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2008年12月に作成された記事

2008年12月31日 (水)

ウェルドンの「ペール・ギュント」

昨日に引き続き晴れて穏やかな一日。車を洗い、部屋の大掃除をしていくうちに大不況の風が吹き荒れる2008年が暮れていく。

今日はイギリスの指揮者ジョージ・ウェルドンのグリーグを聴く。

P1010564 ウェルドンのグリーグでは、バッカウアーをソリストに迎えたピアノ協奏曲、ホルベルク組曲、叙情組曲、を集めたEMIのステレオ録音があり、いずれもしみじみとした実に良い演奏だった。

今日聴いたのは、バーミンガム市響を振った米コロンビアのアントレ・シリーズのモノラルLPで、「ペール・ギュント第2組曲」と「ノルウェー舞曲」、そしてエドワルド・ジャーマンの「ヘンリー8世」組曲と「ウエールズ・ラプソディ」とのカップリング。

ウエルドンの「ペール・ギュント」はこの録音だけだったと思う。

これは非常な名演だ。アラビアの踊りではヴァイオリンに特徴的な装飾音を付けている。このような版があるのだろうか? 。「イングリットの嘆き」や「ペール・ギュントの帰郷」の激しさ、心優しき「ソルヴェイクの歌」も感動的な演奏だ。

YouTubeはバーバラ・ボニーの歌う「ソルヴェイクの歌」

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2008年12月30日 (火)

ルイージの第九

昨日に引き続き暖かな一日。夕方から風が強くなってきた。
例年年末の数日は、何をしたのか記憶に残っていないほど多忙なうちに終わってしまう。

上の娘と母を連れ立って正月ものの買出し。家内は下の娘と一緒に大掃除。その後、近所の農家に頼んでいた正月飾りと神棚のしめ縄を取りに行く。

我が家には、母屋の神棚の他に、離れの神棚、荒神さん、恵比寿さん、庭の片隅にお稲荷さんと、やたらに神棚が多い。いずれも代々引き継がれていたもので、毎年年末には煤払いとしめ縄を交換することになっている。

神棚の奥にぎっしり詰まっている茶色に変色した江戸時代からのお札を整理し、しめ縄を交換しているうちにしだいに年の瀬の気分になってきた。

12月はやはり第九、ということで久しぶりにベートーヴェンの第九を聴くことにする。

P1010549 取り出したのは、イタリアの指揮者、ファビオ・ルイージ指揮のライプツィヒのMDR響による2002年ライヴ。CD-Rの裏青の海賊盤。

ルイージは、今年N響を振ったベートーヴェンの交響曲第7番の鮮烈な演奏が非常に印象に残っている。

この演奏も強靭なカンタービレと切れの良いリズム感で情熱的に進めていく演奏だ。
ただ、独唱者の技量に問題があり、テノールが中間部のソロで声が擦れてしまい、やむなくオクターヴ低く歌うという大事故をやらかしている。ホルンもまずい。

緻密に組み立てられた旋律線が大きな感動を誘う二重フーガからが非常な名演なだけに、ソリストの不調はいかにも惜しい。生で聴いたならば、文句なしに興奮させられる演奏なのだが。

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2008年12月29日 (月)

山田一雄のマーラー、「一千人の交響曲」

今日から年末年始休暇となったものの朝から頭が痛い。

昨日は、出勤していた職場の数人と今年最後の飲み納め。仕事上の大きなプロジェクト二つの目処が立ち、予期せぬトラブル続出だった2008年も終わる。ということで調子に乗って飲み過ぎた。お店2件ほど回り、締めはビールを飲みながらのラーメン。3ヶ月ほど続けていたダイエットもこれでは完全リセットだ。

庭の掃除やら年末の買い物やらで貴重な一日があっという間に過ぎていく。不況とはいえ車の数がいつもよりも多く、スーパーやDIYショップの人出も、いつもの年末の風景と変わらぬ賑わいぶり。

Img4 今日は山田一雄の指揮で、マーラーの交響曲第8番を聴いた。

もはや伝説となっていた1979年藤沢でのライヴ。当時の第一線級の歌手たちと東京都交響楽団との演奏。

巨大な編成のオケと合唱をバックに、客席のブラス別働隊に向かって吼えるような形相でキューを出す山田さんの指揮姿の写真をながめているうちに、レコード店でLP2枚組定価5千円の値を見て涙を呑んで手にしたジャケットを手放し購入を見送った学生時代を思い出した。

演奏は、指揮台狭しと暴れまわるヤマカズさんの姿が目に浮かぶような熱きもの。アンサンブルの精度としては今となっては危うい部分が散見され、録音もこの巨大な演奏の全貌を捉えているとは言い難く、京都市響との「復活」ほどの感銘は受けなかったが、この曲を演奏することが一つの事件であった時代の貴重な記録。

Vts_01_1 もうひとつ都響の「一千人の交響曲」。

こちらは今年4月30日にサントリーホールでおこなわれたインバルのプリンシパル・コンダクター就任披露演奏会の映像。

編成は山田一雄の録音よりもずっと小規模だが、この30年間の都響の演奏技術の向上が、いかにめざましいものであったのかが如実にわかる名演。真剣な表情でこの大曲に挑んでいくNHK東京放送少年少女合唱団の表情も感動的だ。

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2008年12月27日 (土)

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、作曲者自演

多忙だった2008年もいよいよ大詰め。木曜は今年最後の練習で、昨晩はいつもの四人で今年最後の飲み会。今回は二人の奥様と娘さんも加わりいつもより賑やかな会となった。

Hata いつもの割烹「はちまき」の料理は、白菜鍋に「はたはたの田楽」。

庄内地方では、12月9日の「大黒様のお歳夜」にハタハタの田楽を食べる習慣があるという。http://www.ntv.co.jp/news/98982.html

出されたハタハタは、酒田の魚市場から直送の、ブリコと呼ばれる卵プリプリの形の良い傑物。さすがに本場の味。最後に出たのは、カニ肉たっぷりの大きなカニクリームコロッケ。和洋ともに作るご主人の確かな腕が光る逸品揃い。

そのまま二次会に流れ、いつもとちょっと違った華やかさで大いに盛り上がり、0時前には解散。

今日は、昨晩話題に上がったラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いた。

P1010547 ラフマニノフのピアノ協奏曲は、作曲者自身の録音が残されている。手持ちは1939年録音のRCA盤。伴奏はオーマンディー指揮フィラデルフィア管によるもの。

現代の演奏と比べると意外なほど早いテンポで始まる。極力おセンチに陥るのを避けたかのような演奏だ。ラフマニノフの巨大な手が目に見えるような強烈な打鍵と速いパッセージでの驚異的なテクニックには唖然とする。

P1010548 沼響のHPの聴き比べ「ベートーヴェンの7番を聴く」に、シェルヘン晩年の驚愕のライヴの感想をアップしました。

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2008年12月24日 (水)

槇原敬之・クリスマスコンサート

今日はクリスマスイヴ。思えばこの一年休日返上の日が続き、碌に休暇も取っていなかったが、本日今年最後の休暇を取り、家内と一緒に「槇原敬之・クリスマスコンサート」に行ってきた。

Info_conv_hall_01_3 場所は横浜パシフィコ国立大ホール。

この手のコンサートは、自分としてはなかなか上京してまで聴く気にはならないのだが、家内が槇原のファンクラブに入っているので、たまには付き合うことにする。

P1000035 お昼少し前に家を出て、中華街の老舗聘珍樓で遅い昼食。クリスマス・イヴとはいえ平日の2時過ぎで、中華街は意外と混んではいない。

食事の後、美しい夜景を見ながらみなとみらい21のあたりをブラブラする。さすがに今日は若いアベックが多い。

  P10000341 開場時間の6時が近づいたのでコンサート会場に向かう。開演前のホール内はドライアイスでも焚いているのか、霧がかかったようになっている。

五千席近いキャパのマンモスホールだが、びっしり満席。男女を問わず年齢層も幅広い。

槇原にとっては10年ぶりのクリスマスコンサートだという。定刻5分過ぎになっても客がなかなか席に着かない。

ようやくコンサートが始まった。ちょっとしたアクシデントも即興の会話で切り抜けていく。

最初はクリスマスキャロルで開始。今日のコンサートのアレンジは全てクリスマス・バージョンで、間奏にクリスマスソングを挟んだり、チャイムや鈴の音を効果的に入れていく。歌の大部分はなじみの薄い曲だが、抜群の歌唱力と根底に流れる優しさに満ちた暖かさで、じっくり聞かせてくれる前半。

後半は一転して強烈なリズムでギンギンに流していく。会場は総立ち状態。皆が立っているので座ったままだと舞台が全然見えない。やむなく立ち上がり手拍子を打つ。

5千人が総立ちの中、名曲「世界に一つだけの花」を聴くのも良いものだ。じーんと来ましたね。帰りは最終の新幹線で0時近くの帰宅。

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2008年12月23日 (火)

ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニのブラームス

昨晩から次第に冷えてきた。今年も残り僅かとなってきたが、本日出勤し一日職場で過ごす。

P1010544 今日は歌手活動の最盛期に亡くなってしまったメゾソプラノ、ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニのブラームスの「アルトラプソディー」を聴いた。

Artから出ていたCDで、伴奏は大好きな指揮者ペーター・マーク指揮によるミラノのイタリア放送のオケ。

カップリングはマークのブラームスの交響曲第一番でこちらのオケはトリノの放送オケ。いずれも70年代後半のライヴで録音状態は良い。

瑞々しいマークのブラ1も素晴らしいが、テッラーニのアルト・ラプソディーが美しい声に深い情愛に満ちていて感動的だ。

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2008年12月22日 (月)

スタインバーグのブルックナー、交響曲第8番

今日はボストン交響楽団の自主制作アルバムからスタインバーグの演奏を聴く。

P1010543 曲はブルックナーの交響曲第8番で1972年2月のライヴ。

ミュンシュ亡き後、小沢征爾へ引き継がれる間のワンポイント・リリーフみたいな形でボストン響の音楽監督となっていた時代のライヴ。

速いテンポのすっきり系の演奏。だが、今まで聴いたことがないような版だ。解説を読むとノヴァーク版を基にスタインバーグが編んだものと書いてあるが、どうもベースはシャルク改定版のようだ。異形のブルックナー。

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2008年12月21日 (日)

オイストラフのマーラー

冬至とは思えないほどの暖かな一日。天気が崩れる前に庭木の剪定をしておく。いつもは植木屋に頼むのだが、植木屋から年内は忙しくてとても無理と言われたので、槇の木の目立った箇所だけ自分でやることにした。

三本足の植木用の脚立を持ち出し、突出した枝葉を長鋏でバシャバシャと切っていく。作業時間は2時間ちょい。軽く汗を流したところで下に落ちた枝葉を片付ける。

P1010555_2 我が家の東側に流れている小川の縁に落ちていた枝を取り除くために、両岸に渡してある木製の古い板に足をかけたとたん、バリバリバリィ!バシャーン!
半ば腐っていた木橋が折れ、自分も古材と共に川面に落下。水が浅かったので怪我がなかったのが幸い。あーぁ、驚いた。

午後はダヴィット・オイストラフ指揮モスクワフィルによるマーラーの交響曲第4番などを聴いて大人しく過ごすことにする。

P10000291 昨日のオケは中橋先生の指揮で小ホールでの練習。

ハープも入り出席率も良い。プッチーニのオーケストレーションの全貌が次第に団員にも浸透し、練習も面白くなってきた。

P1010559 沼響のHP「ベートーヴェンの第7番を聴く」にヘルマン・シェルヘンの演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

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2008年12月19日 (金)

トルトウリエの「アルペジョーネソナタ」

娘の熱は下がったが今度は母の調子が悪くなった。同じような症状で病人続出の我が家の年末。

昨日はオケの練習、インペクのF君の指揮で明日の中橋先生の練習に備えて細部のチェック。回を重ねるにつれ深いところまで練習が及ぶ。

P1010567 今日は、フランスのチェリスト、トルトウリエの弾くシューベルトの「アルペジョーネソナタ」を聴いた。

手持ちは10年ほど前に出たEMIの国内盤CD。

知的で洗練されたトルトウリエのチェロ。音色の美しさだけでなく、深い所で音楽が響いているのが素晴らしい。

YouTubeは、トルトウリエのレッスン風景。曲はバッハの無伴奏チェロ組曲第一番

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2008年12月17日 (水)

トリノのマリア・カラス

今日も雨。昨晩から上の娘が熱を出し今日は学校を休ませた。

夕方、気になり家に電話をかけたところ、職場を早退した家内曰く、熱が未だ下がらないのでこれから病院に連れて行くとのこと。

先週の土曜日にインフルエンザの予防接種は受けたが、まだ免疫はできていないはずだ。もう少し早く受けさせるんだったと後悔の念。たぶん自分も感染しているだろうと思うと、予防接種代二人分=3,700円×2=CD4枚分損した、などとバカなことを考えている私なのでした。

自分も職場を早めに切り上げ、病院にいくと診察の結果はただの風邪。多少脱水症状が出ている娘は病室で点滴を受けていた。

この病院はメタボな自分もかかりつけだったりしているので、ついでに尿検査と血液検査をして、残り少なくなったコレステロールを下げる薬の処方を受け取る。

すると病院の待合で高校の同級生に遭遇。中学校の教頭をしている彼は予防接種を受けに来たという。しばし歓談の後、点滴を受けている娘を置いて一旦帰宅。

P1010544 今日はマリア・カラスの「椿姫」を聴いた。

1953年トリノでのスタジオ録音で、何種かあるカラスの「椿姫」の中では、共演者に魅力が薄いこととカラスの出来もよくないという評価のある盤。サンティーニ指揮のトリノのイタリア放送管弦楽団。手持ちはチェトラ原盤の国内盤LP.

評判が良くなくても、やはりカラスはカラス。第一声からして圧倒的な存在感だ。太陽の近くの月のように共演者の影が薄くなってしまうのもやむもえないだろう。

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2008年12月16日 (火)

コンスタン・ランバート自作自演

仕事に追い詰められるように2008年も12月まで来てしまった。巷は暗い話ばかり。急な坂を転げ落ちるような今の日本。こんな状態では購買意欲は沸かない。CDプレーヤーをそろそろ買い換えようといろいろと物色しているが、これといったものが見つからない。
今使っているフィリップスのLHH700にさほど不満を感じているわけでもないのだが。
http://audio-heritage.jp/PHILIPS/player/lhh700.html

P1010563 今日はイギリスの作曲家コンスタン・ランバートの作品を聴く。

作者自作自演でジャズの影響を大きく受けた合唱曲「リオグランデ」とバレー「星占い」。オケはフィルハーモニア管の英EMIのLP.

カップリングはアーヴィング指揮のコヴェントガーデンのオケでブリスの「アダムゼロ」とギャヴィンゴードンの「レイクスプログレス」。いずれも競合盤が見当たらない日本ではなじみの薄い曲ばかりだ。
こちらはバレエ音楽のスペシャリスト、R.アーヴィングの指揮。このアーヴィングお目当てで購入したもの。

ランバートの「リオグランデ」はテノールソロにピアノまで加わった大作だが、どうも俗っぽく感じられて自分とは波長が合わない。演奏は良いのだが。

P1010560 P1010561 沼響のHPの聴き比べ「ベートーヴェンの7番を聴く」にエーリッヒ・クライバーの感想をアップしました。http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

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2008年12月15日 (月)

バリリのバッハ

朝から夜まで机に座りっぱなしで、椅子に根が生えたような一日。

P1010565_2 今日は 17歳でウィーンフィルのコンマスになったワルター・バリリの弾くバッハを聴く。

ウエストミンスター原盤のワーナーパイオニアから出ていたCDで、バッハの二つのヴァイオリン協奏曲。伴奏はシェルヘン指揮のウィーン・フォルクスオパー管弦楽団によるもの。

シェルヘンが特に乞うて実現したという録音。格調高いしなやかで美しい女性的なバッハ。

P1010554 そしてプラド音楽祭のカザルスによる「ブランデンブルク協奏曲第5番」。

こちらはバリリとは対照的な、ゴツゴツした素朴なバッハ。米コロンビアの初期モノラルLP盤。

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2008年12月14日 (日)

本日の練習、ソリスト合わせ

曇り時々雨。日曜とはいえ本日出勤し、職場からそのままオケの練習場へ直行する。今日は、ロドルフォ役の水船さん、マルチェロ役の与那城さんとの合わせの日。

http://www.toyota.co.jp/jp/social_contribution/culture/tcc/2009/numazu/01.html

P1000024 始めにオケのみで細部をチェック。その後二人のソリストが登場。ロドルフォとマルチェロが登場する場面を一幕から順に通していく。コンマスはN響の永峰さん。

若く明るい「ラ・ボエーム」のルドルフォ、マルチェロそのもののお二人。

歌手が入り、オケとの微妙な間とテンポの揺れなど、これからが本格的なオペラの練習開始となる。今回は慣れないオケに歌手の二人がうまく合わせてくれたという印象だ。

ピット内の木管楽器の位置がどうもしっくりせず、ファゴットとクラリネットの位置を休憩中に変えてみる。客席で聴く限りではクラリネットを正面壁に持ってきたほうが細部がクリアになる感触だが、バスクラのバランスが大きくなるのが難点。試行錯誤は続く。

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2008年12月13日 (土)

ロジンスキーの「展覧会の絵」

穏やかな週末気温も高い。下の娘が体育の時間に首をひねったとかで、午前中に近所の整形外科に連れて行く。土曜午前中の病院はお年寄りの社交の場。一時間ほど待たされレントゲンを取り診察を受ける。昨年の交通事故の後遺症ではなく単なる筋肉痛ということでまずは安心。

午後は、上の娘を連れてインフルエンザの予防接種のために近所の別の脳神経科医院へ。内科医ではないので風邪の患者もなく、うつされる心配がないのが良い。そのうえここの看護師さんは注射の腕が良いので、注射を打たれても全然痛くないのだ。

P1010564_2  最終号となった月刊「現代」に、今年ノーベル物理学賞を受賞した日本人の一人(アメリカ国籍だが)南部陽一郎さんの対談が載っている。

30年ほど前から万年ノーベル賞候補であり、今回も最初はジョークだと思っていたらしい。

もう何度も報道されていることだが、1960年代に発表された理論が受賞理由とのことで、ようやくノーベル賞が南部先生の水準に追いついたとまで言われるほど、あまりにも時代を先取りしていたことが受賞の遅れとなったという。若い頃にアインシュタインに出会ったことなどを淡々と語っている。

この記事を読んでいるうちに、学生時代に読んだアインシュタインの「晩年に想う」を読み返したくなり書棚から探し出して驚いた。翻訳者の一人が南部陽一郎先生で、巻末に「アインシュタインのおもいで」という一文を寄せていた。

P1010565 今日は、ロジンスキー指揮の「展覧会の絵」を聴いた。

音楽監督を務めていたニューヨークフィルを振った録音の米コロンビアのモノラルLP。

ロジンスキーは晩年、ウエストミンスターレーベルにロイヤルフィルとの再録音を残しているが、ケンカ太郎と呼ばれたロジンスキーの強烈な個性はこの旧盤により濃厚に顕われている。

速いテンポの猛牛のように荒れ狂う終曲「キエフの大門」が凄まじい。ロジンスキーの大リストラによって蘇ったニューヨークフィルの鉄壁なアンサンブルも見事なもの。冒頭のプロムナードはトランペット2本で吹いているようだ。

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2008年12月12日 (金)

バルトリ、モーツァルト・ポートレート

ここ数日、仕事は平穏無事に事が運んでいて、今日もハナキン気分で出勤したところ、先月交代したばかりの組織トップからの突然の呼び出しがあり、お気楽ムードはぶっ飛んでしまった。次々と繰り出される予想外の質問になんとか対応。先週の日曜に、これまでの経過をまとめておいたのが救いとなった。

527 今日は、予定されていた来日が突然中止となってしまったイタリアのメゾソプラノ、チェチーリア・バルトリの歌うモーツァルトを聴く。

彼女の名が急速に知られだした頃の1993年録音。

モーツァルトの著名なオペラから、あえてバルトリ本人が舞台では歌わないようなソプラノのナンバーを揃えたところがポイント。

最後にモテット『エクスルターテ・ユビラーテ』 K.165が収録されていて、バルトリの卓越したテクニックが堪能できる。

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2008年12月11日 (木)

ラインベルガーの弾くシュニットガーの歴史的オルガン

昨晩はオケの練習。先週注意を受けたホルンセクションだが、練習の始めから頭数は揃いそれなりの緊張感を持って練習に臨む。

気になってちょいと客席で聞いてみたが、ホルンにさほどの問題はなさそうだ。今回は短い時間で全4幕のポイントのみを練習。曲の形は整ってきたが、演奏全体にわくわくするような活気が欠けているのが問題。未だ余裕がないということだろうか。

今日は生暖かい風の吹く冬らしからぬ一日。仕事は先月末から小康状態。嵐の前の静けさか。

P1010564 今日は、2月頃の一日平均睡眠3時間の地獄の日々に聴いて、心癒されたチェコのオルガニスト、イルジ・ラインベルガーのバッハを再聴。

あのころは短いコラール・プレリュードのみしか聴く体力がなかったが今日は、アルバム全体を聴いた。

曲は、BWV.727,614,681,683の4曲のコラール・プレリュードにBWV.546とBWV.548,549,546の3曲のプレリュードとフーガ。
使用オルガンは、オランダのズヴォレの聖ミヒャエリス教会、シュニットガー製作の歴史的オルガン。

このオルガンはジルバーマンと並ぶオルガン製作者の巨匠アルプ・シュニットガーがほとんど最後に手がけたオルガンで後年さまざまな改変が行われたが、第二次世界大戦後になり、製作当時の状態に復元する作業が始められ、今でも続いているという。

Maejima_comimg364x3601169825635jmxr このオルガンを用いたバッハにはジグモント・サットマリーの華麗な演奏もあるが、しっとりと落ち着いた音色でラインベルガーはバッハの深遠で奥深い世界を見事に描き出していく。

とても同じオルガンとは思えない。

P1010563 沼響のHPの聴き比べコラム、「ベートーヴェンの7番を聴く」に、ドイツの指揮者ルドルフ・ショルツ=ドーンブルクの演奏の感想をアップしました。http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

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2008年12月 9日 (火)

入江相政日記

曇りのち雨。本日は溜まった代休取得。昨晩は、ピアノのレッスンに通う娘を先生の家に送りながら、近くのBOOK OFFに立ち寄った。
クリスマスソングの流れる店内には、入江相政日記4,5,6巻の三冊が11月のはじめから200円の値が付いたまま書棚に並んでいる。

P1010564 昭和天皇の侍従長にして一流の随筆家だった入江相政が1935年からその死の前日の1985年まで書き続けていた日記だ。ほとんど読まれた形跡もなくほぼ新品同様。
後半の三冊だけで中途半端な気もしたが、数ページ目を通した後、平明にして格調の高い文章に惹かれて購入。
今日の午後、雨音を聞きながら第4巻を読んでいるうちに、昭和10年から始まる第1巻から読みたくなり、ヤフオクに出ていた第3巻までの3冊を落札。
P1010565 CDコーナーでは、クリスマスソングに釣られたわけではないが、ボーイソプラノのアンソニー・ウェイと、イタリアのピアニストA.ルケシーニの弾くベートーヴェンの「ハンマークラヴィーアソナタ」のCDを購入。いずれも250円。

アンソニー・ウェイのCDには、フォーレ、アンドリュー・ロイド=ウェッバー、ジョセリン・プックの3人の「ピェ・イエズ」やフランクの「パンの糧」、モーツァルトの「ヴェスペレ」に加え、ラターやスタンフォードらの知らない作品が並んでいる。

P1010567 伴奏はニール・ペイジ指揮のイングリッシュ・シンフォニアに合唱団。そして名ソプラノのバーバラー・ボニーが数曲の録音に加わっている。

皮肉なことに合唱のみで歌われるラターの「地上の美のために」やスタンフォードの「ベァティ・クォルム」が非常に良い。この2曲が聴けただけでも拾い物。

ウェイ君の歌ではトランペット・オブリガード付きの現代作曲家ジェフリー・バーコンの「シオンの頌」が美しい。

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2008年12月 7日 (日)

フルネ、デボストのモーツァルト

良く晴れた12月最初の日曜日。期末テストも終わった娘たちは珍しく部活動もないというので、家内も連れたってちょいと皆でドライヴ。

特に行き先を決めていなかったので、函南の中華料理店「陸茶房」に立ち寄ってまずは昼食とする。

Tlt_03 このお店はちょうど一年ぶり。お昼前だったので待たずに済んだのはラッキーだった。前から食べたいと思っていた、黒米のおこげふかひれスープがけや、海老かた焼きそば、サンマーメンのような麺類などなど、いろいろと注文して家族で取り分けた。
昨年に比べ、味が変わったような気がするが料理人が変わったのだろうか。店を出る時には、レジの傍らには順番待ちの人たちの列。あい変らずの人気店だ。

P1000018 P10000191 我が家の女性たちは、これで目的の大部分は済んだような顔をしているが、天気も良いので家に帰らず熱海方面へ車を走らせる。

丹那盆地の手前で富士山がよく見える場所があり、車を止めてしばし景色を楽しみ、熱海の梅園へ。

梅園は、紅葉シーズンはもう終わり。昨年は閑散としていたが、本日海上花火大会があるということで、比較的人出は多い。

帰りのP1010545 車中で聴いたのは、モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」。

駅売りANFから出ていた海賊盤CDのライヴクラシクスシリーズ中の一枚で、デボストのフルート、サバレタのハープにジャン・フルネ指揮スイス・イタリア語管弦楽団による1968年アスコーナでのライヴ。

洗練されたソリストたちの美しい音色と、エレガントなフルネの指揮が素晴らしい。ライヴながら録音も良い。ドライヴには最適な一枚。同乗者たちは気持ち良さげにぐっすりと眠っている。

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2008年12月 6日 (土)

「ラ・ボエーム」独逸語版

完治したと思っていた風邪は思いのほか長期化し咳が止まらない。いよいよ寒波到来、朝から冷えた。今日は出勤し、いよいよプロジェクトの大詰めへ突入、昨年来の議事録やら契約書その他の最終チェックで一日が終わる。

火曜日に上京した折りに渋谷のレコファンに久しぶりに寄ってみた。新入荷コーナーには比較的珍しいものが多かったが一枚当たりの単価は比較的高め。

P1010554 今回は多少ゲテモノも多く、一枚はベルリオーズにも注目された19世紀前半のアメリカの作曲家ゴッチョークの交響曲第1番「熱帯の夜」、第2番「モンテヴィデオ」にオーケストラとバンドとキャノン砲のための行進曲その他のターナバウト盤LP.演奏はアドラー指揮のベルリン響。

P1010555 P1010560 大ヴァイオリニスト、D.オイストラフ指揮のマーラーの交響曲第4番メロディア盤。ソプラノはヴィネシスカヤが歌っている。物乞いをする子供たちのレコードジャケットが不思議。

ブラームスと親交があったG.プリューガーによるリストの「ハンガリー狂詩曲第1番」、L.ルードウィッヒのサンサーンス「死の舞踏」、幻の指揮者ボルサムスキーの「火の鳥」組曲、ローターのシャブリエなどにベーム&ウィーンフィルによる「こうもり」序曲が入った珍な一枚。ウラニアのLP。タイトルは「Music under the stars」。

P1010564 ステレオ初期にグリーグの素敵な録音を残した、イギリスの指揮者ジョージ・ウェルドンがバーミンガムシティ響を振ったグリーグの「ペールギュント第2組曲」、「ノルウェー舞曲」のコロンビア・アントレシリーズのLP。

カップリングはイギリスの作曲家E.ジャーマンの「ヘンリー8世」組曲その他。

P1010562 P1010563 N.マリナーやマンロウの師、サーストン・ダートがボイドニール管を振った「シェークスピア時代の舞曲集」オワゾリール盤。

カール・ハース指揮ロンドン・バロックアンサンブルによるR.シュトラウスの13管楽器のための組曲その他のティチクのPye盤。

P1010556 P1010551 同じようなジャケ写真で、アメリカのホルン奏者R.Schabergという人が吹いているベートーヴェン、アドラー、ヒンデミット、アドラーらのホルンソナタを集めた米コロネット盤。

コステラネッツがニューヨークフィルを振ったガーシュインの「ポーギとベス」のベネット編曲コロンビア盤。

P1010566 P1010558 イタリアの名指揮者、ガリエラ&フィルハーモニア管によるイタリアオペラ間奏曲集英EMI盤。

ダブリ買いを承知で購入したのがトマジの「12のコルシカの歌」IPG盤。数多くの合唱ファン達が捜し求めているこの稀少盤が780円。

P1010553 独逸国内で数多く出ていたイタリアオペラの独逸語版ハイライト中の一枚で、「ラ・ボエーム」ハイライト、ETERNAのLP.

指揮はイタリアの名匠A.エレーデによるベルリン国立歌劇場。

エレーデは、イタリア歌劇団の日本公演でデルモナコらと組んだ「オテロ」などの名演で名高いが、ワインガルトナーやフリッツ・ブッシュといった独系の大指揮者の薫陶を受けている。

この盤のミミはローレンガー、ムゼッタはシュトライヒ、そしてマルセルはフィッシャー・ディースカウという豪華なもの。
独逸語で歌われているが違和感は全く感じられない。エレーデの劇的にして強靭なカンタービレも健在。歌手陣も全く見事なものだ。

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2008年12月 5日 (金)

月刊「現代」最終号

暖かな一日だったが、午後2時過ぎに突然外が真っ暗となり、雷を伴いながらバケツをひっくり返したような猛烈な雨となった。風も強い。

今日は定時に職場を引き払い書店に立ち寄る。入り口近くで目に付いたのは、月刊「現代」の最終号という文字。

P1010549 講談社の月刊「現代」は、丁寧な取材の積み重ねに良心的な雑誌の印象が強かった。気軽に愛読していたわけではないが、昨今、この手の総合月刊誌の休刊が相次ぎ、月刊「現代」の苦戦も気にはなっていた。

最終号の常として、過去に執筆した人たちが一文を寄せている。永六輔、堺屋太一、柳田邦男などなど錚々たる人たちだ。中でも田原総一郎ら日本を代表するジャーナリストやノンフィクション作家たち28人による「ジャーナリストたちの証言」が強烈な印象を残す。

カラーページで連載されていた「絶景鉄道の旅」の最終記事は御殿場線。終着駅の沼津魚市場の紹介記事を読んでいて、ふと寂しくなった。

今週の初めの川崎出張の帰りに、渋谷のレコファンでLPを十数点を購入。

P1010550 今日はその中からイギリスのメゾソプラノ、アン・マレーの歌うヘンデルとモーツァルトのアリアを聴いた。

伴奏はレッパード指揮のスコットランド室内管。派手さはないが格調高いきっちりとした歌唱に好感が持てる。

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2008年12月 4日 (木)

「ラ・ボエーム」注意を受ける

西から迫っていたインフルエンザがとうとう沼津へ到達。学級閉鎖となる学校も出てきた。普通の風邪も猛威を振るい、職場では、自分の風邪が何人かにうつってしまい顰蹙を買っている。

昨日は職場の忘年会となり帰宅は0時過ぎとなった。仕事の都合で一次会の途中から参加となり、空きっ腹に冷たいビールを流し込み、今日は腹の具合が変だ。

P1000016 夜はオケの練習で、お腹が不調のまま会場の文化センター大ホールの中橋先生による「ラ・ボエーム」の練習に参加。

練習終了後、団内指揮者のF君からホルンセクションに対して注文がついた。
どうやらホルンセクションのアンサンブルの乱れが他に悪い影響を及ぼしているらしい。自分の吹いている音は気が付かないものだ。このところ練習に4人揃うことが少なく、思い当たるふしもあり深く反省。

Pb290003 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの第7番を聴く」に
フリッツ・ブッシュの感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

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2008年12月 2日 (火)

フルート版、ヴィヴァルディ「四季」

波乱の2008年も12月に突入。深夜の2時過ぎに地震で目が覚めた。下から突き上げるようなガツンとした震源地の近さを直に感じる衝撃。
震源地は静岡市内でM2.9の小さな地震だが、直下型地震の恐ろしさを実感。

今日は今年何度目かの川崎出張。東京方面は、どんよりとした曇り空で気温も低い。温暖な沼津とは大違いだ。箱根を越えただけでこの違い。

12月になり、今後15年にも及ぶ長期のプロジェクトもようやく目処がついた感触。仕事帰りに、川崎駅近くでBOOK OFFの看板が目に付いたのでフラリと寄ってみた。

P1010548 さすがに地方都市とは比べ物にならない品揃え。だが値段は高い。ここでは日本フィルのホルン奏者丸山勉さんのCDがあったので購入。

ロッシーニの「狩のランデヴー」、デユカスの「ヴィラネル」など、ホルン曲としては著名な曲を集めたもの。

P1010547 往復の新幹線の中で聴いたのは。ヴィヴァルディの「四季」フルート版。

フルートはG.チモシュコ、Mセヴェン指揮ワルシャワ合奏団というポーランドの演奏家たちによるもの。このCDは、先月函南町のBOOK OFFの100円均一箱で見つけたもの。

解説も何もなく演奏家についてはよくわからない。フルート奏者をネットで検索するとポーランド語のサイトがいくつか見つかるので、それなりに著名な人らしい。

ワルシャワ合奏団はヴァルハルが率いていた頃の生き生きとして緻密なアンサンブルが印象に残っている。このCDを聴いても水準はそのまま維持されているようだ。

フルートソロは、弦楽合奏に自然に溶け合った控えめにして暖かな音色の好ましいもの。

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