山田一雄の「田園」
再び雨となり寒い一日。昨日、海瀬京子さんの出演する演奏会のため東京へ出発する直前。時間を確認するためにテレビをつけてると「題名のない音楽会」をやっていた。
番組内容は、先週に行き続き「振ってみまshow」ということで、応募された音楽好きの方々による素人指揮者大会。それぞれ個性的な指揮ぶりで、その個性が出てくる音楽にストレートに出てくるのが面白い。電車の出発時刻も忘れついつい見入ってしまった。
タレントのルー大柴も出演して番組を盛り上げている。彼の「新世界より」の指揮を見ると非常に緊張している様子。ナーバスで真面目な人なんだ。彼がクラシック好きだとは意外だった。続く女子高校生のベートーヴェン交響曲第7番も、素直で音楽が大きく羽ばたいていて思わず頬が緩んでしまった。
何よりも驚いたのは75歳の宗像さんという方が振った「田園」のフィナーレ。クラリネットソロに続く見事なホルンソロ。そして素晴らしい主題がごく自然に流れ出していく。指揮のテクニックなど超越した音楽への深い愛と感謝がオケから素晴らしい音楽を自然に引き出している。こんな感動的な演奏は初めてだ。僅か1分の指揮だが、不覚にも涙がこぼれてきた。
鳥越さんをはじめとした審査員の方々も感動したようで、宗像さんが審査員全員一致のグランプリを受賞。受賞を喜ぶ家族の方々の表情も良かった。皆さん本当に音楽が好きなんだなぁ。
司会の佐渡裕のブログにも、この演奏は紹介されている。http://blog.tvasobi.jp/entries/index/daimei/
ということで今日は「田園」。名演は数多あれどあのような感動的な演奏はなかなかお目にかからない。迷った末に取り出したのは山田一雄さんの「田園」。
札幌交響楽団を振った1991年1月の最晩年の演奏会ライヴでマイナーレーベルのFANDANGOから出ていたCD。
意外にもまとまった録音がなかったヤマカズさんのベートーヴェンの交響曲全曲演奏チクルス中の一枚。残念ながらこの年にヤマカズさんは急逝してしまい。第一番のみ録音されず矢崎彦太郎が振った第一番がカップリングされている。
ライヴゆえの傷は散見されるものの、こちらも音楽への深い愛情が自然に音になっている暖かな演奏だ。
沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にメンゲルベルクの1936年ライヴの感想をアップしました。連載ようやく10回目
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