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2009年9月に作成された記事

2009年9月29日 (火)

フェラーラのレスピーギ

くもり時々雨、湿度が高く憂鬱な一日。朝一番から組織ナンバー2とのヒアリングがあり、その後さまざまな資料作りに終われあっという間に夜8時。

こんな日は軽い曲を聴こう。

P1010759 取り出したのは、イタリアの名指揮者にして、アバド、ムーティ、バレンボイムらの師であるフランコ・フェラーラ指揮ローマ響によるレスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」全曲盤。米エベレストのLP.

フェラーラは、大変な実力者でありながら、病を得て第一線を早くに退いてしまったので録音は非常に少ない。映画音楽を指揮したものもあるがクラシカルな作品では自分の手持ちはこの一枚のみ。

ひそやかに始まる第一番第一曲の小舞踏曲からして、高貴にして繊細な音楽が展開していく。このLPはモノラルを電気的にステレオ化したもので乾いて痩せた音が難だが、チェンバロの音は比較的明瞭なのがありがたい。

P1010760 同じ曲でもう一枚、ヴァンガードのステレオ初期のLPで、リトシャウアー指揮のウィーン国立歌劇場管による演奏。

こちらはウィーン風の瀟洒で軽いところが魅力。チェンバロパートはピアノを使用。第二組曲終曲ベルガモの沸き立つようなリズムの切れも心地よい。オケはフォルクスオパーのようだ。

P1010761 そしてレスピーギが同じく古い時代の作曲家の作品を素材とした組曲「鳥」。

ドラティ指揮ロンドン響によるマーキュリーのオランダプレスのLP.これはさすがに充実した演奏だ。ロンドン響のアンサンブルも極上。

Youtube は、ヴィスコンティの映画「ベリッシマ」で指揮をするフェラーラ。指揮姿は最後の瞬間にわずかに映るだけだが、一度見たら忘れられない非常に明快な棒だ。

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2009年9月27日 (日)

ラローチャのトゥリーナ

本日家内と娘二人は東京。3人を駅に送った後は、そのまま職場へ直行し来年度予算の組立てやら新規プロジェクトの精査で一日が終わる。

スペインの名ピアニスト、ラローチャ女史が亡くなった。http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009092701000078.html
事実上引退同然だったとはいえ、大好きなピアニストだったのでやはり寂しい。

ラローチャは一度だけ実演に接することができた。
デ・ブルゴス指揮のスペイン国立管弦楽団のコンサートで、曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。

花柄の服を着た小柄なおばちゃんが無造作にステージ上に現れ、長い序奏の後に最初の音を出した瞬間のことを今でもはっきり覚えている。
艶やかで強靭な、まさにベートーヴェンの音だった。
オケの流れに乗って、時には強く時には優しい歌う見事な演奏。

P1010757_2 今日はラローチャの数多い録音からスペインものを二枚。
最初は、アンダルシアの作曲家トゥリーナの作品集。
スペイン、ヒスパボックス原盤による日本コロンビアのLP。

甘い旋律の洪水、多少マンネリ気味の作風のため、近代スペインの作曲家の中ではアルベニス、ファリァ、グラナドスらに続く4番手の位置に甘んじているトゥリーナ。

ピアノのための絵画風ソナタ「サンルーカル・デ・パラメータ」など、全然ソナタ風な曲ではないけれど、ラローチャのような名手にかかるとトゥリーナも非常に魅力的に響いてくる。

まさに燦然と輝く色彩感と蕩けるような官能の世界。

P1010758_2 そしてもう一枚は、同じくスペインの名歌手ロス・アンヘレスと共演した演奏。1971年11月のニューヨーク、ハンター・カレッジ講堂でのライヴ録音。
専属契約先が異なった二人の共演として、初めての録音となった歴史的な録音だ。

この中からグラナドスの「昔風のスペイン歌曲」を聴く。
歌とほとんど同じ旋律をなぞるだけの単純な伴奏譜から、ラローチャは奥深い音楽を自然に引き出している。第一曲「ゴヤの美女」では、最初の部分はラローチャのソロのみで演奏される。

YouTube はラローチャの弾くファリァ「スペインの庭の夜」

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2009年9月26日 (土)

ジェラルド・ムーアを讃えて

本日はお休み。睡眠浅くボーっとした一日。外では取り残されたツクツクホウシが鳴いていた。

P1010757 聴いた音盤は、伴奏者の地位を共演者と同列の地位まで引き上げたと言われるイギリスのピアニスト、ジェラルド・ムーアのために製作された「ムーアを讃えて」というLP.
これは伴奏者として生涯を貫いたムーア70歳の誕生日を記念し、世界的な歌手やソリストたちが多忙なスケジュールの合間に録音された。

共演者は、ロス・アンヘレス、フィッシャー・ディースカウ、ベイカーらの歌手に加えて、チェリストのデユプレ、クラリネットのド・ペイエ、オーボエのグーセンス、そしてピアニストとしてバレンボイムなどなど。

偉大な音楽家たちの個性に同化し、さらなる高みを引き出しているムーアのピアノが素晴らしい。共演者たちのムーアに対する尊敬の念が、演奏の中から自然に立ち上るのも感動的だ。

P1010758 そしてムーアでもう一枚。ムーアと共演した歌手たちの既存の録音からピックアップした同じようなアルバム。

この中で前期LPと重複しているのは、ロス・アンヘレス、シュワルツコップ、フィッシャー・ディースカウの三人。他にホッター、テイト、フェリアー、ルードウィヒたちの20世紀を代表する歌手たちがずらりと並ぶ米セラフィムのLP。

Youtube は、シュワルツコップと共演するムーア

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2009年9月25日 (金)

芋煮を食す

自分のシルバーウィークは22日で終わり23日から通常業務。それでも3日連続で休め、娘の通う学校の文化祭に行ったり畑作業をやったりと、それなりに充実した日々を過ごせたのでよしとしよう。

ところが連休明けから地獄の日が待っていた。

23日のテレビ取材から始まり、昨日と今日は席を暖める間もなく東奔西走、気を使うお偉方を巡り説明、弁明、エトセトラ。そのうち話の流れから来年度から突然新規事業を立ち上げることになり、その責任者に。

この事業は、過去に何度も話が出ながら、さまざまな障害で立ち消えになったり挫折したりといった、さながら墨俣一夜城築城のようなお話。http://shiro39.hp.infoseek.co.jp/toukai/sunomata/sunomata.htm
自分は、とてもではないが秀吉のような才気はない。とんだ貧乏くじをひいてしまった。

Front_mini それでも水曜の晩は、いつもの仲間との割烹「はちまき」でのボエームの会。前回から新たな仲間が増え5人になったので、会のネーミングも変えなければならぬ。かな。

今回の料理は、これから鍋の季節到来ということで、一足早く山形の食材F96bb7b8790fc3bf72e880cb9297f3ed を使った本場仕込みの芋煮を満喫。

Tateishi_sim93 さらに二次会のマドンナK美ちゃんが一次会から加わり、いつもと違った華やかな気分で盛り上がる。お酒は宮崎の芋焼酎「赤無月」

そして昨日はオケの練習日。

仕事山積だが、先週指揮者の大きなカミナリがホルンパートに落ちたので、とてもではないが練習を休めない。

なんとか会場の文化センター小ホールにたどり着くと、既にポンキエルリの練習が始まっていた。楽器を組み立てながら耳を澄ますと、これが結構いける演奏になっている。
演奏がそれなりに整ってくると練習も楽しくなり、その相乗効果でオケの水準も自然と上昇。スロースターターの沼響もここへ来てようやくエンジン全開の気配。

だが自分は練習終了後には片付けもそこそこに職場へ逆戻り。

終末、もとい週末はなんとしても休みたい。

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2009年9月22日 (火)

ミャスコフスキーの交響曲第11番

連休三日目、お彼岸ということで朝は家族揃って墓参り。既に先客がいてお線香の煙が盛大に立ち上っていた。

下の娘は友達の家で出かけ、上の娘と家内は声楽のレッスンに行ったりしているので、自分は録画していたNHKスペシャル「マネー資本主義」の最終回を漠然と見て過ごす。http://www.nhk.or.jp/special/onair/090720.html
未曾有の金融危機の教訓を探るこの最終回の放送が7月。

そして10日前は、この金融危機から一年後の現在のレポートが放送されていた。http://www.nhk.or.jp/special/onair/090912.html
中国、香港の台頭、下がりきった不動産を買いあさる再び息を吹き返しはじめたアメリカのヘッジファンドの懲りない面々。

この一年で結局世界は変わっていなかった。そして世界から取り残されてしまった日本。

P1010759 今日は20世紀ロシアの作曲家ミャスコフスキーの交響曲第11番。
ロシア、メロディアのLPで、V.Dudarov指揮のモスクワ交響楽団の演奏。

27曲の交響曲を書いたミャスコフスキーだが、演奏会でその作品にお目にかかることはまずない。

スヴェトラーノフの全27曲録音という偉業もあるが、http://www.hmv.co.jp/product/detail/2719024
とても手を出す勇気はない。
けれどこの第11番は比較的お気に入りの作品。

派手さや壮大さは感じられず、渋柿を齧るような、地味な中にほんのり漂う甘いテイスト。
特に第二楽章アンダンテの、延々と続く木管楽器たちの綾なす妖しい会話が美しい。

Youtube は、ミャスコフスキーの弟子ハチャトウリアンのヴァイオリン協奏曲のフルート版、フルートは工藤重典

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2009年9月21日 (月)

ウィリアム・シューマンのヴァイオリン協奏曲

シルバーウィークはカレンダー通りには休めず、昨日、今日そして明日に何とか休みをいただく。

昨日は下の娘の通う中学校の文化祭。

午前中は各クラス対抗の合唱コンクールを観戦。1,2年とピアノ伴奏だった娘は今年は合唱の中に入り皆と一緒に歌っている。それなりに楽しんでいるようで安心する。
そして午後は吹奏楽部のステージ。飛び入りで先生方のヴォーカルも入るポップスステージで大いに盛り上がり、これも良き思い出となるだろう。

Dsc_2911 そして今日は畑作業。未だ美しい花を咲かせているオクラを引き抜き、一通り耕運機で耕してネギの栽培に備える。畑作業は家の需要を満たすだけ。
日頃の運動不足解消と気分転換が主な目的なので気楽なものだ。天気も良く午前中の作業だけで日焼けする。

午後はアメリカの作曲家ウイリアム・シューマンの作品。

先日観たヴァン・クライバーンコンクールのドキュメンタリーLDで、優勝者のスルタノフがウィリアム・シューマンの「チェスター」を弾いていた。


P1010755 このチェスターが3曲目に入っている「ニューイングランドトリプティク」から、演奏はオーマンディー指揮のフィラデルフィア管によるRCAのLP.

南北戦争時代の聖歌や軍歌を素材にした近代オーケストラのための作品で、親しみやすい旋律とダイナミックなオーケストレーションで楽しませてくれる作品。コラールの透明な響きも美しい。
3曲目の「チェスター」は曲想を拡大して吹奏楽にも編曲されている。

P1010754 そして同じくW.シューマンのヴァイオリン協奏曲。
演奏はP・ズーコフスキーのヴァイオリン、M.T.トーマス指揮ボストン響によるD.Gの国内盤LP.

古典的にすっきりとまとめた中に、リッチでロマンティックな歌のある曲。第二楽章冒頭で弦楽器群の静かな響きの上に延々と続くティンパニのソロが印象的だ。ズーコフスキーのヴァイオリンは非常に良い。

P1010757 P1010758 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、カール・ベームがドイツの放送オーケストラを振った二つのライヴをアップしました。

http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

YouTube は、W.シューマンの吹奏楽のための序曲「チェスター」

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2009年9月19日 (土)

マゼールのベルリオーズ「レクイエム」

今日から始まるシルバーウィーク。今日は天気も良く絶好の行楽日和だが、受験生二人を抱えては遠出もままならぬ。
朝早くから出勤し、来年度予算作成へ向けての下調べをしておく。

帰宅途中に、昨日から様子がおかしい愛犬ポチのために愛犬用のビーフ缶を購入。

我が家では、自分が子供の頃から犬を飼い続けているが、ほとんどいただき物の雑種が主。

今のポチは上の娘が誕生してまもない頃、亡き父がどこからか連れて来た雑種犬で、現在齢16歳くらい。もうかなりの老齢のはずだが先月までは非常に元気だった。

だが今月の始めから食欲が落ち、昨日から全く食べなくなってしまった。犬の平均寿命は10歳ちょっとらしいので、いよいよ来る時が来たかと思いちょっと奮発して買った高めのビーフ缶。

ところがエサ皿に山盛り入れて、へたりこんだままのポチの鼻先に置いたとたん、突然すっくと立ち上がりガツガツと食べ始めた。食べ終わると私の顔を見て尻尾を振っている。
どうやらまだ大丈夫のようだ。明日も買ってこよう。

P1010741 今日聴いたのは、クリーブランド管時代のマゼールの指揮によるベルリオーズのレクイエム。
4群のブラスのバンダを必要とする超巨大編成の大曲を、マゼールは冷めた目で整然と無駄なくまとめ上げている。
曲の細部の見通しの良い火吹き系のミュンシュの演奏とは大曲にある演奏だ。

Youtube はバレンボイムの幻想交響曲から怒りの日

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2009年9月18日 (金)

クライバーンコンクールのスルタノフ

本日朝は胃のレントゲン検査を済ませてから仕事の開始。職場につくと渡された下剤を飲む間もなくバリウム腹のまま昨日休んだ分の対応に追われる。
結局昼までそのままとなってしまい、昼食後に下剤を飲んだものの、バリウムが腹の中で固まってしまったのか一向に落ちる気配なし。

午後には重要な会議があるし、もしこのタイミングで下剤が効いたらヤバイな、と考えているうちにアブラ汗がでてきた。 幸い会議は早めに終わり事なきを得る。

600x4502009041500017 今日は、1989年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールのドキュメント「スターへの道」を見る。古いLDで、未だDVDにはなっていないようだ。

「エミー賞」受賞のリチャード・ローゼン監督の迫真のドキュメンタリー。
今年辻井伸行が優勝し一躍有名になったコンクールだが、厳しい審査と入賞後に待っている過酷な3年間の受賞記念コンサートで知られるコンクール。

この年は水準が高かったようで、二次予選からして相当のハイレベルだ。
翌年のショパンコンクールで一位なしの二位となったケヴィン・ケナーは二次で落ちているし、LYRINXにユニークなベートーヴェン録音のある ブリューデマルシュは二次すらも進んでいない。

このときの一位はアレクセイ・スルタノフ。鮮やかな技巧と張りのある強靭な響きで鮮やかなラフマニノフを聴かせてくれている。スルタノフは、2005年、35歳の若さで病に倒れ逝ってしまった。

YouTube は、ラフマニノフを弾くスルタノフ

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2009年9月17日 (木)

アフィニス文化財団「日本のオーケストラ2008」

今日は溜まってしまった代休兼夏休み取得のため一日お休み。

早朝、娘を駅まで送るために車を出したところ「お父さん、変な音がするよ」の声。
それがパンクだということがすぐわかり家に引き返す。娘の送りは家内に任せ、とりあえずスペアタイヤに交換する。

チェッ!今日は朝からツイていないぜ。

とにかく懇意の修理工場に連絡してタイヤ交換に向かう。修理屋さんは沼響創立当時の事務局長さんの家。 初代事務局長は交通事故で急逝し、今は息子さんが跡を継いでいる。
交換の間、今も沼響でチェロを弾いている奥さんとしばし沼響の昔話。
そして夜はオケの練習。

狭いリハーサル室で10月の沼響友の会へ向けての練習。
換気が悪く熱気ムンムン、この中で一人でも新型インフルエンザの保菌者がいたら沼響全滅だ。
ここのところホルンの出席が悪く、指示されていた部分のホルン内の連絡の徹底を欠き、飛び出し凡ミス連発。
ついに本番に指揮を振るインペクがキレた。大きなカミナリにホルン5人はただただ首をうなだれるのみ。 すいません・・・・

練習後、片付けも早々に職場に向かう。やはり一日休むと気になる。
守衛さんに聞くと、残業している職員もなく職場は閑散としている。
机上のメモと書類に一通り目を通し帰宅。

P1010754 ヤフオクで落としたCDが届いていた。
アフィニス文化財団が出していた「日本のオーケストラ2008」。

初回限定生産の非売品で、全国の図書館などに寄贈されているCDだが5,000円で一般発売されている。

内容は日本のプロオケ23団体によるベートーヴェン交響曲全集というもの。http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1877335&GOODS_SORT_CD=102

楽章毎にオケが異なり、全曲通して演奏しているのは第1番(広島響)と第8番(アンサンブル金沢)のみだったので、発売された時は購入を躊躇していた。

が、今回ヤフオクで安く出ていたのと、特典として朝比奈隆指揮アフィニス夏の祝祭音楽祭管によるブラ1全曲、「ジークフリート牧歌」に惹かれて入札。
このブラ1は、日本のプロオケ選抜メンバーに、シカゴ響の名手たちが加わったというスペシャルなものだ。

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2009年9月15日 (火)

武満徹「混声合唱のためのうた」

曇りのち雨。朝から多忙な一日、さまざまな雑事をこなしているうちにあっという間に昼となる。

夜には上の娘の声楽のレッスンが遠く天城で入っている。

当初家内が連れて行く予定だったのだが、午後に予定していたお偉方との打ち合わせが明日に延びたので、仕事を早く切り上げ急遽自分が行くことにした。

自宅から天城まで最長一時間半と見て、夕食を早めに取り6時に家を出発。ところが伊豆長岡あたりから道はガラ空き。

結局30分ちょいでレッスン場所に到着。予定よりも一時間も早く着いてしまい時間を持て余しいつしか親子で車中でウトウト。 幸い先生も早く到着しレッスンの開始。発声練習や柔軟体操を隣で見よう見真似で自分も試みてみたがすぐに飽きてしまった。

レッスンは一時間半ほどで終わり外に出ると激しい雨。標高の高い天城は雨量の多いことで知られる。

雨の夜道で視界も悪い。なぜか直前を原付に乗ったおばちゃんが雨合羽を着てゆっくりヨタヨタ走っている。追い越したくても追い越せず、しばらくゆっくり走ってたりしていて家に着いたのは10時近く。

今日は先日中鉢聡さんのテノールリサイタルで印象に残った武満徹の作品を聴く。

P1010755 聴いたのは「混声合唱のためのうた」
武満徹の初期の作品を、東京混声合唱団のために編曲した作品10曲に加えて日本古謡の「さくら」を収録した、岩城宏之指揮の東京混声合唱団のビクターのLP。すべて無伴奏で歌われる。

中鉢さんが取り上げた2曲、「小さな空」から始まり「死んだ男の残したものは 」で終わる、そして最後に「さくら」。

平易で親しみやすい美しいメロディーの佳品の数々。演奏もこの有名曲の規範となる立派ものだ。
最後の「さくら」の前に、岩城宏之の「それでは、アンコールにさくらを演奏します。」というナレーションが入っている。 一夜の充実した演奏会を聴く思い。

P1010756 武満徹でもう一枚。
武満徹自薦映画音楽集から、大阪万博の電力館で上映された「太陽の狩人」ほか。

YouTube は武満徹の「小さな空」

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2009年9月13日 (日)

デ・サーバタの「うぐいすの歌」

2009091310060001 今日もお休み天気も良い。沼津市内で日本最古級の古墳が見つかったとのことで、朝10時からの辻畑古墳現地説明会に行ってみた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000020-mai-soci

この場所は古くから神社があり、地元では商売の神様として毎年の大祭には多くの人が訪れる場所として知られている。http://www.inarijinja.com/kenmu/takaosan/index.htm
この度、神社のある場所が道路の拡幅工事に当たることになり、移転させて跡地を発掘してみたところここが古い時代の前方後方墳だったとのことだ。

2009091310270000 現地に着くと、黒山の人だかりでテレビ局やら新聞社やらで大層な賑わい。

顔見知りの説明担当者に聞くと、800部用意した資料がなくなりそうだとのこと。

2009091310070000 実際に堀跡に立つと意外なほど大きいのに驚く。朽ちた木棺の跡に残る朱の赤も生々しい。古墳の傍らから発見された弥生時代の方形周溝墓の存在がこの古墳の古さを物語っているようにも思える。

3世紀前半ということなので、ちょうど卑弥呼の時代の古墳ということになる。最高部に立つと遠く伊豆方面までを含めた沼津市内が一望の下に見渡せた。

P1010754_2 今日は、ストックホルムフィル自主制作CDセットから何曲かを聞く。

まず聴いたのはベルクの名作、ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」ヴァイオリンは初演者のルイス・クラスナーのヴァイオリンに名匠フリッツ・ブッシュの指揮。1938年の記録。
クラスナーの同曲録音はいくつかあるが、伴奏の立派さではこの演奏が最右翼だろう。

そして、イタリアの大指揮者デ・サーバタの指揮でストラヴィンスキーの交響詩「うぐいすの歌」でこちらは1947年の演奏。
キレの良い冴えたリズムとエキゾティックで野性的な迫力に満ちた迫真の名演。

YouTube は「うぐいすの歌」の原曲となったストラヴィンスキーの叙情劇「夜鳴きうぐいす」

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2009年9月12日 (土)

カイルベルトのブルックナー

今日明日お休み。土日連続休みは何ヶ月ぶりだろう・・・

本日朝から雨。夕方から激しくなり雷まで鳴ってきた。なんとなくポケーとしていたら、音楽部屋でピアノを弾いてるはずの娘の「大変だぁー」の悲鳴。

何事かと行ってみると、娘がプラスチック製の洗面器を抱えて天井を見上げている。目線の先からは雨がポツリポツリ。
築80年の家とはいえ、音楽部屋はその後増築した部分なのでちょっと信じられない光景だ。

裏山のカラスが時々なにやら屋根に落としていたのでスレートにヒビが入っただろうか、などと想像を逞しくしてみるが理由が判らない。
明日屋根に上ってみようと思う。

夜は、雨の中娘のピアノレッスンのために函南へ。雨漏りが心配になり帰りに近道の山道を通ったところ道の途中に黄色い珍獣が蹲っている。
イノシシやタヌキは見慣れているが、どうやらニホンアナグマのようだ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%9B%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%82%B0%E3%83%9E

P1010755 今日はカラヤンと同年生まれのカイルベルトのブルックナーを聴く。
曲は交響曲第9番のテルデック盤CD.オケはハンブルクのフィルハーモニー。LP時代からおなじみの名盤。

地味でありながらがっしりとして頑固なカイルベルトの芸風はブルックナーの音楽にぴったりだ。
豪快にオケを鳴らしつつ滔々と流れる大河のような名演。第3楽章の嵐の後の長いゲネラルパウゼの間の取り方など絶妙だ。

P1010754 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、
ベーム&ウィーンフィルの1975年来日ライヴの感想をアップしました。 ベト7は半年振りのアップ
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

YouTube はギュンター・ヴァント指揮ハンブルクの北ドイツ放送響によるブルックナーの交響曲第9番冒頭

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2009年9月11日 (金)

中鉢聡 テノール・リサイタル

今日は、昨年明電舎創立110周年記念ファミリーコンサートで沼響に客演していただいた中鉢聡さんのリサイタル。沼津市民文化センター小ホール。ピアノは瀧田亮子さん。http://duebaci-official.hp.infoseek.co.jp/

幸い仕事は早く片付きコンサートの最初から聴くことができた。

曲目は前半は「オーソレミオ」その他のカンツォーネ3曲で始まり、ドニゼッティの「愛の妙薬~人知れぬ涙」、「トスカ~星は光ぬ」「トゥーランドット~誰も寝てはならぬ」というオペラの定番中の定番。

休憩をはさんで「小さな空」ほかの 武満徹作品3曲に続きタンゴやラテンアルバム4曲というもの。

そして前半のオペラアリアの入る前に、瀧田さんのピアノソロによる「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲、後半のラテンアルバムの前に同じくピアノソロによる「マラゲーニャ」が間奏曲風に演奏された。これは全く雰囲気が異なる曲に変わる前の導入と同時に声を休ませるという心憎い演出だ。このピアノが非常によかった。
たっぷりリリカルに歌うマスカーニ、絢爛豪華なマラゲーニャ。

間にユーモアたっぷりの中橋さんのトークも入る。リリックで美しい声、特に自らの好きな曲を集めた後半が良かった。透明な叙情漂う武満徹作品が特に印象に残る。

奇しくも今日は9・11.「アメリカ同時多発テロ」の犠牲者への追悼として谷川俊太郎の詩による武満 徹の「死んだ男の残したものは」が歌われた。

トークの合間にわが沼響の件にもちょっぴり言及してくれたが会場の観客は全然無反応。・・・・寂しい。
どうやら沼響の客層とは全く異なるようだ。

Front_mini  昨晩はいろいろと二人の娘が世話になったOさんと、いろいろな意味での反省会。場所はOさんの希望で割烹「はちまき」。

Rca332dyhcaa6vjesca0r2ju1cairw4qkca Tcacexshqcauekjx5caz7yxcpcajqh259_2 お互い地元での音楽歴が長いので、音楽関係の昔話やらFCLAの話まで共通な話題で盛り上がる。話は弾み、仕事の疲れを忘れる楽しかった一夜。
今日の料理は、牛刺し、レバ刺しエトセトラ。巨大な三島コロッケに猪汁。

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2009年9月 8日 (火)

パウムガルトナーとカラヤンのヘンデル

一ヶ月ほど前にバイクの転倒で打った膝がまだ痛い。レントゲンでは骨に異常はないとのことだったが、打った場所が未だプックリ膨れている。医者を変えてみようと思う。
本日再び気温は上昇。昼間はツクツクホウシ、夜は秋の虫がにぎやかだ。

今日はカラヤンの師、ベルンハルト・パウムガルトナーのヘンデルを聴く。

ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の院長であった稀代の碩学パウムガルトナー。http://www.bernhard-paumgartner.info/

P1010754 モーツァルトの権威として著名だが、ヘンデルは「水上の音楽」「王宮の花火の音楽」とふたつのオーボエ協奏曲の録音を残しているのみ。

今日聴いたのは「水上の音楽」で、オケはザルツブルク・モーツアルテウム音楽院管弦楽団。独逸オイロディスク原盤の日本コロンビア盤LP。
ここで、パウムガルトナーは自分独自の版で16曲ほど演奏している。

久しぶりに聴いたが、遅いテンポでありながら音楽は軽妙、思わず姿勢を正してしまうような古典的な格調高き名演奏。中でもオーボエが非常にうまい。

P1010755 そして弟子のカラヤンによる「水上の音楽」。ハーティによる近代オーケストラ用の編曲版で、カラヤンの同曲3種ある録音のうちの2番めのフィルハーモニア管との1952年録音のモノラルLP。
手持ちはフランスLPの初期LP盤で、「くるみ割り人形」とのカップリング。

しなやかでスピーディな若きカラヤンの名演。管楽器が派手に活躍するこの編曲はパウムガルトナーの演奏譜とは全く別の曲と考えて良いだろう。デニス・ブレインのホルンは相変わらず見事なものだ。

P1010756_2 P1010752 沼響のHPの聴き比べコラム「シベリウスの2番を聴く」に、
モントゥー&ロンドン響の演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/sibe2.cgi

YouTube はサラ・ブライトマンが歌うヘンデル「リナルド」からLascia ch'io pianga

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2009年9月 6日 (日)

ズヴェーデンのブラームス

昨日は仕事で一日潰れたが、本日待望の天気の良い日曜日。

庭のキンモクセイが小さな花を咲かせ甘酸っぱい匂いが辺りに漂っている。秋の季語となっているキンモクセイの花が咲くといよいよ本格的な秋の始まりだ。

横浜まで声楽のレッスンに行く上の娘を見送った後、しばらくご無沙汰畑作業。
雑草を抜いた後に、生姜とオクラを収穫し、空いたスペースを耕運機で耕したが、ここしばらくの晴天続きで土がかなり固くてロータリー部分の刃が土の深くまで到達せず難儀。

一汗かいて青い空を見上げると、周りにたくさんの赤とんぼが飛んでいた。
農作業の後のビールがこれまたうまい。

P1010749 今日はブラームスを聴こう。聴いたのはコンセルトヘボウ管のコンマスにだったヤーブ・ヴァン・ズヴェーデンのブラームス交響曲全集から第1番。

ブリリアントから出ているCDで、オケはオランダフィルとオランダ放送フィルを振り分けている。
ブラームスの4つの交響曲と、オルガンのためのコラール前奏曲のオケ編曲版がカップリングされたCD3枚組。今はHMVのネット通販で千円ちょっとで買える。

速いテンポで、かなり音楽を揺らせたユニークなブラームス。かつてカーステレオで聴いた時には、ホットなこの一番にずいぶんと興奮させられたが、家でじっくり聴くと意外なほど細部への緻密な計算が見えてきて面白かった。
だが3,4番あたりになるともっと腰を据えた演奏でじっくり聴きたい。

YouTube はフルトヴェングラー&ベルリンフィルによる壮絶なブラームスの交響曲第4番。1948年ロンドンでのリハーサル映像

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2009年9月 4日 (金)

ケンペンのチャイコフスキー

今日は仕事を早めに切り上げ、月に一度の検査のためにかかりつけの医院へ。
日頃の不摂生がたたり、コレステロール値と尿酸値が高さが職場の健康診断で指摘され、昨年から通っているが、 処方された薬が合っているのか検査値は安定している。

医院の待合室に大きなマスクをした人がいたのが気になった。新型インフルエンザかな?

P1010752 今日は、来年の定演の曲と決まったチャイコフスキーの交響曲第5番を聴く。
演奏は、オランダの指揮者パウル・ファン・ケンペン指揮のアムステルダムコンセルトヘボウ管によるフィリップスのモノラルLP。

長年の愛聴盤だが、コンセルトヘボウ管の重心の低い響きと男性的で豪快な音の奔流漲る疾風怒涛の名演だ。フィナーレ最後で付加されたシンバルの強打も凄まじい。

YouTUbe はオボーリンの弾くチャイコフスキーの「四季」

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2009年9月 3日 (木)

団員投票

昨日は二週間ぶりにオケの練習に参加。来年の定演のメインを決める団員投票があるということで出席率もいつもより良い。
練習は沼響友の会に向けてのオッフェンバック、レハール、シュトラウスのいずれも軽く楽しい曲ばかり。

前回の練習に比べ多少アンサンブルにもまとまりがでてきたようだが、狭い文化センターリハーサル室なだけに全体のバランスは聴きとれない。

そして練習の最後にいよいよ投票。前の技術委員会で候補はシューマンの「ライン」、チャイコフスキーの交響曲第5番、そしてフランクの交響曲ニ短調にしぼられている。

「ライン」は毎回最終候補に上がる常連、チャイコは決まれば1991年第7回定演以来の登場。そして今回初登場のフランク。

特にフランクはなじみが薄い曲だけに投票前の団員の間からは「フランクってどんな曲?」「地味な曲らしいよ」なんて声がアチラコチラからボソボソと聞こえてくる。

候補曲の事前告知はだいぶ前なので、せめて事前に一度は聴いておいて欲しいものだ。

投票は一発勝負。今回は第一回で一票でも多い曲に決定ということに。

そして開票が始まる。

予想通りチャイコが先行するが、シューマンの票はいつもの如く伸びない。フランクが意外と検討しチャイコに肉薄。

結果はチャイコが24票、フランク14票、シューマン7票ということに。大接戦若しくは意外な結果に終わることの多い沼響の団員投票だが今回はいささか面白みに欠ける結果だ。

YouTube はバーンスタイン&ボストン響によるチャイコフスキー

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2009年9月 2日 (水)

ヘンデルのオラトリオ「エジプトのイスラエル人」

夜になって気温が下がり、帰宅時にバイクで風を切って走ると肌寒いほど。9月に入りヒシヒシと仕事の波が押し寄せてきた。

かつて幽霊演奏家を中心に雑誌付きCDを出していたデアゴスティーニがオペラのDVDのリリースを開始した。http://deagostini.jp/site/doc/pretop/index.html

その第一弾がカルロス・クライバーの「カルメン」でなんと990円!

自分はこの演奏は海賊盤CDから始まり、海賊版ビデオ(画質悪く当然ながら字幕なし)国内盤DVDと、買いつないできただけに複雑な心境。
しかもTDKコアの国内盤DVDは、今でも5千円前後の価格で現役のはず。このあたりのカラクリはよくわからない。

音楽配信の世界も、ナクソス・ミュージックオンラインhttp://ml.naxos.jp/のように月額1,980円でクラシック音楽聴きホーダイのものが現れている。
しかもこのナクソスは最新録音のみならず、入手困難だったLP初期のマニアックな音源も目白押しなのだ。

音楽を聴くスタイルが徐々に変化しているようだ。

だが所詮趣味の世界なので、自分はあくまでマイペース。今日も丸いお皿(レコード)を回しています。

P1010753 今日は、ヘンデルのオラトリオ「エジプトのイスラエル人」。ブラームスがヘンデルの最高傑作と評価していた作品だ。

「メサイア」と同時期の作品なだけに、合唱の扱いが非常に充実している。旧約聖書の「出エジプト記」という劇的な素材を生かした壮大にしてドラマティックな傑作。

手持ちはアヴラヴァネル指揮ユタ響その他による米ウエストミンスター
のLP3枚組。いささか古風だが曲の魅力は充分に伝わってくる。

YouTube はC.デーヴィスの「メサイア」

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2009年9月 1日 (火)

レーグナーのブラームスとシェーンベルク

夏休みも取れぬまま9月になってしまった。夏の疲れをそのまま引き摺り、頭もボケ気味。今週半ばに一日くらい休みを頂きたいところだが既に予定がびっしり。せめて9月後半のシルバーウィークにはまとまった休みを取りたいもの。

P1010754 今日は、たびたび読売響に客演していたドイツの指揮者ハインツ・レーグナーの演奏を聴く。
WEITBLICK から出ているブラームスの交響曲全曲とシェーンベルクの2曲の室内交響曲、浄夜、変奏曲、ペレアスとメリザンドなどのCD4枚組。

この中からブラームスの交響曲第2番とペレアスとメリザンドを聴いた。
ブラームスは1987年のベルリン放送響、ペレアスは1981年ライプツィヒ放送響とのライヴ。

妖艶で退廃的なムードの漂う「ペレアスとメリザンド」、対照的に瑞々しくも豪快なブラームス。特にテンポを即興的に変化させたブラームスには久しぶりに興奮。

いずれもオケを極限までに鳴らし切ったレーグナー絶頂期の名演だ。

YouTube はクライバーのブラームス

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