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2010年2月に作成された記事

2010年2月28日 (日)

ブーニンのこと

日曜の朝、受験を三日後に控えた下の娘が鼻水を出している。そろそろ花粉症の季節だがどうやら風邪をひいたらしい。本人は平静を装っているが熱がないのがまだ救い。

P1010052 「題名のない音楽会」を見ていたら、ショパン生誕200年ということでブーニンが出ていた。http://www.tv-asahi.co.jp/daimei/

1985年のショパンコンクールでの鮮烈な印象が未だに強いブーニンも既に四十半ば。やはり年相応の容貌になっていた。妻は日本人で日本に居を構えているという。

ピアノ協奏曲を含むショパンを数曲弾いたが、甘く穏やかで幸福そのもののショパン。
偉大なピアニストであった祖父、父の二人のネイガウスの演奏に聴かれた凄みは聴かれない。

幸福な日常生活の中に、若い頃聴かれた新鮮な自由奔放さは姿を消し、牙を抜かれた狼のような演奏だ。

ここでブーニンはイタリアのFAZIOLIのフルコンサートグランドピアノを弾いていた。
世界最長、高級外車のような外観そのものの華麗で硬質でメタリックな音色。http://www.fazioli.co.jp/index.html

番組が終わってまもなく緊急津波警報のテロップが流れた。チリ大地震による津波発生。 3メートル近い津波が到達する可能性があるとのこと。

幸い大きな被害もなく、我が家も海から3キロほど内陸にあるので直接の脅威は感じなかったが、落ち着かぬ一日となった。

そして夜はブーニンのショパンコンクールでの本選ライヴを聴く。
曲は、番組でも弾いていたピアノ協奏曲第1番。

華麗なタッチと瑞々しい音楽、自由な遊びのある個性的な演奏で、無限の将来性を感じさせる素晴らしい演奏だった。

youtubeはリヒテルやギレリスの師、ブーニンの祖父ゲンリヒ・ネイガウスの弾くバッハ

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近衛秀麿のマーラー

曇り時として小雨。来週の重大な審査に備え出勤、今日一日でほぼ目処が立つ。

先週部下に指示してあった資料が机上に置いてあったが、このままでは使い物にならない。

そもそも仕事の根を理解していないので、こちらが欲するポイントから見事にずれていてお話にならない。もう少し大人の仕事をしてもらいたいものだ。
部下とはいえ年上なので、今更手取り足取り教える気にもならない。今までこの調子で他の部署で通用してきたのが不思議。

P2020008_thumb 帰宅後は近衛秀麿指揮する新交響楽団によるマーラーの交響曲第4番。
ソプラノは北澤榮という人。

1930年におこなわれたこの曲史上初の録音というから驚きだ。
マーラーの交響曲としては1928年のオスカー・フリードの「復活」に継ぐもの。

かつてDENONからCDとして発売されていた。当時は怖いもの見たさで食指が動いたものの、結局買う勇気がなかった。

ロームミューッジクファンデーションの日本SP名盤復刻選集第2巻に収められていて、ようやく聴くことができたもの。http://www.rohm.co.jp/rmf/music2/index.html

ゆったりノンキな演奏で、第ニ楽章でトランペットが音をはずすのはご愛嬌。
近衛秀麿はしばしばスコアに手を加える場合があるが、この演奏でも第三楽章にチューバの音がモコっと聞こえてくる。

現在の演奏の水準からはほど遠いとはいえ、この当時の状況としては、よくぞここまでといった出来だ。

なお第三楽章にカットがある。

Youtube はチョン・ミョンフム指揮東京フィルのマーラーの交響曲第4番第4楽章。ソプラノ独唱は森麻季

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2010年2月26日 (金)

ラフマニノフの前奏曲OP3-2「鐘」

昨晩からの雨は終日降り止まず、実は今日おこなわれるコンサートの誘いを受けていたのだが、本日は外部委員による審査のある重要な日。
残念ながら、誘いをお断ることになってしまった。
http://j-information.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2009/06/21/img1_7.jpg

様々な質問を想定し多くの資料を整えて会場に向かう。
質問は予想の範囲を超えるものではなく無事に終了。

だが来週もうひとつの大きな山が残っていて、前回集中攻撃を受けた委員が出席するので油断大敵。再度資料を確認していると帰宅は10時過ぎ。

家に帰るとバンクーバー五輪のフィギュアの録画を放送していた。
残念ながらトリノの荒川静香の再現はならなかったが、http://harumochi.cocolog-nifty.com/horn/2006/02/post_aa63.html上位3人の得点が200点を超えるというハイレベルの戦いの中で、日本の選手達は良く戦った。キム・ヨナが一頭抜け出ていたとはいえ、浅田真央と実際の得点差ほどの差はなかったと思う。

今日はその浅田真央がフリーで取り上げたラフマニノフの前奏曲作品3-2。
そのオーケストラ編曲の演奏を二つ。

P1010052 まずは、アンドレ・コステラネッツ指揮の彼のオーケストラによる米コロンビア盤LP.

ラフマニノフのピアノ協奏曲やピアノ曲をフルオーケストラにアレンジしたもの。コステラネッツはいわゆるライトクラシックの指揮者として名を成した指揮者だが、自身がサンクトペテルブルク出身であることもあり、きわめてシリアスな編曲であり演奏だ。

P1010053 そしてラフマニノフと直接親交があり、ラフマニノフとの共演の録音も残しているストコフスキーの演奏。

1972年のチェコフィルとのライヴ録音。

大地の底深くから響いてくるようなフルオーケストラによる巨大なラフマニノフ。ラフマニノフの多くの作品のテーマとなっているロシア聖教会の鐘の音を余すことなく表現している見事な編曲だ。
チェコフィルの幾分暗い音色も曲想にベストマッチ。

P1010054 最後にラフマニノフ自身による原曲の演奏。

ゆっくりとしたテンポの中に遥か故郷ロシアへの望郷の念が自然と伝わる1928年録音の歴史的な名演。ラフマニノフの巨大な手がなしえた深い響きも他の追随を許さない。

P1010051 沼響のHPの聴き比べコラム「シベリウスの2番を聴く」にアブラヴァネルの演奏の感想をアップしました。http://www.numakyo.org/cgi-bin/sibe2.cgi

Youtube は、ロシアのピアニスト、ギレリスの弾く前奏曲Op3-2

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2010年2月24日 (水)

クラフトのバッハ

春のような暖かな一日。いろいろとお世話になっていたお寺の役員の方が急逝。本日葬儀となり役員最年少の自分は急遽休みを取り参列する。
月曜日にはオケ仲間の岳父の通夜もあり、季節の変わり目にはいろいろと続くようだ。

なんとなく神妙な気持ちとなり、ワルター・クラフトのバッハを聴く。

Akrya00jpimg600x4511188811750bo6 VOX原盤のワーナーから出ていたセット物LPの「バッハ・オルガン曲全集」からコラールプレリュードの数々。

神への敬虔な祈りと感謝、地味ながらしみじみと聞かせる慈愛に満ちたバッハ。

Youtube はBWV639のコラールプレリュード

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2010年2月23日 (火)

ケンペ、ウィーンフィルとのパルシファル

このまま春になりそうなほどの暖かな一日。通勤はいつもの自転車ですごぶる快調。だがそろそろ花粉症の兆候が・・・

本日、今週末の外部委員によるチェックに備えての資料造りで朝から夜まで昼食とトイレ以外はほとんど座りっぱなしの一日。
肩と首がパンパンに凝った状態で、キーコキーコとペダルを踏みながら帰りの夜道を家へ急ぐ。

今日はドイツの名指揮者ルドルフ・ケンペのワーグナーを聴く。

P1010050 ウィーンフィルを振った「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死、「ローエングリン」第一幕前奏曲、そして「パルシファル」から前奏曲と聖金曜日の音楽。
70年代に出ていたEMI録音の国内盤LP。1958年2月録音。

レコードジャケットの中には、1977年5月購入と書かれた自分のメモが挟んである。

フルトヴェングラーとの「ワルキューレ」全曲録音以来途絶えていたEMIとウィーンフィルが再び録音するようになった最初の録音。
このことは、カルショウの自伝「レコードはまっすぐに」で初めて知った。
http://www.hmv.co.jp/news/article/504270047/

現在、「ローエングリン」の第3幕前奏曲を加えてTestamentからCDでも出ている。

起伏の少ない演奏で、クナッパーツブッシュのような凄みはないがゆったり自然に流したウィーンフィルの響きが美しい。

この時期ケンペはウィーン国立歌劇場とコヴェントガーデンで精力的にワーグナーを取り上げ、1960年にはバイロイト音楽祭に登場している。

Youtubeは、ラインスドルフ指揮の「パルシファル」前奏曲

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2010年2月21日 (日)

ヨッフムのヨハネ受難曲

貴重なる日曜日、家内と娘たちは朝から美容院と買い物に出かけ、おばぁちゃんも三島大社での古典講座。http://www.mishimataisha.or.jp/Page/koten.htm
自分は一人で留守番。

久しぶりに時間が取れそうなので、雨漏りからの避難ために一時的に音楽部屋から避難させたLP,CD類の片付けを始める。

とにかく慌てて退避させたので、どこに何を置いたのか判らなくなってしまい大変なことになっている。

P1010051 片付けながら聴いたのはオイゲン・ヨッフム指揮のコンセルトヘボウ管によるバッハの「ヨハネ受難曲」。60年代半ばのフィリップス録音の国内盤LP3枚組。
今では珍しくなった大編成のオケと合唱団による演奏で、歌手はヘフリガーその他当時の一流どころを揃えている。

この頃のヨフッムは「マタイ受難曲」「ロ短調ミサ」も録音していた。

悠然として暖かなバッハ。古楽も良いが演奏のスタイルに左右されないバッハの宗教曲ではこのような演奏が好きだ。終結部のコラールも感動的。

思わず聞き入ってしまい、片付けは中途半端のまま一日が終わる。

聴いているうちに、バンベルク響のコンサート(ハーガーの指揮)で自分の目の前の客席に座っていたヨッフムの巌のような背中を思い出した。品の良い暖かな笑顔が魅力的な老人だった。

家内たちは昼すぎには帰宅し、お昼は「餃子の王将」持ち帰りの餃子。http://www.ohsho.co.jp/index.html

Youtubeはヨッフム指揮コンセルトヘボウ管の来日公演からブルックナーの交響曲第7番。このコンサートは会場で聴きました。

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2010年2月20日 (土)

レコードはまっすぐに

2月もあと一週間余り、年度末の慌しさで今日も出勤。久しぶりに暖かでよい天気となったので、朝、自転車で職場までひとっ走り。地方都市ゆえの気楽さで通勤時間は自転車でおよそ20分弱。

51f737cvvdl__sl500_aa240_ 今、クラシック界の大物プロデユーサー、ジョン・カルショウの自伝「レコードはまっすぐに」(山崎浩太郎訳 学研)を読んでいる。

クラッシック音楽の黄金時代とも言える50年代から60年代にかけての名演奏家たちとの録音現場での裏話。

芸術性よりも売り上げ至上主義。その反面、とても無価値で売れないことが判っていながらもドロドロとした人間関係の妥協の産物として世に出さねばならないという矛盾。
初めて知る、名演奏家たちの赤裸々な人間性の数々。

久しぶりに面白い読み物でした。 訳も読みやすい。

P1010052 今日は、本書にも語られていていた若き日のショルティがイスラエルフィルを振った録音から、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」。

当時のイスラエルフィルは弦楽セクションは優秀だったものの、金管はとてもひどくて、クーベリックと録音したドヴォルジャークの交響曲第8番はとうとう発売できなかった。
などのエピソードを思い浮かべながら聴く。

脂の乗った艶のあるイスラエルフィルの弦楽セクションの音とショルティ独特のとんがった音楽造りが奇妙なバランスで響いた演奏。

新しくできた会場の音響が悪く、とても万全とは言えぬ条件で録音された演奏だという。若き日のショルティはいろいろと苦労があったようです。

P1010039 P1010040 沼響のHPの聴き比べコラム、「ベートーヴェンの7番を聴く」にカラヤン指揮ウィーンフィルの演奏の感想をアップしました。
この録音もカルショウのプロデユースによるもの。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

Youtube は、ショルティ&ウィーンフィルによる歴史的録音「ニーベルングの指輪」全曲録音のメイキング映像。カルショウ、プロデユースの代表作。 ファーストヴァイオリンを立たせて演奏させているが、ステレオ録音を意識した音造りが垣間見える。最後の部分で蹄の音を収録するために本物の馬まで登場。

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2010年2月19日 (金)

グリューバーのウィンナワルツ

P1010051 この冬初の積雪となった昨日に比べ、今日は気温も上昇暖かな一日となった。裏山の雪もすっかり溶けている。

昼休みには「親知らず」を抜く上の娘を歯科医の元に連れて行ったり、仕事帰りには行きつけの医者に月に一度の血液検査。処方された薬で職場の定期健診で指摘された尿酸値はなんとか基準値内。

P1010046 今日は、ウィーンフォルクスオパの指揮者だったヨゼフ・レオ・グリューバーの指揮するウィンナワルツから2枚。

一枚はキングの「世界の名曲1000シリーズ」からシュトラウス一家の曲を集めたもの。オイロディスク原盤。そしてもう一枚はリーダーズダイジェスト録音から、RCAのゴールドシリーズのLP。

いずれもオケはウィーン国立歌劇場管となっている。

P1010047_01_2  この二つの演奏はしばし混同されていたが別録音で、キング盤はいずれも3分程度にカットした短縮版。一方のRCA盤は完全全曲で「ウィーンの森の物語」もきちんとツイターの前奏が入っている。

演奏はとても同じ指揮者とは思えない。

リーダーズダイジェスト録音の鮮明な録音で聴かせるRCA盤はシンフォニックで「軽騎兵」序曲や「皇帝円舞曲」など堂々たるもの。

一方のオイロディスクのキング盤は、軽く瀟洒な洒落た演奏。オケの編成も幾分小さいようだ。 2拍めを早めに採り微妙に長くするウィンナワルツ独特のリズム感は、オイロディスク盤がよりはっきりと演奏されている。
こちらはもともとワルツのレッスン用に録音された実用レコードかもしれない。

ウィーンで日常に演奏されているローカルなウィンナワルツを楽しむには最適な演奏だ。

Youtubeは、カルロスの父、エーリッヒ・クライバー指揮する「美しく青きドナウ」1932年の記録。こちらはドイツ風のスタイル。 オケはベルリン国立歌劇場のオケ?

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2010年2月17日 (水)

金華豚の夜、シモネッティのマドリガル

薄曇りの冬空、気温は下がり夜の天気予報は静岡では珍しく雪。

Front_mini さて昨晩は月に一度のいつもの5人による「ボエームの会」。
場所はいつもの割烹「はちまき」。

早めに職場を出る予定が長電話に捕まり、慌てて駅まで走る。
電車に飛び乗ると、携帯に待ちかねた仲間がら「今どこ?」の電話。
どうやら鍋が食べごろになっているらしい。

三島駅から凍てつく道をお店まで急ぐ。

36g622073 122120870_1 このような冬は鍋がありがたい。しかも今宵は山形産金華豚のバラ肉を主賓に、白菜、大根おろし、そしてほうれん草のコラボも絶妙なる
肉鍋。http://www.hiraboku.info/kinka.html

さらにこれまた山形産鱒の焼き物などなどエトセトラ。

お酒の種類は、とろけるようなお肉のインパクトが強く忘れてしまいました。

不思議な縁で集まった5人。酔いもほどよく回り、二次会の和美ちゃんの待つプライベートバーでは、下ネタその他の話もクレバーな和美ちゃんの切り返しに軽く手玉に取られながら愉快に盛り上がる。

118490160398816111279 今日は下ネタならぬシモネッティのマドリガル。
19世紀末のイタリアのヴァイオリニスト、作曲家の愛らしい小品 を古沢巌によるヴァイオリン。

Youtube はマーラーの義弟にしてマーラー指揮の下でウィーンフィルのコンマスだったアーノルド・ロゼのヴァイオリンによるシモネッティの「マドリガル」

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2010年2月15日 (月)

ギャルド吹奏楽団の「牧神の午後への前奏曲」

冷たい雨が降り続く。本日休みをいただき母を整形の病院に連れて行ったり、自分も歯医者に行ったりとした一日。
その間、携帯には仕事関係で二件の着信有り。一件は別セクションの上司筋からだが、さほど急ぐことではないので明日の処理ということにしていただき、もう一件は電話で事を済ませておく。

今日は、昨日のシエナと一昨日のレイヴォビッツからみでフランスの吹奏楽団、ギャルド・レプブリケーヌ吹奏楽団の演奏を聴く。

P1010049 1961年の初来日時の録音で、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、F.シュミットの「デユオニソスの祭り」、そしてビゼーの「ファランドール」というもの。東芝EMIのLP2枚組。

この時のライヴがNHKで収録されていて、現在CDでも出ている。
http://kurisaxo.blogspot.com/2009/07/1961cd.html

ギャルドの編成は今では大きく変わってしまい、響きそのものが別物となってしまったが、この61年当時のギャルドはサリュソフォーンを含むフランス独特のスペシャルな編成の楽団だった。
http://www.contrabass.com/pages/sarrus.html

デユカスの「魔法使いの弟子」やラヴェルの「スペイン狂詩曲」のオリジナルのオケ編成はサリュソフォーンが加わっていたはずだ。

名実ともに世界最高と言われるだけあって、オーケストラ演奏と比べても全く遜色ない、どころかドビュッシーなどとても編曲とは思えない超一流の出来。

「牧神の午後への前奏曲」の冒頭フルートは、なんとレイボヴィッツのボレロでも吹いていたこの頃のパリ音楽院管の首席アンリ・ルボン。

アンゲルブレシュトの演奏で吹いていたフランス国立放送局管の首席、デユフレーヌの演奏と双璧の名演だ。

Youtube は1961年来日時のライヴ録音の「ローマの松」

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2010年2月14日 (日)

シエナ・ウインドオーケストラ in 沼津

ブラスの祭典NUMAZU音楽祭と銘打ったこの催し物も第3回となった。
昨年は客の入りが悪く今年の開催を危ぶんでいたのだが、今日はほぼ満席近い入りで安心。

行政主体のこの種ものは、担当が変わったり予算の削減で簡単に立ち消えがちになりがちなのでなおさらだ。定期的に来ていた東京フィル公演や、地元演奏家による「第九」もいつのまにか立ち消えになって久しい。

0028 安いチケット代で幅広い客層が楽しめる市民参加型のこの演奏会は、是非長く続けて欲しいもの。

本日の曲目は、
第一部がA.リードの「音楽祭のプレリュード」「春の猟犬」に
三善晃「深層の祭り」、スミスの「フェスティバル・バリエーションズ」

第二部は、バレンタインデーにちなんだポップス数曲に、「プロコフィエフの「モンタギュー家とキャピレット家」、バーンスタインの「ウエストサイドストーリー・メドレー」 。
最後に地元の高校生、社会人のバンダが加わった大序曲「1812年」で締めくくるというもの。

指揮は岩村力。

シエナの演奏会に先立ち、地元の中高校生選抜の演奏もあったのだが、そちらは都合で聴けなかった。

最初の「音楽祭のプレリュード」は、70年代を吹奏楽にどっぷり漬かった中年ブラバン親父としては、冷静に聴くことができない名曲中の名曲。ただただ放心状態で拝聴しておりました。

演奏会自体としては今まで聴いたの3回の中では最も充実していた。

曲全体の構成、第二部の岩村さんのトークも良かった。バレンタインデーということで客席ヘのチョコのサービスで、ぐっと舞台と客席の距離が縮まりました。

スミスでの集中力は凄かったですね。ホルンも大健闘。曲の密度、芸術性の高さでは「深層の祭り」がやはり群を抜く。

アンコールはチャイコフスキーの劇付随音楽「雪姫」から「道化師の踊り」。

そして最後は恒例の聴衆も交えての「星条旗よ永遠なれ」。ホルン持参の娘は今年も嬉々として参加。

帰宅後は家族そろってイタリアンレストラン ダダで夕食。
http://www.1cho-me.jp/page_html/dada/index.html

ちょっと贅沢な休日。

Youtube はシモンボリーバルユースオケの「マンボ」

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2010年2月13日 (土)

レイボヴィッツのボレロ

朝から雨、寒くなりました。一日職場にいたがどうも緊張感に欠ける日。

P1010045 今日はシェーンベルクとウェーベルン、ラヴェルの弟子にしてブーレーズの師であるルネ・レイボヴィッツの演奏を聴く。

60年代初頭のリーダーズダイジェストへの一連の録音からラヴェルの「ボレロ」と「ラ・ヴァルス」。オケはパリ音楽院管というもの。

手持ちはリーダーズダイジェスト社が出していたセット物LP。

P1010047 一般発売されずオケが契約上の変名だったりしたので、注目されることがなかった演奏だが、初出のLPにはソリスト名が明記されていた。

そこにはフルートのルボン、オーボエ・ダ・モーレのカシェ、ホルンのテーヴェらクリュイタンス時代のパリ音楽院管の伝説的な名手に加え、パリ・ギャルドの首席サックス奏者R GateauとF Lhommeの名。

さらにトロンボーンに超大物クロボカールが特別参加というオールスターキャストは鳥肌もの。これはレイボヴィッツの人脈のすごさだろう。とても一般家庭用の名曲全集とは思えないほど。

管楽器ソロのオンパレードのような「ボレロ」では、レイボヴィッツはアンサンブルに手を加えず自由にソリストたちを泳がせているようだ。キラ星のような名手たちも楽しみながら名人芸を披露しているのがよくわかる。

名手たちに任せながらも要所要所で手綱を引き締める「ラ・ヴァルス」はより一層凄い演奏だ。

名エンジニア、ケネス・ウイルキンソンの手による録音が驚異的に良い音なのも嬉しい。

P1010045_01 沼響のHPの聴き比べ「シベリウスの2番を聴く」にセルの1970年、クリーブランドでのライヴの感想をアップしました。
連載44回目、セル6つめのシベ2.
http://www.numakyo.org/cgi-bin/sibe2.cgi

Youtube はシルヴィ・ギエムの踊る「ボレロ」。ベジャールの振り付け

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2010年2月12日 (金)

ランパル、リステンパルトのビバルディ

今日も冷たい雨の一日。昨日は一日仕事となり明日も出勤だが、趣味その他やりたいことは出来ているのでさほどのストレスは感じていない。

ただやるべき事が多すぎて一日が実に短い。

出勤しようとしたら庭の外灯の傘が外れて、だらんとぶら下がっている。あまりにも見苦しいので脚立を出して雨の中で修復。

おかげで危うく遅刻するところだった。

P1010042 P1010043 帰宅後ヤフオクで落としたLPが届いていた。久しぶりの音盤購入。
レナータ・スコットのレスピーギ歌曲集。伴奏は東京クアルテットによるVOXのLP。

ルイ・フレモーが来日時に東京都響を振った「展覧会の絵」デンオン盤LP。

P1010041 そして、ランパルがリステンパルトの伴奏で録音した、作品10のビバルディのフルート協奏曲集、ディスコフィルフランセ盤

フレモー以外はCDも出ている。
この不況の影響でネットオークションの動きは鈍く値も下がってきた。いずれも数百円の格安盤。

Youtubeはランパルの吹くプーランクのフルートソナタ。
伴奏は作曲者のプーランクというもの

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2010年2月10日 (水)

ベートーヴェンの第九、リスト編曲版

午後から再び寒くなり、帰りに職場から駐車場へ行く道の途中の橋の上では西風が強く難儀。夜からは雨。

今日はなぜか第九が聴きたくなり、されど季節はずれの感は否めず。
結局棚から出したのは、ブラームスがクララ・シューマンとデユオを楽しんだというリストによる2台のピアノ編曲版。

P1010029 コニサーソサエティ原盤によるリチャードとジョンのコンティグリア兄弟によるこのバージョンの世界初録音2枚組LP.

リストの編曲はさすがに良くできている。
フルオーケストラと独唱、合唱のパートが渾然一体となった原曲とはまた異なる魅力的な曲に生まれ変わっている。

演奏は、ボールドウィン社製ピアノの、硬く無機質な独特の音色と着実なテクニックで豪快に聴かせる。
録音も非常に良く楽しめる一枚だ。

Youtube は、マーラーとも親交のあった大指揮者クレンペラー最晩年の巨大な「第九」

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2010年2月 9日 (火)

エディット・マティスのバッハとヘンデル

本日最高気温22度。4月中旬並みの気温。

Images 日曜日にスイスの名歌手エディット・マティスの1986年の来日公演の模様が教育テレビで放送されていた。ベートーヴェンやブラームスの歌曲を歌う、清らかで美しい歌唱はとても48歳とは思えない。

マティスはその数年後沼津にも来ていて、幸いにして聴くことができた。
さすがに往年の輝きは薄れていたものの、聴衆に優しく語りかけるように真摯に歌う姿は感動的だった。

今日はマティスの全盛期の録音からバッハの「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」からと、ヘンデルの7つの歌曲。

P1010038 1960年代末に東芝EMIが出していたドイツ歌曲全集の第1巻のセットもの。
チェンバロ伴奏にヴァイオリンやフルート、時としてオーボエの序奏やオブリガードソロが入る。

清楚で品格のある心洗われる歌がここでも聴くことができる。

Youtube は、マティスの歌うマーラーの交響曲第4番。バーンスタインの指揮。

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2010年2月 8日 (月)

フーレスティエのドビュッシー、「海」

新たな週の始まり天気も良い。

P1010036 帰宅すると新し物好きのおばあちゃんが、触ると色が変わるバラがあったと騒いでいる。
見ると白いバラの花弁の縁がほんのり青い。触るとみるみるピンクに変わってきた。

「へーぇ」、今まで実現不可能と言われていた「青いバラ」をサントリーが開発したことは知っていた。

バイオテクノロジーもここまで来たかと感慨ひとしおだったのだが、ネットで調べてみたら白バラに特殊な塗料を塗布したものだった。
http://www.ldap-jp.org/archives/91528.html

「なーんだ」

P1010032 今日はフランスの指揮者ルイ・フーレスティエの指揮するドビュッシーを「海」と「夜想曲」の組み合わせのフランスムジディスク盤のLPで。 オケはセントソリ管弦楽団。

ステレオの表示はあるが、限りなくモノラルに近い音。日本コロンビアの国内盤LPも手元にあるがこちらはモノラル表記。

フーレスティエ(1892-1976)は、長らくパリオペラ座の指揮者だった人でパリ音楽院の指揮科の教授もやっていた。録音は少ない。
手元にはサンサーンスの交響詩を集めた仏パテ盤のLPがあるが、カラフルでおしゃれな良い演奏だった。

セントソリ管もおそらくパリオペラ座管の変名だろう。

演奏は期待通り?のアンサンブルをきっちり合わせるタイプとは対極の演奏。
オケの名、セントソリ(百人のソリスト?)そのものの、メンバー各自が自由に泳いでいるような演奏だ。

それでいてなんとなく様になっているのが面白い。

演奏は合唱をきっちり付けた「夜想曲」が良い。ドビュシーが生きていた時代を知る演奏家による、おフランスの香り豊かな好演だ。

P1010033 沼響のHPの聴き比べ「シベリウスの2番を聴く」にセル指揮クリーヴランド管による1966年ライヴの演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/sibe2.cgi

youtube はムーティ指揮バイエルン放送響の「海」リハーサル

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2010年2月 7日 (日)

モラーヌ逝く

本日お休み。ちょいと気になることがあり、朝方職場に立ち寄る。

用は直ぐに済んだのだが、社内メールなどを送ったり新しい週の始まりに必要な書類を整えたりしているうちに小一時間ほど経ってしまった。

P1010030 フランスの名バリトン、カミーユ・モラーヌが先月亡くなっていた。
http://bohyo.blog84.fc2.com/blog-entry-2477.html

モラーヌに師事していた家内の友人からの手紙でこのことを知った。

D0061784_19593949 この家内の友人は、さる1月29日にモネの絵で有名なルーアンの大聖堂でおこなわれたモラーヌの告別式に出席してきたという。

モラーヌのいくつかの録音で、フランス歌曲の本当の魅力を知ることができたことを今でも幸運だと思っている。本当に偉大な歌手だった。

1993年には82歳で来日し、東京でリサイタルを開いている。
http://blog.livedoor.jp/chikuondo/archives/50894529.html

P1010031_3  今日はワーナーから出ていた「カミーユ・モラーヌ、エラート録音集成」から、フォーレの「月光」その他の歌曲と15世紀のフランス歌曲の数々を。

ビロードのような端正で美しい声と格調高いのびやかな歌唱。いつ聴いてもため息が出るほど素晴らしい。

youtube は、モラーヌの歌うドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」。アンセルメの指揮。

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2010年2月 6日 (土)

デュリュフレのサンサーンス

昨晩から今朝にかけて寒風吹き止まず。今日は出勤。道を歩くと体感温度もかなり低い。

ラーメンが食べたくなり、昼は職場に一番近い「ラーメンハウスG麺」で味噌ラーメン。http://ramendb.supleks.jp/shop/23448

P1010031 帰宅後は、昨日聴いたデュリュフレが加わったサンサーンスの交響曲第3番「オルガン」。
指揮は、2年連続ウィーンフィルのニューイヤーコンサートに登場しているフランスの巨匠ジョルジュ・プレートル指揮するパリ音楽院管弦楽団。1963年録音
これはLP時代からの愛聴盤で今日は国内盤CDで聴く。

P1010032 量感のあるパンチの効いたプレートルの指揮と色彩豊かなパリ音楽院管の音色。

デュリュフレの風格のあるオルガンが下をしっかり支えてバランスの取れた名演となった。

マスターテープの劣化が進んでいるようで、もともと残響の多い曖昧模糊とした録音がさらに霞んだ雰囲気となっていてオケ細部の明確さには欠けている。だがCD化でティンパニの音は良く聞こえるようになった。

youtube は、フロール指揮ロッテルダムフィルのサンサーンス交響曲第3番

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2010年2月 5日 (金)

デュリュフレの弾くバッハ、BWV543

Yuuki06_2   よく晴れた朝。庭の白梅は八分咲きといったところ。出勤前にふとみるとメジロのつがいが仲良く梅の枝の間を飛び回っていた。

今日は大きなクレームが二つほど。

両方とも一見ごもっともな正論なように見えるのだが、根底にあまりにも自分中心ご都合主義のエゴが見えてしまうので、そのまま鵜呑みにできないのが難しいところ。

夜から海からの風が強くなるのはいつもの沼津の冬。

帰宅すると「崖の上のポニョ」を家族皆が見ている。ほのぼのとした宮崎駿の心温まる世界。 この中の風景は日本が明日の希望に満ちていた、どこか昭和40年代の日本の風景を彷彿させて懐かしい。

P1010025 今日はフランスのオルガニストにして作曲家、モーリス・デュリュフレの弾くバッハから、BWV543の前奏曲とフーガを英EMIのLPで聴く。

リストによるピアノ編曲版があるほどバッハのオルガン曲の中では規模が大きく華麗な曲だが、ここでデュリュフレは堅実にして着実にひとつひとつの音を構築していくのが素晴らしい。
曲が進むにつれてとてつもなく巨大なバッハの世界が広がり、聴いているうちに鳥肌が立ってきた。

Youtube はバッハのBWV543の前奏曲とフーガ

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2010年2月 3日 (水)

カラヤンのモーツァルト、交響曲第39番

今日は節分。

職場では午前中は自分主催の職場研修が予想外に盛り上がり結局昼過ぎまで超過。その後昼食もそこそこに外部団体を招いての会議。
続いて職場内の会議と多忙な一日。席に戻ると机上は未決の書類の山。

帰宅すると玄関先には娘たちが撒いた豆が散らばっている。 テーブル上には恵方巻きが数本。

関東圏に育った自分が恵方巻そのものの存在を知ったのはほんの数年前。まさかこんなに急速に広まるとは思わなかった。

いささか草臥れ気味の頭で聴いたのはドイツマーチの数々。

P1010030 キングレコードが出していた国内盤LPの「テレフンケン・ドイツ正統派行進曲集」。ヨハネス・シャーデ大佐指揮するドイツ陸軍と空軍国防軍音楽隊によるもの。

なじみのない曲ばかりだが、それぞれに凝った工夫が面白い。威勢の良い鋼のようなアンサンブルも心地よい。

P1010028 続いてカラヤン指揮ベルリンフィルによるモーツァルトの交響曲第39番。EMIへの1977録音の後期交響曲集から。

先ほど聴いたドイツマーチにも共通する力強いモーツァルト。

しかし一本調子に陥らず、オーボエを除いた代わりにクラリネットを用いたモーツァルトの意図がよくわかるふくよかな響きが聴かれるのはさすがだ。

Youtube はプレヴィン指揮 N響の交響曲第39番からメヌエット。

素晴らしい名演です。

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2010年2月 2日 (火)

チャイコフスキーの「ポーランド」

2月に入り昨日の初午は午後から雨。東京では積雪。
去年の初午も雨で稲荷幟は出せなかったので、今年は朝の間だけ庭の片隅に古くからある稲荷社に幟を立てた。

今日はチャイコフスキーの交響曲第3番を聴く。

一年に一度聴くかどうかのマイナーな曲だが、今年の定演のメインであるチャイコフスキーの第5番の練習をしているうちにどうも気になってきた曲。

終楽章にポロネーズが用いられているためにチャイコフキーのあずかり知らぬ「ポーランド」と呼ばれている曲だ。

5楽章構成に舞曲のテイストが全曲を支配している交響曲としては特異な曲。むしろ舞踏組曲と呼んだ方がふさわしい。

P1010027  演奏はムーティ指揮のフィルハーモア管。
ムーティにはEMIにチャイコフスキーの交響曲全集録音もあるが、聴いたのはANFから出ていた怪しげな海賊ライヴシリーズ集、ライヴクラシックス中の一枚。1980年録音

吹き上がるような情熱と強靭なカンタービレ。ライヴらしい熱気あふれる見事な名演だ。
第3楽章のアンダンテが非常に美しい。

聴いているうちに、この曲の第1楽章の構成が後の第5番に良く似ていることに気が付いた。

P1_g1341307w 沼響のHPの聴き比べコラム「ベートーヴェンの7番を聴く」にカラヤン&フィルハーモニア管の演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/beet7.cgi

Youtube は交響曲第3番第3楽章。フルートソロが美しい。

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