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2009年9月27日 (日)

ラローチャのトゥリーナ

本日家内と娘二人は東京。3人を駅に送った後は、そのまま職場へ直行し来年度予算の組立てやら新規プロジェクトの精査で一日が終わる。

スペインの名ピアニスト、ラローチャ女史が亡くなった。http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009092701000078.html
事実上引退同然だったとはいえ、大好きなピアニストだったのでやはり寂しい。

ラローチャは一度だけ実演に接することができた。
デ・ブルゴス指揮のスペイン国立管弦楽団のコンサートで、曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。

花柄の服を着た小柄なおばちゃんが無造作にステージ上に現れ、長い序奏の後に最初の音を出した瞬間のことを今でもはっきり覚えている。
艶やかで強靭な、まさにベートーヴェンの音だった。
オケの流れに乗って、時には強く時には優しい歌う見事な演奏。

P1010757_2 今日はラローチャの数多い録音からスペインものを二枚。
最初は、アンダルシアの作曲家トゥリーナの作品集。
スペイン、ヒスパボックス原盤による日本コロンビアのLP。

甘い旋律の洪水、多少マンネリ気味の作風のため、近代スペインの作曲家の中ではアルベニス、ファリァ、グラナドスらに続く4番手の位置に甘んじているトゥリーナ。

ピアノのための絵画風ソナタ「サンルーカル・デ・パラメータ」など、全然ソナタ風な曲ではないけれど、ラローチャのような名手にかかるとトゥリーナも非常に魅力的に響いてくる。

まさに燦然と輝く色彩感と蕩けるような官能の世界。

P1010758_2 そしてもう一枚は、同じくスペインの名歌手ロス・アンヘレスと共演した演奏。1971年11月のニューヨーク、ハンター・カレッジ講堂でのライヴ録音。
専属契約先が異なった二人の共演として、初めての録音となった歴史的な録音だ。

この中からグラナドスの「昔風のスペイン歌曲」を聴く。
歌とほとんど同じ旋律をなぞるだけの単純な伴奏譜から、ラローチャは奥深い音楽を自然に引き出している。第一曲「ゴヤの美女」では、最初の部分はラローチャのソロのみで演奏される。

YouTube はラローチャの弾くファリァ「スペインの庭の夜」

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コメント

ラローチャのリサイタルに行ったことがあります。曲はショパンのバラード3番やグラナドス、シューマンもあったでしょうか。どこにも力んだところのない演奏で、豊かにピアノが鳴っていたのが印象的でした。

投稿: サンセバスチャン | 2009年9月29日 (火) 13時55分

サンセバスチャンさんも実演を聴かれたのですか。
しかもショパンにグラナドスとは、いいなぁ。

ラローチャの音楽、自然で暖かく、それでいて力強さにも不足せず、一度実演を聴くと忘れられないピアニストでした。

投稿: 山本晴望 | 2009年10月 3日 (土) 07時43分

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