイムリミットだ。

P1010451 今日はフランスの盲目のオルガニストにして作曲家、ジャン・ラングレーの演奏を聴いた。

ヴィエルヌの作品とラングレー自身の即興を収録したアルバム。同世代のメシアンの大宇宙を彷彿させる壮大な演奏とは異なる甘美にして宗教的な世界。

P1010450 もうひとつ、ラヴェルの手がけた編曲集でレイノルズ指揮のヨーロッパ室内管によるLP。

「マ・メールロア」やドビュッシーの「サラバンド」のほか、シューマンの「謝肉祭」シャブリエの「華やかなメヌエット」といった比較的録音の少ない曲が収録されている。堅実な演奏だが、もう少しお色気とお遊びが欲しいところ。

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2008年6月17日 (火)

無題

午前中年休を取り、膝の手術のため入院する母を連れ、入院の手続きを済ませた。本人は至って元気なのが救いだ。病室は狩野川を眼下に臨むよい部屋が取れた。

昼食後、職場でデスクに向かっていると消防車が職場の前を通り抜けていく。ふと窓の外をみると川向こうから黒い煙がむくむくと湧き上がっている。「また、火事かよ」とぼんやり外を眺めているとデスク上の電話が鳴った。かつて同じ職場にいた女性職員から「OOさんの家が家事だわよ!!」の声。

なんと部下の女の子の家だった。急ぎ仕事中の本人を家に帰すが煙はますます増え、尋常でない気配。彼女と親しかった同僚に様子を見に行かせた直後、本人から「だめでした。明日からしばらく休ませてください」との電話。

その後自分も現場にいってみたが火元は隣家の喫茶店。彼女の家は2階から火が入り全焼状態だった。幸いにしてご家族は無事だったがなんともやりきれない一日。

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2008年6月16日 (月)

新日鉄コンサート、アルヒーヴ

ヤフオクで落としたCDが届いた。ニッポン放送で1955年から50年の長きにわたり放送されていた「新日鉄コンサート」の貴重な記録のCD2枚組。

Tkhdt301img397x3361212803199owtq4t 60年代から70年代までの邦人演奏家の演奏が中心で、三善晃のチェロ協奏曲の初演、斉藤秀雄の「ジュピター」、田中希代子のショパン、安川加寿子のモーツァルトとドビュッシーなどなどのお宝ザクザク。千葉馨さんの吹くシュミットの「深い森の中で」が聴けるのも嬉しい。

「新日鉄コンサート」にはバーンスタインやスゼー、ロストロポーヴィッチ、パヴァロッティや小沢征爾などの大物演奏家も来演していたとも聞く。これらの音源も日の目を見ればよいのだが。

Tkhdt301img384x3361212197090bukipj Tkhdt301img377x3361211965627zg4zmj あとオネゲルで名演を聴かせたボド&ロンドンフィルによるサン・サーンスの交響曲第3番。ボドも最近の消息はわからない。元気にしているのだろうか。

もうひとつはカナダの女流ヴァイオリニスト、Lara St Johnの弾き振りで、バッハのヴァイオリン協奏曲集全曲と無伴奏ヴァイオリンソナタ第一番。うーむ、これは完全にジャケ買いでした。

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2008年6月15日 (日)

クライバーの「舞踏への勧誘」

ここ数日よい天気が続く。朝、英検を受験する娘たちを送り出した後、職場に行き急ぎの仕事を片付ける。今週は母の入院もあり休暇も取らねばならぬ。仕事は出来る時に済まさねば、と思う。どうもパソコンが不調で日々の更新もままならなくなってきた。

P1010452 お昼は先日の飲み会の時にいただいた「はくばく」の冷やし中華。コシのある半生麺でなかなかの美味。

今日は今回の定演で演奏したウェーバー絡みでカラヤン&ベルリンフィルのウェーバー「序曲集」を聴いた。聴いたのはグラモフォンのガレリアシリーズのLP。独プレス輸入盤を日本語解説を付けて売り出したもの。

P1010454 この種の曲を振らせるとカラヤンは非常にうまい。ベルリンフィルも極上の響き。

ところがベルリオーズ編の「舞踏への勧誘」の最後になって愕然!なんと曲の最後に出てくるチェロとフルートの素敵な会話がカットされているのだ。これは明らかな編集ミス。LP末期の再発盤とはいえ、完成品をチェックしていないのがバレバレ。

P1010453 お口直しに同じベルリンフィルを振ったエーリヒ・クライバーのテレフンケン盤を聴いた。1930年代のモノラルだが金属原盤からの復刻なので音は非常に良い。

ウィンナワルツ風の優雅な響きを当時のベルリンフィルから見事に引き出している。気品と風格に満ちた大指揮者貫禄の名演。

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2008年6月14日 (土)

カレーラス、メトの「ボエーム」

パソコンが末期症状でほとんど立ち上がらなくなってしまった。何故だろう?
本日朝から出勤し机上のパソコンを叩いていると。仙台在住の友人からの突然のメール。
「大きな地震。自分は無事」とのこと。明治9年の神風連の乱の時に芸者が打った「ダンナハイケナイ、ワタシハテキズ」の名電報を思い出した。慌てて職場のテレビを点けると岩手県の地震の模様が出ていた。被害の詳細が判明するのはこれからだろう。東北在住の親戚や友人の顔がよぎった。

木曜日のオケの練習は、自分が行っている市主催のディスクコンサート会場に場所を移し来年の公演予定の「ラ・ボエーム」の鑑賞会。自然と自分が解説をおこなうはめになってしまった。使用した演奏はカレーラス、ストラータスらのメトのLD。1982年の未だ元気だった頃のカレーラスの存在感が群を抜いている。ストラータスは半病人そのものの容姿でミミにぴったりだが、影の薄い歌唱を演技でカバーという趣。メトならではの豪華な舞台とゼフィレッリの名演出。集まった団員も楽しんだ様子でまずはよかった。

昨晩は、いつもの中年四人組の定例の飲み会。場所はいつもの三島の割烹「はちまき」。
本日はピアニスト海瀬京子さんも同席ということで、自然とオヤジの頬を緩み華やかな雰囲気となった。海瀬さんは先日のコンサート直後の逞しさとは一転して今日は賢く上品なお嬢さんの姿。おいしい料理と音楽談義に花が咲く。二次会はオヤジ4人でいつものプライベートバーで楽しい時間が過ぎていく。

P1010440 P1010455 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にトスカニーニの演奏の感想をアップしました。

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2008年6月11日 (水)

サヴァリッシュの「カルミナ・ブラーナ」

前任者から今年から引き継いだプロジェクトは、煮詰まってくるにつれ問題点が具体的な形で浮き彫りになってきた。解決方法の選択肢が次第に限定されていくのがキツイ。当初の杜撰な計画の影響が最後まで残りそうだ。

P1010443 今日はサヴァリッシュのオルフを聞いた。聴いたのはケルン放送響を振った「カルミナ・ブラーナ」1956年モノラル録音。手持ちは英EMIの棒付きLP盤。

サヴァリッシュのカルミナはプライ、ポップという二大名歌手揃えた80年代初頭のN響を振ったライヴが印象深い。確かFMとテレビとの同時放送だったはずだ。

このLPは作曲者自身の立会いのもとで録音された録音。知的にして熱き情熱に満ちたサヴァリッシュ若き日の名演。

LPのブックレットには録音模様の写真とオルフの賛辞が紹介されている。CDでは同じ内容のオルフ自身の感謝の言葉が収録されていた。ザルツブルクでもオーストリア放送響を振って演奏していたが、なぜか正規録音はこのモノラルしかない。

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2008年6月10日 (火)

ホルスト・シュタインの「くるみ割り人形」

本日は梅雨の合間の晴れ模様。明日はまた雨のようだ。出勤すると、職場の女の子たちがなにやら騒いでいる。どうやらトイレの水が出なくなっているらしい。冗談交じりに今日一日トイレを我慢してね。などと言ったら。女の子たちの顔色が変わった。本気にしてしまったらしい。業者さんを呼んだところ水槽の水が抜けていたとのこと。幸いなことにポンプの故障でなく一時間ほどで復旧。よかった。

P1010449 今日はホルシュト・シュタインの指揮したバレエ音楽曲集を聴いた。

ワーグナーで重厚な名演を聴かせたシュタインにしては珍しいレパートリーだが、シュタインは若い頃にマイナーレーベルにこの種の軽い曲の録音を少なからず残している。

聴いたのはConstanzeというレーベルの謎のLPドイツ盤。チャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲を中心に、「白鳥の湖」から数曲と「シルヴァイア」「コッペリア」「時の踊り」などのバレエ音楽のみを集めたアルバム。オケはバンベルク響。

これが渋い音色のバンベルクのオケから軽妙な響きを引き出していて、聴き応え充分のなかなか楽しめる演奏なのでした。

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2008年6月 9日 (月)

ルーセルの「アエーネス」

朝から激しい雨。秋葉原の事件の犯人が犯行に使用したトラックは、職場近くのトヨタ・レンタカーで借りられたものだった。

本日夕方、昨年の交通事故の示談のため事故当事者の父親と保険屋2名が来訪。事故に会ってから半年が経過しているが、娘は後遺症が残り未だに通院している。

一月ほど前に示談書類のみが送りつけられ、印を押して返送してくれとの保険屋からのあまりにも非常識な申し出にこちらは激怒。本日の会見と相成ったもの。早く解決したいのは山々だが、条件が合わずお引取りを願った。我が家の車は4台玉突きの2台目だが、直撃を受けた方は裁判になってしまったようだ。

P1010446 今日はルーセル晩年の合唱付きバレエ音楽「アエーネス」。

ルーセル独特の緻密なオーケストレーションと豪快さの感じられる親しみやすい作品だが、いささかルーティンな部分もあり、「バッカスとアリアーヌ」や交響曲ほどの感銘は受けない。

ルーセルの弟子のマルティノンの指揮はさすがに手際の良いもの。

P1010436 沼響のHPの聴き比べコラム、「ベートーヴェンの7番を聴く」にメンゲルベルクがベルリン帝国放送管を振ったライヴの感想をアップしました。

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2008年6月 8日 (日)

R・P・マルタン神父のフォーレ

今日は父の7回忌の法事、昨晩からの雨は墓参の時には上がっていた。秋葉原でまた起きた通り魔事件。お先真っ暗の未来を象徴するかのような嫌な出来事だ。

P1010447 今日聴いたのはフォーレのレクイエム。

アンドレ・シャルランの録音で名高いR・P・マルタン神父指揮によるサントゥスタッシュ管弦楽団・合唱団による演奏。オケの実体はラムルー管だという。手持ちはトリオから出ていた国内盤LP。

オケも合唱もアマチュアのような稚拙なアンサンブルだが、とにかく無心に丁寧に演奏しようとする気持ちは伝わってくる。ドイツ音楽をこの調子でやられたならばとても聞けたものではないが、フォーレだとさほど苦にならないから不思議だ。
名エンジニアのワンポイントマイクによる録音だが、曖昧模糊としたこちらも不思議な録音。

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2008年6月 7日 (土)

タヴァロスのメンデルスゾーン

本日出勤し、昨日の出張関連の資料作り。同じ頃近くの文化センターでは東京フィルの沼津公演がおこなわれている。沼津出身の大賀典雄さんの指揮と前橋汀子さんのヴァイオリンによるオール・メンデルゾーンプロのはずだ。客の入りを心配しつつ一日が暮れていく。

P1010412 今日はメンデルスゾーンを聴いてみた。取り出したのはフランチェスコ・タヴァロス指揮するフィルハーモニア管による交響曲第5番「宗教改革」。

メンデルスゾーンの作品の中では古風な曲だが比較的好んで聴く曲。タヴァロスの幾分ぼてっとした厚い音が曲想にうまく合っている。

カップリングは同じくメンデルスゾーンの秘曲、カンタータ「ワルプルギスの一夜」。遅れてきた巨匠として一時期注目されたものの、その後急速に忘れられたダヴァロスを代表する雄大な名演。

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2008年6月 6日 (金)

ギュットラーのエテルナLP

本日川崎出張、気温は上がりクールビズ。東海道本線で事故があり新幹線は満席状態で新横浜まで座れなかった。川崎で他社数人と待ち合わせるも一名到着せず。事故の影響下と思いきやそうでもないらしい。やむなく一名欠のまま訪問先へ。会議は3時間越える密度の濃いものとなり、終了後近くの喫茶店で会議の内容を精査後解散。宿題も多く、しばらくは休みなしとなりそうだ。

P1010445 P1010446 帰りに渋谷寄りレコファンをちょいと覗く。時間もないので軽く眺めるつもりがついつい長引いてしまう。旧東ドイツのトランペット奏者ギュトラーのエテルナLPが大量に有り、コルノ・ダ・カッチャを吹いたLP何枚かを購入。

バロック期の作品からバッハの作品が中心。実演で聴いた弦楽器にほど良く溶け込んだギュトラー独特の柔らかな音をオリジナルのエテルナLPで楽しめるだろう。

P1010447 P1010444 他にウィーン・ブロックフレーテ・アンサンブルによる「ルネッサンス舞曲集」のTUDOR盤。ニューヨークのトップスタジオミュージシャンとニューヨークフィルの首席奏者たちが中心となったガンサー・シュラー率いる「アメリカンマーチの百年」。今日は管楽器の軽いものばかりとなった。うーむ、疲労の蓄積が選曲に現れているような。

その足で渋谷タワーに立ち寄る。食指の動くCDは何枚かあれど未聴盤が溜まっているので音盤は購入せず。気の向いたときにネットで購入することにしよう。アマゾンでは764円で買えるDOVERのシベ2のスコアが、ここでは1,300円ほど。音楽書をしばらく立ち読みし帰路につく。

品川で乗り込んだ19時10分発の新幹線「ひかり」はまたもや満席。結局三島まで座ることができなかった。帰りに職場に寄るつもりがいささか疲れ直帰とする。

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2008年6月 5日 (木)

シベ2初見

梅雨入りとなり、ここ数日気温の低い日が続く、今日も朝は霧雨模様。どうもこのところ仕事は高値安定状態。日々の仕事をこなすのがやっとといった状態となってきた。もう少し仕事を分散した方のが良いのだが。とはいえ残業する気にはなれず、オケの練習に顔を出す。

今日は来年の定演のメインであるシベリウスの交響曲第2番初見。練習会場に着くと第一楽章の半ばをやっていた。さすがにべト7の時のように、初見ながら一気に全曲通ることはなかった。特に弦楽器さんたちには初見は酷な曲だ。

第一楽章を一通り通した後、第一楽章の最初めからじっくり練習。これで良いのだ。まだ本番まで一年ある。ゆっくり行こう。最後にフィナーレを通して本日の練習は終了。

ところでシベリウスのスコアだが、団員それぞれが様々な出版社のスコアを持ち寄ってきた。ちょいと見比べると細かなところでパート譜と異なっている。これは聴き比べコラムは苦労するかもしれない。

41bm5zx2nrl_sl160_aa115_ 現在一番安いのはドーヴァーのもので、アマゾンならば800円を切る値段で購入可能。

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2008年6月 2日 (月)

山田一雄の「田園」

再び雨となり寒い一日。昨日、海瀬京子さんの出演する演奏会のため東京へ出発する直前。時間を確認するためにテレビをつけてると「題名のない音楽会」をやっていた。

番組内容は、先週に行き続き「振ってみまshow」ということで、応募された音楽好きの方々による素人指揮者大会。それぞれ個性的な指揮ぶりで、その個性が出てくる音楽にストレートに出てくるのが面白い。電車の出発時刻も忘れついつい見入ってしまった。

タレントのルー大柴も出演して番組を盛り上げている。彼の「新世界より」の指揮を見ると非常に緊張している様子。ナーバスで真面目な人なんだ。彼がクラシック好きだとは意外だった。続く女子高校生のベートーヴェン交響曲第7番も、素直で音楽が大きく羽ばたいていて思わず頬が緩んでしまった。

何よりも驚いたのは75歳の宗像さんという方が振った「田園」のフィナーレ。クラリネットソロに続く見事なホルンソロ。そして素晴らしい主題がごく自然に流れ出していく。指揮のテクニックなど超越した音楽への深い愛と感謝がオケから素晴らしい音楽を自然に引き出している。こんな感動的な演奏は初めてだ。僅か1分の指揮だが、不覚にも涙がこぼれてきた。

鳥越さんをはじめとした審査員の方々も感動したようで、宗像さんが審査員全員一致のグランプリを受賞。受賞を喜ぶ家族の方々の表情も良かった。皆さん本当に音楽が好きなんだなぁ。

司会の佐渡裕のブログにも、この演奏は紹介されている。http://blog.tvasobi.jp/entries/index/daimei/

ということで今日は「田園」。名演は数多あれどあのような感動的な演奏はなかなかお目にかからない。迷った末に取り出したのは山田一雄さんの「田園」。

P1010443 札幌交響楽団を振った1991年1月の最晩年の演奏会ライヴでマイナーレーベルのFANDANGOから出ていたCD。

意外にもまとまった録音がなかったヤマカズさんのベートーヴェンの交響曲全曲演奏チクルス中の一枚。残念ながらこの年にヤマカズさんは急逝してしまい。第一番のみ録音されず矢崎彦太郎が振った第一番がカップリングされている。

ライヴゆえの傷は散見されるものの、こちらも音楽への深い愛情が自然に音になっている暖かな演奏だ。

P1010425 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にメンゲルベルクの1936年ライヴの感想をアップしました。連載ようやく10回目

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2008年6月 1日 (日)

モーツァルト室内管弦楽団第46回定演

今日から6月、昨日までの雨も上がり朝から良い天気となった。本日は東京日本橋にてモーツァルト室内管の第46回定期演奏会。アマオケなれど海瀬京子さんと横島先生の両人出演とあっては行かねばならぬ。

20080601s_2 地下鉄半蔵門線水天宮前駅近くの日本橋公会堂は初めて入るホールで客席600人ほどの小ホール。響きは幾分デッドだがこの大きさは古典派の曲には最適だろう。客席には沼響のメンバーも数人見える。
曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番、モーツァルトの歌劇「コシ・ファントゥッテ」序曲に交響曲第38番「プラハ」というもの。

モーツァルト室内管は、1972年にモーツァルトの愛好家たちが集まって組織されたという老舗のアマオケ。ステージ上に並んだメンバーの顔ぶれを見ると落ち着いたアダルトな雰囲気が漂っている。沼響よりも平均年齢は高そうだ。

最初は海瀬京子さん出演のベートーヴェンのピアノ協奏曲第一番。ベートーヴェンとしては3曲めのピアノ協奏曲で古典的な軽快さと格調の高さの中にベートーヴェンらしい堂々たる風格の漂う名作だ。

終演後楽屋口で本人に話を伺った時には不満足げの様子だったが、なかなかどうして着実な技巧と素直なアプローチで、曲の良さを聴き手に自然な形で伝える見事な演奏だった。第一楽章の長いカデンツァや第二楽章の丁寧な歌い口にも好感が持てる。古典派の曲はこのような演奏で聴きたい。お客さんの反応も良い。

使用ピアノはベーゼンドルファー。長い序奏後のピアノの音を聞いてピリオド楽器のような質朴な響きに意外な思いがした。今流行りのピリオド奏法に合わせたのかしらんとも思ったが、。柔らかさとともに感じられるはずの、ベーゼンドルファー特有の箱全体を鳴らすふくらみのある深い余韻があまり感じられない。これは使用ピアノに原因がありそうだ。

後半はすべてモーツァルトプロ。モーツァルトを演奏し続け30年以上というオケの手馴れた演奏。「プラハ」の途中でヒヤリとする場面もあったが、モーツァルトへの深い共感から来る安定感とアマオケながらこのオケ固有の音を持っているのが良いと思う。これは沼響も見習うべきだろう。
アンコールはドイツ舞曲から(たぶん)。
横島先生の指揮は、柔らかな響きを求めながらも要所要所でティンパニを強奏させ、ピシッと引き締める正統派の解釈。

Jinbo 終演後、なぜか神田古書センターにある「ボンディ」のカレーが食べたくなり神田まで足をのばす。しばらく古書街をぶらついた後、久しぶりにじゃがバター付きのビーフカレーを食し9階の富士レコード社をちょいと覗く。

P1010439 良いものは多いが高いなぁ。続いて寄ったササキレコード社でデ・ワールトの振るマーラーの交響曲第3番のCDを発見。これでデ・ワールトのマーラー交響曲全集の全曲が揃った。

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