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2009年12月に作成された記事

2009年12月30日 (水)

ジネット・ドワイアンのショパン

12月末とはいえ、さほど寒くない一日。

今日は予定通り朝から庭木の剪定作業。植木用の脚立を持ち出して、家の周りの槙の木を中心にバシャバシャと枝を切り落とす。

植木屋を営む隣のおじさんから「おっ!やっとるな」と声を掛けられ、「クビになったら、雇ってください」などとヘタな冗談を言いながら作業を続けること2時間あまり・・・・しだいに腕が痛くなってきた。

B000638_p 折りしも家の中では餅がつきあがり、しばし休憩し大根おろしで「おろし餅」。ご近所からいただいた「山葵漬け」をからめていただく。

結局、剪定は午後までかかってしまった。
その後近所のDIYショップに買い物に行ったところ、駐車場にて元Jリーグ監督で現在サッカー解説者として活躍中の幼馴染のY君に遭遇。しばし話し込む。

その他家の片付けお墓の掃除などなど、やること満載で年末の一日が暮れていく。

T02200293_0480064010244933378 落ち着いたところで、フランスの女流ピアニスト、ジネット・ドワイアンのショパンを聴く。

先月、御茶ノ水ディスクユニオンで音盤を購入した際に、特典として付いてきたCD。主に仏ヴェガのLPから板起こししたもの。

曲は、ショパンの4つのバラード、ワルツから数曲、そしてシャブリエの「アルバムの一葉から」「気まぐれなブーレ」。
サン・サーンスの作品から「アレグロ・アパッショナート」と「トッカータ」。


P1010773_3 バラードは使用したLPの状態が悪く、音が割れていて一般の鑑賞にはちょいと苦しいが、ワルツ集はきめの細やかな粒立ちの良い音で楽しめる。
艶やかで洒落たシャブリエとサン・サーンスは、この曲の代表的な名演とも言える見事な出来。

Youtube はプレートル指揮ウィーンフィルによるシャブリエの「エスパナ」

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2009年12月29日 (火)

メータのラヴェル

年末年始休業初日。昨晩は瀕死のパソコンをなんとか起動して年賀状作成。今日は部屋の掃除やら年末の買い物やらで、あっという間に一日が終わる。

明日は天気の良いうちに庭木の剪定をしておこう。障子の張替えもやっておかないと。

P1010793 今日はロスアンゼルスフィルの常任時代の若き日のズービン・メータのラヴェルを聴いた。

曲は「ダフニスとクロエ」第2組曲、「ラ・ヴァルス」に「マ・メール・ロワ」組曲というもの。ダフニスは合唱付き。 米ロンドンのCS番号のLP.

この頃のメータに共通したグラマラスでパンチの効いたラヴェル。伝説的なチューバ奏者ロジャー・ボボの豪快な音が炸裂する「ラ・ヴァルス」が印象に残る。

Youtube はメータ&ベルリンフィルのマーラー、交響曲第3番

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2009年12月28日 (月)

槇原敬之 クリスマスコンサート2009

2009年もあと4日。未明からの雨は9時ごろには上がる。御用納めの今日は道も混雑し年末らしい慌しさだ。

先週のクリスマスの25日は、溜まった代休を取り4月からの大学進学が決まった上の娘を連れ上京しアパート・マンション探し。6件ほど回ったがどれも一長一短といったところ。

108854_pc_m 結局決まらず、夕方に家内と下の娘と合流し「槇原敬之 クリスマスコンサート2009」に行く。会場は東京国際フォーラムのホールA。
昨年、横浜パシフィコでのクリスマスコンサートも行っているので、今回で槇原敬之は3回目のお目見え。

こんなことになったのは家内が槇原敬之の熱烈なファンで、ファンクラブのメンバーにもなっているからだが、家族皆でのこのようなクリスマスも良いものだ。

ロビーのグッズ売り場は長打の列。キャパ5,000人規模のホールはびっしり満員。小学生から年配の方までのファン層の幅広さはいつものこと。

2009122521550000 席は前から9列目の左側。歌手デビュー20周年めに加え、この日はWOWWOWの生中継もあり槇原とスタッフ達の気合の入り方も尋常でない雰囲気。

前半はスロウバラードの曲中心。ふと見ると隣席の女性(家内にあらず)が涙を目に浮かべて聴いている。
自分もこの手の雰囲気に慣れ、一曲一曲の言葉とメロディが心に染みてくる。

2009122518400001 おなじみの山下達郎の「クリスマスイヴ」や稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」メドレーも楽しい。マイケルジャクソンの「スリラー」の一節もちょいと顔を出す。
いつものことだがバックを支えるバンドの腕は一級品。ホーンセクションも超一流だ。

後半になると周囲はあい変わらずの総立ちだが、今回は左右に巨大なモニターが有り、座ったままでもステージ上の様子が判るのがありがたい。

自分は座ったまま。ただ、「世界にひとつだけの花」の時は立ちました。この曲は、もはやスタンダードといっても良い名曲。5,000人総立ちの中で聴くと感動しますです。

終演は10時。この日は東京に宿泊し翌日は娘達の希望で三鷹の「ジブリ美術館」。

三鷹駅から玉川上水沿いを美術館までほぼ一キロを歩く。

Cimg6529 歩いているうちに今年生誕100年の太宰治の顔が頭に浮かんできた。
この日の未明に太宰ゆかりの「雄山荘」が全焼したことを知ったのは翌日のこと。http://news.biglobe.ne.jp/social/086/mai_091226_0868269957.html

2009122614040000 2009122613500000 美術館の帰りに、道沿いの「山本有三記念館」に立ち寄る。
大正末建築の山本有三が10年ほど住んでいた洋館だ。

設計者の名は伝わらぬものの、細部まで手抜きのない見事な建築物。寄木細工風の床などすごいものだ。

その後何件かの物件を回り、結局前日に回った音大生用のマンションが気に入り仮契約まで済ませ帰宅は10時過ぎ。

20090224_782430 日曜は職場に顔を出し、夜はそのまま職場有志と本年最後の打ち上げ。場所は沼津駅北口の「串ざる本舗」。
鳥の生レバーをつまみながらホッピー片手に痛飲。

Youtubeは山下達郎の「クリスマスイヴ」

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2009年12月24日 (木)

今年の吹き納め、チャイコの5番

今日は沼響年内最後の練習日。このところ木曜日のたびにトラブルが続き、ずいぶんと休んでしまった。

いつもながら練習開始の19時には間に合わず、会場の文化センター小ホールに着くと、チャイコフスキーの第3楽章の練習が始まっていた。

未だローテーションは決まっていないが、先着のホルン4人がそれぞれ1番から4番の位置で吹いているので、自分はしばしロビーでウォーミングアップの後、1番ホルンを吹く若手メンバーの横に座り1アシスト。

しばらく練習に来ないうちに皆うまくなった。特に弦楽器はちゃんとチャイコフスキーの音になっている。

第三楽章に続き第四楽章が続く。ほぼ20年ぶりのチャイコの5番はアシストとはいえ、かなりきつい。
それでも既に曲の輪郭が形になってきているので、練習していて実に楽しい。

Supesyaruisyoto 帰宅したらペルルのケーキがひとつポツンと残されていた。

そうか、今日はクリスマスイヴ・・・・・


Youtube はバーンスタイン&ボストン響によるチャイコフスキー

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2009年12月23日 (水)

アラウのベートーヴェン、変奏曲集

今日はカレンダーとおりのお休み。少し寒さは緩んだ気配。群発地震も収まった。

早めに年越しの準備を始めようと、正月飾りの手配やらちょっと早めの大掃除の準備。
先月おかしかったパソコンは、万全ではないがこのところ調子が良い。買い換えるつもりだったが、年賀状の印刷までは現用機でなんとかなりそうだ。

まだ年内の仕事は残っているものの、気分は早正月気分。
だが、こんな時に限ってトラブルの素は潜んでいるものだ。あと数日、何も起こらなければよいのだが。

P1010792 今日はクラウディオ・アラウの弾くベートーヴェンの変奏曲集を聴いた。

フィリップスの国内盤LPで、「エロイカ変奏曲」「32の変奏曲」「自作主題による6つの変奏曲」の3曲。

ベートーヴェンは生涯にわたって、様々な楽器のために変奏曲を書いている。その足跡を辿ると変奏曲を書きながら作曲の技量を磨いていったようにも思える。

自分が実演で聴いたピアニストの中で、最も感銘を受けたのがクラウディオ・アラウだった。

録音で聴くアラウはその実力の10分の1も捉えていないが、しっかりとした構成力と太く艶やかな音の強靭なベートーヴェン演奏がここでも聴ける。

実演ではこれにフワリとした柔らかさが加わっていた。

そして暮は「第九」の季節。

417zezlkqpl__sl500_aa240__2 沼響のHPの聴き比べコラム新「第九を聴く」に、日本初の商業用録音である、橋本國彦指揮東京交響楽団(現東京フィル)の1943年録音の感想をアップしました。

戦中の日本語歌詞による演奏。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/dai9_2nd.cgi

Youtube はベートーヴェンの「ユダ・マカベウスの主題による変奏曲」

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2009年12月22日 (火)

ランドウスキ、オンド・マルトノのための協奏曲

いよいよ年の瀬、今年もあとわずかになってきた。

仕事上では睡眠時間を限界まで削られるほど苦労した昨年に比べると平穏な年だったが、家庭内では娘二人がダブル受験という大変な年。
この時期に来てもノンキな二人。結果はどうなることやら。


今年の2月に牧水記念館のサロンコンサートで、オンド・マルトノの実演を至近距離で聴くことができた。http://harumochi.cocolog-nifty.com/horn/2009/02/post-8165.html

演奏終了後、オンドマルトノ奏者の久保智美さんと直接話が出来、楽器に触れながら、いろいろと細かなことを聞くことができたのは大きな収穫だった。

P1010791 そこで今日はオンド・マルトノの曲。
曲は、ランドウスキの「オンド・マルトノ協奏曲」とボンドンの「カレイドスコープ」。
オンド・マルトノはジャン・ロリオのボンドン指揮のコンテンポラリー・ミュージック室内管によるエラート原盤の日本コロンビアLP.

弦楽器の重く暗いモノトーンな響きに乗ってオンド・マルトノの玄妙な響きが部屋に漂うランドウスキの曲。
一方のボンドンの曲はカラフルでポップな色調のランドウスキとは対照的な曲だ。

Youtube はメシアンのオンド・マルトノ六重奏曲「美しい水の祭典」

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2009年12月20日 (日)

ガブリーロフのバッハ

伊豆の群発地震もようやく小康状態、今日も寒い。本日出勤し今年の仕事の総括をおこないながら雑務を片付ける。

帰りに買い物のためにマックスバリューに立ち寄り建物の中に併設されているBOOK OFF を覗くと、本日限定半額セールの札が目に付いた。

半額セールといっても、通常500円のCDが250円、250円のCDが100円ということらしい。100円棚はロクなものはなかったが、250円棚には面白いもの数点。

Emi64055 Telarccd80379 ここしばらく音盤購入の意欲は萎えていたものの、棚を見ているうちに勃然と湧き上がる高揚感。安値につられてついつい6枚ほど購入してしまった。

ゲットしたのは、ガブリーロフの弾くバッハのピアノ協奏曲集2枚組。
ロベス・コボスのワーグナー前奏曲集テラーク盤。

P1010804 21emdsjx12l__sl500_aa130_ 同じくテラークで、クリーブランドカルテットのボロディンとスメタナの弦楽四重奏曲。
ハーゲンカルテットのハイドンの弦楽四重奏曲、第1,64,74番のグラモフォン盤。
レスリー・ハワードの弾く、リストトランスクリプションンズ。これはシューベルトとウェーバーの作品をリストがピアノに編曲したhyperion盤。

P1010806 これで今年の買い収め。・・・・の予定

Youtube はグールドの弾くバッハのピアノ協奏曲第一番

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2009年12月19日 (土)

500人のオケ、武道館ライヴ

本日休日。晴れ、朝から風強し相変わらず群発地震は続く。

大地震の予兆か、午後に齢17歳の我が家の老犬ポチが鎖を外し突然逃げ出した。
今年の夏には、今にもご臨終寸前の衰弱ぶりだったのだが、秋口から急に元気になり最近は食欲旺盛で絶好調。隣家の柴犬に挑みかかるなど、しばし近所を騒がせようやく取り押さえる。

P1010801 暮は「第九」の季節ということで、今日は1981年6月に武道館でおこなわれた500人のオーケストラと1300人を超える合唱団によるコンサートライヴを聴く。

音楽センターから出ていたLPで、指揮は渡邊暁雄で交響詩「フィンランディア」とチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」そしてベートーヴェンの「第九」第四楽章。

他に佐藤功太郎の指揮で「カヴェレリア・ルスティカーナ」間奏曲と、佐藤真の「大地讃頌」というもの。

日本フィルの再建を願ったコンサートで、プロのオーケストラ奏者約500人とアマチュア合唱団1300人が参加。聴衆は一万人を超えている。

さすがに500人ともなるとすごい音だ。

昨年と今年に静岡のグランシップでアマチュア奏者300人のオケのコンサートを聴いて、超巨大編成のオケの面白さは体験しているが、この時の武道館での音の密度のすごさも想像できる。管楽器があたかもオルガンのように響くのも独特だ。

シベリウスを得意とする渡邊さんの「フィンランディア」の壮大さは比類のないもの。「大地讃頌」も感動的だ。

同じ年の12月から、今も続く「一万人の第九」が始まっている。
http://www.suntory.co.jp/culture-sports/daiku/history.html
このコンサートがヒントとなって実現したのではなかろうか。

この第九については、沼響のHPのコラム「新第九を聴く」で詳しく紹介します。

P1010800 沼響のHPの聴き比べコラム「シベ2を聴く」に、セル指揮コンセルトヘボウ管のライヴの感想をアップしました。http://www.numakyo.org/cgi-bin/sibe2.cgi

Youtube はヨーヨーマの弾く「アンダンテ・カンタービレ」

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2009年12月17日 (木)

ピノックのラモー、組曲ニ短調

いよいよ本格的な冬の到来。各地で雪が降り、車のフラントガラスにはうっすらと氷が張っていた。
夕方から風が強くなった。

午後7時頃から15分から30分間隔で断続的に地震が続いている。震源地は伊豆東方沖。もともと海底火山が噴火したりと群発地震の多い所だが、ビュービュー吹く風の音を聞きながらの地震は不気味な気配。

P1010800_2 今日はCRD原盤のトレヴァー・ピノックの弾くラモーのクラブサン曲を聴く。
バッハ、ヘンデルと同時代のフランスの大作曲家の傑作群から組曲ニ短調。第一曲「やさしい訴え」の悲哀と愛情に満ちた深い世界はバッハの音楽にも匹敵するものだ。


Youtubeは、同じ組曲ニ短調から第7曲「ミューズたちの対話」。こちらも名曲です。

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2009年12月16日 (水)

チェリビダッケのハイドン、「太鼓連打」

本日の最高気温10℃、どんよりとした曇の一日。
昨晩はいつもの5人で、今年最後の「ボエームの会」でした。

Front_mini 一次会の割烹「はちまき」での今回のメインの食材は寒鱈。

その日の3時に山形から届いたばかりの寒鱈を使った庄内料理「どんがら汁」。http://itp.ne.jp/contents/kankonavi/yamagata/kyoudo/yam_kyo02.html
Pcamqca08cavirpobcalpz0yrcae3vl8pca 濃厚な赤味噌仕立ての汁の中にぶつ切りの寒鱈と白子、肝臓などが入った豪快な料理だ。

新鮮な肝臓はさながらフォアグラの如く。

20091212164129_img1_0 Sake02304 最初のお酒は山形がらみで山形「秘めごと」。フルーティにしてコクのある純米吟醸酒。

続いて自分が持参した広島の「竹鶴」純米。
ニッカウィスキーの祖、竹鶴政孝の生家の本家として知られる竹鶴酒造の手抜きの無い純米酒。

すっきりとした飲み口でスルスルといける。食中酒としては最適だが、これは飲みすぎに注意が必要だ。

Xcargjhyecagwexp1cacxzcy9cacxeyuuca そして上等なお米を山形青菜で巻いたおにぎりで〆。http://nipponsyokuiku.net/syokuzai/data/023.html
これも繊細で絶妙な塩加減が絶品でした。

そして二次会は、「ボエーム」のミミ的存在の和美ちゃんが待つプライベートバーへ・・・
華やかな中に落ち着いた雰囲気の中で、日常のたあいのない会話に盛り上がる。帰宅は明日の仕事も考えその日のうちにお開き。

このところ酒席続きでヤバイなぁ。音楽ブログからだんだんとかけ離れてきてしまいました。今年はまだ3つ残っています。

自分の肝臓もフォアグラ状態。ちょっと節制しないと。

905 今日は、チェリビダッケのハイドン。
ミュンヘンフィルとの1992年のライヴでEMIのセット物から、交響曲第103番「太鼓連打」と104番「ロンドン」。

曲としては「ロンドン」の方が好みだが、演奏は「太鼓連打」が圧倒的に良い。
ロマンティックな中に軽やかさにも不足していない名演。ピリオド楽器の演奏とは対極にあるスタイルだが、最初の神秘的なティンパニのトレモロからして尋常でない雰囲気が漂う。

ハイドンの曲をこれほど深い領域で表現している演奏は、他に聴いたことがない。


Youtube は、アルゲリッチの弾くブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」

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2009年12月14日 (月)

マーラー、自作自演

気温は下がってきたが、12月とはいえ寒風吹きすさぶ真冬とは程遠い一日。

今日は作曲家マーラーの自作自演を聴く。

P1010800 ウィーン宮廷歌劇場の音楽監督であり、作曲家と同時に偉大な指揮者であったマーラーには1911年に没したこともあり、オケを振った録音はない。
だが、彼は1905年にウエルテミニヨン社の自動ピアノのために4曲の自作ピアノ編曲のピアノロールを残している。

今日はその中から交響曲第5番の第一楽章を聴く。

手持ちは米スーパースコープ社から出ていた「The Keybord Immortal series 」のLP.
これはスーパースコープ社の社長のピアノロールコレクションからセレクトし、ベーゼンドルファー・インペリアルを使って再生したもの。

速いテンポで淡々した語り口に、ゾッとするような冷たさを秘めた演奏だ。
モノクロームなピアノの響きに、この第一楽章に「葬送行進曲」と名付けたマーラーの意図がひしひしと迫ってくる。

P1010801 もう一枚は、マーラーとほぼ同時代の作曲家R.シュトラウスの自作自演から交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」。

ベルリン国立歌劇場管弦楽団による1929年録音。

1944年にウィーンフィルを振った録音の良い演奏もあるが、こちらの旧録音は未だ颯爽とした若さとある種の俗っぽさが残っていた頃の演奏。

曲の性格の違いもあるものの、マーラーの演奏の後で聴くとずいぶんと楽天的に響く。

Youtube は、2台のピアノバージョンによるマーラーの交響曲第5番からアダージェット

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2009年12月13日 (日)

ビーチャムのシベリウス、交響曲第1番

今日は休みだが、昼から親戚の法事が入り、昨晩に引き続きの酒の席。

遠く江戸の頃に別れた分家で、普通ならば何度かの代替わりで疎遠になっているところだが、同じ町内ということもあり未だに親戚付き合いは続いている。

お寺で顔を合せる大部分は見知らぬ人たちだが、どこかで共通の遺伝子を受けついていると思うと不思議な気分。

食事は近所の「うなよし香貫店」。お寺からトボトボと歩いて向かう。
ここは、三島の「うなよし」と並び県外まで知られた有名なお店だ。
http://r.tabelog.com/shizuoka/A2205/A220501/22000869/

Photo 結局、ビールを飲みながらの最初に出た刺身や茶碗蒸し、天ぷら盛り合わせなどの前座で満腹となってしまい、真打の「うなぎ」は折にしてもらう。

昨晩に続き贅沢な食事で、腹周りがまた一回り大きくなったような気分。
昼間の酒はよく回る。

P1010648 帰宅後はビーチャム指揮ロイヤルフィルによるシベリウスの交響曲第1番。

米コロンビアのモノラルLPで今年はじめにヤフオクで落としたもの。50年近く前に発売されたLPなのに、ジャケットも中身も新品同様のぴかぴかだった。

曲への共感がストレートに出た激しく燃えた豪快な演奏。同時期のコリンズの全集録音と比べると動と静の対照的な演奏だ。

Youtube はバーンスタインのシベリウス。交響曲第1番

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2009年12月12日 (土)

フォルスターのすずめのミサ

よく晴れた一日、富士山は真っ白な雪化粧。来週の会議の資料作成のため、本日一日出勤。

E00000003 夕方からは、かつての上司で今はOBとして三者三様の人生を送っている先輩3人に誘われ、沼津駅近くの「円庵」での酒席。

初めてのお店だったが、料理もよく、落ち着いた雰囲気で呑める懐石料理のお店。

あえて仕事の話はせずに楽しい人生談に花が咲く。3人それぞれの個性を生かした今の暮らしぶりに触発されることも多い。帰りは最終のバスに間に合う時間。

P1010797 ほろ酔い気分で聴いたのは、モーツァルトのミサ・プレヴィスハ長調K.220.。通称「雀のミサ」と呼ばれる曲。
演奏はカール・フォルスター指揮のベルリン聖ヘドウィッヒ大聖堂合唱団にベルリン響、ソプラノのA.ギーベルほかというもの。

手持ちはEMI原盤の国内盤LPで、「戴冠式ミサ」とのカプリング。1959年録音の古い演奏だが今もCDで現役だ。

「戴冠式ミサ」は時代を感じさせる古めかしい出来だが、この「雀のミサ」はきっちりとした合唱のアンサンブルと生き生きとした音楽運びで、今でも十分通用する名演。

P1010798 林さんのところのホームページで、ホルダの「新世界より」が紹介されていたので気になって手持ちのLPを聴いてみた。http://kechikechiclassi.client.jp/dvoraks9jorda.htm

こんな演奏までNMLで簡単に聴けるとはちょっと驚き。
英DECCAのLPで番号はLXT2608。

LPでのオケの表記はThe New Symphony Orchestraだが、NMLではThe New Symphony Orchestra of Londonということになっている。

かつて沼響のHPで「新世界より」の聴き比べを連載したことがあり、(現在データが壊れて修復中)この演奏も紹介するつもりだったが、 ちょうど100種類の演奏を紹介した時点で、「新世界」を聴く気持ちが萎えてしまい紹介できなかった演奏。

少々荒削りながら、個性的なアゴーギクと意表をつくテンポの変化の面白い演奏だ。ティンパニのドスの効いた響きも効果的。

第一楽章第二主題のフルートなど、当時一般に使われていたジムロック版よりも新版に近いようだ。(この辺、アルコールが入っていて不確かです)

NMLは明らかにLPの板起こしで、高音よりにイコライジングされていて時として金属的に響く。LPは残響は少なめで明快な響き。多少高音にバランスが偏りがちだが、ティンパニはしっかりとした音だ。

Youtube は7人のオーケストラによる「雀のミサ」

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2009年12月11日 (金)

ホロヴィッツのスクリャービン

朝から冷たい雨。職場の暖房がきつすぎて、ちょっとノドを痛めたようだ。体調いまいち。

仕事のほか、受験生二人を抱えて今年は家庭も気の抜けない一年だが、ここで二人ともようやく志望校が射程距離内に入ってきた様子。
今日は仕事を早めに切り上げ、夜は娘をピアノレッスンのために函南町まで送る。

B00005g825_09_lzzzzzzz 帰宅後聴いたのはホロヴィッツの弾くスクリャービン。アルバムの綴り、エチュードなどが入った米オデッセイ盤LP.

個人的に親しかったラフマニノフとともに、ホロヴィッツにとっては身近な存在だったスクリャービンの作品の数々。

妖しく官能的なスクリャービンのピアノ曲の代表的な名演だ。

Youtube はホロヴィッツの弾くスクリャービンのエチュード

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2009年12月 9日 (水)

シューベルトの「グラン・デユオ」、オーケストラ版

先日、仕事からみでハローワークが入っている国の合同庁舎に行ったところ、今まで見たことがないほどの多くの職を求める人の数に驚いた。
ここ数年の政治の拙さからセーフティネットも消失し、弱きものに不況のしわ寄せがモロに直撃しているようだ。

昨日は、税収の落ち込みで、今年度国債発行額が過去最大の53.5兆円となり税収を上回る見通し、というニュースが飛び込んできた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091208-00000060-jij-pol

国債発行額が税収を上回るのは実に1946年以来だという。
1946年といえば敗戦により、国そのものが滅亡に瀕していた時だ。

ウーム。こりゃ、日本の歴史上でも相当ヤバイ状態に直面しているのではなかろうか。

今日はシューベルトのハ長調の連弾ソナタを、ヨアヒムがオーケストラ用に編曲した曲を聴く。

P1010793 演奏はフェリックス・プロハスカ指揮のウィーン国立歌劇場管によるヴァンガード原盤のモノラル盤CD。
このCDには「ガシュタイン交響曲」と仰々しいタイトルがついている。

かつて失われたと思われていたシューベルトがグムンデン・ガシュタインで作曲した交響曲は、今ではハ長調の大交響曲のことだということで決着がつきつつあるが、19世紀からこのプロハスカの録音の頃までは、まだ「グランデユオ」が「ガシュタイン交響曲」のピアノスコアではないかという説が残っていた頃だ。

だが、編曲そのものは正直なところつまらない。やはりこれは原曲のピアノ曲の方が良い。

P1010796 念のため手持ちにあるもう一枚の編曲盤をちょいと聴いてみる。こちらはマルク・アンドレ指揮のミュンヘンフィルによるBASF盤LP。
だが、シューベルトらしいウィーン情緒の漂うプロハスカの方がまだ聴ける。

Youtube はブレンデルの弾くシューベルトの即興曲第3番

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2009年12月 7日 (月)

コルボのバッハ、マニフィカート

例の事業仕分けで芸術振興費が大幅に削減され、都内で音楽家たちが抗議の記者会見を開いたという。

http://blog.goo.ne.jp/chef-norichika/e/0fbbe6193a25ea6af59e7044e9eabe62

短期間でバサリバサリとやられるやり方で、文化、芸術や科学技術分野など、地味な事業や効果が形として見えない事業、効果が出るのが不確定で時間のかかるものが次々と切られていった。

P1010798_2 これは将来への「希望」と「夢」を切り捨てるのと同じだろう。

録画していたNHKドラマ「坂の上の雲」を見る。
明治という時代、人々は貧しくとも将来への明るい希望に燃えていた時代だった。

自分の仕事も事業仕分けの影響を受けてしまい、来年のことを考えると暗澹たる気持ちになっている。

今日はミッシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブルによるバッハの「マニフィカート」を聴いた。
エラートから出ていた「宗教音楽の黄金時代」と題するCD6枚組

軽い響きの中に音楽が生き生きと息づいた名演だ。

Youtube はカラヤンの「マニフィカート」、このオーボエの響きにはいつ聴いても心が洗われる。

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2009年12月 6日 (日)

グレゴリオ聖歌による4つのモテット

今日は良い天気となった。日曜だが、先週からの大きな問題の対策からみで出勤。

帰宅後は、20世紀フランスの作曲家にしてオルガニストとしても高名だったデュリュフレの作品。

デュリュフレは長命だったにもかかわらず、演奏活動の忙しさと交通事故の影響で、残された作品は僅か14曲。

P1010797 その中から「グレゴリオ聖歌による4つのモテット」を聴いた。
シンプルなグレゴリオ聖歌の祈りをより高きところまで昇華させた逸品だ。

演奏はスーリッス指揮のパリ・アウデウテ・ノヴァ声楽アンサンブルによるエラート盤のCDで、M.コルボ指揮コロンヌ管、合唱団によるデュリュフレの「レクイエム」の余白に入ったもの。

コルボの「レクイエム」は、コルボにしては詰めが甘く、意外なほど説得力が弱い演奏だったが、腕の確かな小編成の合唱団によるスーリッスの演奏は、その純で透明な響きがデュリュフレの魅力余すことなく引き出している。

P1010794 P1010795 沼響HPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」に、カラヤン指揮ベルリン国立歌劇場管の演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

Youtube はその「4つのモテット」から第2曲

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2009年12月 5日 (土)

エリクソンのVirtuoso Choral Music

くもり午後から雨。本日貴重なお休み。こんな天気なのでどこにも出かけず。さりとて家で何もせず。

今日は合唱の神様、エリック・エリクソン率いるストックホルム放送合唱団(現スウェーデン放送合唱団)の演奏を聴く。

「Virtuoso Choral Music 」というアルバムで、モンテヴェルディからジョリヴェ、マルタン、ピツェッティ、マルタンら10人の作曲家たちの作品を集めたもの。

手持ちは独EMIの4枚組LPだが、CDは廃盤らしく中古価格でかなりの高額となっている。http://www.amazon.co.jp/Ericson-conducts-Virtuoso-Choral-Music/dp/B00006KRXR

P1010792 このアルバムの演奏によって、これらの曲が世界で有名になったと言っても過言でないほどの超名盤だ。

この合唱団は、アバドが合唱作品を取り上げる時には、わざわざ呼び寄せるほどの団体。

自分も実演に接した時のことは今でも忘れられない。

スウェーデンのアカペラ現代作品だったが、音が天空の唯一点から降ってきたと思いきや、ステージのはるか遠くホールの外から響いてくる超絶的なピアニシモ。

腰が抜けるほどの衝撃だった。

Youtube は来日時のスウェーデン放送合唱団。曲は名作デュリュフレのレクイエム

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2009年12月 3日 (木)

イーヴ・ナットの「悲愴」

昨日は職場の忘年会。50名を超える人数で職場近くの「九十厨」。
http://www.kujyuukuri.jp/index.html
シンプルな料理と量の割にはリーズナブルな価格で人気のお店だ。

N_photo2 若者たちとは早々に一次会で別れ、二次会は10人ほどで部下の姉のやっているスナックへ。

メンバーは自分の上司筋二人を筆頭に30代後半から40代の元気の良い独身女性職員数人。ここでは他の部署のボスとも合流。
そして、なりゆきで自分の苦手なカラオケ大会へ突入。
最初は遠慮していた女性陣も、アルコールが回るうちにしだいに彼女らの独壇場になってきた。

彼女らの歌う最近の歌はほとんど初耳の上に、片方のおっさんたちは完全ド演歌路線。しかも30代の部下からは、誰も知らないマニアックなアニメソングの波状攻撃。

ちょうど中間世代に位置する自分は、コウモリのように彼女らと上司筋の間を行ったり来たり。結局帰宅は1時過ぎ。まだ残っていた最終グループは3時過ぎだったという。

明けて今日は何事もなかったかのように日常の仕事を開始。あと一月を切ったというなんとなくソワソワした気分が職場に漂う。

夜は二週間ぶりにオケの練習に参加したものの、自分が仕事で出ることができない三月の才能教育発表会のモーツァルトの練習だった。

結局隣の小部屋で、降り番のホルンのメンバーたちとちょこっとアンサンブルをしてみたりしたのだが、二週間のブランクで絶不調。吹いているうちに昨夜来の疲れがどっと出て早々に帰宅することにした。

P1010791 帰宅すると、上の娘が入試に向けてベートーヴェンの「悲愴」をさらっている。ちょっと中断させて、イーヴ・ナットの弾く「悲愴」を娘と一緒に聴く。
イーヴ・ナットは大好きなピアニストでこの演奏もLP,CD両方とも手持ちはあるが、今日聴いたのはLPの東芝EMI盤。

モノラルながらディスコフィルフランセの音楽的な録音で、極めて聴きやすい音だ。

第一楽章では、ドイツ系のピアニストとは異なるテンポの崩しと、ナット晩年の録音なだけに一瞬緊張の糸が途切れる瞬間も有り、気がついた娘がアレという顔。

だが第二楽章が始まったとたんに二人で金縛り状態。

端正にして格調の高い音。澄んだ泉の水が深いところから滾々と沸くようなナットのベートーヴェン。

不覚にも涙が出そうになってきた。今まで何度も聴いた演奏なのに、これほど感動したことはなかった。いったいどうしたんだろう?

Youtube はイーヴ・ナットの弾くシューマン。エラール製のピアノを使用。

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2009年12月 1日 (火)

フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルのシュッツ

今日から12月。ここ数日帰りは遅いが、昨年の超多忙さに比べれば楽なもの。だが、昨年来の大不況の影響がボディブローのように効いてきた。来年は大変な年になりそうだ。

P1010787 今日は、英ARGO原盤の「合唱とブラス、初期ドイツバロック期の音楽」を聴く。シュッツ、シャイン、そしてシャイトといったドイツの初期バロックの大家、いわゆる三大”S"の合唱作品を集めたもの。

レッパード指揮のパーセル合唱団によるものだが、今となってはこのアルバム主役は伴奏のフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブル。
手持ちは、キングレコードの国内盤LP. 1968年録音。

これはフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルのARGOへの記念すべき第一号録音だ。ブラスアンサンブルとはいえ弦楽器も加わっている演奏。

昨今のピリオド系の演奏とは一線を画す壮大でロマンティックな世界。 この頃のバロックやルネサンス期の演奏は皆こんなだった。

同じような傾向のブラスアンサンブルで、シュッツの師匠のイタリアの後期ルネサンス期のジョバンニ・ガブリエリの曲も聴く。

P1010788 P1010789 こちらはさらに古く、ハンス・ギレスベルガー指揮のガブリエリアンサンブルによるヴァンガード録音で、おそらく1950年代後半の演奏。

この演奏は先週聞いたクヴァンツのソナタと同じ「世界のバロック音楽1000シリーズ」にも入っていて、自分が初めてガブリエリに接した懐かしいアルバムだ。

録音、演奏ともに古色蒼然としていて、さすがに古くなった。

Youtube はガブリエリが活躍していたヴェネチア、聖サンマルコ大寺院でのガブリエリ

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