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2008年8月に作成された記事

2008年8月31日 (日)

キュエノーのドビュッシー

青い空を見るのは久しぶりだ。気温は高いが上空に秋の季語であるうろこ雲が見える。仕事は休みだが、夕方にちょいと気になることがあり職場に顔を出す。

P1010519 今日はN.ブーランジェにも師事したことがあるスイスのテノール歌手ユーグ・キュエノーの歌うドビュッシーを聴いた。

ヴェルレーヌの詩によるフォーレとドビュッシーの歌曲を片面ずつに収録した好アルバムで、アメリカのマイナーレーベル、ヴァンガードの黎明期のLP。番号はVRS414(ヴァンガードレーベルの第一号はVRS411)。

キュエノーといえば85歳でメトに出演したレヴァインの「トウーランドット」が印象深い。今も100歳を超えて健在だという。

Turandot05 Cuenodhugues9 1950年代初頭の録音で、キュエノー40代の録音。

柳の木のようなしなやかで、いなせなドビュッシー。この録音から40年以上の年月を経た「トゥーランドット」の皇帝ティムールの声質がこのドビュッシーとほとんど変わらないのが驚異的だ。

ピアノ伴奏にジャクリーヌ・ブランカールを起用したのがこのアルバムの価値をさらに高めている。美しい音と詩情豊かなブランカールのピアノは全く素晴らしい。

ところが手持ちのLPは、かつてのアメリカ盤によくあった片面に全く別の演奏が収録されているというトンデモLP。これにはがっくりしたものの、A面にあるべきフォーレの代わりに収録されていたブルックナーの交響曲第4番終楽章が驚異的な名演。片面にたっぷりカッテッィングされていて録音も良い。

指揮者を特定しようといろいろ調べたが、そもそも50年代初めにヴァンガードにブルックナーの録音があった事実をつきとめることができない。モノラル期のブルックナーの交響曲録音はさほど多くないのに、どうしても特定できない。使用版はハース版のようだ。

P1010518_2 沼響のHP、「ベートーヴェンの第7番を聴く」にシューリヒトがベルリン市立管を振ったライヴ録音の感想をアップしました。

ところが、この録音はシューリヒトの演奏ではなさそうです。

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2008年8月29日 (金)

ブーランジェ、二つのフォーレ

日本列島全てが水責め状態の中、静岡県はぽっかりと晴天の一日。幸いにして月曜に雨のため延期になっていた肉体労働系作業は滞りなく終わることができた。

昨日のオケの練習は、「ラ・ボエーム」の第3、4幕の通し練習。ホルンパートはさほど難しくはないが、オペラの常としてお休みが多い。

もともと休符を数えるのが苦手な自分なので、歌なしの練習では、曲に精通していないとすぐに落ちてしまう。慣習的なプッチーニ特有のテンポの揺れもまだまだ頭に入っていない。

今日は天才的な音楽家だったナディア・ブーランジェの指揮する二つのフォーレのレクイエムの演奏を聴いた。

P1010516 フォーレに師事し、バーンスタインやマルケヴィッチ、ピアソラらを育てた偉大な教育者であったもN.ブーランジェのフォーレ。

最初は1948年のEMIへのスタジオ録音で、オケと合唱団の名は記されていない。ソプラノとバリトンも知らない人だが、オルガンは自らも素晴らしいレクイエムを残したモーリス・デユリュフレが弾いている。

手持ちは、著作権切れの録音を格安で発売していたクアドロマニアのCD。

状態のよくない録音のためもあるが、演奏はあまり良くない。正体不明のオケと合唱のアンサンブルも上等とは申しかねる。

P1010517 もう一枚は、1968年のライヴでBBCレジェンドから出ているCD。オケと合唱はBBC交響楽団および合唱団。

こちらはスタジオ録音とは同一の演奏家とは思えぬほどの素晴らしい演奏だ。高度に純化された高貴にして品格あふれる名演。

ジャネット・プライスの歌う「ピエ・イエス」の感動的な名唱。続く「リベラ・メ」の恐ろしいほどの真実味で迫ってくる低音弦楽器のピチカート。オケも合唱も一体となってブーランジェの棒に奉仕している。聴いていて自然と泣けてくるフォーレのレクイエム。

名盤ひしめく同曲の中でも自分が最も大切にしている1枚だ。ステレオ録音なのもありがたい。

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2008年8月27日 (水)

シェイナとスメターチェクのロッシーニ

朝晩めっきり涼しい、先週から秋の長雨のような趣。今日は晴れたが明日から雨の予報。

自分の担当していた二つの大きなプロジェクトは順調な仕上がりだが、職場内の別の部分で火が吹いてきた。とにかく緊急に人を集め現状を把握し今後の対策を指示。事前に準備をしておけばさほどの課題ではないはずが、ここまで引き伸ばして重症となってしまったケース。

このような時は楽しい曲を聴こう。未聴棚から取り出したのはチェコの名匠シェイナとスメターチェクのロッシーニ序曲集。

P1010513_2 米パーラメントのLPで、シェイナが「セヴィリアの理髪師」と「アルジェのイタリア女」、スメターチェクが「セミラーミデ」という1枚のLPに3曲という贅沢なカップリング。

曲の急所を見事に掴んだベテランの味わい。長い坂を上るようなロッシーニ特有の単純にして息の長いクレシェンドも、極めて純音楽的に格調高く響かせている。オケが目の前で演奏しているような生々しい録音も聞き物だ。

P1010511 もう一枚は古楽、カペラ・アンティカ・バンベルクという団体による「中世、ルネッサンス、バロック期の音楽」というCD。ドイツのC.A.B.というレーベルで1986年録音。

演奏団体についてはよくわからない。オリジナル楽器使用と書いてはあるが、ピッチは現代のものだし、奏法その他もコレギウム・アウレウムの演奏に共通したピリオド楽器と現代楽器の折衷のような演奏だが、民族楽器風の鄙びた音で聴く、スザートやホルボーンの作品も野趣があって楽しいものだ。

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2008年8月26日 (火)

ルルーのトゥランガリラ交響曲

日、月と続いた雨も本日小休止、日中は30度の蒸し暑さ。夜になり再び雨。

今日はメシアンを2枚。

P1010514 一枚目はM.ルルー指揮フランス国立放送管による「トゥランガリラ交響曲」。1961年、メシアン監修の下で録音されたこの曲の初録音。(ロスバウトのさらに古い録音もあるが、一般発売はこの盤が最初)。

フランス・ヴェガ原盤の真紅のジャケットのLPは良く見かけたが、手持ちはACCORDから比較的最近発売されたCD。残響過多の、甘く、非常に聞きやすい演奏。

P1010512 もう一枚は、「世の終わりのための四重奏曲」。

日本コロンビアから出ていたパルナスシリーズのモノラルLP、1956年録音。この演奏は今ではルルーと同じACCORDのCDで聴くことができる。

第二次世界大戦中、独軍の捕虜収容所に収容されていたメシアンが、収容所内で偶然出会った音楽家3人と自分のために作曲した傑作。収容所内で初演された時は、鍵盤が戻らないオンボロのアップライトピアノと、弦が3本しかないチェロで演奏されたという。

後にメシアンの作品の大きな主題となる鳥の鳴き声が随所に散りばめられている。たった4人の演奏者のための作品なのに、「トウランガリラ交響曲」を凌駕するほどの宇宙的な広がりを感じさせる作品だ。

初演時のメンバーのメシアンとチェロのパスキエが加わった歴史的名盤。

オリビエ・メシアン(p)
ジャン・パスキエ(vn)
エチエンヌパスキエ(vc)
アンドレ・ヴァスイエ(cl)

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2008年8月24日 (日)

フランク・マルタンのバラード

終日雨、気温も下がり、娘たちは宿題に追われる静かな日曜日。自分は出勤し、来月以降の計画立案に追われる。

P1010511 今日聴いたのはスイスの作曲家、フランク・マルタンの自作自演。ハープシコード小協奏曲、トロンボーンとピアノのための二つのバラードを収めた1枚。

ハープシコードは、シューリヒトのブランデンブルク協奏曲集で鮮やかな腕前を披露したC.ジャコテ。トロンボーンはA.ロジン、ピアノはS.ベンダという顔ぶれ。そして作曲者マルタンの指揮するローザンヌ室内管というオールスイス人キャストによる米CANDIDEのLP。

クリスタルガラスのような透明な叙情が魅力のマルタンの音楽。緊張感漂う引き締まったアンサンブルで聴かせる演奏も良い。

P1010512 P1010513 沼響HPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、シューリヒト指揮ベルリンフィルの1937年スタジオ録音の感想をアップしました。

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2008年8月23日 (土)

フィエスタ!

曇り時々雨。気温も下がりクーラーが不要なほど。

2008082300000117reuspoview000  北京オリンピック男子400メートルリレーでの日本チームの銅メダル獲得。有力なチームが予選で消えた僥倖があったとはいえ、トラック競技では1928年のアムステルダムオリンピックの人見絹枝以来の快挙だ。今回のオリンピックの中では一番印象に残るシーンとなりそうだ。

夕方になって遠くで花火の音が聞こえてきた。

2008082320000001_2 千本海岸で「サンセットページェント」が行われている。2000発の花火が打ち上げられる海上花火大会だ。

海上から10キロ以上離れている我が 家の窓からも良く見える。大会の最後を飾る巨大な20号玉の輝きが消えると今年の夏ももう終わり。

今日はお祭りの音楽。ドナルド・ハンスバーガー指揮するイーストマン・ウィンドアンサンブルによる「フィエスタ!」というアルバムで、MCA原盤のLP。

P1010513 曲はオーウェン・リードの「メキシコの祭り」、サリナックの「異教徒イベリア人の儀式と踊り」、そしてニクソンの「太平洋の祭り」というもの。

ハンスバーガーがこのアンサンブルの音楽監督に就任した直後のアルバム。吹奏楽曲とはいえ音楽性の高い逸品揃い。特にオケの管楽編成を基準としたサリナックの作品が印象深い。

P1010512 続いてストコフスキーのロイヤルアルバートホールでのライヴ。

BBCレジェンドのCDで、1969年の収録。曲は序曲「1812年」、「はげ山の一夜」、グリンカ「カマリンスカヤ」、ショスタコーヴィッチの「プレリュード」、ストラヴィンスキーの「パストラーレ」、リヤードフの「八つのロシア民謡」、スクリャービンの「法悦の詩」、そして最後に「韃靼人の踊り」という実に盛りだくさんな一夜のコンサート。

オケはロイヤルフィルに近衛兵軍楽隊やウェールズ・ナショナルオペラの合唱団まで動員した豪華なもの。変化に富んだ演奏に絶妙な曲目配置。聴き手を飽きさせないのはさすがだ。同じ時期のスタジオ録音に比べ、祭りだワッショイ的気分のノリノリの高揚感が実に楽しい。お客も大いに沸いている。

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2008年8月22日 (金)

ホーレンシュタイン、チェコフィルのブラームス

朝晩少しずつ涼しくなってきた。秋が山から徐々に降りてくるようだ。

今日は職場の部下の家で不幸があり、告別式に出るために静岡市まで車を飛ばす。式の終了後遅い昼食を摂り、そのまま職場へ直行。黒ネクタイを取り、礼服のズボンのまま9時過ぎまで仕事をして帰宅。

476 今日はホーレンシュタインの指揮するブラームスを聴いた。スイスのモントルー音楽祭の1966年ライヴの交響曲第2番。ホーレンシュタインとしては珍しいチェコフィルとのライヴ。

カップリングされている最初の「ドン・ファン」は、遅いテンポでオケの鳴りも悪くホーレンシュタインとしてはかなり鈍い出来。そのままのテンションでブラームスに突入するものの第2楽章からは本調子となり、フィナーレはロマンティックで雄大な仕上がりとなった。

ホーレンシュタインのブラ2では、ユニコーンから出ていたデンマーク放送管とのライヴの方が良かったように思う。

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2008年8月21日 (木)

西郷直樹名人講演会

Susuki5_2 月、火と夏休みを取り、毎年の恒例となった八ヶ岳のコテージで家族と一泊。

八ヶ岳山麓はすでに秋の気配が忍び寄り、夜は肌寒いほど。ススキの穂もちらほらと見える。特に何をするでもない二日だったが、高原の爽やかな空気に身を置き、しばしの命の洗濯。

Chi_03 帰り間際に立ち寄ろうとした「風林火山の館」は、来年のNHK大河ドラマ「天地人」撮影のため臨時休館。門の外から覗いてみると、多くの人が蠢いている。主人公の直江兼次役の妻夫木聡その他、有名俳優が多数来ていたようだ。

K_img_render そして本日は、かるたの永世名人、西郷直樹名人の講演会。

開始直前の控え室で紹介されて初対面。うーん若い。なんて控えめで謙虚な人だろう。

講演では、競技かるたの奥深い世界を実にわかりやすく語る中に、凡人には及びもつかない努力と才能が徐々に明かされていく。

驚くほどの耳の良さと記憶力。そして気分の切り替えの鮮やかさは天才的だ。次に読まれる歌が読み手の子音の響きで読まれる前に判るという話。さらに読まれる前に次にどの歌が来るか判る時があるという話も、大きな説得力を持って迫ってくる。

講演中に紹介されたテレビ番組のビデオでは、普通の人と異なる名人の脳の活動が科学的に解き明かされていた。どの世界にも天才はいるものだ。

講演終了後は、会場に来ていた来月からベルリンへ留学するピアニストの海瀬京子さんと名人との初対面の場に同席。若く、偉大な二つの才能の出会いの場に立ち会えた一日。

というわけで、オケの練習は休んでしまいました。

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2008年8月17日 (日)

コンドラシンのラフマニノフ、シンフォニック・ダンス

晴れ、午後一時雨。本日出勤、来月から始まるもうひとつのプロジェクトの精査で一日終わる。自分が立ち上げた仕事でないだけに気苦労多し。

連日の北京オリンピック報道で影が薄くなってしまっている高校野球だが、静岡代表の常葉菊川高が、逆転の連続で、あれよあれよという間に決勝まで勝ち進んでいる。昨晩一緒に飲んだ岳父は、甲子園の準決勝と決勝戦の入場券を以前から手に入れており、今日は甲子園のバックネット裏で観戦したはずだ。偶然にも静岡代表チームの応援となり、さぞや盛り上がっただろう。

1010511 今日はロシアの指揮者コンドラシンのラフマニノフ、主兵モスクワフィルを振った「シンフォニックダンス」をメロディア原盤の英EMI盤LPで聴く。

1963年録音。カップリングはスヴェトラーノフ指揮する「3つのロシアの歌」でこちらはボリショイ劇場のオケと合唱団。

ドスの効いた重厚壮大なる名演。単細胞的な爆裂演奏でなく、洗練さも感じさせるのが良い。

P100514 もう一枚は、ウエストミンスターから出ていた古いステレオLPで、ウィーン国立歌劇場管のメンバーによるガブリエリ。

「ピアノ・フォルテのソナタ」など、おなじみのブラスアンサンブルのための作品を集めたもの。

ガブリエリは名盤が目白押しで、このようなカスカスのアンサンブルではもはや時代遅れだが、木管楽器も入れたアンドレア・ガブリエリの「戦いのアリア」などは、仄かに漂うしっとり典雅な雰囲気が、華やかな演奏に慣れた耳には新鮮に響く。

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2008年8月16日 (土)

エアロダイナミクス

連日の猛暑も夜風は涼しくなってきた。今週は仕事上の予期せぬトラブルを抱えつつ内容の濃い週末となった。

Front_mini 金曜の晩は、4人の仲間と今や定例となった居酒屋「はちまき」での飲み会。

奇しくも伊豆一の宮、三島大社の大祭と重なり、仕事を早めに切り上げ三島駅に着くと、地元のおばちゃんたちの盆踊りやら観光客でたいそうな賑わい。「はちまき」で越乃寒梅を一本空け、いつもの二次会では「ワイルドターキー8年」のソーダ割り。心地よい酔いを残しその日のうちに帰宅。

空けて土曜日は高校の吹奏楽OB会の演奏会本番。年一回全国から集まり旧交を温める七夕アンサンブルだ。昨晩の酒は、なんとか二日酔いになる寸前で留まったようで体調もまずます。

P1000007_2 今回のステージ参加は60名弱。曲はjazzのステージに続き、「マーチ・エレガント」「篤姫のテーマ」、「エアロダイナミクス」、現役のステージを挟んで後半は、「シンフォニア・ノビリシマ」「プスタ」というもの。

譜面は事前に配られているとはいえ、当日午前中のみの練習で本番に臨むという無謀なものだが、合わせているうちにそれなりにカッコがついてくるから不思議なものだ。中ではテンポと拍子が煩雑に変化する「エアロダイナミクス」に苦戦。

演奏会は、響きの良い長泉ベルフォーレに助けられ、大きな事故もなく無事に終わり、最後は現役高校生合同で校歌を合奏して解散。この催しも来年は10回めとなる。

  夜は、そのままホール近くの家内の実家に行き、家族と合流。岳父とのお酒の付き合いの後、三島大社のお祭りに繰り出した。すごい人出だ。大社の前では山車数台が集結し、「チャンチャンチキチ・チャンチキチ」の耳を聾する大合奏。昼間の疲れと岳父との痛飲で酔いが一気に回り早々に退散。

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2008年8月14日 (木)

シューリヒト、未発表録音集

巷はお盆、今日は、お経を上げに来たお坊さんを迎えた後に出勤する。伊豆方面の行楽地に向かう車で国道414号線は朝から混雑。外からの電話も少なくお盆休みを取った職員も多く、なんとなく軽い雰囲気が漂っている職場内。

P1010510_2 今日は、2003年にMusic&Artsから期間限定で出ていた「シューリヒト未発表録音集」からブルックナーの交響曲第9番を聴く。

50年代のシュトゥットガルト放送響を振ったシューベルトや、レーガー、ブルックナーと、マイナルディをソリストに迎えたハイドンのチェロ協奏曲などのCD3枚に、ナチが創設したベルリン大管区管弦楽団とのベートーヴェンやワーグナーの30年代ライヴ集を加えたCD4枚組。

ブルックナーは1951年11月2日のライヴ。速いテンポで飄々とした中に、強固な意思の力が脈々と流れるいつものシューリヒト節が聴かれる。第3楽章のブラスのファンファーレでの休符の扱いは全く独特だ。録音状態は良い。

P1010506_2 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、記事をアップしました。

今回は、シューリヒトがパリ音楽院管弦楽団を振ったベートーヴェン交響曲全集録音中の一枚。

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2008年8月13日 (水)

小澤征爾の「火刑台上のジャンヌ・ダルク」

巷は盆休みだが自分は月、火曜日のみの休日。休みとはいえ、母の退院やらお盆の準備だのとなかなか忙しい。

昨日の2時過ぎになって、突然家内がポーラ美術館に行きたいと言い出した。「忙しいから一人で行きなさい」と言ったのだが、「場所が判らない」ということで、やむなく一緒に箱根へ車を飛ばす。

Building_01_img_01 平日なので比較的道路は空いているが、箱根の急な坂道の途中で車が長蛇の列を作り、ダラダラと上っている。列の先頭を見ると、巨大なトレーラーが時速20キロでゆっくり坂道を登っていた。箱根は何度行っても道が分かりにくい。

今回も誤って県道75線を湯河原方面に曲がってしまい40分ほど時間をロス。目指すポーラ美術館に着いた時は4時を回っていた。

ガラス張りの現代的な美術館に入ると、平日にもかかわらずかなりの数の入館者だ。

146_1945_cccr 1450675 企画展は「シャガール 私の物語」。

ポーラ美術館所蔵の「私と村」のほか、シャガールの比較的初期の作品やリトグラフが展示されていた。

シャガール独特の鮮やかな青と赤が目に眩しい。連作「ダフニスとクロエ」はラヴェルのバレエ曲と多少筋が異なるようだ。

閉館時間が迫っているので、駆け足で展示を回る。

Ex_04_03_ph_01_4 常設展示のルノワール、ルソー、マグリット、高橋由一の名画の数々。「浮世絵美人と化粧道具展」の浮世絵美人画もシャガールに決して引けをとらない素晴らしさだ。

P1010507 今日は、オネゲルの大作オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」を小沢征爾の指揮で聴く。

ロンドン響を振った1966年録音で、手持ちはCBSの国内盤LP。後に小沢征爾はフランス語版の全曲録音もおこなっているが、この盤は英語版。

冴えたリズムと生命力溢れる躍動感が素晴らしい。オケと合唱が限界まで鳴り切った若き日のオザワ会心の名演。

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2008年8月10日 (日)

「ノモス・ガンマ」オリジナル配置世界初演?

今日は静岡ゆかりの演奏家300人のオーケストラによる一大イベント、「音楽の広場」本番。http://granship.jugem.jp/?eid=53#sequel

Img_2 クセナキスの「ノモスガンマ」を、作曲者が望んだ98人の演奏者の中に聴衆を配する形態での演奏、しかも我が沼響のメンバーも少なからず参加するとあっては行かねばならぬ。

お墓の掃除と庭の草取りを午前中に済ませ、一旦職場に寄った後に13時18分沼津発静岡行きでグランシップに向かう。

会場は4,600人収容の大ホール「海」。体育館のような巨大な空間で、さすがに満席にはならなかったが、ほぼ8割の入り。

2008081014300000 アリーナ席には、「ノモス・ガンマ」のために相撲の土俵のような大きな指揮台を中心に円形に椅子が並ぶ。

俳優の渡辺徹の司会に続き、指揮者の井上道義が人力車に乗って登場。そして客席に分散したトランペット奏者によるパヌフニクの「ファンファーレ」。トップのソロはかつて沼響に在籍していたN君ではないか。懐かしい・・・うーむ、だが、会場が広すぎて音が拡散している。

続く「ノモス・ガンマ」も、指揮台狭しと大きなパフォーマンスで動き回る指揮者と打楽器の響きのみが突出。

期待していた螺旋状に渦巻く巨大な音響空間を期待していたのだが、何だかよくわからないうちに終わってしまった。だが、この形態で聴けることは将来もまずないだろう。貴重な体験に感謝。

そしてオケは300人に拡大し、円形配置のまま「ボレロ」が始まる。要所要所にプロが配置されているとはいえ、ソロの大部分は地元のアマオケ奏者たちだ。顔見知りもチラホラ見える。大きなカーヴを描きながらの300人による壮絶なクライマックス。

後半は、本名徹次指揮の弦セレから始まり、続いてオペラアリア数曲。このあたりになると、ホールの響きにオケが馴染んできたようだ。

そして組曲「惑星」から火星と木星。これほどの大編成のオケになると実に聴き映えがする曲だ。広大な空間を満たしていく300人のオーケストラの巨大な響きと熱気に圧倒されるばかり。

途中にいくつかの事故があったとはいえ、アマチュアで僅か一月でここまで仕上げれば立派なものだ。終演は18時。会場を出ると雨が降っていた。

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2008年8月 9日 (土)

インゲ・ボルクの「オペラ・アリア集」

晴れ夕方から雨、日中の湿度は意外に低い。家内と娘の一人は朝早くから東京ディズニーランドへ行っている。現地に着いた直後に届いたメールでは、暑さと混雑ですごいことになっているらしい。もうひとりの娘は明日の静岡県吹奏楽コンクール県大会予選へ向けて猛練習。自分は出勤し仕事。

  Mmolaw001008082008_1_2_000aw_3 昨晩、北京オリンピック開会式を見た。国家の威信をかけた中国の物量作戦。

プロローグは、孔子の「有朋自遠方来不亦楽乎」を叫びながらの2008人の奏者によるによる一糸乱れぬ古代打楽器「缶」の連打。これは凄いものだった。

P1010352_2 今日はR.シュトラウスでドラマティックな歌唱を聞かせたソプラノ歌手、インゲ・ボルクのオペラアリア集を聴く。

英DECCAのLPで、ドヴォルジャークの「ルサルカ」、グルックからヴェルディまでのオペラアリア集の数々。伴奏指揮はフィストラーリとモラルトというもの。

「サロメ」や「エレクトラ」で聴かせた歌唱とは、また異なるスタイルの美しく清純な歌唱の数々。ボルクの芸風の懐の深さに感心する一枚。フィストラーリの指揮も非常にうまい。

明日は、静岡グランシップで300人のオーケストラによる「音楽の広場」を聴きに行く予定。作曲者が望んだ形での、おそらく世界初演となるクセナキスの「ノモス・ガンマ」が最大の聴き物。指揮は井上道義。

Img_2

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2008年8月 8日 (金)

渡邉暁雄のレスピーギ

猛暑続く、毎朝庭木と畑に水を撒いてからの出勤の日々。

昨日はオケの練習日。先週は参加できなかったが8時前に会場へたどり着く。曲はシベ2の第2、第1楽章。オケ全体としては曲の輪郭はほぼ見えてきた。自分は先週休んだブランクが思いのほか大きく、譜面上を視線が右往左往。しばし音楽の行方を見失う。

休憩時間に今後の練習日程が配られた。次回からは、来年2月公演の「ラ・ボエーム」の練習が本格的に始動する。オペラは塩田美奈子を招いた「椿姫」以来だが、演奏もともかく、舞台の準備、合唱の手配エトセトラ、裏方の苦労は想像を絶するものがある。しかも本番当日は何が起こるかわからない。

P1010520 今日は日本フィルの自主制作アルバムのLPを聴く。指揮は渡邉暁雄さんで、リムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」、シベリウスの「トゥオネラの白鳥」、そしてレスピーギの「ローマの松」というもの。1982年、神奈川県民ホールでのライヴ。

オケを過不足なく鳴らした渡邉さんらしい安定した出来。

貫禄十分の「アッピア街道の松」の後の盛大な拍手の途中で針を上げようとすると、突然聞きなれた渡邉さんのソフトな声が聞こえてきた。「アンコールにドヴォルジャークのスラブ舞曲を演奏します。」続いて生き生きとしたドヴォルジャークが聞こえてきた。ジャケットとレーベルには、ドヴォルジャークについては何も書いていない。ちょっぴり得した気分。

P1010516 沼響HPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にカザルスのライヴの感想をアップしました。

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2008年8月 5日 (火)

ベルリンフィル室内合奏団の「七重奏曲」

曇り夜になり雨。昨日、クラリネットを吹いている後輩が、家でいろいろと音盤を聴いていった。彼はプロではないがかなり本格的に吹いていて、内外の著名なクラリネット奏者の知人も多い。

しばらくレコード棚を眺めていたが、「これを聴かせてください」と取り出したのはベルリンフィルのメンバーによるベートーヴェンの名作「七重奏曲」。

P1010522  ベルリンフィルのメンバーの同曲録音は数多いが、彼が取り出したのはEMIの古いLP盤。

1935年からベルリンフィルのコンマスであったハンス・ギーゼラーを筆頭にコントラバスのツェペリッツ、クラリネットのビュルクナー、ファゴットのローテンシュタイナー、ホルンのG.ケップという、ちょうど1957年のベルリンフィル初来日時の主力奏者の面々。

彼曰く、「ベルリンフィルのメンバーによる録音では、この演奏が一番良いと思います。」とのこと。なるほど、通常軽く飛ばすところも実に丁寧にきっちりと演奏している。他の演奏が手抜きというのではないが、目に見えない奥深いところまで行き届いた全てを知り尽くしたプロ中のプロのお仕事。

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2008年8月 3日 (日)

クレンペラーのヤナーチェク

仕事上のクレームがあり本日出勤。こちらのミスが引き金とはいえ相手の要求はどう考えても理不尽な内容だ。相手の言いなりになるのも程度問題。クレームの常連なだけになおさらだ。言うべきことははっきりさせておく。

P1010521_2 今日はクレンペラーがコンセルトヘボウ管を振った50年代ライヴ。ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」、バルトークのヴィオラ協奏曲、そしてシェーンベルクの「浄夜」というもの。

ヴィオラは委嘱者のプリムローズ。archiphonから出ていたCDで今はM&Aからも出ているようだ。

いずれもクレンペラーにとっては同時代の音楽。晩年の悠然とした演奏とは対照的なキレの良いシャープな演奏だ。

545 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、ワルターがイタリア放送管を振ったライブの感想をアップしました。

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2008年8月 2日 (土)

大栗裕の「天の岩戸の物語による神話」

曇り後晴れ、今日は高校に通う娘の出場する吹奏楽コンクール東部予選。会場は下の娘と同じ裾野市民文化センター大ホール。10時の開演に間に合わせようと車を飛ばし片道30分ほどの道を会場へ急ぐ。

P0601_01 会場に着くと既に演奏は始まっていたが、ロビーでプログラムを購入してみると、娘の学校はA編成の10番目でなんと17時30分となっている。午前中はB編成の学校だったのだ。orz

事前に静岡県吹奏楽連盟のHPを確認したのだが、昨年から更新をストップしているので基本情報が入手できなかった。

とても一日中吹奏楽を聴いている時間も体力ないので一旦家に帰り、出直すことにした。途中、犬の餌を買ったり、ハードオフでジャンク物のモニターを購入したりしていて、帰宅したのがちょうどお昼。

D20080729153751t290040010310709  家の雑事も片付け、結局4時過ぎに下の娘と一緒に再び裾野の会場へ。ところが会場直前で渋滞に巻き込まれてしまった。会場周辺では浴衣を着た親子連れが歩いている。

今日は裾野夏まつりで、ホールの駐車場に夏祭り客も止めているようなのだ。

当然満車で入り口には空車を待つ車の長蛇の列。(^)

これではとても間に合わぬ。なんとか近くの商工会議所の駐車場に止め、ホールへ急ぐとちょうど娘の学校の一校前の演奏が始まるところだった。

娘の学校の自由曲は大栗裕の「天の岩戸の物語による神話」。大阪のバルトークとまで言われる大栗裕の作品の中では比較的知られた曲だろう。美しい仕上がりと優秀な打楽器セクションの活躍もあり、なかなか良い出来だ。これならば予選は通過するだろうと、他の学校を聴かずに会場を後にする。

26bfa6fc29de88b6ee2ec01028ad687b_2 途中清水町の「街道ラーメン」に立ち寄り帰宅。

555321 今日はNAXOSの日本作曲家選輯シリーズから、大栗裕作品集。演奏は下野竜也指揮の大阪フィルによるもの。

「天の岩戸の物語による神話」のオーケストラ版も入っているが、オリジナルの吹奏楽版とは曲の順序に多少の異動がある。

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2008年8月 1日 (金)

スゼーの「詩人の恋」

今日から8月。懸念された今年の大きな山のひとつは、ほぼ自分の思い通りに進んだもののこれからがいよいよ本格始動。すでに8月後半から年末までの土日祝日に仕事の予定が続々と入り始めている。嗚呼、夏休みが取りたい。

P1010514 今日の一枚はフランスのバリトン、ジェラール・スゼーの歌うシューマンの歌曲。

フィリップスのアーティスト・ギャラリーシリーズ中のLPで、歌曲集「詩人の恋」全曲のほか「二人の擲弾兵」エトセトラ。

P4030233 スゼーの「詩人の恋」では、若い頃のライヴがコルトーの伴奏で出ていた。こちらはチェトラから出ていた録音で、コルトーのピアノを聴くべきアルバム。

フィリップスへのステレオ録音は、軽く柔らかな淡彩色のシューマン。ライヴ録音と比べると、甘く熟し過ぎた果実のような崩しが多少気になるが、これもひとつの演奏スタイルだろう。ボールドウィンのピアノは非常にうまい。

P1010515 もうひとつ、イヴォンヌ・ミントンの歌うマーラーの「さすらう若人の歌」。

DECCAへの録音でショルティ指揮シカゴ響の伴奏で交響曲第6番とのカップリング。1970年のアナログ録音。

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