ゆらこめ
11月も今日で終わり。今日は一日職場で風邪で休んだ分の帳尻を合わせておく。完治したと思ったが鼻水が未だ止まらない。
帰宅したところ、「ゆらむぼ」こと由良博英さんのクラシック音楽評論集「ゆらこめ」上下巻が届いていた。
昨年11月にくも膜下出血のため45歳の若さで突然逝ってしまった由良さんの残されたクラシックの批評文をまとめたものだ。
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由良さんとは90年代の初めの頃、未だインターネットが普及する以前のパソコン通信時代にNIFTYのクラシックフォーラムで知り合った。
彼はすでにクラシックのネット界では非常に有名な存在であり、ネット初心者の自分が恐る恐る書き込んだ初めてのコメントに暖かなレスをつけてくれたことを今でも忘れない。
長いおつき合いだったが、お互いにいつか会えるだろうと思いながらも、とうとう永久に会えないままに終わってしまった。
フォーラムに寄せる由良さんのコメントは、平明な語り口に音楽に対する深い愛情が自然とにじみ出ていて、ネット黎明期の混沌とした時代のひとつの規範となるべき超然とした存在であったと今も信じている。
FCLA時代から書き続けた、膨大な音楽批評をまとめたずしりと重いこの二冊に書かれた一文一文のどれもが、音楽と演奏家に対する慈愛の気持ちに満ちていて感動的だ。
今日は故人の愛したドヴォルジャークを聴く。
弦楽合奏のための「ノットゥルノ」。ノイマン指揮チェコフィルによるスプラフォンのLP。美しく静謐な夜の音楽。
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コメント
ゆらさんをご存知だったんですね。
そしてFCLAのメンバーだったとは、、、
(今の東高の指揮者さんもですよ)
この地区では、ダブルさんというオーボエ吹き
が有名でした。
故河馬さん(元Hippo)は富士高出身。
同郷のよしみでかわいがって頂きました。
この話題でも盛り上がれますね。
ちなみにフルートの玲子さんはご存知ですよね。
彼女もFCLA所属でしたよ。
(しげさんの影響ですが)
投稿: 和尚 | 2008年12月 1日 (月) 22時14分
FCLA懐かしいですね。
ゆらさんからは、このブログの開設当初にコメントをいただきました。
私はその前身のクラコン以来のメンバーで、主に「CD感想の部屋」に書き込んでいました。東高顧問の彼の名も知っていましたよ。
インターネットの時代になり、当時親しく意見を交わしたアクティヴの多くは、自分のHPを持ったり、本職の音楽ライターになったりと多方面に分散してしまいました。
今は、あのような一定のルールとエチケットの中で自由に書き込めて意見を交換する場がなくなってしまいました。
投稿: 山本晴望 | 2008年12月 1日 (月) 22時58分
ルールとエチケット。。。
そうですね。
ネット上の関係もマナーが大切。
そんな時代がなつかしい。と思う
私はおじさんかなぁ?(笑)
投稿: 和尚 | 2008年12月 2日 (火) 23時09分
ホルン吹きさま
ゆらむぼ、河馬、和尚など懐かしい芳名の連環に触発され、書き込みます。
私がNifty ServeのFclap 夏休みオフラインでゆらむぼ氏に初めて逢ったのが、確か16年前でした。技量の向上を願い努力することを当然視する人々が多い中にあって、
ゆらむぼ氏は、まるで全身から脱脂・脱臭したかの如く、我執や我欲が綺麗に削げ落ちた人で、
俺は上手んなだ、俺はうまいんだ、俺様の才能を社会に対して証明しよう----と云った自己顕示欲の塊のような人々の中にあって、
由良氏の周囲だけに、修行僧が帯びている透き通った明澄な空気が流れており、その指揮棒が一振りされただけで、私は彼のファンになって仕舞ったのでした。
爾来10年以上に亙り、訥々とした間欠的なペースながらも、由良氏とはメールを遣り取りしていたのです。それだけに、彼の訃報は実に唐突なもので、残念と云うよりも、予期せぬ事態に遭遇した違和感が拭えませんでした。
福島の核災害に未だ収束の兆しすら見出だせず、不透明感がますます募って行く梅雨の合い間、懐かしい名前に思わず書き込んで仕舞いました。お元気で。
投稿: Yozakura | 2011年6月19日 (日) 17時00分