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2012年7月に作成された記事

2012年7月31日 (火)

シルベストリのボレロ

出勤時、玄関の戸を開けると朝からの強い日差しに思わず「うわ!」とのけぞる。
空を見上げると雲ひとつない吸い込まれそうな青空。

次から次へと山積していく問題を丹念にひとつひとつつぶしていく日々が始まる。

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帰宅すると先日購入した娘の琴が届いていた。

高校の筝曲部に所属する下の娘は来月半ばに全国大会に出場する。http://www.soubun2012.tym.ed.jp/festival/jmusic/

昨年の全国大会の会場は原発事故で揺れる福島で、その前の年は口蹄疫で騒がれていた宮崎だった。今年は富山。今年は何も起きていない。

今日はルーマニアの指揮者コンスタンチン・シルヴェストリの「ボレロ」を聴く。
Dvoraks8silvestri

手持ちはシルヴェストリがEMIに残した録音をCD10枚にまとめたDISKYのBOXもの。
オケはパリ音楽院管弦楽団で1957年のモノラル録音

その場のインスピレーションと感情の揺れるまま、気の向くままの即興的な音楽を聞かせたシルヴェストリ。
ツボに嵌ると「新世界より」のような手に汗握る大興奮の名演を成し遂げることもあるが、的を外すと意味不明の演奏を残す場合もあった。

この「ボレロ」も期待に違わぬ個性的な演奏だ。

縦に刻んでいく剛直なリズムが前へ前へとひたすら押し寄せて行く。
オケを自由に泳がせすぎタガが外れている印象もあるが、この時期のパリ音楽院管のカラフルな音色と奏法が素のまま押し出ているのが面白い。

ブラスを強調させながら大きく興奮を盛り上げていく最終場面で、カスタネットが突然カッタカタカタカと鳴り響いていたのには肝をつぶした。

スペイン情緒を全面に押し出したかったのだろう。

ドビュッシーの「海」もかなりスコアに手を加えているようだ。

Youtubeシルヴィ・ギエムの踊る「ボレロ」ベジャールの振り付け

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2012年7月30日 (月)

グーセンスのシンフォニックダンス

連日猛暑、夜にはウマオイがスーイッチョと鳴き始め夏もいよいよ後半戦に突入。
http://www.mushiken.com/v2/zukan/mk_batta/umaoi/umaoi.html

この土日は午後から夜にかけて仕事となり帰宅は11時近く、そして本日は終日研修。
運悪く席が最前列真ん中のポジションとなり、睡魔との苦しい戦いの一日。

土曜は沼津夏まつりの開会式に来演した海上自衛隊東京音楽隊の演奏を聴いた。

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何曲か演奏してくれたが「軍艦行進曲」が始まると会場から「ウォー」と歓声が上がっていた。
さすがに伝統の名演でした。
本日早めに帰宅し、夕食時にはチリワインのアルタム・メルローを空けた。
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昨年テレビで紹介されちょいと話題なったワインらしい。
http://www.v-yamazaki.com/item/3175.html

「シャトー・ル・パン」より旨いかどうかは、「ル・パン」を飲んだことがないからわからない。

購う時にワインに詳しそうな店の女性から「重いですよ。」とアドバイス。
飲んでみると確かにこくは深い。

が渋みも強い。おいしく飲むにはそれなりの飲み方があるのだろう。

今日はラフマニノフのシンフォニックダンスを聴く。

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米エヴェレストのLPで、ユージン・グーセンス指揮のロンドン響の演奏。

切れ味鋭いリズムの冴えに深いコク。

イギリスの著名な音楽評論家から、史上最も不器用な「春の祭典」の録音を残した男と言われたグーセンスだが、この演奏はまるで別人のよう。

録音も驚異的に良く。まさに実在の響き。

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2012年7月27日 (金)

本日の練習 「土の歌」初見

猛暑、今週もいろいろな事があった一週間だが、この土日も仕事の予定が入っている。
休めるのはいつのことやら。

昨晩はオケの練習。先週急な仕事で欠席してしまったので二週間ぶり。
2012072619370000 場所は沼津市民文化センターリハーサル室。

曲は12月公演のための佐藤真作曲、カンタータ「土の歌」。
ショスタコービッチの「森の歌」の影響が感じられる1962年に作曲された曲。

1960年代初めのころに盛んだった「歌ごえ運動」を連想させるような、反戦気分の漂う同種のオーケストラ伴奏付きの合唱曲の多くは今では忘れ去られてしまったが、この「土の歌」は政治色が希薄な内容と、終楽章に「大地讃頌」を持つことによって時代を超えた名作として演奏され続けている曲だ。

P1010797 「土の歌」にはいろいろな版があり、今回沼響が演奏するのは2管編成の改定版のようだ。
http://harumochi.cocolog-nifty.com/horn/2007/03/post_7731.html

手書きのような譜面で、ところどころに書き直したような修正もあるのがはなはだ見にくい。第一曲からヘ音記号から始まる。

あくまで合唱が主なので出番はあまりないが、夏ばて気味でしかも狭いリハーサル室で酸欠状態。時おり口をぱくぱくさせて酸素の補給となりちょいと辛い練習となった。

だが、これもストレス発散の命の洗濯の場として貴重な時間。
練習終了後にほどよい疲労感とともに塾帰りの娘を途中で拾いながらの帰宅。

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帰宅後、ロンドンオリンピック・サッカー一次リーグ予選対スペイン戦を見る。

旧約聖書に書かれたペリシテ人の巨人兵士ゴリアテに挑む羊飼いの少年ダビデのような前評判だったけれども、日本チームは最強の敵相手によく戦いました。

元気をいただき、良い気分で快眠。

Youtubeは「大地讃頌」

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2012年7月25日 (水)

真夏のボエームの会

7月もまもなく終わり、とはいえ時折涼しい日が挟まるのでさほど辛い暑さでもない。
気温の急激な変化故に夏風邪になりやすい日々。

昨日は定例ボエームの会。

Front_mini 会の6時からの開始に間に合わせようとこの日ばかりは職場を定時退社として駅に急ぐ。
ところが沼津駅に到着するといつもとは違う雰囲気。

どうやらJRにトラブルがあり、上り電車が40分遅れだという。
ちょうど下校、退社時の時間帯とぶつかった駅のホームは凄い人だかりとなっていた。
しかも暑い。

2012072418230000_3 人ごみの中で並んでまもなく40分遅れの三島行きの列車が到着。

入ってきたのは三両編成の短い電車で、ホームに滑り込んだ電車の中は既に立ち疲れた客ですし詰め状態。

ホームで待つ人々からは一斉にため息が漏れた。
しかも自分の並んでいたホーム位置には三両編成の車両は止まらない。

乗車ができる位置に移動しようとする人の群れにそのまま流されそうになったが、次の列車がまもなく来る気配なので、流れに逆らいその場に踏みとどまり東京の通勤ラッシュ並みの電車の出発を冷ややかな目で見送る。

Imagescaqac30b_4   やがて5分後に到着した上り17時37分発予定の電車の中は空いていた。
電車の出発は18時。

そして会の場所はいつもの小料理「はちまき」。メンバーの一人が夏風邪気味でちょいと辛そうだ。

今回はキンキの予定だったが、目利きの料理人の満足のいくキンキが揚がらず、急遽金目鯛のさしみやカサゴの煮付けなどが主メニューとなった。

前菜は鮭の鼻先の「氷頭」の酢の物。ここが最初から他のお店とレベルが違う。

2012072418330000_2 新鮮な金目鯛とまぐろのさしみの次に出てきたのはカサゴの煮付け。

このとてもまねの出来ぬ絶妙な味加減に一同の顔もホクホク状態。

お酒は宮崎の焼酎「百年の孤独」

そして次に出たのは豪快なスペアリブ。

2012072418500000  健啖家揃いのボエームの会諸氏も最近は食が細くなり、こちらはちょいと持て余し気味となった。

そして新鮮な桜海老のかき揚げ、茶そばと珠玉の品々が続く贅沢な夜。

これだけ食べて呑んで、いつもながらなんて廉いのだろう。

Img_1465812_29530905_0_2  沼響のHPの聴き比べコラム、「ブラームスの2番を聴く」にトスカニーニ指揮BBC響のライヴの感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/bra2.cgi

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2012年7月22日 (日)

ロザンタールのドビュッシー

曇り、朝のうち雨がぱらつき昨日同様の過ごしやすい一日。
朝早くに目が覚めたので愛犬ポコの散歩の後、畑でカラス避けの防備をおこなう。
2012072210270000_2  トウモロコシには一本一本網を被せ、生き残ったスイカにも再度ザルと網を被せる。

こうなるとカラスと人間との知恵比べ。
S_20120623_23401220120623_03 部活に行く娘を車で送った後、車庫の天井を見上げるとツバメの巣が賑やかだ。
脚立を出して覗いてみるとヒナが孵っていた。

先月に4羽のヒナが巣立っているので今年になって2度目のことだ。一年に2度は記憶にない。まずはめでたし。
今日はフランスの名指揮者ロザンタールのドビュッシーから「映像」を聴く。
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ラヴェルの直弟子だったロザンタール、ラヴェルの演奏が定評があるところだが、同じ頃にパリ・オペラ座管を振ったドビュッシーの管弦楽曲集も非常に良い演奏だ。

手持ちは70年代後期にキングレコードから出たLP2枚組。
CDも手元にあるが音がきつく痩せていて、LPの方が良き時代のフランスの雰囲気が出ている。

各楽器の華やかな音が淡い陽炎のように空間に匂い立ち、生き生きとしたリズムと色彩感が全曲を支配している。
モントゥーやクリュイタンス、パレーらフランスの名指揮者たちの名演のひしめく中で一際抜きん出ている演奏だ。

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2012年7月21日 (土)

市河かよ子「北欧の夢」

今日も曇天、時々雨。気温も上がらず5月並みの気温だという。

午前中は仕事のため家の近くの静浦地区へ行っていた。昨日は地元の小学校伝統の遠泳大会があったという。
気温の低い雨の中の大会で子供たちはさぞ寒かっただろう。

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帰宅後車を降りると、庭のひめしゃらの木の下に白い小さな卵が落ちていた。
ふと見上げると小さな小鳥の巣。

どうやら風に吹かれて落ちてしまったらしい。

落ちてからだいぶ日が経っているようだ。巣にそっと戻してやったが親鳥の気配はない。

沼津出身の外交官にしてフィンランド公使時代にシベリウスと親交の深かった市河彦太郎夫人、市河かよ子の著書「北欧の夢」(昭和24年 啓文館発行)を入手。

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内容は、市河夫妻フィンランド滞在時のフィンランド、スウエーデン、デンマークの印象と、ヘルシンキからロンドン経由で日本に帰国するまでの洋上日記となっている。

フィンランド公使時代にシベリウスの愛娘の家の隣に住んでいた市河夫妻。
シベリウスと接触のあった日本人としては親交の深さで空前絶後の存在だろう。

本文をパラパラと流し読みをすると期待とおりのシベリウスの記事。

シベリウスとの親しい会話や、シベリウス夫人から聞くシベリウスの作曲の様子などなど。
興味深いエピソードの数々。しばらく楽しめそうだ。

今日はミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管によるビバルディの「四季」。
20010101_00000020010101_08 聴いたのはミュンヒンガー3回目の1972年録音盤で、日本ポリドールが89年にこれが最後のLPだとして発売したロンドンファイナルLP。

英デッカが特別にカッティングしたメタル原盤を使用し、厚手の材料重量盤に余裕のカッティグ。このシリーズの中には、オリジナルよりも音が良いと言われるものがあるほどクオリティが高い。
この録音も演奏の合間に録音会場の外で鳴く小鳥の囀りがはっきりと聞えた。

演奏はきっちり古典的な格調の高さの感じられるものだが、幾分音楽が甘くなり、他の2種の演奏に比べるとミュンヒンガーの個性は薄れている。
個人的には第1回録音のバルヒェットをソリストに迎えた演奏に愛着がある。

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2012年7月20日 (金)

フライシャーの弾く、左手のためのピアノ協奏曲

雨、猛暑の中休み。
水曜日の夜は、Facebookで再会した大学の同級生と沼津駅前でのイーラde沼津内での「魚がし鮨」でお酒を飲みながらの食事。http://www.uogashizushi.co.jp/shop_00002.html


某国立大学の准教授として活躍している彼は、研究のため定期的に沼津に来ている。、その研究内容が現在の自分の仕事にも関係がある奇遇も重なり、頻繁に連絡を取り合っている。

店では鯨フェアをやっていて、我々の世代には懐かしい鯨の竜田揚げを頼んでみたがどうも味があの頃とは違う。

2012071819080000 続いて鯨の酢豚を頼んだが量が多くてすぐに飽きてしまった。
メインの寿司を頼む前にビールと鯨で満腹状態。

この暴飲暴食は翌日まで尾を引き、昨日は一日腹の具合が悪かった。
夜はオケの練習に出る予定が仕事に加え正体不明の頭痛に襲われ、練習を休んでしまった。

今日は午前中には組織No.2も入り今抱えているプロジェクトの打ち合わせに加え、午後は外部委員による年一回の監査、しかも夜は市主催のディスクコンサートでの解説業とかなりハードな一日。明日も仕事。

今日はレオン・フライシャーのピアノで、ラヴェルの左手のための協奏曲を聴く。
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1992年6月、ベルリン、ヴァルトビューネでおこなわれたコンサートからプレートル指揮ベルリンフィルの演奏。手持ちは古いレーザーディスク。

右手の自由を失って30年、左手のピアニストとしてキャリアを重ねていたフライシャーのある種の凄みを感じさせる名演。

2万人の聴衆を集めたお祭り気分の中でのコンサートだが、この演奏だけはシリアスな雰囲気が漂っていた。

Youtubeはフライシャーの弾くバッハ、右手がある程度回復した後の映像

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2012年7月17日 (火)

白井光子のモーツァルト

梅雨明ける。本日自転車出勤。
オフィス到着後どっと汗は出たもののさほど暑さは感じない。

週の始めから連休明けのボケた頭に厳しい現実のパンチ、今週はハードな一週間となりそうだ。土曜も出勤予定。

このところ昼休みに、余裕があれば持参したCDをCDウォークマンで聴いている。
多くは刺激の少ない室内楽か歌曲だが、ここ数日聞いているのは白井光子の歌うモーツァルト歌曲集。
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20年ほど前のモーツァルトの記念の年に日本コロンビアから1枚1,000円の廉価盤で発売されたもの。このシリーズは主にカプリチオ原盤のもの。

シャーンドル・ヴェーグ指揮のディヴェルティメント集など、非常に水準の高い演奏も含まれていた。この白井光子の歌曲集もその中のひとつ。

白井光子は実演を一度だけ聴いたことがある。曲はベルクの歌曲集だったと思う。
伴奏は小沢征爾指揮の新日本フィル。
細かな部分までは覚えていないけれど、素直で真直ぐな非常にわかりやすい歌唱だった印象が残っている。

このモーツァルトも清純で美しい声で優しく穏やかに歌っている。モーツァルトの魅力を充分に引き出した名唱だ。父君のヘルムート・ヘルのピアノも美しい。

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2012年7月16日 (月)

宮沢明子のショパン

三連休最終日。天気も良い。
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牛臥山公園へ行くと海水浴を楽しむ家族連れが二組ほど・・・今日は海の日。

連休はどこにも出かけず畑作業や庭の草取りエトセトラ。

部屋の掃除のついでに古いパソコンに数年ぶりに電源を入れてみたら普通に立ち上がった。

2012071619460000 富士通製のインターネット以前のパソコン通信の時代に愛用していたウインドウズ3.1マシン。
とても今では使い物にならないハードオフでも引き取りを断られそうなもの。

邪魔なので処分しようとコンセントを抜こうとしたが、NIFTY-Serveサーブの音楽フォーラム、FCLAの過去ログをこのマシンに保存していたことを思い出した。

20年ほど前のネット社会の黎明期、今は亡きゆらむぼさんやその他アクティヴたちの懐かしい名前を見ながら、熱心なクラシックファンらの活発な意見のやりとりをしばし時を忘れ読んでいた。

このような格調の高い誠実な意見のやり取りの場は、インターネット時代の今はもう見当たらない。

このパソコン、もうしばらく捨てずにいよう。

連休中にはいろいろな音楽を聴いた。
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印象に残っているのは宮沢明子の弾くショパンのノクターン選集。
トリオから出ていたLPで、録音エンジニアは菅野沖彦氏。

第7番から始まる11曲。
聴き手の気持ちを他に逸らせない真剣さが伝わってくる力強くも情熱的なショパンだった。
ベーゼンドルファーの黒光りするような音を見事に捉えた録音も良い。

ピアノ曲でもう一枚はルービンシュタインの弾くグリーグのピアノ協奏曲。

20010101_00000020010101_02_2 米RCAのLPで、ウォーレンシュタイン指揮RCA響による伴奏。1961年録音。
ルービンシュタイン独特の艶やかで華麗な音と豪快なテクニックが楽しめる名演。

ウォーレンシュタインの伴奏も良く、オケは覆面オケだがニューヨークフィルではなかろうか。

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2012年7月14日 (土)

伊福部昭「ジャコモコジャンコ」

早朝、突然の暴風雨で目が覚める。時計を見ると午前4時。
あぁまた雨か・・・

休みなので二度寝しようかと思ったが目が冴えて眠れない。
昨晩、職場の若手4人と痛飲。飲んだ翌日はなぜか早く眼が覚める。

雨は早くに上がり日中は気温が上昇、蝉も盛大に鳴き始めた。
いよいよ本格的な夏の到来のようだ。

久しぶりにヤフオクで何枚かの音盤購入。

今や古典的な作品となった「交響譚詩」にバレー音楽「ジャコモコジャンコ」

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手塚幸紀指揮東京交響楽団によるキングレコードから出ていたLP.
1984年の演奏会ライヴ。

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そして川越守作曲 交響詩「岩見沢」演奏は川越守指揮北大交響楽団と交響詩「岩見沢」合唱団。こちらは1974年録音

今日はその中から伊福部昭の作品を聴く。

手塚の指揮はすっきりスリムにリズムを明快に浮き立たせた演奏。

「ジャコモコジャンコ」は太鼓をたたきながら踊る岩手の鹿踊りに題材を取ったもの。

和太鼓の「どん!どん!」という強奏から始まる和太鼓とオーケストラのための協奏曲のような曲で、野性的で土俗風の伊福部昭の世界が展開していく。

なぜかトルコ軍楽隊の名曲「ジェッテン・テデン」を連想

youtubeは「ジェッテン・テデン」

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2012年7月13日 (金)

本日の練習、カルマス版に苦労する

今日も雨、九州では記録的な大雨で未だ止む気配がない。
4月に部署が変わってからさまざまな行事が立て続けで一週間が経つのが実に速い。
明日から三連休だが実感が沸かず堆積した仕事を考えれば月曜日の祝日が恨めしいほど。

昨日はオケの練習日、狭い市民文化センターリハーサル室での「白鳥の湖」ほかの練習。

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狭いリハーサル室に50名ほどが入り、湿気も強く練習環境としては最悪。
数週間後の小ホールでの練習再開が待ち遠しい。
ヨハン・シュトラウス二世の「エジプト行進曲」では使用しているカルマス版のパート譜に誤りが多く苦労する。

それはともかく異業種の仲間たちと名曲に触れることのできる週に一度の珠玉の時間。

帰宅後聴いたのはファリァの交響的印象「スペインの庭の夜」。
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南国風の気だるさの中に印象主義的な美しさの漂うピアノとオーケストラのための傑作。

ラローチャのピアノにコミュッショーナ指揮スイスロマンド管による演奏で。
1970年の録音、手持ちは国内盤のLP。
艶やかなラローチャのピアノにコミュッショーナの絶妙な伴奏。録音も非常に良くスペインのエキゾティックな香りを存分に楽しめる。
カップリングのショパンのピアノ協奏曲第2番もファリァに劣らぬ名演だ。

Youtubeはラローチャの弾く「スペインの庭の夜」

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2012年7月11日 (水)

ル・コントの「カルメン」

7月も半ば、今年は雨の日が多く裏山の蝉の声はいつものような力はない。
今日も夜から雨。

昨日朝、畑に行ってみると楽しみにしていたスイカがカラスにやられていた。
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やられたのは大きくなった実ばかり。
無残にも食い散らかされたスイカを前にして呆然と立ちすくむ。
裏山の木々からは「アホー アホー」と勝ち誇った声を上げてカラスが十数羽飛び立っていった。  

くっそう!!!・・・

無事に残った5個ほどの小さな実に網のカバーを被せておいた。

今日はビゼーの歌劇「カルメン」ハイライト。
コンサートホールソサエティのLPで、ル・コント指揮のコンセール・ド・パリオーケストラによる演奏。1960年録音。これは全曲が録音されている。
http://chsclub.exblog.jp/4115173/

カルメンはコンスリオ・ルビオという知らない人だが、ドン・ホセはレオポルド・シモノーとミカエラがピエレット・アラリー、エスカミーリョのハインツ・レーフスらなど、主にアメリカで活躍した実力派を揃えている。

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ドン・ホセ役のシモノーとホセの許婚ミカエラ役のアラリーは実の夫婦。この粋な配剤が理由で購入したもの。

やる気十分の歌手陣にル・コントの指揮は、すっきり明快に旋律を浮き上がらせながら独特のルバートに微かなロマンが感じられ秀逸。

ルビオのカルメンも品のある色気漂う良い雰囲気だ。

シモノーとアラリーの実の夫婦の二重唱など、聴いていてこちらが焼けてくるほどぴったり。

これほど楽しいカルメンも珍しいがあくまでフランス風の上品な演奏だ。
Youtubeはカラスの歌う「ハバネラ」

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2012年7月 8日 (日)

ジュリアス・ベイカーのフルート

本日朝から町内の津波避難地の草刈り作業。

昨年の東日本大震災以来、我が家の裏山の平坦地が町内の緊急避難地ということになり、年に二度ほど町内会で伸びた雑草を刈ったりと整備をしている。

今日は町内の有志が60人ほど集まった。これだけいると作業ははかどり小一時間ほどでほぼ終了。

せっかく集まったのだからと誰言うともなく、川の土手の草刈りもしようということになった。
2012070810020000 ところが意外と大変な作業になってしまった。
作業が進むにつれて、皆しだいに口数が少なくなっていった。

全て終わったのがちょうどお昼。昼用のコンビニのおにぎりと缶ビールをいただき帰宅。

シャワーを浴びてお昼を食べたら眠くなりそのまま爆睡。

目覚めたのは3時過ぎ、そのまま牛臥山公園まで目覚めの散歩に行くと、ちょうど先月の 台風で座礁したマグロ運搬船が座礁したあたりで小型ヨットのレースをやっていた。

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今日はアメリカのフルーティスト、ジュリアス・ベイカーのビバルディを聴く。

http://www.h7.dion.ne.jp/~urok/fl/baker.htm

フルート協奏曲「ごしきひわ」と三つのピッコロ協奏曲を集めた米ヴァンガード原盤の国内盤LP.

伴奏は「ごしきひわ」とピッコロ協奏曲の1曲がヤニグロ指揮のザグレブソリスデン、二曲のピッコロ協奏曲がプロハスカ指揮ウィーン国立歌劇場管というもの。

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ベイカーはピッツバーグ、シカゴ、ニューヨークの三つのメジャーオケの首席奏者を歴任した大変な名手。

フランスのフルーティストとはまた異なる明るい音色と完璧な技巧で聴かせてくれる。

特に溌剌とした躍動感あふれる「ごしきひわ」非常な名演。第二楽章のシチリアーナも美しくしみじみと聴かせてくれる。
Youtubeはベイカーとランパルの共演

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2012年7月 7日 (土)

クリフォード・ブラウン メモリアル

Dsc_0056_convert_20110218144134 雨のち晴れ。夜になって遠くで雷が鳴っている。

昨晩は仕事で遅くなり、帰りに職場の若者3人と近くの焼き鳥屋「二光」へ。店に入ったのが10時近く。

既に別のグループ10人ほどが程よく出来上がっていて盛り上がっていたので、別の店にしようかと思ったのだが、お店の人が座敷に通してくれた。

ホッピーと上質の焼き鳥やセンマイなどなど、名物のレバ刺しがなくなったのは寂しいけれど、閉店まで若者たちと楽しく過ごす。

そして本日お休み。

我が家のエアコンは3年ほど前まで壊れ、娘が「エアコンがないなんて恥ずかしくて人に言えない」とか騒いでいたのを無視しそのまま放置していたのだが、今年も猛暑らしいのでさすがに入れることにした。本日朝から工事。

2時間ほどで取り付けは終了したものの今日は雨模様で涼しく、せっかく取り付けたエアコンを始動したところ、当の娘は「寒い!」と言い出す始末。

古いエアコンは大型だったので結局処理は産廃業者に頼むことになった。

今日は、天才トランペッター、クリフォード・ブラウスの「メモリアル」。
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1953年の記録で、タッド・タメロンオーケストラとの演奏とストックホルムでの演奏のカップリング

手持ちは米プレスティッジのLP.オリジナルは高価だけれど自分のは何度目かの再発盤。

ビッグバンドの中の演奏ということで、他のアルバムに比べてブラウニーの姿は目立たないけれど、スーっと自然体に立ち上がるソロがなんとも素晴らしい。

そしてもう一枚はベルリンフィルコントラバス四重奏団の演奏。

20010101_00000020010101_03 カメラータ東京から出ていたLPで、フンクのような古い作曲家のアレンジ物から現代の作曲家によるオリジナルを集めたもの。

カラヤン時代のベルリンフィルを下から支えていた勇者たちによる。

地味を絵にかいたようなアルバムだが
演奏の凄さで聴かせる一枚。録音の優秀さも驚異的。

Youtubeはフンクの組曲

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2012年7月 5日 (木)

ニキシュの「運命」

曇り、梅雨は未だ明けず九州地方は連続の大雨。
袋小路に入っていた現在のプロジェクトにようやく光明が見えてきた。明確な道筋が見えてきたのであとは前に進むのみ。

Nikisch1kr0_2 今日はベルリンフィルの二代目の常任指揮者、マーラーよりも年上でブラームスやチャイコフスキーと同時代に生きた伝説上の大指揮者アルトゥール・ニキシュ(1855-1922)の演奏を聴く。

70年代はじめに出た日本コロンビアのヒストリカルレコーディングシリーズの一枚。
レコードの解説によると、このLPがニキシュの「運命」の国内初登場盤ということが書いてある。

曲は「ローマの謝肉祭」序曲にリストのハンガリー狂詩曲第1番、そしてベートーヴェンの「運命」。
「運命」は著名な指揮者による「運命」の初録音として有名なもの。

オケはベルリンフィルとなっているがリストはロンドン交響楽団の演奏。
1913年の電気を使わないアコースティック録音。

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ニキシュより年上の世代の有名指揮者の録音は存在しない。
文献的な記録としては、ベルリンフィル初代指揮者のハンス・フォン・ビューロー(1830-1894)の「英雄」がライヴ録音されたとの記録はあるが実物は発見されていない。

ニキシュはサイレントフィルムに記録された指揮映像も残されている。
これは演奏会映像ではなく映画用に正面から撮影したもので、腕を単純に上下に動かすだけのものだった。
ニキシュの音なし映像でもうひとつ、これは曖昧な記憶だが、演奏会でオケの最後列の後ろあたりの遠くから正面の指揮姿を撮影したものもあったように思う。
長い指揮棒を持ち、両手を大鷲のように大きく手を広げてゆっくりと指揮していた。
ただこの映像はその後一切お目にかかっていないので、自分の記憶の中で勝手に作り上げてしまったものかもしれない。

さて、ニキシュの運命。録音の古さは覚悟の上の視聴。

編成も限られているし(録音風景の写真あり)、狭い部屋での一回あたりの録音時間の制約もあった環境の中の録音。
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日常のニキシュの姿をどれだけ捉えているかという疑問もあり、以前には簡単に聞き流していたが、今、虚心に耳を傾けるとテンポの変化やフレージングは充分聞き取れる。

解釈はスパッと割り切った現代的なもの。トスカニーニが尊敬していただけあって、両者の芸風は似ているようだ。

ただし、あたりを大きく包み込んでいくオーラのようなものは、ニキシュ独特のもののように思う。特に「運命」の第2楽章では、ニキシュの持っていた尋常でない風格のようなものが古い録音から自然と伝わってくる。

オケのメンバーがニキシュに見つめられただけで、普段では考えられないような演奏を成し遂げたという逸話はなんとなくわかる。思わず威儀を正したくなるような演奏だ。

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2012年7月 2日 (月)

カラヤンの「英雄の生涯」

7月第一週、今日は仕事で沼津の南の大瀬崎へ。

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ダイバーの聖地とも言われる地だけあって、平日の曇天にもかかわらず多数のダイバーがダイビングを楽しんでいる。
2012070209480002_2 目の前の岸壁で釣人が釣ったシイラを野良猫が狙っていた。

今日はスーパーオケを率いた巨匠二人の1970年代のオーケストラ録音を聴いた。
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最初はカラヤン&ベルリンフィルによる「英雄の生涯」。

皮ジャンパーを着たカラヤンがライトを浴びて浮かび上がっている写真がレコードジャケットとして使われている独エレクトローラのLP。カラヤン2度のめのこの曲の録音。

このジャケットを見ると、カラヤン自身が「英雄の生涯」と自分をオーバーラップさせて演奏した録音だと自然と連想してしまう。

録音は1974年。この時カラヤンとベルリンフィルは、オーケストラのコンディションとして最高の高みに達していた。
この演奏も完璧なベルリンフィルのアンサンブルが、シュトラウスの精緻な楽譜を見事に音にしている。

冒頭の英雄の主題の雄渾さ、ザイフェルトをトップとするホルンセクションなど凄いものだ。
あまりにも易々と演奏しているので嫌味は感じられない。

そしてもう一枚は、組曲「展覧会の絵」をジュリーニ指揮シカゴ響の演奏で聴く。
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グラモフォンの独盤LPで、ラザール・ベルマンの弾くオリジナルピアノ版による演奏とのカップリング。1976年録音。
この演奏は既に沼響のHPの聴き比べコラムで紹介している。
http://www.numakyo.org/c_pic/30.html外部リンク

高性能のオケの手綱をさらに引き締めた高度に結晶化された純な世界。
この演奏も現代オーケストラ演奏のひとつの到達点を示したものだ。

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2012年7月 1日 (日)

ブランフォード・マルサリスの「クラシカル・ロマンス」

7月の最初の日は曇りのち雨。

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早朝から、沼津の海岸を富士市との境から自宅近くの牛臥、静浦海岸まで南下する。

富士方面は雨が全く降っていないのに、続く千本地区はまとまった雨、さらに南の牛臥海岸は小雨。
沼津の海岸線の長さを実感。

悪天候にもかかわらず海岸沿いには釣り人やジョギングの人々が多数。千本海岸には市外ナンバーの車が多く止まりバーベキューを楽しむ家族連れもかなりの数だ。

2012070108300000 沖にはシラス漁の漁船が網を引いていた。

お昼前に帰宅し、午後はかなり前に録画しておいたフランス映画「相続人」を観ていた。
http://www10.plala.or.jp/BAMBOOH/HEAVEN/HERETIER.html外部リンク
1973年の古い映画で、渋い味を出している主演のジャン=ポール・ベルモンドが、最終場面で複数の刺客に暗殺される場面をエンディングで多方向から撮影し何度も繰り返すところなどショッキングだ。

音楽はミッシェル・コロンビエ。硬質で冷たい映画の雰囲気によく合っていた。

そこで今日はコロンビエの音楽。

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フランス、エラートのLPで金管楽器とオルガンのための「六重奏曲」。
トランペットのピエール・ティボーやホルンのバルバトゥーなど、フランスのトップ奏者達によるアルス・ノヴァ金管合奏団にクサヴィエ・ダラッセのオルガンというもの。

オルガンの重低音に乗りトランペットが華麗に高らかに歌い上げる冒頭が印象的。
ジャズのイディオムを取り入れたポップ調の作品。

続いてジャズトランペッターのウィンストン・マルサリスの兄、ブランフォード・マルサリスのサックスによる「クラシカル・ロマンス」。

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このCDはドビュッシーの「喜びの島」、ラヴェルの「ハバネラ」やストラヴィンスキーの「パストラール」などの作品をコロンビエがソプラノ・サックスと室内オーケストラのためにアレンジした作品を集めたもの。

コロンビエのオリジナル作品「エマニュエル」も収録されている。伴奏はリットン指揮のイギリス室内管弦楽団。

マルサリスのサックスはきわめて正統的なクラシカルなスタイルで演奏している。
コロンビエのアレンジもムード音楽に陥らない格調の高いもの。
Youtubeはコロンビエの「エマニュエル」

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