キュエノーのドビュッシー
青い空を見るのは久しぶりだ。気温は高いが上空に秋の季語であるうろこ雲が見える。仕事は休みだが、夕方にちょいと気になることがあり職場に顔を出す。
今日はN.ブーランジェにも師事したことがあるスイスのテノール歌手ユーグ・キュエノーの歌うドビュッシーを聴いた。
ヴェルレーヌの詩によるフォーレとドビュッシーの歌曲を片面ずつに収録した好アルバムで、アメリカのマイナーレーベル、ヴァンガードの黎明期のLP。番号はVRS414(ヴァンガードレーベルの第一号はVRS411)。
キュエノーといえば85歳でメトに出演したレヴァインの「トウーランドット」が印象深い。今も100歳を超えて健在だという。
柳の木のようなしなやかで、いなせなドビュッシー。この録音から40年以上の年月を経た「トゥーランドット」の皇帝ティムールの声質がこのドビュッシーとほとんど変わらないのが驚異的だ。
ピアノ伴奏にジャクリーヌ・ブランカールを起用したのがこのアルバムの価値をさらに高めている。美しい音と詩情豊かなブランカールのピアノは全く素晴らしい。
ところが手持ちのLPは、かつてのアメリカ盤によくあった片面に全く別の演奏が収録されているというトンデモLP。これにはがっくりしたものの、A面にあるべきフォーレの代わりに収録されていたブルックナーの交響曲第4番終楽章が驚異的な名演。片面にたっぷりカッテッィングされていて録音も良い。
指揮者を特定しようといろいろ調べたが、そもそも50年代初めにヴァンガードにブルックナーの録音があった事実をつきとめることができない。モノラル期のブルックナーの交響曲録音はさほど多くないのに、どうしても特定できない。使用版はハース版のようだ。
沼響のHP、「ベートーヴェンの第7番を聴く」にシューリヒトがベルリン市立管を振ったライヴ録音の感想をアップしました。
ところが、この録音はシューリヒトの演奏ではなさそうです。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント