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2010年10月 9日 (土)

海瀬京子ピアノリサイタル in 東京

昨日はベルリン音楽大学留学中の海瀬京子さんのピアノリサイタルのため東京へ。

職場では、とにかく突発的な仕事が入らぬことを祈りつつ粛々と仕事をこなし、さて出かけようとすると電話が入りなかなか離れられない。振り切るようにして駅に向かう。

10月とはいえ日差しも強く、東京は汗ばむほど。

会場は飯田橋のトッパンホール。http://www.toppanhall.com/ 19時開演。

Kaise_flyer_mihon 曲目はスカルラッティのL.486,413、188の三つのソナタに始まり、ベートーヴェンの「熱情」、バッハ、ブゾーニ編曲の「シャコンヌ」。
後半は、ラフマニノフの作品23の前奏曲から4,5,6番の3曲にプロコフィエフのピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」という重量級プログラム。

日本音楽コンクール1位の後、シュナーベルコンクール1位、ポルト市国際音楽コンクール3位、という着実にキャリアを積み上げた中でのリサイタル、ホールも満席。

深紅のドレスでステージに登場した京子さん。古典的な佇まいの中に上質なロマンティシズムが漂うスカルラッティのソナタを軽妙なタッチで弾き始めた。
続くベートーヴェンの名曲中の名曲「熱情」では、最初の音からしてベンツのような重厚な音が鳴り響く。ドイツ留学で獲得した音色感だろう。今までの京子さんから聴かれなかった音だ。

Photo1 19世紀末の大ピアニスト、ブゾーニの編曲となるバッハの超難曲「シャコンヌ」。
ピアノ編曲でさらに演奏至難な曲と化したこの曲では、中間部分から次第に興に乗り、表面的なテクニックの披露だけではなく、深く沈潜していくバッハの懐の深い世界をスケール大きく描き出していく名演となった。

休憩をはさんで後半は京子さん得意のロシア物。ラフマニノフのプレリュードとプロコフィエフの「戦争ソナタ」。
プロコフィエフでは、切れ味鋭いテクニックでばりばりと弾きこなしていく。鍵盤上を目にも止まらぬ速さで疾走する終楽章は、このコンサートの最後を飾るにふさわしい快演。

アンコールのガーシュインも全ての聴衆が楽しめる、お洒落で後味の良いもの。
プロのピアニストの優れたコンサートを聴いた、という充実感を多くの聴衆が受けたのではなかろうか。
自信に裏付けられた風格も漂う堂々たる姿に彼女の大きな成長を感じました。

そして会場では、この3月までボエームの会の仲間だったOさんと再会。あい変らずの若々しくも元気な姿で休憩時の間に歓談ができ、楽しくも充実した一夜となった。

Youtubeはアムランの弾く、バッハ、ブゾーニ編「シャコンヌ」

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